『80日間宇宙一周 From Earth with Love』脚本③

ベッドで女性と愛し合うイワン
電話が鳴る。
女性「鳴ってるわよ・・・」
イワン「まったくいいところなのに・・・」
携帯電話を取って着信先を見るイワン「おっと本部からお呼びだ、いかなきゃ・・・」
女性(アンジェラ)「本部?」
イワン「・・・君にだけ教えるけれど・・・実は私は腕利きのスパイなのさ」
笑うアンジェラ「本当?」
イワン「内緒にしてくれよ、暗殺されちゃうから・・・
・・・(受話器に)はいもしもし・・・わかりました」
携帯を切って、立ち上がってバスローブを羽織るイワン
女性にキスするイワン「じゃあね子猫ちゃん」
アンジェラ「もういっちゃうの?」
イワン「続きはまた今度」
アンジェラ「じゃあ・・・
二時間の延長で合計850ドルになります」
イワン「・・・僕のテクニックに免じてまけてくれない?」
アンジェラ「だ~め」
部屋に入ってくる屈強な男「お客さん、ここで暗殺されますか?」
イワン「・・・・・・。850ドルだっけ?」

売春宿から出ていくイワン。
コールガール「最近あのお客さんよく来るわね。気に入られてるんじゃないのアンジェラ?」
アンジェラ「やめてよ、あんなおじさん・・・昔の自慢話ばっかりしてそのほとんどが嘘なんだもん。
なにが僕に抱かれた女は天国にいくよ。
スタミナもないし、バッカみたい」



TIA本部
フレミングのオフィスに入ってくるイワン
フレミング「来たなウェイド。お前の携帯電話には誰もかけてこないな。」
イワン「私のプライベートを傍受するんじゃないよ」
フレミング「でも電話が鳴って嬉しかっただろ。まあかけろ」
オフィスの椅子に座るイワン。
イワン「この前はどういうことだフレミング、サーペンタリウスとのコネをつぶしやがって。
ブレイズとあの仲になるまで何年かかったと思ってんだ」
フレミング「あれはウチがやったことじゃない、軍だ」
イワン「軍?軍に俺ごと焼いちまえって言ったのか」
フレミング「そういうな・・・こっちは止めたんだが、地球連邦軍のバーンズがお前が悪党に肩入れしすぎてんじゃないかって言ってきてな」
イワン「俺がそんなことするわけないだろ・・・」
フレミング「わかってるよ・・・オレだってもとは現場型だ。
お前との付き合いは長いし腕は買ってる。
だが軍の連中はこっちのやり方などわからないのさ・・・」
イワン「二重スパイの嫌疑を晴らしてくれたってことか、そりゃどうも。
せっかくサーペンタリウスの内部に潜入できるところだったのに、これで打つ手なしだ」
フレミング「そうでもないさ。」
資料をデスクに放り投げるフレミング
フレミング「次の任務だ」
資料の封を開けるイワン。書類と何枚かの写真が入っている。
フレミング「トリエステ・ピカール博士。
冥王星の科学顧問を務めていた天才宇宙物理学者だ。
冥王星の任務の際、お前も社交パーティで会ってるよな?」
イワン「で、博士がなんだ?」
フレミング「MI8の情報だとピカール博士はサーペンタリウスの大物幹部らしい。
緋色の旅団による海王星のクーデターも裏では彼が手を引いていたという」
イワン「ま、見た目通りのたぬきじいさんだってことだな」
フレミング「博士は海王星の他、天王星、土星、木星にも姿を見せている。
これらの星で起こったことといえばアイドルの暗殺事件、戦闘機の暴走、木星の大地震・・・」
イワン「その全ての手を引いているっていうのか?
いくら博士でも天変地異は起こせないだろう・・・」
フレミング「わからんぞ、彼の研究は高エネルギー理論だ。
つまり太陽の核融合、超新星爆発、ブラックホールのジェット、そういった宇宙を実験室で再現するってことだ。
次にこの写真を見てくれ」
イワン「?」
フレミング「冥王星の軍事基地でピカールと一緒に写っている女だ」
イワン「女?」
フレミング「ああ。こっちの海王星の写真にも」
イワン「ピカールの愛人か?」
三枚目の木星の写真を渡すフレミング「愛人がレールガンつきつけないだろ」
女性が紅茶を飲むピカールにごつい銃を突きつけている。
イワン「どういう状況の写真なのこれ?」
フレミング「彼女がピカールの敵であろうと味方であろうと、サーペンタリウスの情報を握っている可能性は高い。接触してくれないか。」
写真を見つめながら何かに気づくイワン
「まさか・・・ミグ・・・?」
フレミング「・・・知り合いか?」
イワン「ああ・・・間違いない。ミグ・チオルコフスキー・・・」
フレミング「もしかして・・・あの時のチオルコフスキー将軍の娘か」
イワン「そうだ・・・」
フレミング「よし、昔の関係を利用して情報を聞き出せ。」
イワン「十年以上前の話だ、もう忘れられてる」
フレミング「ならやり直せばいい」
ミグの写真を見つめるイワン
イワン「・・・どうやって接触する?」
フレミングがテレビをつける。
惑星連合放送のニュースが映る。
「来週火星で行われるコズミックグランプリは、太陽系最速の宇宙ロケットを決める世界的な選手権で、続々と著名なレーサーが火星に現地入りしています。
またコズミックグランプリはレースファンだけでなくギャンブラーにとっても手に汗握る一大イベントであり、ブックメーカーでは早くもどのレーサーが優勝するか賭けの対象になっています。
オッズの方は、月出身のルナ・マイヤースが一番人気で1.8倍・・・」

