地誌学概説覚え書き

参考文献:矢ヶ崎典隆、加賀美雅弘、古田悦造編著『地誌学概論』

歴史地誌的アプローチとその利点
歴史地誌的アプローチとは、時間軸に沿って、地域の景観、土地利用、資源の利用形態、生活文化、産業活動などの移り変わりを明らかにして地域性を解明するアプローチのこと。
利点①ダイナミックな地域の変化を把握し、そのメカニズムを検討できる。
利点②現在の地域性を歴史的な背景と変化に基づいて説明することができる。
利点③ミクロスケールの地域も、マクロスケールの地域も設定可能。

三大宗教の分布(4月出題)
世界三大宗教はキリスト教、イスラム教、仏教だが、宗教人口の内訳を見ると、キリスト教が33%、イスラム教が20%、ヒンドゥー教が13%で、仏教は信者の人口の数では第4位(6%)だったりする。
キリスト教はヨーロッパ系の人が多く住む地域(ヨーロッパ、南北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど)に普及している。
キリスト教はエルサレムが発祥地で、ローマ帝国の拡大に伴ってヨーロッパ全土に普及、4世紀にローマ帝国が西と東に分裂すると、西はローマカトリック、東は東方教会となり、16世紀の宗教改革では教会主導型のカトリックから、住民主導型のプロテスタントが分派している。そのような経緯からカトリックはヨーロッパ西部、スペイン、ポルトガル、ラテンアメリカ、フィリピン(スペインやポルトガルの植民地)に、プロテスタントはドイツから北欧、イギリス、アングロアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドに分布している。東方教会はロシアやCIS諸国、ギリシャなどに信者が多い。
イスラム教は多数派で指導者を公平に選ぶスンニ派と、少数派で指導者をマホメットの子孫に限定するシーア派に分かれ、北アフリカや西アジアの乾燥地帯、パキスタン、バングラディッシュ、マレーシアといった東南アジアなどに信者が多い。
仏教は大乗仏教(日本、韓国、東アジア)、上座部仏教(タイ、ミャンマー、スリランカなどの東南アジア、南アジア)、チベット仏教(チベット、モンゴル、ネパール)などに分けられる。

グローバル化と文化景観の変化
グローバル化は人、財、資本、サービス、情報の国際的移動が活発になり、世界における経済的結び付きが強まること。
グローバル化は制度的な障壁(入国管理、関税、投資規則)や文化的な障壁(民族、言語、宗教)の撤廃、交通インフラの整備、通信情報技術の革新によってもたらされた。
グローバル化は国や地域の文化景観(人間によって作られた景観)に影響を与え、日本では、様々な文化的要素が無秩序に流入することにより、混沌とした多様な文化景観の構築と、マクドナルド化に代表されるような文化景観の標準化、画一化が、相互に関連しながら同時に起きている。

無秩序化・多様化
かつての文化景観のアイデンティティを弱める。新たな文化景観の創出。景観のアイデンティティの見直し。地域活性化に繋がることも。

標準化・画一化
地域や場所の個性を無視。どこでも同じような景観作り。

中国の退耕還林政策
退耕還林政策は、生態系保護の代表的なもので、土壌流出が顕著とされる傾斜が25度以上の土地の耕作をやめてそこに植林を行なっていくものである。これによって耕地を取り上げられた農民に対しては一定期間の補償と一部山林の経済的利用が認められる。
中国全体の統計で言えば、耕作をやめた農民の収入は増加、自然観光の改善によって観光客が増え農村経済も向上しているが、山間部では耕地を減らして食料を自給できなくなると生活が立ち行かないという切迫した状況がある。彼らが耕地と引き換えに受け取る補償も中長期的な生活を保障するものではない。

アメリカの移民とホスト社会
ホスト社会とは多民族社会、多文化社会における多数派の社会のこと。エスニックマイノリティーの対義語。
ホスト社会が少数派の移民に対する感情は時代と共に変化しており、新たな移民はアングロサクソン系のアメリカ社会に同化することが望ましいという同化論から、20世紀に入るとヨーロッパ移民がそれぞれの伝統を維持しながら統一されたアメリカを形成するというメルティングポット(るつぼ)論に、現在ではアメリカを多民族多文化社会であると考えるサラダボウル論が一般化している。しかしこの議論(文化相対主義)が行き過ぎるとアメリカが分裂しかねないという危惧もある。

東南アジアの緑の革命
緑の革命とは稲の新品種の普及をテコにした技術革新のこと。フィリピンと中心として開発された品種により、肥料反応性の向上による多収化、生育期間短縮による二期作の拡大が実現した。しかし米の輸出国として品質管理に慎重な姿勢をとったタイや、政情不安定から新品種の導入が遅れたインドシナ三国(ベトナム、カンボジア、ラオス)など、普及の進め方には国によって違いがあった。
また資金や水利に恵まれない階層や地域では経済格差が生じ、肥料の購入などの補助や水利開発を組み合わせたパッケージプログラム方式が導入されるといった配慮がなされた。
緑の革命の結果、80年代にはフィリピンやインドネシアなど米輸入国は自給が達成され、農村の経済水準が向上し、国際市場の米の需要は緩和(供給量が需要を上回ること)された。

中東とは何か
中東(ミドルイースト)はイギリスやフランスから見て中東ということ。
帝国主義の領土的関心(植民地支配の戦略)から、イギリスやフランスから近い東方は近東(バルカン、トルコ~レバノン、シリア)、オスマン帝国よりも東のイラン~アフガニスタンを中東と呼んでいたことに由来する。
現在でも中東が示す領域ははっきりしていないが、イランから西、アラビア半島、トルコ、エジプトからモロッコあたりまでを示すことが多い。場合によってはソマリアや西アフリカ、アフガニスタンを含めることもある。
日本から見れば中東は東ではないのだが、西アジアと呼ぶと、中東エリアが今なお続く紛争や戦争の舞台になってきたという地域の歴史性が消えてしまう。さらに中東エリアに住む人たちも自分たちの地域を中東と呼んでいたりする。

