経済学覚え書き⑧

 久々に経済学覚え書き。帰ってきたぜー!やろうやろうと思っていて、ずっとやってなかった、日本経済の発展や世界的金融システムの流れをまとめます。

インフレーション
物価が継続的に上昇する現象を言う。逆がデフレなんだけど、一口にインフレと言っても色んな種類のインフレがいてややこしい。まずはそこから。

ディマンド・プル・インフレーション
総需要(ディマンド)が総供給(サプライ)よりも大きくなったことで起きるインフレ。

コスト・プッシュ・インフレーション
金銀や原材料費といった生産コストの上昇が物価を上げるインフレ。

ハイパー・インフレーション
物価が短期間に数十倍にも上昇するインフレ(インフレ率20~100%※年率)。
第一次世界大戦後のドイツでは、貨幣価値が大暴落。卵一個の価格が3200億マルクになった。
こうなると、ちょっとした買い物でいちいち札束を持ち歩かないといけないので、政府は通貨の価値を切り下げしてしまうことがある。これをデノミネーションという。北朝鮮が何年か前に実行して、でも、うまくいかず責任者が処刑されちゃった。

ギャロッピング・インフレーション
インフレ率10~20%。

クリーピング・インフレーション
忍び寄るインフレという意味。インフレ率5~10%

ちなみに、インフレ率が低下していくのをディスインスレーションという(※デフレではない!)

景気循環
景気変動とも言う。資本主義経済は、経済が拡大する時期と縮小する時期を交互に繰り返してきた。このパルス状の現象は、均衡点はひとつに決まると考えていた経済学にとっては謎だったが、スウェーデン学派を作った経済学者ヴィクセルは均衡点から利子率が乖離しているのが原因だと考え不均衡分析を試みた。
ファンダメンタル(経済成長、景気変動、物価といった実際の経済を決定する根本的な条件)とは乖離した人々の期待と、不適切な利子率が経済を不安定にし、景気の波を形成しているという。景気の気は気持ちの気だったらしい。
ちなみにヴィクセルのライバルは、経済は長期的にはだいたい安定すると説いたアメリカの経済学者フィッシャーだった。新古典学派の最初期のメンバーであるフィッシャーは、あの物価指数を考案し、フィリップス曲線や無差別曲線の研究に貢献した。
しかし、景気は放っておけば自然に良くなるというフィッシャーの楽観論は、世界恐慌に対してアメリカ政府が有効な手を打たなかった一因にもなった。
そこでマーシャルやピグーなどのケンブリッジ学派が、新古典学派を批判することになる。

ちなみに景気循環の波はフラクタル構造になっていて、サイズごとにそれぞれ名前が付いている。
キチンの波(40ヶ月周期)原因:企業の在庫循環
ジュグラーの波(7~10年周期)原因:企業の設備投資循環
クズネッツの波(20年周期)原因:建造物の建て替え
コンドラチェフの波(50年周期)原因:技術革新



日本経済の発展

戦後復興期(1945~55)
経済の民主化(農地改革、財閥解体、労働改革)
アメリカによる復興援助(ガリオア・エロア資金)
日本政府は、限られた労働力と資金を、石炭、鉄鋼、肥料などの基幹産業に重点的に投入する傾斜生産方式をとった。
当時の日本は100%を超えるハイパー・インフレが起こり、その後も経済復興のために復興金融金庫が紙幣を大量に投入し、それがまたインフレを呼ぶ悪循環となった(復金インフレ)。
これを解決するために49年ドッジ=ラインという、復興金もアメリカの援助も断って、1ドル=360円の単一為替レートでやっていこうという、超均衡財政が組まれたが、今度は逆にデフレになり不況(安定恐慌)を招いてしまう。ちなみにドッジというのは占領軍の顧問銀行家(ドッジさん)の名前。
踏んだり蹴ったりだったが、50年に朝鮮戦争が始まると、アメリカ軍の需要が上がり特需景気となって好景気を迎えることになる。
1956年での経済白書においてもはや戦後ではないという名言が誕生するほどに経済は回復した。

IMF加盟(1952)
国際通貨基金。IMFは加盟国の中央銀行の取りまとめ役で、経済的にヤバそうな国に融資を行う。
貿易の促進、加盟国の経済成長、為替の安定を目標とするが、内政不干渉の原則を守るので、国によっては融資を踏み倒したりもした。
日本は世界第二位の出資国。
設立当初は、各国に対して金1オンス(28g)=35ドルでの交換をアメリカが保障する固定相場制だった(IMF体制)。基軸通貨ドルの誕生である。

GATT加盟(1955)
関税及び貿易に関する一般協定。
自由貿易の推進、世界貿易の拡大を目指す。IMFと世界銀行IBRDと共に戦後経済を支えるブレトンウッズ体制の三本柱として設立された。
基本的には、第二次世界大戦の原因にもなった関税障壁を徐々に切り崩していくのが目標で、8回関税交渉が行われ(ラストは94年のウルグアイ・ラウンド)、その業務は95年にWTO世界貿易機関に引き継がれた。