フレミング「招待してやろう。」



火星の周辺宙域を飛行するリンドバーグ号
操縦桿を握りながらミグに話しかけるライト。
ライト「もうそろそろ火星やから地球まであとちょっとやで。」
ミグ「そっか・・・ついに地球か・・・」
ライト「なんや、あまり嬉しそうちゃうな。」
ミグ「そんなことないよ・・・小さい頃からの夢だもん。
ライト・・・本当にどうもありがとう・・・」
ライト「そんな改めて言われると、調子狂うなあ・・・」
窓の外をぼんやりと見つめるミグ

マーガレット(あなた・・・地球へ着いたら息子とは別れてしまうの?)

ミグ「・・・・・・。」
突然スピードを上げるリンドバーグ号。
驚くミグ「!?どうした!」
ライト「尾けられとる!!」
ミグ「なんだ!?サーペンタリウスか!?それとも木星のギャングの残党!??」
ライト「いやもっと恐ろしいやつらや!!」
リンドバーグ号に猛スピードで追いすがる宇宙船。
ミグ「ラムジェットを起動させたらどうだ?」
起動パネルに手を伸ばすライト「ようし・・・」
別の宇宙船がリンドバーグ号の前に飛び出してくる。
ライト「あかん進路を塞がれた!」
操縦桿を切って避けようとするが、第三の宇宙船がリンドバーグ号と接触ぎりぎりで接近してくる。
宇宙船の側面には「惑星連合放送」という文字とロゴマークがペイントされている
ミグ「放送局の中継船・・・!?」
ライト「パパラッチどもや!」

あっという間に中継船に囲まれるリンドバーグ号。
リンドバーグ号にフラッシュがたかれる。
記者「その機体・・・!ライトさんですよね!!?」
ライト「ミグ隠れろ!」
ミグ「え?」
コックピットに回り込む中継船。
「やっぱりライト・ケレリトゥスさんの宇宙船のようです!」
「地球の冒険家ライト・ケレリトゥスさんが一年ぶりにカメラの前に現れました!!」
「一体どちらへ行っていたんですか!?」
コックピットのミグを屈ませるライト。
ライト「なんでここにいるってわかったんや!??」

コックピットのミグに気づく記者「おいコックピットに女性が乗ってるぞ!」
「その女性は誰なんですか!?」
無線を掴むミグ「え~っと・・・私はただの・・・」
ライト「あかん何も話すなミグ!」
記者「誰なんですか!?その人とはいつから付き合っているんですか!?
冒険中に消息を絶ったことと、その女性とは何か関係があるのでしょうか!?」

惑星連合放送の衛星中継ステーション
中継船から送られる映像を眺める惑星聯合報のプロデューサー、ハル・ケプラー
「“ライト・ケレリトゥス熱愛発覚”か・・・すぐに衛星回線で流せ。生中継だ。」
スタッフ「はい!」
ケプラー「太陽系の果てまで行って、女を連れ帰ってきたとは面白い・・・」

マスコミの集中砲火を浴びるリンドバーグ号。
「ライトさん一言!」
その時、ライト・ケレリトゥスのロゴがペイントされた輸送船がマスコミの船を強引な操縦で蹴散らす。
「!!」
輸送船のカーゴハッチが開く。
輸送船から女性の声「早く入って!」
すかさず輸送船に滑り込むリンドバーグ号。

マスコミ「待ってくださいライトさん!!」
「一言!一言だけお願いします!!」
マスコミを無視して急発進する輸送船。

『80日間宇宙一周 From Earth with Love』脚本②

蒼穹の空――
雲を切り裂きぐんぐん速度を上げていく航空機・・・
太陽にそのまま突き進むかのように操縦桿を上げて機首を持ち上げていくパイロット。

地球――
ライトスタッフ空軍基地
夏の太陽はジリジリとアスファルトを焼き付ける。
中学生のレオナが双眼鏡を持って空を指差している「あ!降りてきたで」
後ろを振り返るレオナ「写真写真!」
カメラを構えるヴィン「あ、ああ・・・」
天空から超音速戦闘機が滑走路に着陸してくる。
戦闘機のコックピットからパイロットが降りてくる。
ヘルメットを脱ぐ伝説のパイロット、アイザック・イエガー。
滑走路に飛び出す三人の中学生。レオナ、ヴィン、そしてライト。
レオナ「イエガーさん!イエガーさん!」
ヴィン「サインください!ぼくたちファンなんです!」
イエガー「ははは悪ガキどもめ。ここは立ち入り禁止だぞ」

基地内になる掘っ立て小屋のような店。
店内には地球連邦軍の名だたるパイロットたちが会話を楽しんでいる。
レオナ「すげ~・・・!」
ヴィン「あの人はディーク・グリソムさん、あの人はグレン・シェパード・・・!」
店主にオーダーするイエガー「マスターなんか冷たいものを未来のパイロット諸君に。
オレはいつものでいいや」
ヴィン「ありがとうございます・・・!」
コーラをグビグビと飲み干すレオナ「うめ~!」
ビールを飲むイエガー「一番近い街から100キロもあるのにどうやって来たの?」
レオナ「いや線路たどって自転車で・・・」
イエガー「あの荒野を自転車で来たの!!??」
レオナ「だって車を盗めな・・・」
ヴィン「い、今は夏休みなんです・・・!」
嬉しそうなイエガー「最近の若い子はすごいな」

