倫理学覚え書き①

 哲学の歴史、古代から中世まで。

古代ギリシャ

自然=ピュシス
神話=ミュトス ヘシオドス『神統記』オリュンポス12神
運命=モイラ

自然哲学者
自然を神話ではなくロゴス(論理)によって解明。アルケーの探求。

自然哲学初期(ミレトス学派)

タレス
ギリシャ七賢人の一人。アルケーは水

アナクシマンドロス
アルケーは無限定者(ト・アペイロン)

アナクシメネス
アルケーは空気

自然哲学中期

ピタゴラス
アルケーは数。

ヘラクレイトス
万物は流転、戦いが万物の父。アルケーは

エンペドクレス
アルケーは火、空気、土、水の4大元素説。愛で結合、憎しみで分離。

自然哲学後期

デモクリトス
アルケーは原子。唯物論(人間の魂も原子によって構成)。

プロタゴラス
代表的ソフィスト。ソフィストは弁論術を教える職業教師のこと。
慣習や法(ノモス)はポリスによって異なると考えた。
人間は万物の尺度である(相対主義)。

ソクラテス
デルフォイの信託で問答法の対話をはじめる。
賢者の思い込み(ドクサ)を批判(無知の知)。

プラトンによる対話篇
『ソクラテスの弁明』ソクラテスの裁判
『クリトン』ソクラテスが国外逃亡を断る経緯
『パイドン』ソクラテスの死

アレテー(卓越性)
馬では速さ、ナイフでは切れ味といったもの。
人間では徳を持つ優れた魂が善い人のアレテー

知徳合一 徳が何か知っている人が徳を持つ
知行合一 徳の知があれば徳のある行いができる
福徳一致 徳を備えることが幸福

プラトン
アカデメイアで弟子を育成。
イデア界と現象界の二元論。
理性でイデアを捉えることでエピステーメー(真理)が獲得。

想起説
人間がイデアを認識できるのは、誕生前に住んでいたイデア界をエロース(イデア界に憧れること)によって思い出しているからだという説。

『国家』
正義とは何か?
哲人政治(統治者は哲学者がベスト)

人間の魂=理性(知恵)+気概(勇気)+欲望(節制)

ギリシア四元徳 知恵、勇気、節制、正義

統治者階級(知恵を担当)、防衛者階級(勇気を担当)、生産者階級(節制)

アリストテレス(ペリパトス学派)
ペリパトスとは散歩という意味。リュケイオンという学園で散歩しながら議論した為。
イデア界を否定。アレクサンドロス大王の家庭教師。

目的論的自然観
運動や生物の成長は、質料(ヒュレー=素材)が形相(エイドス=内在する本質)を実現する過程だと考える。
可能態(デュナミス) 質料が形相を実現していない状態。
現実態(エネルゲイア) 質量が形相を実現した状態

幸福論
最高善は幸福。幸福は真理を愛し求めるテオーリア(観想)
知性的徳 理性の良さ
倫理的徳(習性的徳) 人柄の良さ。習慣によって形成。友愛と正義。

全体的正義 ポリスの法を守ること
部分的正義=配分的正義(功績に報酬)+調整的正義(損得を平等化)

中庸(メソテース)が徳につながる。共和政治を支持。

ヘレニズム期

エピクロス派 
快楽主義。精神の平安(アタラクシア)

ストア派
禁欲主義。ゼノンが創始。キケロ、セネカ、皇帝マルクス=アウレリウス。
不動心(アパティア)
コスモポリタリズム(世界市民)、自然法思想のパイオニア

ユダヤ教
旧約聖書を聖典。他にも口承で伝えられたタルムードなど
ユダヤ人=他称ヘブライ人=自称イスラエル人
ユダヤ人はもともと遊牧民。カナン(パレスチナ)に移住。
出エジプト モーセ 十戒 バビロン捕囚
一神教 偶像崇拝 契約、選民思想 終末思想 メシア

