R3年度国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)について

 今年もまた、この季節がやってきました。一年あっというまよ。ちなみに、昨日は試験会場に応援にいきがてら、童心に帰って(いつも帰っているけど)虫取りを嗜んでいました。
 小さい子どもがいると、子どもの世話という大義名分で、堂々とトイザらスとか行けるのいいよね。ウチは子どもいないけどさ。
 その夜は、こーくん家で第三回ボードゲーム大会開催。サイコロを2個振って、領地を開拓していくというドイツのボードゲームをやったんだけど、図らずもこの経験が公務員試験の確率の問題に役立ったという。

全体的な感想
各ジャンルの出題数は昨年度とほとんど一緒。
難易度も例年通りで、かなり易しい。
ただし、物理で計算問題が久々に出たり(ただし易しい)、東洋史で珍しく朝鮮が出題されたり、わずかな変化も見られた。でも、全体的に代り映えはしなかった。

データ
全40題 時間は90分
試験問題持ち帰り可能。※解答は公式サイトにアップロード(解説はなし)
星の数は難易度。
☆:易しい。小中学生レベル。
☆☆:普通。高校生レベル。
☆☆☆:難しい。大学入試~大学生レベル。


文章理解
1.内容把握☆
心理学。
道徳的な行動は、他者の気持ちを想像できる力によるものだというシンプルな内容。
答えは1。

2.内容把握☆
医療をAIに任せたら医療ミスは減るのか?といった内容のコラム。
アメリカでは2018年に医療用AIが認可されているらしい。
筆者の結論は文章のラストなので、こちらも読みやすい。答えは4。

3.内容把握☆
社会学。
文章は前の2つに比べてやや専門的だが、これも結論が最後に来ているので、問題としては易しい。※コミュニティが規範的価値を帯びた概念であるという部分だけは冒頭。
答えはコミュニティにおける相互承認がコミュニティ内の人々に安心感(ときに抑圧)を与えるという、5が正解。

4.文章整序☆☆
まさかのミシェル・フーコー。
18世紀までの医師(「どうしました?」と患者に尋ねる)は、患者という“個人”を認識しておらず、病理学的な診断が主だったのに対し、19世紀以降の医師(「“どこが”具合が悪いのですか?」と患者に尋ねる)は、病気とは患者の身体に“部分的に現れる”ものだといった身体観を持っており、両者の認識(身体観、患者観)には断絶があると述べている。
文章理解で最も抽象的で難しい内容だが、意味が通る順番が選択肢の中でわずかしかないので落ち着いてやれば、文章を読解しなくても解ける。
正解は5。

古典
5.古典の内容把握☆☆
鴨長明の『方丈記』
貧しい暮らしも、ほかの人と比較しなかったら、わりと悪くないよ、自分自身の幸せは自分自身で決めるものだ、みたいな内容。
正解は4。

英語
6.内容把握☆☆
匂いを感じるAIについて。正解は2らしい。

7.内容把握☆☆
バスボイコット運動について。
白人男性の乗客にバスの席を譲らなかったローザ・パークスのエピソード。
ローザは疲れていて席を立たなかったのではなく、当時の社会常識に対して声を上げた。
答えは3。

判断推理
8.論理☆
待遇を作れば簡単。
「二重跳びができない人は、平泳ぎができない」の待遇は
「平泳ぎができる人は、二重跳びはできる」になる。正解は1。

9.対応表☆
条件がかなり多く、可能性が少ないので簡単。正解は5。

10.区画分け☆
隣り合わないという時点で、区画の真ん中には置けない。正解は2。

11.順位☆
平均点を人数で書ければ、そのテストの点数の合計がわかります。正解は3。

12.手順☆☆
ちょっと頭を使う。
1~7のカードを3枚ずつ二人に配り、二人のもらったカードの数字の合計が等しい場合、配らなかった1枚のカードは絶対に偶数(※奇数を抜いてしまうと、2人に数字を二等分できない)。
6のカードをAに配ったと書かれているので、配らなかった偶数のカードは2か4。
ただし、二人でカードを交換して、カードの数字が1:3になる場合は4を配らない時だけなので、未配布は4、交換は1と7なので、合計は4+1+7=14で答えは4。

13.軌跡☆
円筒A:B:C=3:1:5
円筒C(半径5)上を円筒B(半径1)が回転しながら一周するので5回転する。正解は2。

14.立体図形☆
後ろから順に箱を描いていって、チェッカーフラッグのように白と青を入れていくのが楽。
正解は3。

数的処理
15.確率☆
2個のサイコロを同時に投げて、目の和が6の倍数になる確率なので
和が3(2通り)
和が6(5通り)
和が9(4通り)
和が12(1通り)
なので12/36=1/3
正解は4。

