『80日間宇宙一周 CRIMSON WING』脚本⑥

航空ショー
ガリレオガリレイ国際空港の広大なスペースに数々の新型戦闘機が展示されている。
新型機のそばではコンパニオンが笑顔で手を振っている。
マスコミのフラッシュがたかれる。

プロメテウス社のブースにエドが駆け込んでくる。
エド「社長大変です!昨夜飛び立ったミラージュが帰還していません・・・!」
ヴィン「迷子になっちゃったのか?」
ミグ「ライトは?見つかったのか?」
エド「いえ・・・途中から通信が途絶えて・・・」
ヴィン「バカな犬みたいな飛行機だな。」
エド「だから私は反対したんです・・・!航空ショーでのプレゼンはどうするんです!?」
ヴィン「まあ、どのみち制御できない欠陥品だったんだから、それがショーの直前に分かってよかったじゃん。そんなん飛ばしても恥かくだけだったよ・・・」
エド「そんな・・・私のプロジェクトチームは欠陥品など・・・」
ヴィン「でも帰ってこなかったんだろ?今は製造物責任法って言ってうるせえから。」
エド「・・・・・・。」
ヴィン「そんなに落ち込むなって。在庫はほとんどサーペンタリウスに押し付けちゃったわけだしさ」
ミグ「サーペンタリウス!?・・・あの戦闘機を死の商人に売りつけたんですか?
それはテロリストや犯罪組織に武器を流すことと一緒ですよ?」
ヴィン「格安でね。あいつら怒ってるだろうな・・・」
ミグ「欠陥品でよかったって言うんですか?」
ヴィン「そんなに怖い顔するなよミグ・・・こっちだって社員に給料払わなきゃいけないんだから・・・」
ミグ「もしサーペンタリウスがその戦闘機を改造したら?」
ヴィン「・・・あいつらにそんな技術ないよな?」
エド「私は知りませんよ・・・」
呆れるミグ「信じられない・・・」

プロメテウスのブースにやってくる軍服姿の将軍
アトラス将軍「やあ、ヴィン。昨日のパーティはまいったよ・・・」
ヴィン「やべえこういう時にかぎって・・・」
エド「どうするんですか?」
ヴィン「なんとか誤魔化せ」
エド「無茶言わないでください、こんなにマスコミがいては隠しとおせませんよ。」
ヴィン「あのポンコツを作ったのはお前だろうが・・・!」
将軍「しかし、キミの戦闘機は素晴らしいな、殺し屋に狙われるだけだ」
ヴィン「え?」
将軍「昨夜遅くに基地にミラージュから一報が入ったよ。」
テレックスの用紙を見せる将軍

「EKIA(作戦で敵を殺害):ニコライ・ベルゲルミル(緋色の旅団総帥)」

将軍「あっさり緋色の旅団のトップを探し出し抹殺するとは、さすがだな。」
テレックスを怪訝な顔で見るヴィン「・・・・・?(エドの方を向いて)お前?」
首を振るエド
将軍「我々としては早くミラージュの現物を見たくて仕方がないよ。
実地飛行でその性能をこの目で見ればすぐにでも軍に働きかけて20000機発注しよう」
ヴィン「二万・・・!?」
将軍「言っただろ?我が軍はいい兵器には金は出し惜しみしない。
・・・でミラージュはどこだね?」
ヴィン「こっちとしても売ってやりたいんだけど、あのミラージュには欠陥が・・・」
空を指差す将軍「あ、あれか!」
振り返るヴィン「え?」

航空ショーの会場に飛行してくるミラージュ
エド「帰ってきた・・・」
ヴィン「おい、信号出して着陸させろ」
ブースの奥に駆けていくエド「はい・・・!」

空港の上空では別の会社の戦闘機F88フェンリルが編隊を組んでアクロバット飛行をしている。
綺麗な飛行機雲を残す編隊。
観客が歓声を上げる。
フェンリルの編隊に接近するミラージュ

観客席
双眼鏡を掴んで空を見上げるミグ「なにか様子が変だ・・・」
ミグ「観客を逃がしたほうがいい・・・」
シャンパンを飲みながら真紅の機体をみつめる将軍「なにを言ってるんだ?」
フェンリルの部隊に速度を上げて向かっていくミラージュ。
観客「なんだあの赤い戦闘機?」
ミラージュの編隊に真正面から突っ込んでいく。
「ぶつかる・・・!」

すれ違いざまに編隊の一機を切り裂くミラージュ
翼がへし折れ回転しながら墜落していくフェンリル。
滑走路に落ちて爆発する。

将軍「今年のショーは激しいな」
戦慄するミグ「いいや、そうじゃない・・・」

フェンリルのパイロット「なんだあれは!?」
ミラージュがミサイルでもう一機のフェンリルを吹き飛ばす。
パイロット「暴走してる!全機散開!戦闘準備!」
フェンリルが編隊を崩しミラージュとドッグファイトをはじめる。
フェンリルの攻撃をきりもみ回転であっさりかわし、次々にフェンリルを撃ち落としていくミラージュ。
パイロット「なんてやつだ!歯が立たない・・・!」
撃墜されたフェンリルの機体が観客席のほうへ突っ込んでくる。
大爆発。場内に悲鳴が上がる。

駆け出すミグ「ほら言わんこっちゃない・・・!」

プロメテウス社のブース
将軍「おいミラージュの性能はもう十分わかった、やめさせろ!」
ヴィン「さっきからやってますよ・・・」
ヘッドセットを付けるエド「ダメです制御できません!」

