今回は、前回の記事の続きで「小進化」と「大進化」及び「種分化」について、ちょっとまとめます。
大まかに言うと・・・
小進化・・・同一の種の集団(群)で起きる、遺伝子とそれに基づく形態(形質)の多様化。タイムスケールは大進化に比べて相対的に短い。
大進化・・・ライバルの種の絶滅や、環境の変化に基づくような、新たな種の誕生。タイムスケールは小進化に比べてかなり長い。
まあこんな事だと思います。
ここで重要なのが「種」とかなにか?という厳密な定義です。最近では「種」という概念自体なかなか明確に説明をするのは難しいとか言ってて、なんかスッキリしません。
なぜこの態度が問題なのかと言うと、種の境界をとりあえず自信持ってひいてくれないと、種が分かれる進化「種分化」がスッキリ理解できないからです。
この種の問題って、すっごいジェンダー問題と似ていると思います。つまり男女の境界がグラデーションであり、明確に隔離されてなくても“男女が存在しないことにはならない”のと一緒で、種の境界が明確化できずグラデーションであっても種ははっきり存在するのです。
例えば、種A>種AとBの雑種>種Bというような関係になっていて、種AとBが最近分かれたのならば、生殖して子どもを作ることだってできるけど、例えば住む場所が離れちゃって、長い間疎遠になりすぎちゃうと子どもすらできなくなってしまう、これが「種分化」です。
そもそも一部の人がとても正しく言ってくれるように小進化で扱う現在生息中の「種」と、大進化で扱うことの多い、絶滅して化石でしか会えない「種」を混同することに、事態の混乱の原因があるのではないかと。
恐竜ファンとして言わせていただくと、化石動物の種の定義は・・・かなり胡散臭いです。恐竜などが顕著ですが、発見者の人が、新しい属名をつけたいがごとく、他の種類の恐竜にとても似ているのに、種はおろかもう一段階上のカテゴリーの属すら異なる動物と同定し、学名をつけてしまう風潮がないとはいえません。セイスモサウルスやドラコレクスなど、こんな事例は挙げればきりがない。
進化の問題をややこしくした責任は、断片的な化石を堂々と新種として記載してしまう、古生物学者にもあるのではないか?
しかも化石にはほとんど遺伝子の比較が適用できません!(ちょっとはできる)よってその化石動物が新種かどうかは、主に形態によって判断されます。つまり見た目で決めているんです。
だから実際にはティラノサウルス・レックスとダスプレトサウルス・トロスス(この恐竜は属すら“違う”が素人にはほとんど同じに見える。一緒だろと言う古生物学者もいる)が生殖隔離されたほど離れた種ではなく、交雑して「ティラプレトサウルス」が出来る可能性も否定できないと思います(でもこれあくまでも半分冗談として聞いてください。トンデモなんで)。
ちなみに「生殖隔離」とは、異なる二つの種と思われる生物間において子どもが作れないことであり、種の概念における重要なポイントの一つです。
妄想は置いといて再び「種とは何か?」という議論にもどります。結論から言えば、種は人間が光に色と言う名前をつけたように、便宜上恣意的に作った概念で、自然界には明確に存在しません。考えてみれば当たり前だけど。
私たちがそれでも「あの動物はゴリラ・ゴリラだ!」とか「あれはジラッファ・キャメロパラディス(キリンの学名)だ!」とか種の概念を使うのは、それがその動物と他の動物を区別するのに便利だからです。
こんな自論をネットなどで展開する人がいます。「結局小進化では大進化が真実であると証明できない。なぜならば遺伝子の交雑では雑種もしくは品種は出来るものの、生殖隔離された新種は作れないからだ」という類のものですが、違うと思います。
種分化は今だってどっかの熱帯雨林で、若しくは近所の雑木林で起きているかもしれません。それは植物であり、若しくは昆虫です。
今西錦司氏は「住み分け」や「食い分け」という進化における重要な概念の提唱者ですが、野生の昆虫はその住み分けや食い分けによって、もはや交尾して子どもが作れないほど種として離れてしまいます。
つまり一部の生物では「現在でも大進化の一端、種分化が確認できる」のです。
結論:大進化は小進化の繰り返しによって起きている可能性がある(素人だから謙虚)。そして種分化に伴う二つの種を隔てる境界は、小進化の繰り返しによって徐々に明確化していく。
つまり男女のすれ違いと一緒ですね。最初は些細な価値観の相違が、結局破局になっちゃって、ずっと疎遠になったら、ほとんどの場合別々に他の人と結婚しちゃって、もうあの頃の俺たちには戻れない・・・と言うせつないトレンディドラマのアレですよ。
・・・何言ってんだか(自分で言ったんだろ)。
種の概念を整理して小進化と大進化を考える
2010-03-28 15:54:23 (14 years ago)
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