すっかり打ち解けてイエガーと談笑するレオナ
レオナ「こいつなんて自分の作ったロケットの名前にしてんすよ、やめろや、イエガーさんに失礼やろ」
ヴィン「す・・・すいません・・・」
イエガー「世界一速いロケットにしてくれよメガネ君」
ヴィン「それはもう・・・!」
ライトが気になるイエガー「君は飲まないの?」
レオナ「ああ、そいつは無口なやつで・・・どうしたライト?」
席から立ち上がるライト
イエガーに近づく。
イエガー「ん?」
ライト「いつか・・・あなたを超えてみせます」
店内のパイロットたちの視線がライトに集まる。
間――
微笑むイエガー「望むところだ・・・」
ライトを楽しそうに見つめるレオナ。中学生のライトはレオナよりもずっとたくましくなっている。
おろおろするヴィン。
イエガー「オレは恒星(ほし)を超えた・・・キミは何を超える?」
ライト「光です」
パイロットたちが爆笑する。
イエガーだけは笑わない「宇宙に穴を開けてみろライトニング。」



リンドバーグ号のコックピット
ライト、レオナ、ヴィンがイエガーと撮った古い写真。
アルバムを閉じるライト。
ライト「伝説のテストパイロット、アイザック・イエガーが現役を引退したのはこのすぐ後やった」
ミグ「すごい人だったんだね・・・」
ライト「そりゃそうや。イエガーは4.4光年先のアルファケンタウルスまで10年かけて往復したんや」
ミグ「どこにあるんだその星は??」
宇宙地図を広げるライト「ええか・・・ミグの冥王星とオレの地球の距離がだいたい50億キロ・・・これくらいなんやけど、太陽とアルファケンタウルスの距離は、その8千倍や」
ミグ「この人はそんな宇宙の果てまで行っちゃったのか!」
嬉しそうに笑うライト「ちゃうちゃう、アルファケンタウルスは太陽系から“最も近い”恒星なんや。
あの人の冒険は確かに歴史に残る偉大な業績やったけど・・・
宇宙全体にしてみれば砂粒よりも小さい。
光の速さでも10万年かかるほど広い銀河が星の数ほどあんねん・・・んでその銀河団が1000億個くらいあって、それを従える宇宙が最近の研究では約・・・」
ミグ「待って待って私が悪かった・・・宇宙は途方もなくでかいんだね・・・」
ライト「オレたちは宇宙の欠片も知らん。この宇宙には未知の領域がまだたくさんある・・・ワクワクせえへんか?」
微笑むミグ「・・・・・・。」
ライト「オレはいつか必ずこの人を超えたる・・・な、なんやねん・・・」
ミグ「そうだね・・・」
ライト「そのお母さんのような温かい眼差しやめろや。
・・・それに、お前は知らんと思うけど、オレは地球ではけっこう名の知れたレーサーやねんで?
ファンだって数え切れないほどいるんや」
全然信じてないミグ「・・・あはは・・・」
ライト「いやいやマジで・・・」
笑うミグ「またまた・・・でも私だけはファンでいてあげるよ。可哀想だから」
ライト「・・・ありがとな」

リンドバーグ号のコックピットには「ライトが落ちてきて一周年パーティ」と書かれた飾り付けがしてある。操縦はオートにしてあり、リビングの小さなテーブルに小さなケーキがある。
ライト「じゃ今度はミグのアルバムな」
ミグ「いや私はいいよ・・・君と違って地味な人生だし・・・」
ライト「なにいうとんねん卑怯やぞ」
赤くなるミグ「か、からかわないでよ??」
ライト「その年で何を恥じらうことがあるんや、観念せい」
黙ってアルバムを差し出すミグ「・・・・・・。」
アルバムをめくるライト
小学生くらいのミグの写真。リボンをつけて女の子らしくめかしこんでいる。
ライト「あんた昔から半分寝たような目つきなんやな・・・」
ミグ「君と違って家で本を読んでいるようなおとなしい子供だったんだよ」
ライト「小さい頃よく遊んだ女の子がそんな感じやったよ。」
ミグ「意外だなあ。キミの周りってみんなテンション高いイメージがあるんだけど」
ミグの写真を見つめるライト「しかし、それがなんでファイティングマシーンに・・・」
ミグ「ファイ・・・十代の頃にいろいろあって・・・強くなりたかったんだ・・・」
ライト「ふ~ん・・・それで十代の写真はないの?」
アルバムを取り上げるミグ
「ま、まあもう過去の話なんかいいじゃないか・・・今が十分幸せなんだから」
アルバムから一枚の写真がひらひらと落ちてくる。
ライト「あれ?なんか男前の写真が」
ミグ「あ、それは・・・!」
ライト「はは~んあんたの恋人やろ」
ミグ「私だって恋人の一人くらいいたさ・・・」
ライト「もしかして・・・あれか、ミグにひどいこと言って振った奴」
ミグ「え?」
ライト「いや前に教会でそんなこと言ってたやん」
ミグ「・・・・・・。
うん・・・まあ、そうなんだけどね・・・写真、捨てられないんだ」
ライト「まだ好きなの?」
ミグ「いや・・・どうなんだろう・・・でも、私にとってはとっても大切な人なんだ・・・」
ライト「傷つけられたのに?」
ミグ「この人は私の命の恩人なんだよ。
貿易商でね、身寄りのない私を保護してくれて屋敷を買い戻してくれた・・・
でも・・・ある時突然行ってしまったんだ・・・」
ライト「その理由が知りたいから写真が捨てられへんのや・・・」
ミグ「もしかして嫉妬してる・・・?」
ライト「するかい」
ミグ「私にとってはもう思い出の人だから・・・」