高度成長期(1955~73)
年率10%前後の高水準の実質経済成長率を達成した時期。
その理由はいくつかある。
・海外からの技術革新
・国民の高い貯蓄率
・投資が投資を呼ぶ積極的な企業の設備投資
・消費革命と言われた耐久消費財ブーム
・安価で質の高い労働力
・輸出に有利な円安固定相場
・国民所得倍増計画(1960年、池田勇人)などの政府の産業育成政策
・企業グループ間の激しいシェア拡大競争
・アメリカを中心とする世界経済の拡大
・平和憲法による軍事費の低い負担
など。
高度経済成長により、産業構造は高度化、重化学工業が進展した。
このような産業構造の移行(第一次産業から第二次産業、第二次産業から第三次産業へと比重が移っていくこと)をペティ=クラークの法則と言う。
また所得倍増計画によって、主な働き手である男性が出稼ぎに行き、農家はじいちゃん、ばあちゃん(お年寄り)、かあちゃん(主婦)の3ちゃん農業と言われるようになった。

神武景気(1955~57)
日本最初の天皇のことで、それくらいかつて例をみない爆発的好景気

岩戸景気(59~61)
天照大神が隠れた天の岩戸のことで、それくらいかつて例をみない爆発的好景気

オリンピック景気(63~64)

と好景気が続いたが、好況により輸入が増えると国際収支が赤字になり(当時の日本は輸出をあまりしていない超内需国だったから)、そのため仕方なく金融を引き締めると不況になるという国際収支の天井による景気変動を繰り返すようになった。

OECD加盟(1964)
経済協力開発機構。
もともとは戦争でメチャメチャになったヨーロッパを復興するためにアメリカが推進した計画(マーシャル・プラン)で、1948年に前身機関OECCが誕生、本部はパリに置かれた。
その後ヨーロッパが復興すると、アメリカとヨーロッパが対等に自由主義経済の発展のために協力する機関になった・・・って外務省のサイトが言ってるw

OECDは国際マクロ経済動向、貿易、開発援助といった分野に加え、最近では持続可能な開発、ガバナンスといった新たな分野についても加盟国間の分析・検討を行っています。

こちらは経産省のサイト。ちなみにOECDにはDAC開発援助委員会という子分がいる。

さて、1964~65年の景気後退では昭和40年不況と言われ、需要不足に対して戦後初めて赤字国債が発行された。
その後、経済は持ち直し、65~70年のいざなぎ景気は、57ヶ月という戦後最長の好況となり1968年にはGDPがドイツを抜いて世界第二位になった。

ニクソン・ショック(1971)
戦後のアメリカは、世界各地にドルを流出させ、国際収支を悪化させ、さらにヨーロッパや日本が経済的に復興しアメリカの地位は相対的に低下、これらの要因でドルの価値に不信が募ると、1967年フランスは持っているドルを金に交換してもらおうと動いた。
こうしてアメリカの金保有高に不安が生じ、1968年には加盟国で金の高騰を抑えるために結成された金プール制を廃止、金の二重価格(法定価格と市場価格が独立)を実施した。
だが、これでもダメだったらしく、1971年、金とドルの交換停止をいきなりニクソン大統領が発表。ニクソン早まるな、とスミソニアン博物館に集まったG10各国は、ドルの価値を下げることに合意したが(スミソニアン協定)、これもやっぱりダメで、ブレトンウッズ体制は崩壊、外国為替市場は大混乱。
さらなるドルの切り下げが行われ、世界は変動相場制に移行した。
78年のキングストン協定では、変動相場制を再確認、SDR(IMFの準備資産から外貨を引き出す権利。最初は金だったが現在は各国の様々な通貨が集められているバスケット方式)重視で合意した。

安定成長期(1973~80年代)
高度経済成長は73年の第一次オイルショックによって終わりを迎える。
石油危機の前には1%ほどだった失業率は2%になり、インフレと景気の後退が同時に起こるスタグフレーションが起きた。
これに対抗するため、政府は厳しい総需要抑制政策を実施、二度目の石油危機が1979年に起きた時には物価は上昇しなかった。石油に依存しないエネルギーの転換、省エネルギーの技術開発が行われたからである。
その後は、年率3~5%の安定成長を続けることになった。
78年のボン・サミットでは、景気のいい西ドイツと日本が世界経済を牽引する機関車の両輪として頑張ってくれとカーター大統領に頼まれたが、ドイツは嫌がった。でも日本は同意した。

80年代には、企業は合理化を進め(省資源、省エネ)、強い国際競争力を備えた電気製品や自動車が集中豪雨的に輸出された。
これにより、欧米との経済摩擦が発生、内需を拡大する経済構造への転換を求められた。
1985年にはプラザ合意で(NYのプラザホテルでのG5の合意)によって、円高ドル安誘導が図られ、輸出で稼いでいた日本は一時、円高不況となる。
その結果、企業は外国への直接投資を行うようになり、国内産業の空洞化や、投資摩擦が起きた。
不況で落ち込んだ需要を刺激するため、政府と日銀が低金利政策を行うと、余った資金が株と土地に投機的に流れ込み、資産価格が実態(ファンダメンタル)以上に膨れ上がるバブルが起きた。
ちなみにドルの方はプラザ合意の影響で安くなりすぎてしまい、87年のルーブル合意で今度はドル高に誘導しようとしたがドルの下落は止められなかった。

平成不況(90年代~)
公定歩合の引き上げや、地価税の導入により、あっさり弾けたバブルは、銀行やノンバンク(預金業務は行わず、資金の貸し出しだけを行う金融機関。住宅金融やクレジット会社)に大量の不良債権を残した。
銀行は資金を貸し渋りし(信用収縮)、企業の設備投資は減少、所得の減少により、個人消費も落ち込み、深刻な不況が続くことになる。
これにやべえと思った日本銀行は、今度は公定歩合(現・基準貸し出し利率。94年に金利自由化が行われ政策金利としての意味合いが薄れたから名称が変更された)を下げたが、見事に流動性の罠にはまって、ついにはコールレート(銀行間金利)をゼロにする、ゼロ金利政策(98~)までやったが、大した効果は現れなかった。
現在は3回目のゼロ金利政策を実施中。

