中学3年生理科覚え書き

 なんか期間が空いちゃったけど、中学校三年生の理科をおさらい・・・と思ったんだけどさ、中学校三年って化学では電池、物理では力学、生物では遺伝、地学では天体を習うんだけど、地学の天体以外はすでに、このブログの何かしらの記事でまとめちゃってるんだよな。
 というわけで、まったくノータッチだった地学分野をメインにまとめます。なら天体覚え書きだろ!って感じなんだけど、シラヌ・ド・ゾンゼーヌ。

参考文献:京極一樹『中学・高校数学のほんとうの使い道』、高橋正征編『中学理科2分野の発展的学習』

化学変化とエネルギー
脱ゆとりでイオンが復活した。化学分解や電池、水溶液の性質(酸・アルカリ)をイオンの観点で捉える。
詳しくはこちらの記事を参照。

運動とエネルギー
ニュートン力学をかなりあっさり学ぶ。
脱ゆとりで、力の分解と合成(ベクトル)、てこや滑車などの仕事の原理が増えた。
詳しくはこちらの記事を参照。

科学技術と人間
カーボンファイバー、ファインセラミクス、発光ダイオード、吸水性ポリマー、クリーン発電など昨今話題となっている最新テクノロジーを学習する。
ほぼ雑学なので、学校の授業では生態学以上にぞんざいに扱われる。つーか、そもそも教えているのだろうか。

生命の連続性
遺伝の法則や発生を学ぶ。
この二つは、高校の生物になるとセンター試験の常連となるので、重要な伏線になっている。
詳しくはこちらの記事を参照。

自然と人間
生態系や環境問題を学ぶ。
私立高校受験には確実に間に合わない学習単元。学校の授業でもかなりぞんざいにされる。とはいえ受験で出題される可能性があるので、自主的な学習が求められる。
詳しくはこちらの記事を参照。

地球を取り巻く宇宙
天文学の学習範囲。お星さまは基本的に慣性の法則で同じオービットをくるくる回っているので、計算問題で求める値が相対的となり、かなり難しい。
現行の教科書では、冥王星あたりの宇宙の様子がいろいろわかってきたので、そういった最新研究もちゃんと踏まえてエッジワースカイパーベルトとかオールトの雲とか出てくる。
なんか、そんなものが出てくる漫画も描いていた気がする。

南中高度と緯度
星を見上げる角度で、自分が地球のどの位置にいるかわかるというサバイバル技。
ついでにこれを応用すれば地球の大きさもだいたいわかる。
太陽の南中高度(北半球の場合)は以下のように、その地点の緯度から計算ができる。

①春分・秋分

太陽の南中高度=90度-その地点の緯度

最も簡単に出せる。
これは春分・秋分の時、太陽光線が真横から当たるため。
よって北極や南極では太陽の南中高度は0度になって、なんと♪空に太陽が~な~い~(C)トコジョー

②夏至

太陽の南中高度=(90度-その地点の緯度)+23.4度

地球が太陽の方へ地軸の分(23.4度)傾く。
そのぶん太陽の南中高度は23.4度高くなる(北にずれる)。

③冬至

太陽の南中高度=(90度-その地点の緯度)-23.4度

地球が太陽とは反対の方へ地軸の分(23.4度)傾く。
そのぶん太陽の南中高度は23.4度低くなる(南にずれる)。


月は地球の周りを27.3日かけて一周している(つまり、一日あたり13.2度のペースで公転する)。しかも公転周期と自転周期がぴったり同じなので、月は地球にほとんど同じ面しか向けない。すげえ不気味。
ケプラーの法則によると月の軌道も楕円形であり、月が地球に最も近い時(この時さらに満月だとスーパームーンともてはやされる)、公転の角速度は最速になる(ケプラーの第二法則)。

皆既日食
かっこよく言うとトータル・エクリプスという。
太陽と地球のあいだに月が入っちゃって、太陽が全部隠れてしまう天文イベント。
日食は、月が新月(逆光)の日に起きるが、太陽の通り道の黄道と、月の通り道の白道に約5度のずれがあるらしく、必ずしも新月の時に起こるわけではないらしい。
ちなみに皆既日食中にだけ、太陽を取り巻くガスのコロナが肉眼で観測できる。
似たようなのでプロミネンスっていうのがあるけど、これは皆既日食の際に、月に隠された太陽の縁から立ち上る赤い炎を言う。
さて、皆既日食が起こるのは、地球からの見かけの太陽の大きさと月の大きさが絶妙に一致しているからである。
そこで、月と太陽の大きさと月と地球の距離から、地球と太陽の距離を相似の式から求めることができる。

