戦争という現象

 いや~ワールドカップみんなすごい熱狂している。私は映画を観に行っちゃってオランダ戦は見なかったんだけど(というか一戦も見てない、非国民)、ワールドカップによって対戦相手の国の歴史や文化をテレビが取り上げてくれるの(だけ)は勉強になる。オランダってトルコの労働者の人やモロッコの人を受け入れた多民族国家だったんですね(ただ最近極右政党が議席をちょっと増やしたらしい)。

 あのサッカーの熱狂ぶりを見るに、人間って言うのはたまにいかれてしまいたい時があるのかもしれない。ああやってにわかナショナリズムになって全体主義に酔いたい。我が国を応援することで自分の思いをダイレクトに共有したい。
 そしてかつての近代戦争もいわばワールドカップのようなお祭りだったんだなあ、と私は思う。なにしろオランダはFIFAランキング四位かなんかの強豪で、それと日本は昨日善戦したわけで(負けちゃったけど)、第二次世界大戦では強豪国(おそらく軍事ランキング一位)アメリカに真珠湾で奇襲して成功しているわけで、その喜びと言ったらワールドカップの比じゃないですよ。「うおおおおお!神州日本が、あのアメリカに一太刀くらわしたぞ!」これって絶対楽しかったと思う。

 人って言うのはいくら偽善的に「喧嘩はよくない」「殺し合いはダメ」と言ってもそのような葛藤にカタルシスを見出す性質が確実にある。
 だから映画でも漫画でもはなっから平和な世界観の作品ってあまりない(いや最近癒し系萌え漫画とかあるけど・・・)。つまりなにか問題やトラブルが起きてくれないと、それを主人公が解決するから楽しいわけで、フィクションのお話として落ちないと思うんです。

 これはフィクションの中だけの話じゃなくて、マスコミが取り上げる事件のニュースも同じ。マスコミは凄惨な事件も事実を少なからず編集して「物語化」してしまう。
 遺族の人が「勘弁してくれ!」と思っていても、マスコミの人たちも面白主義で半分飯食っているようなところがあるから、いちいち取り合ってられない。
 『ファインディング・ニモ』に出てくるナイジェルというペリカンは、海出身者の魚に「海にいたならいつか襲ったこともあるかもしれないな。悪いなこれも生きていく為だ」と軽く言うのですが、確かにそのとおり。
 彼らは彼らで生活がかかっているわけで、人間的感情が商売に負けてしまうことは結構あると思う。
 結果的に事件を物語化して当事者を苦しませてしまう報道記者も、遺族の人や親族に「てめえには人間の心ってのがねえのか!」って怒られてもデスクが命令したなら取材しなきゃならないし(マスコミは超ヒエラルキーの軍事社会)、食っていくのに必死。
 本当に大変な仕事で、逆に人間的感情が欠落してないとやっていけない仕事かもしれない。

 「人間はどんなに恐ろしいことにも物語を見つける」とは、映画『ワールド・トレードセンター』のラストシーンの引用ですが、それは戦争でも同じ。戦争は一部の上層部が決定するだけでは絶対起こらない。国民の大多数の賛同がなくては戦争はできない。実際に戦うのは彼らだから。
 そして当時どの先進国も帝国主義に基づく植民地政策がブームで国とり合戦をしていた。日本もそのブームに乗り遅れるな!と参加しただけ。むしろ参加しないと植民地にされちゃうことを隣の大陸の国々の末路で知っていたから。
 戦争は人間個々人の意思の集合で起きるかもしれないが、それは単純な総和ではなく、当時の歴史的状況や政治的判断、国民の熱狂したいというプリミティブな感情、などの要素が複雑に関係しあって発生する、良いとか悪いとかを超えた、ある種の“現象”。
 だから、普通に考えれば誰でも戦争はよくないと言えるけど、人間には理屈では説明がつかない感情が、良くも悪くもある。だから戦争は人々を熱狂させる祭りとして、そして時に絶望をもたらす悲劇として、今なお開催されている・・・

 ワールドカップで強豪国が負けた場合、代表チームは国民に魔女狩り的非難を浴びてしまうこともある。そんな悲劇が起こるかもしれないから、代替戦争であるワールドカップをやめようよ、と言ってもそれは不可能だと思う。だって楽しいんだもん(私は全体主義が怖いのであまり興味ないけど)。
 国際交流?なら戦争もラディカルな国際交流の一つでは・・・
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