ペイオフ解禁(1995~段階的に実施)
政府によって全額保護されていた銀行預金が、金融機関が潰れた場合1000万円とその利息分しか保護されなくなった。
これにより破綻した銀行の預金を預金保険機構が肩代わりすることになった。預金保険機構は破綻した銀行の合併に関して、資金援助や不良債権の買い取りも行うことができる。

金融ビッグバン(1996~2001)
金融システムの大改革。サッチャーの証券制度改革ビッグバンにちなむ。
フリー・フェア・グローバルをスローガンに実施。
平たく言うと東京市場をウォール街みたいにするってこと。
日本(旧大蔵省)はこれまで弱い金融機関に足並みを合わせる護送船団方式をとっていたが、これからは弱い者の面倒は見ないよ~んって感じ。
自由に競争する時代になり、外国の金融機関が破綻した日本の金融機関を買収することも可能になった。
2001年には金融庁が設立している。

政治学覚え書き⑪(地方自治)

 政治学覚え書きシリーズ、今回は地方自治体。

地方自治は民主主義の学校である。
イギリスの政治家ジェームズ・ブライスの言葉。住民が身近な地域の政治に参加することで、民主主義を運用する能力が学べるから。
地方行政を地域住民自らが行う考え方を住民自治と言い、イギリスで発展した。
また、中央政府から独立した地方公共団体が自主的に行政事務を行う考え方を団体自治と言い、こちらはドイツで発展した。

地方自治の民主化
戦前の大日本帝国憲法には、地方自治に関する規定はなく、地方は中央政府の指揮、監督下にあった。知事は天皇に任命される官選知事で、内務大臣によって監督される官吏だった。
日本国憲法によって、地方自治が制度的に保障。地方自治法が憲法とともに施行された。
①住民自治の保障
地方議会議員、首長が直接選挙で選ばれるように。
住民投票(レファレンダム)、条例の制定・改廃請求(イニシアティブ)、議会の解散請求、首長、議員の解職請求(リコール)などの直接請求権も認められる。
②地方分権の進展
内務省が廃止。地方議会が中央政府から干渉されずに条例を制定できるように(条例制定権)。

地方公共団体の種類
普通地方公共団体:都道府県と市町村
特別地方公共団体:特別区(東京23区)地方公共団体の事務組合(事業の共同処理をするために結成)、財産区(公の施設や財産の運営処分のために結成)、地方開発事業団など。

政令指定都市
人口50万人以上の大都市のこと。人が多いため、市をさらに区に分けて行政サービスを行うことができる。桃太郎電鉄的に紹介すると・・・
北海道の札幌!
宮城県の仙台!
埼玉県のさいたま!
千葉県の千葉!
神奈川県の横浜、川崎、相模原!
新潟県の新潟!
静岡県の静岡、浜松!
愛知県の名古屋!
京都府の京都!
大阪府の大阪、堺!
兵庫県の神戸!
岡山県の岡山!
広島県の広島!
福岡県の福岡、北九州!
熊本県の熊本!

議事機関
教科書によっては議決機関。都道府県議会と、市町村議会がそれで、ともに一院制。
議員は住民の直接選挙。任期は4年で、解散やリコールがある。
主な仕事
・条例の制定、改廃、予算・地方税・使用料の決定
・議長、副議長、選挙管理委員の選挙
・副知事、副市町村長、監査委員、公安委員を知事が任命する際の同意
・住民の請願の受理

不信任決議
議員の3分の2以上が出席し、その4分の3以上が賛成すれば可決。
不信任決議が通ると、首長は10日以内に議会を解散、もしくは辞職しなければならない。
また解散後最初に召集された議会で、再び不信任の議決をされた場合は、首長は辞職しなければならない(首長選挙やり直し)。

執行機関
大統領制と一緒で首長制を取るので、首長が単独で執行機関になる(機関なのか?w)。
任期は大統領と一緒で4年で、議会の不信任決議による辞職やリコールがある。
首長の下には副知事や副市町村長、地方公務員の会計管理人がつく(改正地方自治法が施行される2007年までは出納長や収入役が、その仕事を担当していた)。
主な仕事
・地方税の徴収
・議案の提出、予算の調整・執行、決算の議会提出
・治山治水、社会資本の建設
・教育、保健・衛生、社会保障、警察・消防の仕事
・戸籍・外国人登録の事務

拒否権
首長は、議会の議決が気に入らないときは、大統領のように10日以内に拒否権を行使して、再審議を議会に要求できる。
しかし議会が出席議員の3分の2以上のの賛成で再議決すれば、その条例や予算はそのまま成立する。

行政委員会
首長の独断や党派的支配を避けるために首長の下に設けられた独立機関。
以下いろいろある。

教育委員会
首長が任命。メンバーは5人(都道府県)、3~5人(市町村)。学校など教育機関の管理。
大津いじめ事件などで、教育委員会を独立機関ではなく、首長の指揮監督下においてしまったらどうか?という話もあり、今最も目が離せない行政委員会になっている。