月の半径を1.7×103キロメートル、太陽の半径を7.2×105キロメートル、月と地球の距離を3.8×105キロメートルとすると、

太陽の半径:月の半径=地球と太陽の距離:地球と月の距離

という式が立つので

月の半径×地球と太陽の距離=太陽の半径×地球と月の距離

地球と太陽の距離=太陽の半径×地球と月の距離÷月の半径

と、変形ができ、この式に、先ほどの値を代入すると

(7.2×105)×(3.8×105)÷(1.7×103

=(27.36×1010)÷(1.7×103

=16×107

=1.6×108

よって地球と太陽の距離は160000000キロメートルくらいということが分かる。遠い!

等級
古代ギリシャの天文学者ヒッパルコスは、約1000個の星を観測し、その中で肉眼で最も明るく見える約10個の星を1等星、肉眼でかろうじて見える星を6等星としてランク分けした。
19世紀になるとハーシェルが、等級が1つ上がると明るさが2.5倍になることを発見し、その後ポグソン1等星は6等星の100倍明るく、さらに星の明るさは1等級あがるごとに100の5乗根倍だけ大きくなると定式化した。
ちなみに日本の夜空で最も明るい星は、おおいぬ座のシリウスで等級は-1.5等星。
マイナスってなんじゃら~~!!???ってかんじだけど、なにせ等級は古代に作っちゃったから、1等星よりも明るい星が続々見つかっちゃって豪快にバーストしちゃった。0等星も明るさゼロという意味ではなく、1等星よりも2.5倍明るい星ということ。

等級には実視等級と絶対等級の二種類がある。実視等級とはヒッパルコスの頃みたいに、地球から見た明るさで、見かけの等級とか眼視等級とも言う。
しかし地球から観測した場合の星の明るさは、その星と地球との距離によって左右されるので、本当はすごい明るい星でもめちゃくちゃ遠かったら暗く見える。
例えば、実視等級では同じ明るさの星でも、Aの星の方がBよりも100倍地球から遠かった場合、光の強さは距離の逆二乗で減衰するので、Aの星はBの星よりも10000倍強い光を放っていることになる。
そこで、すべての星を地球から同じ距離(32.6光年=10パーセク)に並べたと仮定した場合の明るさを絶対等級という。

実視等級と絶対等級は以下の式で変換することができる。
M:絶対等級
m:実視等級
d:星空のディスタンス(距離)のd。ただし単位はパーセク(pc)。

M=m+5-5logd(※ただし底が10の常用対数)

すると、実視等級では-27等星のわれらが太陽はどうなるかというと、太陽と地球の距離は、さっき求めたとおり、1億6000万キロメートルとすごい遠いのだが、これをパーセクという天文単位に換算すると、約0.000005pcとすごい小さくなってしまう。
ちょっと嫌な予感がするけど、これを先ほどの式に代入すると・・・

M=-27+5-5log0.000005

≒-22-5×(-5.3)

=-22+26.5

=4.5

となり4等星くらいに降格してしまう(厳密に計算すると4.8等星らしい)。

恒星のスペクトル
夜空の星には色々な色があるが、これはその星の温度を表している。温度が低いと赤い光、温度が高いと青白い光を出すようになる。
以下にスペクトル分類をまとめる。

M型(赤。表面温度3900℃以下):アンタレス、ベデルギウス
K型(オレンジ。3900~5300℃):アルバデラン、アークトゥルス
G型(黄色。5300~5700℃):太陽、カペラ
F型(レモン。5700~7300℃):北極星
A型(白。7300~9600℃):シリウス、ベガ
B型(水色。9600℃~):リゲル、スピカ
O型(青。30000~51000℃)太陽の光度の100万倍も輝く宇宙でもすごいレアな星(数千億個中たった2万個しかない)。

