『80日間宇宙一周 CRIMSON WING』脚本①

とある農村部。
内戦状態の土星。
戦車の機甲部隊が農村の花畑をキャタピラで踏みしだく。
空は爆撃機で埋め尽くされ街が空爆されている。
炎で赤く染まる空。
街を追われた難民たちは恐怖と飢えに苦しんでいる。
定期的に聞こえる爆発音。

教会
ステンドグラスに祈りを捧げている人々。
教会の冷たい壁にもたれかかるようにして地面に座っている男の子と女の子。
かじかんだ手に息を吹きかける女の子。
ろうそくのあかりで壊れたおもちゃのお人形を修理する男の子
「できた・・・はい。クリスマスプレゼント」
女の子「うわ~ありがとう」
男の子「メリークリスマス、サーシャ」
人形を大事そうに抱く女の子「あのさ・・・神さまはいるよね?」
男の子「ああ・・・」
女の子「じゃあなんで何も悪いことしてないのにこんなに辛い目にあっているの?」
男の子「正しい人にも災いは降りかかるんだ・・・」
女の子「家に帰りたい・・・」

革命軍が教会に入ってくる
難民「革命軍だ!!」
問答無用で信者たちを捕まえていく革命軍。
祭壇を蹴飛ばす革命軍「科学の時代にくだらねえもん信じてやがる。」

教会の外に追い出される信者たち
革命軍兵士「オラ!とっとと歩け!」
銃を突きつけられる女性「お願いします!子どもたちだけは・・・!」
ニヤニヤする革命軍の兵士「どちらか一人だけだ。早く選べ。」
膝まづく女性「そんな・・・!」
カウントダウンをする兵士「10、9,8,7・・・」
怯える子供たち
「5,4、3,2・・・」
女性「選べない!」

怒りに震える男の子(こいつらは強いんじゃない・・・ただ武器を持っているだけ・・・それだけなのに・・・)
引き金を引く兵士「時間切れだ」

ナレーション「正義は一体どこにある!?正義はこれだ!」

悪のテロリストが撃ち殺される。
テロリスト「うわ~!」
戦場の空にシャープなデザインの真紅の戦闘機が現れる。
空を指差し歓声を上げる市民「プロメテウス社の新製品ミラージュが来てくれた!助かった~!」

ミサイルを担ぐテロリスト「くそがああ!」
真紅の戦闘機は地対空ミサイルをあっさりかわし、顔認識センサーでテロリストだけを機銃で正確に撃ち殺していく。

「民間人は絶対誤射しない超精密狙撃システム!」

テロリストが地下のシェルターに逃げていく。
テロリスト「へっへっへ・・・ここなら攻撃できまい・・・!」

「地下の敵も逃がさない!これが新兵器パイルバンカーミサイルだ!!」

戦闘機から巨大な杭のようなミサイルが垂直真下に発射され、地面の底が抜けたように吹っ飛ぶ。
シェルターのあった場所には大きなクレーターが残る。

「悪党どもに正義の鉄槌だ!!」
テロリストを殲滅し帰っていく戦闘機に手を振る市民たち。
「ありがとうSX32ミラージュ!」

VTRが切り替わりスタジオのセットを映し出す。
高級ブランドのスーツを着てメガネをかけたイケメン社長が笑顔でプレゼンをする。
ヴィンセント「いや~みなさんこんばんは!プロメテウス社CEOのヴィンセント・レイセオンです!
土星にいるテロリスト緋色の旅団、まったく困ったやつだよね!
ということで今回は最新鋭ステルス戦闘機SX32ミラージュを紹介だ!」
スポットライトが灯り、スタジオに巨大な戦闘機が現れる。
観覧客の喝采「ワ~オ!」

ヴィン「このミラージュ、なにが一番すごいかっていうと無人戦闘機だってこと!
自軍から一人の死者も出さずに作戦を遂行できるんだ!
戦いが長期化した軍隊にとっての悩みの種は戦死した兵士に対する補償だよね。
国防長官の手紙よりも遺族が欲しいのは軍人恩給だ。
しかしこのミラージュさえあればそんな心配はない。
敵地に出撃させたら、エアコンの効いたオフィスでコーラでも飲みながら吉報を待てばいい。
ミラージュは必ず作戦を成功させ戻ってくるでしょう。」
観客席の軍服を着た大佐が腕を振り上げる「イエ~!」

ヴィン「今回はこの最新鋭無人戦闘機SX32ミラージュと、奥様が嬉しいガンコな汚れも落ちるスチームクリーナー、キッチンの心強いお供トースターとミキサーもお付けして、お値段なんと5億アースドルでのご提供!分割金利手数料はすべてプロメテウスが負担!
このパイロットのいらない最強の武器で我々は永遠の安全と平和を手に入れることができるのです!私はここに宣言します!兵士諸君!死ぬような仕事はしなくていいから!
電話番号はフリーダイヤル・・・」

