倫理学覚え書き②

 哲学の歴史、ルネサンスから近代まで。

ルネサンス(14世紀~)

ピコ=デラ=ミランドラ(自由意志論)
『人間の尊厳について』で自由意志論を主張(運命論の逆)
すべての哲学や宗教を融合!
人間とは小宇宙であり、自然の秘密を知ることで、創造主と一致する。
人間の自由と独立を強調。

マキャベリ(マキャベリズム)
おそらく三度目の登場。イタリアの外交官。
『君主論』で権謀術数主義を主張。
当時のイタリアは神聖ローマ帝国(ハプスブルグ家)とフランス王(ヴァロワ家)がイタリアの支配をめぐって争っており(イタリア戦争)、マキャベリは国を収める強い王様を求めた。

北方ルネサンス(15~16世紀)

エラスムス(痴愚神礼讃)
おそらく二度目の登場。
オランダのカトリック司祭でありながら『痴愚神礼讃』で教会の堕落ぶりを風刺。
同じくカトリック教会を批判したルターとは自由意志の是非をめぐって争うことに。
『自由意志論』はローマ教皇の依頼でエラスムスが書いた、ルターへの反論。
※16世紀の宗教改革は世界史覚え書きでまとめたので割愛します。

トマス=モア(ユートピア)
エラスムスの友人のイギリス人文学者、政治家。
『ユートピア』で私有財産と貨幣が存在しない理想の楽園を構想。
当時のエンクロージャーを批判した。つーかやっていることSF作家w

フランスモラリスト(16~17世紀)
人間はいかに生きるべきか?=道徳がテーマ。

モンテーニュ
『エセー』私は何を知るか?=ク・セ・ジュ?
一方的な独断と偏見を批判する懐疑主義。
ユグノー戦争に対して宗教的寛容性を説く。

パスカル
人間の理性を過大評価するデカルトを否定。
人間は、無限と虚無、悲惨と偉大の中間者。
「自分の悲惨を知らずに神を知ることは高慢」
「神を知らずに悲惨を知ることは絶望」
「イエス・キリストを知ることはその中間」
パスカルの賭け 神の存在を証明できなくても神に賭けるのは損じゃないということ
理性能力(幾何学の精神)と直感能力(繊細の精神)を区別。

科学革命(16~17世紀)
ニュートンが大成。
古代ギリシャの目的論的自然観から法則や因果律を研究する機械論的自然観に。

コペルニクス
プトレマイオスの天動説をひっくり返す地動説を主張。
カトリック教会に何言われるかたまったもんじゃないから地動説をまとめた『天体の回転について』は死後出版された。
ちなみにコペルニクスはカトリック司祭でもあり、宇宙を支配する神(=惑星の完全な円運動)を説明する上で天動説よりも地動説の方が都合が良かったため地動説を主張したのであって、別に宗教アンチではなかった。

ケプラー
コペルニクスの地動説を証明しただけじゃなく、より優れた惑星運動理論であるケプラーの法則を観察によって導いた天文学者。
①惑星の軌道は楕円。
②一定時間公転した惑星の軌道と太陽とを結ぶ線分が囲む面積は等しい。
③公転周期の2乗と、楕円軌道の最も長い半径の3乗は、どの惑星でも比例する。

ガリレイ
慣性の法則(振り子)や落下の法則(ピサの斜塔)を実験によって発見。
「自然の書物は数学の言葉で書かれている」
コペルニクスの地動説を支持したが宗教裁判で有罪判決を受けてしまう。

ニュートン
万有引力の法則を発見、古典力学を完成した天才。
『プリンキピア(自然哲学の数学的諸原理)』慣性の法則、運動方程式(ベクトル)、作用反作用の法則、微分積分、光のスペクトル分析。

イギリス経験論(16~17世紀)

ベーコン(イギリス経験論創始者)
『ノヴム=オルガヌム』(新しい道具)で自然に関する知識(一般法則)によって自然を支配し、人類は発展できると主張。→知は力なり

①種族のイドラ 自然を擬人化など、人間という種族に固有の偏見
②洞窟のイドラ 個人の狭い経験に基づく偏見
③市場のイドラ 噂話、都市伝説など、言語、情報に基づく偏見
④劇場のイドラ あの人が言うなら正しいという、権威を信じ込むことによる偏見

先入観なしで観察から客観的事実を導く帰納法の重要性を訴え続け、冬の日に肉の冷凍保存の実験をして風邪をひいて死去。

ロック(生得観念の否定)
タブラ=ラサ(磨いた文字板) 生まれた時は白紙状態であり生得観念は存在しない

ビャクルリ(素朴観念論)
「存在するとは知覚することである」「精神とは知覚の束である」
知覚しないと精神も物体も存在しない!素朴実在論を否定。
MOTHER2のムの修行っぽい。

ヒューム(懐疑論)
経験論を突き詰め、精神や物体の実体や因果律すら否定した懐疑論のパイオニア。
カントに影響を与える。

大陸合理論(17世紀)

デカルト(大陸合理論創始者)
フランスの数学者。1+1=2のような数学の公理は、経験によって得られるものではないので、数学者のデカルトは経験よりも理性を重視した。
われ思う、ゆえにわれ有り=明晰判明な真理=哲学の第一原理
物心二元論 精神の性質は思惟、物体の属性は空間的延長
暫定的道徳 ①周囲の道徳、法律、習慣に従え②不決断ダメ③自分に負けるな
高邁の精神 感情や欲望を理性でコントロールできる人が気高い人

精神指導の四つの規則
①明証の規則 明らかに真でない限り真としない(方法的懐疑)
②分析の規則 必要な部分に絞って問題に当たる
③総合の規則 簡単な問題→複雑な問題
④枚挙の規則 見落としがないように全体を見通す

スピノザ(汎神論的一元論)
『エチカ』(倫理)で神を唯一の実体としたオランダの哲学者。
神即自然 神=自然という意味。よって自然の一部である人間も神ということに。
永遠の相の下で 神の視点から見れば偶然的なことも全て必然
神は自然を超越すると考えたユダヤ教に無神論と批判され、破門。

ライプニッツ(モナド論)
言語学や論理学、確率論、計算機などを研究したドイツの数学者。
『モナドロジー』でモナド(個別的精神実体)を①世界を表象するもの②欲求に従い自発的に運動するものと定義。神を完全で最高のモナドとした。
予定調和説 モナドの調和、秩序は神によってあらかじめ決定されているという考え方。

