タイタンズを忘れない

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 私の親友のK氏は実業団でアメフトをやっています。彼はこの映画を見てアメフト選手になろうと決意したらしい。しかしアメフトなんてよくやるよ。
 本当に軍隊の訓練だよね。あの屈強なK氏も大学時代に一回、実業団で一回(しかも今年)、計二回「トレーニングが辛すぎ!死ぬ!」と言ってたし、脱水症状にもなったことがある。
 水は腰抜けが飲むんだ。水はユニフォームの血を流すためにある。って無慈悲な発言をするブーンのような鬼コーチがいるんだろうな・・・う~ん改めてすごすぎるぞK氏。

 ・・・でここからがこの映画の感想なんだけどいや~内容が想像と違った。私はもっとスカッとさわやかな「青春スポーツもの」だと思ってたよ。いやそうやって観ることもできる映画なんだろうけど、私には観れなかった。
 これってレイシズムを考え直す映画だよね?すっごい私は社会科学の勉強になった。
 「スポーツは人種の壁を越える」とか口で言うのは簡単だけど、差別って本当に根が深い。だから一度なにかのきっかけで人種の壁を超えて仲良くなっても、社会制度の根本が変わらない限り再び差別意識が戻ってしまう。だから私たちはタイタンズを忘れてはいけない。

 とにかく人種差別を取り巻く状況の描写が巧い。さすが実話をベースにしただけある。これを観て思うのは、大人の大半は子どもと変わらないよなってこと。
 子どもの仲間外れやいじめと変わらないことを結局いい歳した大人もやっているわけ。そんな馬鹿な大人を観ていれば、子供だって真似するわけ。
 黒人のヘッドコーチ「ブーン」も、部屋の壁にポスターを貼った貼らないのしょうもない黒人と白人の言い争いに「まるで小学生の女の子のケンカだ」と呆れていたし、これと同じレベルの幼稚な差別をする大人をこれでもかと時間を割いて描いている(準決勝の敵チームのコーチとか、レストランのオヤジとか)。
 そして彼らは幸か不幸かそういったくだらない差別を叱ってくれるブーンのような上の存在がいない。だからなかなか成長しない。いや~こんなに大人に失望する映画も久々だ。

 しかし黒人のヘッドコーチブーンと、白人のディフェンスのコーチ「ヨースト」の友情や、黒人のリーダー格「ジュリアス」と白人のキャプテン「ゲリー」の友情はやっぱり熱い。
 お互いに、悩み、葛藤し、不安になりながらも、人種の壁を克服していくんだけど、なんだかんだでこの二組の友情はすぐには成立しないし、ぶっちゃけ終盤まで意外と衝突していたりするw。でもそりゃそうだよね。
 口で「差別はいかん」なんて言っても、実際に相手を理解し心の底から思いやるところまで行くのには時間がかかる。なにしろ周りの人間は差別が当たり前だと思っているんだから。

 驚いたのは黒人の高校と白人の高校を統合させ、そのアメフトチームのコーチに黒人のブーンを呼んだ理由!
 これは一見差別撤廃に尽力しているように見えて美しいんだけど、本当はコーチのブーンに黒人と白人の混合チーム「タイタンズ」を失敗させ「だから黒人と白人は一緒じゃダメなんだよ~」って差別の理由づけをしようとしていたのですよ!もうこれにはビックリ!
 だからタイタンズは一回も負けられない。負けたらその時点で全ての責任をブーンは押し付けられて、人種差別を正当化されてしまう。これはすごいプレッシャー。

 しかしそんな深刻な内容の映画に癒しをもたらしてくれるのが、73番の巨漢キャラ「ラスティックくん」。最初に黒人と白人をつなぐきっかけを作ったのは、ほかでもない彼であろう。
 動きも鈍そうで勉強もできないラスティックですが、彼だけなぜか差別意識が無かった。なんでなんだろ。こういう人もいるんだろうな。
 そういえば軍の大佐を父に持つ妖しい美青年「サンシャイン」も、お父さんの「戦場では黒人白人関係なく命を預け合っている。だから息子も黒人のいる学校に入れたい」という教育方針の賜物なのか、たいして差別心が無かったな。
 やっぱ差別を克服するには、若い世代への教育なんだろうな。大人はもうダメだ~。

 最後にK氏。アメフトってやっぱりルールが分かり辛いよ。教えてくれ!「フェイク23」とか「ガンライト84」とか「インサイドビアー」とかなんかのフォーメーション?名前がやけにかっこいんだけど!
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