アメリカのスーパーヒーローコミックはなくならないな

 日比谷公園の図書館で行われた小野耕世氏講演イベント「アメリカンコミック最前線 ~アメリカンコミックから見る文化の違い~」を聴いてきました。
 ここのところ新しい仕事を覚えたり、脚本が行き詰まってたり、その内容がトゥモローネバーダイにかぶってたりと、いろいろあって多少疲れていたのですが、こういう機会はなかなかないので参加してきました。
 以下はそのメモ。聞き取り間違いの可能性もあるのでご了承ください。

 コミックストリップ(アメリカの新聞掲載漫画)は19世紀末から存在。
 1948年には米軍から流れて日本でも出版。
 アメリカはほとんど地方紙で、日本のような全国紙は少ない。ちなみにNYタイムズには漫画は無し。

 コミックストリップは、子供(特に男の子)だけを対象にしたヨーロッパの漫画と異なり、老若男女すべての読者をターゲットに描かれる。ミッキーやスター・ウォーズなども掲載。
 また人気のある古い作品が新聞に再掲載されることもある。
 著作権はシンジケート持ち。

 アメコミがカラーなのは、もともと多色刷りの日曜版の新聞で掲載が始まったから。その後白黒印刷の平日版にも掲載、アメリカの漫画はカラーが最初でありそれが慣例となった。

 コミックブックは1930年代に子供向けのスーパーヒーロー漫画として誕生。全ページカラー。
 またコミックストリップを再録したコミックブックもできる。その後戦争に突入、黄金時代を迎える。
 コミックブックは月刊もしくは隔月で新聞のスタンドに売っており、本屋では扱っていなかった(本とみなされていなかった)。

 小野さんはSF作家の星新一さんから個人的にコミックブックを譲ってもらったらしい。いくつかは小野さんのコレクションとかぶるものもあったが、初期のXメンなど持っていないものもあった。星先生はSFのショートショートのネタのヒントに、子供向けなのに話の出来がいいコミックブックを読んでいたらしい。

 戦後の原子力の描き方。『子どもの科学』『児童百科事典』などで明るい未来の象徴として取り上げられた。
 1970年代には『世界の原子力行政』という原子力の光と影(原潜の沈没および政府のもみ消し)を取り上げた本が出版される。

 スーパーマンで描かれる世界も戦後では変わった。平和の時代となりSF性は徐々に薄れていく。宇宙などにはいかず、倒すのはアメリカの犯罪者(たとえロボットが敵でも裏にいるのは普通の人間)。
 また目が見えずスーパーマンの存在を信じない少女とスーパーマンの交流という、キャラクターの心情を掘り下げたドラマ性の高いエピソードも作られた。
 この1950年代をシルバーエイジという。

 1960年代に登場した『マイティ・ソー』はさらに善悪について問いを投げかけた。こういったマーベルのコミックブックは70年代に出版された『指輪物語』に夢中になった学生たちが読んでいた。

 1970年代漫画の専門店が登場。NYには75年出店。アメリカの出版業界は再版制度ではなく買取製なので、出版予告を破ると裁判沙汰になってしまう。よって原稿が落ちるということはありえない。

 日本の漫画は1930年代に100ページ以上のハードカバーの漫画本(のらくろ)を出版。これは世界初。1980年代には『AKIRA』がアメリカに進出する際にコンピュータ着色された歴史がある。

 日本の漫画は実在の政治家などを出さずあまり時事的なものを取り上げない。その反面当時の風俗に近すぎ、時代が過ぎると急に色あせてしまう作品が多い。
 またアメリカでは商業的に失敗でもシンジケートが押し続ける作品もある。
 小野さん一押しのクリス・ウェアーの『ビルディング・ストーリー』などは箱に入ったリーフレットや新聞、小冊子などで構成された実験的な漫画作品で、これは日本では商業ベースにまず乗らないという。
 また『ジミーコリガン』は、スーパーマンを演じた役者の子供時代から自殺するまでを描いた叙情性のある作品。もちろん『スーパーゴッズ』もオススメ!



