『80日間宇宙一周 Sea of hope』登場人物

 マロさんに触発されて3年ぶりに『80日間宇宙一周』のその後を描いて、なんかせっかくのお盆休み、まとまった時間をとれるチャンスに唐突に書きたくなってしまった続編。
 お盆休みのラストの2日を丸々使って一気に書き上げたので、もうフラフラでした。昨日なんて本当に20時間以上ず~~~っとキーボード打ってた。長くなっちゃってw

 今回の舞台は星のほとんどが海の星、海王星。前作で巨大隕石が衝突したという設定を作ってしまった惑星です(こうやって設定をやたら増やすと後々のストーリー展開が制限されちゃって苦しくなるのでみんな注意な!)

 この設定はもちろん311の前に考えたんだけど、不思議と現実とシンクロしてしまって、さすがに津波描写だけは自粛しました。これに似た例は原子力発電所がメルトダウンの危機になるソニックブレイドが挙げられる。

 さてマロさんの言うように、海王星は「ミグの過去とは切っても切れない星」で、そこから第二弾のテーマは「辛い過去とどう向き合うか」にしました。ちなみに一作目のテーマは「諦めない」だったんですが・・・

 あとあまり重く、暗い雰囲気になりすぎないようにしたのですが、前作に比べて今度の海王星はよりシビアな状況なので、コメディ漫画としてなかなか難しかったなあ。・・・てコメディ漫画だったのか、これ。

 というわけでツイッターでもつぶやいたのですが、ここでは登場人物の紹介を。


ミグ・チオルコフスキー
冥王星の由緒正しい軍人。生真面目。所ジョージを敬愛。

ライト
ミグの相棒の冒険家。楽天的な性格。空飛ぶばかやろう。

ルヴェリエ王子
12歳の美少年。ナイアド女王が最後に生んだ子で、大人顔負けの教養を有する。王室のがんじがらめな生活に嫌気がさし、自分ひとりでなにかできないかと悩んでいた時に・・・

ナイアド女王
海王国の女王。かつては力強い為政者だったが、老いた今では政治の実権はアダムス卿に任せている。

アラゴ皇太子
ナイアド女王の嫡男。海王星に隕石が降ってきた時のトラウマでひねくれてしまう。得意技は屁理屈。冥王星人が大嫌い。

デスピナ
ナイアド女王の娘。夫ともどもバカ夫婦でイチャイチャしてて政治家としての素質がない。

アダムス卿
海王国の首相。災害によって壊滅状態になった海王星を20年間でなんとか立て直した人物。

近衛隊:リベルテ隊、エガリテ隊、フラテルニテ隊、クラージュ隊
騎士道精神を重んじる優秀な兵士だったが腐った王室に嫌気が差し仕事は程ほどに手を抜いている。

宇宙海賊ロジャー
宇宙をまたにかける海賊の船長。一見豪放だが、実は臆病で小心者なところもある。隕石とワニが怖い。

ママ
海上キャラバンでレストラン喫茶を経営するママ。ライトのことが好き。ちなみにオカマ。

ナッシュ・ストライカー軍曹
緋色の旅団。冥王星の退役軍人。かつてのミグの訓練教官でありミグの両親の同僚だった。

ピカール博士
冥王星で最も優秀な頭脳を持つ科学者。ノーチラス号の開発責任者であり、非情で冷徹な性格。

青ひげ
伝説の大海賊。宇宙海賊のシンジケート全てを取りまとめる恐るべき男。

リンドバーグ号
ライトたちが乗る宇宙最速の小型宇宙船。星間ラムジェットエンジンという新型エンジンが搭載されている。

ノーチラス号
冥王星の艦隊を一撃で倒した宇宙最強の機動戦艦。もともとは冥王星軍の新兵器だったが、地球滅亡を企むテロリスト「緋色の旅団」に乗っ取られる。

クラーケン号
宇宙海賊ロジャーの巨大母艦。空母のようになっており、船内にたくさんの戦闘機を格納できる。
ミサイルや大砲の他、宇宙船捕獲用の巨大な電磁石やアーム、ワイヤーランチャーなどが装備されている。