フェンリルの最後の一機を撃ち落とすミラージュ。
攻撃目標を地上に展示されている他社の新型戦闘機に移しミサイルで次々に吹き飛ばしていく。
爆音とともに火球が開く。逃げ惑う観客。

ヴィン「なんとかしろ!あんな真似したらオレたちが操縦しているって思われるだろ!」
エド「そんなこと言われてもシステムが暴走してるんだ!」
ミグ(インカム)「・・・イエーガーはどこにある?」
ヴィン「ブースの裏のC滑走路にあるけど・・・なにするつもりだ?」
ミグ「そいつでミラージュを止めてみる」
エド「打ち落とすんですか!?」
ミグ「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!このままじゃたくさんの人が殺される!」

会場の新型戦闘機を破壊し尽くしたミラージュ
コックピットの眼球状のカメラで次の標的を探す。
空港に着陸しようとするエアバスにミサイルの照準を合わせるミラージュ。
悲鳴を上げる乗客。

エアバスの前にイエーガーが立ちはだかる
ミグ「やめろ!私が相手だ!」
ミラージュがターゲットを変更しイエーガーに襲い掛かってくる。
イエーガーに機銃で集中砲火を浴びせるミラージュ
イエーガーの機体は頑丈だがどんどんゆがんでいく。
ミグ「ぐわああああ!」

地上
ヴィン「・・・なにをやってるんだ・・・」
エド「あの人、エアバスの盾になろうとしてるんです・・・」

まったく歯が立たないイエーガー号
しかし旅客機を守るために必死に盾になる
ミサイルでトドメを刺そうとするミラージュ

ミラージュのコンピューター
「敵機(UNKNOWN)の勝つ確率:0%・・・パイロットの行動:意味不明」

戸惑うミラージュ。
ミグにトドメを刺さずに航空ショーから飛び去っていく
ミグ「・・・撃たなかった・・・??」



航空ショーに急行するライトのリンドバーグ号。
航空ショーの会場の空港が紅く燃えているのに気づく。
ライト「なんてこった・・・」

火の手が上がるガリレオガリレイ国際空港。
消防車が大挙して押し寄せ消火、救助活動にあたっている。
警察の事情聴取を受けるヴィン
ヴィン「あれはサーペンタリウスがシステムを勝手に改造したんです。我が社の製品には何の問題もありません。
例えば誰かがテレビのブラウン管を修理しようとして感電して死んだとする、それは注意書きを無視して勝手にテレビを分解したやつの責任だ。会社はそこまでの責任を負う義務はない。」
警官「お話はわかりました・・・しかし・・・」
ヴィン「なにか?」
警官「戦闘機がそんなたやすく改造できちゃまずくないですか?ミニ四駆じゃないんですから」
ヴィン「サーペンタリウスの技術力をなめるな!」
警官「は、すいません・・・」
リンドバーグ号が滑走路に着陸するのに気づくヴィン「あ・・・続きはウェブで」
警官「ウェブじゃ困りますよ!」

リンドバーグ号から降りるライト
テントで救護班に手当を受けているミグもライトに気づく
腕に包帯を巻いてもらうミグ「ライト・・・!?生きてたんだ・・・!」
立ち上がるミグ
救護班「あ、動かないで」
ライトに駆け出すミグ「ライト!」

ライトに歩み寄るヴィン「ライト~!はっはっは、お前生きていたのか!よく緋色の旅団から逃げてきたな!」
ライト「緋色の旅団は壊滅したで。オレが作ったベガでな・・・」
ヴィン「へ?」

ヴィンを殴るライト
地面に倒れるヴィン。
その様子を見て立ち止まるミグ「!」

頬を押さえるヴィン「い・・・いきなりなにするんだ!!」
ライト「・・・・・・あの機体はどういうつもりや・・・」
ヴィン「どういうつもりって・・・ああ、お前が捨てたベガの設計図を応用したんだ」
ライト「・・・お前って最低やな、それがどういうことかわかっとんのか!?」
ヴィン「そんな怒らなくてもいいじゃないか・・・初恋の彼女に作ってやった飛行機を勝手に改造したのは悪かったよ・・・」
ライト「ああそうや。オレがどんな思いであれを作ったかなんてお前にはわからんやろ。
オレはな、戦争なんてどうでもいい、ただレオナに生きて帰ってきて欲しい一心でベガを設計したんや!」
「だからなんなんだよ・・・」
「まだわからんのか?このオレがどんな手段を使っても絶対に撃墜されないように作ったのがベガやったんや・・・レオナはたった一機で敵の前線基地を壊滅させたんやぞ。
それが暴走してたくさんの人間を殺した・・・周りを見ろ!」

炎に包まれる航空ショーの会場

「目を覚ませヴィン。お前の商売とやらで起きている現実がこれや。」
・・・だがオレたちはこの事態をなんとかする責任があるんちゃうんか?」
ヴィン「オレたち?」
「オレとお前で作った会社やろ・・・」
ヴィン「ライト・・・」

恐る恐るライトに近づくミグ「ライト・・・」
傷ついたミグに気づくライト「・・・・・・。」
いたたまれなくなるライト。
ミグを抱きしめて泣くライト「すまん・・・ミグ・・・!」
ミグ「・・・おかえり・・・」
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