公安委員会
市町村には存在しない。3~5人を知事が任命。警察の管理、運営。

選挙管理委員会
都道府県、市町村、ともにメンバーは4人で議会が選挙で選出。選挙に関する事務を管理。

人事委員会
都道府県、市町村、ともにメンバーは3人で首長が任命。地方公務員の人事行政を行う。

農業委員会
都道府県、市町村、ともにメンバーは約20人ほどで、首長に選ばれる選任委員と、選挙で選ばれる公選委員がいる。自治体によって人員の数は違う。

監査委員
首長が任命。メンバーは4人(都道府県)、3~1人(市町村)。地方公共団体の行政、会計監査が仕事で、彼らは委員会を作らない。

直接請求権
住民が署名を集めることで、条例の制定や改廃、監査請求、議会解散、リコールなどを要求することができる。
必要署名数は、イニシアティブと監査は有権者の50分の1だが、それ以外は3分の1も署名を集める必要がある。さらに有権者が40万人を超える大都市で3分の1の署名を集めるのは、現実的にかなり難しいので、40万人をオーバーした人数に6分の1をかけて出た数と、40万人の3分の1を足した数だけの署名となる。
署名が受理されても、今度は議会の同意や、住民投票にかけなければ実行はされない。自治体によっては中学生にも住民投票をさせたりしている。まさに民主主義のスクール。
①イニシアティブ(必要署名数50分の1)
首長に署名を提出。首長が議会にかけて結果を公表。

②監査請求(必要署名数50分の1)
監査委員に提出。監査結果を公表、議会、首長にも報告。割と実現しやすいので、時々本当に問題が発覚したりする。

③議会の解散請求、リコール(必要署名数3分の1)
この人たちは選挙によって選ばれているので、選挙管理委員会に提出。その後住民投票が行われ、過半数の同意があれば解散、解職。

三割自治問題
国税収入:地方税収入=7:3
でも地方の10割自治を目指すと国税収入がゼロにするしかなくなる。
自主財源:依存財源=7:3
これも地方の仕事をすべて地方税で賄えば10割自治ということになる。
『補訂版政治学』の地方自治(第13章)担当、真渕勝氏によれば、税収レベルでは中央:地方の比はおよそ2:1なのに、歳出レベルで見ると1:2に逆転しており、日本の地方自治体は非常に多くの仕事をしていることになると言う。
特に地方が中央から委託されている仕事を団体委任事務、機関委任事務といい(前者は地方政府全体に委任、後者は地方政府の特定の役職者に委任。現在は廃止されて法定受託事務に)、この仕事を中央や民間にどれだけ明け渡すかも、地方分権の大きな問題と言える。
主な法定受託事務には、戸籍事務、旅券の交付、生活保護の決定と実施、国政選挙などがある。

地方分権の推進
1999年に地方分権一括法が制定され、これまでの中央集権から、地方の独自性を打ち出した地方分権をさらに進めていく流れになった。
これは日本だけでなく世界的な流れであり、冷戦の終結によって地方自治体が中央政府とは異なるイデオロギーを打ち出すような危険性がなくなったことが大きいという。
さらに日本では自民党の55年体制が崩壊、自民党が長期的に与党を担うことが不確実になり、分権改革を進める動機が自民党側にも生まれた(中央から地方へ補助金を誘導するという“利権”が、流動的な政局ではいつライバル政党にの手に落ちるかもわからないから)。

三位一体の改革
2000年の地方分権改革は、国と地方の事務配分や、関与の仕方をめぐって争われていたが、2001年では放置されていた財政問題をいよいよ取り上げた。
「聖域なき構造改革」の一環として小泉さんが打ち出したのが三位一体の改革で

①地方交付税の縮減
②国庫補助金(使い道を国から指定されるお金)の廃止削減
③国税の基幹税目(所得税)を地方自治体(住民税)に移譲

という3つの改革を同時に実行しようとした。

財務相は国税を確保したいので①と②には賛成したが、③には反対。
総務省は全国知事会の支援を受けて、②と③は賛成したが、①には反対した。
事業省庁は族議員の支持を受け①と③には賛成したが、②には反対した。

見事に三すくみになってしまったが、事業省庁の補助金削減を共通目的とし、財務省と総務省が取引(財源移譲の規模と税目を調整、一時的な交付金制度を導入)をし、財務・総務のタッグVS事業省庁のバトルとなった。
結局①は削減額5.1兆円、②は削減額4.7兆円、③は移譲額3兆円となった。
この改革は、第一次安倍内閣になると「地方自治体に疲労感が蔓延している」と、地方税制改革を取り止め、地方分権の推進は中央省庁の出先機関を整理することで進めようとしたが、2007年に自民党が政権から下野し、この改革も頓挫した。
その後、民主党の原口一博議員が総務大臣になり「父権主義との戦い」を高らかに宣言したが、結局どうなったんだべか。

政治学覚え書き⑩(司法府)

 三権分立ラストは司法!な・・・長かった・・・

司法府(裁判所)

すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される(憲法76条)。

司法権の独立
・・・ということで司法権は独立していることになっているが、システム上やっぱり圧力をかけることは原理的には可能。
国会:国政調査権で裁判の内容に圧力
上級裁判所:最高裁判所が下級裁判官を指名するので、その作成名簿で圧力
内閣:最高裁判所の裁判官を任命するので、圧力
世論:マスコミや大衆の裁判批判で圧力

