メリダとおそろしの森

 「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆」

 伝説は教訓よ。真実に満ちている。

 おそらくピクサー初のフェアリーテイルもの。ピクサーってマンネリが嫌いなのか、毎回いろいろ新しい方向性を打ち出してくるけれど、今回はその中でもかなり異色なイメージ。
 なんというかいつものピクサーっぽくないというか、じゃあいつものピクサーっぽさってなんだって言ったら、なかなか難しいんだけど、自分の好みで考えるならば、それはウェルメイドなプロットだけでなく、そこに案外シビアな社会風刺やひねりを毎回加えていた点のような気がする。あとギャグ。

 でも今回のメリダはまったくひねりなし。こんな直球投げてきたのは『WALL・E』以来かもしれぬ。
 トラディショナルなおとぎ話の構造をしっかり踏襲していて、その点ではディズニープリンセスアニメぽくあり(『プリンセスと魔法のキス』とか『塔の上のラプンツェル』とか)、森の不思議な人魂「鬼火」やエキセントリックなババアが出てくる点では、宮崎アニメぽくもあり、マッチョな体育会系の困ったオヤジが出てくる点では、ライバルのドリームワークスぽくもある(つーか『ヒックとドラゴン』にかなり似てる)。
 つまりピクサー以外のアニメにいろいろ似ている部分があったから、これピクサーアニメなの?って感じてしまったのかもしれない。

 でもピクサーぽさどうこうじゃなくて、なんか今回のはイマイチ心に引っかからなかったんだよなあ。それは結局感情移入っていうのが、結局その人の経験や思い出に左右されるもので、自分は女の子に生まれてこなかったし、王女でもないから、メリダの気持ちにあまり入っていけなかった。案外愛子様あたりが一番感動する映画だったりして・・・
 
 いやまあ、私だって理屈ではわかるんだけど、心が持ってかれなかったというか。思春期によくある母親と子供のすれ違いだよなあ、と。
 で、この手の親子の絆の話って(おそらくどんな人も多かれ少なかれ経験していることだから)映画の世界ではすっごいやられていて、名作もたくさんあるから、幸か不幸かか相対化できちゃう。
 何より親子がテーマといえばピクサーにも『ファインディング・ニモ』があるし、だいたい主人公のメリダよりもクマになった(※された)お母様のほうがキャラが濃いってそりゃないよw
 なんにせよ、このお話はまずフェアリーテイルとしての完成度を優先させたのだろうか、キャラやドラマはちょっと薄いイメージ。

 あとは舞台設定なのかな。中世のイギリスとかそこらへんが舞台だったっぽいんだけれど(スコットランドらしい。確かにケルト系w)、その時代の生活や文化ってなかなか現代と違うから価値観が共有しにくいんだよな。
 ファンタジーってその世界に行ってみたいって思わせたら勝ちっていうのがあって、『ヒックとドラゴン』の世界なんかはけこう魅力的だったんだけど、メリダの世界はその点、中世の閉塞感をかなり実際の歴史通りにやっていて、こんな時代はいやだなあ、とw
 中世ヨーロッパにとって森は現実問題として恐怖そのもので、妖精や魔法使いが本当にいるって信じられていたそうな。人間が立ち入るべきではない場所。それが森。

 だから「おそろしの森」なんだろうけど、原題は『Brave(勇気)』なんだよね。勇気・・・う~ん・・・この映画のテーマにそこまで勇気を感じられなかったなあ。
 勇気を出すってけっこう怖くてそれこそ勇気のいることだから、もっとためらったり悩んでも良かったんじゃないのかなあって思うけど、そこらへんメリダはお父様に似て行動が早いからなあw案外勇気を出したのは娘を守るためにお上品を捨てて巨大グマと戦ったお母様だったのかもw

 そういえば、このメリダ、今日が公開初日だったんですが私を入れてたった5人しか見てなかった。カップル、カップル、私。興行収入大丈夫なのかなあ・・・13作目って不吉だからなあ・・・
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