EUの成立と発展(8月出題)
ヨーロッパでは世界に先駆けて産業化が進み、19世紀に入ると工業化を進める国家のあいだで競争が激化、石炭と鉄鉱石の争奪戦が起きた。
19世紀後半~20世紀前半にかけてドイツ西部のザール炭田とフランス東部のロレーヌ地方の鉄鉱石、ライン川の交通路をめぐってドイツとフランスは激しく争った。
しかし世界大戦によってヨーロッパの経済は疲弊、その地位は凋落してしまう。第二次世界大戦後、西ヨーロッパにおいて紛争の火種になる資源を国家間で共有し、協力体制を築くために、石炭と鉄鋼の関税引き下げ(石炭鉄鋼共同体ECSC)、産業部門全体の経済協力(ヨーロッパ経済共同体EEC)、原子力資源の協力(ヨーロッパ原子力共同体EURATOM)が実現した。
70年代にはECは西ヨーロッパの国家群の代名詞となり、さらに東西冷戦構造が終わるとECは東ヨーロッパに対する統合としての意義を失い、91年のマーストリヒト条約によって93年にEUが誕生する。95年には加盟国は15カ国に、シェンゲン協定に加盟した国での国境の行き来は自由になった。02年には共通通貨ユーロが導入されている。
04年になると東ヨーロッパの旧社会主義国をはじめとして10カ国が新たに加盟、多様な地域から形成されるEUには公用語や地域間格差など様々な問題がある。

ラテンアメリカの人種構成
①先住民のインディオ人口が多いタイプ(ペルー、ボリビア)
②メスティソ(白人+インディオ)の人口が多いタイプ(メキシコ、ベネズエラ)
③ムラート人(白人+黒人)の人口が多いタイプ(ドミニカ共和国、パナマ)
④白人人口が多いタイプ(アルゼンチン、ウルグアイ)
⑤黒人人口が多いタイプ(ハイチ)
⑥多様な人口構成になっているタイプ(ブラジル)
ラテンアメリカでは社会の最上位は白人であり、白人でない者は少しでも白人に近づきたいと、自分がインディオや黒人じゃないことをアピールした。
18世紀には混血者が厳密に細分化され、格上げ恩赦の勅令で、混血者でも教育や品行に問題がなければ白人になることができた(ただし有料)。
18世紀後半になると同じ白人でも、宗主国から派遣された白人(ペニンスラ)と、植民地生まれの白人(クリオーリョ)が対立し、19世紀に入ると各地で独立運動が勃発、メスティーソの社会的地位が向上し、混血性こそがラテンアメリカの本質であるというイデオロギーが高揚した。これにより白人の優位性は建前としては否定された。

IMFと世界銀行の構造調整政策
構造調整政策とは、国際収支が困難になった開発途上国に外貨を貸し出すことと引き換えに、為替の切り下げ(自国通貨のレートを下げること)、財政・金融の緊縮政策(歳出を減らす)、対外経済自由化、規制緩和、民営化、行政の合理化などが要求される政策。
これは輸入依存の高いアフリカ諸国では逆にインフレを起こし、低所得者層の生活は一層苦しくなった。
ケニアでは80年代から構造調整政策が行われ、合理化と自由化の下、大量の下級公務員が失職、安い輸入品はケニアの製造業を直撃、国家の統制を外された主食のとうもろこしやパンの価格は高騰してしまった。

法律学概論覚え書き②

日本国憲法における基本的人権の保障
法と権利は密接に結びついている。権利は法によって認められ初めて保障されるものであり、公法上の権利として最も重要なものが基本的人権である。
基本的人権には、平等権、自由権(18世紀的権利)、参政権(19世紀的権利)、社会権(20世紀的権利)などが含まれる。
これらの人権は「侵すことのできない永久の権利」(憲法11、97条)とされているが、権利と権利が衝突した際には、他人の権利は侵害しないという合意のもとお互いに譲り合い妥協点を見つけなくてはならない。

公共の福祉
憲法12条には自由や権利を濫用することを禁じるとともに、公共の福祉のために用いる責任があることを定めている。
公共の福祉とは、社会生活における各個人の共通の利益を指し、全ての人に平等に人権を保障するための原理である。したがって憲法が保障する基本的人権には、限界や制限が現実問題として存在するのである。

ダブルスタンダード
このような個人の自由と公共の福祉の対立は、精神的自由の限界を示す自由国家的公共の福祉と、経済活動の自由の限界(=所有権の絶対性に対する制限)を示す福祉国家的公共の福祉に分けられる。
日本の最高裁はこの二つのタイプの対立にそれぞれ異なる判定基準を用いている(ダブルスタンダード)。自由国家的公共の福祉に対しては、精神の自由が民主主義の根幹をなすものであるからという理由で規制を容易には認めず、一方の福祉国家的公共の福祉に対しては社会的弱者を保護するためとして、ある程度の規制は合憲であると広く判断される(合憲的推定)。

平等権(憲法第14条)
憲法が定める「法の下の平等」とは形式的な平等ではなく、実質的な平等(弱者保護の観点から合理的差別を認める)を定めていると解釈されているので、育児休暇の補償や累進課税制度、少年犯罪の減刑、男女の婚姻年齢の区別といった合理的な差別は認められている。
また定住外国人については国政、地方ともに選挙権、及び公務員試験の受験資格は認められておらず、最高裁でもこれらの差別は合憲であると判断している。これに対して川崎市などの一部地方自治体では、国籍条項を外国人に対する不合理な差別(憲法14条違反)であると、同条項を自主的に撤廃している。
女性差別については1999年に男女共同参画社会基本法が制定され、女性を社会に積極的に参加させるアファーマティブアクションが取られている。