大津事件
1891年、大津市の警察官がロシアのニコライ2世を切りつけた暗殺未遂事件。
ロシアを恐れた日本政府は、その警官を死刑にしちゃえ!と超法規的措置を取ろうとしたが、司法が法律と判例にのっとって、無期懲役を命じ、政府の求刑を退けた。尽力したのは大審院院長、児島惟謙(こじまこれかた)
近代日本法学史上重要な事件と言われる。
そういえば、中国の漁船衝突事故も似たようなケースだった気がするけど、あっちは司法は負けちまった(^_^;)

裁判官の任免
最高裁判所長官:内閣が指名、天皇が任命
最高裁判所裁判官:内閣が任命、天皇が認証※指名なし!
下級裁判所裁判官:最高裁判所が指名、内閣が任命

裁判所の種類
裁判所は最高裁判所と、それ以外の下級裁判所の2種類のみ。
戦前には、行政裁判所や、皇室裁判所、軍法会議があったがすべて廃止。
現在の裁判所は4階級あり、その中で三回まで裁判が受けられるので、四級三審制と言われる。

①最高裁判所
設置数は1(東京)。
違憲立法審査の終審裁判所=憲法の番人
長官と、判事の計15人体制。

②高等裁判所
設置数は8。控訴・上告審。内乱罪だけはここで第一審。3~5人の裁判官による合議制。

③地方裁判所、家庭裁判所
設置数は共に50。一般的な事件の第一審。
地方裁判所は、裁判官一人の単独裁判だが、特別な場合は合議制。
家庭裁判所は家事審判、家事調停、少年事件を担当、単独裁判だが、特別な場合は3人の合議制。

④簡易裁判所
全国に438。
民事では140万円を超えない請求、刑事では罰金以下の刑に当たる罪を担当。単独裁判。

上訴
一回目を控訴、二回目を上告という。

再審制度
判決が確定したあとに、判決を覆すような重大な欠陥が出たとき、裁判をやり直すこと。
無実なのに長期にわたって被告人にされたことを冤罪という。

民事裁判
市民同士の争いを民法、民事訴訟法などによって裁く。

刑事裁判
国が公益の代表として犯罪の処罰を求める。刑法、刑事訴訟法による。

行政裁判
民事裁判の一種。
行政官庁と市民のあいだの紛争に関する裁判。
行政事件訴訟法による。『合い言葉は勇気』のフナムシ開発の裁判はこれ(県を訴えた)。

分限裁判
裁判官は行政機関が懲戒処分を行えないので、司法部内で行う裁判。

公の弾劾
国民は職務怠慢、職務義務違反の極悪裁判官を、国会の訴追委員会にかけることができる。
心優しきシャバレラ判事。

最高裁判所裁判官の国民審査
その人が最高裁判所裁判官に任命されて初めて行われる衆議院選挙の際に実施され、その後は最初の国民審査から10年経過して初めて行われる衆議院選挙の際に再び国民審査が行われる。
国民の投票で過半数が罷免を可とした場合は、その裁判官は罷免されるが、私の経験上これほど形骸化しているものもなく(10年以上経過しないとやらないとか)、いままで罷免された裁判官は一人もいない。

法曹三者
裁判官、検察官、弁護士。みんな司法試験をクリアしないとなれないが、日本ではその人数があまりに少ないので、法科大学院を作って法律家の養成制度を充実させようと試みられている。
検察官は、検察庁に属し、検察の不起訴処分が適正だったか審査するのが検察審査会。

司法制度改革
・刑事裁判の迅速化
・被疑者(起訴される前の人)に対する国選弁護人制度(2004年導入、2006年施行)※被告人じゃない
・法テラス(司法支援センター)の設置

裁判員制度
司法制度改革で最も大きかったのがこれ。
2009年5月から始まり、一般市民が刑事裁判に参加。
11月ごろ選挙権のある人から、翌年の裁判員候補者を抽選で選び、裁判所ごとに裁判官の名簿が作成される。この名簿に載った人には通知が届き、特別な事情でどうしてもやれない人は同封の調査票に辞退理由を書いて送り返すことができる。
その後、2ヶ月前後裁判がかかるであろう事件(それも凶悪殺人事件が多い)ごとに、候補者名簿から、裁判員候補者が抽選で選ばれて、裁判所に集められる。そこで裁判長と面接の後、最終的にもう一度くじをして、6人の裁判員が決定される。
アメリカなどの陪審員性と違う点は、陪審員が裁判官から独立して有罪、無罪の評決をするのに対して、裁判員制度では裁判員はプロの裁判官と一緒に審理にあたり(裁判員6人と裁判官3人の合議制)、5人以上の多数決で評決が決まる点(多数決には必ずプロの裁判官が一人入る)。
この制度はアメリカよりは、ドイツやフランスの参審制に近い。

政治学覚え書き⑨(行政府)

三権分立、第2弾は行政やります。

行政府(内閣)

行政権は、内閣に属する(憲法65条)。

行政国家
行政府が中心的な位置を占めている国家。20世紀から福祉国家が主流となり、国家機能が拡大(および複雑化)して政治化の時代となり、行政国家化が進んだ(行政権の優越)。これにより、立法部の役割は相対的に低下した。

ちなみに国会に提出されている法案の8割が内閣提出法案(閣法)で、成立した法律では、なんと9割になる。

内閣の主な仕事
・予算の作成
・条約の締結(承認は国会!)
・法律の執行
・国務の総理
・法令の制定
・天皇の国事行為に助言と承認
・臨時国会の召集の決定
・参議院の緊急集会の要求

立法に対して
・連帯責任
・国会の召集
・衆議院解散

司法に対して
・最高裁判所長官の指名(天皇が任命)
・下級裁判所の裁判官の任命(指名は最高裁判所!)