都市インフラ、通信技術、輸送機械、医療機器・・・
あなたの街を灯す企業プロメテウス


生放送が終わりピンマイクを外すヴィンセント。
テレフォンショッピングのセットの裏には会社の株価を示すモニターが並んで社員がコンピュータで取引をしている。
ヴィン「どうだ?」
コンソールを叩く社員「社長見てください!株価が・・・」
ヴィン「なんで下がってんの?発注のほうは?」
受話器に手を置いて首を振る社員「まだ一件も」
ヴィン「どういうことだ?」
大慌てで新聞を持ってくる副社長エド「ヴィンセント大変です!」
エド「天王星の大物アイドルジュリエッタが土星と和平交渉を進めました!
戦争は回避、軍需関連株はストップ安です!」

カッシーニ証券取引所
ジュリエッタの暗殺が回避されて株価が上がらず阿鼻叫喚のデイトレーダー。

スタジオ
新聞を折りたたむヴィン「テレビつけろ」
モニターにテレビのニュースが映る。60ミニッツ風のインタビュー。

レポーター「・・・つまりあなたが天王星と土星の架け橋になるということですかジュリエッタ?」
ジュリエッタ「ええ。これからはお互い憎しみ合うことをやめて共存の道を歩んでいきたいなって」


ヴィン「いきたいなじゃないよ。あれ、こいつ過激派に暗殺されたんじゃなかったっけ?」
エド「撃たれる寸前ジュリエッタを助けた奴がいて、弾は別の子に当たっちゃったみたいです。」
ヴィン「冗談じゃねえよ。まいったなあ、こっちは戦争の準備して待ってたってのに~調子狂っちゃうよ・・・」
パラパラと電話が鳴る。
コンソールの社員「発注の問い合わせは現在4件です。うち1件は間違い電話。」
ヴィン「土星でだよね?」
社員「いえ全宇宙で・・・(受話器に向かって)うちはチャーハンなんてやってねえ!」
ヴィン「全宇宙でたったそれだけなのか?」
エドの方を向くヴィン「冥王星は?これさえあれば無人で隕石も吹っ飛ばせるぜ。」
エド「あの星は政府が軍事産業にとんでもない関税をかけて国内メーカーを保護していますし、我が社も参加したノーチラス計画でクーデターが起きちゃったんですよ。」
ヴィン「それは気の毒にな。海王星は?」
エド「被災してデフォルトって騒いでいる星ですよ。」
ヴィン「我が社の兵器があったら隕石落なかったのにね。天王星の再軍備はもうないの?」
エド「その可能性は低いかと・・・あの星は政治家よりもアイドルの発言力のほうが強いですから」
ヴィン「・・・ったく誰だよジュリエッタ救った奴。
あ、そういえば二本撮りしたゴルディオンハンマー12のほうは天王星でバカ売れなんだろ?」
エド「ええ」
ヴィン「やっぱこれからは建設重機だよ!宇宙戦争の時代じゃねえよ。今度の航空ショーでも入札されなかったら、ミラージュのプロジェクトチームは解散するから。」
頭をかくエド「大変なことになってきた・・・」

ニュースでジュリエッタの暗殺シーンが流れる。
ジュリエッタが突然ステージに現れた男によって押し倒される。
TVモニターに見たことのある顔が映る

ヴィン「あいつは・・・」
エド「あ、彼ですよ。くだんの冒険家。」
ヴィン「いや冒険家じゃない・・・同業者だよ。」
エド「知ってるんですか?」
ヴィン「ライト・ケレリトゥス・・・この星にいたのか・・・くくく・・・面白い!」
エド「一体何者なんです?」
ヴィン「宇宙で最も恐ろしい最終兵器を作れる頭脳がありながら、ラジコンヘリしか作らない趣味人ってところだな。じゃ出かけてくるから」
エド「あの・・・二時間後の食事会は?」
ヴィン「ウチの商品を買わないやつとなんでメシ食わなきゃいけないんだよ。」

プロメテウス社の本社ビルの廊下を歩くヴィン
廊下にはプロメテウス社のたくさんの業績を讃えた記事や表彰状、写真が飾ってある。

「太陽系のボーダレス化に乗じて年商1000兆ドルかせぐ宇宙一の大社長ヴィンセント・レイセオンは死の商人?」

「プロメテウス社が医療分野にも革命!メディカルサーバー「ラ・メトリー」によって死を乗り越えた土星人。永遠の美と健康が実現!保険会社の倒産相次ぐ。」

「電気水道ガス、科学大革命で破壊された都市インフラを科学の力で再生。
万里の長城を発電所に改造――4万都市に灯り。市民に笑顔戻る。土星のモウタクサン国家主席から表彰」


通路を進むほど飾ってある写真が古くなり、記事が小さくなっていく。

「ベンチャー界の若きルーキーが語る夢――土星に住むすべての人を幸せにしたい」

廊下の一番奥に古い白黒の写真がかけてある。
若かりし頃のヴィンセントとライトが肩を組んで笑っている。
「前身企業ライト&レイセオン社創業」

『80日間宇宙一周 CRIMSON WING』登場人物

 いや~お待たせしました。『80日間宇宙一周』まさかの第4弾!近年稀に見る難産!一ヶ月以上かかった!