尊属殺人重罰規定違憲判決(1973年)
父親に繰り返し強姦された娘がとうとう我慢できなくなって父親を殺してしまった事件(栃木実父殺し事件)の裁判において、ほかの殺人よりも親殺しを重い罪とする刑法200条が憲法14条に違反するとして下された違憲判決。
最高裁判所が違憲立法審査権を発動し、既存の法律を違憲(法令違憲)とした日本初の判例。

自由権

思想・良心の自由(憲法第19条)
思想・良心の自由は内心(心の中)の自由であり、公共の福祉において制限されることはありえない。したがって1999年に制定された国旗・国歌法や、「国及び郷土を愛する心」を明記した2006年の改正教育基本法などは、思想・良心の自由に侵害するとして批判が上がっている。
また1973年の三菱樹脂事件は、会社側が思想を理由に本採用を拒否したことが争点になったが、最高裁は憲法19条は私人の間では直接的に適用されないとして会社側の措置を合法としている。ちなみに、民法の公序良俗違反を考慮した上で間接的に憲法を適用する説を私人間効力間接適用説という。
さらに裁判所の謝罪広告命令も合憲となっている。

信教の自由(憲法第20条)
憲法には政教分離の原則が定められているが、最高裁はこの原則に対して政治と宗教のある程度の関わりは認めている(小泉総理の靖国神社公式参拝問題など)。

津地鎮祭訴訟(1977年)
三重県津市が体育館建設の際、公金で地鎮祭を行い問題になったが最高裁は政教分離に反しないと合憲判決を出した。

愛媛玉串料訴訟(1997年)
愛媛県が靖国神社に玉串料を公金から出して問題になり、最高裁は違憲判決を出した。

北海道砂川市政教分離訴訟(2010年)
北海道砂川市が所有する土地を市内の神社に無償提供していた問題で、最高裁はこれを違憲とした。

表現の自由(憲法第21条)
表現の自由は娯楽や報道、デモや選挙活動まで、その自由を保障している。1972年の外務省機密漏洩事件においては報道機関の取材の自由を認めた判決が出されている。
また憲法21条2項には公権力の検閲の禁止と通信の秘密が、表現の自由を守るための制度的保障として定められている。しかし1999年の通信傍受法など例外は存在する。

東京都公安条例事件
デモ行進許可制を合憲と判断。

チャタレー事件
わいせつな本を出版した書店の社長と翻訳家が逮捕。
こういったわいせつな本を税関で輸入禁止にすることも公共の福祉を守る上で合憲となっている(税関検査訴訟)。

北方ジャーナル事件
選挙の立候補者に対して嘘の記事を書いた雑誌が発行を事前に差し止められた。

『石に泳ぐ魚』事件
小説家の柳美里が知人の在日外国人の私生活を無断で小説に取り上げたことがプライバシーの侵害に当たり、これも発行が差し止められた。

学問の自由(憲法第23条)
主に大学自治を保障したものであり、大学内に警察などの国家権力が干渉することを禁じている。
しかし私服警察官が無断で劇団の公開上演に潜入した東大ポポロ劇団事件では、劇団の上演は大学の自治に関わるような学問的研究の発表の場ではないので、それを侵害しないとした。

身体の自由(憲法第31、33、35、39条)
憲法第31条において罪刑法定主義法定手続の保障を定めている。前者の「法」は刑法、後者は刑事訴訟法、行政手続法を指している。
また令状がなければ逮捕されない令状主義(33、35条)や、その刑罰ができる前の行為はその罰則で裁くことができない遡及処罰(事後法処罰)の禁止、判決が確定した以上は、重ねて審理を繰り返して再処罰はできない一事不再理(ともに39条)なども明記されている。

経済活動の自由(憲法第22、29条)
経済活動の自由は職業選択の自由(22条)と財産権=私有財産の不可侵性(29条)に規定されている。
職業選択の事由に関しては、1975年に過当競争や不良薬品の供給を防止するために規定された、薬事法の薬局開設距離制限規定を職業選択の自由に反するとして違憲、無効としている。
また財産権については1987年に最高裁は、共有林の分割による森林伐採を防ぐために規定された森林法の共有林分割制限規定に対して違憲判決を出した。これは持分半分以下の共有者の分割請求ができないという規定であったため、その所有権を不当に制限していると考えられたためである。

参政権(憲法第15条)
国民の公務員選定・罷免権や、普通選挙、平等選挙、秘密選挙を保障。
また直接民主制的な参政権として、最高裁判所裁判官の国民審査や、地方特別法の住民投票、憲法改正の国民投票を規定している。

請求権
人権侵害に対する救済や保証を国家に請求できる権利。
ややこしいのが請求権の中に請願権が含まれること!
①請願権(憲法第16条)
法律の制定、損害の救済について国民が議会や行政機関に要望を伝える権利。
しかし請願を受けても、議会や行政機関に実行の法的義務はない。
②国家賠償請求権(憲法第17条)
公務員の不法行為による損害に対する損害賠償請求の権利。
③裁判を受ける権利(憲法第32、37条)
全ての人が裁判所で人権救済を求めることができる権利。刑事被告人に対しては公平・迅速・公開の裁判が保障されている。
④刑事補償請求権(憲法第40条)
逮捕で抑留・拘禁された後に裁判で無罪になったとき、国家に補償を請求できる権利。

社会権

生存権(憲法第25条)
憲法では健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)を保障している。しかしこの権利を争った堀木訴訟や朝日訴訟では、憲法25条を根拠に社会保障は請求できないという判決を出した(プログラム規定説)。これは最低限度の生活水準が国の財政によって決定されるため、社会保障は国の努力目標であると考えられるからである。

