ミグをかばって撃たれるクリストファー。
マーガレット「クリス・・・!」
ライト「教授!」
一瞬の隙をついてギャングを攻撃するミグ。
後ろの手下を蹴飛ばし、銃を奪ってギャングを倒していく
石版を持って繭の奥へ逃げ出すマルドゥクと手下。
ミグ「待て・・・!」
追跡を諦め後ろを振り返るミグ。
血を流して横たわるクリス
ライト「しっかりしろ教授・・・!」
クリスに近づくミグ
ミグ「なんで私のために・・・」
クリス「決まってるだろ・・・あなたも・・・大切な家族だからだよ・・・」
涙目になるミグ。
マーガレット「まさかあなたが銃弾くらいで死なないわよね・・・?」
クリス「いや・・・今回はダメっぽい・・・死んじゃう・・・」
ライト「アホなこと言うなや!」
クリス「あ~・・・石版を戻すと得た知識を忘れてしまうのか・・・
・・・でも、ひとつだけわかったことがある」
ライトの頬に手をやるクリス
「20年もかかったが・・・私の宝物はこんなに近くにあったんだな」
ライト「え?」
微笑むクリス「私が求めるべき答えはこれだったんだよ・・・」
ライト「父さん・・・」
・
繭の奥には狭い通路があり、そこを超えるとミュセイオンの最深部に到達する。
太陽系が描かれた巨大な壁画がある広大な部屋にたどり着くマルドゥク。
壁画の下の台にはタブレットを立てるくぼみがある。
マルドゥク「スタータブレットの本当の使い方をクリストファーは知らねえ・・・
この世の真実を知るなんてほんの余興程度だ・・・」
石版をはめ込むマルドゥク
スタータブレットが起動し、壁画が光り出す。
スタータブレット「グラビティディフェンスシステム作動――」
生まれて初めて微笑むマルドゥク
・
ミュセイオン全体が大きく振動する。
ライト「何が起きとるんや・・・!?」
マーガレット「早くここから逃げましょう」
クリスに肩を貸すライト「父さん、立って・・・!」
クリス「あたた・・・もっと優しく・・・」
ライト「すまん!」
ミグの方を向くライト「ミグ行くで!」
ミグ「先に行っててくれ・・・私はあの男と決着をつける」
ライト「義理堅いのもええかげんにせえ!崩れるぞ!」
ミグ「ごめんな・・・約束は破れない性分なんだ。二人を頼んだぞ!」
まゆの奥へ駆け出すミグ。
ライト「ミグ!」
・
ミュセイオン最深部
コックピットのような玉座でスタータブレットを操作するマルドゥク。
玉座に座るマルドゥクにEM銃を突きつけるミグ「それを止めろマルドゥク」
マルドゥク「しつこいやつだ・・・てめえら白人はなんでも奪っていきやがる。
ここはオレたちの星だ。
これ以上よそ者に勝手な真似はさせねえ・・・」
ミグ「その石版は誰のものでもないだろ・・・」
マルドゥク「ふん、ならばお前にも王の力を見せてやる・・・壁画を見な・・・」
壁画に書かれているのは太陽系の軌道図だ。
そこにはメインベルトにあるすべての小惑星の位置が赤いランプで示されている。
マルドゥク「そうだ小惑星だ・・・メインベルトの小惑星は木星の重力によって安定した軌道を保っている・・・もしこの重力をここで操作できるとしたらどうだ?」
ミグ「なんだと・・・?」
マルドゥク「太陽系のどの惑星にも、好きにメインベルトの小惑星を落とすことができるってことだ・・・
直径1000キロのケレスをお前の星に落としてやったっていいんだぞ?」
ミグ「なんでそんなことを・・・」
マルドゥク「お前は4才の頃に、自分が住んでいる村を皆殺しにされたことはあるか?」
ミグ「なに・・・?」
マルドゥク「オレには生まれた時から国がなかった・・・オレはずっとひとりで生きてきた。
だが、この力さえあればオレこそが木星の・・・いや、宇宙の支配者だ・・・!
オレだけの王国を作ってやる・・・!」
ミグ「・・・石版を戻せマルドゥク!そんな方法では王国はできない!
わからないのか?
