『カラー版徹底図解 恐竜の世界』

 金子&山本の国内最強タッグがオールカラーで再び参上!

 今日は塾の帰りに乙武洋匡さんの本を買おうと思ったら近所の本屋に売ってなくて、こんな濃ゆい本がなぜかエッセイコーナーにあって衝動買い。ナイスTSUTAYA。
 これ今年出たばかりの本みたいですね。とはいえトロサウルス騒動は書かれてないけど。トリケラトプスは襟飾りに穴が無いのが特徴って書いてあるし・・・
 
 著者の金子隆一氏は恐竜オタクなら一度は聞いたことのあるサイエンスライター。あのけっこうヒットした「チョコラザウルス」の恐竜や古生物の解説をしていたから、食玩ブームで知った人もいると思うけど、チョコラザウルスの「ですます調」の文体から勝手に人物像を想像すると、この人の本性を見失う。
 この人は昔っからなんというかサイカニアばりに棘げ棘げしい批判的な文章を書く人なんだ。
 有名なのはNHKの「生命40億年はるかな旅」批判。これは「花に追われた恐竜」って回を、まあ、ボロカスに叩いていて、いくら番組側が間違っていたとはいえ、キッツイ文章書く人だな~と思っていた。

 さらに近年では日本の恐竜文化および恐竜ファンの体たらくぶりに嫌気がさし、海外の論文の逐一チェックするような真の恐竜マニアはこの国にはほとんどいない!と愚痴りまくっていました。歳のせいなのかな・・・?

 とはいえ私にとって金子さんは「恐竜マニア」の立場からいろいろ濃い情報を教えてくれる貴重な人。なんだかんだ言ってこの人は、海外の論文なんて逐一読まないけどそこそこ恐竜には詳しい、ファン以上マニア未満の私のような「微妙な層」に、最新の情報を玉石混淆で提供してくれているし、実のところ金子さんが言うような真の恐竜マニアには、金子さんの書く本は無用だったりする。専門的な論文といった一次資料を直接読んじゃうから。
 だからこの人は、自分が批判するしょうもない恐竜ファンを相手に本を書いているっていうのが皮肉。

 とにかくこの本も一体どの層に向けて書かれたか分からない感が最高!これが金子さん。
 単に恐竜が好きというライトなファンには内容がディープすぎるし、コアなマニアにとってはもう知っている情報がほとんど(アンチ隕石衝突説やダイノバード仮説など)。そして恐竜研究者は絶対これを読まない。常識だろうから。
 だからやっぱり私みたいな微妙なマニアが買うんだろうな。そして金子さんがそんな絶対数の少ない層を相手に本を書いている以上、日本の恐竜文化はまったく改善されないよな。まあ、別にいいけど・・・

 読んでて笑ったのが、コラム「古環境をいかに復元するか」。

 恐竜の生態復元画を描くとき、恐竜そのものが正確に描けていなければならないのはいうまでもないが、それにもまして重要なのは、恐竜が暮らしている生活環境をいかにリアルに再現するかという点である。

 爆笑。恐竜そのものが正確に描けていなければならないのは言うまでもないって『魁!男塾』かよ。
 こういうマニアが行き過ぎた馬鹿馬鹿しい文章がいいよね。だいたい恐竜そのものを正確に描くってどういうことよ?骨をふまえろってこと?デッサンをとれってこと??
 仮に最新の学説を総動員して骨格をできる限りふまえても、誰一人恐竜の生きた姿を見てない上に、学説なんてコロコロ変わるんだから、正確もくそもない。
 結局「なんかリアルな感じがする」とか「かっこいい」とか漠然とした、主観的イメージで恐竜の復元画なんて良し悪しが決まってしまう。そこが面白い点だろうし。だからこそ魅力があると思うのですが、金子さんの脳内では正確な恐竜が存在しているのでしょうw。さすがマニア。

 もっと言えば、恐竜以上に中生代の環境は謎。謎すぎる。G・ポールなんて背景は植物を遠景にして空を多めにとればごまかせるよって言ってるくらい。
 プロですらこれなんだから、アマチュアに金子基準を適用したら、中生代の環境なんてうかつに描けなくなっちゃう。
 
 さらにこの人の暴走は続き・・・

 アメリカのデンバー自然科学博物館では、恐竜時代の情景を再現したジオラマを作るにあたり、恐竜の発掘現場で見つかった大量の木の葉を1枚1枚型にとり、虫食いの穴まで再現したものを木の枝にとりつけるという膨大な手間をかけ、非常にリアルな情景を再現した。

 すごい。だから何?感が(笑)。いや、私も博物館のバックヤードを見学したこともあるし、尾瀬のジオラマがこれとほとんど同じくらいこだわって膨大な手間とお金をかけて制作させたのは知っています。たしかウン億円レベル。
 でもあんたはそれを誰に向けて言ってるの?プロの画家?研究者??愛好家?

 恐竜画を志す人は、恐竜の勉強だけをしていたのではどうにもならない。植物を中心に、当時の古環境に関するトータルな情報を収集する努力を常に怠らないことが重要なのである。

 みんなそんな暇じゃない。いいじゃん。どうせ日本には恐竜のプロになれるカリキュラムはないし、世界には凄い恐竜研究者と恐竜アーティストがいくらでもいるし、あんたには山本聖士さんがいるだろ。とはいえ山本さんもあまり背景を描き込んでいない・・・
 山本さんは、一時期拒食症のような痩せた恐竜描いていた時もあったけど、もう日本の恐竜イラストの頂点だと思う(私は市川章三さんが一番好きだけど)。
 肉食恐竜の唇復元も、顎を開いて牙をむいている絵にすることで上手く回避してますよね。1枚も口を閉じた肉食恐竜の絵が無い(鳥に近いタイプ除く)ことから分かるもん。
 とにかくパキケファロサウルスのイラストが超カッコいいので、恐竜に興味ある人買ってみてください(安いし)。山本さんのイラストだけで買う価値ありです!

 最後に恐竜の種類の数について。2009年4月24日の時点で恐竜の属は1094らしい(種の数じゃないですよ!)。私400位だと思ってたので相当多い。そして属に対して種数はちょっと算出時期が異なるけど、2006年9月29日時点で1844種らしい。
 ・・・これって系統樹思考的にどう考えてもおかしいよね?1094の属に対して種が1844って尋常じゃないと思うんだけど、やっぱりドラコレクスやナノティランヌス、トロサウルスのように一属一種記載って今後どんどん見直されていくと思う。

 ・・・トロサウルスと言えば、復元画にホーンレットつけた(しかもわざと)私は絶対金子さんにぶっ飛ばされる~!
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