シビリアンコントロール
いわゆる文民統制。自衛隊(軍隊)を文民が指揮する。
内閣総理大臣と国務大臣は自衛隊制服組はなれない(現職はもちろん過去やってた人もダメ)。
逆に言えば、防衛省の官僚といった背広組は大丈夫。
でもヒゲの隊長とかがいるので、国会議員にはなれるらしい(自衛官をやめれば被選挙権はある)。
ちなみに2013年から自衛隊は官僚(背広組)ではなく、すべて制服組(統合幕僚監部)の管轄になった。

憲政の常道
大正時代の原敬内閣(1918~1921)で、立憲政友会中心の本格的な政党内閣ができ、以降、立憲政友会と立憲民政党の二大政党の党首が総理大臣になって組閣をするようになる。
この有力政党間の政権交代を憲政の常道と言う。

閣議
全大臣と、内閣官房副長官×3、内閣法制局長官だけが参加できる全会一致の会議。
毎週火曜と金曜に開かれる。
ニュースで映るのは閣議室の様子ではなくて、閣僚応接室。閣議は非公開なのだ。
ちなみに硯と筆を使ってトラディショナルに署名している(花押)。
全会一致なので、閣内不一致が起きそうな場合、総理大臣は閣僚を罷免できる。
まさに『総理と呼ばないで』。「あなたには尊敬できるところが何もない。」

内閣総辞職
内閣は任意に総辞職ができるが、必ず総辞職しなければならないのは以下の3つの場合。
①内閣総理大臣が欠けた時(大平正芳さんや小渕さんなど)。
②衆議院で不信任決議が通り、10日以内に衆議院が解散されない時。
③総選挙後初めて国会の召集があった時(それまでは前の内閣が残りの職務を続ける)。

行政委員会
政治的中立性が要求される行政において、内閣から独立して設けられる組織。
人事院、公正取引員会、国家公安委員会など。

行政指導
行政目標を達成するために個人、法人、団体に協力を求めること。
法的根拠はなく、相手の自発的な同意が必要だが、すごい圧力だと思う。
行政機関は、広範な許認可権を持つため、行政運営の公平性、透明性を確保する目的で、行政手続法(1993~)や情報公開法(1999~)などが制定された。

オンブズマン制度
行政の違法、不当な活動を中立な立場で調査し、是正措置を勧告する行政監察官のこと。日本では地方自治体には認められているが、国政にはない。
オンブズマンに当たるのが総務省行政評価局になるけど、行政機関の一部であり独立性に欠ける。ちなみにEUにはある(もともとスウェーデンの言葉で「代理人」という意味)。

行政改革
機能的で合理的な組織にするために、行政機構の整理と中央省庁の行政権限が縮小された。
省庁再編(2001)では、1府12省庁体制になった。
各省庁と深いパイプを持っている特殊法人のあり方についても改革が求められ、国立大学の独立行政法人化や、道路公団、郵政民営化などがそれ。官から民へ。中央集権方地方分権へ。
ちなみに首相を補佐するスタッフの数は増強され、国会議員から選ばれる副大臣大臣政務官のポストが増えた。
これにより政務次官政府委員制度(国務大臣に代わり官僚が国会で答弁できた)が廃止された(官僚政治からの脱却=政治主導)。

ニューパブリックマネジメント(NPM)
民間の効率的な経営手法を、行政組織の運営に積極的に活かそうとする考え方。
早い話、民間に学べ!という実践の理論。以下三つある。

①強制競争入札&市場化テスト
行政組織にも民間の競争原理を持ち込む。イギリスの地方自治体が実施。
つまり地方公共団体が入札を行い、民間企業だけではなく、自治体の担当部局も入札に参加する。落札できなければ、その仕事は民間に奪われる。入札対象は、道路、下水道、ゴミ収集、学校給食、公園の維持管理、さらには法律関係事務、建設設計、情報処理、人事、財政!にまで拡大された。
地方自治体だけでなく中央省庁も、市場化テストということで92年に導入。半分以上の業務が民間に落札されている。
これにより経費節減屋、目標やサービス範囲が明確化された。

②エージェンシーの設置
政府の行政執行機能を独立した機関(エージェンシー)に移譲すること。
政策の企画立案は政府がやり、具体的な実施の方はエージェンシーに担当させることで、
企画立案部門が実施部門の仕事を客観的に評価することが目的。
エージェンシーは「刑務所庁は重罪犯の脱獄をゼロにします!」みたいに、努力目標を数値化し、業績を所管の大臣だけでなく議会に報告する。
日本では独立行政法人がこれに近いが、実施機能の分断という面では疑問が残る。

③プライベート・ファイナンス・イニシアティブ(PFI)
民間企業のノウハウを社会資本整備に活用させるため、公共資本を民間所有にする。
つまり民間委託ではなく、さらに進んで公共施設の所有まで民間に任せてしまう。
効率化という点では合理的だが、これのNG例として『キャピタリズム~マネーは踊る~』ではPAチャイルドケア社の事件を取り上げていた。

NPMには問題がある。それは、行政の活動は一元的な尺度で測れないからだ。
例えば警察が数値目標に固執しすぎて、法の執行を厳格にしすぎると、かえって秩序が悪くなるというディレンマが発生する。
学校だって、校内の平均点を上げるために、勉強が苦手な子は全国テストを受けさせないようにするかもしれない。行政全てに、このような成果指標も持ち込むのは、ムーア監督が言うように危険なことでもあるのだ。

