哲学の歴史、ルネサンスから近代まで。
ルネサンス(14世紀~)
ピコ=デラ=ミランドラ(自由意志論)
『人間の尊厳について』で自由意志論を主張(運命論の逆)
すべての哲学や宗教を融合!
人間とは小宇宙であり、自然の秘密を知ることで、創造主と一致する。
人間の自由と独立を強調。
マキャベリ(マキャベリズム)
おそらく三度目の登場。イタリアの外交官。
『君主論』で権謀術数主義を主張。
当時のイタリアは神聖ローマ帝国(ハプスブルグ家)とフランス王(ヴァロワ家)がイタリアの支配をめぐって争っており(イタリア戦争)、マキャベリは国を収める強い王様を求めた。
北方ルネサンス(15~16世紀)
エラスムス(痴愚神礼讃)
おそらく二度目の登場。
オランダのカトリック司祭でありながら『痴愚神礼讃』で教会の堕落ぶりを風刺。
同じくカトリック教会を批判したルターとは自由意志の是非をめぐって争うことに。
『自由意志論』はローマ教皇の依頼でエラスムスが書いた、ルターへの反論。
※16世紀の宗教改革は世界史覚え書きでまとめたので割愛します。
トマス=モア(ユートピア)
エラスムスの友人のイギリス人文学者、政治家。
『ユートピア』で私有財産と貨幣が存在しない理想の楽園を構想。
当時のエンクロージャーを批判した。つーかやっていることSF作家w
フランスモラリスト(16~17世紀)
人間はいかに生きるべきか?=道徳がテーマ。
モンテーニュ
『エセー』私は何を知るか?=ク・セ・ジュ?
一方的な独断と偏見を批判する懐疑主義。
ユグノー戦争に対して宗教的寛容性を説く。
パスカル
人間の理性を過大評価するデカルトを否定。
人間は、無限と虚無、悲惨と偉大の中間者。
「自分の悲惨を知らずに神を知ることは高慢」
「神を知らずに悲惨を知ることは絶望」
「イエス・キリストを知ることはその中間」
パスカルの賭け 神の存在を証明できなくても神に賭けるのは損じゃないということ
理性能力(幾何学の精神)と直感能力(繊細の精神)を区別。
科学革命(16~17世紀)
ニュートンが大成。
古代ギリシャの目的論的自然観から法則や因果律を研究する機械論的自然観に。
コペルニクス
プトレマイオスの天動説をひっくり返す地動説を主張。
カトリック教会に何言われるかたまったもんじゃないから地動説をまとめた『天体の回転について』は死後出版された。
ちなみにコペルニクスはカトリック司祭でもあり、宇宙を支配する神(=惑星の完全な円運動)を説明する上で天動説よりも地動説の方が都合が良かったため地動説を主張したのであって、別に宗教アンチではなかった。
ケプラー
コペルニクスの地動説を証明しただけじゃなく、より優れた惑星運動理論であるケプラーの法則を観察によって導いた天文学者。
①惑星の軌道は楕円。
②一定時間公転した惑星の軌道と太陽とを結ぶ線分が囲む面積は等しい。
③公転周期の2乗と、楕円軌道の最も長い半径の3乗は、どの惑星でも比例する。
ガリレイ
慣性の法則(振り子)や落下の法則(ピサの斜塔)を実験によって発見。
「自然の書物は数学の言葉で書かれている」
コペルニクスの地動説を支持したが宗教裁判で有罪判決を受けてしまう。
ニュートン
万有引力の法則を発見、古典力学を完成した天才。
『プリンキピア(自然哲学の数学的諸原理)』慣性の法則、運動方程式(ベクトル)、作用反作用の法則、微分積分、光のスペクトル分析。
イギリス経験論(16~17世紀)
ベーコン(イギリス経験論創始者)
『ノヴム=オルガヌム』(新しい道具)で自然に関する知識(一般法則)によって自然を支配し、人類は発展できると主張。→知は力なり
①種族のイドラ 自然を擬人化など、人間という種族に固有の偏見
②洞窟のイドラ 個人の狭い経験に基づく偏見
③市場のイドラ 噂話、都市伝説など、言語、情報に基づく偏見
④劇場のイドラ あの人が言うなら正しいという、権威を信じ込むことによる偏見
先入観なしで観察から客観的事実を導く帰納法の重要性を訴え続け、冬の日に肉の冷凍保存の実験をして風邪をひいて死去。
ロック(生得観念の否定)
タブラ=ラサ(磨いた文字板) 生まれた時は白紙状態であり生得観念は存在しない
ビャクルリ(素朴観念論)
「存在するとは知覚することである」「精神とは知覚の束である」
知覚しないと精神も物体も存在しない!素朴実在論を否定。
MOTHER2のムの修行っぽい。
ヒューム(懐疑論)
経験論を突き詰め、精神や物体の実体や因果律すら否定した懐疑論のパイオニア。
カントに影響を与える。
大陸合理論(17世紀)
デカルト(大陸合理論創始者)
フランスの数学者。1+1=2のような数学の公理は、経験によって得られるものではないので、数学者のデカルトは経験よりも理性を重視した。
われ思う、ゆえにわれ有り=明晰判明な真理=哲学の第一原理
物心二元論 精神の性質は思惟、物体の属性は空間的延長
暫定的道徳 ①周囲の道徳、法律、習慣に従え②不決断ダメ③自分に負けるな
高邁の精神 感情や欲望を理性でコントロールできる人が気高い人
精神指導の四つの規則
①明証の規則 明らかに真でない限り真としない(方法的懐疑)
②分析の規則 必要な部分に絞って問題に当たる
③総合の規則 簡単な問題→複雑な問題
④枚挙の規則 見落としがないように全体を見通す