朝日訴訟
療養所に入って生活保護を受けていた朝日茂さんが生活保護のアップを訴えた裁判。
最高裁はこの訴えを退けたが、この裁判がきっかけで生活保護の支給額は大幅にアップした。

堀木訴訟
障害者年金を受給していた堀木フミ子さんが年金と児童扶養手当の併給を請求した裁判。
最高裁は併給禁止の措置は国会の裁量の範囲として訴えを退けた。

教育を受ける権利(憲法第26条)
憲法26条によって教育を受ける権利と義務教育の無償(タダ)が定められている。

労働基本権=勤労権+労働三権

勤労権(憲法27条)
勤労の機会を国民が得られるような施策を国家に求める権利で、国は失業対策などを行なう責任がある。労働保護の中核になる最低労働条件もここに規定されている。

労働三権(憲法28条)
労働者の労働条件の改善を図る権利。
団結権、団体交渉権、団体行動権の三つ。
団体交渉で合意した事項は労働協約といい、これに反する労働契約や就業規則は無効になる。
正当な労働争議は刑事的にも民事的にも免責される。
労働争議には集団で労働を拒否するストライキ、意図的に作業効率を低下させるサボタージュ、座り込みによる入口封鎖のピケッティングなどがある。
使用者側の対抗手段としては、給料の支払いを免れるために工場を封鎖するロックアウトがある。
使用者の労働組合への妨害行為は、不当労働行為として禁止されており、労働委員会が救済命令を出すようになっている。
例えば黄犬契約(組合に加入しないことを雇用条件にすること。イエロードッグとは卑劣という意味)などは不当労働行為に当たる。
似た言葉で労働三法があるが、これは労働組合法、労働関係調整法(斡旋、調停、仲裁)、労働基準法(勤労条件や使用者の災害補償責任など)の三つ。

オープン・ショップ制度
組合への加入や非加入は自由という、組合員資格と従業員資格が無関係な制度。

ユニオン・ショップ制度
採用時は組合員でなくても良いが、採用されたら一定期間のあいだに組合に加入することが義務付けられている制度。組合から脱退した場合は解雇処分になる。

クローズド・ショップ制度
組合員でなければ会社に雇用されない制度。組合から脱退すれば会社も解雇される点はユニオン・ショップ制度と同じ。

斡旋
労使交渉の場を設けるのみ。

調停
解決案を作成し、労使双方に提示。その受託を促す。

仲裁
調停よりも強力で、解決案を拒否できない。

労働基準法
①賃金は通貨で直接、全額、月一回以上、一定期日に支払わなければならない(賃金支払の五原則)。
②1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えてはいけない。労働組合との協定があれば残業はできる。
③満15歳未満の児童の雇用の禁止。
④満18歳未満の深夜(夜10時~朝5時)労働の禁止。

フレックスタイム制
週40時間を超えない範囲で、労働者が仕事の始まりと終わりの時間を自由に決められる制度。

変形労働時間制
1ヶ月、あるいは1年を平均して法定労働時間を超えなければ、特定の日や週に法定労働時間を超えてもいい制度。

みなし労働時間制(裁量労働制)
研究開発や企画など特定の仕事においては、実際の労働時間に関係なく一定時間働いたとする制度。漫画家やアニメーターもこれになるのだろうか。

法律学概論覚え書き①

参考文献:伊藤正己、加藤一郎編著『現代法学入門』、伊藤正己著『近代法の常識』、大塚哲著『聴くだけ政治・経済』

大日本帝国憲法(明治憲法)
天皇主権
欽定憲法(天皇から国民に与えられた憲法のこと)
天皇は統帥権を総攬・国会は天皇の立法権の協賛機関・内閣は天皇の行為の輔弼機関
地方自治の規定無し
基本的人権は天皇が与えた権利
法律の留保あり(法律によって人権は制限される)
社会権なし
意見法令審査権なし
戦争肯定

日本国憲法
国民主権
民定憲法
象徴天皇制
地方自治の規定あり
基本的人権は永久不可侵の権利
法律の留保なし
社会権あり
意見法令審査権あり
戦争否定

自然法と実定法
法律は自然法と実定法に分けられる。
自然法は、時代や社会を越えて存在する普遍的な決まりのこと。
具体的には、実定法が存在しない自然状態の時から存在する「人を殺してはいけない」「人の物を盗まない」といったモラルを指す。
実定法は、その時代や社会において人間が作った法律のこと。普遍的な自然法と対極にある特殊な法律。一般的に法律というとこの実定法がイメージされる。

成文法と不文法
実定法はさらに文章化されている成文法(制定法)と不文法に分けられる。
成文法は、公法(国と個人の関係を規定)、私法(個人と個人の関係を規定)、社会法(公法と私法の中間に当たる)に分けられる。
具体的には憲法、法律、行政機関の命令、裁判所規則(訴訟手続や裁判所の内部規律)、条例、条約などがある。
不文法には、慣習法や判例法などがある。

立憲主義
国家権力を憲法によって制限し、国民の人権を守る考え方。法の支配とほとんど同義。
似た言葉にドイツの法治主義があるが、これは法律に基づいていれば国家権力は何をやってもいいというもので、法治主義においてはユダヤ人の虐殺も合法的なのでOKになってしまう。
しかし、違憲法令審査制が機能している現代では、悪法も法という流れになることは少ないので、法の支配も法治主義もそこまで違いはない。

法源(4月出題)
裁判官が裁判の際に参照する基準のこと。また「憲法及び法律」といった成文法に判断の根拠を求められない場合には、慣習法や判例法、学説、条理及び一般条項などが用いられる。

