この前試験に行ったばかりなのに、またやってくるっていう。今回は暗記科目ばかりなのでスケジュールがキツキツ。教員採用試験も迫ってきてるしね。
しかし外国史概説はやっちまったなあ。レオン三世とレオ三世を取り違えるとは・・・つーかあれって読み方の問題なんじゃないの?ダメ?ンひとつで不合格って厳しなあorz
社会学とはなにか
しばしば社会学は三面記事と呼ばれる。
これは新聞が全4ページ構成だった頃、3ページ目が社会面だったことに由来。
様々な雑多な出来事を包括的に捉える。
サッカー、ロック、カフェ、茶髪、携帯電話・・・なんでもあり。
社会学の創始者
①オーギュスト・コント
フランス革命の混乱期に生きた社会学者。JSミルとは友達。
『実証哲学講義』で「社会学」という言葉を発案。
三段階の法則
人間の知識は神学的(神話、宗教)→形而上学的(哲学)→実証的(自然科学)という三つの段階を経て発展するという法則。
コントは社会学をこの実証的段階に対応する学問であるとした。つまり社会学は実証的な科学足り得ると考えたのだ。
②トマス・ホッブス
おなじみホッブス先生。社会秩序の成立を最初に理論的に研究したという意味でこの人を社会学の創始者に挙げる人もいるらしい。
③エミール・デュルケム
社会学の講義では必ず出てくる人。
コントやホッブスは時代的に古すぎてアカデミックな社会学者とは言えないため、デュルケムが社会学の理論的基礎を作った、よって彼が社会学の創始者だ!という人もいる。
④マックス・ヴェーバー
デュルケムと同じ理由でヴェーバー先生も社会学の創始者として挙げられることがあるらしい。政治学や経済学でも出てくるから、本当レンジが広い人だったんだろうな。社会学もそう言う意味じゃレンジが広いよね。その分漠然としててつかみどころがないけど…
⑤タルコット・パーソンズ
構造機能主義の創始者として知られる。その名のとおり、社会の骨組みである構造と、他の構造や社会全体に対して作用している機能に着目する学派。
社会を構成する個々の人間よりも、システム工学的な側面を重視するため、抽象的過ぎるとして批判も起きており、80年代以降は衰退しているという。
⑥ハーバード・スペンサー
テキストでは以上の5人が社会学の創始者として挙げられていたが、コントの影響を受けたイギリスの哲学者スペンサーも社会学の祖として知られている。
社会を構造と機能の観点から分析した社会有機体説(現在の構造機能主義の先駆け)が有名だが、「進化」や「適者生存」を発案した人のイメージが私には強い。
公平な観察者
アダム・スミスの著作『道徳感情論』に観察者という概念が行為者の対立概念として提示されている。属性は公平。
行為者がエゴ(利害関心)を抑制するのは、観察者の共感を得ようとするためで、そう言う意味で観察者は社会の安定化に一役買っているとされる。
ただアダム・スミスは観察者もできるだけ行為者の立場に立たなくてはいけないとも論じている。結局生きてる限り全ての人が当事者なわけだから。
社会
人々が相互行為を通じて固有の結合を作り上げている状態を指す。家族、仲間、クラブ、会社、組合、政党、国家など。
社会という言葉自体は明治初年に登場。幕臣、作家、政治家の福地源一郎が、この言葉を最初に用いたらしい。
福沢諭吉は「社会」に当たる言葉として代わりに人間の交際という言葉を用いた。
実際欧米のソサエティは組合や交際という意味がある。
しかし日本では社会に出るというと、疎遠な人間関係の空間へ出ていくような(世間の冷たい風に吹かれる)ネガティブなニュアンスがある。
名簿と規則
社会を定義する上で、それを構成するメンバーは特定されるべきか、また、メンバーの行動は何らかの規制を受けるべきなのか、という問題。
例えば家族はメンバーは特定されるものの、メンバーの行動を規制する明確な規則を見つけることは難しい(加藤家家訓??)。
名簿も規則もない集団の例では群集が挙げられる。
マージナルマン
境界人のこと。スナフキンみたいなもんで、どこに属するか定かにしないため内集団や外集団の攻撃や迫害の対象になるが、彼らの対立構造を客観的に分析できる位置にもある。アダム・スミスの公平な観察者に近い。
ユダヤ系ドイツ人のジンメルなどがマージナルマンの典型例。
また移民の国アメリカの社会学者サムナーが内集団と外集団を理論づけたことも興味深い。
社会学の社会学
社会学は取り上げる内容によっては研究や理論そのものが社会的な制約を受けてしまう。
社会学は知識や現象そのものも研究対象にするため、合わせ鏡のように自分の研究行為も研究対象になってしまう。
機械的連帯と有機的連帯
デュルケムが提唱。前者は同質のメンバーが機械的に結合している状態で原始社会を指し、後者は分業によってメンバーが有機的に結合している状態で近代社会がこれにあたるとされる。
分業がうまく機能していない状態をアノミー(無規制状態)であるとしたことは有名。
行為(4月出題)
行動の一種。しかし行動は動物でも行うが、行為は人間しか行わないとする。
行為は象徴(シンボル)によって社会的に意味付けられた行動を指す。
動物は記号と記号の内容が直接結びつくような単純な信号(シグナル)には反応するが、抽象的な象徴を操作することはできない(記号と記号の結びつきが間接的※言語やアレゴリーなど)。