クロックダイル・グリニッジエンシス
和名は「カイオウトケイワニ」。海王星の生態ピラミッドの頂点にいる獰猛な動物。
威嚇時に等間隔の時計のような鳴き声を出す。

『80日間宇宙一周』のその後

 昨日の深夜・・・というかもう朝方だったんですが、ツイッターでマロさんと『80日間宇宙一周』の話をしていて、なんか作った私よりもキャラクターの細かいところを掴んでいて「いっそマロさんがあの続きの話を書かれてはどうですか?」と半分冗談でつぶやいたら、なんと本当に『80日間宇宙一周』の短編小説を書いてくださいました!

 で、それが嬉しくて、さっきまでその小説に基づいて漫画を描いていたのですが、やはり小説を視覚化するのはなかなか難しくて、たった3枚のネームを描くのに2時間以上かかりました。
 例えば小説は、キャラの内面や状況説明を文章で丁寧に説明しますが、これは漫画やアニメだと絵で見せるわけです。
 私が思うに小説においての「状況説明」というのは物語の舞台や、登場人物が今何をしているかだけではなく、キャラのバックボーンも含まれるので、かなり緻密な設定を要求されるのでは、と思います。
  
 でも漫画やアニメや映画ってそこを強調するとどうしても画に動きがなくなって冗長になってしまう。
 私も登場人物同士の会話劇って結構好きで漫画でもそれをやっちゃうのですが、あまりにやりすぎると読んでいる人が退屈になってしまう。
 だからキャラの表情や仕草、カメラアングルでごまかすんですが、それを考えるのがなかなか難しい。引き出しがあればあったでそれを選択するのに時間がかかるんですよね。

 しかしマロさんは二次創作をメインにやられているだけあって、なんというか原典(一時資料?)を最大限踏まえた、まさに二次創作の原点をやってくれますよね。
 ポール・バーホーベン監督なんて『宇宙の戦士』の原作読まずに好き勝手に映画版撮っちゃったのにw
 これは恐竜のイラストを描くとき、自分の好き勝手に描かないで、極力一時資料である化石や論文に忠実に描くのと似ているような気がします。
 とにかく、そのおかげでキャラのイメージがそこまで自分が思い描いたものと異ならず、違和感なく漫画にすることができました。
 
 ツイッターでもつぶやいたんですがこのスピンオフ短編って「古畑任三郎」における「今泉慎太郎」みたくて結構好きです。なんか2話目から自分で話考えてシリーズ化しようかなあw
 毎回ミグとライトが宇宙船でなんかやりとりをしている・・・ただそれだけのお話。私が思うに宇宙船の生活って結構退屈だと思うんですよ。宇宙ってなんもないしさw

 漫画版は置く場所がなかったのでとりあえず暫定的にサイトのトップページに、原作となった短編小説はマロさんのブログのほうで読むことができます!

西洋美術史覚え書き②

 今日はルネサンスから19世紀の美術まで。

ルネサンス前期(14世紀)
・ドナテルロ:ガッタメラータ騎馬像
・マザッチオ:楽園追放
・ボッティチェリ:ビーナスの誕生、春

ルネサンス盛期(15世紀末)
作家が自己の才能に意識的になる。作家性の表現。職人から芸術家へ。

・ダビンチ:最後の晩餐、モナリザ
悪魔の左手を持つ万能の天才。師匠のベロッキオはダビンチの才能にショックを受けて二度と絵筆を握らなかったという。しかし非常に筆が遅く、パトロンも呆れるほどの完璧主義者だった(作品の多くが未完成)。
また、実験が大好きだった彼は、発明家、自然科学者としても精力的に活動していた。持ち運びができる折りたたみ式の橋や、戦車やヘリコプター、パラシュート、進化論、地質学など時代を先取りしすぎてしまった研究も多い。一番笑った論文は(実験台の人を)『飛行実験に踏み切らせるための説得』