木星の重力を変えるということは木星の破壊を意味するということだぞ!」
マルドゥク「脅しても無駄だ。もう誰も止められねえ」
振動がさらに大きくなっていく。
地面は引き裂け、地中のガスと溶けた金属が見える。
マルドゥクの護衛のギャングが恐ろしくなって逃げ出す。
ミグ「この星は変わりつつあるんだマルドゥク!」
マルドゥク「うるせえ!」
その時ギャングが悲鳴を上げる。
ミグが振り返ると王の間の両側から二頭のケンタウロスが人間たちに向かって突進してくる。
ケンタウロスに向かって銃撃するギャング。
ケンタウロスは腕の大きな鎌でギャングを薙いでいく。
血しぶきが上がる。
マルドゥク「なるほど王の護衛ってわけか・・・」
二頭のケンタウロスにEM銃を向けるミグ
タブレットを操作するマルドゥク「そいつを始末しろ!」
ギャングを虐殺したケンタウロスは今度はミグに向かってくる。
ケンタウロスの攻撃を転がりながら避けるミグ。
EM銃を撃つがケンタウロスの硬い表皮には効かない。
笑うマルドゥク「死ねえ!」
ミグ「ケレリトゥス博士すまない・・・!」
コックピットのスタータブレットを撃つミグ。
スタータブレットが衝撃で台座から外れて、システムが消えてしまう。
マルドゥク「てめえ、なにしやがる・・・!」
ケンタウロスが向きを変えてマルドゥクの方へ向かってくる。
ミグ「お前に王の資格はない!」
ケンタウロスがマルドゥクの頭の上から鎌を振り下ろす。
マルドゥク「ぎゃあああああ!」
スタータブレットに鮮血が飛び散る。
超古代都市コロナドが崩れていく・・・
・
アストライア大神殿でミグが戻るのを待つライト。
ライト「ミグ!」
神殿からリンドバーグ号へ駆けてくるミグ「早く離陸しろ!木星が燃えていくぞ!」
スターライン運河の青い水が蒸気を出しながら熱いマグマに変わっていく。
離陸するリンドバーグ号。
・
木星の大地震が止まる。
リンドバーグ号のコックピットで流れる惑星連合放送のラジオニュース。
「本日未明に木星全土を襲ったマグニチュード10の超巨大地震ですが、これにより各地で甚大な被害が報告されています。これまでの死者は4万人以上――行方不明者は30万人に上る見通しです。」
「こちらはヒマリアの国境付近です。
対立していたヒマリアとアナンケの民がともに助け合い救助活動を行なっています。」
「アマルテア政府は隣国パシファエに5万トンの救援物資を送ると発表・・・」
「木星民族会議のンゴロ・アルベド議長は木星全土に緊急声明を出しました。」
アルベド議長「今こそ木星に生きるすべての民が団結するときなのです。
神はこの苦難を我々に等しく与えました。豊かな国にも貧しい国にも、強い国にも弱い国にも・・・今の木星にはかつてあった格差などありません。私は信じています。
必ずや木星がこの試練を乗り越えることを。」
リンドバーグ号の中ではマーガレットがクリストファーの看病をしている。
ライト「ミグ・・・結局あの板は何やったんや?お前はすべてを見たんやろ?」
ミグ「もしかしたら木星を太陽にする時限装置のようなものだったのかもしれない・・・
でも・・・よくわからない。神はなんでそんなものを造ったんだろう・・・」
ずっと黙ってやり取りを聞いていたが口を開くマーガレット
マーガレット「これは私の仮説に過ぎないけれど・・・
ひとつだけ確かなのは、あれは神の遺跡というようなものじゃないってこと。」
クリス「なんだって・・・?」
マーガレット「古代人がスタータブレットと呼んでいた、惑星内部の熱エネルギーを用いてオリハルコンの結晶を作る生物の・・・まあ鍾乳洞みたいなものね・・・
小惑星にあった星の欠片が成長したらああなるんじゃないかしら。」
クリス「生き物だったっていうのか!?」
マーガレット「人類の文明と類似点がないのも当然ね。そもそも人工物じゃないのだから
・・・あの石碑は鉱物と生物の中間にあたるような存在なのかもしれない。
私たちが文字だと思っていたものは単に彼らが作り出した模様だった可能性もあるわ。」
クリス「すべては人類の壮大な勘違いだったってことか・・・」
マーガレット「あら、そんながっかりすることはないわよクリス。
人は他人と宇宙を共有することはできない。でもほんの小さな誤解によって、神に祈り、他者を慈しむ感情が人間に生まれたのだとしたら、それは壮大な奇跡よ。」
ミグ「・・・奇跡。」
マーガレット「・・・こういう話があるわ。古代には沈黙交易という風習があったの。
異民族と言葉を交わさずに行う交易なのだけれど、考えてみれば言葉も通じない相手と取引をするなんて不思議な話よね。
