『青春アタック』脚本㊸以心伝心

春の高校バレーバトルロイヤル大会決勝戦
横浜の赤レンガ倉庫はマスコミ関係者と観客でごった返している。
実況「春の高校バレーもついに決勝戦となりました!
スケートリンクを改造して作られた、ここ、赤レンガ倉庫の特設ビーチバレーコートは、未だかつてかつてない熱気に包まれております!
優勝賞金6億円を手にするのは、絶対王者聖ペンシルヴァニア女子大学附属高校か!?
それとも、初出場の白亜高校か・・・!!?
ああっ今リムジンで鮎原姉妹が会場に到着です!!」

リムジンからコートまで赤絨毯が敷かれる。
カメラのフラッシュがたかれる。
リムジンから降りてくる、ジャージ姿の鮎原姉妹。
記者たち「相手はバレーボールの素人らしいですが、意気込みはどうですか・・・!?
バレーボールを馬鹿にされていると思いますか!?」
「来年はプロ入りするとの話ですが、日本代表入りはしないのでしょうか・・!??」
呆れる咲「どっから、そんな話が出たのよ・・・」
笑顔で手を振る幹「咲ちゃん、笑顔笑顔・・・」
記者「この試合ではストレート勝ちだと思いますが、賞金6億円は何に使いますか?」
咲「相手は曲りなりも、決勝にまで勝ち上がってきたんです・・・
私はどんな相手でも敬意を持って試合をします。」
記者「しかし、白亜高校が相手に勝利したのは2回戦のみで、あとは相手チームの棄権です!
卑怯な裏工作で勝ち上がってきただけだという意見もありますが・・・!」
咲「あの・・・いったい私はどう答えるのが正解なんですか・・・?」
マイクを奪う幹「ええとですね・・・!賞金の6億円は全額寄付します!!」
記者の喝采が起きる。
幹「もういい・・・今のうちにとっととコートに行こう!」

狩野の4WDで赤レンガ倉庫に到着する白亜高校。
助手席から海野が降りてくるが、記者は誰も振り向かない。
運転席から降りる狩野「人気がなくてよかったわ・・・人ごみは嫌いだから・・・」
海野「はは・・・レイちゃんはいつも屋上にいたもんね・・・」
若い女記者が二人に近づく。
「ちょっといいかしら?
この試合ではストレート勝ちだと思いますが、賞金の12億円は何に使いますか?」
海野「・・・つよめさん・・・!」
つよめ「こんにちは。絶対勝ってよね。白亜高校に密着取材しているのは、私の雑誌だけなんだから。」
海野「もう輪転機を回してください・・・絶対に勝ちます。」
つよめ「あなた・・・さくらに似てきたわね・・・そうこなくっちゃ!」



ほかの部員はバスで現地に向かっている。
麦わら帽子をかぶって、バスの外を眺めるちおり
「日清カップ麺博物館だって・・・!花原さん!あたし、赤レンガよりもあそこ行きたい!!」
花原「狂ってるのかお前は・・・」
華白崎「今日の優勝賞金12億円で日清カップヌードルは600万食食べられますよ・・・」
一日に3食食べたとして・・・5479年・・・」
乙奈「カップヌードルだけで生涯を閉じられますわ・・・」
ちおり「すげ~!」
ブーちゃんがつぶやく。
小早川「シーフードヌードルのクオリティは侮れないそうですよ。」
山村「あれ美味いよな。」
花原「だから、海野さんと狩野さんを全力で応援するのよ・・・」
ちおり「おっけー!」

さくら「そろそろ到着よ・・・みんな準備して頂戴な。」
華白崎「・・・監督、一体何をしているんですか・・・?」
さくら「車椅子を組み立ててんのよ。」
華白崎「私はもう松葉杖で移動できますよ・・・」
さくら「ちがう、私が使うの。」
ちおり「さくら先生どっか悪いの・・・?」
さくら「今朝、ぎっくり腰をやっちゃってね・・・」
華白崎「さっき会長と鬼ごっこしてませんでしたっけ・・・」
さくら「なんのことかしら。はい、めぐなちゃん、これ着て。」
花原に白衣を渡すさくら。
花原「私の白衣だ・・・」
さくら「歌姫、顔色悪く見えるようにメイクしてくれや。」
メイク道具を開ける乙奈「あらあら・・今度はどんな悪巧みなのかしら・・・」
呆れる花原「よくやるわ・・・」