・ミケランジェロ:ダビデ像、天地創造、システィーナ礼拝堂天井画、最後の審判
ダビンチのライバル。専門は彫刻だが、その圧倒的な人体表現(ムキムキ)は絵画の名作も生んだ。
彼は誇り高き天才で、ローマ教皇ともガチで喧嘩するとんでもない人だった。
また、晩年になってもモチベーションと実力が全く衰えず、亡くなる6日前まで彫刻を制作していた。

・ラファエロ:びわのマドンナ、システィーナのマドンナ、アテネの学堂
ダビンチの『モナリザ』に感動し、彼に近づこうと努力したが挫折。独自の優しい作風の絵画を描き、最終的にルネサンス期の三巨匠の中で最も規範とされる作家となった。
謙虚な彼はモテモテのリア充だったが37歳という若さでこの世を去った。

北方ルネサンス(16世紀前期)
・ファン・エイク兄弟:画家の妻、アルノルフィーニ夫妻の肖像
顔料を亜麻仁油(リンシードオイル)に溶かし何度も重ね塗りができるようにして、ダビンチですら使いこなせなかった油絵の技法を完成させた。

・デューラー:兎、四人の聖者
もともとドイツで人気のあった版画家だったが、自分の表現を追求するためにイタリア(ベネチア)に留学し、ゴシック感あふれる北方ルネサンスにルネサンス的表現を持ち込んだ。
ドイツの芸術は、結局宗教改革のごたごたで停滞してしまうが、デューラーはそれを戒めるかのように4人の使徒(ヨハネ、ペテロ、パウロ、マルコ)を描いている。また、当時としては異例な自己主張の強い自画像を残している。

・ブリューゲル:農家の結婚、雪中の猟師、バベルの塔、子供の遊び
・ホルベイン:死の舞踏(版画)

マニエリスム
ルネサンスからバロックに移り変わる過程で生まれた絵画の表現形式。洗練された技巧、曲線の多用、複雑な構成、異常なプロポーション、非現実的な色調が特徴。
しかし17世紀に入ると、巨匠の技法の模倣と否定的なニュアンスで言われるようになる。
・エル・グレコ:聖アンデレと聖フランチェスコ

バロック美術(16世紀末~18世紀初頭)
バロックとは「歪んだ真珠」を意味する(らしい)。規範からの逸脱。
絶対王政が確立したヨーロッパで普及。教会堂建築を中心に栄える。
ルネサンスで重視された均衡や秩序、芸術の理想よりもリアリズムに傾倒し、より現実的な宗教画が描かれ、風景画や風俗画といった現実に密着したジャンルが独立する。
ダイナミックな構図、強い色彩、コントラスト(光の効果)、曲線や激しい動きによる躍動感にあふれた感情移入しやすい表現が特徴。
これは偶像崇拝を禁じるプロテスタントに対抗するためのカトリックの戦略だった(対抗宗教改革)。

・カラヴァッジョ(イタリア):バロック絵画の先駆者と言われる。
・ベルニーニ:バロック期の建築と彫刻の頂点に君臨した空間プロデューサー。ローマの広場や噴水は彼の作品で溢れている。聖テレサの法悦。

・ルーベンス(フランドル):実はドイツ生まれ。画家であり法律家でもあった父に学問を教わる。多忙な売れっ子作家(&腕利き外交官)だったが、神や家庭や弟子も大切にする人格者だった。ルーベンスは大量の発注をさばくために友人の画家と合作したり、才能のある弟子に複製を描かせ、生涯で1500~3000点もの作品を残した。
ちなみに若かりし頃、北イタリアの使者としてスペイン国王に絵画を届ける際、雨でその絵画がダメになってしまい、代わりの絵画を急遽描いて持っていったところむしろ大絶賛され、その後、スペインだけでなくフランスやイギリスの王室からもオファーが殺到することになった。
晩年は政治の世界から離れて、田舎に引越し優しい家族と好きな絵を描いて暮らした。
代表作は『マリー・ド・メディシスの生涯』『パリスの審判』