私はこう思うの・・・それが未知の存在であれ・・・人間は交流することそれ自体に幸福を感じる動物なのだと。分かり合える合えないは問題じゃないの・・・それでも誰かと関わりたくなってしまうのよ。それが人間なの。」
ミグ「・・・・・・。」
ライト「元気出せや父さん。宝はここにおるで。」
ライトに微笑むクリス「そうだな・・・スタータブレットはこれで諦める」
ライト「ああ、わからんままの方がええもんもあるって」
「そして新しい冒険の始まりだ・・・!私は次の宝を求めることにするよ!レッツトライ!」
三人「え?」
クリス「キミらに私たちの孫を産んでもらわないとね」
ライト「はあああ!?」
マーガレット「・・・そうね、あなたたち私たちよりもいい夫婦になるわ」
ライト「ちょっと待てって・・・!」
クリス「孫も冒険家にしようぜ」
マーガレット「クリスいい加減にしなさい。孫にはちゃんと大学に行かせるわ」
ライト「そういう冗談はやめろや!ミグは気位が高いんや!
・・・ごめんなミグ、気にせんでええから・・・」
涙を浮かべるミグ
ライト「ミグ・・・?」
ミグ「ご・・・ごめんね・・・なんか・・・久々に家族を思い出しちゃって・・・」
ライト「ミグ・・・」
夕日に向かって飛んでいくリンドバーグ号。
・
王は太陽の子
神に知恵という強大な力を授かり王国を築きし者
全知全能のその力は地を揺るがし、海を引き裂き、天空の星をも落とす
王は神にも等しい力を得た
しかし王の心は満たされなかった
満ちていくのは扉の外で祈り続ける女神への思い
王が探し続けていたものは、神の力ではなく
たった一人の愛する人だった
よって王は神の地を去り、その力を封印することに決めた
アストライアの大神殿と迷宮は、探求者に試練を与えるであろう
星の運河を辿り、星の欠片を手にした女神の舞によって真実の扉は開かれるのだ
・
秘密結社の円卓。
円卓には林檎に絡みつく蛇の紋章が掲げられている。
名だたる政治家や貴族、科学者などが円卓で顔を並べている。
「・・・いい知らせかね?」
スーツの男「ええ」
「だがキミの友人に投資しても宇宙戦争は起きなかったじゃないか。」
「同感だ。太陽系は和平への道を歩みだしている」
スーツの男「果たしてそうでしょうか?
大国が世界平和という理想に舵を切ったときに、切り捨てられるのは少数民族の現実です。
植民地というタガがなくなった今、木星は多くの武器を必要としています・・・
我々のビジネスに負けはない」
「だが、ミラージュ計画はどうなった?ノーチラス号は??強大な兵器で地球を破壊するという君の計画はどれも失敗続きだ」
「ああ、地球はなんともないぞ。欠けてもいない。」
スーツの男「地球を破壊するのはやめました・・・」
「なんだって?」
スーツの男「地球を破壊する程度ではまだ足りない・・・
我らが主が求めるのは宇宙すら破壊する兵器です」
ざわつく
「そんな兵器は存在する意味がないだろう。宇宙がなくなったら商売はできん。」
スーツの男「お忘れですか?我々の目的は金を儲けることではない。
主の意思を実行することです」
「・・・その兵器とは一体どういうものなのかね?」
「我々にもわかるように話してくれないか、ピカール卿」
微笑むピカール。
・
円卓の奥の空間に入るピカール。
空間は暗く、奥にいる何者かに話しかけるピカール。
ピカール「同志ザドキエルは再び長い眠りに・・・」
木星にあったものと同じ石版(iPad)と対峙するピカール
スタータブレット(・・・月へ行け。そして選択せよ。)
ピカール「はは」
つづく
『80日間宇宙一周 The Stargazer』脚本⑨
2013-02-03 01:53:47 (12 years ago)
死の迷宮アメミット
レンガで組まれた地下通路が複雑に上下左右に入り組んでいる。
ランタンをかざして振り返るミグ「また分かれ道だぞ」
ライト「あいよ~」
分岐点を手帳にメモするライト
マーガレット「まったく古代人の趣味は理解できないわ・・・」
ミグ「なんでこんなものを・・・?」
マーガレット「紀元前にブリックロード4世っていう迷宮職人がいてね・・・王の愛人をこういった迷宮の中に隠していたってわけ。ここはその中でも最高傑作と言われているわ。」
ライト「男はスケベ心があればなんでもできるな・・・」
ライトを見つめる二人「・・・・・・。」
ライト「な、なんやねん・・・」
かがむライト「お、ミグ明かりをくれ」
ミグ「あ、はい。」
壁面をなでるライト
ミグ「なんだ?」
「チョークのあとや」
マーガレット「クリストファーの仕業ね」
ライト「これをたどっていけば教授に追いつくで」
・
迷宮を歩き続けるギャングたち
ギャング「ボス、また同じ道に戻ってきてます」
マルドゥク「なんだと・・・?