ビーチバレーのコート
上着を脱いでコートに入る鮎原姉妹と、海野・狩野ペア。
鮎原姉妹は遮光グラスを頭に、海野たちはサンバイザーをつけている。
セクシーなビキニ姿の鮎原姉妹にカメラのシャッターがきられる。
幹「いや~ん、エッチ~」
咲「・・・あほくさ。」
幹「商売、商売・・・」

一方の海野たちは高校のスクール水着を着ている。
海野「水着を買うお金がなかった・・・」
狩野「あんなグラビアアイドルみたいなのに負けちゃダメよ、海野さん・・・」

取材陣と観客に愛想をふりまきながらも、相手を冷静に分析する幹。
幹「・・・ミホミホが出てくるのは当然だとして・・・もうひとりのあの子は誰・・・?
芝さんの見立てでは、野生のクマを吹っ飛ばした花原さんっていうアタッカーだったはず・・・
花原さんってスラブ系だったの?咲ちゃん船で会ったんだよね?」
咲「いや・・・あの人じゃなかったような・・・というか・・・あの人もどっかで・・・」
幹「しかしでかいなあ・・・180センチは超えてるわね・・・
咲ちゃんの身長はいくつ?」
咲「ねえちゃんと同じだって・・・」
幹「じゃあ170か・・・さあて面白くなってきた。」

コートサイドで敵を見つめる芝。
芝「さくらめ・・・あの子は狩野さんの娘じゃない・・・
このためだけに高体連から連れてきたっていうの・・・?」

すると、赤レンガ倉庫の上空に、輸送ヘリが飛んでくる。
風圧でバタバタと揺れる、屋台やパラソル。
輸送ヘリからひとりのジャッジマンが投下される。
ジャッジマン「は~はっは~!!」
笑いながらスカイダイビングをすると、手際よくパラシュートを開いて、砂浜に綺麗に着地する。
騒然とする観客。
咲「な・・・なんだ、あの陽気なおっさんは・・・」
ちょび髭の中年のジャッジマン「春の高校バレーバトルロイヤル大会決勝戦・・・
この勝負・・・我がスクールファイターがあずかろう!!」
実況「おおっ!全国の高校生のバトルを公平にジャッジするスクールファイターの登場だ~!
スクールファイターが主審の審判台にあがります!!」
キリッとするスクールファイター「白亜高校の監督はまだかね?」
海野「は・・・はい・・・もうすぐ到着するかと・・・」

すると、マッスル山村に車椅子を押されて、病身のさくらが現れる。
山村「砂場で車椅子を押すのはいいトレーニングになるな・・・」
さくら「いよう・・・待たせたわね・・・ごほごほ・・・」
看護婦姿の乙奈「監督・・・落ち着いて呼吸を・・・!」
乙奈から酸素の吸引を受けるさくら「はあはあ・・・すまねえ・・・」
呆れる芝「いったい、何のマネなの・・・?」
白衣の花原「さくら先生は持病が悪化し、立つこともままならないので、急遽我々が監督代理をすることになりました・・・」
ちおり「にゃ~よろしくね!」
スクールファイター「白亜高校監督・・・大丈夫かね・・・?帰ったほうがいいのでは?」
さくら「・・・はあはあ・・・生徒の一生の晴れ舞台・・・
果たしてここで帰れるだろうか、いや、むり。」
芝「・・・こんな茶番聞いたことがないわ・・・」
花原「でも、学生でも監督はやれるんでしょう?九頭りりあが実際にやってたし・・・」
芝「そうだけど、めぐなちゃん・・・あなたに本当に指揮が取れるの・・・?」
花原「めぐなちゃんって・・・あなた随分馴れ馴れしいなあ・・・」
芝「ごめんなさい・・・」
さくら「ぜえぜえ・・・みんなありがとう・・・白亜高校は生徒みんなが監督よ・・・
みんなで優勝しようね・・・」
嘘泣きをする花原「せ・・・先生・・・!うううう・・・」
芝「さくら・・・あんた生徒に一体どんな教育を・・・
教え子を詐欺師にするつもり??」
さくら「国語・数学よりもずっと将来役に立つと思うけど。」

すると、白亜高校側の監督席に白亜高校の学生たちが集まってくる。
大此木「おい、白亜高校の生徒全員がこのチームの監督といったよな・・・?
ならば、バレーボール国体出場経験のある、この俺様を使わない手はねえだろ・・・」
海野「大此木くん・・・!来てくれたのね、嬉しい・・・!!」
各運動部の主将も集まってくる。
野球部「運動競技だったら俺たちにも力になれることがあるぞ・・・」
サッカー部「とりあえずボールは蹴っとけば、どうということはない!」
山村「いや・・・違うだろ・・・」
ビキニパンツの水泳部「ビーチならこの私のオンステージだぜ!景気づけにとりあえず泳いでくるわ!」
山村「お、おう・・・サメに気をつけてな・・・」