社会契約説(17~18世紀)

グロティウス(国際法、近代自然法)
国際法の必要性を説いた外交官として知られるが、ストア派のロゴスに由来する自然法を神の存在を前提とせず説明したことから、近代自然法の父とも言われる。
人間の本性は社会的で、神を必要としなくても社会秩序は形成される。
『戦争と平和の法』『海洋の自由』

ロック(宗教的寛容)
同一記事で二度目の登場。
タブラ=ラサや社会契約論のロックは、政教分離を主張した人でもある。
異なる宗教的立場をお互い認め合おうという宗教的寛容を主張したが、そこに無神論者(当時としてはありえない)とカトリック(カトリックのシステムは政教分離じゃないから)は含まれなかった。

ルソー(直接民主制)
イギリスの代議制の実態を「イギリスの人民の自由は選挙の時だけで選挙が終われば奴隷」と批判。フランス革命に大きな影響を与えた。

フランス啓蒙思想(18世紀)
理性による人間の進歩と発展を肯定する立場。ただし文明嫌いなルソーは例外。

ヴォルテール(理神論)
神は自然の秩序を作り出した存在であり、自然界の秩序こそが神だとした。
よって神は人格的存在ではなく、奇跡や啓示などで人間には干渉しない。
『哲学書簡』でニュートンやロックなどイギリスの進歩的な思想や文化を紹介。
フランスの遅れを批判。ダランベールと友達。

ディドロ&ダランベール
『百科全書』の編集責任者。ディドロは専門は生物学でダランベールは物理学。
唯物論や実証主義を主張。経験的に実証できないものの存在は認めないので形而上学を否定し、幾何学や算術は経験科学の一部とした。

ドイツ観念論(18世紀)

カント(ドイツ観念論創始者)
おそらく十回目くらいの登場。
『純粋理性批判』で大陸合理論とイギリス経験論を融合。
純粋理性(理論理性)には、そもそも何ができて何ができないかを考察(批判)した。
空間や時間は感性に先天的に備わる形式だと考え(ア・プリオリ)、経験論が否定した因果律も悟性の判断能力の一つの類型(カテゴリ)だとした。
感性(経験的)→悟性(合理的)→理性
対象は認識(悟性の判断能力)によって決定される(コペルニクス的転回)。
『実践理性批判』では道徳能力としての理性を、『判断力批判』では美的判断力をテーマにした。
理論理性は現象界を対象とし、実践理性は叡智界を対象とする。
格率 主観的な行動方針のこと。ルソーの影響を受けている。
「汝の意志の格率が同時に普遍的な立法の原理として妥当しうるように行為せよ」
目的の王国 人格を手段ではなく目的とみなしあう共同体のこと。

フィヒテ
ベルリン大学初代総長。カントの理論理性と実践理性を統一。
フランス革命を支持。

シェリング
ヘーゲルとは同窓生。主体と客体の根本的同一性を主張。

ヘーゲル(ドイツ観念論大成者)
弁証法 対話をすれば正VS反→合って感じでレベルアップ(アウフヘーベン)
人倫 客観的な法と主観的な道徳がうまい具合で一致したもの
家族(平等)→市民社会(個人の独立、不平等)→国家(個人の独立+平等)

功利主義(18~19世紀)

アダム・スミス(古典派経済学)
近代経済学の父。カントの動機説と対極的な行為の結果説を主張。
『国富論』『道徳感情論』

ベンサム(量的功利主義)
快楽=幸福、苦痛=不幸という快楽計算。最大多数の最大幸福。
ベンサムの考えは、普通選挙(誰でも一人一票)に影響を与える。

サンクション(制裁)
①自然的制裁 不摂生をすると体を壊す
②道徳的制裁 世間の非難や賞賛
③法律的制裁 司法で処罰※ベンサムが重視
④宗教的制裁 神の怒りや罰

JSミル(質的功利主義)
効用の原理、快楽計算は短期的じゃなく長期的な目標にすべし。
イエスの黄金律を理想とし、サンクションは良心の痛み(内的制裁)を重視した。
『自由論』で他者に危害を加えない限り何をやっても自由にすべしと述べた(~からの自由=バーリンで言う消極的自由)。代議士時代には女性参政権を主張。

実証主義(19世紀)

コント(社会学の創始者)
神学的段階(神話・宗教)→形而上学的段階(哲学)→実証的段階(自然科学)
軍事的段階→法律的段階→産業的段階
空想的社会主義のサン=シモンに影響を受けている。
病弱な恋人の死をきっかけに人類教を創始。人類教はブラジルの革命運動に影響。

スペンサー(社会進化論)
社会有機体説。
『総合哲学体系』で社会は軍事型社会から産業型社会へ進化することを主張。

倫理学覚え書き①

 哲学の歴史、古代から中世まで。

古代ギリシャ

自然=ピュシス
神話=ミュトス ヘシオドス『神統記』オリュンポス12神
運命=モイラ

自然哲学者
自然を神話ではなくロゴス(論理)によって解明。アルケーの探求。

自然哲学初期(ミレトス学派)

タレス
ギリシャ七賢人の一人。アルケーは水

アナクシマンドロス
アルケーは無限定者(ト・アペイロン)

アナクシメネス
アルケーは空気

自然哲学中期

ピタゴラス
アルケーは数。

ヘラクレイトス
万物は流転、戦いが万物の父。アルケーは

エンペドクレス
アルケーは火、空気、土、水の4大元素説。愛で結合、憎しみで分離。

自然哲学後期

デモクリトス
アルケーは原子。唯物論(人間の魂も原子によって構成)。

プロタゴラス
代表的ソフィスト。ソフィストは弁論術を教える職業教師のこと。
慣習や法(ノモス)はポリスによって異なると考えた。
人間は万物の尺度である(相対主義)。

ソクラテス
デルフォイの信託で問答法の対話をはじめる。
賢者の思い込み(ドクサ)を批判(無知の知)。

プラトンによる対話篇
『ソクラテスの弁明』ソクラテスの裁判
『クリトン』ソクラテスが国外逃亡を断る経緯
『パイドン』ソクラテスの死

アレテー(卓越性)
馬では速さ、ナイフでは切れ味といったもの。
人間では徳を持つ優れた魂が善い人のアレテー

知徳合一 徳が何か知っている人が徳を持つ
知行合一 徳の知があれば徳のある行いができる
福徳一致 徳を備えることが幸福

プラトン
アカデメイアで弟子を育成。
イデア界と現象界の二元論。
理性でイデアを捉えることでエピステーメー(真理)が獲得。

想起説
人間がイデアを認識できるのは、誕生前に住んでいたイデア界をエロース(イデア界に憧れること)によって思い出しているからだという説。

『国家』
正義とは何か?
哲人政治(統治者は哲学者がベスト)

