ボルケーノ

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 人間って本当にバカだわ。今回の件は思いあがりへの天罰ね。

 世の中どうにもならないことがある。昨今のエコブームのおかしさは、地球の問題をただの動物である人間がどうにかできるというルネサンス以降続く幻想から来ています。
 現代の科学の解答はこれです。本質的に答えは導き出せない。つまり地球の事は地球に任せておけばいいんです。
 
 9月1日は防災の日ですが、地殻変動には周期性があるので遅かれ早かれ「首都直下型地震」は必ず起きるでしょう。しかしだからといってこの映画のように東京都に住む人たちをゲルマン民族大移動することはおそらく不可能。
 ・・・というわけで残念ながら東京都民は確実に死にます。防災訓練を定期的に行うことで、大災害が起きた時できる限り多くの人命を救う努力はできます。しかし大惨事は避けられません。
 死者0は今年のゲリラ豪雨ですら不可能でしたし、阪神淡路大震災も早朝に起こったのが不幸中の幸い。あれが昼間だったら早朝の何倍もの死者が出たといいます。

 人類は地震はなくせない。火山もなくせない。私の大学には地質学の専門家がいましたが、浅間山が大噴火したら、まず軽井沢が全滅。火砕流は時速100キロ以上のスピードで付近の都市を襲い、山体崩壊なんかしちゃったら県庁所在地の前橋は土砂で埋まっちゃうそうです。
 で、その専門家はどのような対策を講じたか?

 諦めましょう。

 群馬県と長野県の住民は浅間山のリスクを承知で暮らしているはず。火山が嫌なら引っ越すしかない。・・・そういうわけです。
 もう火山が大噴火しちゃったら、人類は何も手が打てない。死ぬしかない。「そんなの役に立たないニヒリズムだい!」とか言って現実から目を背けるのも一つの手。
 ニヒリズムにしろ現実逃避(否認)にしろ、どのみちこれはどうにもならないレベルの話なのだから。

 地下鉄は民営だ。国営じゃない。だから我々の一存では止められないのだよ。

 この映画には誰も悪役がいません。危機管理局にしろ、警察にしろ、消防署にしろ、水道局にしろ、鉄道会社にしろ、ガス会社(私の好きなリチャード・シフさんがチョイ役で出ている!)にしろ、みんなそれぞれ市民のために一生懸命働いている。
 descf氏は「ディザスタームービーは、その怒りをどこにぶつけていいか分からないから嫌い」と言っていて、確かに『スターウォーズ』などはダースベイダーとか悪役がいて、そいつを倒せばある程度のカタルシスは得られるけど、敵が地球の振る舞いだと地震や火山を倒すこともできないので、もやもやしたものが残るのでしょう。

 しかし私が思うにディザスタームービーの楽しみ方ってそこじゃないと思う。敵と戦い倒すことじゃなくて、不条理で強大な自然の力に対して、みんなが力を合わせて団結し、失われゆく尊い命を救おうとする利他的な人間の美しさが、この手の映画の見所だと思います(貧民街の黒人と差別主義者の警官が溶岩流を止めるために協力するシーンとか)。
 そういう意味でこの『ボルケーノ』は火山の恐怖を味わうと同時に、素晴しいカタルシスを味わわさせてくれる映画。

 みんな同じだよ。同じ顔してるよ。

 この映画の主役トミー・リー・ジョーンズさんは、私もう好きすぎて(吹き替えが次元の小林清志さんっていうのも最高!DVDは声が違うから殿堂入りだけど買わない)「局長」と言ったら近藤勇ではなく、この映画のローク局長を思い出しますね!
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