迷路っていうのは片方の壁さえ辿っていけば必ずぬけられるんだ。どんなバカでもな」
ギャング「しかしこの道に来るのは5回目です。見てください。ジウラがつけた印です。」
マルドゥク「オレがバカだって言いてえのか」
ギャング「いえ・・・しかし何かが変です」
道の奥から何かが近づいてくる。
マルドゥク「クリストファー・・・」
・
ライト「道が変わってる・・・」
マーガレット「なんですって?」
手帳を見せるライト
「見ろ、このエリアの分岐点はすべてカウントしたはずや。なのになんで何度も戻ってくるんや?
時間とともに迷路自体が変わってんねん。」
マーガレット「ちょっと待って頂戴。
紀元前に時間によってコースが変わっていく迷路を作る技術はないわ。そもそもどうやってコースを変えているのよ。」
ライト「オレに言われても・・・」
耳を澄ますミグ「二人とも静かに・・・!」
ライト「どうした?」
ミグ「悲鳴だ」
・
最後尾のギャングが何者かに襲われる。
ギャング「ぎゃあああああ」
闇の中でもがくギャング。
「なんだ!?」
ライフルに付いた照明を最後尾に向けるギャングたち。
ビームが巨大なアリたちを照らし出す。
ブルドッグアリをラグビーボール大に大きくした巨大なアリが最後尾のギャングにまとわりついて、その肉を引きちぎっている。
肉を掴んだアリは闇へ引き返していくが、さらにたくさんの兵隊アリが通路の奥からギャングたちに接近してくる。
マルドゥク「野郎ども撃ち殺せ!」
ギャングのライフルが火を噴く。
迷路の壁面を伝いライフルにも登ってくるアリ。
強力な顎でアサルトライフルすら分解していく。
・
迫り来るアリにEM銃を撃つミグ「おい!キリがないぞ!!」
ライト「陸のピラニアみたいなやつや!母さんバッグから殺虫スプレーを出してくれ!」
スプレーをライトに投げるマーガレット「こんなもの効くの?」
スプレーの表示を読むライト「本製品はアリ、ハチ、ムカデ、その他の不快害虫を効果的に防除することができます」
スプレーをよくふってからアリに吹き付けるライト。
スプレーがかかったアリは仰向けになって転がる。
ライト「あ、意外に効くで!!」
ミグの体に登ってくるアリ「きゃああああ!服の中に入るのだけはやめて!!」
ライト「ミグ動くな!」
ミグにまとわりつくアリにスプレーをかけるライト。
泣き出すミグ「痛い痛い痛い!噛まれた!!」
ライト「あかん数が多すぎる!」
ライトからスプレ-を奪い取るクリス。
ライト「教授!?」
クリス「違う、この星で殺虫剤はこう使うんだ」
殺虫スプレーに火をつけて火炎放射器にするクリス。
アリを一度に炙っていく。
火炎に恐れをなして撤退していくアリたち。
地面にへたり込むミグ「助かった・・・」
クリス「なにしてる?さあ、いくぞ。彼らを追いかけるんだ。」
ミグ「え・・・?」
気づくライト「そうか・・・」
ニヤリとするクリス「そうだ。見失う前に(ミグを立たせる)さあ・・・!」
逃げ出したアリを追いかけていくライトたち。
マーガレット「なるほどアリたちは迷宮には迷わない・・・」
クリス「この迷路の作者だからな」
ミグ「え・・・?」
ライト「迷路の形を変えていたのはアリどもだったってことや」
アリを追いかけていくと、道が開け巨大なホールに到達する。
ライト「ここは・・・」
クリス「女王の間だ」
ホールはたくさんの通路のハブとなっており、働きアリが世話しなく通路とホールを行ったり来たりしている。ホールの中央には働きアリの何倍もある巨大な女王が全く動かずに餌を貪っている。
ホールではキノコが栽培されており、そのキノコが青白く発光するのでほんのりと明るい。
ホールの隅の高い塚の陰に隠れながら、働きアリの動きを目でたどるクリス。
