『鎌倉殿の13人』メモ

 来週の『鎌倉殿の13人』は参議院選挙の関係でお休みだそうです。まあ、源頼朝も亡くなっちゃったし、前半戦ひと段落ということで、いいタイミングなのかもしれない。
 むしろ、参議院選挙は周期が確定しているから(解散がない)、三谷さんもいい感じに物語の進行を調整した感じがあるよな。
 て、ことで、前半戦半年間に登場したキャラクターを振り返ってみようと思います。第1話が始まる前は、歴史的な情報しかなかった登場人物が、こんなふうに肉付けされたのかっていう面白さがあったしね。戦国時代の武将みたいに、そこまでキャラクターのイメージが付いてなかったから新鮮だったよ。

北条義時
ダークサイドに堕ちたとルシファー的に取り沙汰されているが、割と本質的な部分は変わってない気がする。基本的には無難に収めようとするし。でも、この人だけじゃどうにもならないシチュエーションがあまりにも多すぎた。多すぎたんだ。
前半は頼朝、後半は政子に引っ張られて、地獄を生き抜いていくのだろう。生き抜けるからすごいんだよね。ここでの粛清は否めない、とか、頼朝のやっていることの正当性が今わかったとか言ってそうだよな。

八重さん
すごい意志が強いというか、悪く言えば、正直かなりめんどくさい女性だったと思う。美少女アニメみたいな男性に都合のいい、しおらしいお姫様って感じじゃないよね。まあ、三谷さんの描く女性って、小悪魔的というか、一癖あるキャラクターが多いんだけど。
でも、振り返ると記念すべき第1話で自分の息子を殺され、最終的に家族をすべて皆殺しにされ、身寄りがなくなってしまっていたのは、本当に悲しい。悲しいが、そのわりにドラマのテイストが重くならないのは、わりと八重さん自体が、身内の死についてあまり凹んでいないというか。まあ、千鶴丸はともかく、あんな優しいお兄さんとか、旦那さんとかいたのに、特に悲しんでいる描写なかったからな。自分がラブ!なもの以外はアウトオブ眼中的な人なんだろうな(^_^;)そういう意味でもリアルな女性キャラだったな。

源頼朝
生きてたときは恐怖の独裁者呼わばりされていたが、今後「頼朝カムバック!」みたいなツイートが出てきそう。御家人の所領争いとかを上手く収めていた描写があったし。
しかし、猜疑心が強いのか、謀反だなんだと、優秀な人材を殺しすぎてしまった感は否めない。独裁者の孤独というか、暗殺を恐れて眠れぬ夜もあった、みたいなのは、自分を含めほとんどの人には絶対にわからないだろうけど(一番シンパシー感じるのプーチンさんだと思う)、でも、あの論理で行くと、頼家も「わしが生きているのに野心を見せた、殺す」みたいになっちゃって、後継者が絶滅するんだよな。そこらへんが、ちょっと狂気というか。
好きなセリフ:「ここまでやるかあ!?」(12話)「死ぬかと思ったー」(25話)

北条時政
日本史で習う内容から傍若無人なイメージがすごいあったが、このドラマでは温厚ですごい家族思い。家族を大事にするからこそ、頼朝という強力な後ろ盾がなくなった後半戦では、家族を守るために政敵と戦っていくのだろう。京育ちの野心家の奥さんである「りく」にそそのかされただけってしなかったのが、本当にうまいよな。畠山重忠の粛清とか、どうやって描くのかすっごい楽しみ。多分、汚い手段とかそういう感じにしないと思う。悲しい行き違いみたいな。義時同様、基本的にお人好しなんだよな。
好きなセリフ:「・・・?わけがわからねえ!」(26話)

北条宗時
少年漫画の熱血主人公っぽい。やろうとしていることは過激で武闘派なんだけど、いつもニコニコしていて、わりと人たらしというか、すごい仲間を大切にしそうなタイプだった。5話での退場があまりにも惜しい。
野心はあったが、素直で裏表がないタイプだったから、後半戦の政争では、まずついていけないと思うけど。裏工作とか絶対できないタイプだろうしな。正々堂々!みたいな人だもん。
土肥殿みたいに「まあまあ、仲良く仲良く」とか言って、あわあわしてそう。
あとは、「平家も滅んだし、坂東武者の世も出来た!よし!伊豆に帰るわ!」とか言って、伊豆に引っ込んじゃうとか。政子が「兄上は卑怯です!」とか言っても、「悪いな!」とか言って、そのまま本当に帰りそうだしな。

三浦義村
うさんくさい。よくこんな不安定なキャラクターを描けるよな。三谷さんはやはり天才。
何考えているのか、本当に判らないもん(演じる山本さんも判らないらしい)。
好きなセリフ:「その時オレは頼朝を超える」※本気で意味不明で笑った(12話)

和田義盛
くまさん。侍どころの初代別当として有名だが、やっている仕事といえば「鎌倉殿のおなりでござる!」くらいしか見当たらない。梶原殿が、そのポストくれとしゃしゃり出るのも無理もなきこと。
好きなシーン:戦の最中なのに小鳥を捕まえるという今泉慎太郎的な奇行。(10話)