人間の魂=理性(知恵)+気概(勇気)+欲望(節制)

ギリシア四元徳 知恵、勇気、節制、正義

統治者階級(知恵を担当)、防衛者階級(勇気を担当)、生産者階級(節制)

アリストテレス(ペリパトス学派)
ペリパトスとは散歩という意味。リュケイオンという学園で散歩しながら議論した為。
イデア界を否定。アレクサンドロス大王の家庭教師。

目的論的自然観
運動や生物の成長は、質料(ヒュレー=素材)が形相(エイドス=内在する本質)を実現する過程だと考える。
可能態(デュナミス) 質料が形相を実現していない状態。
現実態(エネルゲイア) 質量が形相を実現した状態

幸福論
最高善は幸福。幸福は真理を愛し求めるテオーリア(観想)
知性的徳 理性の良さ
倫理的徳(習性的徳) 人柄の良さ。習慣によって形成。友愛と正義。

全体的正義 ポリスの法を守ること
部分的正義=配分的正義(功績に報酬)+調整的正義(損得を平等化)

中庸(メソテース)が徳につながる。共和政治を支持。

ヘレニズム期

エピクロス派 
快楽主義。精神の平安(アタラクシア)

ストア派
禁欲主義。ゼノンが創始。キケロ、セネカ、皇帝マルクス=アウレリウス。
不動心(アパティア)
コスモポリタリズム(世界市民)、自然法思想のパイオニア

ユダヤ教
旧約聖書を聖典。他にも口承で伝えられたタルムードなど
ユダヤ人=他称ヘブライ人=自称イスラエル人
ユダヤ人はもともと遊牧民。カナン(パレスチナ)に移住。
出エジプト モーセ 十戒 バビロン捕囚
一神教 偶像崇拝 契約、選民思想 終末思想 メシア

神の国
イスラエル国家が再建されること。

キリスト教
旧約聖書と新約聖書を聖典。
新約聖書はマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの福音書から構成。
イエスはユダヤ教のパリサイ派の律法主義を批判したため死刑にされた。
イエスは律法に神への愛と隣人愛を追加し完成させようとした。

アガペー
無差別無償の神の愛

黄金律
自分がしてもらいたい事を人にもやること

神の国
イスラエル国家ではなく、信仰と愛を実践する心の中に神の国はあるとした。

ペテロ
イエスの一番弟子で、もともとは漁師。イエスに意志の強い性格を買われ(岩というあだ名で呼ばれていた)、死後自分の教えを広める役割を託され、布教活動の中核となった。これがローマ・カトリック教会の礎となり、サン・ピエトロ大聖堂は彼を称えたもの。
福音書の中で、イエスから天国の門の鍵を授かるエピソードがあるため、彼を描いた宗教画にはたいてい鍵が描かれている。

パウロ
キリスト教を世界宗教化。イエスの贖罪と、人間の原罪。
信仰義認説 正義は律法ではなくイエスへの信仰

キリスト三元徳 信仰、希望、愛

アウグスティヌス
教父(教会主導者)哲学を完成。カトリックの教義を体系化し、教会制度の意義を確立。
三位一体論 神、イエス、精霊はひとつの神の現れ
自由意志の否定 原罪を背負っているので人間の意志は神の意志には敵わない
恩寵予定説 誰が神によって救われるかはあらかじめ決定されていて変更不可。

スコラ哲学
キリスト教会付属の学校で教えられた哲学。

トマス・アクィナス
哲学は信仰のハシタメ

オッカム
唯名論(実在するのは固有の事物だけで抽象・普遍は存在しない)。
信仰と理性は無関係だとして、哲学と神学を分離。オッカムの剃刀。

イスラム教
イスラム(語源のサラーム)は平和という意味。ムスリムは神への服従を意味する。コーラン(読誦)を聖典とする。ブタとイヌを不浄とし、ブタは食べないし、イヌをいじめる。
アッラー 唯一絶対の超越神でユダヤ教やキリスト教の神と同一(啓典の民)
アブラハム 旧約聖書に登場する預言者だが彼を最初のムスリムとする。
ムハンマド 最大(神の言葉を唯一正しく伝えたから)で最後の預言者。
イスラム法 ムハンマドの言行録を元に作られる。ムスリムの掟。
ウンマ イスラム共同体のこと。
ジハード もともとはアッラーの教えを広めるよう努力すること。
カリフ 代表者のこと。初代~4代目までを正統カリフという。

六信 神、天使、聖典、預言者、来世、天命

五行 信仰告白、礼拝、断食、喜捨(財産を貧しい人に分ける)、巡礼


バラモン教
ヒンドゥー教の原型。
カースト制度(聖職者バラモン>貴族クシャトリヤ>庶民ヴァイシャ>奴隷シュードラ)
カルマ 生前に積み重ねられた行ない
因果応報、自業自得、輪廻転生

ウパニシャッド(奥義書)哲学
ブラフマン(宇宙)とアートマン(自我)を一体化(梵我一如)するために苦行やヨガをする。

ジャイナ教
ヴァルダマーナが開祖。苦行とアヒンサー(不殺生)。厳しい。

仏教
ガウタマ=シッダールタが開祖。座禅して瞑想して悟り。
快楽だけでなく、苦行も否定。すべての生命に愛。慈悲。
初転法輪 ブッダの最初の説法
無明 苦しみの元である根本的無知のこと
涅槃(ニルヴァーナ) 真理を体得して無知を滅した時(解脱)にやってくる安らぎ

四門出遊
ブッダはお城の東西南北の門でそれぞれ老人、死人、病人、修行者に出会ったことで出家したというお話

四苦八苦
生・老・病・死
愛別離苦 愛する人との別れ
怨憎会苦 憎いものと出会う
求不得苦 求めるものが得られない
五蘊盛苦 肉体と精神が思うままにならない

諸行無常 あらゆるものは変化する
諸法無我 それ自体独立して存在するものはない=アートマンもない!(バラモン教と逆)

四法印 一切皆苦、諸行無常、諸法無我、涅槃寂静

四諦(したい)
四つの真理という意味。苦諦(人生苦しい)、集諦(苦しみは煩悩のせい)、滅諦(煩悩をなくすと涅槃の境地に)、道諦(そのための修行法は八正道だよ)