 ・・・というわけで、今回も例のごとくパキPさんと行ったんですが、講演のあと喫茶店でいろいろと相談とか愚痴に突き合わせちゃって、なんか近年稀にみるみっともなさ、いやいつもみっともないけど、今回は特に疲れてた上にハイになってたらしい。冬眠シェルターがあったら入りたいよ。
 でもツイッターでは難しい微妙な言葉のニュアンスが伝わったらしくて、それだけはよかった。文字でしかやり取りができないツイッターではしばしばロジックとロジックのぶつかり合いになりがちだけど、冷静客観なはずのロジックがなぜ平行線をたどったり、感情的な水掛け論になりがちかの話をしたんだ。
 つまりロジックのレベルとモチベーションのレベルが違うという。私の漫画を作るスタンスもどう考えても二律背反で、パキPさんに「それはごまかしですよ~」とか言われちゃったんだけど、クリエイティブな活動のすべてをロジックでは説明しきれないし、ものを作るモチベーションを上げるのは感情レベルの話だからロジックでは奮い立たないんだっていう。自然科学というロジックの原動力になったのはキリスト教なんだってことなんだけどね。
 こういう微妙な細部って文字だけじゃやっぱり伝わってくれないんだなあってつくづく思った。

 それとコミックコードの時期が意外と早かったのは驚いた。これについては本で調べたほうがいいなあ。なんでアメリカがコミックを規制したのかいまいち見えてないから(日本の方も見えてないけど)。

スパイ映画の実態調査

 今『80日間宇宙一周』の最終章の脚本を詰めているんだけど、天王星編からずっとやりたかった宇宙スパイを出したいんだ。じゃないと出さずに終わっちゃうからw

 でもスパイって、忍者と一緒でそんな表立って仕事しちゃまずいから、天王星編で取り上げたアイドル以上に実態がよくわからないw
 そういうわけで、スパイ映画とかを参考に考えていくのが手っ取り早いんですが、私はそんなにスパイ映画って見たことないんだよね。『カーズ2』と『ジョニーイングリッシュ』くらいでwバイアスがすごい。

 有名なスパイ映画といえばトム・クルーズの『ミッションインポッシブル』とか、『007』シリーズなんだけど、あの手のスパイ映画ってほとんどアクション映画で、なんか実際のスパイがあんなことしているとは思えないwあんなことやってたら事件になってるしね。
 そもそもスパイって本当にいるのか?って感じなんですが、まあ、スパイって仕事はあるっちゃあるらしいんだけど、変に隠れてほかの国で非合法なことやってバレたら国際問題になるから、リアルでは合法的に手に入る情報を手当たり次第集めて、それを分析調査しているらしい。なんかシンクタンクとかと変わらないというか。

 だいたい『ミッションインポッシブル』も『007』もスパイというか、ほぼ殺し屋というか破壊工作員なんだよねw殺しのライセンスってなんだよってw発行しちゃっていいのかってw
 確かに、ああいう方が映画的には分かりやすくていいんだけど、それに基づいてもう少し自分なりのスパイ像みたいなものを考えっていけたらいいなって。
 海賊の時みたいに、映画の中でしか見れないような専門的な職業?に、ある種のリアリティを与えたいというか。あの宇宙海賊にリアリティがあったかは分からないけど、自分をまずは納得させないと動かせないから。最初のツッコミ役は自分自身だし。

 だから、とりあえず『007』シリーズいくつか借りてみたんだ。この映画に関しては詳しい友達がいて「オススメのエピソードある?」って聞いたら、毎回やってること一緒だから、どれ借りても変わらないって。
 たしかにそうだったんだけどw、強いて言うならってことでおすすめしてくれた『黄金銃を持つ男』は漫画的で結構面白かった。あの話ってスパイ映画というか西部劇の文脈だなあって。
 あと『007』シリーズって、日本の『ゴルゴ13』とか『ルパン三世』にめっちゃ影響与えているのがわかった。ちょっと大人な雰囲気?というか・・・いや単純に洋ピン的な美女が出てきてエッチなシーンがあるってだけかもしれんがw

 というか『007』ってスパイなのにあんなホイホイ素性を明かして大丈夫なの?一周回って逆に怪しまれないとか?「母さんオレオレ、オレジェームス・ボンド」ってめっちゃ本名言ってんのw会った人に「オレ有名だよ」ってwそれが衝撃的だったよ。
 まあこの前の木星編では『インディジョーンズ』シリーズの文脈で、あの映画をメタ的に掘り下げたようなことをしたから、今回はその『007』版になるかもしれない。
 けっこう見ててツッコミ入れてたからね。それはスパイの仕事なの?とかwあの人が女性にやってること一歩間違えば強姦だよなとかw