慣習法
共同体といった自然発生的にできた集団の内部が守っている慣習が、集団の中心的地位を担う人々によって法としての効力を持つようになったもの。
こういった慣習の役割を法の本来の形式であると重視したのが、一九世紀前半のドイツの法学者サヴィニイで、ローマの法典を受け入れることは、ドイツの民族精神にそぐわないとした。
またイギリスでは憲法が成文化されておらず(軟性憲法)、コモン・ローが大きな役割を持っている。実際内閣制度は成文法には明記されておらず、これまでの慣例によって運営されている。
日本では成文法を主体とするため、慣習法はイギリスのそれよりも地位は高くないが、成分法の柔軟性の低さや足りない部分を補うため、また社会の変動に応じるために慣習法を取り入れる場合がある。
慣習法と成分法のどちらが効力があるかは法律によって異なり、法の適用に関しての事項を定めた法律である法例の第二条では成文法優先、商法の第一条では慣習法が優先されている(『近代法の常識』126ページ)。

判例法
裁判所がこれまでの判例を積み重ねて作り上げていく法規範のことであり、慣習も判例を通じて慣習法になるのだと言える。
しかし個別具体的な判例から、どのように一般的な法が生まれてくるか、そのプロセスは国によって異なる。イギリスやアメリカは判例法の国で、過去の裁判の判決を引き出すために用いられた法原則が、後の同様の事件に対して拘束力を持つ。
イギリスの貴族院が下した判決は、その後において絶対的拘束力を持ち、後に下級裁判所はおろか貴族院自身が、その判決は間違っていたと考えなおしたり、時代の変化によって前の判決が適当でなくなっても、これを変更することはできない。
これに対してアメリカは、連邦でも州でも最高裁判所は前の自らの判決を覆して変更する自由が認められている。そう言った意味で判例法の拘束力はイギリスに比べて低い。

制定法主義
大陸ヨーロッパや日本の様な成文法の国(制定法主義)では、判例に強い拘束力が認められていない。よって最高裁判所の判例に、下級裁判所が必ずしも従う必要はない。
日本の法体系では判決は、当事者を拘束し、また上級裁判所が下級審の判決を破棄した際、差し戻しを受けた下級裁判所を拘束すると考えられている。つまり、その事件の当事者、および同じ事件についてのみ判決は拘束力を持つのであり、別の事件では法的拘束力は持たない。
とはいえ、先例が無視され続けるのは、法の安定性と秩序の維持に影響があるので、判例法主義が全く機能していないわけでは決してない。日本においても判例(特に最高裁判所のもの)は法的拘束力こそ持たないものの、事実上には強い拘束力があると言える。

判決理由と傍論
判例はレイシオ・デシデンダイ(判決理由)とオビタ・デイクタ(傍論)に分けられるが、理論上は先例として拘束力を持つのは前者だけに限られる。
とはいえ日本では原則どちらにも法的拘束力はない。さらに日本の判決は主文と理由に分けられるので、どこまでが判決理由で、どこからが傍論かの区別が難しい。
傍論は裁判の判決文のうち判決理由と関係のない部分のこと。

学説
学説の影響力は裁判官や弁護士といった裁判所での実務家を重視する英米と、法学者の権威が高かった大陸ヨーロッパ(ローマ法系統)では異なるものの、学説自体が拘束力を持つ法の一形式であるとは言えない。判例法は、国家機関である裁判所の活動を通じて形成されるもので、学説の場合それに当たらないからである。
しかしディゲスタという法学者の学説を集めたものがローマ法大全で重要な位置を占めていたり、ドイツでは裁判所が困難な法律問題にぶつかると大学の法学者に諮問するといった慣行もあった。

条理
条理とは成文法にも慣習法にも判例法にも、その問題に適用できる規範がない場合に、裁判官自身が想定する、仮に自分が立法者だったら作っていたであろう法(ルール)のことである(スイス民法第一条)。
刑事事件においては、適用できる規範がなければ犯罪は成立しないので問題にはならないが、民事裁判では適用すべき法がないからといって裁判を拒むことはできず、原告と被告のどちらかを必ず勝たせなければならない。
条理は裁判官の主観が大きく入り込む可能性があり、法でも法源でもないことは明らかであるものの、現実問題として条理を用いなければならない場合は(現在では可能性が低いとは言え)存在する。
日本では、明治8年の太政官布告(『裁判事務心得』第3条)において条理を法源にすると明記されている(当時実定法が未完成だったため)。

一般条項
専制君主性の反動によって生まれた、罪刑法定主義のような近代初期の厳格な法体系は、民法などの私法においては見直されることになる。
裁判官の裁量権をほとんど認めない法体系は、時に個別具体的なケースに合致せず正義に反する結果をもたらすのではないか、と考えられたからである。
そのため事情に応じて伸縮性が可能な、内容が漠然とした多様な解釈を許す条項が増えることになった。これが一般条項である。
具体例をあげるならば、「権利の濫用はこれを許さず」(民法第一条第三項)、「公の秩序、善良の風俗に反する法律行為は無効である」(民法第九〇条)などが一般条項であり、そこでは裁判官の条理が支配する余地が大きいと言える(なにが公序良俗に当たるのか、など)。
西洋の法思想では、「法そのものの安定性(社会秩序の維持)=一般」と「具体的な正義や妥当性=特殊、個別」という互いに対立する二つの目的のバランスを取るための衝平として条理が表現される。

犯罪の成立要件(6月出題)
①構成要件
犯罪として決められたパターンにその行為が合致するかどうか
②違法性
その行為に違法性はあるかどうか(例えば刑法36条の正当防衛など)
③有責性
その人に責任能力があるかどうか(善悪の判断能力があったのか)