土のペレットを直方体に成形していき迷路に運んでいくアリたち。
さらに頭上5メートルほどにある通路から出てきたアリはギャングのちぎれた一部を咥えている。
アリは女王のそばにいる別のアリにその肉片を渡し、そのアリは肉片を顎と消化液を使って器用に肉団子にしていく。
クリス「ギャングたちは上にいるらしいな」
ライト「何人かはミートボールに加工されたことはわかったな」
気分が悪くなって口を押さえるミグ「人生でこんな光景を見るとは思わなかった・・・」
背中をさするライト「大丈夫か・・・?」
ミグ「ミートボールスパゲッティ大好きだったのに・・・」
クリスに話しかけるマーガレット「あれを見て。あなたが好きなものじゃない?」
女王の方を指さす。
でっぷりと肥えた巨大な女王アリの後ろには巨大な扉がある。
クリス「アメミットの出口・・・すなわち・・・」
マーガレット「超古代都市コロナドへの入口・・・」
女王アリの方へ飛び出そうとするクリスを止めるライト。
ライト「ちょい待て!」
ギャングの死体を運んできたアリが出てきた通路から、今度は別のものを咥えたアリが女王の方へ近づいてくる。
ライト「なんやあれは・・・?」
双眼鏡を暗視モードにしてアリが咥えているものを確認するライト。
ライト「!!みんな伏せろ!!」
女王に時限爆弾を渡す働きアリ。
珍妙な貢物に首をかしげる女王。ホールの中央が爆発する。
女王の間は爆弾で吹っ飛んだアリの死骸でいっぱいになる。
ロープをつたって通路からホールへ降りてくるギャングたち。
女王のちぎれた頭を蹴飛ばすマルドゥク「これでいい・・・」
ギャングに気づかれないようにもの陰に隠れている4人。
30人以上いたギャングたちは6人しかいない。
クリス「向こうもだいぶ減ったな・・・」
ライト「あれだけ肉団子にされればそりゃ減ったやろ」
扉の前に立つマルドゥク
ギャングたちに扉を開かせる
ギャング「ダメですボス、開きません。なにか仕掛けがあるようです・・・」
手を振り上げるマルドゥク。扉から離れるギャングたち。
ロケットランチャーで扉を吹き飛ばすマルドゥク。
マルドゥク「これで開いた・・・」
扉から強烈な光が差し込む。
マーガレット「貴重な遺跡になんてことを・・・」
ライト「あれがアリならトゥームレイダースは誰でもクリアできるな」
扉を抜けるマルドゥク。
目の前には考古学的にどの文明にも見られない形状の広大な遺跡が広がっている
いびつに湾曲した石壁には見たことのない文字が赤く光っている。
マルドゥク「二手に分かれてスタータブレットを探せ。お前はオレと来い。」
ギャング「分かりました」
コロナドの捜索を開始するギャングたち。
・
コロナドに入る4人。
クリス「ここが超古代都市コロナド・・・」
マーガレット「・・ご感想は?」
肩を震わせるクリス「本当にあった・・・」
ライト「よかったな・・・」
ミグ「おめでとうございます」
クリス「祝杯はまだだ・・・スタータブレットを見つけないと・・・」
マーガレット「ヒントを探しましょう」
石壁に近づくマーガレット
クリス「文字が読めるか?」
マーガレット「信じられない・・・
こんなの初めて見たわ・・・どの文化にも属さないタイプの文字よ。」
ライト「母さんにも読めない文字があったんやな」
マーガレット「当然よ。私が読めるのは人間の文字だけ」
ミグ「え・・・?」
マーガレット「この遺跡は人類が作ったものじゃないわ・・・」
クリス「てことはやはり神の・・・」
首を振るマーガレット「その結論はまだ早いんじゃない?」
ミグ「なんか怖くなってきた・・・」
ライト「ミグ・・・」
ミグ「こんなところに私たちがズカズカ足を踏み入れちゃっていいのかな・・・?」
躊躇なく建物に登って手招きしているクリス
「おい、キミらも早く来いよ!こっから辺りが見渡せるぞ!」
