「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆ 大人になれ三井☆☆☆☆☆」
ジョン、『フラッシュゴードン』は俺たちに一番影響を与えてくれた。彼から俺たちは善悪を学んだ。それに人気と演技力は比例しないってことも分かっただろう?
なんだこの“大人のトイ・ストーリー3”は・・・!いや~面白かった!最近面白い映画ばっかりに当たって幸せな反面、こうやってブログ書かずにはいられなくなっちゃうから、漫画が進まないというねw
『怒り新党』の有吉さんが、毒舌クマのぬいぐるみ「テッド」の声を吹き替えたってことで話題になった映画なんだけど、私なんか興味惹かれずにスルーしてたんですよね。多分それは若い女の子とかも、たくさん映画館に行ってスマッシュヒットしていたからだと思う。
私は基本的に、こういうかわいいキャラがえげつないセリフを言う作品とかは大好きで、自分の漫画でも初期はたくさんやったもんだけど、そのほとんどがドン引きされたから、若い女の子に受けているって時点で、あ~ハイハイその程度ね。って敬遠したんだと思う。
で、実際に今回鑑賞しての結論。テッドは毒舌キャラじゃないということ。『宇宙人ポール』と一緒で割といいやつで、下ネタ、ドラッグ、差別ネタも過激なようでいて、作品自体の雰囲気は割と爽やか。このバランス感覚には脱帽!
その理由は、主人公の成長ものとして、しっかりとした作劇構造があったからだと思う。小ネタはあるものの意外とぶれない、完成度の高さというか。
あなたは8歳じゃない。35歳なのよ。
この手のことは私もよく言われるから、もう感情移入が半端なくて。テッド(=オタク趣味)は好きだ。でもいい年になったからやめないといけない気もする。でもやめられない。このままでいいのかな・・・
以上のような葛藤は、30歳前後のオタク男子なら誰でも経験があると思う。よくネットとかで「オタク趣味って卒業しなきゃいけないものなんですか?」とか言ってるオタクがいるけど、あれ絶対痩せ我慢だと思ってるからね。
本気でそう思っているなら、そんな葛藤は微塵もないわけで、そこまでの強き意志のオタク(オタク第一世代)は少数派で、ほとんどはリアルとオタク趣味をどうコミットさせようかと、内心は悩んでいるライトオタクなんじゃないのかな。
そう言う意味で、この映画は、真のオタク――第一世代には生ぬるく、オタク趣味もリアルも捨てられない、中途半端なゆるいオタクの心をつかむように、うまく設計されている。
まあ、とはいえ私はリアルであまり「オタク」って言われたことがない。それと自分の趣味を割とあけっぴろげにするから、そこまで大した葛藤は経験してはいないんだけど・・・(^_^;)
これは恐竜オタクに、あまりセクシャリティがないから、異性にも引かれなかったのかもしれない。なんか性欲とかそういうのが芽生える思春期には、みんなとっくに卒業しているような子どもじみた趣味だからね。
萌え美少女とかが好きな奴とは年季が違いますよ。幼稚園くらいで美少女がガチで好きな人ってそんないないだろうし。
んで、クマのぬいぐるみと添い寝なんだけど・・・これはけっこう彼女にとっては厳しいもんがあるかもしれない(^_^;)あの彼女すごい優しい人だよねw
昔『走れシンデレラ』でもこういうシチュエーションを描いたからわかるけど、大人でぬいぐるみって、なかなかのもんだよwこれ大人の女性だと「I'mディズニーファン」とか言えて、そこまで引かれないんだろうけれどね。一転男になるとミスタービーンになるからね。女性ってだけで色々と得だよなあ・・・そう、『テッド』は漢の映画なんだい!
恐竜はなんとか自然科学の文脈でごまかせるけど、ぬいぐるみと添い寝はもう幼児性そのもので、なかなか言い訳もできないしなあ・・・でもテッドって生きているからね。しゃべるペットを飼っているもんだって彼女に説明すれば、よくよく考えればそんなにキモくもないか。
例えば、かわいい子犬を飼っていて、「私とその犬どっちが大事なの!?私を愛しているなら捨ててきて!」っていう女の方が独占欲こじらせた感じで、いろいろヤバそうだし・・・
だから、映画をメタ的に見れば、テッドは幼児性やオタク趣味のメタファーなんだけど、現実にああいう状況になったら(ならねえよ)けっこうキモがられないような言い訳は立つよなあって。
オタクとして生きるって、つまりはそういうことだと思うんだよ。「自分は○○が好きだ!自分が好きな○○を受け入れない奴は許せない!」って、オタクな自分をなんも社会にコミットさせようとせず、まるで社会が自分に合わせろと言わんばかりに振舞う、その子どもじみた姿勢が引かれてしまうわけで、どうやったらそのオタクな趣味を気持ち悪がられずに市民権を獲得するか、そういった地道な努力こそが大切なんじゃなかろうか。この映画の主人公はそれをしたんだろうね。
近代哲学じゃないけれど、世間が嫌悪する対象って別になんでもいいわけで、それを取り巻く人々の言説が結局、その対象の印象を良くも悪くもしてしまう、という。
なんか、話が小難しくなっちゃったから、最後にこれだけ書いたらおしまい。この映画、とにかくパロディが多いんだけど(アメリカのコメディ映画ってだいたいそうだが)、日本語吹替版では、セリフによっては「星一徹」とか「ガチャピン」とか、日本のサブカル文化に置き換えられたりしている。
特に自分が嬉しかったのは『ALF』ネタ。まあ『ALF』自体は、アメリカのシットコムなんだけど、やっぱり毒舌ふわふわキャラと言ったらアルフになるわけで、テッドが「ああ、あの変な番組のことか。インタビュアーのおっさんはずっと俺のことアルフと勘違いしてたっけなあ、目がテンだっての」って言ったのは爆笑w
長寿番組『所さんの目がテン!』と掛けてるんだよね。誰だ翻訳したやつ!?あ、町山さんか。
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