人文地理学覚え書き

参考文献:上野和彦、椿真智子、中村康子編著『地理学概論』

地理学の目的
①場所の情報学として
人類の行動空間が拡大すると、多様で大量な知識を整理して記述することが必要になる。その場所を記憶するために、人類は絶対的な位置を決定したり、場所に名前をつけて整理し、それを地図を用いて表現してきた。
地理学は、地球上の多様な情報を整理し、記述し、表現し、社会に対して有用な情報を伝達する重要な役割を果たしてきたのである(1ページ)。
②地理的条件の分析科学として
地理的条件(場所の自然的、社会的な違い。地形、気候、土壌、植生など)の生成とメカニズムおよび地理的条件間の関係について分析し、その中から普遍的な原理を導き出す。
③場所(地域)の総合科学として
普遍的原理を応用し、地域を総合的に分析することに地理学の独自性があるという立場が、地誌学や地域地理学である。地理的条件の複合性を構造的に把握して(相対的に評価)地域性を明らかにする。
④教育科学として
学校の地理教育は、地理学の研究を支える基盤として大きな役割を果たしてきた。
グローバル化時代における国土と国際理解は必須であり、地理学の教育的重要性は高い。

等質地域と機能地域
地域がある程度等質的指標で分けられる場合、そこを等質地域という。例えばミカンが栽培されている農地・農家の分布を確定することによってミカンの栽培地域が把握できる。
これが文化圏を把握する場合には、自然・人文・社会的な分布など、複数の地理的事象の複合性を分析する必要が有り、等質地域を検出するのは難しくなる。
地理的現象の結合関係を重視して、それが一定の範囲として確定される場合を機能地域という。例えば商圏という地域は、消費と販売という地理的事象が相互に結合し合っている範囲で、通勤圏は、就業者と就業する場が結合する範囲を指す。

日本の野菜の主産地形成
主産地は特定品目の大量生産を特徴とする。
野菜栽培では1960年代以降特に顕著になり、61年に公布・試行された農業基本法は、作物の選択的拡大と農業構造改善事業の実施を通して自立経営農家の育成をうたっていた。
この法律は需要の増大が見込まれた果樹、畜産、一部の野菜の生産拡大に対して補助金を投入するという内容だった。
66年の野菜生産出荷安定法は野菜の値段の安値でも安定化を目的として法律で、これに基づいて指定産地制度が導入された。
指定産地の要件は①一定の産地面積②一定の生産者数③出荷団体である農協からの一定の系統出荷率を満たす産地であることである。
指定産地では構造改善事業の一環として、集出荷場や、予冷・保冷施設が整備され、野菜の価格が暴落した場合には一定の保証金が受けられるようになっている。
指定産地は、需要の多い大都市の中心にある指定市場へ、特定の野菜の供給を大量に、継続的かつ安定的に行なった(場合によっては複数の生産地で季節ごとに産地をリレーしながら=産地リレー)。こうして主産地が形成されていった。

クリスタラーの中心地理論
中心地が、その周囲の地域に財貨やサービスを提供し、周囲の地域からは食料などが供給され、相互依存関係によって一定の地域が成立するという考え方。
それぞれの中心地が持つ財貨やサービスの度合いによって、高次な中心から低次な中心までの蜂の巣状の階層的構造が形成されるとした。

耕作放棄地の要因と問題の実態
耕作放棄地とは耕作されない耕地。
発生要因としては、過疎化による農家の減少、高齢化による耕作の停止、後継者不足や農産物価格の低迷による農家の非農家化などが挙げられる。
また鳥獣害や自然災害など農業を行なう上で条件の悪い農地の不耕作化も進んでいる。
これに対し、大規模農家や企業等による新規参入もあるが、農地法の規制(権利の移転は農業委員会の許可がいる)や不在村地主化(耕作放棄地の所有者が村落住民ではない)などで流動化が進まず、2005年時点で農地面積の1割が耕作放棄地となっている。
耕作放棄地の発生によって伝統的な村落景観が失われるとともに、国家全体の農業生産は縮小、食料自給率は一層低下すると危惧されている。

第2の人口転換
従来の人口転換論では、最終的に出生率と死亡率がともに低い水準になり、人口増加率は低いものの0にはならず、総人口に対する65歳以上の人口の割合は20%台後半で安定するものと考えられていたが、日本などの先進国では出生率の低下に歯止めがかからず、出生率が死亡率を下回り、人口減少・超高齢化段階が訪れる。これを第二の人口転換という。

地域イメージと地名の役割
地域のイメージは地名と結びついてステレオタイプ化する傾向がある。
平成の大合併で多くの自治体の名称が変更されたが、これは地域のイメージアップを意図している場合も多かった。
また夕張メロンや松坂牛のように産地の地名がついた特産物のブランドも、各地域のイメージ形成に寄与していると考えられる(映画、ドラマ、CMのロケ地なども)。
逆にミネラルウォーターの商品名に使われている南アルプス、六甲などの地名は、既存の地域イメージを商品価値に利用していると言える。
しかし現実の地域がイメージとかけ離れていると逆効果なので、形成されたイメージに合わせて地域も改変されていく必要がある。
地名は住民のアイデンティティの拠り所にもなるため、目指すべき地域の将来像について十分に吟味検討し、住民との合意形成を図る必要がある。

方言周圏論
探偵!ナイトスクープによれば「アホ」という語は近畿地方を中心に分布、「バカ」は近畿以外の全国に広く分布している。よって必ずしも関西が「アホ」で関東が「バカ」ではない。さらに中部地方の愛知県や岐阜県を中心に分布している「タワケ」が西の山口県や大分県にも分布、「ホンジナシ」は東北地方と南九州に分布、日本海側には「ダラ」が分布している。
このような「アホ」を挟むように「タワケ」「ホンジナシ」「バカ」が分布している空間的パターンは、方言周圏論によって説明される。これは、新しい言葉は文化中心地から時間をかけて伝播するために、広く分布している言葉ほど時代が古いという考え方である。また周縁部(「ダラ」の日本海側など)には古い言葉が残るという傾向があるという。
この理論を提唱したのは柳田國男である。