社会名目論
社会は虚構であり、存在するのは社会が実在するように振舞う人間であるという立場。
社会実在論
社会は実在するという立場。社会が存在するように人間が振る舞うのもそもそも社会が存在するからであると考える。
デュルケムVSヴェーバー
デュルケムは社会は個人に超越すると考えた(社会的事実=社会実在論)。
社会はひとつの有機体のようなもので分解することはできない。
これに対してヴェーバーは社会は一つの実体ではなく、人々の個々の行為に分解できると考えた(理解社会学)。
ヴェーバーの理解社会学
ヴェーバーは人間の行為に着目する、そしてそれを4つに分類した。
①感情的行為
感情にかられて無意識のうちに行なう行為
②習慣的(伝統的)行為
習慣化してほとんど無意識におこなっている行為
③目的合理的行為
ある目的のために手段として意図的に行われる行為
④価値合理的行為
道徳的、宗教的、美学的といった固有の価値に基づく行為
自分に課せられた命令や責務を果たす為に行われる。
またヴェーバーは人間の行為を、手段的行為(インストゥルメンタル)と、行為そのものが目的である完結的行為(コンサマトリー)にも分類している。
ロバート・マッキーヴァー
アメリカの社会学者。彼はコミュニティとアソシエーションを対比させたことで知られる。
コミュニティは「私たちは仲間である」という感情で結びついた自然発生的に生まれた集団を指す。
これに対してアソシエーションは人々が特定の目的のために創設する集団を指す。サッカー日本代表など。
マッキーヴァーによると、家族や国家はコミュニティでもありアソシエーションでもあると言う。
ロバート・マートン
こちらもアメリカの社会学者。
官僚制の研究において、システムの部分が全体の目的において貢献した場合を順機能、逆効果だった場合は逆機能であると定義した。
家族(5月出題)
夫婦関係、親子関係、きょうだい関係などを基盤として成立する親族関係者の集団。
①家族は共同の住居を持っている
②家族のメンバーは感情的に融合している(コミュニティでありゲマインシャフト)。
③家族はメンバーの福祉を志向している
ジョージ・マードック
アメリカの社会学者で、核家族の機能を4つに分類した。
①性的機能
②経済的機能
③生殖的機能
④教育的機能
これらは全て人間の生産に関わる機能である。
パーソンズの性別役割分業
父→手段的役割(家族の外的な機能。職業。手段的)
母→表出的役割(家族の内的な機能。家事。完結的)
フィリップ・アリエス
フランスの歴史家。中世には子どもの概念はなかったという(小さな大人として扱われていた)。近代社会への移行において子どもの概念が誕生した。
中世では子どもの社会化は社会が担っていたが、近代に入るとそれを家庭と学校が担当するようになり、それが子どもの概念を生んだとアリエスは論じた。
センサス
国家の人口状態を把握するために行われる社会調査のこと。国勢調査など。
古代ローマでは皇帝アウグストゥスがユダヤで住民登録を行なった記録がある。
都市
①人口が凝縮している
②第二次~第三次産業が発展(大量の第一次産品を必要とする)
③広域的なコミュニケーションの中枢である(政治、経済、文化の中心)
④人工的な構築物(自然環境よりも文化環境、社会環境の特性が濃厚)
⑤移住者の空間であり自由を基調とする(不特定多数の人が出入り)
ゲオルク・ジンメル
社会を人間の相互作用の過程として捉えたドイツの社会学者。
大都市にはもっぱら悟性や貨幣によって支配されるような主知主義的傾向があるとした。
また都市は、人口密度が高いため身体的には密接しているが、精神的には疎遠であり、それは互いの敵意に転化する可能性をはらんでいるとも論じている。
だが精神的な疎遠には都市が自由な空間であることを裏付けるポジティブな側面もある。
ちなみにジンメルはシカゴ学派のパークの先生。
パークは都市のスラム化に着目した。都市化とともにローカルコミュニティが発生し、それが秩序基盤を喪失させていくという(社会解体)。
アーネスト・バージェス
シカゴ学派の中心人物。都心から郊外へ広がるにつれ5つの同心円地帯をモデル化した。
①都心地域(中央ビジネス地区)
②遷移地帯(イタリア人街、ユダヤ人街、中国人街、スラム地域)
③労働者住宅地帯
④住宅地帯(高級アパートメント、独立家族住宅の専用地区)
⑤通勤者地帯(郊外地区)
確かにアメリカって金持ちほど郊外に住んでいるイメージがあるなあ(^_^;)
スプロール現象
日本の都市でよく見られる、市街地の無秩序な拡大のこと。
インフラの整備が後回しになっているため、防災的にも問題になっている。
参与観察
観察対象の場所に実際住んでみたり、集団に加わってみること。
シカゴ学派のウィリアム・ホワイトはボストン市内のイタリア系移民のスラム街で実際生活したという。
フェルディナント・テンニース
ドイツの社会学者。
ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへという社会法則を提唱。
ゲマインシャフトは人間的関係で結合した集団。家族や田舎。有機的。
ゲゼルシャフトは利害関係で結合した集団。会社や大都会。機械的。
※デュルケムの機械的連帯から有機的連帯とは順序が逆!