 しかし『80日間宇宙一周』最後のエピソードってことで、今回の脚本はこれまで以上に難産で、一時期かなり深刻なスランプでした。定期的にやって来る「今のご時世、結局は美少女」という現実に直面しなきゃいけない強迫観念症にかかってたというかw
 でもゆっくり丁寧に作っていこうと思っているんで、場合によっては数ヶ月から半年かかっちゃうかもしれません。スパイのキャラクター像とつかみの導入部で手間取っていたんですが、一ヶ月かけて導入部は形になりつつあります。
 とにかく何を最初に持っていくかって難しいんですよ(それでラストが決まるから)。今回は、ライトの夢、ミグの過去、二人の結末、情報戦、サーペンタリウスの実態、宇宙の運命・・・と、いろいろ書いておかなきゃいけないことがたくさんあって絞り込めなかった。漫画の形式でやる以上、ひとつしか選べないからね。

 実は、今年度から中学校でシナリオのつくり方とかを教えているんですが、やっぱり難しい。20年近くいろんな話考えてきたけど、まだまだ奥が深いというか。
 でも今回書いているので一区切りにはしたいんですよね。20年間の集大成というか。

シュガー・ラッシュ

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆ Turbo-tastic!☆☆☆☆☆」

 そろそろ専門じゃないことにも挑戦してみたっていいんじゃない?

 テレビゲーム版トイ・ストーリーと謳われるディズニーの最新アニメ映画。私はそこまでゲーマーじゃなかったので、見るつもりはなかったんだけど、見た人見た人大絶賛で、いつの間にやら感化されてしまい観に行ってしまった。

 確かに、ピクサーアニメの脚本のメソッドにすごい沿った完成度の高い映画だった。アメリカってこういう架空のものをリアルの文脈でメタに描くのって得意だよなあ・・・アメコミヒーローがもし現実に存在したら・・・という『アストロシティ』や『ウォッチメン』とか、リアルの延長線上に荒唐無稽のものを描いているから、こんな世界あったら面白いなあ、とワクワクしてしまう。夢を見せてくれるんだよね。

 やっていることは本当に『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』そのまんまなんだけど(冒頭の悪役グループセラピーは『ファインディング・ニモ』のサメだねw)、それでもそれを本気で描いているから圧倒されちゃう。
 一人称視点のアーケードガンシューティング(FPSG)はああなっていたのか!とかw理屈を超えたヴィジュアルの説得力がすごいw

 まあ、とにかく脚本の王道をおさえたすっごい出来のいい映画なんだ。キャラの設定の仕方や置き方が教科書通りで、①ちゃんと主人公に大切なものがあって(人望)、②それが与えられず阻害されて(悪役だからヒーローになれないという設定)、③屈辱を受けて(町長に馬鹿にされる)、④分別のない選択をして(他のゲームに行っちゃう)、冒険が始まるという、ピクサーメソッドそのまんま!
 こうやって考えると、感動する話ってちゃんとしたルール…規則性があって、なんだよオレらはただ単純に反応刺激を繰り返すコンピュータかよって味気ない気もしちゃうけど、それでも感動しちゃうのが悔しいw

 仕方がないんだ。軍曹には花婿をサイ・バグに殺されたという悲しい設定がプログラムされている。

 でも私、この映画感動というよりは笑い泣きしちゃってさwもうこの映画『レ・ミゼラブル』と一緒で出来が良すぎて、特にああだこうだ言っても蛇足&ネタバレになるから、深くは考察しないけど、これだけは言わせて欲しい。

 ターボタスティック!のあいつなんなん??(爆)

 素晴らしい映画は必ず悪役がよくできているって思うんだけど、あいつはホントもう『ナイトミュージアム2』のカームンラーさんや、『キャプテンアメリカ』のレッドスカル様以来のヒットだよwう・・・うぜ~~~!!!!!!!!!!
 なんなんだろうな、あのエキセントリック少年ボウイww結局『カンフーパンダ2』と一緒で、ラルフの対極にいるのが、あのターボタスティック!なんだけど(正しい資質をもった悪役と、持っていないヒーロー)、とにかくもうウザすぎて大爆笑w
 正しい資質(ライトスタッフ)があるのはヒーローだけとは限らない。それをああいうメタな設定(ヒーローや悪役はあくまでも職業的な役割)を上手く活かして描いているのはまいった。ただのネタじゃなくて、ちゃんと意味があるという。