八正道
正見(正しい見解)、正思(正しい思考)、正語(正しい言葉)、正業(正しい行い)、正命(正しい生活)、正精進(正しい努力)、正念(正しい事を心にとどめる)、正定(正しい瞑想)

五戒
殺さない、盗まない、淫らな事をしない、嘘をつかない、酒を飲まない

原始仏教→上座部仏教(保守派)、大衆部仏教(革新派)

小乗仏教(上座部仏教)
個人の解脱。人間は仏になれない。自利の仏教

大乗仏教(北伝仏教)
みんなの救済。誰でも仏になれるよ。利他の仏教
般若、華厳、法華

菩薩 大乗仏教で仏になろうと誓った人

儒家

孔子 
周が弱体化した春秋時代の学者。古代の歴史書に学ぶ。特に初期の周で封建制度を制度化した政治家周公を尊敬。
礼(仁が態度になって現れること)を重んじる。
ちなみに、仁は他者への親愛のことで、孝(親の親愛)、悌(兄弟への親愛)からなる。
克己復礼 わがままを抑えて礼に従う
徳治主義 人徳のある人が国家を収めるべきだという考えで法治主義の逆。

孟子
性善説。人は生まれながら道徳心を持っている。
浩然の気 正しいことをしようとする意欲
大丈夫 高い道徳心を持つ理想の人
王道政治 徳に基づいて人民の幸福を目指す政治。武力に訴える覇道政治の逆。
易姓革命 王朝の姓が変わること。

四徳 仁(思いやり)、義(正義の心)、礼(礼儀正しさ)、智(道徳的判断力)

荀子
礼治主義。人間は利己的なので(性悪説)礼に基づく教育によって矯正が必要

前漢の時代に儒教は公認の学問になり、宋の時代に朱子学(儒教+仏教)、明の時代に陽明学ができた。

朱子学
理気二元論、性即理(理性が原理を捉えること)、居敬窮理(理を極める)
『大学』『中庸』『論語』『孟子』が基本経典。科挙の必須科目に。

陽明学
王陽明が確立。理性重視の朱子学を批判し、欲望や感情も肯定(心即理)。
孟子の性善説を継承。主体性(致良知)や具体的実践を重視(知行合一)。

墨家

墨子
兼愛 一切の区別のない平等な愛←孟子が批判!
交利 人を愛すれば愛され、人を憎めば憎まれること。
非政 非戦論。自衛戦争はOK
節用 為政者は倹約しろ
尚賢 能力のある人は身分に関係なく積極的に登用

法家

韓非子
荀子の性悪説に影響。
法治主義 褒美や刑罰で社会秩序を維持。
中央集権と富国強兵。秦の始皇帝に影響。

道家

老子
儒家を批判。無為=道徳、礼儀、学問、知識、技術みんな否定。
無為自然 水のようにありのままに生きろ
無為の治 政治家なしで自然と社会が安定するのがいい政治
小国寡民 自給自足の小さな共同体

荘子(胡蝶の夢)
万物斉同 価値や意味など人間の作った差別、対立を超えたありのままの世界
逍遙遊 すべてを受け入れて自然の世界と遊ぶ様。
真人 逍遙遊の境地に達した自由人のこと
心斎坐忘 分別やこだわりを捨て、自分を忘れる

その他の諸子百家
陰陽家 陰陽五行説(火、水、木、金、土)
兵家 兵法
名家 言葉の分析

地誌学概説覚え書き

参考文献:矢ヶ崎典隆、加賀美雅弘、古田悦造編著『地誌学概論』

歴史地誌的アプローチとその利点
歴史地誌的アプローチとは、時間軸に沿って、地域の景観、土地利用、資源の利用形態、生活文化、産業活動などの移り変わりを明らかにして地域性を解明するアプローチのこと。
利点①ダイナミックな地域の変化を把握し、そのメカニズムを検討できる。
利点②現在の地域性を歴史的な背景と変化に基づいて説明することができる。
利点③ミクロスケールの地域も、マクロスケールの地域も設定可能。

三大宗教の分布(4月出題)
世界三大宗教はキリスト教、イスラム教、仏教だが、宗教人口の内訳を見ると、キリスト教が33%、イスラム教が20%、ヒンドゥー教が13%で、仏教は信者の人口の数では第4位(6%)だったりする。
キリスト教はヨーロッパ系の人が多く住む地域(ヨーロッパ、南北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど)に普及している。
キリスト教はエルサレムが発祥地で、ローマ帝国の拡大に伴ってヨーロッパ全土に普及、4世紀にローマ帝国が西と東に分裂すると、西はローマカトリック、東は東方教会となり、16世紀の宗教改革では教会主導型のカトリックから、住民主導型のプロテスタントが分派している。そのような経緯からカトリックはヨーロッパ西部、スペイン、ポルトガル、ラテンアメリカ、フィリピン(スペインやポルトガルの植民地)に、プロテスタントはドイツから北欧、イギリス、アングロアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドに分布している。東方教会はロシアやCIS諸国、ギリシャなどに信者が多い。
イスラム教は多数派で指導者を公平に選ぶスンニ派と、少数派で指導者をマホメットの子孫に限定するシーア派に分かれ、北アフリカや西アジアの乾燥地帯、パキスタン、バングラディッシュ、マレーシアといった東南アジアなどに信者が多い。
仏教は大乗仏教(日本、韓国、東アジア)、上座部仏教(タイ、ミャンマー、スリランカなどの東南アジア、南アジア)、チベット仏教(チベット、モンゴル、ネパール)などに分けられる。

グローバル化と文化景観の変化
グローバル化は人、財、資本、サービス、情報の国際的移動が活発になり、世界における経済的結び付きが強まること。
グローバル化は制度的な障壁(入国管理、関税、投資規則)や文化的な障壁(民族、言語、宗教)の撤廃、交通インフラの整備、通信情報技術の革新によってもたらされた。
グローバル化は国や地域の文化景観(人間によって作られた景観)に影響を与え、日本では、様々な文化的要素が無秩序に流入することにより、混沌とした多様な文化景観の構築と、マクドナルド化に代表されるような文化景観の標準化、画一化が、相互に関連しながら同時に起きている。

