国文学史覚え書き(明治時代以降編)

 この時代になると、いわゆる小説が出てくる。

夏目漱石
言わずもがな、日本の文学界のパイオニア。

『こころ』
国語の授業で強制的に読まされる
日本文学の金字塔。
先生の遺書を読み解くミステリー。

『三四郎』
上京する青年を描いた青春小説。

『吾輩は猫である』
猫視点の斬新な話。

『坊ちゃん』
数学教師の話。

『草枕』
人の世の生きづらさを描く。10代の頃に読んだことあるけど、抽象的な表現に撃沈した。

『明暗』
最後の未完の作品。

芥川龍之介
漱石最晩年の弟子で短編の天才と呼ばれたが、若くして自殺した。
実は学生時代に全集をすべて読破したことがある。

『鼻』
長い鼻にコンプレックスがある僧侶が、鼻を短くしたらそれはそれで馬鹿にされる。

『雲の糸』『羅生門』
どちらも人間の愚かさを描いた名作。

森鴎外
ドイツ留学をして軍医のトップにもなった優秀な医者でもあった。

『舞姫』
ドイツでの恋愛体験を描いたロマンチックな初期の名作。

『高瀬舟』
罪人を護送する同心の話。安楽死の是非を問うた。

太宰治
左翼活動に挫折した後は、薬物中毒や自殺未遂をして最終的には無理心中をした自己破滅型作家(ウィキペディアの表現よ)。

『人間失格』
「恥の多い生涯を送って来ました」の一説が有名。
名家出身の主人公が、愛されたいがあまり他人を偽り破滅していく。

『斜陽』
没落貴族を描いた陰鬱な作品。

『富岳百景』
結婚して幸せな時期に描いたので、明るい作風のエッセイ。師匠の井伏鱒二を訪ねる。

島崎藤村
国語と英語の先生をしながら自費出版で小説を発表しプロになった。
人間や社会の醜い面をありのままに描いた。

『破戒』
被差別部落出身者であることを隠し続けて生きる青年の話。

『夜明け前』
庄屋で国学者だった父親をモデルにした歴史小説の大作。幕末から明治へと様変わりする日本の姿を描く。

谷崎潤一郎
耽美的でフェティシズムな作品が多い。
高校の校長先生は新渡戸稲造。

『刺青』
刺青を入れられて人が悶えるのを見るのが好きな変態刺青師が、ついに理想の女性に刺青を入れる話。

『卍』
バイセクシャルの複雑な三角関係を描く。

田山花袋
ぐんまけん館林出身の作家。
深刻な社会問題も崇高な文学的描写も興味がなかったため、あえて露悪的な私小説を執筆した。

『蒲団』
中年の作家が弟子入りした少女に恋をするが、その少女に恋人がいると知って嫉妬に狂う、情けない作品。

井伏鱒二
釣りが趣味で、『鯉』『山椒魚』などで文壇に認められる。

『山椒魚』
成長しすぎて自分の住処から出られなくなった山椒魚を描いたユーモラスな小説。

『黒い雨』
被爆者への心無い差別について描いた大作。
原爆の後遺症で重労働ができない主人公は鯉の養殖を始める。

川端康成
大阪の医者の家に生まれるが、子どもの頃に家族をすべて失い、天涯孤独となる。
本人も病気がちだが作文は天才的で、帝国大学に進学。芥川龍之介などと親交。
作家になった後は、三島由紀夫に才能を見出し彼を育てた。

『雪国』
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」
「夜の底が白くなった。」など、
難解だが美しい言い回しが多い。

『伊豆の踊子』
孤独な高校生時代に伊豆に行った経験を描いた青春小説。
本編は40ページほどと短い。

『山の音』
自分の死期を悟った主人公が息子の嫁を愛する。
川端の長編小説で最も評価が高い。

『古都』
生き別れとなった双子の姉妹の数奇な運命を描く。
後期の作品で、舞台の京都には実際に足を運んで取材。

梶井基次郎
青春小説のパイオニア的作家だが、31歳で夭折してしまったので、井伏鱒二らには死の直前に評価された。

『櫻の樹の下には』
「死体が埋まっている!」との衝撃的な出だしが有名。

『檸檬』
代表作。異国の果実レモンをボムに見立てて書店の丸善を爆破する妄想をしたという内容。

『冬の蠅』
温泉地で療養中、部屋にいるハエを観察する内容。

横光利一
志賀直哉と共に「小説の神様」と呼ばれた。

『日輪』
卑弥呼を主人公にした中編小説。

『蠅』
映画の脚本のような鮮烈なデビュー作。

『上海』
芥川龍之介の勧めで行った上海旅行を題材にした最初の長編。

『機械』
資本主義を退廃的に表現し、日本のモダニズム文学の最高峰と言われる。

堀辰雄
軽井沢に縁が深い文学者。
自身も病気がちで結核で亡くなっている。

『聖家族』
父のように慕っていた芥川龍之介の自殺を受けて執筆。

『風立ちぬ』
婚約者の死の経験をもとに執筆。
病弱な女性との出会いと別れを描く。

『菜穂子』
主人公がサナトリウムで人生を回想する。

三島由紀夫
豪華絢爛なレトリックと、古典劇をベースにした作風が特徴。
晩年は右翼的な運動に身を投じ、自衛隊にクーデターを呼びかけて割腹自殺した。

『金閣寺』
吃音と醜い外見でいじめられていた少年が、美しい金閣寺を放火する話。
1950年に実際に起きた事件を元にしており、戦後文学の最高傑作とされている。

『仮面の告白』
同性愛に悩む自分を告白する、時代を先取りした話題作。

他、『憂国』や『鹿鳴館』など。

安部公房
三島由紀夫と共に戦後派の代表的作家。カフカ的な不条理な作品が多い。
後半は劇作へ傾倒した。

『砂の女』
砂丘に埋もれそうな集落に閉じ込められた主人公が脱出を図る。
不条理で独特な世界観が魅力。

『壁―S・カルマ氏の犯罪』
短編集。名前をなくした主人公が世の中からありとあらゆる罪をなすりつけられてしまう。

遠藤周作
キリスト教を主題にした作品が多い。
ひょうきんな人で、世代によってはネスカフェゴールドブレンドの人。

『沈黙』
鎖国体制下での日本におけるキリスト教布教を題材にした作品。
海外からも高い評価を受け、数年前にハリウッドで映画化された。

『海と毒薬』
太平洋戦争中に捕虜になったアメリカ軍の兵士が人体実験される話。
信仰なき日本人は同調圧力に倫理が負けてしまうことを問題提起した。

大江健三郎
存命人物。
当時最年少で芥川賞を受賞し、その後ノーベル文学賞も受賞した生きる伝説。
海外の作家とも積極的に交流した。

代表作は
『飼育』:芥川賞受賞作品
『万延元年のフットボール』
『洪水はわが魂に及び』
『同時代ゲーム』など。
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