・レンブラント(オランダ):夜警
オランダの豊かな製粉業者の家に生まれる。大学を中退し画家の道へ進む。当時のオランダは家に風景画や肖像画を飾る習慣があったため、画家は大勢いたが、その反面競争は激しかった。
しかしスペインからの(南部)独立を望むオランダが、スペインの依頼を受けるルーベンスではなくレンブラントに絵画をオファーしたことから一躍有名になり、レンブラントの工房はオランダ最大と言われるようになった。
しかし私生活では信じられないほど不幸が続き、実の子どもを幼いうちに三人もなくしており、病弱な奥さんも早死してしまった。その後、気性の激しい家政婦に結婚詐欺と訴えられ、莫大な借金を抱え、最初の奥さんの遺産や家や美術品を手放すことになる。
都会に嫌気が差したレンブラントは、次に雇った優しい家政婦とともに田舎に引っ越すものの、その家政婦も病気で死んでしまう。不幸は更に続き、最初の奥さんの子どもで唯一生きていた息子が結婚直後に亡くなり、レンブラント自身もその半年後に死んでしまった。
ちなみに、代表作の『夜警』は誤ったタイトルで、もともとは『フランスバニングコック隊長の市民隊』が正式な題名だった。これは完成時は明るい絵だったのだが、塗料の重ね塗りによって画面が暗くなってしまったため。

・フェルメール(オランダ):真珠の耳飾りの女
謎の多い画家。作品数もかなり少ない(30点くらい)。
フェルメールブルーという青を好み、ラピスラズリなどの高価な顔料を贅沢に使ったため、生活は苦しかったという。ソフトフォーカスのような表現はカメラオブスキュラを用いたと言われている。

・ベルサイユ宮殿(バロック建築の代表作)
・ベラスケス(スペイン):ラス・メニアス、騎馬のドン・カルロス、王女と侍女たち

・ゴヤ:(スペイン)ベラスケスと双璧をなすスペイン最大の宮廷画家。人間の偉大さだけではなく、そのダークサイド(愚かしさ、残酷さ、狂気)もありのままに追求しようとしたため精神的にかなり不安定になり、聴力を失い、恐ろしい幻覚に悩まされたという。
ナポレオンによるスペイン侵攻を象徴しているとも言われる『巨人』や、『我が子を喰らうクロノス』といった黒い絵が有名だが、その一方で『裸のマハ』という官能的(すぎて裁判を起こされた)作品も描いている。

ロココ美術(18世紀~)
フランスから始まった美術様式。ロココとは「岩」の意味。植物の蔦のような複雑な曲線からなる装飾。ただバロックと明確な境界はないと考える人もいる。どうすんだ。
ただ、バロックに比べて少女漫画ちっくというか・・・エロい。
ちなみに、この時期にサロン(王立アカデミー主催の展覧会)が生まれる。一般人が絵画を楽しめる唯一の場となったサロンは芸術家とパトロンの関係だけではなく、評論家、画商が美術のあり方を変えた。美術市場の流動化がはじまったのだ。

ロココ時代の作家が必ずしもロココ調の作品を制作していたわけではない。
・ラ・トゥール(フランス):ポンパドゥール夫人の肖像画
・シャルダン(フランス):ロココ調の甘美で装飾的な画風ではなく素朴で穏やかな静物画などで知られる。食卓の祈り
・フラゴナール:ぶらんこ
・ティエポロ(イタリア):18世紀、ルネサンスを締めくくるイタリア最大の巨匠。ロレートの聖家の奇蹟
・ホガース(イギリス)風刺画の父。人気のあった自身の漫画(連作絵画)を版画にして大量に販売した。またあまりの人気に海賊版が出たときは司法に訴え、議会で著作権法を世界で初めて認めさせた。

19世紀の美術

古典主義
享楽的だったロココの反動(とイタリアのポンペイの発掘)で古代美術の簡素で壮大な表現に憧れた。
特に、ギリシャ、ルネサンス、なかでもラファエロを規範としている。

