素数の魔力に囚われた人々

 サブタイトルは「リーマン予想・天才たちの150年の闘い」。NHKの科学ドキュメンタリーで深夜に再放送してました。タイトルからもう面白いよね。

 素数の魔力って・・・確かに数学が得意な人にとってみれば、いまだに世界中の数学者が解明できないアポリア(難問)は危険でありながらも魅力的なんだろう。
 1とその数字自身の数でしか割れない数を「素数」って言うんだけど(2とか3とか5、7、11、13・・・)、その素数の規則性って未だによく分かっていないから、現代のテクノロジーでは暗号として利用されているんだって。
 確かにとんでもない大きな桁の素数もある。数字のカウントに終わりがない限り、素数も無限にあるんだろう。

 NHKの科学を題材にしたドキュメンタリー番組って素人の人には大体わかりやすいように作られているけど、その分野のマニアや専門家が見るとちょっと細かい点が違ってたりするので、この番組だけを見て150年の数学史を理解しきったって思っちゃまずいんだろうけど、とりあえず面白かったからいいや。
 細かい突っ込みはその道のマニアがやってくれるに違いない。

 それにそもそもこの番組だけでは「ゼータ関数」も「リーマン予想」も解ったようで、よく解らない。
 とりあえず素数の並びの一見不規則な間隔と、量子のエネルギーの不連続な飛び飛びな数値が大体一致したって言うのは分かった。
 この出会いによって純粋数学と物理学が融合したんだ!とか70年代の学者は喜んだみたいなんだけど、これには驚いた。・・・数学と物理学ってそんな疎遠だったの?
 私てっきり物理学も数学使うから、美術と図工くらいの関係だと思ってたよ。全然分野が違うんだ・・・最初っからもっと交流すればよかったよな(ちなみに美術と図工でさえ仲が悪い)。
 科学ってもう分野が細分化され過ぎちゃってバベルの塔状態なんだよね。私はその現状はネット技術でなんとかなるとか半ば冗談でSFで論じたけれど、どうなんだろう。

 数学ってある種の本質主義だと私は思っていて、それに命や人生をかける数学者たちはかっこよくもあり滑稽でもある。失礼かもしれないけど、やっぱりそう思うよ。
 なんか数学と言う人間が作ったパズルゲームにハマった数学少年が、そのまま数学を卒業できずにマニアになっちゃったというか。
 だから楽しそうでもあり、その反面孤独でストレスもたまるのだろう。いくところまでいくとその努力や偉業を理解し共感してくれる人の絶対数はかなり減ってしまうから・・・だから学会とかやってんだろうけど。
 そういう意味でストイックな芸術家に近いよね。数学者って。遊びをいい歳して真剣にやっているところとか、どうやって食っているか収入源が謎なところとか・・・

 リーマン予想は、ポアンカレ予想やNP問題と同じく数学の世界では超難問で、数々の数学者の挑戦を退けてきたらしい。
 そしてプライドが高い天才数学者の鼻を見事にへし折り、あるもの(ノーベル経済学賞受賞者のジョン・ナッシュ博士)は統合失調症になり、あるもの(チューリングマシンのあのチューリングですよ!)は自殺したという。ほんまかいな。
 そういえばポアンカレ予想を解いた人はすっかりいかれちゃったとか・・・これもNHKでやってたんだけど。ほんまかいな。
 とにかくそれくらいの魅力があるんだろうね。彼らは自然界は全て数学で説明できる!って本気で信じているだろうし、それくらいじゃないと自分の人生を数学に捧げられないよ。

 数学の世界ではその理論の証明が正しいとされるには、約二年間に及ぶ世界中の数学者の厳しい検証作業を受けなければいけないらしい。
 そう考えると数学の教科書に載っている古代ギリシャとかの理論(原理とか定理とか)ってすげえな。いまだに反論されてないんだから。
 いや先人のあいつらがもう証明しやすい数学の真理はほとんど見つけちゃったって感じがするよな。オタクは死んだって数年前にオタキングは宣言したけど、もう何千年も前に数学って死んでたんだな。
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