作家のブレイクスルー

 神奈川県に行って陶芸家の先生に陶芸を教わって(?)きたんですけど、その先生の著書(伊藤麻沙人著『陶芸家』実業之日本社)で興味深い内容があったのでちょっと引用します。

 自分が芸大を目指していた時「他の仲間たちはなんでこんなにデッサンに時間をかけるんだろう。自分はこの程度のモチーフなら、すぐに描けるし、この人たちよりもずっと形が取れているじゃないか」と思っていたのが、しばらく絵を描き続けていくうちに「今まで一眼レフでモチーフを見ていたのが、両眼になったかのように、自分の絵が周りの仲間が描いた絵よりも劣って見えるようになった」…と言うのです。

 これって一種の絵(や対象)に対する見方の“革命”がこの先生に起こったと思うんですけど、こんなことってあるんですね。
 先生自身もその著書で「言葉でうまくは言えないのですが…」と断っている個所なので、なかなか実感は出来ないんですけど、想像力をたくましくするに、おそらく「表面的な形だけをなぞっているだけで、絵に深みや趣がなかったとか、作家の人間模様(←私が推察するにこれが有力候補)が作品に表出しなかったことに気付いた」ってことなのでしょうか?
 著名な達人は皆、そういった境地に達しているんですかね(…こんなことなら本人に聞けばよかった)。

 自分の絵は芸術的にはつまらないし、しょうもない絵だと思うんですけど(骨格などのモルフォロジー重視)、自分自身が納得のいく仕事は、やはりなかなか簡単にはできないのだと思いました。他の人は「別にこんな細かいところ誰も気づかないからいいじゃん」とか言うんですけどね…
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