ハリーハウゼン→ティペット→ミューレン

 映画『タイタンの戦い』が3D映画でリメイクされているそうです。「ショウビズカウントダウン」ではナレーションの人に「ヒットはしているものの、本国の批評家に“映像だけはすごいが話はかなり大味”と酷評されています」と紹介されていたので、ちょっと期待はできない?
 しかし最近ギリシャ神話系の話、多いような気がします。進化論音痴のアメリカでこのように文化面から神の存在証明をされてしまうと、まったく科学も打つ手ないぜ~って感じですが、別にそこまで深い意図はないんだろうな。
 ただ今アメリカっていろいろ変革の時期であるような気もするから、超自然的存在に憧れを持ってしまうのだろうか・・・日本も宗教が流行る時って大体社会が混乱してますからね。平安時代にしろ、鎌倉時代にしろ。

 で、昔の『タイタンの戦い』って私小さい頃、怪物の動きのあまりの気持ち悪さにトラウマになった映画なんですが、あの怪物のアニメーションを手掛けたのが、『恐竜データブック』でもその名を輝かせている恐竜映画の大御所レイ・ハリーハウゼンです。
 あの技術はNHK教育テレビの「ニャッキ!」などで用いられている「ストップモーションアニメ」なのですが、これは静止した粘土のキャラクターを少しずつ動かしながら、アニメのようにコマ撮り撮影していく、とんでもなく大変なアニメの手法です(「ニャッキ!」は神業!ただ小学生の頃やってた初期の話の方がブラックで好きだったw)。

 あれから2,30年で、映像はずいぶん進歩したな~って感じですが、なぜハリーハウゼン氏のアニメーションが気持ち悪かったかと言うと、あんな動き実際は存在しないからなんだと思います。
 大学の先輩に頂いた『RIVEN』というゲーム(有名ゲーム『MYST』の続編)があるのですが、このゲームの世界に浸った時も『タイタンの戦い』のトラウマが戻ってきて、とても怖くなりました(ただこのシリーズ結構好きです。『EXILE』のメインテーマとか最高!)。
 つまり『タイタンの戦い』のストップモーションも『RIVEN』も「動きにブレがないんです」!これが気持ち悪い。

 その後フィル・ティペットという大先生が「ゴーモーションアニメ」という技法を確立してくれるのですが、これはあの伝説的映画『ジュラシックパーク』に採用されるはずだった技法で、コンピュータ制御されたラジコンのようなミニチュアをカメラで連続撮影するわけです。
 このティペットが手掛けた「ゴーモーション版ジュラシックパーク」は、最終的にデニス・ミューレンらのCG技術が採用されたためお蔵入りとなりましたが、DVDの特典映像として見ることができます。
 これは、今のCG映像と比べれば見劣りするのは仕方ありませんが、それでも動きの付け方が秀逸で、『ジュラシックパーク』の恐竜の映像にゴーモーションが不採用となり「これで私も恐竜と一緒で絶滅だ」と落胆していたティペットは、結局ゴーモーションで培ったミニチュア模型に動きをつける技術を活かし、CG恐竜の演技を監修してくれました。

 この人の動きの技術がいかに凄かったかは、ティペットがスタッフから降りた続編『ロストワールド ジュラシックパーク』の恐竜の動きが、ちょっと前作と比べるとインパクトがないな、と感じることからも解ります(少なくとも私はそう感じました)。
 そして『ジュラシックパーク』シリーズから決別したティペットは『スターシップ・トゥルーパーズ』でアラクニドバグズを大暴れさせます!

 ・・・で何が言いたいかと言うと、いくら技術が進んでもその裏には職人魂があるというわけで・・・とにかく今回の『タイタンの戦い』には動きの「ブレ」はもちろんあるだろうし、30年で動きの不気味さはかなり無くなったなあ・・・という気持ちです。
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