・ダビッド:ホラティウスの誓い、サン・ベルナール峠を超えるナポレオン
フランス近代絵画の礎を築いたと言われる。市民革命に古代ローマ市民の勇猛さを見て、革命派の偉業を絵に残した。しかしジャコバン派の独裁政治に対してクーデターが起きると、ロベスピエールの友人ということでダビッドも裁判にかけられて幽閉された。その後、政権を取ったナポレオンが古代の歴史や文化を愛していたために重用される。
ちなみに彼は38歳でやっとアカデミーのローマ賞をとっている。この遅咲きの人生が既存の権威への反発や革命精神を育んだのかもしれない。実際彼はジャコバンクラブの議長時代に旧態依然のアカデミーを廃止している。

・アングル:女性の背中フェチ。ダビッド(新古典主義)の継承者。趣味のバイオリンはプロ並みの腕前だった。オダリスク

ロマン主義(1780年~1830年)
古典主義が軽視していた、神秘的なもの、オリエンタリズム、夢などが題材に好まれた。また教条主義によって抑圧されていた個人の感情も表現された。
・ジェリコー(フランス):エプソムの競馬(ウマがフワフワ浮いてる)。馬が大好きで、落馬事故で早死したが、友人のドラクロアなどに影響を与える。

・ドラクロア(フランス):民衆を率いる自由の女神、アルジェの女たち
父親はナポレオンに使えていた外交官(フランス革命の大物タレーランなんじゃないかという説もある)。「フランスの偉大なパレット」とのちにセザンヌに称えられたドラクロワは、当時の画家の登竜門のイタリアにいかず、パリのルーブル美術館で絵の勉強をした。
自由主義に共感し、衝撃的な事件や物語を題材にした彼の絵は、アカデミーになかなか評価されなかったが、ライバルのアングルや文豪のゲーテ、批評家のボードレールはドラクロアの実力を認めていた。ちなみに文学や音楽にも造形があったドラクロアはショパンとも親交があった。
もともと体が弱かったドラクロアは喉頭炎で65歳で亡くなった。待望のアカデミー会員に選ばれた6年後だった。

アカデミック美術
古典主義(アングル)VSロマン主義(ドラクロア)の折り合いをつけたために折衷主義とも言われ、哲学者ヘーゲルの影響を受けている。
言うまでもなく権威主義的で、画家の卵は美術学校で厳しい訓練に明け暮れた。しかしこの教科書的なガチガチの美術教育が、後の芸術家にとっていい反動をつけた。
・ブグロー:とにかく美少女の肌の表現が神がかっている。

自然主義
ロマン主義を引き継いだ。テーゼは結構似てる。フランスではバルビゾン村に暮らして絵を描く画家たち、バルビゾン派が発生。
・ミレー:落穂ひろい
・ターナー:カルタゴ、帆をあげるウィルキイ号、雨・蒸気・スピード
・コロー:印象派の橋渡しをした画家。マントの橋、真珠の女、マンドリンを持つ女

写実主義
ブルジョワ支配に対する不満。支配者や労働者、農民をありのままに描く。
画家の主観や理想を極力排除。これは絵にはテーマが必須という当時の常識を覆すラディカルな試みだった。これは印象派にも受け継がれていく。
・ドーミエ:風刺版画家として知られる。クリスバンとカスバン、三等列車
・クールベ:パリ万博に落とされた腹いせに世界で初めて個展を開く。この個展はほとんど客が来なかったが、ある時ドラクロワがこっそりやってきて傑作と評価している。集団肖像画、風景画、官能的な女性画などレパートリーが広い。パリコミューンにも参加し、結果的に国を追われることに。ノルマンディーの海岸、波

ラファエル前派(19世紀中期)
当時のアカデミズムでは画家になるならラファエロなどの古典主義の巨匠を勉強するのが常識だったが、それに反発し、中世などルネサンス以前の芸術も規範としたイギリス(リバプール)の一派。
ありのままの自然を描くというジョン・ラスキンの思想が潮流となっている。
アカデミズム対抗したとは言え、緻密な描写はアカデミズム絵画の影響が強く、個人的にはアカデミズム+ロココ+ロマンって感じがする。それもそのはず、ラファエル前派はあまり一貫した芸術運動じゃなかったので、長続きもしなかった。
・ロセッティ
・ハント
・ミレイ:オフィーリア