 土星の大まかな世界観や設定はアイドル編「ギャラクシーミネルバ」の直後におおよそできていたのですが(アイドル編でもちょっとだけ土星は出てくるし)、具体的にドラマを詰めていくプロット段階で数え切れないほど脚本を書き直し、大学ノートが3冊も犠牲に!
 本当いろいろなストーリー展開を考えたし没シーンは10個くらいある。情報量がやたら多いんだ今回。

 それと今回って武器メーカーの話なんだけど、今そういうアニメで『ヨルムンガンド』ってのが流行っているらしく、やべえ時期的にバッティングしたかな、とハラハラ。
 だけれどその真相は単に私がアイアンマンをやりたくなっただけだったというね。
 日比谷でパキPさんに「アイアンマンって実はね、死の商人の話なんですよ」って聞いた時にすでに「うわ!やりたい!」って思ってた。

 天王星編の段階で土星のモチーフは中国ってことになっていたから、じゃあ世界最大の軍事力を持つ現代の中国を風刺してみようと。
 それにアイアンマン抜きで普通に考えても、4度目にもなる今回のテーマは「原点回帰」にならざるを得ない。だから一作目のようにライトの技術が軍事利用されたり、別のキャラをうまく使いながらライトとミグの出会いのようなものをもう一度やってみました。

 しかし『80日間宇宙一周』は色んな映画やアニメをパクり倒しているよね。冥王星がディープインパクト、海王星がモーレツ宇宙海賊、天王星がマクロス、そして土星がアイアンマン。
 変化球を狙った『ソニックブレイド』と違ってこっちはベタでライトなSF(本人はソーシャルフィクションのつもり)にしたいから、だいたい既に他が似たようなのやってるんだよな。まあソニックブレイドもガンダムだけどね・・・ということで登場人物の紹介。

ミグ
冥王星の軍人。銃火器や爆発物の扱いに関してはプロ。責任感が強い。
若い頃に負った胸の傷にコンプレックスを持っている。
ヴィンセントに一目惚れされ口説かれる羽目に。でも本人は女性として見られて結構嬉しい。

ライト
機械に強い。なんでも作れる。修理できる。自由人。
かつてヴィンセントと小さな会社を立ち上げていたらしい。
当時の発明のアイディアは全部ヴィンセントに横取りされ、挙げ句の果てにピンはねされた苦い過去が明らかに!

ヴィンセント・レイセオン
土星の経済特区に本部を置く多国籍兵器メーカー「プロメテウス」の社長。
ライトとはライバル関係。
出身地は土星で、亡命先の地球でライトに出会いふたりで会社を立ち上げた過去を持つ。ひょうひょうとした性格。口癖は「うちで働かない?」

ニコライ・ベルゲルミル
ミグたちが海王星で戦った緋色の旅団の最高幹部。
この星の共産主義はまやかしだと批判、土星の不平等社会を是正するためにライトを拉致し、新型戦闘機ミラージュの破壊を強要する。
元は医者で教会地下のカタコンベを改造した秘密基地で身寄りのない人の診察を行なっている。

殺し屋スカーレット
緋色の旅団の腕利き工作員かつハイペリオン教会のシスター。
クールな性格だが根は優しく星間戦争によって親を亡くした子供の面倒を見ている。
自分が楽しむためだけに発明をするライトを無責任だと責める。

エド・グレイプ
プロメテウス社副社長。ヴィンセントの片腕で付き合いは長い。たいてい社長の尻拭いに追われる。
新型ステルス戦闘機ミラージュ開発の責任者。

ジーン・アトラス将軍
土星人民解放軍の将軍。政財界に強いコネを持つ。ハイテク技術に疎いエロおやじ。

メディカルマシーン「ラ・メトリー」
プロメテウス社が開発した全自動医療マシン。少量のサンプルさえ採取すれば現在の健康状態、及び将来かかる病気の確率、そしてその確率を軽減する生活サイクルを瞬時に計算するスーパーコンピューター。アルバイトでも操作できる。これにより土星の医者はお払い箱になった。

イェーガー号
ヴィンセントの愛機。デザインはシャープでモダンだが飛行性能はリンドバーグ号に劣る。
ただリンドバーグ号に比べてかなり頑丈。

SX32ミラージュ
かつてライトが設計した戦闘機「ベガ」をもとに作り出した、真紅の無人ステルス機。
超高性能で一度起動すれば太陽系のどの空軍もかなわない圧倒的な破壊力を持つ。

土星
共産主義の惑星。20数年前に科学大革命が起こり医療技術が飛躍的に進歩。
すべての病気の治療法が完成した。
これにより医療費さえ出せば永遠に健康な生活が送れるようになり、富裕層は死を克服している。
土星人の信仰心はなくなり歴史的な教会を訪れるのは観光客しかいない。
また緋色の旅団の本部がある星。

アウトレイジ ビヨンド

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆」

 模範囚が刺されるかよ。

 そういえば刺されてましたね。


 北野映画初の続編映画ついに公開!言うまでもなくこの映画は何ヶ月も前からすっごい楽しみにしてて、もう予告編のつくり方からしてワクワクして「えええ、どうなっちゃうの?」って感じだったんですが、見事に予告編に裏切られました。
 もう予告編でイメージしていたお話の筋と全然違う!公式サイトなどで説明されていたような単純な三つ巴抗争ではなく、ずっと複雑で立体的。

 わかりやすい起承転結のあるような物語ではなく、情報量が雑多でそれぞれのエピソードやシーンがバラバラに並列的に並べられ、伏線がとんでもなく緻密に絡まり合っている。
 なんというかクライトン作品で例えるならば『ネクスト』のような構成。伝わんないかwでも読んだ人ならわかると思う!

