平和主義(憲法第9条)
①戦争放棄(第9条1項)
「永久にこれ(戦争と武力の行使)を放棄する」
自衛権も放棄したのかが争点。正当防衛=個別的自衛権(自然権)は放棄せず?
集団的自衛権は禁止。いろいろ今動いてるけど(憲法解釈を変更しようとしている)。
②戦力不保持(第9条2項前段)
「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」
戦力に自衛隊は含まれるのか?自衛のための必要最小限度の実力にすぎない?
③交戦権の否認(第9条後段)
「交戦権はこれを認めない」
92年のPKO協力法は合憲。停戦勧告・監視のみで交戦は含まれず。
統治行為論
国家の行為のうち国家統治の基本に関わるような極めて政治性の高い案件に関しては裁判所の司法審査対象にならないという考え。
日米安保問題
初代日米安保条約(日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約)
51年にサンフランシスコ平和条約とセットで締結した。講和条約を結ぶとアメリカ軍は引き上げなければならないため、これにより契約更新となった。
ポイント
①日本が独立したあとも米軍が日本に駐留できる。
②自国を防衛する努力を日本に要請。
③駐留アメリカ軍は日本の安全に寄与するために使用できる。
④ただし③は特に確約はしてない。
⑤日本で内乱が起こったらアメリカは軍事介入できる(内乱条項)。
新安保条約(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)
岸信介首相が不平等だった日米安保条約を改訂しようと持ちかけた。
批准を強行採決したため「民主主義の破壊だ!」ということで60年代安保闘争に。
明治、中央、東京大学の学生が国会に突入、東大の女子学生が亡くなったことで全国に衝撃。
岸首相は自衛隊の出動を要請したが、防衛庁長官は拒否。
この混乱でアイゼンハワー大統領の来日は中止(警備体制に不安があったため)、74年のフォード大統領が初の訪日大統領になった。
ポイント
①アメリカの日本防衛義務が明確化。
②日米政府の事前協議の枠組みが設定。
③日米の政治的・経済的協力の促進。
④主権を侵害するとして内乱条項は削除。
⑤駐留アメリカ軍の行動はアメリカ議会の承認が必要。
⑥1970年までの期限付き条約(現在自動延長)
日米地位協定
アメリカ軍に基地を提供する取り決め。
アメリカ軍兵士への特権、税金免除。裁判権。
日本の警察は悪さをしたアメリカ軍兵士を基地内で逮捕できないなど、不平等性が指摘されているが、地位協定自体は日本の自衛隊が国外で活動する際にも保障されている特権である。
1989年冷戦終結
↓
1990年湾岸戦争
日本は130億ドルもの資金を多国籍軍に提供したがクウェートに感謝もされず、やっぱり金だけ贈るんじゃダメで、自衛隊を国際貢献のために派遣させるべきだということになる。
↓
1991年自衛隊ペルシャ派遣
自衛隊初の海外派遣。多国籍軍と共にペルシャ湾の機雷を処分した。
↓
1992年PKO協力法
東南アジアのカンボジアにPKOとして初めて自衛隊を派遣。道路などインフラを整備した。
以降自衛隊はモザンビーク→ゴラン高原→東ティモール→ネパール→スーダン→ハイチなどに派遣されている。
↓
1996年日米安保共同宣言&1997年日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)
橋本総理&クリントン大統領が発表。
冷戦終結後も日本でのアメリカ軍の水準を維持。日本周辺の有事の際には日米が協力。
↓
1999年周辺事態法
新ガイドラインを具体化。アメリカ軍の活動への自衛隊の後方支援などを定める。
日本が直接武力攻撃を受けたときに限定されていた日米防衛協力の範囲が拡大。
↓
2001年テロ対策特別措置法
同時多発テロを受けて、自衛隊が初めて戦時に海外派遣。インド洋でアメリカ軍に給油活動。
↓
2003年イラク復興支援特別措置法
内戦状態のイラクに非戦闘地域があるのか?という質問に、小泉総理が「自衛隊が派遣されるところが非戦闘地域」というよくわからない答弁をしたことはあまりにも有名。
砂川事件
1957年、立川基地拡張に反対する砂川町の住民がデモを起こし、基地の柵を壊して中に入ってきてしまった事件。学生運動、安保闘争、全共闘運動の先駆けとなった。
↓
東京地裁第一審(1959年3月:伊達判決)
伊達秋雄裁判長が駐留米軍に違憲判決。検察側が飛躍上告(控訴飛び越し)。
↓
最高裁(1959年12月:飛躍上告審)
統治行為論に基づき憲法判断回避。デモ隊の7人に逆転有罪判決。
↓
東京地裁差し戻し審(1961年)
罰金2000円の有罪判決。
自衛隊問題
