『ライジング・サン』

 ハッピーニューイヤー!ということで新年最初のブログ記事は、我が心の師マイクル・クライトン先生が、かつての日米貿易摩擦をとりあげた産業サスペンス、『ライジング・サン』をご紹介。

 どんな分野でも、取り上げるからには徹底的なリサーチを行うのがクライトン先生の仕事の流儀。今回も米国人から見た日本人の「異質さ」をリアルに描いています。
 松下幸之助の経営哲学、田中角栄とロッキード事件、竹下登とリクルート事件、社交辞令、系列、隠蔽体質・・・アメリカの人が、よくまあ日本人をここまで考察したよなあって感じでびっくり。

 この小説って『ジュラシック・パーク』の次に発表されていて、日本でクライトン先生の知名度がバーンと上がったあとのまさかのジャパンバッシング小説だったので、当時は色々と物議を醸したようですが、改めて読んでみると別に日本をそこまで悪く描いてはいない。
 ただ悪人がいてそれがたまたま日本人だったって感じ。そしてこいつは日本人の私から見ても「外道」。

 イシグロマサオお前のことだよ。

 こういうのって、例え指摘が合っていても、なんとなく面白くないから「いや~全然違うよ、やっぱアメリカ人は日本人をわかってないね~」とか言いたくなっちゃうものだけど、実際当事者だけが、その違和感に気づいてないってことはよくある。
 そして冗談抜きで日本人ってこういう生き物でしょ。表面上はうまく取り繕っても、ぼくらは初対面の外国の人になかなか心を開かない。

 「いろいろな点で、日本人は素晴らしい民族だ。勤勉で、知的で、ユーモアがあって。掛け値なしに誠実な人々だよ。ただ世界一のレイシストでもある。(略)日本人は好きだ。大好きだといってもいい。だが、わたしは日本人ではない。そして日本人は、決してそれを忘れさせてはくれない」

 いつだったか我が家に、本国ではテレビに出るほど著名なドイツ人の市議会議員さんが来たんだけど、やっぱり照れるのか、怖いのか、距離感を作ってしまう。とりあえず気を悪くさせないように笑顔を作ろうって・・・それが一番相手にとって失礼なんだよって!
 さすが200年以上引きこもってただけある。日本人は世界一のレイシストなんだな。

 「日本企業はMITに対して、教授職25人ぶんの研究費を寄付している。どの国よりもはるかに多い金額だ。なぜそんなことをするのか。あれこれと試したあげくに、日本人は知ったからだよ――自分たちにはアメリカ人ほどの創造性がないということをね。それでいて、革新的な技術はほしい。となれば、することはひとつだ。買うのさ」(470ページ)
 
 でさ、このセリフで思い出したんだけどさ、そもそも日本って、ある意味中国以上のパクリ国家だよね。
 しかも中国のように、ただ丸パクリするんじゃなくて、自分たちの使い勝手がいいようにチャチャっと改良しちゃうんだから始末に負えない。
 大体クールジャパンとか言われている日本のサブカルチャー、オタク文化だって、若い子は知らないだろうけど元はアメリカニズム。
 ただオリジナルがなんだか分からないほど自国文化のように昇華させてしまうから、まさかアメリカの真似をやっているとは気づかない。パクリのレベルが高すぎて自分たちのやってることがパクリだってことを忘れちゃうなんて、まったくひどいやつらだよ、ジャップは。

 それに今では信じられないけど、バブル期までの日本って今の中国みたいな感じで、確かIBMに産業スパイを送ったり、ニューヨークの名だたるビル(エンパイアステートビルやロックフェラーセンター)を買い占めちゃったり、なかなか相手のメンツを無視した、阿漕なことをやっていたらしい(実際東京の地価が高騰したときは、アメリカ全土が買える値段にまで上がった!)。
 こんな真似されて面白くないのは、もちろんアメリカ。日本人の狡猾さ、図太さに危機感を抱き、何より日本人の空気読め的な暗黙のルールに悩まされたという。クウキッテナンダ??? 

 よくTPP問題で「これをやったら日本はアメリカの企業に潰される…!」とか言う政治家がいるけれど(その意見に反対というわけではない)、その逆を日本はアメリカにさんざんやってきたんだよね。
 もちろんアメリカだってアンフェアなことは平気でやるけど、それにいちいち目くじら立ててもしょうがない。かつてのジャパニーズビジネスマンが言っていた通り今もビジネスは戦争なのだ。
 「あいつらライフルで撃ってきやがる!ひどい」って戦場で抗議する兵士はいないだろう。戦ってんだから。アウトレイジビヨンドの片岡さんが言うとおり「やったやられたはお互い様でしょ。」なのだ。
 
 「日本にアメリカの土地を買うなというのなら、売るなといいたい。――盛田昭夫(ソニー創業者)」

 しかしグローバル化、ボーダレス化が進んで、結局そこにあるのは仁義なき血みどろの抗争なのだろうか・・・国境や文化の壁を越えた共存共栄の友好関係は築けないのだろうか?
 作中で日本通刑事として登場するジョン・コナー警部は、日本人が好きだと言いながらも、やっぱり分かり合えない・・・と悲しそうにつぶやく。
 はっきり言って、このコナー警部、相手に対する無言の気遣い(KY=空気読む)も完璧で、私なんかよりもずっと日本のしきたりや礼儀に詳しいんだけど、日本という国を知れば知るほど、日本を完全に理解することなんて出来やしないって、わからなくなってくるんだろうな。

 「わたしには、アメリカで働いている日本人の友人が大勢いる。(略)友人たちは、いつもわたしに思い出してくれという――彼らはまず第一に人間であり、その次に日本人なのだと。残念ながらわたしの経験では、それが常に正しいとはかぎらないがね」(624ページ)
 
 価値観が多様化した現代では、こういった異文化理解(本当の意味でのポストモダン)は、同じ日本人の間でも考えていかなければいけない問題なのかもしれない。
 知らない相手に対するちょっとした気遣い・・・これは日本人が得意としたところだと思うんだけど、今の日本は皮肉なことに作中のアメリカと状況が似てしまった。そしてかつての日本の成金的ポジションはBRICsが元気に継承してくれている。
 追う側から追われる側へ・・・日本とアメリカは今こそ本当の意味で仲良くなれるかもしれないw「いや~今になって当時のアメリカさんの気持ちわかりましたよ~」とかw

 うるせえよ、いいからTPPやれこの野郎とか言われるんだろうなw

 おまけ:それと余談だけど、この小説って固有名詞が『ジュラシック・パーク』と、いくつか重なっている。例えばインジェン社の大口出資元ハマグチ社や、恐竜のDNA解析に使ったスパコン「クレイ」の顛末など。おそらく同時期に書いていたから、遊んでみたんだろうねw

 あと女体盛り出なかった。
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