 北野監督は、出演者のたくさんの顔写真を机に並べて「これがこいつに恨みを持って、だからこいつは・・・」と軍隊の作戦本部の将軍のようにプロットを組み立てたらしいですが、それも納得。
 戦争になったらどないするんじゃボケ!というセリフにもあるように、これは人間の戦争をまるで神の実験のように描いたある種のシミュレーションなのかもしれない。

 だから、この世界に絶対的な力を持つチートキャラはいない。偉そうにしている奴もみんな立場が変われば命乞いも土下座も失禁もする。
 ・・・いや実はチートキャラいるんだけどそのチートキャラに対する使い捨てのチェス駒の最後の抵抗。それがアウトレイジビヨンドで描きたかったことなのか。

 たけしさんは公開前さんざんいろんな番組(ニコニコ動画すら)に出まくって「今回はエンターテインメントに徹した。今のテレビ番組はなんでもテロップが入ってて驚いた。あれくらいやらなきゃ今の視聴者はわからないのかって。だから今回はできるだけキャラクターに状況を言葉で喋らせて分かりやすく作った」とか言ってたけど、全然甘かったw

 分かりやすくセリフで説明することでいつもの難解さを捨てた分、情報量を増やして複雑化させたから結局すっごい頭を使って状況を整理しないと話が追えない。
 些細なセリフや描写まで全てが計算しつくされていて、ちょっとでも気を抜くとおいてけぼりを食ってしまう。
 やっぱりこの人常人の頭脳の持ち主じゃないわwこんな情報量のある脚本を新幹線で3時間では書けません(とはいえ震災で公開日が伸びてその間色々書き加えたらしいけれど)。

 さてこっからはネタバレごめんなキャラクターの紹介。これに関してはもうどうやってもネタバレになるので未見の人は読まないでね。
 絶対予想を裏切る内容になっている映画だから。

「大友」
 この映画ってなんか例えとしてどうかとは思うけれど、やっぱり『魔法少女まどか☆マギカ』に似ていて、この人はやっぱりまどか役だなあって。
 今回の大友の兄貴はとにかく消極的(まどかたる所以)。出所したあとはヤクザを引退して、以前にお世話になったフィクサーのおじいさんのコネで韓国にいくつもりだったし、もう年齢的な限界を感じている。
 ここらへんは「オレもう山王会とやる気ねえぞ」のセリフにすべてが詰まっている。たけしさんってちょっと前まで「オイラは最終的に芸能界のパンダになりたい」って言ってたんだよ。
 つまり、もう歳だし無茶なことは若手の人にやらせて、自分は上野動物園のパンダのように何にもしないでギャラをもらってればいいやと。確かにサーカスの動物と違ってパンダって何か芸があるわけじゃないもんね。
 最近は「あれ?この業界もしかしてパンダを買う余裕もないんじゃねえか」って思ったらしく、これまで以上にいろんな仕事を取ってお茶の間の私たちを楽しませてくれているんですが、とにかく今回の大友はちょっと前のTVタックルのたけしさんのように控えめ。
 そして相変わらずヤクザの義理や道理にこだわる。そこを利用されてまた大きな抗争に巻き込まれていくんだけれど・・・

「木村」
 この人が大友とコンビを組むとは思わなかった!一作目の顛末を知っていたら、もうその筋だけで続編見たくなるもんね。
 いや~木村さん相変わらずいい人wよく考えたら昔気質の大友とぴったりのキャラなんだよね。親分を尊敬し子分を大切にする、かっこいい兄貴分。
 しかしこの映画では決してヤクザを美化しない。屈折したアウトレイジの世界ではこういう人は結局貧乏くじを引いてしまうのだ。・・・ええと、さやかちゃん。

「嶋&小野」
 木村が面倒見ている子分。まるで少年マガジンのヤンキー漫画の主役のような、地元では負け無しの喧嘩上等コンビって感じだが、やっぱりアウトレイジではそういうものを手放しに礼賛はしない。
 一見爽やかそうに見えるヤンキーの若者も、結局カタギの弱い者(工場の作業員やウエイトレス)いじめて恐喝しているだけじゃんって事実をかなりリアルに見せてくれる。こんな奴らに絡まれたくないよなあ・・・
 木村や大友を慕って犬のように付いてくるが、マル暴の繁田に蹴り一撃でやられた挙句、山王会のボディガード舟木に惨殺される。

「加藤」
 山王会の現会長。物静かで話のわからない人じゃない。しかし加藤会長には大きなアキレス腱があった。自分が前会長を裏切り殺したことを見た人間がいたのだ。
 普通ならそんな奴消しちゃえばいいんだろうけど、加藤はそいつに他の古参幹部が羨む好待遇をしてしまう。そこがこの人の転落人生の原因。

