西洋教育史覚え書き

西洋の教育の歴史をおおまかにとらえると・・・

古代:言語(=ラテン語)中心(キケロ)

中世:カトリック教会中心
(トマス・アクィナス)

近世:教会(スコラ学)批判。
特権階級だけだった教育の一般化

近代:産業革命
⇒労働者への教育(公教育制度:コンドルセ)。
役に立つか立たないか、実学的になる。主知主義(ヘルバルト)教師中心。

新教育運動:主知主義批判。子ども中心。
イギリス、フランス:子供の主体性を尊重
アメリカ、ドイツ:プラグマティズム、社会教育

現代:生涯学習、脱学校化



古代
古代ギリシャ
ソクラテス
『汝自身を知れ』 教師は産婆役 

プラトン
哲人政治『国家』 アカデメイア設立

アリストテレス
万学の祖 リュケイオン設立

プロタゴラス
古代ギリシャのソフィスト(職業教師)
「人間は万物の尺度である」=相対主義

古代ローマ
キケロ
古代ローマの政治家、哲学者
修辞学、弁論術。ヘレニズム文化をラテン語化する

クインティリアヌス
キケロを継承

プルタルコス
『対比列伝』(英雄伝) ルソーに影響


中世
トマス・アクィナス(イタリア)
『神学大全』


近世
人文主義教育
グァリーノ(イタリア)
全人教育(運動と遊びを交互に学習、共同生活)を提唱

ヴィットリーノ(イタリア)
グァリーノの弟子。
運動と遊びを重んじる「喜びの家」を経営

エラスムス(オランダ)
オランダの人文主義者 ルネサンス期最大の教育思想家。
『愚神礼拝』教会や学校の腐敗を批判

トマス・モア(イギリス)
すべての子供が教育を受けられる理想社会(ユートピア)を構想

ラブレー(フランス)
スコラ学を批判、実学的知識の習得を主張

ベーコン(イギリス)
帰納法の提唱。「知は力なり」


宗教改革
ルター(ドイツ)
カトリックを批判。プロテスタントの創始者。
聖書中心主義。全児童の義務就学
母国語による公立初等学校の設置を主張

イグナチウス・デ・ロヨラ(スペイン)
イエズス会を設立。カトリックのテコ入れ


近代
実学主義
ラトケ
ドイツの教育改革者。言語中心主義のキケロを批判。実学主義を提唱。
自然の順序にしたがって教育は行われるべきである。単純から複雑、母国語で教える
観察と実験を重視、強制は体罰はダメ

コメニウス(チェコ)
近代教授学の祖 直感教授法(子供が実際に事物を見たり触ったりすることを重視する方法。体験型学習)


市民革命
イギリス
ロック
イギリス経験論 精神白紙説 『教育論(教育に関する一考察)』

フランス
ルソー
フランスの啓蒙思想家 『エミール』 子どもの発達をふまえた消極教育
「自然に帰れ」

コンドルセ
フランス革命議会に公教育制度改革案を提出。権力からの独立と自立。宗教的中立。
教育の機会均等と無償化。

フランス革命(1789~1799)
1791年、フランス憲法で教育を等しく受ける権利が明記される。

ドイツ汎愛派
体操・乗馬・水泳などによる強健な身体の育成。
近代語・数学・物理学などの有用な知識の教授を重視。
これにより人間の啓蒙と理性化、国家的幸福と人類愛の実現を図る。
ルソーの思想の現実的展開であるといえる。

バセドウ
汎愛派の始祖。
ルソーやロック、コメニウスなどの啓蒙教育論に影響を受ける。
著書は『基礎教科書』ザルツマン、トラップ、カンペなどが後継者。
重商主義の観点から、教育の世俗化、教育行政の国有化を提案。教育は人間と国家の福祉を実現するための有効な手段であると考え、ルソーの自然を重視する教育論に影響を受けながらも、実学的な側面も持っていた(百科全書敵教育内容の重視など)。