印象派(19世紀後半~)
絵の具が持ち運びできるようになり、写生やスケッチを野外で出来るようになった。自然の印象を光の表現を巧みに用いることで描き出す。筆触分割によって絵の具が混ざらず、そのため画面が全体的に明るい。

・モネ:印象日の出、睡蓮
子どもの頃は授業中によく漫画を描いていて、そのイラストが若い頃には売れていたが、印象主義の絵画は長いあいだ全く評価されず、貧困生活に絶望して川に身投げ自殺を図ったこともあった(しかし無傷)。
1876年から始まった印象派展(無名芸術家協会展)は8年後の第7回目でやっと評価された。しかし、その頃には印象派のメンバーは内部分裂をしていて、第8回印象派展のメンバーは後に新印象派や象徴主義と呼ばれるスーラ、シニャック、ルドンなどが加わり、大きく変わっていた。

・マネ:草上の昼食
・ルノワール:ムーラン・ド・ラ・ギャレット
・ドガ:踊り子

新印象派(19世紀末~20世紀初頭)
・スーラ:筆触分割の解像度を上げ点描に発展。グランド・ジャット島の日曜日の午後
・シニャック:サン=トロペの港

後期印象派(1880年代)
芸術界に個人主義的な風潮が生まれ、それを批判したグループなので画風の共通性はない。その後フォービスムへ展開。
・セザンヌ:近代絵画の父。自然と幾何学の立体として捉える。この思想が後にキュビスムに。サント・ヴィクトワール山、カード遊びをする人々、リンゴとオレンジのある静物
・ゴーギャン:ゴッホと一時期暮らしていたがどっちも個性が強くてダメだった。タヒチの女
・ゴッホ:絵に自分の感情をのせて描く。大胆な色使い。今でこそ著名な画家だが生前はたった一枚しか作品が売れず(『赤いぶどう畑』が10万円ほどで売れた)、深刻なノイローゼに悩まされて、最終的にピストルで自殺した(他殺説がある)。
自画像、ひまわり、アルルの跳ね橋

ナビ派(19世紀末)
ゴーギャンの教えを受けたポール・セリュジュがリアルには存在しないような色彩で描いたのがきっかけ。20世紀の絵画表現の多様化を予言したような一派。
・ボナール(日本の浮世絵の影響を受ける。ジャポニスム)

西洋美術史覚え書き①

 一度に覚えられないんで、今回はルネサンス以前の美術史にしぼってみました。

有史以前
ストーンヘンジ
ラスコー洞窟画

メソポタミア美術
メソポタミア文明は人類最古の文明と言われる。地理的には現代のイラクで、北がアッシリア、南がバビロン(北:アッカド、南:シュメール)様々な国ができては滅んだ。
・楔形文字
・有翼人面牡牛蔵(アッシリア)
・ダレイオス王の謁見の浮き彫り(アケメネス朝ペルシャ)

エジプト美術(紀元前3500年~)
・ピラミッドや浮き彫り
・ツタンカーメンの黄金のマスク

クレタ美術(~紀元前1700年)
クレタ島に栄えたミノア文明の芸術。青銅器。
徹底した自然主義。開放的な建築物。
・クノッソス宮殿

ミュケナイ美術(紀元前1450~紀元前1150
ギリシャにあったミケーネ文明の美術。自由だったクレタの建築に比べて閉鎖的かつ形式主義的に。
・獅子の門
・アガメムノンのマスク(シュリーマンが発見)

ギリシャ美術
①アルカイック朝(紀元前700~)

左足を前に出し体重を両足に均等にかけ、気をつけをしている青年の裸の立像(クーロス=「青年」の意)が作られた。静的なシンメトリカルな彫刻の姿勢はエジプト美術の影響。服のシワが直線的。
・青年像
・少女像

②クラシック朝(紀元前450~)
・パルテノン神殿
・ヘルメス像
アルカイック朝よりも動きのあるポーズ(コントラポスト)の彫刻が作られる。体重を支える支脚と遊脚が区別され、体中線がカーブを描く。