「石原」
 山王会もうひとりの裏切り者。裏切り者って結局内心は怖くて怖くてしょうがないんだろうな。自分がやったことをいつ自分がやられるかわからない。
 とんでもない若さで関東最大の暴力組織のナンバー2にまで上り詰めたけど、古参幹部になめられないように必死だった。頭はいいのだろうが、大友の影に怯えて冷静さを欠き、刑事片岡や花菱会の策略に踊らされてしまう。
 CMでも分かるようにバッティングセンターのピッチングマシーンでお仕置きされる。痛いんだろうな、あれ。

「舟木」
 加藤の命を取ろうと無謀にも殴り込んできた少年マガジンの主役みたいなヤンキーコンビをあっさり返り討ち。ヤクザの世界はヤンキー漫画のそれじゃなかった。
 だが大切な子分をなぶり殺しにされた木村と大友によって、前作を彷彿とさせる痛いことをされる。先代会長の死の真相を知る人物でもある。

「富田」
 山王会の古参幹部。金より仁義の古いタイプのヤクザで、友達の白山、五味と共に加藤&石原新体制の愚痴をこぼす。なんというかクラスの中に必ずいるB級女子のグループっぽかったwだから友達にいいように担ぎ上げられ落とされてしまう。
 この映画の世界観を説明するために最初に犠牲になった可哀想なキャラ。いわばマミさん!しかし中尾彬さんが最初に退場するとは予想できなかったなあ・・・

「白山&五味」
 兄弟の冨田を切り捨てたのは自分たちがのし上がるためでは決してない。臆病者の彼らは自己保身のために兄貴分を見殺しにした。
 完全に冷たくもなければ情に厚いわけでもない、やっぱり女子みたいなコンビ。こいつらが結局山王会の会長とナンバー2になるんだけど、その時点で新生山王会の前途は多難だ。

「布施」
 関西花菱会の会長。ひょうひょうとした性格で、うまくすっとぼけながら山王会を徐々に潰していく徳川家康ばりの狸じいさん。
 宣伝では山王会と花菱会は勢力が拮抗、もしくは山王会の方が力が大きいって感じだったけど圧倒的な実力差で山王会を撃破。最終的には傘下にしてしまった。
 干しぶどう食いながら「ま、てめえの子分を平気でハジくようなやつはハナから救いようがな一ちゅうこっちゃな」とぼやく通り、実は花菱会の結束はかなり強い。内ゲバをやっていたのは山王会だけだったんだよね。

「西野&中田」
 花菱会の極悪コンビ。超怖かったです。実はそんなに出てこない!(衝撃の事実)
 花菱会の大物幹部はよそ者に簡単に心を許すようなお人好しじゃない。そう考えると山王会の人たちってガードゆるすぎだよなあ・・・彼らにとってみれば羊とか鴨ネギの類に見えたのだろうか・・・

「城」
 無口な凄腕ヒットマン。日本一贅沢な高橋克典さんの使い方だと思うw

「繁田」
 マル暴の刑事。先輩片岡のやり方に疑念を抱く。「ヤクザは人間のクズだからな!」と言いながら本当のクズのようにヤクザをみすみす死なせたりはしない。
 …なんというか体育の先生みたいな人だったw変な作業着だかジャージみたいの着てるしw

「片岡」
 もうね、アウトレイジビヨンドはコイツの話だってくらい終始出ずっぱり。嘘の情報を片っ端から流しまくってヤクザを疑心暗鬼にさせガンガン同士討ちさせていく。片岡にしてみればヤクザなんてみんな馬鹿に見えてしょうがなかったんだろうな。
 この映画のチートキャラでありゲームマスター。全部こいつの計画通りに動いていき山王会はほぼ壊滅。最後の最後の最後まで片岡の思い通り。ラストシーンを除いて。そりゃいいかげんにしろってなるぜ(笑)

 というわけですっごい情報量の映画でした!何度か見れば「あ、あれがこれのフリになってたんだ!」とかいろいろ気づくと思う。片岡の「オレの生き様見てろよ」とかw
 でも『魔法少女まどか☆マギカ』と一緒でキャラクター性はかなり希薄。ヤクザの言葉で「鉄砲玉」っていうのがあるけどそんな感じで、本当にみんなチェスのコマだもんね。
 チャートでもノートに書いて、この迷宮のようなプロットに散りばめられた仕掛けを探していくと面白い発見があるかもです。

 て、たけしの挑戦状かバカヤロー!

