私が『アリス・イン・ワンダーランド』の脚本を書くなら・・・

 映画『アリス・イン・ワンダーランド』関連記事、第3弾。今回は「アリス」とハリウッド映画の相性について。
 なにせ片や英国、片やアメリカですからね。相性が悪いのは仕方がないこと?イギリスの「タイムズ」とか読んでいる保守層はアメリカが嫌いとか・・・・苦笑
 そもそもハリウッドは、どんな人でも見てくれるようにあまり頭を使わずに楽しめる(失礼な話ですが、ここは結構重要なポイントだと思う)大作娯楽映画を「収益目標、製作費の2倍!」と綿密な計画に基づいて制作していきます。
 ただ『不思議の国のアリス』の面白さは、大衆向けアメリカ映画のような頭を使わず感覚に訴えてくる性質のようなものでなく、かなり知的。さすがブリティッシュジョークって感じのものです。
 アメリカ映画が「派手」だとすればイギリス文学はちょっと「地味」で、そう考えるとディズニーのアニメ映画はかなりうまくやったと思います。

 イギリス文学の地味なイメージを「こんなんじゃ娯楽作品にならないよ」と、すべて取り払いアメリカ的に仕上げヒットした『指輪物語』の例もありますから(これもうるさ型原作ファンは怒っただろうな・・・)、『不思議の国のアリス』だっていっそ原作をもっと無視して全く新しい話にしちゃえばよかったのに、そこがちょっとイギリスに配慮したのか、中途半端だったからつまらなかったんだと思います。
 私の尊敬する「優しい巨人」マイクル・クライトンは『ロストワールド』の映画化の際にこう言いました。「ぼくの原作小説をふまえなくてもいい。私は好きに描くから、きみ(スピルバーグ)は好きに撮ってくれ。表現媒体が違うのだから、それぞれにあった手法があるのは当たり前で、原作者が原作と違うところを詮索するのは失礼なことだ。」
 ほえ~!かっこいいいいいいい!私の大好きな言葉です。

 つまり原作をふまえているかどうかではなく、面白いかどうかをクリエイタ―ならば最優先にすべきだということでしょう。確かに小説に、そして映画に合った表現と言うのはあります(漫画はけっこう映画よりかな?)。
 正直言って『不思議の国のアリス』の原作の面白さのキモは映像化しづらいものだと思います。
 それは当時のイギリスの事情や文化、作者のルイス・キャロル、アリス・リデルのバックボーンを知らないと楽しめない、つまり「内輪ネタ」作品であり、そもそも川遊びの際にキャロルがアリスにせがまれて苦し紛れに話した即興の物語(『不思議の国のアリス』のパイロット版『地下の国のアリス』はここで生まれました)なのだから無理もない。

 では、ぶつくさ文句言っている私が万が一『アリス・イン・ワンダーランド』の脚本家だったらどうしたでしょうか。
 とりあえず原作の面白さは泣く泣く捨てます。原作ファンですが、だってイギリス人以外には面白さ伝わらないですから・・・(BGMは勿論「桃太郎電鉄」の名曲「さよならウニ丼屋」)
 で、「アリスはやっぱり少女のままが良かった」という人もいますが、私は少女のままだとやっぱり厳しいと思うのです。原作の焼き直しになっちゃうし。ここは原作脱却の意味も含めて「アリス19歳」の設定は採用したいと思います。
 ただアリスの性格は確実に変えます!『アリス・イン・ワンダーランド』のアリスは皆さん指摘していますが、いつも顔色が悪い陰気な女で、ワンダーランドに行っても全然楽しそうじゃないんです。
 原作のアリスはやたら順応性高かったですからね。あんないかれた世界行っても、動じね~wって。
 そこで私があの映画を作るとしたら、19歳になっても未だに「動物さんたちがお話してくるの♪」と妄想癖が治っていない・・・悪く言えば危ない女性にしたいですw。
 つまり映画『魔法にかけられて』でアニメの世界から現実にやってきたプリンセスのような感じですね。もちテンション高いはっちゃけたコメディ映画にしますよ。私なら。

 で、結婚のくだりも相手からのプロポーズをはなから嫌がるのではなく、設定を変更し「いい加減いい歳だから恋愛もしたいし、かなり美人なんだけど、性格が結構アレなので何度もお見合いに失敗(相手に逃げられている!)している三姉妹の売れ残り」といった感じにします。
 で、物語で出会う男性は最初失笑だったけど、そんなアリスを初めて受け入れてくれそうな優しくハンサムでセクシーな男性で・・・まあ、そんな感じ。だから私版『アリス・イン・ワンダーランド』はアリスは結ばれます!

 話の展開はこんな感じです。
①幼少期のシーン
②19歳のアリスが数々のお見合いを失敗し「101回目のプロポーズ」状態と化しているシーン
③101回目のお見合い(まじかい)で運命の王子様と出会うシーン
④自分を受け入れてくれそうな王子様に自分の話が妄想じゃないと立証するため、庭で走るウサギをつかまえようと追いかけて“案の定”穴に落ちる。
⑤ワンダーランドの住人に恋愛や将来について相談するアリス。
⑥でもみんないかれているからろくに相談相手にならない。ここらへんでラブコメ的ギャグの応酬!館内爆笑。
⑦ワンダーランドの住人をアリス以外の人にも見せれるたった1つの「方法」があることをキャタピラーかなんかに教えてもらうアリス。
⑧この「方法」は、白の女王に秘薬を作ってもらうとか、赤の女王を懲らしめるとか、ジャバちゃんを倒すとか・・・なんでもいいと思うのですが、ここは『鏡の国のアリス』をふまえてアリスがクイーンに「プロモーション(チェスの歩である「ポーン」は8列目まで無事に到達すると好きなコマになれること。大体みんな最強の「クイーン」になる)」でいきましょう!
⑨見事大冒険の末ワンダーランドのクイーンとなったアリスは、ワンダーランドに王子様を招待し子どものように楽しく遊ぶ
⑩ワンダーランドの住人にお礼と再会を約束して二人で夢から覚める
⑪アリスは愛する旦那様と結ばれ、その想像力を駆使して童話作家になったそうな。めでたし×2。

 ここでぜひ入れたいのが、現実の愛する男性(これはアリスが大人になるという象徴)と、いかれつつも楽しい不思議の国(これは大人になりきれない子どものアリスの象徴)との間の葛藤です!
 しかし私としては、どちらかを選ぶのではなく、ワンダーランドを大切な思い出として残したまま成長して欲しいんです。アリスは「どちらも選ぶぞ」という。
 大体成長って、子どもを捨てて大人になるとかそういうことじゃないですしね。

 私もアリスに負けず劣らずの妄想ぶりですが、脚本考える人なんて多かれ少なかれこんな感じです。多分。しかしこの脚本も賛否両論あるだろうな・・・やっぱ「アリス」の映画化は難しい!
 あ、ちなみに監督はティム・バートン監督よりも『ナイトミュージアム』シリーズのショーン・レヴィ監督の方がこの話には合うかも。
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