カント
ルソーの『エミール』に影響。汎愛派の教育を熱烈に支持。
批判哲学の樹立 『教育学講義』

ヘルバルト
教育学を体系化。4段階教授法
(明瞭、連合、系統、方法)を提唱。
教授のない教育など存在しない!『一般教育学』⇒後に主知主義と批判される。

ライン
ヘルバルトの教育論をさらに発展。5段階(予備、提示、比較、概括、応用)にした。

フィヒテ
ベルリン大学初代学長。『ドイツ国民に次ぐ』連続講演

フレーベル
幼稚園の創始者。ペスタロッチの弟子。
恩物
(積み木やブロックなどの一連の幼児用教材) 『人間の教育』

スイス
ペスタロッチ
スイスの教育実践家。 『隠者の夕暮れ』『ゲルトルート教育法』『メトーデ』 直感教授を重視
「生活が陶冶する」


産業革命
ロバート・レークス
日曜学校を開講。

ランカスター
助教法、ベル・ランカスター法、モラトリアムシステム
クラスを小グループに分けて賢い子に教えさせる相互学習。

オーウェン
イギリスの実業家。空想的社会主義者。
ニューラナークに設立した性格形成学院で工場労働者の子供を教育。
子供の工場労働をやめさせた。

スペンサー
功利主義的教育論 生活できるため、幸福になるための教育。


新教育運動
イギリス
セシル・レディ
新教育運動(主知主義ではなく、児童の主体性を重んじる生活力・実践力の育成)の実践者
アボッツホームに学校を創設。植民地生活に適する人材育成。問題解決能力

ニール
世界一自由な学校サマーヒル学園を開設。権威や規則、強制をすべて排除。
すべてを教員と生徒の自治会で決定。知的能力よりも創造的能力を重視。

ドイツ
ナトルプ
教育の社会的意義。ヘルバルト学派の主知主義を批判。
「人間は、ただ人間的な社会を通してのみ人間となる。」

ケルシェンシュタイナー
同じくヘルバルトを批判。公民教育(国家、社会に役立つ国民の育成)『労作学校の概念』

ルドルフ・シュタイナー
人智学(ちょっと神秘主義的な考え)の創始者。自由ヴァドルフ学校を設立。知的情操を重視。
図画。工作、音楽、身体表現。

ペーターゼン
イエナ大学教授。イエナプラン(生活共同体学校運動)

シュプランガー
文化教育学。郷土的・民族的文化の導入

フランス
デュルケム
近代社会学の父。教育科学を提唱。『教育と社会学』『道徳教育論』

アメリカ
パーカー
進歩主義教育学の父。
クィンシー・メソッド=ペスタロッチ+フレーベル+ヘルバルト

デューイ
プラグマティズム
(経験主義、実用主義)。シカゴ大学に附属小学校「実験学校」を創設
「為すことによって学ぶ」

キルパトリック
デューイの後継。プロジェクトメソッド(問題解決学習) 目的設定、計画、遂行、評価

ウォッシュバーン
ウィネトカ市教育長。ウィネトカプラン(個人差をふまえた自学自習。学習進度に応じて進級)

ヘレン・パーカースト
アメリカの女性教員。ドルトンプラン(学習計画を教師と生徒が話し合い一種の契約をする、学習進度によってポイントが入る。)を実践

オルセン
コミュニティスクール(地域社会学校)。児童中心主義から社会中心主義への転換。

スウェーデン
エレン・ケイ
児童中心主義。
『児童の世紀』 能力別学習、自学自習。婦人運動。
「教育の最大の秘訣は教育しないことである」

イタリア
モンテッソーリ
女医。ローマに子どもの家を設立。特殊学級の手法を健常児教育に応用。
モンテッソーリ教具(木製のおもちゃ)を考案。自主性、独立心、知的好奇心を伸ばす。


現代
ラングラン
フランスの教育学者。生涯教育の提唱。

ブルーナー
アメリカの心理学者。認知心理学の生みの親。発見学習の提唱。
教育の現代化運動を推進。

イヴァン・イリイチ
オーストラリア出身の社会評論家。脱学校論。学校という制度の撤廃を主張。
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