1950年朝鮮戦争がきっかけでアメリカの要請(ポツダム政令)で警察予備隊が結成。
↓
1952年に保安隊に。
警察予備隊と海上警備隊が合体。
↓
1954年航空自衛隊新設。
保安隊を陸上自衛隊、海上自衛隊と改称し自衛隊が誕生。
軍隊ではないということなので呼称がややこしいことになっている。
戦力→実力
軍事費→防衛費
戦車→特車
爆撃機→対地支援戦闘機
戦艦・巡洋艦→護衛艦
軽空母→輸送艦
※ただ海外にセルフディフェンスフォースと言っても伝わらないのでジャパンネイビーとおもいっきし言ってる。
芦田修正
1946年、芦田均日本政府憲法改正小委員会委員長が第9条第二項に「前項の目的(国際紛争を解決する手段としては)を達成するため」という文言を付け足した。
これにより国際紛争を解決する手段としては戦力を放棄したが、自国を守るためなら保持してもいいと解釈できるようになった。
憲法変遷論(解釈改憲)
自衛隊は第9条解釈ではどう考えても違憲だが、存在の必要から国民の合意が得られたとして、事実上認めようとする学説。
長沼ナイキ基地訴訟
夕張郡長沼町に航空自衛隊のナイキハーキュリーズ地対空ミサイルの基地を建設するため、1969年に政府が保安林の指定を解除したことに対し、住民が取り消しを求めた行政訴訟。
↓
札幌地裁第一審(1973年:福島判決)
福島重雄裁判長は憲法第9条2項前段「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」に違反するとして違憲判決。また住民の平和生存権を侵害するものであるとした(ミサイル基地が敵国の攻撃目標になる可能性が高いため)。
↓
札幌高裁第二審(1976年)
統治行為論に基づき憲法判断回避。森林を失うことによる洪水の危険は代わりにダムを作るから勘弁してということになった。
↓
最高裁(1982年)
住民側の訴えを利益がないものであるとして棄却。違憲審査には言及すらしなかった。
下級裁判所では日米安保条約、自衛隊に対してそれぞれ一度だけ違憲判決を出している!
最高裁は日米安保条約、自衛隊に対して一度も違憲判決は出していない!
恵庭事件
北海道千歳郡恵庭町に住む酪農家兄弟が近くの自衛隊の演習場の銃声がうるさいとして電話線を切断しちゃった事件。
射撃訓練をする時には事前に酪農家に連絡するという約束を自衛隊が破ったため。
↓
札幌地裁第一審(1967年)
検察が訴える防衛器物の破損に電話線は当たらないとして酪農家に無罪判決。
自衛隊の合憲性には言及されなかったため肩透かし判決と言われた。
百里基地訴訟
茨城県で航空自衛隊の百里基地の建設予定地を所有していた住民が、基地反対派の住民にその土地を一度売ったが、その契約を後に解除して防衛庁に売ってしまった事件。
土地の所有権と自衛隊の合憲性が争点になった。
↓
水戸地裁第一審(1977年)
統治行為論に基づき憲法判断回避。建設反対派住民は敗訴。
東京高裁第二審(1981年)
建設反対派住民は敗訴。
↓
最高裁(1989年)
憲法判断なし。基地反対派住民の上告を棄却。
集団的自衛権問題
国連憲章の第51条において明文化された権利。
どこかの国が武力攻撃を受けた場合、直接攻撃を受けていない第三国も、攻撃を受けた国と協力して防衛に当たること。
日本で言うならば、同盟国アメリカへの攻撃を自国への攻撃とみなして、アメリカを襲った勢力に反撃することができる。これは日本が攻められなくても、積極的に戦争の当事者になるということであり、慎重論も根強い。
理屈は政治学覚え書き⑫に。
72年見解
自衛権の行使が許されるのは「国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」のみだという解釈。
集団的自衛権の行使は憲法に反するとして認めていない。
高村私案
現自民党副総裁高村正彦さんの考えた案。
72年見解の「事態」を「おそれ」に置き換えた。実際にその事態に陥らなくても、「おそれがある」と政府が判断すれば、集団的自衛権を使えるようにしたいらしい。
シーレーン防衛強化
シーレーンとは海上交通路のこと。政府は戦闘下の機雷の除去も可能にしたいという。
ASEANやインドと共にシーレーンを守ることで中国を牽制する。
駆け付け警護
自衛隊が武装集団に襲われた国連職員らを救出すること。
公明党の動き
自民党と連立する公明党は集団的自衛権行使にはかなり慎重な立場で、公明党の北側一雄副代表は、その行使を「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」に限定するよう求めていたが、自民党に押し切られてしまう可能性が高いという。
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