トイ・ストーリ-3

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 あばよ相棒。
 
 シリーズ中最も面白い。スタッフは第一作をリアルタイムで観たちびっこの現在の年齢に合わせて、本作のかなり大人向けでシリーズ中最もシビアなプロットを練ったそうですが、全然現役のちびっ子もウェルカム。みんな楽しめていました。
 映画館はちびっ子で埋まっていて最前列しか空いてなくて肩と首は痛くなるわ、3D眼鏡で鼻が重いわで(これもっと軽くてかけやすい「My3D眼鏡」とか映画館で売られないのかね?)辛かったくらい。まあ最前列は脚を伸ばせるのは良かったけど(なんか話が途中から変わってるぞ)。

 とにかくちびっ子達はなぜか「ミスターポテトヘッド」がトルティーヤのボディをつけて偵察を行うシーンが大変ツボにはまったらしくドッカンドッカン館内大爆笑。小さい子って「異形のもの」大好きだからね。オバケとか。
 そういえばアンディの幼少期の声までちゃんとシリーズお馴染みの声優だったけど、ミスターポテトヘッドだけは、演じる「名古屋章さん」が亡くなったため変わってしまった。この人は声優に詳しい友人KO氏がお勧めしていたので覚えていたんです。
 今作は前二作とは比べ物にならないくらい、体を張り大活躍してくれたポテトヘッド(笑いもかっさらっていった)。できれば今作も(こそ)名古屋さんにやってほしかったけど、代役の人も結構イメージを合わせてくれたのでさほど違和感はなかった。

 そして記者会見で所ジョージさんも「面白いですよ」って言ってたバズの故障シーン。このシーンも確かにちびっ子に大ウケでした。
 正確には故障というかモードが変わっちゃって、言語モードがエスパニョルになっちゃうんだけど、90年代のアクションフィギュアで多国籍仕様なのはすごすぎる(今回はED曲も「君はともだち」スペイン語バージョン)。
 スペイン語を喋りながらアントニオ・バンデラスのような奇怪な振る舞いをするバズの吹き替えは所さんじゃなかったけど、所さんは海外ドラマ『ALF』でスペイン語も話せるエイリアンの吹き替えもやってたから、ここもやってもよかったかも。
 でも『ドラえもん』みたいなテレビアニメも海外では声優が違うからいいのか!

 ちびっ子はこの二つのシーンで特に笑ってたけど、私のツボはなんとも渋いおもちゃたち!冒頭のグリーン・アーミーメンは相変わらずの軍人魂で大爆笑(なんと三人しか兵士が残っていない・・・!)。「最初に捨てられるのは我々兵士だ。幸運を祈る!」ってパラシュートでアンディの家から飛んでいっちゃうんだけど、このセリフって実際に戦場で戦う兵士にも言えて・・・笑えるけど、ちょっとシニカル。

 またウッディたちのサニーサイド保育園脱走計画を陰で助ける電話機のおもちゃ「チャッターフォン」も面白かった。顔は可愛いのに、受話器から発した彼の声があまりに渋くてそのギャップでもう撃沈。

 しかし私が最も大爆笑で腹が痛かったのは、本作の黒幕「ロッツォ」の過去を知るピエロ「チャックルズ」!!この登場シーンがめっちゃ渋すぎ!この映画はいつから『マスターキートン』に!?
 んでこういう辛い思いをして心に傷を持つキャラはやっぱり「あの頃のあいつは・・・」って過去を語るんだよねw。
 エンドロールでボニ―に似顔絵を描いてもらったチャックルズ。最後の最後で笑うんですよ。こういう展開ってベタだけど、それをスタッフはベタだと知っててあえてパロってるのが分かるから面白くて。

 『トイ・ストーリー』って基本的に脚本の構造はしっかりしていて意外と単純(「3」は「1」よりも「2」と展開に相似点がある)。その背骨にちょこちょこ小ネタをつけて笑わすのが『トイ・ストーリー』の常套手段なのですが、やっぱり巧いわ。
 「1」の「リトルグリーンメン」のクレーンゲームのクレーンを神とあがめる設定とかを、ラストに絡めるところは本当にファンサービスだよなあ。「1」観てない人は違和感感じたかもしれないけど・・・もっとも盛り上がる主人公一行の危機的シーンにおけるセイバーが今回はリトルグリーンメンだったから。このキャラどうも人気があるらしく、それでこの大役を与えたのかな?
 あとミセスポテトヘッドの失くした眼はやっぱり物語の展開上、重要な役割を担っていたし・・・

 感動シーンもシリーズ最高。アンディの「ガラクタ」発言はアンディのおもちゃたちを大きく落胆させたが、これがラストの「みんなぼくの宝物なんだ」のセリフの伏線になっているし、大学に進学したアンディが家を出る日、ママがとうとう感情を抑えきれず「ずっといられたらいいのに・・・」と一言。それを見たウッディは「おもちゃも人も、出会いと別れは変わらないんだ」と思ったに違いない。
 辛い別れの後には、嬉しい出会いも待っている(今回は嬉しくない出会いもけっこうあったけど)。ウッディたちはボニ―という新しい持ち主に出会えたし、サニーサイド保育園も『無頼伝 涯』の人間学園のような独裁体制から、新たな指導者バービーとケンによって平和が訪れた(「いもむしぐみ」の強暴な幼児の相手は、まるでアメフトの試合のように途中交代して乗りきってるしw)。
 もうアンディが成長した以上、こうするしか方法がないんじゃないか?ってくらいひねり出した最善のハッピーエンドだったと思います。アンディがおっさんになってもおもちゃで遊んでいたら気持ち悪いしな・・・変な美少女フィギュアとかで。
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