16.比☆☆
なぜか個人的に沼ってしまい、タイムオーバーになってしまったやつ。
Aについた12%の利子、Bの10%の利子、Cの8%の利子の比が3:2:1なので
すべてを等式でつなぐと
0.04A=0.05B=0.08C
これを解くと
A=2×C
B=8/5C

2C+(8/5C)+C=345万円
C=75万円

Cには8%の利子が付いたので75万円×0.08=6万円

利子の合計は
3:2:1=18万:12万:6万=36万円  こたえは4。

17.整数☆☆
①5で割ると3あまる正の整数の具体例は8や13など。
②5で割ると2あまる正の整数の具体例は7や12など。
①と②をそれぞれ11乗した数を足しても、下一桁が5になるので、5で割るとあまりは0。
11乗した数の桁数はえげつないが、下一桁の数がどうなるかだけチェックすればOK。
正解は1。

18.動点☆☆
三角形APQを一つの三角形ではなく、直線EFで上下に切断したふたつの三角形として考えるのがポイント。二つの三角形の底辺に当たる直線は1秒ごとに2cmちびていく。

問題で聞かれているのは、三角形APQの面積が36cm²になるときなので、
(底辺χ×高さ6÷2)×2=36
つまり底辺が6cmになればいいということ。

動点が動く前のもともとの底辺(EF)の長さが21cmなので、底辺を6cmにするためには、15cmちびればいいので15÷2=7.5秒後が答え。正解は4。

21.二次方程式☆
中学校の二次方程式の応用問題みたいなやつ。
長辺a²と短辺aは長方形にそれぞれ2つずつあるので、その長方形を40mのロープで作ると・・・

2a²+2a=40
a²+a-20=0
(a+5)(a-4)=0
a=4,-5
(0<a<40)なので
a=4m

16m×4m=64m² こたえは3。

資料解釈
19.棒グラフ&円グラフ☆
すごい簡単だった。正解は5。

20.表☆☆
平均を計算するのがちょっと面倒くさい。正解は2。

自然科学
22.物理学☆
鉛直投げ上げ運動。重力加速度によって減速するので式の符号を-にするのに注意。
小球が最高点に達したとき、速度は0(静止)なので、速度の式を用いて・・・
初速vo・・・これを求める問題
時間t・・・2.5秒
重力加速度a・・・10

v=vo-at 
0=χ-2.5×10
χ=25

25m/sの4が正解。

23.化学☆
中学校レベルのイオンの問題。
1.ナトリウムイオンは陰イオンではなく陽イオン。
2.イオン結晶と金属結晶が同じ性質なわけはない。
3.イオン結晶は電解質。そして砂糖水は電離しない(電気は流れない)。
4.窒素は二重結合ではなく三重結合。アンモニアは単結合。
5.正しい。塩化水素は共有結合。ちなみに単結合。

24.生物学☆
異化と同化が出た。
呼吸が異化、光合成が同化。
ATPによる代謝が脊椎動物限定とかすごいめちゃくちゃ。
光合成の色素はカロテノイドではなくクロロフィル。
ほかの生き物を食べてエネルギーを得る生き物を従属栄養生物という。
よって答えはAとDを選んでいる2。

25.地学☆
火山。
1.日本はプレートの沈み込み帯にあるので正解。
2.大陸の火山活動はホットスポットに限定されない。
3.シリカが多いとマグマの粘性が上がる。
4.チャートは元生物で、火山によって生み出される岩石ではない。
5.富士山はカルデラ火山ではない。成層火山。

人文科学
26.世界史☆
大航海時代。なんとなく、ここら辺が出る予感はした。
1.正しい。ヴァスコダガマがインド航路で大儲け。
2.コロンブスは世界一周はしてない。
3.マゼランではなくガマの記述。ただし行き先は中国ではなくインド。
4.西洋人で初めてアメリカ大陸に到達したのはコロンブス。バルトロメウ=ディアスはアフリカ大陸南端の喜望峰まで行った。
5.アメリゴ=ヴェスプッチは種子島に漂着していない。アメリカを大陸だと唱えた。

27.東洋史☆☆
中国、インド、イスラムではなく、今年は朝鮮史が出題された。
1.李舜臣は秀吉の朝鮮出兵を防いだ朝鮮水軍の将軍。李成桂が李氏朝鮮を作った。
2.朝鮮通信使は日本が朝鮮に派遣ではなく、朝鮮が日本に派遣。
3.カンファド事件は明治初期の日朝の武力衝突で、その後朝鮮は開国し、不平等条約である日朝修好条規を結ばされた。
4.李承晩は韓国の初代大統領。南北が逆。
5.朴正煕が日本(佐藤栄作)と日韓基本条約を結んだ。