社会的不平等
社会的不平等とは種々の社会的資源(収入・所得、学歴、雇用、権力・権限など)の配分や、社会的サービスや社会資本などへのアクセシビリティが不平等であり、その状態が一定の社会的基準からみて不公平、不公正であることを言う(107ページ)。
ポイントはその格差が社会的公正かどうか。
スミスは、国家間、国内、都市などのスケールごとに現れる不平等に言及、保険・医療サービスの国際比較を行なった。
ハーヴェイは、欧米都市における貧富の差に注目し、特定の社会階層の人が不平等を強いられ、特定の空間に閉じ込められているとし、社会的不平等の空間的な現れ方を重視した。
他にも人種や民族の差別(南アフリカ共和国のアパルトヘイトなど)も取り上げられる。
地理の授業では、世界地図・日本地図や様々なスケールで切り取られる地域の中でどのような社会的不平等が展開しているのかについて議論し、その背景や原動力について考察を深めさせるような設定が望ましい。
社会的不平等は、社会科の諸教科にクロスオーバーしながら学ぶべき課題である(不平等の概念は倫理、その原動力の一つである資本主義は政治経済、大局的な不平等問題は現代社会で扱う)。

ハーヴェイの地図の効用
デビッド・ハーヴェイは現在現役のイギリスの著名な地理学者。
彼の著書『地理学基礎論』によれば地図の効用は
①学識的能力
空間的情報を記述・表現・蓄積・伝達する能力
②研究的能力
思考の整理・一般化・理論化を助け、地図の上での作業・分析を可能にする能力
③哲学的能力
古代や中世の地図が当時の世界観を表しているように地理学における哲学的問題の所在を教える能力
の3点が挙げられるという。

自然地理学覚え書き

参考文献:杉谷 隆、松本 淳、平井 幸弘『改訂版風景のなかの自然地理』

円錐火山の一生
①粘性の低い溶岩を噴出して火山体を成長させる(富士山はまだこの段階で8万歳ほどの若い火山)。

②溶岩の粘性が次第に高くなり、厚い溶岩流が重なった階段状の山腹斜面を形成。

③火山体が成長すると、重力的に不安定になった山頂部が大崩壊を起こし、山麓に岩屑流堆積面が形成される。

④噴火様式は次第に爆発的になり(粘性が上がる)、多量の火砕流を出すようになり、火山体の周辺には火砕流台地が形成される。

⑤多量のマグマが放出されると、地下に陥没を生じてカルデラが形成され、さらにその中に溶岩円頂丘が形成されていく(箱根山はこの段階で40万歳)。

⑥火山活動が終息すると火山体は急速に侵食されていき、数十万年もすると断片的な溶岩や火砕流堆積物が点在するだけになる。

扇状地の形成(4月出題)
山麓の谷口で川幅が急に広がり、水深が浅くなって運搬力が落ちると、そこに砂や礫が堆積して扇状地ができる。
扇状地が形成されやすい地域的傾向として①中部山岳地帯の盆地域では起伏比(集水域の勾配)が大きいこと、その臨海部では隆起量が大きいこと②関東平野では堆積場が平野域にあること(扇状地の広がる空間があること)③日本海側では豪雨が強くないこと。洪水流量が大きくなると砂礫が遠くまで流されてしまい、河床勾配が小さくなりすぎる。
これらの条件が不利な西日本には扇状地は少ない。

山地の隆起様式
①曲隆山地
圧縮された地殻が100kmの単位でゆるく盛り上がったもの。活断層は少ない。
②褶曲山地
圧縮された地殻の褶曲によって形成。古い奥羽山脈では褶曲が進んで地層が破壊、山麓に逆断層ができている。
③逆断層地塊山地
圧縮された地殻が破断し、その断片が交互に乗り上げ形成。木曽山脈など。
④横ずれ断層地塊山地
横ずれ断層の一部の地塊が高原状にせり上がって形成。飛騨高原、丹波高原など。
⑤正断層地塊
正断層の引っ張る力によって地殻が裂けて形成。

植生遷移
植生は常に様々な植物のせめぎ合いの結果現れるものである。
溶岩の裸地も草原から森林へおよそ千年の時間をかけて、徐々に変化していく。この変化を遷移といい、最終的にできる林を極相林という。極相林では樹木が枯死しても、森全体の樹種構成は変化しない。
温暖湿潤気候の日本では遷移のクライマックスは森林になることが多いが、その過程で現れる樹種は地域によって異なる。
シラカバ林は本来のブナ林が破壊された際にできる二次林であるが、このような二次林は西日本ではシイやカシ、それ以外ではコナラが多い。

高山地帯の植生(5月出題)
高山帯は中部山岳地帯で標高2500m以上、北海道では1000m以上をいい、森林が生育する限界という意味で森林限界と呼ばれる。
コマクサ(可愛い花)やハイマツ(マツだが高さが1~2mくらいにしかならない)といった高山植物が生える。高山植物は肉厚の葉を持ち根が発達、夏が短いので初夏に一斉に花を咲かせる。

周氷河現象
植生が乏しい高山帯では地表がむき出しなので、凍結・融解の繰り返しによって礫が粉砕、構造土ができること。氷河周辺の寒冷地に見られるから、こう呼ぶ。

雪線
氷河ができるには、雪が積もる量が溶ける量を上回り、残雪が再結晶する必要がある。
標高が高いほど氷河は形成されやすく、その最低高度を雪線という。

オランダ・スコットランドのゴルフ場
オランダやスコットランドは2万年前(最終氷期)には厚さ数千メートルの氷床に覆われていて、面的に激しく侵食され凹凸のある広大な岩盤の裸地になった。
侵食土砂は氷河周辺に運ばれてモレーンを作り、凹地は池になっていることもある。
土壌が貧弱で気候が冷涼なので芝地もよく維持できる。
ゴルフはこのような地形を利用するスポーツだという。
日本では、逆に多大な労力をかけて、オランダやスコットランドの貧弱な自然環境を再現している。日本でゴルフをやるならば最も向いているのは、礫床河川の川原が良いという。