ライト「ミグ、もう手遅れや・・・」
見晴らしのいい高台に登る一行
眼下には高層ビルが並んでいる。
マーガレット「まるで夢を見ているようね・・・」
クリス「伝説によれば太陽神ライトニングは超古代都市コロナドを3日で創造し、その中央のミュセイオンに自身の叡智スタータブレットを置いた・・・」
ライト「ライトニング?」
ライトの頭を撫でるクリス「お前の名前はそれから取ったんだよ」
マーガレット「そしてライトニングはタブレットを11に分割し、それぞれの天使に配った。
天使は各惑星へと飛び・・・それぞれの星の人類に文明を授けた・・・」
ライト「数が合わへんぞ」
クリス「ああ、太陽と月が惑星としてカウントされるんだ・・・
さて・・・いよいよ神に会えるぞ・・・どうする?」
ライト「どうする・・・ちゅうてもなあ・・・とりあえず挨拶だけしてちゃちゃっと石版をもらってこうや」
クリス「お前、神様だぞ!?私には聞きたいことが数え切れないほどたくさんある・・・」
マーガレット「そんなに聞きたいなら、インタビューの順序をあらかじめ考えておいたらどうなの?」
クリス「すでに20年前から考えてあるよ。」
マーガレット「・・・呆れた。」
ライト「ミグはなにか聞きたい?」
ミグ「私はいいよ・・・」
クリス「もしかして冥王星の人たちは神とか信じてないとか?」
ミグ「いえ・・・じゃあひとつだけ・・・
感謝を伝えたいです。私を産んでくれてありがとう・・・私は今幸せですって。」
クリス「あなたは面白いことを言うね。それなら自分の親に言えば済むじゃないか」
ライト「おい・・・!」
ミグ「そうですね・・・私にとっては神に会うのも親に会うのも変わらないのかもしれませんね・・・」
・
コロナドの中央にある巨大な立方体の建物「ミュセイオン」
クリスが近づくとドアが自動で開く。
クリス「やっぱ神の作った街はすごいな~」
自動ドアの原理を調べるマーガレット「・・・・・・。」
ライト「母さん?行くで」
マーガレット「あ、はい」
建物の中に入る4人。
入口を抜けると下に下る幅の広い螺旋階段があり、さらにその奥は吹き抜けになった広大なスペースが広がっていることがわかる。
クリス「なんだ・・・ここは・・・」
ミュセイオンの中は誰も想像もしたことのないような異質な空間が広がっている。
蔦のようなものが蜘蛛の巣のように張り巡らされており、そのアレイは空間中央部の光り輝く巨大なまゆにつながっている。
蔦は一見乱雑に張られているように見えるが、近づいて観察すると樹形図のような規則性があることがわかる。
ライト「なんやこれ?」
クリス「系統樹だ・・・」
ミグ「生命の・・・?」
マーガレット「いえ・・・世界よ・・・」
螺旋階段とまゆをつなぐブリッジを歩くマーガレット。
ブリッジのそばに伸びる蔦に触れる。
マーガレットの体温に反応してかすかに動き、色を変えるつた。
「この粘菌のような巨大な単細胞生物に世界のすべてを演算をさせているのよ・・・
エネルギーの供給はきっとあの中央のまゆからね。
生物を使うとは、まったくたいしたものね・・・その発想はなかったわ・・・」
蔦をナイフで傷つけるクリス。中から血液のような液体が出てくる。
別の場所を傷つけると血液の色が違う。
ミグ「・・・データベースなんだ・・・これまで現れたすべての生き物の」
クリス「これがセフィロトの樹の正体・・・コロナドの叡智・・・」
マーガレット「まさか四方数kmにも及ぶ巨大な生物だったとは残念ね。
とてもじゃないけど博物館へ運び出せるようなものじゃないわクリス。」
ライト「ここ自体が博物館みたいなもんやもんな」
クリス「いや・・・これはスタータブレットじゃない。きっとあの繭の中だ。」
ライト「やっぱり行くんやな」