起承転結の起承までが辛いわけ

 物語を作るとき起承転結の「起」「承」に部分がなんで難しいか、なんで下手をするとダレちゃうか、理由がわかった気がする。
 多分その次に「転」(展開の流れが変わる)があるじゃん。ってことは「承」まではいわばブラフ(ひっかけ)なんだよね。
 作っている方は次に「転」が来るのを分かっているから、その上で前半の話を膨らませなければならない。これは精神的になかなか熱くなりにくいよなあって。
 逆に伏線回収とか後先考えずに、勢い任せに話書いちゃう人の漫画の方が熱いのはそのためなんだろうな。書いている人も先の展開を知らないからw

 例えばハゲを気にしている人がいるとする。「起」「承」まではいいかつらを探して手に入れるまでの話になるんだよ。
 で「転」でそのかつらをなくしちゃって騒動が起こる。そして「結」でかつらなんかなくてもハゲはハゲとして生きた方がかっこいいことを悟る。
 そう考えると「起」「結」は伏線的に双子のような関係になってるんだけど(つまり「起」を決めた時点で「結」はほぼ確定する)、重要なポイントは「起」のテーゼと「結」のテーゼがある種真逆になっているということ。この落差が主人公の成長を描くということだと思う。

 つまり物語における「起」「承」はいかに読者をミスリードできるかがポイントで、ピクサーのメソッドにもあるように、だいたい主人公はここで間違った選択をやっちゃう。
 で、書いている方としてはどうせそれは違うんだって知ってるからなかなか乗りづらいんだよね。それが起承転結で起承までが難しいというか耐えなきゃいけない理由なんじゃないかと。

 じゃあ自分の話はどうなんだろう?ということで『80日間宇宙一周』シリーズで考えてみよう。物語を作るときは私は最初に「起」と「結」から考える。こんな感じに。

「起」ミグ:国家のために自分の人生を諦める
「結」ミグ:自分の良心のままに自由に生きる。もう諦めない。

 実際はここまで極端じゃないけど構造としてはこれくらい落差付けたほうがいいかも。

「承」自由なライトが現れて今までの生活が一変する。調子が狂うミグ。でもライトの生き方を否定し続け軍の命令に従う。

 ほら、この「承」の部分って物語の構造上は重要なんだけど、けっこう精神的にきつい部分なんだよね。だってこれが全部「転」で覆るんだから。ミグ目を覚ませ!みたいなw
 だから人によってはアクション、私ならギャグをやって間を持たせちゃう。なんとかして退屈にならないようにするのが大変。

「転」ミグがライトのエンジンを盗んだことで自分の星でクーデターが起こってしまう。

 あ~あ・・・言わんこっちゃない。でも、ここまでいくともうあとはラストまで一直線。なぜならここまでいけば主人公の行動に強い説得力と動機ができるから。なんとかしなきゃ!っていう。

「結」自分の良心のままに自由に生きる。もう諦めない。

 ほら戻ってきた。めでたしめでたし、と。でもこんな感じで構造だけ見ると単純なんだけど、この骨格に筋肉や皮膚を付けるわけで、最終的に情報量は膨大かつ複雑になりがち。
 で「骨曲がってきてないかな?」っていちいち確認しながら完成させていくわけで、やっぱこれは難しいよな・・・もっと上手くなりたいもん。

 読む人は外側から見える皮膚しか見ないけど、本当はその下には筋肉や骨格があるからね。とはいえ女の頭蓋骨なんか見てても別に萌えないもんねw
 でも作り手はその頭蓋骨とどれだけ対峙できるかが重要なんじゃないのかな。恐竜の復元画書くのと一緒でさ。

『遺書』と当事者意識について

 原稿用紙にして1000枚以上という岡田斗司夫さんの超大作。すごい読み応え。最初に一言言いたい。

 買うんじゃなかった。

 普通面白い本って「買ってよかった!」じゃん。オレ初めてだよ、面白くて「読むんじゃなかった」って思った本。それくらい衝撃的な本。
 もうここ数日この『遺書』ショックがすごくて、なんか放心状態。ノイローゼなのかうつなのか。とにかくちょっと創作とは距離を置きたいなあってかんじ。
 具体的になにかを悩んでいる状態じゃないんだよ。悩んでいるっていうのは解決法を見つけようとして苦しんでいる状態じゃん。そういうんじゃないんだよ。
 例えばちょっと前に萌えがわかんねえとか言って悩んでたじゃん。あと絵がうまく書けねえ、ノイローゼだって。そういうものと今のこれは違うんだよ。

 すごい事件や事故が起こって茫然自失している感じというか。本当読むんじゃなかった。私はこれを受け入れて生きていかなければいけないのか、みたいな。
 みんなこれ買っちゃダメだよw特にアニメーター志望。危険だっ!アニメーターをやめさせる本だと思えばワナビキラーみたいに使えるかもしれないけれど。
 でもなんだろ、組織って大変だな、とかそういうありきたりな大人の世界の話じゃないんだよ。言語化できないけど、なんだろ、そう、その「言語化できない」歯がゆさみたいなのがドーンときたんだ。
 重いんだよ、この本。いや物理的にも本当に鈍器になりそうな重い本なんだけど。

 なんか一晩中かけてこの分厚い本を読んで、そのあと明け方いくらかつぶやいているんだけど、ちょっと拾ってみるね。当時の心境を。

 岡田斗司夫さんの『遺言』に書かれているボツネタがとんでもなく天才的なアイディアなんだけど、壮大かつ哲学的でたぶん映像化できない・・・これどうト書き脚本にするんだ、みたいな。

