2012

 「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 Good-bye my earth!(C)ダライアスバースト

 2011年アナログ放送は見られなくなります。しかしデジタル放送も2012年見られなくなります。これを最初に発表したのはこのオレ、ゴーダイです!(チャーリーが乗り移ってます)

 ・・・というわけで2012年に世界は終わるんだってさ。前にも言ったけど人間ってその時代に希望がもてないと、すぐに終末思想に飛びついちゃうんだよ。
 なんか自分の思い通りに社会がなってくれないと「こんな世界なくなれ!」ってすねちゃう男子中学生みたいなんだけど、実際どんな人も多かれ少なかれこの病気は持ってます。セカイ系症候群。

 だからこの手の映画でご都合主義を批判するのは超野暮ってもんだい。ご都合主義を切り捨てて、この映画レベルの災害を起こしたら、ただの人類の絶滅を傍から見るシム・アース状態になっちゃうぞ。
 そんなリアルな終末映画を観たいニヒルな奴がいるなら教えてくれ。まあディザスターモノは、どの映画もいい加減同じことの繰り返しで、それでも災害の種類を変えてなんとか凌いできたけど、もうネタ切れなのは確か。
 この映画はその集大成として、これまでの災害モノの名シーンを隕石以外すべてやった気もする。
 となると本当に登場人物以下人類すべてが滅ぶ映画があってもいいかもしれない。
 それなら「ご都合主義」とか「またお涙ちょうだいの三文芝居か~」とかバカにできないだろ。だからそれが上映されたらお前ら絶対見に行けよな。 

 つまりバッドエンドが禁じられているハリウッド映画で災害モノを撮る以上、この展開に収斂しちゃうのは仕方がないんだって!作り手の気持ち考えてやってよ。なに私もこんなに弁護しているか分からないけどさw。
 
 確かにローランド・エメリッヒって、映像以外は相変わらず『インデペンデンス・デイ』以来ひどいけど、出てくる登場人物がけっこうバカで楽しいし(イエローストーン国立公園で「一人ジョッキー」を敢行したチャーリー様は最高!)、何万人もの人が死ぬ災害シーンを不謹慎にも爆笑シーンに昇華できるのはこの人だけ。
 シュワ知事のカリフォルニアが、地面ごと沈んじゃうシーンは笑った笑った。笑ったと同時に、この凄まじい崩壊シーンをどれだけの時間と労力をかけて作ったのかを考えると、ただ涙。

 さてこの映画は「科学的な設定にぜひ突っ込み入れてください」ってvicさんに言われて、観たんだけど、いやはや作中の科学者が言ってることはそこまで外してないですよ。
 物語の冒頭いきなり「ニュートリノ」と言う素粒子の説明から入るんだけど、この説明も意外と・・・っていっちゃあれだけど正しい。バカ映画の分際で。
 キャラとストーリー展開がバカ丸出しだから、SFとしてもバカだって思う人もいるんだろうけど、ニュートリノはあの説明で大体あってる。

 それに太陽から地球に飛んでくるニュートリノの性質が変わり、電子レンジのように地球を中から温め始めたって言うトンデモ説は、ちゃんと「そんな馬鹿な!」「ありえない」って作中の学者がちゃんと突っ込んでいるからよし!このエクスキューズがあればSFとしてOKじゃないか?
 ニュートリノの説明が正しかっただけで私は感動したよ。あれ池上彰並に分かりやすいぞ。しかも数秒で説明しちゃったじゃん。ここら辺は映画ブロガーの人もなかなか指摘していないでしょ。

 ちなみにニュートリノの性質が変化するって言う現象(振動)は事実。何で「変化」とか「変身」じゃなくてわざわざ“振動”って言うのかと言うと、ニュートリノは別の種類のニュートリノに変わったり、元のニュートリノに戻ったりを繰り返すから。
 ニュートリノって言っても「電子ニュートリノ(第一世代)」「ミューニュートリノ(第二世代)」「タウニュートリノ(第三世代)」ってオタクのように種類があるのよ。

 これらのニュートリノの振動現象を観測したのが、小柴教授が資金をかき集めて手下に作らせた地下のでっかい純水のプール「スーパーカミオカンデ」だ。
 この施設では、宇宙線(の陽子)が地球の大気にぶつかってできる「ミューニュートリノ」がスーパーカミオカンデで観測される前に「タウニュートリノ」に変化すること(=ミューニュートリノの振動)や、太陽からの「電子ニュートリノ」の(総量の)一部が「ミューニュートリノ」に変化すること(=電子ニュートリノの振動)を確認している。
 この映画の地球を破滅させる「殺人ニュートリノ(今勝手に命名)」は、これらのニュートリノの振動観測実験から着想を得たのであろうことは確か。

 ・・・と、専門的な話はこれくらいにして(あまり深くは私もよく知らないから)、率直に言ってニュートリノはほとんど質量がない。
 質量ほぼ0のニュートリノは、幽霊のように地球をすり抜けちゃうから、地球の地殻変動にはほとんど関係していない(ここは映画の説明通り)。今でも私は毎秒何千兆個もニュートリノ食らっているし。
 まあ気象学の分野になると、地球の気象に太陽がどれだけ影響を与えているかは諸説あるんだけど、ニュートリノの地質学的な影響は聞いたことないや。
 
 私は『2012』って、てっきり映像のインパクトだけで押し切って、破滅に至る理屈とかは「神の怒りじゃ~」「マヤの予言じゃ~」みたいなオカルトで済ますと思っていたから、けっこうSFとして辻褄を合わせようとしていたのは意外だった。バカ映画なのに。
 そういえば何気にエメリッヒ監督の『デイ・アフター・トゥモロー』も地球温暖化による寒冷化って言うSF的理屈付け(だけ)はちゃんとしていたよね。

 さて最後は、私の主観に基づくこの映画の残念な点を。
 
 まず長い!!度肝を抜く災害映像は「映画館で観たかった!」って思わせてくれたけど、ラストには「観に行かなくてよかった」ってなってた。もうこの長さの映画を映画館で見たらヘトヘトだよ。
 気合入った破壊シーンは情報量が多くて目が疲れるから、30分は削った方がいい。どうせ物語はあってないようなもの。簡単に削れるはず。

 あと方舟はやっぱり宇宙船が良かった。もうあそこまでの大災害が起きたら地球を捨てる方がリアルでよかったよ。
 あんだけの規模の火山活動が起こって、地球の磁場が移動したのなら、惨事から数年で美しい夕焼けを見れるのはまず不可能で、おそらく地球の磁場シールドの出力が弱まって、宇宙の放射能がガチで入ってくる。
 でもその放射能も大気が頑張って防御してくれるだろうけど、なにしろ磁場シールドがない分、宇宙線を大気が全て受け止めるから大気の組成が変わったり、放散虫とかが死んだりして、人類の正念場はこれからになりそう。

 だからラストは地球を捨てて「グッバイマイアース!」しか無かったんじゃない?
 大丈夫!今の中国ならスペースコロニーの一台や二台、軽く作れる!
 いや~この映画は本当に中国がいいとこ持ってったなあ。中国が作った大規模な箱舟を見て「この短期間でここまでのものを作るとはさすが中国・・・!」っていうアメリカ大統領補佐官のセリフがもう面白くて。
 つまり非人道的に大量の人民を奴隷のように働かせられるのは、共産主義のこの国だけだろってことでしょ?すごいよね。
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