年周視差
遠い角度にある物体は二つの場所から眺めると、その物体のアングルは当然変わる。この違いによって物体までの距離を求めるとき、二つの場所同士をつなぐ線を基線、二つの場所と物体の場所をつないだ時にできる三角形の角度の大きさを視差という。
地動説の証拠が欲しかったコペルニクスは、これを応用して地球から遠い星の距離を求めることができると考えた。なぜなら、地球は公転をしているので、地球の近くにある恒星のアングルは、それよりも遠い恒星に対して、一年を一周期としてわずかに変化するはずだからである。
そこで、地球の公転半径(1AU)を基線にした時の視差を、その恒星の年周視差とし、地球と恒星の距離rを求めると、距離rは年周視差pが小さくなるほど大きくなり、だいたいpが1”(1角度秒。長さ1センチの物体を2キロ離れたところから見たときの角度=1/3600°)でrは3.26光年になる。
しかし最も太陽系から距離が近い恒星であるアルファケンタウルス座α星ですら、年周視差は1”を切り(0.755”)、距離は4.3光年となる。
ちなみに、1パーセクは年周視差1”に相当する距離3.26光年のことである。

距離d=3.26/年周視差(光年)=1/年周視差(パーセク)

年周光行差
雨の日に走っている車や電車の窓から外を見ると、垂直に降っている雨も斜めに降っているように見える。これは地球が公転しているため、恒星から放たれる光にも言え、この角度のズレを光行差という。
光行差は、同じ方向の恒星なら地球との距離によらず同じ角度になる。
ちなみに、光行差qは地球の公転速度vに比例して大きくなるため・・・

公転速度v=光速度c×光行差q

これを計算すると、光行差は20.5”になる。

ドップラー効果
音や光などの波の波長は、接近時は短く、遠ざかるときは長くなる。そのため恒星が放つ光の波長も、地球がその恒星に近づく際には本来の波長より短く、遠ざかる際には長くなる。
これは地球が公転をしている証拠となっている。

視太陽時
太陽が南中してから翌日に南中するまでの時間。
しかし、地球の公転速度は公転軌道が楕円であるため、一定ではない。さらに地球は23.4°傾いたまま公転しているので、赤道と黄道も一致していない。
よって天球上を太陽が動くスピードも一定ではなく、視太陽時も変動してしまう。

平均太陽時
そこで、赤道と黄道が一致し、等しいスピードで動く仮想の太陽(平均太陽)を考えて、この太陽が南中してから次に南中するまでの時間を1太陽日とし、その24分の1を1時間、その60分の1を1分・・・と時刻にしたものを平均太陽時という。

均時差
視太陽時と平均太陽時との差。

世界時
ロンドンのグリニッジ天文台の平均太陽時。
しかし経度によって太陽の南中時刻は異なるために、国や地域ごとにそれぞれ標準時が定められている。アメリカなど幅が広い広大な国家は、同じ国に4つの異なる標準時(タイムゾーン)があり、東海岸と西海岸の時差は3時間もある。

原子時
かつては地球の自転や公転に基づいた天文時が使用されていたが、現在では原子のスペクトル線を用いた原子時を使って正確な時間をはかっている。
しかし地球の自転の回転速度は、潮汐によって発生する海水と海底との摩擦力がブレーキになって、徐々に遅くなっているので(=一年の日数が減っている。4億年前は一年400日だった)、原子時との差が離れないように、地球の自転速度を正確に観測しながら、必要に応じて原子時を補正している(うるう秒)。

太陽暦
太陽を基準にした暦。具体的には、春分の日から、翌年の春分の日までの時間(一太陽年)を基準にしている。
一太陽年は、正確には365日よりもちょっとだけ多く、365.2422日なので、端数の0.2422は4年で約1日のズレを生んでしまう。
そこで、4年に一回、一年を366日にするうるう年を作って、誤差をリセットする。
それでもまだ割り切れない+0.0078日のズレは、400年で97回のうるう年を置くことで、400年間の一年の平均日数を365.2425日としている(でも割り切れず、結局400年で3時間のズレが残る)。
現在採用されているグレゴリオ暦では・・・

①4で割り切れる年をうるう年とする。
②ただし4でも100でも割り切れる年はうるう年にしない。
③しかし4でも100でも400でも割り切れる年はうるう年にする。


この3つのルールで400年で100回あるはずのうるう年の回数を3回減らしている。
最近では2000年が①でうるう年なんだけど、②でうるう年じゃなくて、でも③でやっぱりうるう年という、うるう年だった(ややこしすぎる)。