 山賀(博之=ガイナックスの現社長)さんもそうだけど発想力がすごくて、でもある程度コンパイルしなきゃ見た人に伝わらないんじゃないかな、とか。「わけわかんねえよ」って言われちゃいそうな。かといってわかりやすく説明しすぎちゃうと違うものに変わりそうで・・・

 例えば『魔法少女まどか☆マギカ』の設定やアイディアにすっごい似ていて、さらにすさまじいアイディアが書かれてたりするんだけど、あのアニメに感動した!っていう人実はドラマ部分やキャラにだけ興味が行っちゃってるじゃん。
 もうちょい哲学的とか構造的にも取れるよってユーストリームでやったけど、多分そこはみんな興味がなくて。

 そう考えれば「今まどか☆マギカってアニメが大ヒットですよ!」って言われた岡田さんが、あのアニメを実際に見たら、やっぱりあんなリアクションになるよなあと。失笑というか。はいはいずっと昔に考えてましたよ、みたいな。

 とにかくとんでもない分量の本で分かるところから飛ばし飛ばし読んだんだけど、まあ岡田さんの発想力の凄さ。いや発想力は山賀さんか。岡田さんのロジック構築力みたいなのがすごい。で庵野さんのキャラの情感でやっちゃうところを認めながらも、もっとなんとかならないかなっていうのもわかるw

 ナディアの没ラストすごいいいんだけどね。でもどれだけ伝わるのかなっていう。みんなは「キャラ」を見ているわけで「科学とはどういった意味合いのものか?」なんて考えてみてはいないからね。いや見てる人もいるだろうが、そう言う人はナディアじゃなくてもっと別の本読んでるよね。


 とにかくね、岡田斗司夫という人がタダものじゃないことは情報でいろいろ知ってたんだけど、その10倍くらいすごかったっていうね。
 ああ、今までの番組や書籍は頭の悪いオレたちにレベルに合わせてやってくれてたんだ、みたいな。本当はもっと新しいこと、面白いことをたくさん知っているんだけど、受け手もそのレベルに達してないし、なにしろそれを記述する術がこの世にはないというせつなさ、ね。

 ブッダとかと一緒で宇宙の真理に悟りの境地でたどり着いても、それを他者に伝えるものを持ち合わせてないというね。たけしさんでもなんでも天才って案外そうなっちゃってるんじゃないのかな。天才なりの孤独。
 それに苦しんだりあがいたりして作家は行間に魂を込めて、読者はその行間に込められた煩雑で何やらよくわかんないけど凄げなものを感じたわけだ。
 単純な言語コードのキャッチボール以上のこと。それが文学だったのかもしれない。

 でもオレらってバカで忍耐力ないから、ちょっとわからないと「わかんねえ」って投げて、オレたちに分からないのは作家が下手だからってやっちゃう。何様だって話なんだけど。
 まあそれを作家側は絶対言っちゃダメなんだけど、これは政治の話でもそうだが、受け手側の当事者意識のなさが最近すごい嫌なんだ。
 なんというか自分だけ神様にでもなったような感じで。

 そういうのは人間なら多少あるっていうのは昔から知ってたけれど、ショックなのは大人を老害とかクズとか言ってるのがいい年した大人だっていうね。
 お前も大人じゃねえかって。すごいよね。ブーメランというか。よくここまで自分だけチートに棚上げできるよって感心する。全て大人のせいなんだ!っておめえも大人だろ。だったらお前がまず反省しろよって。
 こういう人って絶対年取ったら怒りの矛先が下に行くから(上が死んでもういないから)、あんだけ叩いて嫌った「老害」に自分も昇格しちゃうんだよ。魔法少女が魔女になるのと一緒だよね。

 だいたい老害って頭の悪い言葉で片付けちゃう人と議論なんて成り立つのかいっていうのもあるしね。「キモイ」「ウザイ」としか返せないギャルと同レベルだろ、最低限の礼儀があるだろって。
 お酒が入って居酒屋で友達としゃべるならいいんだけどね。でも初対面のやつに「知ってる?あいつ馬鹿なんだ」って言ってくる心理ってなんなんだ。親切心なんかね。知らないよって。

 まあある程度自分を棚上げしないと欝になったりするし、厳しい社会でやっていけないのかもしれないけれどね。
 個人的な事情を聞いてやれば「ああ、悪口の一つも言いたくなるよ」って同情すると思うんだけど、匿名でみんなやってるからそういった文脈で情状酌量ができない。
 でも仕方ないよね。匿名でやってる以上当たり障りのない一般論でしかやり取りできないし。私は仮に匿名でも人格とか人となりを見せてくれる人と関わっていきたいんだ。情報収集のためだけにみんなSNSをやっているわけじゃないだろう。
 それに暴言って言った時点で「言われている奴」がいるからね。その言われた奴がまた暴言吐くんだろうね。ウランの核反応みたいに。そう考えると政治家とか芸能人ってすごいよね。言い返さないもんね。制御棒だよな。

