フリーガイ

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆」

 モブキャラ(NPC)が全面ストライキです。

 パキPさんに紹介された映画。本当はマーベルの『ブラックウィドウ』の予定だったんだけど、公開が終わってしまったため。
 グランドセプトオートみたいな暴力ゲームの世界に暮らす背景的なモブキャラが自由意思を持つという、『レゴムービー』みたいな内容。
 私、これがテレビゲームを題材にした映画っていうのも知らなかったから、冒頭のシーンで、警察や軍隊といった国家の暴力装置が現代社会から一切なくなったら人間はどうなってしまうのかという、過激な思考実験の映画なのかと思ったんだけど。そしたら、あ~『レディ・プレイヤー1』みたいな内容かと。

 このブログでも何度も書いた気がするけど、テレビゲームとか仮想空間を題材にした映画って、実は私はあまり相性がよくなくて、この映画はメタな構造ですよって、最初っからやられると感情移入がしにくいんだよね。
 でも、率直に言って、これ、結構面白かったwテレビゲームの映画だと一番良く出来ていたかも。なんというか、『レディ・プレーヤー1』の設定で、自分が超好きだった『LIFE!』みたいなことやってるんだよね。ライアン・レイノルズがベン・スティラーに見えたもの。
 で、最後のエンドロール見たら、ショーン・レヴィ監督とか書いてあって、ああ、『ナイトミュージアム』の監督だ!っていう。
 確かに言われてみれば、くだらないけど、ちょっとホッコリして、鑑賞後の後味が悪くないところとか、『ナイトミュージアム』っぽいわっていう。なんか、この人のコメディ映画って毒っぽさがいい意味でないからね。ハートウォーミングというか。

 あと、AIが意志を持って、作り手の想定を超えた振る舞いをするっていうのは、SFでよくあるけど、そのAIが人類に牙をむくとか、人類からの独立を訴えるとか、そういうベタな展開じゃなくて、平凡な日常の繰り返しに、かけがえのない幸せを見出すという流れは、この監督らしいというか。
 意外と、こういう人畜無害なAIって、描かれてそうで描かれてなかったような気もして新鮮だった。
 ほいで、やっぱり、『ナイトミュージアム2』でも繰り出した、虚構の存在と現実の存在のロマンスみたいなことやるのねという。得意ジャンルだなっていう。
 まあ、だから、完成度が高い脚本だなと思った。けっこうボリュームもあったし。なんか、ゲームの世界という設定なんだけど、時間的、空間的な奥行きの広さを感じられたのもすごい。『ジャングルクルーズ』のアマゾンは狭く感じたもんな(^_^;)

 ただし、これはこの作品のせいじゃないんだけど、この作品のテーマである、フリー、自由に生きようっていう前向きなメッセージがさ、けっこう虚しさを持って胸に届いたというか。
 いくらフリーにしたくても、リアルな世界はもうそれを許さなくなったじゃん。いや、その不自由さは、自らの心が生み出しているんだよ、みたいなテーゼってコロナ前は説得力があったけど、この抑圧感はもはや自らの心の問題じゃないじゃん。伝染病だから仕方がないじゃんっていう。
 むしろ、抑圧された社会の中でも楽しいことは見つかりますよ、鬱々としたことに気を取られて見逃してませんか?みたいなのだったら共感できるかもしれないけどね。
 この映画みたいに、海の彼方に希望の橋をかけてバーンって世界の構造が好転すればいいんだけどね。
 パキPさんとちょっと話したんだけど、コロナ禍のリアルが映画などの創作物のテーマや登場人物が発するメッセージに今後どう影響を与えるかっていうのは、かなり気になります。
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