 でも、アイツ最初はターボタスティック!のゴリ押しだけだったけど、それで失敗したら、今度はもうちょいやり方が周到になっていたっていうのがいいよねw学習するターボタスティックwやっぱ「シュガー・ラッシュ」でもメチャクチャ浮いてたけどな。だって一人だけやたらテンションたけーんだもんww
 かくいう私も多少ああいうところあるから、反省しないといけないんだけどね(芸術家気質のやつってああいうバカが多い)。でもやっぱああいう人好きw自分のカリスマ性に酔ってて自分勝手で欲張りwでもなんか憎めないというw
 芸術家だけじゃなくて、政治家ってあんな人多そうだしね。『アイアン・スカイ』の大統領を別のベクトルでコミカルにした感じかな。それとも男のリーダーと女のリーダの違いかな。
 う~んいろいろ考察してみたくなるな、ターボタスティック。

 例えば日本でも、ず~っと国会議員の椅子にしがみつく人とかいるんじゃん。あれさっさと引退しろよって気もするけど、やっぱり気持ちはわかるよ。
 自分の権力や肩書きにしかアイデンティティを感じていないなら特に。そして、悲しいかな、そう言う人はやっぱり肩書きだけを見られちゃうんだよね。引退してただの人になったとき、もう誰も自分のことを見向きもしてくれないんじゃないか。

 とはいえ、そういう辛い現実をうまく自分の中で受け入れられさえすれば、人生は幸せになるんだよね。結局どう生きてどう死ぬかは自分との戦いというか。
 だって、どんなに名声があっても、どんなに富があっても人間の欲望にはキリがないもの。それにいまのご時世、どんな人気者でもそれを僻み相対化してしまおうとする人がいる。そう言う意味ですっごい普遍的なテーマを扱っているんだ。ターボタスティック!はw

 去年のマイベスト本『下流志向』にも書いてあったけど、今の世の中ってパッと見華やかでみんなの賞賛を受けやすい職業ばっかりが取りざたされるけど、本当は一見地味でも「周りの人の不利益を事前に排除しておくような」目立たない仕事だって、とっても尊い仕事なんだよね。
 実際、みんなが嫌っていた悪役のラルフがいなくなったことで、「フィックス・イット・フェリックス」はゲームとして成立せず、あのゲームのヒーロー以下すべての人たちが不利益を被ってしまった。こういうブーメランを教訓的に描く話はさすがはディズニーだなあって感心したよ。
 というかピクサーのコンテキストが入って、さらにパワーアップしたよねディズニーwなんというか去年の『メリダとおそろしの森』よりもピクサーっぽかったというかw
 
 あ、ピクサーといえば、ヴァネロペちゃんの声って、どっかで聞いたことあるなって思ったら『トイ・ストーリー3』のボニーの声(諸星すみれさん)なんだよねw
 で、この人うまいな~って調べたらなんと13歳・・・!大ベテラン声優(ラルフが山寺宏一)と子役の共演だったのか!!

 最後に一言。『モンスターズ・インク2』そう来たか。(まさかのビバリーヒルズ青春白書・・・)

アイアン・スカイ

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 アメリカがこれまでまともに倒したのはナチだけだものね。

 月からナチスが襲ってくるというワンアイディアだけで世界中のSFファンから一億ドルもお金が集まっちゃったという話題作。
 設定からしてどう考えても社会風刺ギャグって感じなんだけど、人種差別や歴史の断絶、第二次大戦時も現代も変わらない、きな臭い政治的な駆け引きなどをうまく人間ドラマに盛り込んで、意外と真面目で丁寧にお話を組み立てていた感じ。

 特に人種的にマイノリティなアメリカの黒人ワシントン(政治的な思想信条は特にないニュートラルな人)と、第二次大戦時から時間が止まっちゃったような純粋なナチ党員の女の子レナーテとの交流が、けっこう微笑ましいラブコメみたくなってて、面白い。
 F先生の異色短編に出てきそうな清楚で、かつ、ちょっと世間ずれした女の子のレナーテはなかなかチャーミングで(あとなぜかお色気w)、サラ・ペイリンのようなタカ派大統領や、なんかよく分からないけどとにかくおっかない女ってことはわかる広報部長など、どぎつい世界観に咲く一輪の花・・・なのかな?

