『80日間宇宙一周 CRIMSON WING』没シーン

 今回の脚本には没シーンが数多くあります。
 その中でもとりわけ面白かったんだけど、物語のテンポが悪くなるということで使いようがなかった「オルドビス宮殿」のシーンを特別公開!
 制作裏話は、ちょっと時間がないのでまた今度。ではお楽しみください。

没だけど。

エド「社長くれぐれも発言には気をつけて・・・」
ヴィン「どうせこんな番組誰も見てねえよ」
「しっ!スタッフの人聞いてますから!!」
「だいたいオレが出たいって言ったわけじゃないからね。」
「そうですが、各方面からどうしても出て欲しいと・・・社長のメディアへの露出率で航空ショーの入場者数が大きく変わるので・・・」
「ふうん、土星の発展のためなら仕方ないか。」

「今夜のオルドビス宮殿は宇宙を股にかけたグローバル企業プロメテウス社長ヴィンセント・レイセオンが登場!年商1000兆ドルを稼ぐ宇宙最大のキャピタリストの成功哲学に迫る!」

司会「ようこそヴィンセント」
ヴィン「ありがとうダニー、ちなみに去年の年商は900兆ドルくらいだったと思うよ。みんな頑張ってくれたし、もうちょい稼ぎたかったんだけどね。」
司会「・・・航空ショーで発表した新型戦闘機ですが、そのコンセプトについてまずはお聞かせください」
ヴィン「ああ、あれね。あれがね、売れると思ったんだよ。でもさあどこも買ってくんねえの。
あれ、セレブ御用達の高級ホテルのドアと一緒だよな。」
「どういうことですか?」
「高級ホテルのドアって自動ドアじゃないんだよ。相変わらずドアマンが開けてくれんの。
アトラスホテルの社長にこの前聞いたんだ、なんでなのって?
そしたらあれ、ホスピタリティの精神が・・・とかは建前でさ、ドアマン雇ったほうが機械化するよりも安いんだって。それに人間に開けさせたほうが金持ちは優越感を感じるんだってさ。あのじじい面白いこと言うよな~って。あれ?これ言っていいんだよね?まあ適当に編集してよダニー」
「生放送です・・・」

エド「ゴードン氏これ見てたら卒倒するぞ・・・」

ヴィン「で、兵器もそうなんじゃないかなって。
本当は人が死なない戦争が理想なわけで、だからそういう戦闘機を作ったんだ。
でも死者が出てもいいから戦闘機に兵士を乗せたい奴らがいるんじゃないかって。オレはそういうのが嫌いなんだ。平和のための戦争って言うなら人死にが出ないほうがいいわけじゃない。
これからの目標は人の命を機械よりも重くすることだね。徹底的なコストカット。
そうすれば建前どうこうなんてものは事実にひれ伏すって。ミラージュ買ったほうが兵士雇うよりも安上がりだぞっていう事実にね・・・」
「多国籍企業が兵器製造を手がけるということで死の商人という批判もありますが、その点はどうお考えですか?ミラージュはパイロットは死にませんがたくさんの人間を殺すステルス爆撃機ですよね?」
「そうね。空から農薬まくもんじゃないからね。しかし我々はボーダーレスなグローバル世界に生きている。
公正なルールに基づく競争によって星によって格差ができるのは仕方がない事なんじゃない?
うちは金さえ払ってくれればどこにでも平等に売るからね。
土星の発展には一生懸命貢献してきたし、これからもそうするつもりだけれど。土星だけを依怙贔屓はしないよ。」
「ほかの星が購入したプロメテウスの兵器によって土星が攻撃されても?」
「それ以上に土星がうちの武器を買えばいいでしょって。」
「話を土星に移します。
昨今エコロジーが叫ばれていますが、都市部のエネルギーの大量消費が土星の環境を破壊しているという指摘は?」
「その手の批判はいつの時代にもあった。しかしデータを見たまえ。30年前と現代、死亡率はどっちが高かった?こんな住みにくい星はなかったよね?
当時の医師会や保険会社がどんなに批判してもラメトリーの登場で多くの人の命が救われたことには変わりがない。
君らの快適な生活は君らが叩いているテクノロジーによってなされたものだ。つまり僕の会社の技術だ。最近考えているんだ。そんなに土星にやさしくしたいならぼくはいつでも星中の電気を止める準備は出来ているってね。」
「それは極端な・・・」
「冗談だよ。そんな無責任なことはしない。私はこの星を愛している。だから最終的には責任をもって土星に住むすべての人々が健康で豊かに暮らせるようなインフラを整備したい。
現在文明の恩恵に預かっているのは全人口のたった二割に過ぎない富裕層だ。
しかし私はこれからもどんどん土星を開発し残りの八割も豊かにしていきたいね。
それを環境破壊と言いたいなら構わない。
今日はありがとうダニー」握手をしようとするヴィン。
「私の名前はジョンです・・・」
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