 あれ話逸れちゃった。とにかくみんな子供っぽいよねっていう。で、この当事者意識のなさって民主主義だとやばくない?って。最近本気で怖いんだよな、大丈夫なのかこの世界って。
 こういう社会的な問題を昔から私は漫画にささやかに組み込んで、わかる人にだけわかって欲しいってやってたんだけど、それには理由があって、まあ、直接的に言ったって私が斜に構えた嫌な奴になっちゃうじゃん。
 それこそお前も当事者だろこのやろうって。あと活字は読んでくれないけど漫画にすると読んでくれるんだなっていうのが中学生で分かったから。

 で、世の中にはそんな斜に構えたシニシストがこんないるんだと、しかもみんな自分だけには関係ないと思っていて「愚かな民衆どもよ・・・」って言ってる。
 これはすごいよなあって。でもこんなの漫画のネタになんないよって。笑えないって。情けないしなんか読んで嫌な気分になるし。
 10代だったらこれできるんだよ。自分も世の中をからかってやろう皮肉ってやろうっていうのがモチベーションになってたから。
 
 だから19歳で作った『ソニックブレイド』はやっぱりオレ当事者意識ないなあって。イラク戦争なんてやってたって、小泉構造改革ってやってたって関係ないなあって。いや関係大アリなんだけど。
 イラク戦争、ハイハイネオコンね、石油利権ね。小泉改革、ハイハイあんなのただのお祭りだよ、そのうち世の中めちゃくちゃになるぞって。なんかわかった気になっていた。
 多分その予想そのものは合ってはいたんだろうけれど、あの時の大きな間違いは、てめえの社会でもあるだろって視点。漫画のネタを提供してるためだけに世界があるわけねえぞって。
 作家ならいいと思うんだよ。ある種世の中のことをメタ的にみなきゃ世の中のことなんて描けないんだから。研究者もそうか。
 でもそんなスタンスってなんかやっぱり子供じみてるなあって。

 だから世の中からかっているだけの話もうきついなあって。『ソニックブレイド』よりも最近『80日間宇宙一周』の方が好きなのは、もちろんマロさんの影響もあるんだけど、ソニブレってオチが意地悪で新しい気はするけど、あんまり希望がないんだ。希望やってるのに希望に思えないという。こんなひねくれたものもう自分にはやれないなあって。
 
 なんで読んで変な気持ならなきゃいけねえんだって。『スマイルプリキュア』じゃないけどベタでもいいからみんなが明日ポジティブに頑張れるような前向きなテーマがあったほうがいいよね。
 オレもそういう人間賛歌じゃないけど読んだ人が元気になるようなものをやりたいもん。これまで以上に。
 例えば怪盗グルーのミニオンがただバナナを奪い合っているだけのアニメがあるんだけど、これってすげえなあって。それだけのためにこんなテクノロジーと手間かけて作ってんだって。
 やってること小学二年生だからねwでもやっぱりくだらねえって笑っちゃうんだよな。その時だけは幸せなんだよ。それだけでいいじゃないかって、今はそう思う。

 あと『遺言』で『オタクはすでに死んでいる』の真意みたいなのが最後に書いてあって、なるほど、と。宮崎事件が起こったときの話なんだけど、やっぱりオタキングはあれを自分とは別の世界の人間の犯行とはどうしても思えなかったって。
 あいつと自分たちって何が違うんだろう。紙一重なんじゃないかっていう。

 オタクって基本的に弱虫でずるいから責任論とかに巻き込まれるのが嫌で逃げちゃうんだけど、やっぱこの人はすごいなあって。あいつも仲間だよって。あいつが幼い子を殺しちゃったのはオレたちの問題でもあるって考えちゃうんだ。
 でアニメもう作れないやってやめちゃうんだけど。でもそれくらいオタクという民族を好きだし愛しているんだなあって。トカゲの尻尾切りはしないぞって。

 よく言うオタクを卒業しろとかダメだとか、かといってオタク的な生き方が正しいとかじゃなくて、どうせオタクなんて生まれた時点で背負わされた十字架みたいなもんだから心の中のオタクとどう共存していくかっていうね。
 心の中のオタクと社会との折り合いのつけ方。そして作り手の責任論みたいなのが後半繰り返し語られる。
 もう表現の自由だ、アナーキーなんだってやる社会や時代じゃなくなっちゃったよっていう。それが言えたのは一昔前、民主主義が大きな圧力として機能した前世紀までの文学だという。
 筒井康隆は自分の作品に影響で殺人事件が起きたとき「それが文学だ」くらいのこと言ったらしいが、それは一部の大物作家だけがとる態度であって、ほとんどのクリエイターがそんな無責任なこと言っちゃいけないよ、と。

 でも本当この人って口がお上手で「世界は複雑すぎて一個人には到底把握できない。ならそれがたとえ作り物でも、偽物でも、ぼくらは「物語」を作って生きていかなければいけない」・・・そう言われちゃったらもうみんな多かれ少なかれオタク心はもってんじゃないのかっていうね。この説得力ね!本当すごいよ。
 もう自分でも何タイプしているかわからないよ。あれだ、すごいカロリーの高いもの一度に食っちゃったんだよ、オレ。で消化中なのかもしれない。どうやってこのショックを消化していくか。きっと時間が解決してくれる他ないと思う。
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