 まあ、とにかくこの映画女が強い。というかそのインパクトははっきり言って月にいるナチス軍の印象が霞むほど(本当は霞んじゃダメなんだけどw)
 でも、どう考えても月のナチスってアイディアは出オチ的なものだから、一発の破壊力は強くても持続性がないんだよね。そう言う意味で、1時間半どうやってドラマを持たせて、落とすんだろう?ってのは見てて気になってた。
 で、結局ナチスは月で超兵器を作ろうが地球の大国の噛ませ犬に過ぎなくて、ナチス以上に恐ろしいのは地球のメスゴリラだったってことにしたんだよねw

 ここら辺は絶対異論があるとは思うんだけど、私の個人的な印象では、男性よりも女性の方が、感情に訴えかける影響力っていうのは大きいと思うんだよ。理屈じゃなくて。
 だからアイドルとか、政治的な象徴とかなら女性のリーダーはアリかもしれないけど、社会的なルール・・・それは合理的な思考がものを言うと思うんだけど、そういうものを組み立てていくのって女性の方は苦手な気がするんだ。
 いや、これは本当に個人的な経験だけで言っているだけなんだけど。つまり何が言いたいかっていうと、この映画って女性=感情(⇒ポピュリズムの恐怖)のメタファーで描いていると思うんだ。もちろん癇癪持ちの男性キャラでもいいんだけど、個人的な怨みや嫉妬で核ミサイルを落としちゃうのはやっぱり女性ならではって感じが・・・

 ダメだ!どう言っても女性の好感度下げてしまう・・・!!

 でも女性の敵は女性って言うし、分かってくれる人もいると思うんだけど・・・あの私的なドロドロって言うのは男性にはあまりない感情だから。
 もちろん大幅に戯画化しているんだろうけど。だから、まあ、女性のリーダーが悪いって言っているわけじゃないんだけどね。もういいや。何言っても誤解されるw

 あともう一つきわどいネタなのは共和党の描き方だよね。ここも何を言っても火に灯油注いじゃう感があるんだけど、例えば『キックアス』ってアメコミでは、熱心な共和党支持者が自分の娘を殺人マシンに育てて親子でスーパーヒーローの自警活動をするんだけど、あの漫画は意外とそういう共和党支持者をあからさまにカリカチュアライズするような描き方はしていないんだよね。
 多分読んだ人、作者の政治的スタンスとかは分からないと思う。私もわからなかったし。おそらく作者にとってはただ純粋にバイオレンスがやりたかっただけで、そのキャラが共和党支持者っていう設定に大した意味はなかったんだと思う。

 これが同じくバイオレンス描写が目を引く『スターシップ・トゥルーパーズ』になると、もう少し意識的に風刺を行なっている。
 あの映画に描かれる地球連邦軍が共和党のメタファーかどうかは分からないけど、少なからず超タカ派であることは間違いないし、「地球VSバグ」を「アメリカVSイスラム世界」に置き換えることは容易いと思う。
 で、あれはどう考えてもそういった軍事政権をコケにしているんだよね。所々にカットインされる地球連邦放送の番組は戦争を礼賛しながら、それと同時にその愚かさを演出している。

 なんでも『スターシップ・トゥルーパーズ』は最新作を日本のアニメーターが作ったらしいんだけど(『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』)、CMを見る限りシリーズのこういったメッセージ性をちゃんと読み取れているのか非常に心配だ。
 ただ映像的にカッコいいところだけしか認識せずに、見栄えだけはいいアクションアニメになってなきゃいいんだけど、これに関しては鑑賞してから判断してみる。

