起承転結の起承までが辛いわけ

 物語を作るとき起承転結の「起」「承」に部分がなんで難しいか、なんで下手をするとダレちゃうか、理由がわかった気がする。
 多分その次に「転」(展開の流れが変わる)があるじゃん。ってことは「承」まではいわばブラフ(ひっかけ)なんだよね。
 作っている方は次に「転」が来るのを分かっているから、その上で前半の話を膨らませなければならない。これは精神的になかなか熱くなりにくいよなあって。
 逆に伏線回収とか後先考えずに、勢い任せに話書いちゃう人の漫画の方が熱いのはそのためなんだろうな。書いている人も先の展開を知らないからw

 例えばハゲを気にしている人がいるとする。「起」「承」まではいいかつらを探して手に入れるまでの話になるんだよ。
 で「転」でそのかつらをなくしちゃって騒動が起こる。そして「結」でかつらなんかなくてもハゲはハゲとして生きた方がかっこいいことを悟る。
 そう考えると「起」「結」は伏線的に双子のような関係になってるんだけど(つまり「起」を決めた時点で「結」はほぼ確定する)、重要なポイントは「起」のテーゼと「結」のテーゼがある種真逆になっているということ。この落差が主人公の成長を描くということだと思う。

 つまり物語における「起」「承」はいかに読者をミスリードできるかがポイントで、ピクサーのメソッドにもあるように、だいたい主人公はここで間違った選択をやっちゃう。
 で、書いている方としてはどうせそれは違うんだって知ってるからなかなか乗りづらいんだよね。それが起承転結で起承までが難しいというか耐えなきゃいけない理由なんじゃないかと。

 じゃあ自分の話はどうなんだろう?ということで『80日間宇宙一周』シリーズで考えてみよう。物語を作るときは私は最初に「起」と「結」から考える。こんな感じに。

「起」ミグ:国家のために自分の人生を諦める
「結」ミグ:自分の良心のままに自由に生きる。もう諦めない。

 実際はここまで極端じゃないけど構造としてはこれくらい落差付けたほうがいいかも。

「承」自由なライトが現れて今までの生活が一変する。調子が狂うミグ。でもライトの生き方を否定し続け軍の命令に従う。

 ほら、この「承」の部分って物語の構造上は重要なんだけど、けっこう精神的にきつい部分なんだよね。だってこれが全部「転」で覆るんだから。ミグ目を覚ませ!みたいなw
 だから人によってはアクション、私ならギャグをやって間を持たせちゃう。なんとかして退屈にならないようにするのが大変。

「転」ミグがライトのエンジンを盗んだことで自分の星でクーデターが起こってしまう。

 あ~あ・・・言わんこっちゃない。でも、ここまでいくともうあとはラストまで一直線。なぜならここまでいけば主人公の行動に強い説得力と動機ができるから。なんとかしなきゃ!っていう。

「結」自分の良心のままに自由に生きる。もう諦めない。

 ほら戻ってきた。めでたしめでたし、と。でもこんな感じで構造だけ見ると単純なんだけど、この骨格に筋肉や皮膚を付けるわけで、最終的に情報量は膨大かつ複雑になりがち。
 で「骨曲がってきてないかな?」っていちいち確認しながら完成させていくわけで、やっぱこれは難しいよな・・・もっと上手くなりたいもん。

 読む人は外側から見える皮膚しか見ないけど、本当はその下には筋肉や骨格があるからね。とはいえ女の頭蓋骨なんか見てても別に萌えないもんねw
 でも作り手はその頭蓋骨とどれだけ対峙できるかが重要なんじゃないのかな。恐竜の復元画書くのと一緒でさ。
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