『80日間宇宙一周 From Earth with Love』脚本①

TIAのイワン・ウェイドへ緊急連絡
サオ・コーエン「こちらはMI8のサオ・コーエンだ。
長年のライバルにこんなメッセージを送るのは癪だが、サーペンタリウスはあまりにも強大な兵器を開発している。
連中はケチな武器商人じゃない。事態は相当逼迫しているぞ。
サーペンタリウスの情報はこちらが手に入れた。直接会って話したい。
気をつけてくれ、ウェイド!我々の敵はあまりに強大だ。」




ブリオーニのスーツを着こなしたハンサムな男がこちらに銃口を向け発砲する。
ふらつき倒れる・・・人型のターゲット。
射撃場の全景。
そこらじゅうに強力な武器が並んでいて、テロリストが試し撃ちしている。
ハンサムな男が振り返る「ま、悪かないな」
ピストルを武器商人に差し出すハンサム「ありがとう」
武器商人「どうだい、いい銃だろう?
地球連邦軍が採用した最新モデルだ。小型だが威力は絶大。こいつはどんな防弾チョッキも貫く。」
ハンサム「あいにくだが、そういうの持たない主義なんだ」
武器商人「TIAの諜報員が手ぶらってのはカッコ悪くねえか?」
ポケットからコインを取り出すハンサムな男「こいつがあるさ」
「1セント?」
コインをトスする男。射撃場を歩いていく。
訝しむ武器商人。ため息をついて武器を戻す。
武器商人「ま、1セントじゃ買えねえな」



TIA(地球情報局)本部
オペレーター「妨害衛星のシステムに侵入。
我が諜報員からの映像が入ってきました」
「現在地の座標を確認」
作戦室の巨大なマルチモニターを見上げるスタッフ。
作戦室にはTIA部長のフレミング、そして地球連邦軍の提督もいる。
フレア・バーンズ提督「あれは我が軍の銃だ。どうやって流れた?」
参謀と小声で話す提督。
フレミング「そのまま潜入を続けさせろ」
オペレーター「了解」



火星の衛星フォボスにあるサーペンタリウスの武器密売所
太陽系の各惑星で開発された大型の兵器が野外に並んでいる。
装甲車や戦車、といった特殊車両の他、冥王星の隕石迎撃用地対空ミサイル、海王星の海賊船、土星のミラージュも奥に見える。
兵器の周りにはテロリストやギャングがサザビーズのように兵器を競り落としている。
オークショニア「それでは次の商品です。ロット番号444番、無差別テロ用水爆ランチャー、最初の入札(ビッド)は90万ドルから!」
携帯電話を肩ではさみ、パドルを上げるテロリスト「100万ドルだ!」
「はい100万ドルが入った、110万ドルないか、110万ドル・・・!120万ドルないか!?
110万ドルでハンマープライス!」
武器密売所を直進するハンサムな男「水爆に無差別も差別もあるのかね・・・」



TIA本部
武器の競売所の映像が入ってくる。
モニターを眺める軍人「こいつはすごい・・・まるで太陽系中の兵器を集めた博物館だ」
フレミング「型番をデータと照合して確認させます」
コンソールを叩くオペレーター
提督「いや、もう十分だ。場所さえわかればあとはこちらで片付ける」
フレミング「待ってください。
あの武器の出処がわかればサーペンタリウスのシンジケートについてさらに情報が得られます。」
咳払いをする軍人たち
フレミング「なるほど・・・
ですが現地にはまだ諜報員が・・・」
提督「とばっちりを受けたくないなら早いところ引き上げさせろ。」
待機している部隊に命令を下す提督
「作戦開始だ。あそこにある兵器はひとつ残らず破壊しろ」
フレミングに向き直る提督「各惑星は平和への道を選んだ。
戦争の火種は早いうちに消さねばならん」
フレミング「全焼させて消すわけか」