 で、なんでそういうことを危惧しているかっていうと、ユーストリームでも言ったけど、あの映画って倒錯が起きているんだよね。
 戦争を徹底的に馬鹿にしているんだけど、その戦闘シーンがやたらかっこよくて、物語と映像のそれぞれが受け手に与える印象にねじれがあるんだ。だからあの映画を見て何人かに一人は絶対「戦争ってかっこいいな」って思っちゃうと思うんだよ。
 その原因の一つが敵が虫だってことだってことに、この『アイアン・スカイ』を見て気づいたw『アイアン・スカイ』って公開当時、コメディ映画として見に行った人がラストシーンがなんだかなあって評価に困ったらしいんだけど、それは結局、この映画で描かれる下世話な戦いが「人VS人以外」じゃなくて人間同士だってことだよね。
 だから文字通りひとごとじゃないから笑えない。

 でも私、この映画に関してはこう落とすしかなかったんじゃないかって思うんだよ。あんなめちゃくちゃな大統領や広告屋出しちゃった以上、あいつらの愚かさを徹底的に描ききらないと、少なくとも私は納得しなかったと思うんだよね。
 最終的に月のナチスなんか置いといて、地球の国家間で全面核戦争が起こるんだけど、それこそバカは死ななきゃ治らないっていうかさ。
 あの大統領って結局のところ、当事者意識が欠如した私たちそのものであって、戦争すら広報活動に利用していたわけだけど、広大な宇宙の小さな星にみんなで生きている以上、その影響は自分たちにも跳ね返ってくるわけだ。
 ・・・いや実際は結構したたかに責任の所在をうやむやにして逃げちゃったりするんだけど、全面核戦争じゃそれこそ身の破滅だろう。そこまでいかなきゃ自分の想像力のなさを痛感できないってことなんだよね。

 んで、ああいうオチってやり方としてはイギリスのブラックコメディとかに近いよね(最後は何故かみんな死ぬw)。
 だからああいう『映像の世紀』的な終わり方でもいいけど、そうなると前半のコメディ調とのギャップで当惑しちゃう人がいるのも確かなので、地球の全面核戦争の映像にコミカルな曲を合わせちゃうのもアリだったかもね(8時だよ全員集合的な)。
 でもやっぱこれ笑い事じゃないんだよ。だから最後は意表をついてああいうシリアスな感じでOKだったんだろうな。
 別に国際問題とか戦争について考えろ!って言いたいわけじゃなくてさ・・・相手の立場を尊重して思いやるためのちょっとした想像力が、今の私たちには欠けてると思うんだよね。

 だからリアルと創作がことごとく断絶している状況が私はどうかと思うんだ。で、その割には勧善懲悪な文脈だけは現実に持ち込んじゃって短絡的な善悪二元論でファジーな問題を捉えてしまう。
 最近第二次世界大戦の本を読んだんだけど、ヒトラーの思想ってけっこうつかみどころがないんだよね。連合国とはもちろん敵対してたけど、ドイツ社会主義労働者党を母体としながらも共産主義勢力とも敵対していたわけじゃん。
 で、お前は結局どっちやねんwって思ってたんだけど、結局大衆にとって政治は右か左か、保守か革新かといったテーゼやスタンスなんてどうでもよくて、自分たちの日常生活(=景気)さえなんとかしてくれればいいんだよね。理想じゃなくて現実があるわけだから。そういえば自由民主党だって結局保守なんだかリベラルなんだかよくわからないもんね。

 つまり世の中なんて理屈で白黒つけられる方が希で、結局は曖昧なままグレーで動いていくんだよね。そう言う意味で、理屈じゃなくて大衆の感情(アーリア人のプライド)に訴えかけたヒトラーの戦略は本当にうまいし、恐ろしい。
 その現実について大衆がどれだけ意識的かどうかで、歴史の流れは変わっていくのかもしれない。悪や敵はどこにいる??

 人々が思考しないことは、政府にとっては幸いだ。――アドルフ・ヒトラー

『恐竜大陸サウラシア』制作裏話

 ・・・とか言うけど、これまだ「制作」はしてないよねw執筆裏話だよねwその上執筆期間も5年前だから、何考えて書いたか忘れちゃったよw

 ん~まいった・・・とにかく私って恐竜が好きだから一度恐竜の漫画を書こうとは思ってたんだけど、この前見た映画『ダイナソープロジェクト』もそうだったけど、恐竜を題材にした映画を作るのってかなり難しいんだよね。
 あの『ジュラシック・パーク』でさえ一作目が奇跡の出来って感じで、続編はすごい映画だったかって聞かれれば、そうでもないし・・・
 それくらい物語の作劇構造に「恐竜」というのは合わせにくい。アボカドと違ってかなり使い勝手の悪い食材だと思う。だから『ダイナソープロジェクト』の失敗はしょうがないと思うんだ(失敗でいいよね?あれw)。