内閣総理大臣
日本の総理は、強力なリーダーシップを発揮するトップダウン型ではなく、調整型の政治指導を行なう受動的リーダーシップが特徴であるとされている。
受動的リーダーシップとは、自分自身の明確なビジョンを実現させようとするのではなく、その時々に起こる問題に対処するために行動を起こすタイプのリーダーを指す。
もちろん中には、強力なリーダー(政治的リーダーシップ)もいて、ワンマン宰相吉田茂、昭和の妖怪岸信介、永田町の変人小泉純一郎あたりは、これに当てはまらないが、気配り一番と言われた竹下登首相(汗は自分でかきましょう、手柄は人にあげましょう)などはまさにこのタイプ。でも10年かかっても誰も導入できなかった消費税を実現したんだけどね。
また、受動的リーダーシップは必ずしも悪いものではなく、ドイツやイタリアにも見られるし、実際、日本の政治に一番似ていると言われるのはイタリアの政界らしい。

PM理論
リーダーシップのスタイルを分類する理論の一つで、社会心理学者の三隅二不二が提唱。
目的志向型の総理をP(パフォーマンスファンクション目標達成能力)型、組織配慮型の総理をM(メンテナンスファンクション集団維持能力)型としている。

エリス・クラウス
日本の戦後政治が専門の政治学者エリス・クラウス博士は、総理大臣の指導力を決める要因を次の三つにまとめた。

①制度的コンテクスト
②マスコミに対するイメージ管理
③国際関係と外交舞台


欧米よりも一歩遅れて近代化をしてきた日本では、官僚の影響力が大きくなりがちで、各大臣は首相の代理人ではなく官僚の代理人になる「官僚内閣制」であった。
また族議員の影響力が大きかった自民党では、彼らの論理が広範な利益を考える首相の障害になることもあった。
二つ目に、ぶっちゃけ日本のマスコミはこれまであまり首相に注目してこなかった。記者クラブでは、首相がテレビで直接国民に語りかけることに抵抗を示したのだ。
最後に、外交は首相のリーダーシップを示す絶好の機会であるものの、反面ここで失敗をすると政権にとっては致命的な打撃になってしまう。
この3つが複雑に作用しあって、総理大臣の指導力は決定されているらしい。

とはいえ、21世紀に入ってから、総理を取り巻く状況は変化している。
まず衆議院選挙が中選挙区制から小選挙区制になったことで、族議員とそれに伴う派閥の影響力が衰退した。また、2001年の省庁再編によって少数だった首相スタッフは飛躍的に増加し強化された。
さらにマスメディアの報道姿勢に変化が起き、テレビに政治家が出演し公的な問題を討論するようになった(ニュースステーションとか)。
小泉首相時代には、「首相の大統領化」なども言われたが(首相公選制)、反面ポピュリズム政治に陥る懸念もある。

官僚制(ビューロクラシー)
まあいろいろ叩かれている官僚制。
マックス・ヴェーバーは「最も合理的な組織形態である」と評し、もちろん良い面だってたくさんあるけれど、システム上どうしてもつきまとう問題がある。

①繁文縟礼
規則を強調しすぎて、官僚の行動が硬直化すること。ミスタースポック化。
つまり規則に従うことが自己目的化されてしまう。
この柔軟性のなさが国民に不満を抱かせ、これに対処するためにまた規則ができて・・・の悪循環。

②セクショナリズム
専門性を高める分業方式によって(テクノクラート)官僚制全体の利益よりも、自分が所属する組織の利益を優先させるようになってしまう。
さらに分業による能力向上を維持すると、人事異動が減るので、さらに下部組織独自のイデオロギーができてしまう。なんか封建制度みたいだなw
その結果、下部組織同士に利害の対立が生まれてしまう(派閥争い)。

③管理化
上司が規則を強化しすぎると、部下の反発を招く。
そして部下は規則に抵触しない範囲で職務をサボる。その結果さらに規則が強化され・・・の悪循環。

官僚の類型
これが学校の先生にも置き換えられて楽しいw

①国士型官僚
政治の上に立ち、社会(利益集団)とは距離を置くタイプ。
オレ達官僚だけが国益を考えているんだ!という熱いオラオラ系。
1960年代まではほとんどがこれ。責任感が強いが独善的になりやすい。

②調整型官僚
政治も社会も見下さず、どちらの意見も取り入れ、利害の調整を行うタイプ。官民協調。
1970年以降現れ、90年代では最も主流。
柔軟でバランスが取れているが、妥協案(落としどころ)を見つけるために、当事者の(とても公表できないような)、かなりプライベートな情報を知る必要があり、人との交際において公私の区別がつかなくなってしまう。90年代に相次いだ官僚の不祥事は、このタイプが引き起こした。

③吏員型官僚
政治の下につき、社会とは距離を置くタイプ。
自分の与えられた仕事だけを機械的にこなす。公務員のイメージ。
利害調整は政治家の仕事だろって。
命令には忠実だが杓子定規になりやすい。

政治学覚え書き⑧(立法府)

 今回は、いよいよ日本の政治の仕組みについてまとめます。三権分立は、中学校の公民でも最もよく出題される部分で、私も散々やっているんだけど、未だに細かいところを忘れちゃってたりする、なかなか油断できないやつなんだ。どこがなんの権限を持っているかについて、微妙なのがいくつかあるので。
で、いろいろまとめてたら、すごい分量になったので、今回は立法府に絞って。