クリス「もちろん」
・
黄金色に輝く繭の中に入るクリス
クリスの目の前にはついに長いあいだ探し続けていたもの・・・
スタータブレットが中央で浮いている。
クリス「あった・・・!」
スタータブレットを手に取るクリス
クリス「あった・・・!!」
クリスが持ったことでスタータブレットが反応し、マックの起動音を鳴らす。
タブレットの画面が付き、メニュー画面が表示される。
最初は画面の言語がわからなかったが、そのうちに形を変えて英語になっていく。
スタータブレット「表示言語を最適化しました。お調べになりたい情報をメニュー画面からどうぞ」
クリス「すげええええ!!!!!」
大はしゃぎでタッチパネルになっている画面をスクロールさせるクリス。
クリス「人はなんで生まれて、死んだらどうなるのか・・・なんでも書いてあるぞ・・・!
へ~宇宙が11次元ってそういうことだったのか!
すげえすげえすげえ!!!」
振り返るクリス
「おい、みんなちょっと来いよ!死ぬってどういうことかわかったよ?
実は私たちって死んだら・・・」
マルドゥク「どうなるんだ?」
クリス「あ・・・」
「そこまでだ、教授。その板をよこしな。その答え合わせをしたくなかったらな・・・」
ギャングにライトたちが捕まっている。
マルドゥク「言っとくが今回は毒なんて撃たねえぞ。一撃でこいつの脳みそぶちまけてやる」
クリス「ライト・・・」
ライト「教授・・・すまん」
マルドゥク「どうする?」
クリス「・・・分かった。スタータブレットはくれてやる。
だから他の人間は傷つけないと約束してくれ。私の・・・大切な家族なんだ」
マルドゥク「やっと大人になったな、教授・・・いいだろう」
マーガレット「クリストファー・・・」
ライト「そいつに石版をやったらあかん!」
クリス「いいんだライト・・・」
石版をマルドゥクに渡すクリス
マルドゥク「お利口だ」
石版を受け取るマルドゥク。
そしてミグに銃を向ける。
ミグ「え・・・?」
マルドゥク「だが、こいつはお前の家族じゃねえ」
クリス「・・・・・・!」
ライト「やめろ!」
引き金を引くマルドゥク。
銃声。
レンガで組まれた地下通路が複雑に上下左右に入り組んでいる。
ランタンをかざして振り返るミグ「また分かれ道だぞ」
ライト「あいよ~」
分岐点を手帳にメモするライト
マーガレット「まったく古代人の趣味は理解できないわ・・・」
ミグ「なんでこんなものを・・・?」
マーガレット「紀元前にブリックロード4世っていう迷宮職人がいてね・・・王の愛人をこういった迷宮の中に隠していたってわけ。ここはその中でも最高傑作と言われているわ。」
ライト「男はスケベ心があればなんでもできるな・・・」
ライトを見つめる二人「・・・・・・。」
ライト「な、なんやねん・・・」
かがむライト「お、ミグ明かりをくれ」
ミグ「あ、はい。」
壁面をなでるライト
ミグ「なんだ?」
「チョークのあとや」
マーガレット「クリストファーの仕業ね」
ライト「これをたどっていけば教授に追いつくで」
・
迷宮を歩き続けるギャングたち
ギャング「ボス、また同じ道に戻ってきてます」
マルドゥク「なんだと・・・?
迷路っていうのは片方の壁さえ辿っていけば必ずぬけられるんだ。どんなバカでもな」
ギャング「しかしこの道に来るのは5回目です。見てください。ジウラがつけた印です。」
マルドゥク「オレがバカだって言いてえのか」
ギャング「いえ・・・しかし何かが変です」
道の奥から何かが近づいてくる。
マルドゥク「クリストファー・・・」
・
ライト「道が変わってる・・・」
マーガレット「なんですって?」
手帳を見せるライト
「見ろ、このエリアの分岐点はすべてカウントしたはずや。なのになんで何度も戻ってくるんや?