無秩序化・多様化
かつての文化景観のアイデンティティを弱める。新たな文化景観の創出。景観のアイデンティティの見直し。地域活性化に繋がることも。

標準化・画一化
地域や場所の個性を無視。どこでも同じような景観作り。

中国の退耕還林政策
退耕還林政策は、生態系保護の代表的なもので、土壌流出が顕著とされる傾斜が25度以上の土地の耕作をやめてそこに植林を行なっていくものである。これによって耕地を取り上げられた農民に対しては一定期間の補償と一部山林の経済的利用が認められる。
中国全体の統計で言えば、耕作をやめた農民の収入は増加、自然観光の改善によって観光客が増え農村経済も向上しているが、山間部では耕地を減らして食料を自給できなくなると生活が立ち行かないという切迫した状況がある。彼らが耕地と引き換えに受け取る補償も中長期的な生活を保障するものではない。

アメリカの移民とホスト社会
ホスト社会とは多民族社会、多文化社会における多数派の社会のこと。エスニックマイノリティーの対義語。
ホスト社会が少数派の移民に対する感情は時代と共に変化しており、新たな移民はアングロサクソン系のアメリカ社会に同化することが望ましいという同化論から、20世紀に入るとヨーロッパ移民がそれぞれの伝統を維持しながら統一されたアメリカを形成するというメルティングポット(るつぼ)論に、現在ではアメリカを多民族多文化社会であると考えるサラダボウル論が一般化している。しかしこの議論(文化相対主義)が行き過ぎるとアメリカが分裂しかねないという危惧もある。

東南アジアの緑の革命
緑の革命とは稲の新品種の普及をテコにした技術革新のこと。フィリピンと中心として開発された品種により、肥料反応性の向上による多収化、生育期間短縮による二期作の拡大が実現した。しかし米の輸出国として品質管理に慎重な姿勢をとったタイや、政情不安定から新品種の導入が遅れたインドシナ三国(ベトナム、カンボジア、ラオス)など、普及の進め方には国によって違いがあった。
また資金や水利に恵まれない階層や地域では経済格差が生じ、肥料の購入などの補助や水利開発を組み合わせたパッケージプログラム方式が導入されるといった配慮がなされた。
緑の革命の結果、80年代にはフィリピンやインドネシアなど米輸入国は自給が達成され、農村の経済水準が向上し、国際市場の米の需要は緩和(供給量が需要を上回ること)された。

中東とは何か
中東(ミドルイースト)はイギリスやフランスから見て中東ということ。
帝国主義の領土的関心(植民地支配の戦略)から、イギリスやフランスから近い東方は近東(バルカン、トルコ~レバノン、シリア)、オスマン帝国よりも東のイラン~アフガニスタンを中東と呼んでいたことに由来する。
現在でも中東が示す領域ははっきりしていないが、イランから西、アラビア半島、トルコ、エジプトからモロッコあたりまでを示すことが多い。場合によってはソマリアや西アフリカ、アフガニスタンを含めることもある。
日本から見れば中東は東ではないのだが、西アジアと呼ぶと、中東エリアが今なお続く紛争や戦争の舞台になってきたという地域の歴史性が消えてしまう。さらに中東エリアに住む人たちも自分たちの地域を中東と呼んでいたりする。

EUの成立と発展(8月出題)
ヨーロッパでは世界に先駆けて産業化が進み、19世紀に入ると工業化を進める国家のあいだで競争が激化、石炭と鉄鉱石の争奪戦が起きた。
19世紀後半~20世紀前半にかけてドイツ西部のザール炭田とフランス東部のロレーヌ地方の鉄鉱石、ライン川の交通路をめぐってドイツとフランスは激しく争った。
しかし世界大戦によってヨーロッパの経済は疲弊、その地位は凋落してしまう。第二次世界大戦後、西ヨーロッパにおいて紛争の火種になる資源を国家間で共有し、協力体制を築くために、石炭と鉄鋼の関税引き下げ(石炭鉄鋼共同体ECSC)、産業部門全体の経済協力(ヨーロッパ経済共同体EEC)、原子力資源の協力(ヨーロッパ原子力共同体EURATOM)が実現した。
70年代にはECは西ヨーロッパの国家群の代名詞となり、さらに東西冷戦構造が終わるとECは東ヨーロッパに対する統合としての意義を失い、91年のマーストリヒト条約によって93年にEUが誕生する。95年には加盟国は15カ国に、シェンゲン協定に加盟した国での国境の行き来は自由になった。02年には共通通貨ユーロが導入されている。
04年になると東ヨーロッパの旧社会主義国をはじめとして10カ国が新たに加盟、多様な地域から形成されるEUには公用語や地域間格差など様々な問題がある。

ラテンアメリカの人種構成
①先住民のインディオ人口が多いタイプ(ペルー、ボリビア)
②メスティソ(白人+インディオ)の人口が多いタイプ(メキシコ、ベネズエラ)
③ムラート人(白人+黒人)の人口が多いタイプ(ドミニカ共和国、パナマ)
④白人人口が多いタイプ(アルゼンチン、ウルグアイ)
⑤黒人人口が多いタイプ(ハイチ)
⑥多様な人口構成になっているタイプ(ブラジル)
ラテンアメリカでは社会の最上位は白人であり、白人でない者は少しでも白人に近づきたいと、自分がインディオや黒人じゃないことをアピールした。
18世紀には混血者が厳密に細分化され、格上げ恩赦の勅令で、混血者でも教育や品行に問題がなければ白人になることができた(ただし有料)。
18世紀後半になると同じ白人でも、宗主国から派遣された白人(ペニンスラ)と、植民地生まれの白人(クリオーリョ)が対立し、19世紀に入ると各地で独立運動が勃発、メスティーソの社会的地位が向上し、混血性こそがラテンアメリカの本質であるというイデオロギーが高揚した。これにより白人の優位性は建前としては否定された。

IMFと世界銀行の構造調整政策
構造調整政策とは、国際収支が困難になった開発途上国に外貨を貸し出すことと引き換えに、為替の切り下げ(自国通貨のレートを下げること)、財政・金融の緊縮政策(歳出を減らす)、対外経済自由化、規制緩和、民営化、行政の合理化などが要求される政策。
これは輸入依存の高いアフリカ諸国では逆にインフレを起こし、低所得者層の生活は一層苦しくなった。
ケニアでは80年代から構造調整政策が行われ、合理化と自由化の下、大量の下級公務員が失職、安い輸入品はケニアの製造業を直撃、国家の統制を外された主食のとうもろこしやパンの価格は高騰してしまった。