神の国
イスラエル国家が再建されること。

キリスト教
旧約聖書と新約聖書を聖典。
新約聖書はマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの福音書から構成。
イエスはユダヤ教のパリサイ派の律法主義を批判したため死刑にされた。
イエスは律法に神への愛と隣人愛を追加し完成させようとした。

アガペー
無差別無償の神の愛

黄金律
自分がしてもらいたい事を人にもやること

神の国
イスラエル国家ではなく、信仰と愛を実践する心の中に神の国はあるとした。

ペテロ
イエスの一番弟子で、もともとは漁師。イエスに意志の強い性格を買われ(岩というあだ名で呼ばれていた)、死後自分の教えを広める役割を託され、布教活動の中核となった。これがローマ・カトリック教会の礎となり、サン・ピエトロ大聖堂は彼を称えたもの。
福音書の中で、イエスから天国の門の鍵を授かるエピソードがあるため、彼を描いた宗教画にはたいてい鍵が描かれている。

パウロ
キリスト教を世界宗教化。イエスの贖罪と、人間の原罪。
信仰義認説 正義は律法ではなくイエスへの信仰

キリスト三元徳 信仰、希望、愛

アウグスティヌス
教父(教会主導者)哲学を完成。カトリックの教義を体系化し、教会制度の意義を確立。
三位一体論 神、イエス、精霊はひとつの神の現れ
自由意志の否定 原罪を背負っているので人間の意志は神の意志には敵わない
恩寵予定説 誰が神によって救われるかはあらかじめ決定されていて変更不可。

スコラ哲学
キリスト教会付属の学校で教えられた哲学。

トマス・アクィナス
哲学は信仰のハシタメ

オッカム
唯名論(実在するのは固有の事物だけで抽象・普遍は存在しない)。
信仰と理性は無関係だとして、哲学と神学を分離。オッカムの剃刀。

イスラム教
イスラム(語源のサラーム)は平和という意味。ムスリムは神への服従を意味する。コーラン(読誦)を聖典とする。ブタとイヌを不浄とし、ブタは食べないし、イヌをいじめる。
アッラー 唯一絶対の超越神でユダヤ教やキリスト教の神と同一(啓典の民)
アブラハム 旧約聖書に登場する預言者だが彼を最初のムスリムとする。
ムハンマド 最大(神の言葉を唯一正しく伝えたから)で最後の預言者。
イスラム法 ムハンマドの言行録を元に作られる。ムスリムの掟。
ウンマ イスラム共同体のこと。
ジハード もともとはアッラーの教えを広めるよう努力すること。
カリフ 代表者のこと。初代~4代目までを正統カリフという。

六信 神、天使、聖典、預言者、来世、天命

五行 信仰告白、礼拝、断食、喜捨(財産を貧しい人に分ける)、巡礼


バラモン教
ヒンドゥー教の原型。
カースト制度(聖職者バラモン>貴族クシャトリヤ>庶民ヴァイシャ>奴隷シュードラ)
カルマ 生前に積み重ねられた行ない
因果応報、自業自得、輪廻転生

ウパニシャッド(奥義書)哲学
ブラフマン(宇宙)とアートマン(自我)を一体化(梵我一如)するために苦行やヨガをする。

ジャイナ教
ヴァルダマーナが開祖。苦行とアヒンサー(不殺生)。厳しい。

仏教
ガウタマ=シッダールタが開祖。座禅して瞑想して悟り。
快楽だけでなく、苦行も否定。すべての生命に愛。慈悲。
初転法輪 ブッダの最初の説法
無明 苦しみの元である根本的無知のこと
涅槃(ニルヴァーナ) 真理を体得して無知を滅した時(解脱)にやってくる安らぎ

四門出遊
ブッダはお城の東西南北の門でそれぞれ老人、死人、病人、修行者に出会ったことで出家したというお話

四苦八苦
生・老・病・死
愛別離苦 愛する人との別れ
怨憎会苦 憎いものと出会う
求不得苦 求めるものが得られない
五蘊盛苦 肉体と精神が思うままにならない

諸行無常 あらゆるものは変化する
諸法無我 それ自体独立して存在するものはない=アートマンもない!(バラモン教と逆)