死の商人のボスのテントにふらりと入る男。
死の商人「ボス、TIAのスパイのイワン・ウェイドさんが来てます」
武器密売を取り仕切るボス、グレネード・ブレイズ「ウェイド?」
テントに入ってくるイワン「久しぶりだなブレイズ、相変わらず悪人面してやがる」
ブレイズ「なんの用だウェイド。TIAの武器でも発注しに来たのか?」
イワン「いや、今日は人探しでね・・・
最近コーエンのやつこっちに顔見せてないか?」
ブレイズ「海王星のスパイか?見てねえな。
あの星はこの前クーデターが起こって大変だろう」
折りたたみ椅子を広げて座るイワン「おたくが売った武器でね・・・」
ブレイズ「作ってんのはお前らだろう。こっちは流通させてるだけ」
イワン「それ言われちゃかなわないな。」
ブレイズ「で、コーエンのやつに何かあったのか?」
イワン「姿を消した。
あいつ・・・お前らサーペンタリウスが秘密裏に開発しているっていう兵器を追っていたらしい。
ケチな武器商人じゃないってよ」
葉巻を吸うブレイズ「ふうん・・・」
イワンにも葉巻を差し出す。
葉巻に火をつけるイワン「話せる範囲でいい。その兵器について教えてくれないか。
今まで色々悪さ見逃してきただろブレイズ」
ブレイズ「非合法なのはそっちの仕事も一緒だろ・・・」
イワン「こっちとしても、あまり裏でこそこそ最終兵器作られちゃかなわないんだよ。
例えば宇宙をまるまる吹き飛ばしちゃうような奴とか・・・」
ブレイズの目を見つめるイワン。
ブレイズ「そんな兵器需要があるわけねえよ。
それにこっちも惑星連合の和平合意とかで商売あがったりなんだ。
外で競り落としている奴らも半分はミリタリーマニアになっちまった・・・時代は変わったんだ。
昔みてえに骨のある悪党も骨のある英雄もいなくなったってことさ」
「ほう・・・じゃあサーペンタリウスの最終兵器は存在しないんだな?」
「何度も言わせんな。俺たちはメーカーじゃねえ。マーケットだ。」



宇宙
火星のフォボスに接近する地球連邦軍の機動戦艦。
艦長「海兵隊の投下準備!」



テント
酒を酌み交わすイワンとブレイズ。
ブレイズ「お前も知ってるとおり、サーペンタリウスってのはもともとは貴族の社交クラブだ。
その歴史は古く、17世紀には会員制のコーヒーハウスで情報を交換し貿易を取り仕切っていた。
それが戦争の近代化に乗じて武器の売買にも手を出すようになったってわけだ」
イワン「・・・なるほど。てことは、ただの社交クラブなら私が入会してもいいわけだな」
ブレイズ「スパイの次はフィクサーに転職か?」
イワン「似たようなもんだろ。いくらで入会できる?」
ブレイズ「・・・値は張るぜ」
イワン「なあに経費で落ちるさ・・・」



艦長「攻撃開始」
フォボスに機動戦艦から次々に海兵隊の輸送コンテナが投下される。
荒々しく着陸するコンテナ船
コンテナ船から地球連邦軍の特殊部隊がアサルトアイフルを抱えながら飛び出してくる。
パニックを起こすテロリストたち。
火を噴くアサルトライフル。
特殊部隊隊長「全員皆殺しにしろ!!」
撃ち殺されるテロリスト。
武器密売所を制圧していく海兵隊。
応戦するテロリストたち。
ロケット砲で上空のコンテナ船を砲撃するテロリスト。
ロケット弾が命中し煙を吹き、回転しながら火薬庫につっこみ大爆発するコンテナ船。
ジープに乗り込むテロリスト。
第二第三のコンテナ船がフォボスに降下し、装甲車を落としていく。
装甲車が密輸された兵器を破壊していく。
戦闘用ヘリのガトリングガンが逃げ惑うテロリストを倒していく。



テント
イワン「なんだか外が騒がしいな・・・」
部下「ボス!位置が特定されました!地球連邦軍の総攻撃を受けています!」
ブレイズ「てめえ裏切ったな・・・!」
イワン「おい、人聞きの悪いこと言うなよ」
立ち上がってイワンに銃口を向けるブレイズ
ブレイズ「どういう真似だ。話してもらおうか」
座ったまま酒を注ぐイワン「まあ、落ち着けよ・・・オレがお前を軍に売ったっていうのか?」
ブレイズ「何が目的だウェイド。さもねえとこいつみてえになるぜ」
テントの奥に椅子に縛り付けられた男の死体が現れる。
イワン「コーエン・・・」
ブレイズ「こそこそ嗅ぎ回りやがって馬鹿な野郎だ。
今どきデータ通信なんてなにをやっても傍受されちまうのに・・・」
グラスを傾けるイワン「こりゃどっちもどっちだ」
ブレイズ「ウェイド、お前にはがっかりだぜ。てめえも同じ目に合わせてやるからな」
イワン「それはこっちのセリフだ」
撃たれる直前に足でテーブルを蹴飛ばしひっくり返すイワン。
銃弾がテーブルに当たる。
テーブルの影で一瞬イワンを見失うブレイズ「!」
イワン「キミも一杯どうだ?」
酒の瓶でブレイズの部下を思い切り殴りつける。
「ぎゃああああ!」
イワンに発砲するブレイズ「ウェイド!!」