法律学概論覚え書き②

日本国憲法における基本的人権の保障
法と権利は密接に結びついている。権利は法によって認められ初めて保障されるものであり、公法上の権利として最も重要なものが基本的人権である。
基本的人権には、平等権、自由権(18世紀的権利)、参政権(19世紀的権利)、社会権(20世紀的権利)などが含まれる。
これらの人権は「侵すことのできない永久の権利」(憲法11、97条)とされているが、権利と権利が衝突した際には、他人の権利は侵害しないという合意のもとお互いに譲り合い妥協点を見つけなくてはならない。

公共の福祉
憲法12条には自由や権利を濫用することを禁じるとともに、公共の福祉のために用いる責任があることを定めている。
公共の福祉とは、社会生活における各個人の共通の利益を指し、全ての人に平等に人権を保障するための原理である。したがって憲法が保障する基本的人権には、限界や制限が現実問題として存在するのである。

ダブルスタンダード
このような個人の自由と公共の福祉の対立は、精神的自由の限界を示す自由国家的公共の福祉と、経済活動の自由の限界(=所有権の絶対性に対する制限)を示す福祉国家的公共の福祉に分けられる。
日本の最高裁はこの二つのタイプの対立にそれぞれ異なる判定基準を用いている(ダブルスタンダード)。自由国家的公共の福祉に対しては、精神の自由が民主主義の根幹をなすものであるからという理由で規制を容易には認めず、一方の福祉国家的公共の福祉に対しては社会的弱者を保護するためとして、ある程度の規制は合憲であると広く判断される(合憲的推定)。

平等権(憲法第14条)
憲法が定める「法の下の平等」とは形式的な平等ではなく、実質的な平等(弱者保護の観点から合理的差別を認める)を定めていると解釈されているので、育児休暇の補償や累進課税制度、少年犯罪の減刑、男女の婚姻年齢の区別といった合理的な差別は認められている。
また定住外国人については国政、地方ともに選挙権、及び公務員試験の受験資格は認められておらず、最高裁でもこれらの差別は合憲であると判断している。これに対して川崎市などの一部地方自治体では、国籍条項を外国人に対する不合理な差別(憲法14条違反)であると、同条項を自主的に撤廃している。
女性差別については1999年に男女共同参画社会基本法が制定され、女性を社会に積極的に参加させるアファーマティブアクションが取られている。

尊属殺人重罰規定違憲判決(1973年)
父親に繰り返し強姦された娘がとうとう我慢できなくなって父親を殺してしまった事件(栃木実父殺し事件)の裁判において、ほかの殺人よりも親殺しを重い罪とする刑法200条が憲法14条に違反するとして下された違憲判決。
最高裁判所が違憲立法審査権を発動し、既存の法律を違憲(法令違憲)とした日本初の判例。

自由権

思想・良心の自由(憲法第19条)
思想・良心の自由は内心(心の中)の自由であり、公共の福祉において制限されることはありえない。したがって1999年に制定された国旗・国歌法や、「国及び郷土を愛する心」を明記した2006年の改正教育基本法などは、思想・良心の自由に侵害するとして批判が上がっている。
また1973年の三菱樹脂事件は、会社側が思想を理由に本採用を拒否したことが争点になったが、最高裁は憲法19条は私人の間では直接的に適用されないとして会社側の措置を合法としている。ちなみに、民法の公序良俗違反を考慮した上で間接的に憲法を適用する説を私人間効力間接適用説という。
さらに裁判所の謝罪広告命令も合憲となっている。

信教の自由(憲法第20条)
憲法には政教分離の原則が定められているが、最高裁はこの原則に対して政治と宗教のある程度の関わりは認めている(小泉総理の靖国神社公式参拝問題など)。

津地鎮祭訴訟(1977年)
三重県津市が体育館建設の際、公金で地鎮祭を行い問題になったが最高裁は政教分離に反しないと合憲判決を出した。

愛媛玉串料訴訟(1997年)
愛媛県が靖国神社に玉串料を公金から出して問題になり、最高裁は違憲判決を出した。

北海道砂川市政教分離訴訟(2010年)
北海道砂川市が所有する土地を市内の神社に無償提供していた問題で、最高裁はこれを違憲とした。

表現の自由(憲法第21条)
表現の自由は娯楽や報道、デモや選挙活動まで、その自由を保障している。1972年の外務省機密漏洩事件においては報道機関の取材の自由を認めた判決が出されている。
また憲法21条2項には公権力の検閲の禁止と通信の秘密が、表現の自由を守るための制度的保障として定められている。しかし1999年の通信傍受法など例外は存在する。

東京都公安条例事件
デモ行進許可制を合憲と判断。

チャタレー事件
わいせつな本を出版した書店の社長と翻訳家が逮捕。
こういったわいせつな本を税関で輸入禁止にすることも公共の福祉を守る上で合憲となっている(税関検査訴訟)。

北方ジャーナル事件
選挙の立候補者に対して嘘の記事を書いた雑誌が発行を事前に差し止められた。

『石に泳ぐ魚』事件
小説家の柳美里が知人の在日外国人の私生活を無断で小説に取り上げたことがプライバシーの侵害に当たり、これも発行が差し止められた。

学問の自由(憲法第23条)
主に大学自治を保障したものであり、大学内に警察などの国家権力が干渉することを禁じている。
しかし私服警察官が無断で劇団の公開上演に潜入した東大ポポロ劇団事件では、劇団の上演は大学の自治に関わるような学問的研究の発表の場ではないので、それを侵害しないとした。

身体の自由(憲法第31、33、35、39条)
憲法第31条において罪刑法定主義法定手続の保障を定めている。前者の「法」は刑法、後者は刑事訴訟法、行政手続法を指している。
また令状がなければ逮捕されない令状主義(33、35条)や、その刑罰ができる前の行為はその罰則で裁くことができない遡及処罰(事後法処罰)の禁止、判決が確定した以上は、重ねて審理を繰り返して再処罰はできない一事不再理(ともに39条)なども明記されている。

経済活動の自由(憲法第22、29条)
経済活動の自由は職業選択の自由(22条)と財産権=私有財産の不可侵性(29条)に規定されている。
職業選択の事由に関しては、1975年に過当競争や不良薬品の供給を防止するために規定された、薬事法の薬局開設距離制限規定を職業選択の自由に反するとして違憲、無効としている。
また財産権については1987年に最高裁は、共有林の分割による森林伐採を防ぐために規定された森林法の共有林分割制限規定に対して違憲判決を出した。これは持分面積の半分以下では共有者の分割請求(共有するのではなく、分けあって所有する請求書)ができないという規定であったため、その所有権を不当に制限していると考えられたためである。

