「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆」
あなたはサイテーじゃないけれど、そう見える生き方をしている。
ソーシャルネットワーキングサービス「Facebook」を考え、立ち上げ、儲け、そして訴えられちゃった若き起業家の話。さっそく私も「Facebook」に登録してみたんだけど、顔出し実名登録だからなかなか建前民族の日本人には流行らないかもね。英語圏の人ばっかりやってる。
しかしこのマーク・ザッカーバーグって人、私と年齢がほとんど一緒だよ。しかもオタク的で(あの走り方w!)さえない青春送ってる感じ、なんかすっごい親近感・・・金はないけど。
この映画ってゴールデングローブ賞で四冠を獲ったりすごい話題になっていて、ポスターでもマークの大きな顔写真に「天才」「裏切り者」「危ない奴」「億万長者」とか打ってあって、相当エキセントリックな人の話かとワクワクして見に行ったんだけど、ちょっと期待外れだった。
全然普通の人だった・・・
この映画を観た人は主人公で天才肌のマークではなく、その相棒のエドゥアルドに感情移入するって言うけど、私から見たらどっちもハーバード大学だし、財務管理に詳しい上、フェイスマッシュに使うアルゴリズムの数式も書けてしまうエドゥアルドのほうがマークより全然天才だろと思った。
マークがすごいのは、酔っ払いながら数時間でサイトを作り立ち上げてしまう頭の回転&仕事の速さだ!ってプログラミングをかじっているdario氏は指摘したけど、プログラミングの説明や、それを構築する理系的シーンが作中ほとんどなかった上に、共同開発者にすっごい腕の立つプログラマーがいたから、いまいちマークのすごさが分からなかった。
マイクル・クライトンが傍若無人な天才として描いた『タイム・ライン』のボブ・ドニガー(これもモデルがいるんだろうな)のようにすっごい弁が立つプレゼン野郎でもなければ、誰にでも好かれるリーダーでもなかったし・・・あいつの才能って一体何だったんだろう?
いや、でも学内で同じ境遇だったオタクたちには人気があったのかも。あの女子大生をランキングするなんとも失礼なサイト「フェイスマッシュ」のシーンで飛びついたのは、頭はいいのにモテナイという全国のオタク男子だった!
そのオタク男子がやっぱ男は顔と金でしょ~とかキャピキャピ言ってる、自分たちとは住む世界の違う女子を一段上からランキングする痛快さ!
マークのやっている事は許せない!とか人は非難するかもしれないけど、こんないたずらって『こち亀』の両さんが自分を嫌う婦警に対して随分前からやっていたよね(実際にやるって言うのがすごいが)。
マークは小学生のまま紳士の名門大学ハーバードに入っちゃったような人なんだ。だからあれはスカートめくりと一緒だよ。スカートめくりって私も小学生の頃やったことあるけど、エロい気持ちでやっているんじゃなくて、純粋な悪意だよね(すっごい傷つくことを女子に言われてギャフンと言わせてやろう的な・・・幼い・・・)。
マークが他の人と比べて一番秀でていたのはこの「小学生のような行動力と残酷性」だったのかもしれない。純粋に自分のネガティブな気持ちを表明すること。普通の大人はそれを円滑な人間関係構築の為にセーブするんだけど、マークはよくも悪くもピュアでそれができない。
だから最初の彼女との会話は別に彼女を言い負かそうとしていたわけではなくて、彼なりにただ本音を言っただけ。その上頭の回転がいいので普通の人と会話が上手くかみ合わないのだ(いやいや、あの冒頭のシーンを見る限りマークを軽くいなす彼女の方が頭がよさそうだったぞ)。
ちなみに私も女性や大学の教師に「あなたと喋っていると疲れる」って言われたことあります。さすがにあなたがモテないのはオタクだからじゃない。最低だからよは言われたことないけれど・・・
こういうことを言うと「頭がいいなら相手に合わせてやれよ」って言う人がいるけどそれは酷ってものだ。だって普通の人って正規分布の中心にいるから(人口が最も膨大な層)普通にしゃべれば相手にそこまで合わせなくても楽しく会話ってできるじゃん。そんな普通の人はやらないような苦労を日常会話でしなきゃいけないなんてどうかしてるぜ。
でも正規分布の両端にいる人、それはコミュニケーションがうまくとれない人と、その力があり過ぎて周りがついていけないだけの人なんだけど、ハーバードのオタク達は後者なんだと思う。
ただ頭がいいだけなのに「勉強はできるのにコミュニケーションが取れない奴~」なんて言われるなんて不当だ!そんなコンプレックスがマークにはあった。
結局ファイナル倶楽部に対しても、ハンサムで名家の出、そしてスポーツマンと言う女にもてる条件を不当に独り占めしているようなあの兄弟に対しても・・・マークはコンプレックスの塊。
あいつらが怒っているのはアイディアを盗まれたからじゃない。生まれて初めて物事が自分の思い通りにいかなかったからだ。
彼の行動原理は単純。なぜ世間(の女)は経歴や外見と言った表面的な部分ばかりを見て、物事の本質を見ないんだ!(※この心の叫びはアメリカのハイスクールでのオタクの境遇を調べるとすっごい気持ちが分かります。日本の“オタク”とアメリカの“Nerd”はなかりイメージが違う)
そのテーゼの下に、彼は芸術家の如く儲けを考えずフェイスブックをNO広告でやりとげたわけだし、小学校しか出ていないのに世間をあっと言わせた「ナップスター」のショーン・パーカーの痛快な生きざまに惚れたのだろう。
だからマークは、とってもいい奴だけどなんだかんだいってそこそこイケメンなエドゥアルドではなくショーンを選んでしまった・・・あれでもしエドゥアルドが不細工なオタクだったら絶対ショーンじゃなくてエドゥアルドをマークは選んだと私は断言できる!
そんなしょうもないコンプレックスで友達を捨てちゃうのがマークのバカで悲しいところ。まあマークもエドゥアルドも訴訟にはなっちゃったけど、今もなおお互いを認め合っているのは映画でも感じられた。和解したしな。
でもウィンクルボス兄弟のパクり訴訟はアメリカでは通用するけど、他の国ではちょっと無理だと思うよ。あれで金がとれちゃうのも、結局陪審員どもがウィンクルボスの外見や出自といった表面的イメージばかりを見て、トラブルの本質を論理的に考えないからなんだろうね。辛いけどこれがオタクの現実なのかもしれない。
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