その刹那付近で爆発が起きる。テントに火がつく。
振動でよろけるブレイズ。
椅子でブレイズを殴りつけるイワン。倒れるブレイズ。
ブレイズの銃を拾うイワン「確かにスパイが丸腰じゃカッコ悪いか・・・」
ブレイズに銃口を向けるイワン。
イワン「・・・こういうのも一度くらいは使ってみるかな」
ブレイズ「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
イワン「もうこうなっちまったもんは仕方がないさブレイズ。
こっちも同業者殺されて黙っているわけにはいかないんでね」
ブレイズ「よせ!こ・・・こいつは俺たちが見つける前から死んでたんだ!
本当だ!やったのは俺たちじゃねえ!!」
イワン「命乞いもここまで来ると感心するな。
では、お前らが作っている最終兵器について聞かせてもらおうか」
ブレイズ「オレはなにもしらねえ!」
背後から静かに近づいていたテロリストをとっさに撃つイワン
「確かにどんな防弾チョッキも貫くようだ」
ブレイズ「本当に最終兵器なんて知らねえ!信じてくれ!見逃してくれよ!」
イワン「・・・じゃあひとつゲームをしよう」
ブレイズ「え?」
コインを取り出すイワン。
イワン「表なら見逃してやる。コインに人生委ねるのも悪かないだろ」
コインをトスするイワン。



ジャケットを整えながらテントから出るイワン。
火の手が上がり阿鼻叫喚の密売所
無線(フレミング)「イワンか!?直ちにそこから脱出しろ。
小型核ミサイルで衛星ごと吹き飛ばす」
コンテナ船で引き上げていく特殊部隊
イワン「何考えてる!発射を中止させろ!!」
フレミング「すでに発射した。あと二分で到達する。軍のコンテナ船にピックアップしてもらえ!」
すでに全機離陸しているコンテナ船。
イワン「となりの奴に言っとけ!今度会ったらぶっ飛ばしてやるってな!」
横に立つ提督の方を向くフレミング。

慌てて近くの戦闘機(フェンリル)の方に駆け出すイワン。
フェンリルに近づいた瞬間、機体の燃料に火がつきフェンリルが爆発する。
イワン「くそ!!」
向きを変えてミラージュに乗り込むイワン
計器を素早く操作する「戦闘機の操縦は久しぶりだが・・・動いてくれよ」

オペレーター「ミサイル着弾まであと20秒・・・」

操縦桿を引くイワン「とっとと離陸しろこのじゃじゃ馬!!」
滑走路を速度を開けて進んでいくミラージュ。
離陸するミラージュ。
ミラージュの真横をかすめていくミサイル。
眼下で爆発する武器密売所。
衝撃で大きく揺れるミラージュ
命からがら核爆弾で燃えるフォボスから脱出するミラージュ
イワン「・・・本当に転職したいよ」

『80日間宇宙一周 From Earth with Love』登場人物

神よ 変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。


ミグ・チオルコフスキー
冥王星の由緒正しい軍人。所ジョージを敬愛。
かつては自分の人生を諦観していたが、今ではすっかり明るくなった。
自分とは遠い存在になってしまったライトに複雑な感情を抱いている。
さらにかつての恋人に再会して・・・

ライト・ケレリトゥス
宇宙一の発明家であり冒険家。空飛ぶばかやろう。
実はばかやろうどころか、地球では大人気の有名レーサーだった。
冥王星での著名な冒険家の失踪で地球は騒然としていた。
自由奔放な性格だが、ミグの幸せのために何ができるか考えることに・・・

イワン・ウェイド
サーペンタリウスを追うTIA所属のスパイ。自称「宇宙一嘘をついた男」
10年前冥王星でスパイ活動をしていた際、ミグと付き合っていた。
長年のスパイ稼業のせいでかなりニヒルな性格だが今も腕は立つ。
ベレッタの代わりに常に“幸運のコイン”を持ち歩き、重要な決断はコインで決めてしまう。
それが何を信じていいかわからないスパイの世界で生き残る彼なりの知恵だった。

イルミナ・ヴェルヌ
宇宙最高IQを持つ生物学者。
ライトの幼馴染で、幼い頃ともにおとなしい性格だったライトとよく遊んでいた。
現在は生物兵器開発の容疑でトランキュリティ月面刑務所に服役中。
見た目は薄幸そうな美少女だがスタータブレットも一目置くほどの高い知能指数を持つ“怪物”。幼い頃からライトにほのかな恋心を抱き続けている。

ヘルマン・ゴダード
ロケットエンジン開発のプロ。かなりの高齢でライトの師匠。イエガーのテスト機「Xー零」の設計者。
理論上不可能と言われる超光速飛行を研究し続け、皮肉にも壊したロケットの数でギネス記録を作ってしまった変人。近年は資金繰りに行き詰まり開店休業状態。

ダグ・リリエンタール
構造担当。こちらも高齢。ゴダートとは悪友同志。

ロン・クーロン
ライトの馴染みの小さな電気屋の主人。電気系統のプロ。

トリエステ・ピカール博士
太陽系で暗躍し続ける宇宙物理学者。ミスターアップルに仕えるサーペンタリウスの幹部。

アイザック・イエガー
伝説のテストパイロット。宇宙最速記録保持者。ライトやレオナの憧れの存在。

レオナ・イアハート
ライトの幼馴染で恋人。天真爛漫な女の子。後に地球連邦軍初の女性パイロットになる。

ヴィンセント・レイセオン
ライトの幼馴染であり、ライバルの発明家。ただ発明家の才能よりは会社経営の才能の方が高い。

ミュウ・カミオカ
ライトの美人マネージャー。マスコミ対策の専門家。

ルナ・マイヤース
月出身の女性レーサー。

ルヴェリエ公爵
アラゴの弟。ライトとミグを尊敬している。幼いが礼儀正しく大人顔負けの知識と行動力がある。

アリエル・スカイ
天王星の人気アイドル。明るく優しい性格。売れない時代にライトに世話になった。

ジェイソン・フレミング
TIA(地球情報局)のイワンの上司。イワンの腕を信頼しているが強大な圧力がかかる。
彼も元は現場型で冥王星ではイワンとコンビを組んでいた。

