アデル ファラオと復活の秘薬

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 キスって必要?

 必要ないけどまあ伝統みたいなもん。目が覚めてからじゃ断られるかもしれないからね。


 これはほんっとうに私が考えそうな話。キャラといいギャグといい・・・作風がとっても私好みでこれはDVD欲しいぞ。同じようなシーンを繰り返すのはお笑いで言うならば「てんどん」で、この映画はやたらこれを多用する。私もよく漫画で使うけど、さすがにこんなには使わないw。

 アデルという破天荒な女性ジャーナリストの冒険物語なんだけど、これ『インディ・ジョーンズ』のようなハリウッドのアクション映画だと思って見に行く人は御愁傷様。
 なにしろ監督はリュック・ベッソン。アメリカ映画の王道パターンなんて本当にかけらもない。・・・というかむしろハリウッド的展開のアンチテーゼすら感じます。
 たとえば、アデルと妹の過去のシーンは、感動的なカット割と感動的な曲を流すんだけど、どう考えても泣けない。わざと笑かしにかかっているんですよ。
 これは主人公の過去が明かされるシーンで観客を感動させるという王道的な物語作りの基本を見事に馬鹿にしている(笑)。
 そして最後の最後のラストシーン・・・見る人によってはアデルの顛末のブラックユーモアのセンスに怒りすらこみあげるのかもしれないけど、続編を意識したオープンエンドとも取れるしどうだろう?
 まあだからハリウッド映画慣れしている人はけっこう先が読めなくて楽しめるかも。やっぱりイラつくかもしれないけど・・・

 しかし主人公のアデルがよかった!私は洋画に出てくる女性キャラクター(ヒロイン)で「これはいいな」と思ったキャラってほとんどいなかったんですけど(だってみんなバカっぽくてギャアギャアうるさいんだもん)、アデルはもしかしたら初めて洋画で好きになった女性キャラクターかも。
 彼女は“病気の”(←あえてここを強調)妹さえ助かれば何でもする(デブのババアにもなるw)、いわばジャイアンで、立ち位置がブレないんですよ。
 これは漫画のキャラクターならば最高の出来で「キャラが立っているかどうか」を掲載の第一基準にする『少年ジャンプ』などはこういうキャラを求めているんだと思う。

 そもそもこの「アデル」はフランスの大人気コミックであり、フランスの漫画というのは日本のように毎週19ページという馬鹿な仕事量をこなすのではなく、量よりも質。少ないながらもゆっくり時間をかけて丁寧に話を紡いでいく漫画が多いと言います(ヨーロッパって基本的に芸術という観念がちゃんとあるんだな~って思う)。
 なるほどそう考えれば、アデルのキャラクターがみんな濃いのも納得出来るし(どこであんな漫画顔の俳優見つけてきた!?)、そうやって芸術のスタンスで質の高い作品を描けるフランスの状況はかなり羨ましい。

 さて最後に映画に登場する翼竜について。字幕では「プテロダクティルス」となっていましたが、確かに同名のジュラ紀の翼竜は存在するものの、その大きさは翼長6メートルどころかハトよりも小さいんです。
 翼竜がプテラノドンやケツァルコアトルスのように戦闘機並に大型化するのは、鳥に生息地を奪われた白亜紀からで(鳥の翼は翼竜よりも頑丈だったので鳥が翼竜を駆逐した)、おそらくあの外見からケアラダクティルスなどのクテノカスマ科の翼竜でしょう。
 なんでこんなことになったかというと「プテロダクティルス」には種名の他にもっと広義な「翼竜」という意味もあるので、単純にジュラ紀の翼竜って感じの翻訳の方がOKだったと思う。プテロダクティルス・・・みんな噛んでたしな・・・
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