クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 親は子どもに生き抜けって言うもんだろうがああああ!
 
 『クレヨンしんちゃん』と言う漫画は、私は「ミスタービーン」タイプだと思っていて、つまり主人公が変人なので、あえて主人公への感情移入を封じる構造になっているのです。
 だから変人でトリックスターのしんちゃんを物語の主役としてちゃんと動かせば動かすほど、しんちゃんの魅力がなくなってくるジレンマに、尺の長い映画版の作り手は苦しんでしまうのだと思います(しんちゃんがまともに見えちゃうから)。
 これを巧くやったのが『ヘンダーランドの大冒険』で、逆にそれをはなから放棄し、父ひろしを動かして成功したのが『モーレツ!オトナ帝国の逆襲』です。
 そして今回の新作映画は嬉しいことに前者。それも亡くなられた臼井儀人先生すら手を出さなかった(小学生になった話はありますが)大人になったしんちゃんを描いたのだから、なんという冒険・・・!
 長いしんちゃんの歴史で封印されてきた(?)「未来のしんちゃん」を想像するのはかなり怖いものがあってw、これほど有名で愛されているキャラクターの(妄想やイメージでは決してない)大人になった姿をどう違和感なく観客に公開するかは、アポリアもいいとこ。
 そのパンドラの箱に果敢に挑戦されて、見事違和感のないかっこいい大人のしんちゃんを描き、原作者の臼井先生に捧げたのはちょっと感動的・・・
 
 しかししんちゃんってこれまでに一体いくつの巨大ロボットを撃破しているんだ??

 今回の話に関しては重大なネタバレがありそうなので、観ていない人は読まない方が・・・私はテレビCMすら観ずに、一切の情報なしで見たんですけどこれが幸運でした。どんな話か全く知らなかったので、とても楽しめました。しんちゃん映画の最高傑作かもしれません。

 ある日しんちゃんたちは自分たちの未来について公園で思いをふくらませます。マサオくんは売れっ子漫画家、ネネちゃんはセレブ女優、風間くんは企業の社長、ボーちゃんは発明家・・・しかししんちゃんは自分が大人になることなど全く考えておらず「おらの夢は子供でい続けることだぞ!」とホリケンワールド全開です。
 その時公園に「未来のしんちゃんの花嫁だ」というタミコさんという女性がやってきて、しんちゃんを強引に未来に連れて行ってしまいます。そのタイムワープに案の定巻き込まれる春日部防衛隊一同・・・
 未来の埼玉県はエラいことになっていました。

 地球に巨大隕石が衝突し東京都は壊滅、核の冬で日光は遮断され闇の世界に・・・埼玉県は水没した東京に変わって新たな首都になっています。
 しかし未来の埼玉県は、闇の世界において「光」を牛耳る、人気特撮番組「アクション仮面」のメインスポンサー「金有電機」によって支配され、電気の光あふれる未来都市に暮らせるのはたった一部の富裕層のみ。経済はお菓子の「チョコビ」が1800円と言うハイパーインフレ状態で、一般庶民はまるで貧民街、スラムと化した住宅地へ隔離されています。
 徹底した超格差社会に明るい希望を取り戻そうと画策したのが、未来のしんちゃん。しかしタミコの父であり、金有電機の総裁「金有増蔵」がこれを阻止。未来の「しんのすけさん」を拉致してしまいます。

 さらに衝撃的なのがメインキャラクターの将来。トップバッターがマサオくん。恐ろしいことに漫画雑誌に連載している漫画に「クズ漫画が、どこが面白いんだ。編集部は俺の才能を分かってない」とぶーたれるコンビニ店員と化していました。まるで自分の10年後を見ているようです!!
 ネネちゃんも負けてはいません。未来の彼女は徹底的にやさぐれたオンボロ幼稚園の保母さんで、居酒屋で合コン時にも、「歩くワイドショーのおばさん」が履くようなレッグウォーマーを愛用する彼女は、もはや結婚どころか女を捨ててます。「いいこと?リアルおままごとよりも現実はシビアよ」は名言だと思います。 
 そして風間くんは金有電機のエリート幹部社員。増蔵は「家電会社なんてつまらないじゃん?」と自分に吐き捨てた下品でマイペースなしんのすけよりも、風間くんと自分の娘を結婚させようと画策します。
 ラストがボーちゃんなんですが、彼だけはなんと子ども頃の夢を叶えています。野原しんのすけが放出する、どんな物理法則にも従わない未知のエネルギー「OBAKAパワー」を学会で発表したり、巨大ロボを建造する工学者になっていました。

 家族の未来はもっと衝撃的。ひろしとみさえは・・・これは劇場でぜひ確かめてください。度肝を抜かれます。
 あと公務員になると家を飛び出して行方知れずのしんちゃんの妹「ひまわり」はインターポールの秘密捜査官に、イヌのシロはギズモ・グレムリンばりに劇的に増えていました。
 あ、あとアニメ版でおなじみ、テレビリポーターの団羅座也(=ダン・ラザー)さんも健在。ただひろしとみさえの素振りだと、マサオくんたちの家族は天変地異から逃れられなかったようです。

 ベースのストーリーラインは比較的単純で追いやすく『サマ―ウォーズ』のように設定や状況を整理する必要はないです。「くだらねえ~」とへらへら笑って、やっぱりひろしにはちょっと泣かされて(悔しい!)、一直線でハッピーエンド。ED曲のmihimaru GTの「オメデトウ」は作風にとても合ってて、クレヨンしんちゃんの「ベストヒットシングルヒストリー」を所有する私としては、殿堂入りレベル。最後までいい映画でした。

 臼井儀人先生はサラリーマン経験のある遅咲きの漫画家で、今なお私に勇気を与えてくれています。心からご冥福をお祈りします。
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