 これが哺乳動物ならラスカルとかフリーウィリーとか人と動物の交流にまつわる感動ドラマが描けるんだけど(日本人ってこういうのやたら好き)、恐竜って絶滅しちゃってるし、どっちかというと一般的には「でかい怪獣」のイメージが強い動物だからね。その点F先生の『のび太の恐竜』はうまくやったよね。
 でもあれは結構例外で(『REX恐竜物語』とかもあったけどさ)、恐竜映画って基本的にはB級モンスターパニック映画のコンテキストで作られることが多い。
 『ジュラシック・パーク』の上手かったところって、この人と恐竜の交流(動物映画の文脈)と恐竜の恐怖(モンスター映画の文脈)を半々でバランスよく取り入れたってことだよね。

 続編の『ロストワールド』では、今度は『ハタリ!』の恐竜版をやりたかったのかな?って気がする。
 だから恐竜そのものよりも、恐竜を人間たちがどう捉えるか、そのドラマをメインに持ってきた感じだったのかもしれない。
  あれは構成が下手だっただけで、もうちょっと練りこめばメッセージ性の強いいい映画になった気はするよね。ちょっと悪乗りしてモンスター映画にしちゃった感じがするけどね。そこがスピルバーグ監督なんだろうけどw(※無意味にグロい)

 あともうひとつのやり方といえば、ディズニーの『ダイナソー』のように動物生態映画みたいに作っちゃうことだよね。私が恐竜映画で一番好きなのが、この『ダイナソー』なんだけど、さすがはディズニー。動物映画の老舗だけあって映像の美しさは凄かった。
 一応アニメ映画ってことで恐竜喋らせてドラマも入れてたんだけど、今度は『ディープブルー』や『ライフ』みたいなガチの動物ドキュメンタリー映画の恐竜版を作ってはくれないだろうかw

 まあこんなもんかな。他にも恐竜の出し方としては、時代に取り残された場所があってそこに現代も恐竜が生き残っているという失われた世界タイプ(『ダイノトピア』なんかもこれ)や、ドラえもんみたいに現代人が恐竜の時代にタイムスリップしちゃうタイムマシンタイプ、そして本当クライトン先生はすごいなあって思ったんだけど、現代に恐竜を科学技術で再生させるクローニングタイプなどがある。
 もうどう考えても恐竜のクローン再生が恐竜と人間を出会わせる最後のアイディアなような気がして、私なんかはどうしよう・・・って悩んじゃったんですが、ある時「あ、これはもうファンタジーってことにして、最初から恐竜と人間が共存してればいいや」って発想を逆転させて、この漫画の設定を組んで行きました(やけになったとも言える)。

 だから、中途半端にSFな雰囲気を出しちゃって「なんで人間と恐竜がいるんだよ?」っていう読者の人のツッコミを極力喚起させないように、「ああこれはこういう世界観ってことなんだ」って、最初のシーンから恐竜がいることを前提として描きました。
 例えば『ハリーポッター』を見て「なんで魔法が使えるんだよ?」ってツッコミ入れる人はいないでしょ?それと一緒で、恐竜がもともといる世界なんだよって。

 まあ後半はけっこう世界観の謎が解けてきてSFっぽくもなっちゃうんだけど、それでも西部開拓時代にないものは極力出さないようにした。
 そもそも「恐竜」というとんでもないものを西部劇に出している以上、それ以外で変なことにはしたくなかった。これは戦国時代にマスコミとかを出しちゃった『風と翼』とは対照的なやり方をとったと言える。
 でも未知の島とかギアナ高地とか孤立した地域に恐竜が生き残っているってのは今までいろいろあったけど、大陸ひとつに恐竜が生き残っているという話は私が初めてだったと思う。自分でも思い切った設定にしたなあってけっこう満足してますw

 で、意外と「荒野」と「恐竜」っていうのが合うんだよね。『ダイナソー』でも荒野を恐竜の群れが歩いていくシーンがあるんだけど、そもそも恐竜の化石って「死の谷」とかそんな物々しい名前のついた荒地(バッドランド)から発掘されることが多いんだよw
 だから西部劇とは合わないこともないんだよね。エイリアンも出せるくらいなんだから。作劇万能ふりかけ、美少女の次は西部劇やで!