参政権(憲法第15条)
国民の公務員選定・罷免権や、普通選挙、平等選挙、秘密選挙を保障。
また直接民主制的な参政権として、最高裁判所裁判官の国民審査や、地方特別法の住民投票、憲法改正の国民投票を規定している。

請求権
人権侵害に対する救済や保証を国家に請求できる権利。
ややこしいのが請求権の中に請願権が含まれること!
①請願権(憲法第16条)
法律の制定、損害の救済について国民が議会や行政機関に要望を伝える権利。
しかし請願を受けても、議会や行政機関に実行の法的義務はない。
②国家賠償請求権(憲法第17条)
公務員の不法行為による損害に対する損害賠償請求の権利。
③裁判を受ける権利(憲法第32、37条)
全ての人が裁判所で人権救済を求めることができる権利。刑事被告人に対しては公平・迅速・公開の裁判が保障されている。
④刑事補償請求権(憲法第40条)
逮捕で抑留・拘禁された後に裁判で無罪になったとき、国家に補償を請求できる権利。

社会権

生存権(憲法第25条)
憲法では健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)を保障している。しかしこの権利を争った堀木訴訟や朝日訴訟では、憲法25条を根拠に社会保障は請求できないという判決を出した(プログラム規定説)。これは最低限度の生活水準が国の財政によって決定されるため、社会保障は国の努力目標であると考えられるからである。

朝日訴訟
療養所に入って生活保護を受けていた朝日茂さんが生活保護のアップを訴えた裁判。
最高裁はこの訴えを退けたが、この裁判がきっかけで生活保護の支給額は大幅にアップした。

堀木訴訟
障害者年金を受給していた堀木フミ子さんが年金と児童扶養手当の併給を請求した裁判。
最高裁は併給禁止の措置は国会の裁量の範囲として訴えを退けた。

教育を受ける権利(憲法第26条)
憲法26条によって教育を受ける権利と義務教育の無償(タダ)が定められている。

労働基本権=勤労権+労働三権

勤労権(憲法27条)
勤労の機会を国民が得られるような施策を国家に求める権利で、国は失業対策などを行なう責任がある。労働保護の中核になる最低労働条件もここに規定されている。

労働三権(憲法28条)
労働者の労働条件の改善を図る権利。
団結権、団体交渉権、団体行動権の三つ。
団体交渉で合意した事項は労働協約といい、これに反する労働契約や就業規則は無効になる。
正当な労働争議は刑事的にも民事的にも免責される。
労働争議には集団で労働を拒否するストライキ、意図的に作業効率を低下させるサボタージュ、座り込みによる入口封鎖のピケッティングなどがある。
使用者側の対抗手段としては、給料の支払いを免れるために工場を封鎖するロックアウトがある。
使用者の労働組合への妨害行為は、不当労働行為として禁止されており、労働委員会が救済命令を出すようになっている。
例えば黄犬契約(組合に加入しないことを雇用条件にすること。イエロードッグとは卑劣という意味)などは不当労働行為に当たる。
似た言葉で労働三法があるが、これは労働組合法、労働関係調整法(斡旋、調停、仲裁)、労働基準法(勤労条件や使用者の災害補償責任など)の三つ。

オープン・ショップ制度
組合への加入や非加入は自由という、組合員資格と従業員資格が無関係な制度。

ユニオン・ショップ制度
採用時は組合員でなくても良いが、採用されたら一定期間のあいだに組合に加入することが義務付けられている制度。組合から脱退した場合は解雇処分になる。

クローズド・ショップ制度
組合員でなければ会社に雇用されない制度。組合から脱退すれば会社も解雇される点はユニオン・ショップ制度と同じ。

斡旋
労使交渉の場を設けるのみ。

調停
解決案を作成し、労使双方に提示。その受託を促す。

仲裁
調停よりも強力で、解決案を拒否できない。

労働基準法
①賃金は通貨で直接、全額、月一回以上、一定期日に支払わなければならない(賃金支払の五原則)。
②1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えてはいけない。労働組合との協定があれば残業はできる。
③満15歳未満の児童の雇用の禁止。
④満18歳未満の深夜(夜10時~朝5時)労働の禁止。

フレックスタイム制
週40時間を超えない範囲で、労働者が仕事の始まりと終わりの時間を自由に決められる制度。

変形労働時間制
1ヶ月、あるいは1年を平均して法定労働時間を超えなければ、特定の日や週に法定労働時間を超えてもいい制度。

みなし労働時間制(裁量労働制)
研究開発や企画など特定の仕事においては、実際の労働時間に関係なく一定時間働いたとする制度。漫画家やアニメーターもこれになるのだろうか。

法律学概論覚え書き①

参考文献:伊藤正己、加藤一郎編著『現代法学入門』、伊藤正己著『近代法の常識』、大塚哲著『聴くだけ政治・経済』

大日本帝国憲法(明治憲法)
天皇主権
欽定憲法(天皇から国民に与えられた憲法のこと)
天皇は統帥権を総攬・国会は天皇の立法権の協賛機関・内閣は天皇の行為の輔弼機関
地方自治の規定無し
基本的人権は天皇が与えた権利
法律の留保あり(法律によって人権は制限される)
社会権なし
意見法令審査権なし
戦争肯定

日本国憲法
国民主権
民定憲法
象徴天皇制
地方自治の規定あり
基本的人権は永久不可侵の権利
法律の留保なし
社会権あり
意見法令審査権あり
戦争否定

自然法と実定法
法律は自然法と実定法に分けられる。
自然法は、時代や社会を越えて存在する普遍的な決まりのこと。
具体的には、実定法が存在しない自然状態の時から存在する「人を殺してはいけない」「人の物を盗まない」といったモラルを指す。
実定法は、その時代や社会において人間が作った法律のこと。普遍的な自然法と対極にある特殊な法律。一般的に法律というとこの実定法がイメージされる。

成文法と不文法
実定法はさらに文章化されている成文法(制定法)と不文法に分けられる。
成文法は、公法(国と個人の関係を規定)、私法(個人と個人の関係を規定)、社会法(公法と私法の中間に当たる)に分けられる。
具体的には憲法、法律、行政機関の命令、裁判所規則(訴訟手続や裁判所の内部規律)、条例、条約などがある。
不文法には、慣習法や判例法などがある。