惑星の視運動
天球上の恒星は星座の中でお互いの位置関係を変えることはないが、金星や火星はこれらの恒星のあいだを行ったり来たりして、さ迷っているように“見える”ため、惑う星、惑星と名付けられた。
惑星が行ったり来たりしているように見える理由は、地球と惑星の公転の周期が違うからである。
惑星は、太陽の周りを地球と同じ向きに公転し、しかもその軌道の角度は地球の起動とほぼ一致しているため、惑星は常に黄道付近に見られる。

順行
惑星が天球上を太陽と同じ向き(西→東)に移動すること。

逆行
惑星が天球上を太陽と逆向き(東→西)に移動すること。


順行から逆行、逆行から順行に移行するとき、惑星の視運動がほぼ止まって見えること。

内惑星
地球よりも内側の軌道を持つ惑星。
内惑星が地球に最も接近することを内合(太陽の手前に来る)、地球から最も離れることを外合(太陽の後ろに来る)というが、どちらも太陽のせいで地球からは見えない。
内惑星が太陽から最も離れて見える時の角度を最大離角という。金星ではだいたい45°である。太陽光の影響が少ないため、この時最も金星は観測しやすい。

外惑星
地球よりも外側の軌道を持つ惑星。
地球から見て外惑星が太陽の方向にある時を、太陽と反対側に来ることをという。

会合周期
内惑星の内合から次の内合まで、外惑星の衝から次の衝までの時間のこと。
金星では584日、火星では780日である。
地球と惑星の公転周期が違うため、会合周期Sを求めるのはかなり難しそうだが、以下の考え方(旅人算に近い)で求めることができる。
惑星の軌道をサーキット場として、公転周期が短い惑星を速いカート(速度v1)、公転周期が長い惑星を遅いカート(速度v2)と考える。
レースがスタートし、この二つのカートが再び並ぶ時は、速いカートが遅いカートを一週抜かしにする時だけなので、その時の時刻をtとすると、速いカートの道のりはv1×t、遅いカートはv2×tになる。
この時、速いカートは遅いカートに比べてちょうど一周分だけ多く走っていることになるので、遅いカートの道のりに一周分の距離(サークルのCとする)を足さなければ、二つのカートの道のりは一致しない。つまり・・・

v1×t=v2×t+C

この式を変形して

(v1-v2)×t=C

よって、周期が速い惑星の速度から周期の遅い惑星の速度を引いた数に、一週抜かしされた時の時刻t(=会合周期)をかけると、ちょうどサーキット一周(=360°)になることがわかる。

①内惑星の場合
内惑星は地球よりも公転周期が短いため、内惑星が一日に公転する角度(=360°÷内惑星の公転周期P)から、地球が一日に公転する角度(=360°÷地球の公転周期E)を引いて、会合周期Sをかければ、ちょうど360°になるはずである。

(360°/P-360°/E)×S=360°

この方程式の両辺を360で割って等式変形すると・・・

1/S=1/P-1/E

この式に地球の公転周期1年、金星の公転周期0.62年を代入すると、S=1.6年になり、ちゃんと584日になる。

②外惑星の場合
外惑星は地球よりも公転周期が長いため、さっきの式のPとEの関係を逆にすればいいので・・・

(360°/E-360°/P)×S=360°

1/S=1/E-1/P

ケプラーの法則
ケプラーは16~17世紀のドイツの天文学者。師匠のティコ・ブラーエの膨大な観測データから惑星の軌道と運動に関する三つの法則を導き出した。

①第一法則(楕円軌道の法則)
惑星の軌道は、太陽をたった一つの焦点とする楕円である。

②第二法則(面積速度一定の法則)
一定時間公転した惑星の軌道と太陽とを結ぶ線分が囲む面積は等しい。

③第三法則(調和の法則)
公転周期Tの2乗と、楕円軌道の最も長い半径aの3乗は、どの惑星でも比例する。
したがって・・・

3=K・T2(※Kは比例定数)

この美しい調和の法則は、小惑星のケレスと準惑星の冥王星にも当てはまる。
ケプラーは観測のみから、この三つの法則を見つけたので、なんでそうなるかは説明できなかった。
そのため、楕円軌道の法則はなんか美しくないとギリシャ哲学の人たちの受けが悪かったが(ギリシャ哲学において最も完全な図形は円だった)、この約半世紀後、ニュートンが万有引力の法則によって数学的にケプラーの法則を証明し、決着は付いた。
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