砂浜海岸
沖積低地では河川が運ぶ大量の土砂が堆積し、砂浜海岸が見られる。前浜と呼ばれる海側にゆるく傾斜した斜面には、砂がやや盛り上がったバームという部分ができそこにはよくゴミが打ち上げられている。
陸側では風で運ばれた細かい砂が砂丘を作ることがあり、その上には人工のクロマツの防風防砂林が見られることが多い。
近年遠浅の砂浜では、干拓地や埋立地が広がり、護岸ブロックや消波ブロック、高潮、津波防御のための巨大堤防の建設が進んでおり、さらに全国の主要河川にダムが建設されたことから河口まで運ばれる土砂が減少、自然の海岸線は1993年の時点で55.2%(島嶼部を覗くと44.8%)しか残っていない。
瀬戸内海の燧灘(ひうちなだ=瀬戸内海中央部のこと)に面する織田が浜(愛媛県今治市)は瀬戸内海最大の砂浜海岸だったが、港湾、埠頭整備のために西側の三分の一が埋め立てられコンクリート護岸が伸びる人工的な風景になってしまった。

台地と丘陵(6月出題)
平野周辺の山地との境界部に見られることが多い。
台地や丘陵を作る地層は、山地のものと異なり、数十万年前~数万年前の新しい時代に、当時の低地や浅海に堆積したものであるが、海岸付近では昔の海底が隆起して出来た海岸段丘も台地に入る(火山活動によって出来た溶岩台地や火砕流台地はここでの台地には含まれない)。
台地と丘陵は、時代によって区別され、台地は約13万~7万年前の最終間氷期に形成された地形、丘陵はそれよりも古く標高が高いものを指す。
地盤運動が隆起傾向なら古い地層が台地や丘陵に、沈降傾向ならば沖積低地が広がる。

海水準変動
地球規模の環境問題の一つとして海面上昇がある。温室効果ガスによって対流圏の気温が上昇、海水の熱膨張、山岳氷河の融解、グリーンランドや南極の氷床変化を引き起こし、その結果として界面が上昇すると言われている。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によれば21世紀末までに0.09~0.88m界面が上昇すると予測されている。
インド洋のモルディブや、南太平洋のツバル、キリギスなどの標高数mしかない珊瑚礁の島々、バングラディッシュなど三角州や湿地帯に多くの人が住んでいる途上国では、十分な護岸や堤防がなく、毎年高潮による浸水被害や海岸浸食が発生している。

山の湖と海の湖
日本には自然の湖が600以上ある。
山の湖とは、火山活動によるカルデラ・火口・マール(マグマが水と触れて水蒸気爆発を起こしてできる小さな火山)などの凹地や、溶岩・泥流の堰止めによってできる湖。北海道、東北、南九州の火山地域に見られる。
海の湖とは、海岸部で砂嘴→砂州→沿岸州(堤防状の砂州)の発達によって外海と隔てられてできる湖。オホーツク海沿岸、北関東や北陸から山陰地方の沿岸部にかけて見られる。
湖は中国・四国地方、九州北部には極めて少ない。

干潟の自然環境(8月出題)
現在の東京湾沿岸部は世界で最も人工改変された海岸地帯だといわれている。戦前までは広大な干潟が広がり乗りの一大養殖地帯になっていたが、戦後になると工場群や団地、ごみ処理施設を建てるため大規模に埋め立てられ、深刻な水質汚染が進んでしまった。砂浜には本来存在しないはずのが見られ、干潟に生息する野鳥は姿を消してしまったのである。

九州の有明海には面積が2万3000haもある日本最大の干潟が残されている。有明海の干潟は干満の差が4.9メートルもあり、陸と海が交互に入れ替わる干潟の豊かな生態系は「魚のゆりかご」と言われている。珪藻を食べるムツゴロウという魚はわずか1平方メートルに一匹の割合で生きており、少ない面積で多くの生物が暮らしていることが見て取れる。

鹿児島県喜入市以南、薩南諸島~沖縄にかけての島々の干潟にはマングローブ林が発達している。耐塩性を持つヒルギなどの樹種によって形成されるマングローブは、豊かな生物環境と同時に、人々の資源(燃料、住居、船の材料)も提供している。
さらにマングローブ林は海岸の浸食や高潮から内陸を守る役割も果たしているが、世界的に見ると、燃料や建材を得たり、海岸部でのエビの養殖場を建設するために大量に伐採され消滅の危機に瀕している。

中部日本の6つの季節
①冬(12月中旬~3月上旬)
北西季節風によって西高東低の冬型の気圧配置になる。
日本海側で多降水、太平洋側で寡降水になる。

②春(3月中旬~6月上旬)
季節風が北へ後退、温帯低気圧と移動性高気圧が交互に通過し、天候が周期的に変化する。
ユーラシア大陸から黄砂が飛来する。

③梅雨(6月中旬~7月中旬)
梅雨前線帯が本州付近に停滞、全国的に降水量が多く、日照時間は少ない。
ちなみに北海道では梅雨ははっきりしない。

④盛夏または夏(7月下旬~8月下旬)
北太平洋高気圧が北上することで、東アジアの風系が北上、高温な晴天が続く。

⑤秋霖(しゅうりん)または秋雨(9月上旬~9月下旬)
北成分の風が南下し、秋雨前線帯が停滞。台風による降水も多い。

⑥秋(10月上旬~12月上旬)
春と同様、温帯低気圧と移動性高気圧が交互に通過し、天候が周期的に変化する。
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