フレア・バーンズ提督
地球連邦軍の提督。功利主義的な考え方の持ち主。

ハロルド(ハル)・ケプラー
惑星連合放送の敏腕プロデューサー。スピード主義で裏を取らずに面白ニュースを無責任に電波に乗せてしまう。「報道は娯楽だ」がモットー。

サオ・コーエン
海王星のスパイ。イワンとはライバル関係であり友人でもあった。

グレネード・ブレイズ
サーペンタリウスの幹部。火星の衛星フォボスで武器密売をする死の商人の元締め。

ルチアーノ・ロッソ
サーペンタリウスの幹部で火星マフィアの大ボス。
火星で行われるギャンブルは裏で彼がほとんど取り仕切っている。

ハワード・センチネル大統領
地球連邦のトップ。積極的な反移民政策が支持されている大統領。

アラゴ国王
海王星のトップ。頭はきれるが、かなり疑い深い性格。ルヴェリエの兄。

ンゴロ・アルベド議長
木星のトップ。思慮ぶかい人格者。

バーニー・オルクス
冥王星人。小惑星解体のプロでミグの同僚。エンジニア出身で機械にも詳しい。

デニス・エヴァンジェリスタ
ミグの友人の天体物理学者。宇宙の専門家として公聴会に召還される。

キャプテンロジャー
ライトの友人の宇宙海賊。ノア計画を実行するため宇宙船を集める。

ナッシュ・ストライカー
冥王星人。百戦錬磨の軍人でかつてのミグの上官。

青ヒゲ
謎のオカマ。

マーガレット・アレゴリー
ライトの母親。大学教授。かなりマイペース。

ゲオルグ警部
天王星人。サーペンタリウスを長年追っている、今年定年のベテラン警官。捜査は足で稼ぐタイプ。

ミスターアップル
某タブレットに激似のサーペンタリウスの最高大総監。ピコピコうるさい。
椅子に立てかけてあるが、よく倒れる。
すべての時間軸を完全に演算しており、人間の自由意思について興味を持つ。
正式名称は天使ガブリエルで、月面から発掘されたスタータブレット。

火星
マスメディアとモータースポーツの星。
昔から賭け事が盛んで、それに伴い数学や物理学における確率解釈が発展した。

サーペンタリウス
死の商人。
その実態は政治家、貴族、科学者、芸術家たちで構成された、太陽系を影で操る秘密結社。歴史の影にサーペンタリウスあり。宇宙最強の武器開発を企み、そのためには手段を選ばない。

ディスカバリー計画
月面の宇宙観測所で観測された謎の天体を調査するために、恒星間ロケットを開発し、アルファケンタウルス星まで有人飛行を試みた計画。
地球連邦から多額の予算が降り、ゴダートが豊富な資金の元「X-零」を完成させた。

ジオメトリカルホウサンチュウ
熱エネルギーを用いて幾何学的な骨格を作る不思議な生き物。太陽系の惑星がどのように形成されたかを知る上で重要な生物でイルミナが研究していた。

ブラックホール
運動エネルギーを失った銀河は星星に働く重力によって潰れてしまう。
その結果できる暗黒の領域。クエーサーのエネルギー源。
強力な重力で物質を吸い込み、そこで生まれる運動エネルギーを光やX線として放射している。
宇宙で最も合理的なダムだと言われる。

クエーサー
宇宙に強力な光を撒き散らす小さな星。ただそのエネルギー値は銀河数百個分にも及ぶ。

宇宙温暖化問題
宇宙全体は徐々に収縮しており、それに伴い銀河どうしが近づき平均温度が上がっていくという仮説。何年か前にマスコミが大々的に取り上げ、宇宙に熱源を増やさないという国際的な取り決めができた。が、宇宙温暖化にどれだけ人為的な活動が影響しているのかはわかっていない。
宇宙全体と比較して太陽系の及ぼす影響力はほぼ0だという否定的な意見もあるが・・・

フレッド・ホイル銀河
ほかの銀河団に移動し、そこで銀河のエネルギーを奪い取ってブラックホールに変え、宇宙にボイド(虚無)を開ける捕食性の銀河。

ライトアロー号
リンドバーグ号をさらに改造したライトの最新機。
超光速航行を可能にするリニアエクシードエンジンがとりつけられた。

リンカーン

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 ようこそ。皆さんの下院です。

 『戦火の馬』に続く映画の天才スピルバーグ監督の歴史映画。一言で言って圧倒!!もうこの人ハナから娯楽映画の文脈で作ってないというか・・・w自分の人生のっけて撮ってるからパワーが違う(結構チャチャっと撮っちゃうらしいのにね)。
 ずっと『アイアンマン3』とこれ、どっち見ようか迷ってたんですが、vicさんが「イマイチ面白い映画じゃなかった」って言ってて、さらに「この映画の何が面白いのか教えて」とか言われたから、これはもう見に行くしかないってなって急遽レイトショーで鑑賞!踏ん切りがついたw
 確かに「面白い映画」っていう感じではないんだけど、「素晴らしい映画」って言えばいいのかな・・・文学的というか・・・