③ヘレニスティック朝(紀元前300~)
美術が大衆化し、古典主義の伝統が途絶える。
・瀕死のガリア人(うなだれている青年)
・ラオコーン(ヘビに噛まれている奴)
・ミロのヴィーナス
・円盤投げ
人間の躍動感や生命感の表現に挑戦。

エトルスク美術(紀元前8~1世紀)
イタリア半島にあったエトルリアは古代ギリシャと同時期にあった都市国家文明で異なる文化を持っていた。
女性の地位が高く、女王もいた。ギリシャ神話を誤解。
ギリシャ文明が人間中心だったのに対してエトルリアは自然との共生を表現していた。
高い建築技術はローマに受け継がれた。あとテラコッタ(焼き物)がうまい。
・雄牛の墓、鳥占い師の墓、オスライオンの墓(墓室の空いたスペースに動物や木の絵を描く)
・アレッツォのキマイラ
ローマ侵攻によりエトルスク語は死語に。

ローマ美術(1世紀~)
もともとローマはエトルリアの影響下にあったが、その後戦争を繰り返したことによって、大量のギリシャの美術品が流入し影響されていく。国家が巨大だった分、様々な芸術の影響を受ける。
風景画的な神話画、巧みな土木建築技術。
実在の人物の業績をたたえた肖像彫刻も多い。現実的かつ写実的な表現が特徴。
ローマ共和制時代では、ろうで名家は肖像を作った。
・カストールとポルクス(ギリシャクラシック期の彫刻家プラクシテレス的な、優美なS字カーブを描く彫刻)
・アウグストゥス立像(ナイトミュージアムのあいつ)
・コンスタンティヌス大帝肖像
・スキピオ将軍像(表現がエトルリア美術っぽい。頬の傷やオデコのタンコブまでそのまま再現)

初期キリスト教美術(1~5世紀)
最初期は教義をメタファーにした美術作品を作っていた。
徐々に教会の体制が整うと聖書の物語をベースにした絵画を描くようになる。
ちなみに、描かれた人物が識別できるように一緒に描かれるアイテムをアトリビュートという。
・星空に輝く十字架とこれを拝する使徒たち(聖堂に描かれたモザイク画)
・カタコンベ(地下墓地)のフレスコ画(壁の漆喰が乾かないうちに水彩絵具で絵を描く絵画技法)

ビザンチン美術(5世紀~15世紀)
ビザンツ帝国(東ローマ帝国)の美術。
ローマ帝国の首都をトルコに移したコンスタンティヌスがキリスト教を公認したことで、東方の初期キリスト教を基礎とした美術ができる。
聖像破壊運動によって聖堂などは現代ではほとんど残っていない。

ロマネスク美術(11世紀~)
教会の壁や天井に力強く聖書の主題が描かれる。文字が読めない人にもキリスト教を布教する役割を担う。
この時期の教会堂建築は、重い石造り天井を厚い壁で支え、半円状のアーチを多用する。窓を小さく作り、内部は薄暗くすることで、神秘的な雰囲気を出した。
建築装飾以外で独立した彫刻作品はなかった。

ゴシック美術(12~15世紀)
ゴート(ドイツ)風という意味の、ローマに比べて劣った暗黒時代の芸術・・・とされてきたが後に再評価される。写実表現。
力強い神よりも優しい聖母をモチーフに好んだ。大聖堂のステンドグラスが秀逸。
・ノートルダム寺院
・シャルトル寺院
・ケルン本寺
・コンスタンティヌス凱旋門(ローマにある。フランスのじゃない方)

おおかみこどもの雨と雪

 「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆」

 じゃあわたしが「おかえり」って言ってあげるよ。

 100年に一度の傑作と言われるアニメ映画。そんなこと言われちゃったら見ないわけには行かない!

 これもマダガスカルと似ていて、考えるよりも感じるタイプの映画。ぶっちゃけ話の筋はかなりストレートで、アニメが得意としがちなカリカチュア、フィクション性を一切切り捨てて徹底したリアリズムをやろうとしているようにも思える。なにせ鬱陶しい虫まで描いているのだから!