四法印 一切皆苦、諸行無常、諸法無我、涅槃寂静

四諦(したい)
四つの真理という意味。苦諦(人生苦しい)、集諦(苦しみは煩悩のせい)、滅諦(煩悩をなくすと涅槃の境地に)、道諦(そのための修行法は八正道だよ)

八正道
正見(正しい見解)、正思(正しい思考)、正語(正しい言葉)、正業(正しい行い)、正命(正しい生活)、正精進(正しい努力)、正念(正しい事を心にとどめる)、正定(正しい瞑想)

五戒
殺さない、盗まない、淫らな事をしない、嘘をつかない、酒を飲まない

原始仏教→上座部仏教(保守派)、大衆部仏教(革新派)

小乗仏教(上座部仏教)
個人の解脱。人間は仏になれない。自利の仏教

大乗仏教(北伝仏教)
みんなの救済。誰でも仏になれるよ。利他の仏教
般若、華厳、法華

菩薩 大乗仏教で仏になろうと誓った人

儒家

孔子 
周が弱体化した春秋時代の学者。古代の歴史書に学ぶ。特に初期の周で封建制度を制度化した政治家周公を尊敬。
礼(仁が態度になって現れること)を重んじる。
ちなみに、仁は他者への親愛のことで、孝(親の親愛)、悌(兄弟への親愛)からなる。
克己復礼 わがままを抑えて礼に従う
徳治主義 人徳のある人が国家を収めるべきだという考えで法治主義の逆。

孟子
性善説。人は生まれながら道徳心を持っている。
浩然の気 正しいことをしようとする意欲
大丈夫 高い道徳心を持つ理想の人
王道政治 徳に基づいて人民の幸福を目指す政治。武力に訴える覇道政治の逆。
易姓革命 王朝の姓が変わること。

四徳 仁(思いやり)、義(正義の心)、礼(礼儀正しさ)、智(道徳的判断力)

荀子
礼治主義。人間は利己的なので(性悪説)礼に基づく教育によって矯正が必要

前漢の時代に儒教は公認の学問になり、宋の時代に朱子学(儒教+仏教)、明の時代に陽明学ができた。

朱子学
理気二元論、性即理(理性が原理を捉えること)、居敬窮理(理を極める)
『大学』『中庸』『論語』『孟子』が基本経典。科挙の必須科目に。

陽明学
王陽明が確立。理性重視の朱子学を批判し、欲望や感情も肯定(心即理)。
孟子の性善説を継承。主体性(致良知)や具体的実践を重視(知行合一)。

墨家

墨子
兼愛 一切の区別のない平等な愛←孟子が批判!
交利 人を愛すれば愛され、人を憎めば憎まれること。
非政 非戦論。自衛戦争はOK
節用 為政者は倹約しろ
尚賢 能力のある人は身分に関係なく積極的に登用

法家

韓非子
荀子の性悪説に影響。
法治主義 褒美や刑罰で社会秩序を維持。
中央集権と富国強兵。秦の始皇帝に影響。

道家

老子
儒家を批判。無為=道徳、礼儀、学問、知識、技術みんな否定。
無為自然 水のようにありのままに生きろ
無為の治 政治家なしで自然と社会が安定するのがいい政治
小国寡民 自給自足の小さな共同体

荘子(胡蝶の夢)
万物斉同 価値や意味など人間の作った差別、対立を超えたありのままの世界
逍遙遊 すべてを受け入れて自然の世界と遊ぶ様。
真人 逍遙遊の境地に達した自由人のこと
心斎坐忘 分別やこだわりを捨て、自分を忘れる

その他の諸子百家
陰陽家 陰陽五行説(火、水、木、金、土)
兵家 兵法
名家 言葉の分析
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