28.日本史☆
日本の外交史
1.関税自主権の回復は明治末期。日露戦争後のこと。
2.台湾が日本の植民地になったのは日清戦争後の下関条約による。
3.国際連盟の常任理事国は、イギリス、フランス、イタリア、日本。新渡戸稲造は国際連盟事務次長。
4.日独伊三国同盟によって満州事変が優位になったことはない。
5.正しい。サンフランシスコ平和条約によって日本から米軍が引き上げてしまうことになるので、期間延長的に同時に安保条約を結んだ。

29.地理☆
自然地理学。世界の河川について。
1.アマゾンのジャングルはセルバ。パンパはアルゼンチンの温帯草原。
2.ガンジス川流域が油田地帯というのは聞いたことがない。作物はさすがに育つ。米が有名。
3.正解。黄砂もこっから飛んでくる。
4.ナイル川は地中海にそそぐ。
5.アメリカ南部のミシシッピ川流域はワニもいるマングローブ。針葉樹林はない。

30.地理☆
人文地理学。通信・交通について。
ハブ空港について記述した3が正しい。
パークアンドライド方式は、バス停や駅がある場所まで自家用車で行き、そこからはできるだけ公共交通機関を使うこと。東南アジアではなくドイツなどで実施。
後の選択肢はめちゃくちゃ。

国語
31.四字熟語☆
満場一致と満身創痍が「満」が同じなので、正解は3。
群雄割拠と勇猛果敢は、どっちも勇ましいけど、「雄」と「勇」なので違う。

32.ことわざ☆
「筆が立つ」は字がきれいという意味ではなく、文章が上手という意味。
なので、正解は5。

英語
英語は本当に苦手なので難易度が判断できません。
33.空欄補充
As soon as は「~するとすぐに」という意味。
Keep out は「立ち入り禁止」という意味。正解は2。

34.和訳正誤問題
Quite は「かなり」という意味。正解は1。
選択肢2は「台所の隣のダイニングルームで、私を笑わせた」になる。

社会科学
35.政治☆
日本の政治
1.政党には国会議員だけではなく党員もいる。
2.保守合同は自由党と日本民主党の合体。で、自由民主党ができた。
3.55年体制が崩壊したことで、自民党が下野した。崩壊後自民党の単独政権が始まったのではない。
4.正しい。
5.ポピュリズムは大衆受けしない政策をすることではなく、大衆に迎合すること。

36.政治☆
内閣。
1.正しい。
2.国務大臣の過半数は国会議員から選ぶ。参議院議員でもいい。
3.閣議は非公開。
4.大日本帝国憲法では内閣総理大臣は「同輩中の首席」とされ、ほかの国務大臣と同等の扱いだった。
5.予算の議決も弾劾裁判所も国会。

37.経済☆
日本経済の動向。
1.所得倍増計画は3年遅れではなく、3年早く実現した。「もはや戦後ではない」は、朝鮮戦争の特需景気を受けて日本経済が復興期から成長期に転換した56年での言葉。
2.石油危機によって固定為替レートになったのではない。
3.バブル景気はサブプライムショックで崩壊したのではない。
4.正しい。ゼロ金利政策は98年から実施。
5.ペイオフは銀行預金が1000万円までしか保証されないということ。これによりタンス預金が増えた。

38.経済☆
1.消費者問題は消費者の権限が強すぎる問題ではない。
2.正しい。
3.地方自治体が指定する事業や民間団体のボランティアが義務付けられるわけではない。
4.中小企業は今なお大企業の下請け。
5.EPAはFTAに加えてモノやサービスだけでなく労働力の移動や知的財産権、投資などにも分野を広げた協定。ただし、集団安全保障の役割はない。

39.社会学☆
情報社会。
1.「アクセスは制限されるべきであり」が不自然。
2.人工知能はIoTではなくAI。後半の記述もめちゃくちゃ。
3.ソーシャルメディアの情報はVRの中でしか形成されないことはない。
4.テレワークは普及していないし、テレワークによって労働時間は増加していない。
5.正しい。デジタルデバイドは簡単に言うと「情弱」と同じような意味。

40.倫理☆
中国の思想(諸子百家)について。
1.孔子ではなく韓非子の説明。
2.正しい。
3.同じく道家で荘子の師匠である老子は小国寡民が理想社会であると説いてはいるが、兼愛の思想は墨家。
4.孝悌の思想は墨家ではなく、孔子などの儒家。
5.王道政治は孟子が提唱。
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