規範
規範(ノルマ)の語源はコンパスであり、それは人々の行為のものさしである。
この規範に人々がどれだけ従っているかを評価することをサンクションという。
これは規範に同調する行為には報酬を、規範から逸脱する行為には罰則を与えるものである。
ベンサムはサンクションを4つに分類している。
①自然的制裁…不摂生で体を壊す
②道徳的制裁…世間から非難を浴びる
③法律的制裁…法的に処罰される
④宗教的制裁…神の怒りや罰を恐る
この内ベンサムは特に③を重視した。
規範は「慣習」「習律」「法」の三つに分類される。
①慣習
社会の構成員が日常的に繰り返すことで正当化される行為様式を指す。
②習律
一定の慣習が社会の安定のために必要であるという信念を伴ったものである。その意味でこの二つを厳密に区分することは難しいが、慣習に比べて習律の方が社会のメンバーを拘束する力が大きい(=すなわちサンクションも大きい)。
③法
日常的な行動の様式を遵守する慣習とも、順守の習慣を伴った慣習である習律とも区別される。なぜなら習律はそれを遵守しなければならないという信念は主観的なものであり、法律のような客観普遍性はないと考えられるからだ。
とはいえ法は本来慣習を基盤としており、それから完全に分離した法は客観的な拘束力および正当性を持ち得ないと思われる。
ヴェーバーの正当性論
政治学覚え書き③とかぶるけど再登場。
①伝統的支配
伝統によって権威づけられたモノに対する
②合法的支配
合理的な法律や命令権に基づく
③カリスマ的支配
ある個人に備わった非日常的なカリスマがもっている権威に対する
※また、このような支配の正当性が担保されるのは、被支配者がその支配を正当だと容認した時だけであるとヴェーバーは考えた。
道徳
主体の外部にある指針が法律ならば、道徳は主体の内部にある指針と対比させることができる。例えば、完全犯罪を成し遂げて法の目をくぐり抜けたとしても、なにか後ろめたい気持ちがあるならば、それは道徳的な罪を負っているからである。人間のこの道徳心について考察したのが、ユダヤ人の思想家のレヴィナスである。
レヴィナスは人間の顔に注目し、他者の顔が「汝殺すなかれ」という呼びかけを行っているというのだ。これに耳を傾ける義務が私たちにはあり、それこそが倫理の根拠となっているという。またカントは『実践理性批判』において、道徳とは何かの目的のための手段として扱ってはならず、自分の意志の格律が常に普遍的であるように行動すべきである、と論じた(定言命法)。
ロバート・パーク
シカゴ学派の社会学者。都市化によって従来の道徳的秩序が崩壊し、その結果反社会的行動が増加すると考えた。つまり逸脱は社会的統制が不十分な場合に生じると考える。
アノミー型自殺
デュルケムは、道徳的秩序の崩壊によって人々の欲求が無規制状態に陥り、そのような状態の中での焦燥や幻滅によって自殺をしてしまうという、「アノミー的自殺」を考えた。この無規制状態を表すアノミーはロバート・マートンによっても引用され、様々な逸脱行為の原因と考えられた。
ラベリング理論
シカゴ学派のハワード・ベッカーは、社会が人にレッテルを貼ることで逸脱者と同調者を区別するというラベリング理論を考えた。
逸脱者のレッテルを貼られたアウトサイダーが、やがて逸脱者としてのアイデンティティを獲得し、組織化された逸脱者の集団に加わっていく。これが逸脱行為そのものが理論的に正当化される過程である。
ベッカーは社会的統制そのものが逸脱行為を生み出す原因になっていると考えたのだ。
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