 この映画はもしかしたら絵で実写ドラマをやっているのかもしれない。じゃあ逆にこの映画が実写でもよかったかというと、多分良くないと思う。
 だっておおかみおとこが宮崎駿の名探偵ホームズみたくなるシーンは実写の特撮やCGではジュマンジみたくなって絶対キモいだろうし、その体で人間とおおかみのベッドシーンはいろいろ厳しいと思う。

 とはいえ、もし現実にオオカミと子供のハーフが作れて、そういう半妖みたいな子供を女子大学生が身ごもってしまったら?という荒唐無稽な話を、ここまである種のリアリティを持たせて描いたのはすごい。
 「あのお母さん怪しいぞ」って児童相談所の職員がアパートに押しかけるのとか、考えてみればそりゃそうだよなあってwのび太がフタバスズキリュウをもはや都心で育てられなくなった状況に近い。

 でも、この映画って『(500)日のサマー』のように12年に及ぶ子育て生活を淡々と観察日記のように描いているんだけれど、結局何を伝えたかったのだろう?
 なんでオオカミ?なぜ富山?人間の子供じゃなくて、おおかみこどもの子育てという設定をあえてやった意味は??価値観が多様化した現代、どんな人も世間様には言えないようなコンプレックスや秘密を抱えていて苦しんでいるってこと?

 いや、実は明確なテーマなんてなくて、観客がそれぞれ映画から何かを感じ取ればいいのかもしれない。確かに子育てを経験したお母さんは泣きそうな内容なのかもしれないし。夫に先立たれて富山で自給自足生活をやらなくても子育てって相当エネルギーがいるらしいから。
 私はこの映画あれに似てると思った。小田和正の『言葉にできない』が流れる富士フィルムのCM。まさにこの映画は言葉にできない。まいったなあ・・・

 ええと、でも作劇構造的には結構よくできてて、ナドレックさんも指摘していたけど、明確な三幕構成になっている。
 第一幕が女子大学生と狼男との出会いと別れ。第二幕が新天地での生活。第三幕で視点がおおかみこどもの雨と雪に移って、彼らの選択。
 この幕から幕への移るタイミングがちょうど映画に飽きかけてきた時にやってくるから、最後までなんだかんだで見れてしまうのがうまい。
 最初は映像が癒し系でほわ~んって感じで見れるんだけど、話自体が単調だから眠くなっちゃうんですよw
 で、これ以上やられると退屈だなあって時に、旦那さんがゴミ回収車に入れられちゃったり、田舎の人が世話を焼いてくれるようになったり、主人公が山で遭難したりとちょっとした変化を入れてくれるから、細田監督、ギリギリ飽きさせない時間配分はうまいのかもなあ。

 あとこの三幕構成、なんでわかりやすいかって、花と雨と雪以外の脇役キャラが幕によってみんな違うんですよね。 
 第一幕は旦那さん(大沢たかおさん、声が上手い)。第二幕は韮崎のじいさん。第三幕はキツネの先生と転校生の草平くんって感じで。
 第一幕は舞台が違うからともかく、第三幕で第二幕の登場人物、農家の人たちやご近所さんを出さないのとか印象的でした(韮沢さんは亡くなった?)。もう物語の主役はお母さんじゃないってことなんだろうな。

 あと第二幕と三幕で雨と雪の成長が交差するのとか面白いですよね。男の子と女の子の成長パターンの違いというか。
 第二幕では姉ちゃんの方が野生児で(←顔がルパン三世)、弟はインドアって感じがしたけど、第三幕で弟がいつの間にかワイルドだろ~?になってて、姉と弟が幼少時の印象と全く逆な道を選択するのとか、子育ての予測不可能性みたいなものが出ててなんかリアリティがありました。
 男の子って中学生に入ったときは鼻たれて「うんこ~」とか言って馬鹿なんだけど、中2中3くらいになると急に無口になって男らしくなるんですよね・・・って雨くん10歳だった。
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