スピノザ(汎神論的一元論)
『エチカ』(倫理)で神を唯一の実体としたオランダの哲学者。
神即自然 神=自然という意味。よって自然の一部である人間も神ということに。
永遠の相の下で 神の視点から見れば偶然的なことも全て必然
神は自然を超越すると考えたユダヤ教に無神論と批判され、破門。
ライプニッツ(モナド論)
言語学や論理学、確率論、計算機などを研究したドイツの数学者。
『モナドロジー』でモナド(個別的精神実体)を①世界を表象するもの②欲求に従い自発的に運動するものと定義。神を完全で最高のモナドとした。
予定調和説 モナドの調和、秩序は神によってあらかじめ決定されているという考え方。
社会契約説(17~18世紀)
グロティウス(国際法、近代自然法)
国際法の必要性を説いた外交官として知られるが、ストア派のロゴスに由来する自然法を神の存在を前提とせず説明したことから、近代自然法の父とも言われる。
人間の本性は社会的で、神を必要としなくても社会秩序は形成される。
『戦争と平和の法』『海洋の自由』
ロック(宗教的寛容)
同一記事で二度目の登場。
タブラ=ラサや社会契約論のロックは、政教分離を主張した人でもある。
異なる宗教的立場をお互い認め合おうという宗教的寛容を主張したが、そこに無神論者(当時としてはありえない)とカトリック(カトリックのシステムは政教分離じゃないから)は含まれなかった。
ルソー(直接民主制)
イギリスの代議制の実態を「イギリスの人民の自由は選挙の時だけで選挙が終われば奴隷」と批判。フランス革命に大きな影響を与えた。
フランス啓蒙思想(18世紀)
理性による人間の進歩と発展を肯定する立場。ただし文明嫌いなルソーは例外。
ヴォルテール(理神論)
神は自然の秩序を作り出した存在であり、自然界の秩序こそが神だとした。
よって神は人格的存在ではなく、奇跡や啓示などで人間には干渉しない。
『哲学書簡』でニュートンやロックなどイギリスの進歩的な思想や文化を紹介。
フランスの遅れを批判。ダランベールと友達。
ディドロ&ダランベール
『百科全書』の編集責任者。ディドロは専門は生物学でダランベールは物理学。
唯物論や実証主義を主張。経験的に実証できないものの存在は認めないので形而上学を否定し、幾何学や算術は経験科学の一部とした。
ドイツ観念論(18世紀)
カント(ドイツ観念論創始者)
おそらく十回目くらいの登場。
『純粋理性批判』で大陸合理論とイギリス経験論を融合。
純粋理性(理論理性)には、そもそも何ができて何ができないかを考察(批判)した。
空間や時間は感性に先天的に備わる形式だと考え(ア・プリオリ)、経験論が否定した因果律も悟性の判断能力の一つの類型(カテゴリ)だとした。
感性(経験的)→悟性(合理的)→理性
対象は認識(悟性の判断能力)によって決定される(コペルニクス的転回)。
『実践理性批判』では道徳能力としての理性を、『判断力批判』では美的判断力をテーマにした。
理論理性は現象界を対象とし、実践理性は叡智界を対象とする。
格率 主観的な行動方針のこと。ルソーの影響を受けている。
「汝の意志の格率が同時に普遍的な立法の原理として妥当しうるように行為せよ」
目的の王国 人格を手段ではなく目的とみなしあう共同体のこと。
フィヒテ
ベルリン大学初代総長。カントの理論理性と実践理性を統一。
フランス革命を支持。
シェリング
ヘーゲルとは同窓生。主体と客体の根本的同一性を主張。
ヘーゲル(ドイツ観念論大成者)
弁証法 対話をすれば正VS反→合って感じでレベルアップ(アウフヘーベン)
人倫 客観的な法と主観的な道徳がうまい具合で一致したもの
家族(平等)→市民社会(個人の独立、不平等)→国家(個人の独立+平等)
功利主義(18~19世紀)
アダム・スミス(古典派経済学)
近代経済学の父。カントの動機説と対極的な行為の結果説を主張。
『国富論』『道徳感情論』
ベンサム(量的功利主義)
快楽=幸福、苦痛=不幸という快楽計算。最大多数の最大幸福。
ベンサムの考えは、普通選挙(誰でも一人一票)に影響を与える。
サンクション(制裁)
①自然的制裁 不摂生をすると体を壊す
②道徳的制裁 世間の非難や賞賛
③法律的制裁 司法で処罰※ベンサムが重視
④宗教的制裁 神の怒りや罰
JSミル(質的功利主義)
効用の原理、快楽計算は短期的じゃなく長期的な目標にすべし。
イエスの黄金律を理想とし、サンクションは良心の痛み(内的制裁)を重視した。
『自由論』で他者に危害を加えない限り何をやっても自由にすべしと述べた(~からの自由=バーリンで言う消極的自由)。代議士時代には女性参政権を主張。
実証主義(19世紀)
コント(社会学の創始者)
神学的段階(神話・宗教)→形而上学的段階(哲学)→実証的段階(自然科学)
軍事的段階→法律的段階→産業的段階
空想的社会主義のサン=シモンに影響を受けている。
病弱な恋人の死をきっかけに人類教を創始。人類教はブラジルの革命運動に影響。
スペンサー(社会進化論)
社会有機体説。
『総合哲学体系』で社会は軍事型社会から産業型社会へ進化することを主張。
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