上総広常
物語序盤の強大な粛清対象という点は共通していたものの、意外と『新選組!』の芹沢鴨みたいな感じではなかった。ガイドブックの「気は短いが優しい男」という説明が本当にぴったりだったな、と。
好きなセリフ:「これで平家も終わったぞ!」(7話)「みんな武衛だ!」(8話)

宿老の皆さん
三浦義澄は今回のアイスバケツチャレンジで寿命が縮んだに違いない。13人合議制でかなり早くに亡くなっちゃうのがこの人だし。
岡崎義実は、上総介の一件をもってしてもなお、頼朝を暗殺しようとする血の気の多さにしびれました。この世代はやばいっていう。
土肥殿は、めちゃくちゃ温厚。怒ったところ見たことないよな。
足立遠元は、御所のコンシェルジュに甘んじているが、平治の乱で上総広常とともに活躍した猛将だったりする。『真田丸』で「ぬけさく」とか馬鹿にされていた片桐且元殿が、最後で鎧武者を怪力で投げ飛ばしたように、遠元さんにも実はかなりヤバイ戦士なんだぞっていうのがわかるシーンが欲しい。

大庭景親と伊藤祐親
平家の世はそんなに酷いものだったのか?今となっては疑問が絶えない。
大庭殿は、関東地方を最善な方法で治めようとしていた気がするけどな。あれでダメなら、もう何をやってもダメだよな。鎌倉の暴走は26話で始まったことではなかった。

梶原景時
見た目が武闘派なのに、まさかの参謀。『新選組!』の捨助様と同じ人物が演じているとはとても思えないキャラクター。
無教養な集団の中で真面目なインテリが孤立してしまう、恒例のパターンになっているが、この人の態度も反感を買ってしまうのは分かる気がする。全然、悪気はないんだろううけど。一人だけ学力が高すぎると得てしてこうなるのだろう。そして、違ったタイプの天才である義経にシンパシーとリスペクトとジェラシーを感じることができた、と。
好きなシーン:盆栽を剪定するシーン(8話)

源義経
一言で言って、ただのいたずら小僧。
あんなに破天荒な性格なのに、第一人称が「私」など、セリフの印象や喋り方、表情が、『新選組!』で相島一之さんが演じた新見錦っぽい。私しか指摘してないけど。
義仲と平家を滅ぼしたあとに、転落人生の部分がすごいドラマとして上手に描かれていた。「うまいな~!」って一番思ったの、この19~20回ね。
好きなセリフ:「畠山・・・お前正しい」(10話)

阿野全成
妻ともども面白い。あと何回かしたらこの人もいなくなっちゃうんだけど、寂しくなるなあ。
好きなシーン:13話の読経バトルと、24話の茶番降霊術(これは『草燃える』のパロディで、こちらではマジのイタコだった)

源範頼
登場当初は空気が読めないちょっとズレた人なのかな?と思ったら、めちゃくちゃ優しい人だった。まじで殺す必要がなかった気がするけど、いい人だからこそ、悪い奴に担がれやすく、危険分子と大江さんに判定された気がする。本人に非がないだけに、気の毒でならない。
好きなセリフ:「風邪は寝るのが一番」(24話)

木曽義仲
頼朝よ、なぜ共に協力して戦わなかった・・・まあ、立場が互角っぽかったから、平家を倒したあとに揉めそうだと思ったんだろうけど、この人の性格だったら武家の棟梁の地位は気前よく譲ってくれたと思うぞ。まあ、頼朝は実際にこの人と対面してないからね。武田ではなく、木曽と膝を突き合わせて語り合えばよかったのに・・・距離が遠かったのか。
北条時政と同じくらい、イメージが変わったキャラクター。『平家物語』位の知識しかなかったしな。
好きなセリフ:「義仲の果たせなかったこと、必ずや頼朝が引き継いでくれると信じておりまする」(16話)

巴御前
大姫を励ますシーンで再登場(&笑顔)は本当にずるい!!眉毛繋がってないし!

後白河法皇
日本史で最も好きなキャラクターで、後白河に関しては史実がすでにキャラが立っているので、イメージ通りだった。史実知らない人はもっと面白かったんだろうなあ。
ドラマスタート時に生霊で大いに笑わせてくれたが、実際の人物は全然喋らないのがさらに面白かったw
とうとう、本当に霊になっちゃったけど、頼朝の枕元には出なかった。そして、その頼朝もいまや霊になっちゃった。
好きなシーン:義経追悼なのか、頼朝追悼なのか、自分でも混乱しちゃうシーン。(23話)

 キリがないので、このへんで(文官カルテットが活躍するのも後半戦からだろうしな)。後半は、キャストがかなり若返るんだけど、個人的には『草燃える』で乾先生が演じた初代連署(執権補佐)の北条時房が気になる。
 あと、押しは八田知家ね。出番は多くないんだけど、市原さんのセリフの喋り方がツボで(全部濁音のような発音w)、役どころもゼネコンの現場監督みたいですごい好き。この大河で一番好きなキャラ。
 あと、後半戦最初の敵は比企能員なんだろうけど、この人も時政同様、非情になりきれないのがうまく作ってあるなあと(「蒲殿すまん!」とか)。シナリオレベルだと比企のヤツきたねえことするなあって思うんだけど、完成したドラマ見ると、まあ仕方ないよなって同情しちゃうのが、悔しいぜ三谷さん。
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