砂場にワゴンから機材を下ろす4組学生
「野外でのスポーツでは様々な気象条件が試合に影響を与えます。
この移動型ウェザーステーションで神風を完全に予測しますよ・・・」
花原「あんたたち・・・」

3組のアイドル「乙奈先生・・・私たちは歌って踊ることしかできないけど・・・一生懸命応援します!」
乙奈「みなさん・・・」
すると、顔の一部にやけど痕がある美少女が現れる。
「師匠・・・私を覚えていますか・・・?」
涙目になる乙奈「・・・ええ・・・そらちゃんでしょう・・・?」
そらちゃん「年末のニュースでこちらにいるのは知ってました・・・師匠にはこんなにも素晴らしい生徒さんがいるのですね・・・私も応援させてください・・・!」
乙奈「ありがとう・・・」

1組の生徒会役員「優勝賞金12億円を獲得した際、もっとも税金が安くなるような手続きを計算しました!所得税法第9条より、賞金額が50万以上になると課税対象になりますので、12億円を一度全校生徒に分割支給してもらうようにすれば、事実上の非課税となります・・・!」
華白崎「ごくろうさま・・・となるとOB、OGにも連絡をしたほうがいいわね・・・」

桃源楼夫妻「智子~!白亜高校の皆さんに昼飯を作ってきたぞ!!」
老師「わしからは、監督に勝利の美酒をもってきたぞい・・・ロマネ・コンティ64年ものじゃ・・・!」
頷くブーちゃん。

すると、砂浜に移動式動物園のバスがやって来る。
アナウンスする有葉「よい子のみんな!この横浜赤レンガ倉庫に愉快な動物たちがやってきたよ~」
すると、バスの扉を足で蹴飛ばして荒々しく飛び出してくるアライ「オラーー!!」
オジカ「アライよ・・・小さい子が泣くからやめろ・・・」
アライ「奥日光から横浜まで軟禁状態だぞ!オレはもう暴れたくてウズウズだぜ!!
てめえら、全員噛み付いてやらあ!」
アライを取り押さえるクマガイとイノセ「冗談です・・・冗談・・・!」
海野「理央ちゃん・・・!」
有葉「来ちゃった。みなさんの最後の試合を見せてあげたくて。みんなのウンチはしっかりと片付けて帰りますから。」
運転手の万石先生「今度はヒトの解説でもしようかな。
どんな動物よりも残忍で業があり・・・どんな動物よりも慈しみ深い霊長類の解説を・・・」

スバル「オフロードのスポーツならやっぱりうちだろう?」
パラソルを差すりかぜ「そうですね・・・ボス。我々が味方に付けば白亜高校は優勝です。」
葛城ユリ「海野さん・・・私たちがついてる。全国制覇をするのよ・・・あなただけじゃない・・・みんなの夢なのだから・・・」
鶴橋美羽「みなさんは、私に生きる勇気をくれた・・・がんばってください・・・!」
スバル「海野先輩、最高の全員野球をしようぜ!」
涙を拭う海野「みんな・・・ありがとう・・・」

咲「おいおい・・・どんどん向こうの監督が増えているんだけど・・・」
幹「仲のいい学校だこと・・・羨ましいわ・・・」
咲「芝さん、どうしよう・・・」
幹「もうマスコミはあたしたちのビキニに興味がないみたいよ。」
芝「船頭多くして、船山に登るですよ・・・」

さくらの車椅子の横に来る病田「作戦成功ですね・・・」
さくら「ここまで集まるとは思っていなかったけどね・・・」
羽毛田校長「すいません、私の権限で休校にしちゃったんです・・・」
京冨野「明日の卒業式の準備は済ませたからな・・・」
さくら「校長先生・・・京ちゃん・・・」
京冨野「さくらの姉ちゃんが養護教諭としてうちに赴任したとき・・・正直不安だったぜ・・・
くわえタバコで生徒の怪我の手当をしていたからな・・・」
微笑むさくら「極道に言われたかないわよ・・・」
京冨野「でも・・・あんたほど生徒に慕われる教師はいなかった・・・」
羽毛田「ええ・・・みんな先生のことが大好きなんですよ。」
さくら「やめてよ・・・」

スクールファイター「それでは、春の高校バレーバトルロイヤル大会決勝戦をはじめる!!
スクールファイト・・・レディ~~~~~GO!!!」
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