 ということで、いろんなことがもう開拓され尽くしている恐竜もので、なんとか知恵を絞ってオリジナリティを出したのが、『恐竜大陸サウラシア』なわけです。
 もうこれ以上のアイディアは私には出ないと思うから、恐竜漫画はこれで最初で最後になると思う。でも私よく頑張ったよ。ほかの人がどう思うかはわからないけど、私自身は結構面白い話だと思うし、生きているうちにこの漫画だけは仕上げたいからね。

 それにさ、けっこう動物ものとしてもいい感じにバランスとってると思うんだよ。日本の動物映画ってバクテリアの一つ覚えのように感動ものにしか仕上げないけどさ、それは一部の動物の一部の要素を拡大解釈しているだけであってさ、動物の中には不快なものもグロテスクなものもいるし、人間にとって迷惑なもの、人間にはとても制御できないものだっているわけだ。
 だから『ジュラシック・パーク』の原作で一番好きな一節なんだけど「恐竜にも人に懐いてかわいいやつもいれば、この手の動物園では飼育できないような凶暴なやつもいる」んだよ。
 最後の方ではあからさまにポケットモンスターのアンチテーゼをやっているけど、まあそういうことなんだ。自然界の全てを支配できるなんて思い上がりもいいところなんだよ。

 さらにそれを生態系にまで広げれば、人間VS自然もしくは人間♡自然といった単純な二元論には還元はできないことがわかる。
 人間だって自然の一部なんだから、ある程度は自分の都合のいいように改変はできるかもしれないけれど、その結果が副作用としてブーメランのように跳ね返ってくることだってある。
 現代で快適な生活をしている私たちにはなかなか実感はできないけど、感謝祭のピルグリムファザーズだってアメリカに移住したときは相当苦労して、移民のほとんどが死んじゃったらしい。
 歴史の本によれば、インディアンと対立したり戦争で死んじゃったらしいけれど、それ以上にアメリカの大自然の厳しさが立ちはだかったんじゃないかなって思う。

 だからこの脚本を普通に読めば、作中の恐竜はインディアンの置き換えだってわかるんだけど、それと同時に私は恐竜を強大な大自然のメタファーとしても描いてみたんだ。
 宇宙にすら進出しちゃった私たちにどれだけのフロンティアが残されているかはわからないけど、それでも地球上で私たちが安全に暮らせるエリアはすご限られている。
 そして今の快適な生活があるのは、先祖の人がこうやって頑張って開拓してくれたからなんだよね。

 え~っと・・・なんかあまり裏話的な話をしてないぞwまあいいや。
 作中に登場する人物は、ほとんどが実在する古生物学者がそのまんま元ネタになっているので、詳しい人はすぐにわかると思う(『80日間宇宙一周』と名前のつけ方が一緒)。でもフィリップとリズリーとアニーだけは古生物学者が元ネタではないので、ここで説明。

 フィリップは昔フジテレビでやってた『世界超密着TV!ワレワレハ地球人ダ!!』って番組で「スネークハンター」ってコーナーがあったんだけど、そこで出てくるアナコンダ捕獲に異常な執念を燃やすスネークハンターの「わがままフィリップ」ってやつが元ネタ。あとはフィリップ・アストリーっていう近代サーカスの創始者からも取っている(もちろん古生物学者フィリップ・カリー博士からも!)

 リズリーは確か江戸時代に日本にやってきた最初のサーカスで「リズリーサーカス」ってのがあったんだって。リズリーって語感がかわいいし、小柄な女の子にぴったりだったから決めちゃったw

 アニーは西部劇ってことで「アニーよ銃をとれ!」からつけました。最初の設定ではコープのキャラも兼ねていて、銃を持つと性格が豹変する凄腕女性ガンマンだったんだ。でも書いてみてあまりに漫画っぽいキャラになっちゃったから、コープと役割を分担させることになった。
 だから、あのまま書いていたらコープはいなかったんだね。私コープのキャラが結構好きだから、やっぱ分離させてよかったなあって思うよ。キャラの数も減らしゃいいってもんじゃないよねw無意味にたくさんいるのは困りものだけど・・・
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