三権分立
厳密には完全に三権が対等ではない。
立法府>行政府(イギリス型)
司法府>立法、行政府(アメリカ型)


立法府(国会)

立法国家
立法府が中心的な位置を占めている国家のこと。

国権の最高機関、唯一の立法機関(憲法41条)。
その理由は、立法府に携わる人だけは選挙によって選ばれているから国民の代表(代理人=エージェント)なわけ。議会制民主主義。

立法の国会中心主義
国会を通さないで他の国家機関が勝手に法律を作るのは禁止。

国会単独立法
国会だけで法律は成立する。

日本の議会は、ポルスビーの理論に基づくならば、イギリスとアメリカのハイブリッド型であると言える。
議院内閣制や党首討論(クエスチョンタイム)はアリーナ型だし、委員会主義や、政策担当秘書制度は変換型だ。

通常国会
1月に召集。会期150日。予算審議がメイン。

臨時国会
内閣の要求か、どっちかの議院の総議員の4分の1の賛成で開催。
会期は両院の一致で決定。

特別国会
衆議院解散の日から40日以内に解散総選挙を行なうが、その総選挙の日から30日以内に召集され、内閣総理大臣が指名される。
※ただ、内閣が任期満了までやり終えた時に、召集されるのは臨時国会!

参議院の緊急集会
衆議院解散時に、緊急に対応しなければいけない事案ができた場合、参議院で開催。
緊急集会でとられた措置は、次の国会開会後10日以内に衆議院の同意を得なければ失効する。

国会運営
定足数:会議を開くのに必要な出席数。総議員の3分の1以上。
議決:出席議員の過半数で議決。憲法改正の場合は総議員の3分の2以上。硬性憲法なので法律よりも改正が困難!
再議決は出席議員の3分の2以上。

一事不再議の原則
一度議決した問題は、同一会期中に再審議はしない。

会期不継続の原則
会期中に議決にいたらなかった議案は、次の会期に持ち越されずに廃案になる。
委員会の継続審査は議院の議決によって可能。
※ただし、衆議院では、委員会からの要求がない場合においても、本会議の議決で議案等を閉会中審査に付することがあります。・・・って参議院のサイトが言ってたw

議院の自律権
①議院規則制定権:議院規則によって手続きや規則が決められる
②議員の資格訴訟の裁判権
③議員の懲罰権:最高処分は除名

租税法律主義
議会の承認なければ課税なしの原則。

国会議員の特権
①会期中の不逮捕特権
②発言・表決の自由:ただ法的責任は問われないが、政治責任は問われる
③歳費を受ける権利:たしか電車タダで乗れるんだよねw

両院制
衆議院(数の代表)を参議院(理の代表)が修正したり反省させたりする。
日本では両議院ともに民選になったが、選挙の方法や任期などを変えて、差別化を試みている。
しかし、現在では政党政治化が進んでいるので、ねじれ国会ではないときは、衆議院と参議院の差が薄れ、衆議院が解散している時に、参議院が代理的に緊急集会を開くくらいしか意味がないんじゃないかと、参議院の形骸化を指摘する人もいる。

衆議院の優越
任期が短く、解散というリスクがある分、国民の意思を反映してくれるから・・・らしい。

○(衆議院の優越が認められている)
法律案の議決
衆議院と参議院が異なる議決をした場合、衆議院で出席議員の3分の2以上の賛成で再可決した場合は法律になる。

予算の議決、内閣総理大臣の指名、条約の承認
このみっつは両院協議会を必ず開く。
衆議院と参議院が異なる議決をしたり、両院協議会でも一致しない場合は、衆議院の議決が国会の議決になる(衆議院の絶対的優越)。予算案は受け取ってから30日内に議決がされなかったら衆議院の議決が国会の議決になる。

内閣不信任決議
予算の先議権
臨時国会、特別国会の会期の決定
国会の会期延長
両院協議会の参議院の請求の拒否権


×(国会全体の権限)
憲法改正の発議
決算の承認
弾劾裁判所の設置

国政調査権
立法府の行政監督権。もちろん濫用したり、司法の独立は犯せない。
施工後は、吊し上げ的な証人喚問をやりすぎた反省から、やらなくなったことがあるが70年代に入るとオイルショックの便乗値上げやロッキード事件などの政界汚職事件で蘇った。

弾劾裁判
弾劾裁判所自体は「国会議事堂近くの参議院第二別館という建物の南棟9階」にある・・・って、弾劾裁判所のサイトが言ってる。
ちなみに訴追委員会のメンバーは衆参各10人、弾劾裁判の裁判員では両院各7人で構成されている。

日本の議会政治の問題点
①民意を反映しない選挙制度
②審議の形骸化。でもイギリスの読会もかなり形骸化(まだマシ?)。
③行政監督の機能不全:与党は内閣を擁護し、野党が国勢調査をやろうにもなかなか発動できない(国政調査権は“原則”全会一致であるため)。

牛歩戦術
与党の強行採決に対抗するため、野党が苦し紛れで考え出したであろう戦術。
投票時にのろのろ歩いて、時間稼ぎを行なう(止まると投票の意思がないと判断されるので一応歩く)。
議場を一度出ると、その議会が終わるまで再入場ができないので、反対派の議員が便意を催すまで粘ったり(ただ紙おむつで対抗はできる)、日が変わるまで投票を長引かせることで、その投票の無効を企む。
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