立憲主義
国家権力を憲法によって制限し、国民の人権を守る考え方。法の支配とほとんど同義。
似た言葉にドイツの法治主義があるが、これは法律に基づいていれば国家権力は何をやってもいいというもので、法治主義においてはユダヤ人の虐殺も合法的なのでOKになってしまう。
しかし、違憲法令審査制が機能している現代では、悪法も法という流れになることは少ないので、法の支配も法治主義もそこまで違いはない。

法源(4月出題)
裁判官が裁判の際に参照する基準のこと。また「憲法及び法律」といった成文法に判断の根拠を求められない場合には、慣習法や判例法、学説、条理及び一般条項などが用いられる。

慣習法
共同体といった自然発生的にできた集団の内部が守っている慣習が、集団の中心的地位を担う人々によって法としての効力を持つようになったもの。
こういった慣習の役割を法の本来の形式であると重視したのが、一九世紀前半のドイツの法学者サヴィニイで、ローマの法典を受け入れることは、ドイツの民族精神にそぐわないとした。
またイギリスでは憲法が成文化されておらず(軟性憲法)、コモン・ローが大きな役割を持っている。実際内閣制度は成文法には明記されておらず、これまでの慣例によって運営されている。
日本では成文法を主体とするため、慣習法はイギリスのそれよりも地位は高くないが、成分法の柔軟性の低さや足りない部分を補うため、また社会の変動に応じるために慣習法を取り入れる場合がある。
慣習法と成分法のどちらが効力があるかは法律によって異なり、法の適用に関しての事項を定めた法律である法例の第二条では成文法優先、商法の第一条では慣習法が優先されている(『近代法の常識』126ページ)。

判例法
裁判所がこれまでの判例を積み重ねて作り上げていく法規範のことであり、慣習も判例を通じて慣習法になるのだと言える。
しかし個別具体的な判例から、どのように一般的な法が生まれてくるか、そのプロセスは国によって異なる。イギリスやアメリカは判例法の国で、過去の裁判の判決を引き出すために用いられた法原則が、後の同様の事件に対して拘束力を持つ。
イギリスの貴族院が下した判決は、その後において絶対的拘束力を持ち、後に下級裁判所はおろか貴族院自身が、その判決は間違っていたと考えなおしたり、時代の変化によって前の判決が適当でなくなっても、これを変更することはできない。
これに対してアメリカは、連邦でも州でも最高裁判所は前の自らの判決を覆して変更する自由が認められている。そう言った意味で判例法の拘束力はイギリスに比べて低い。

制定法主義
大陸ヨーロッパや日本の様な成文法の国(制定法主義)では、判例に強い拘束力が認められていない。よって最高裁判所の判例に、下級裁判所が必ずしも従う必要はない。
日本の法体系では判決は、当事者を拘束し、また上級裁判所が下級審の判決を破棄した際、差し戻しを受けた下級裁判所を拘束すると考えられている。つまり、その事件の当事者、および同じ事件についてのみ判決は拘束力を持つのであり、別の事件では法的拘束力は持たない。
とはいえ、先例が無視され続けるのは、法の安定性と秩序の維持に影響があるので、判例法主義が全く機能していないわけでは決してない。日本においても判例(特に最高裁判所のもの)は法的拘束力こそ持たないものの、事実上には強い拘束力があると言える。

判決理由と傍論
判例はレイシオ・デシデンダイ(判決理由)とオビタ・デイクタ(傍論)に分けられるが、理論上は先例として拘束力を持つのは前者だけに限られる。
とはいえ日本では原則どちらにも法的拘束力はない。さらに日本の判決は主文と理由に分けられるので、どこまでが判決理由で、どこからが傍論かの区別が難しい。
傍論は裁判の判決文のうち判決理由と関係のない部分のこと。

学説
学説の影響力は裁判官や弁護士といった裁判所での実務家を重視する英米と、法学者の権威が高かった大陸ヨーロッパ(ローマ法系統)では異なるものの、学説自体が拘束力を持つ法の一形式であるとは言えない。判例法は、国家機関である裁判所の活動を通じて形成されるもので、学説の場合それに当たらないからである。
しかしディゲスタという法学者の学説を集めたものがローマ法大全で重要な位置を占めていたり、ドイツでは裁判所が困難な法律問題にぶつかると大学の法学者に諮問するといった慣行もあった。

条理
条理とは成文法にも慣習法にも判例法にも、その問題に適用できる規範がない場合に、裁判官自身が想定する、仮に自分が立法者だったら作っていたであろう法(ルール)のことである(スイス民法第一条)。
刑事事件においては、適用できる規範がなければ犯罪は成立しないので問題にはならないが、民事裁判では適用すべき法がないからといって裁判を拒むことはできず、原告と被告のどちらかを必ず勝たせなければならない。
条理は裁判官の主観が大きく入り込む可能性があり、法でも法源でもないことは明らかであるものの、現実問題として条理を用いなければならない場合は(現在では可能性が低いとは言え)存在する。
日本では、明治8年の太政官布告(『裁判事務心得』第3条)において条理を法源にすると明記されている(当時実定法が未完成だったため)。

一般条項
専制君主性の反動によって生まれた、罪刑法定主義のような近代初期の厳格な法体系は、民法などの私法においては見直されることになる。
裁判官の裁量権をほとんど認めない法体系は、時に個別具体的なケースに合致せず正義に反する結果をもたらすのではないか、と考えられたからである。
そのため事情に応じて伸縮性が可能な、内容が漠然とした多様な解釈を許す条項が増えることになった。これが一般条項である。
具体例をあげるならば、「権利の濫用はこれを許さず」(民法第一条第三項)、「公の秩序、善良の風俗に反する法律行為は無効である」(民法第九〇条)などが一般条項であり、そこでは裁判官の条理が支配する余地が大きいと言える(なにが公序良俗に当たるのか、など)。
西洋の法思想では、「法そのものの安定性(社会秩序の維持)=一般」と「具体的な正義や妥当性=特殊、個別」という互いに対立する二つの目的のバランスを取るための衝平として条理が表現される。

犯罪の成立要件(6月出題)
①構成要件
犯罪として決められたパターンにその行為が合致するかどうか
②違法性
その行為に違法性はあるかどうか(例えば刑法36条の正当防衛など)
③有責性
その人に責任能力があるかどうか(善悪の判断能力があったのか)
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