 とにかく強く感じたのは、アメリカ人って本当アメリカ愛してるってことだよね。日本ってこういう一政治家を題材にした映画って聞かないじゃん。
 とはいえ作中描かれるリンカーン大統領は『ナイトミュージアム2』のような決して超人的な英雄じゃない。石でもない。

 あの演説は凄かった。
 内容は聞こえた?
 あんまり。


 すっごいシビアなジレンマに葛藤する、ごく普通の政治家として歴史的な偉人リンカーン大統領を描いている。これ知り合いの政治家の人とかと見に行けば絶対面白いよねw泣くんじゃないかな政治家の人w
 私も泣きそうになっちゃったしw「わかる!わかるぞ」ってwでも立場上なかなか愚痴れないもんね。政治家が「日本の政治がダメなのはお前ら国民のせいだろ」とは口が裂けても絶対言えないしw

 今思えば当たり前だろってことを当たり前にするのがどれだけ大変か。アメリカで国民皆保険を実現させたら絶対オバマさんはこんな感じで映画になってるよね。『OBAMA』みたいな。監督はJ・J・エイブラムスなのかなwでもあの人スピさんのSFオタク魂は模倣できるけどこういうのどうなんだろ?作れない気がするw

 ・・・で、これって今の日本でも見られるべき大作だと思う。私たちって人生を決めかねるような重要な選択を他人に任せて、文句ばっかり言ってるけど、結局それは誰かが決めてくれてるんだよね。責任押し付けてるだけで。
 この映画では現状に即していないきれいごとの正論を「コンパスの針」に例えていたんだけど、この比喩ってすごいうまいよね。
 進むべき方角は示してくれるけど、その最短距離のあいだに谷や沼があることをコンパスは教えてくれないっていうw沼に落ちちゃったらどうするんだって。
 結局正論でどうにかなると思っている人は、あまり責任ある立場に立ったことがない人なんじゃないか。でも今って民主主義だからね。天つばなんだよね。

 しかし日本って何で政治の映画とかドラマって当たらないんだろう。三谷幸喜さんの『総理と呼ばないで』とか風刺が効いててすっごい好きだったのに、視聴率取れないんだよな。難しいのかな?映画館でも「よくわからなかった」とか言ってた人いたし。
 それを見越したのか、冒頭で特別にスピさんが「ハロージャパン」って南北戦争の背景を説明してくれたんだけどねw
 確かにアメリカ史の本にも書いてあるんだけど、当時奴隷反対してたの共和党勢力なんだよね。すっごいややこしいんだけど。民主党の方が民主的じゃないっていうwんで田中角栄ばりの多数派工作やるんだけどさw
 あの人って「正直者のエイブ」とか言われてるくらいだから、ああいう汚いことやるのってけっこう精神的に辛かったんじゃないかな。変な夢みてるし。

 そもそも南北戦争の早期終結と修正憲法13条の可決がなんでアンビバレントな問題になるのか分からなかったけど、映画を見て納得。あれはすっごい勉強になった。
 政治的な決断をうやむやにしちゃうのって日本の政治家の得意技だって思ってたけどアメリカも似たようなもんだったんだね。
 でもこれで修正13条が通らなかったら、お前ら一体何のために南北戦争始めたんだってことになっちゃうじゃんwここまで来たらやり遂げないとっていうのがあったんだろうね。妥協はできないぞっていう。
 そのジレンマを演出する要素として息子の軍への志願っていうのがあったわけで、すっごいスピさん大統領を追い込んでくんだよねw
 最後の方で温厚な大統領が「いいかげんにしろ!」って怒るのは面白かったなあ。保身のことばっかり考えてたりするからねw

 最近の研究では、マクロ経済学的には南部の奴隷制ってもともと非合理的で割に合わなかったって説もあるらしいんだけど、そんなこと当時の人は知ったこっちゃないもんね。
 生活という利権が絡んでいるんだから大変だよな。
 しがらみを切り捨てて意見を変えた政治家がエライって感じで演出されてるけど裏切られた方たまったもんじゃないよねwオレの今までの根回しはなんだったんだっていうw
 何人かはポストであっさり寝返ったけどwこういう政治家が一番信用ならないんじゃないか?wwでもそういう強欲な人のおかげでリンカーン大統領は歴史に残る偉業を達成できたわけで・・・歴史って面白いよなあ。
 あと作中に出てくるロビイスト…つーかロビイストってああいう感じなんだwあれやってることフィクサーだよね?w

 それとスピさんお得意の冒頭の戦場のシーン。あの時代ってまだ機関銃とかないんだよね。だからプロ野球の乱闘みたいなことになってて意外と新鮮だった。考証通りなんだけどw
 時代考証と言えば、大統領の末っ子が「フィンチの嘴は環境によって変わるんだって」とか言ってたんだけど、時代的にはあの時イギリスでは進化論が物議を醸してたのかって。1861年から南北戦争なんだけど『種の起源』の出版は1858年だからあの子はかなりタイムリーなネタを喋ってたことにw

 まあとにかくトミー・リー・ジョーンズさんがかっこよかったって事だよwあいつ狡いよなあw美味しいところ持ってっちゃって。
 ネタバレになっちゃうからよすけど、あんなことされたら惚れちゃうよね。信念を曲げれない頑固者って言うと日本だと誰になるんだろう・・・亀井静香さん??
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