時間とともに迷路自体が変わってんねん。」
マーガレット「ちょっと待って頂戴。
紀元前に時間によってコースが変わっていく迷路を作る技術はないわ。そもそもどうやってコースを変えているのよ。」
ライト「オレに言われても・・・」
耳を澄ますミグ「二人とも静かに・・・!」
ライト「どうした?」
ミグ「悲鳴だ」
・
最後尾のギャングが何者かに襲われる。
ギャング「ぎゃあああああ」
闇の中でもがくギャング。
「なんだ!?」
ライフルに付いた照明を最後尾に向けるギャングたち。
ビームが巨大なアリたちを照らし出す。
ブルドッグアリをラグビーボール大に大きくした巨大なアリが最後尾のギャングにまとわりついて、その肉を引きちぎっている。
肉を掴んだアリは闇へ引き返していくが、さらにたくさんの兵隊アリが通路の奥からギャングたちに接近してくる。
マルドゥク「野郎ども撃ち殺せ!」
ギャングのライフルが火を噴く。
迷路の壁面を伝いライフルにも登ってくるアリ。
強力な顎でアサルトライフルすら分解していく。
・
迫り来るアリにEM銃を撃つミグ「おい!キリがないぞ!!」
ライト「陸のピラニアみたいなやつや!母さんバッグから殺虫スプレーを出してくれ!」
スプレーをライトに投げるマーガレット「こんなもの効くの?」
スプレーの表示を読むライト「本製品はアリ、ハチ、ムカデ、その他の不快害虫を効果的に防除することができます」
スプレーをよくふってからアリに吹き付けるライト。
スプレーがかかったアリは仰向けになって転がる。
ライト「あ、意外に効くで!!」
ミグの体に登ってくるアリ「きゃああああ!服の中に入るのだけはやめて!!」
ライト「ミグ動くな!」
ミグにまとわりつくアリにスプレーをかけるライト。
泣き出すミグ「痛い痛い痛い!噛まれた!!」
ライト「あかん数が多すぎる!」
ライトからスプレ-を奪い取るクリス。
ライト「教授!?」
クリス「違う、この星で殺虫剤はこう使うんだ」
殺虫スプレーに火をつけて火炎放射器にするクリス。
アリを一度に炙っていく。
火炎に恐れをなして撤退していくアリたち。
地面にへたり込むミグ「助かった・・・」
クリス「なにしてる?さあ、いくぞ。彼らを追いかけるんだ。」
ミグ「え・・・?」
気づくライト「そうか・・・」
ニヤリとするクリス「そうだ。見失う前に(ミグを立たせる)さあ・・・!」
逃げ出したアリを追いかけていくライトたち。
マーガレット「なるほどアリたちは迷宮には迷わない・・・」
クリス「この迷路の作者だからな」
ミグ「え・・・?」
ライト「迷路の形を変えていたのはアリどもだったってことや」
アリを追いかけていくと、道が開け巨大なホールに到達する。
ライト「ここは・・・」
クリス「女王の間だ」
ホールはたくさんの通路のハブとなっており、働きアリが世話しなく通路とホールを行ったり来たりしている。ホールの中央には働きアリの何倍もある巨大な女王が全く動かずに餌を貪っている。
ホールではキノコが栽培されており、そのキノコが青白く発光するのでほんのりと明るい。
ホールの隅の高い塚の陰に隠れながら、働きアリの動きを目でたどるクリス。
土のペレットを直方体に成形していき迷路に運んでいくアリたち。
さらに頭上5メートルほどにある通路から出てきたアリはギャングのちぎれた一部を咥えている。
アリは女王のそばにいる別のアリにその肉片を渡し、そのアリは肉片を顎と消化液を使って器用に肉団子にしていく。
クリス「ギャングたちは上にいるらしいな」
ライト「何人かはミートボールに加工されたことはわかったな」
気分が悪くなって口を押さえるミグ「人生でこんな光景を見るとは思わなかった・・・」
背中をさするライト「大丈夫か・・・?」
ミグ「ミートボールスパゲッティ大好きだったのに・・・」
クリスに話しかけるマーガレット「あれを見て。あなたが好きなものじゃない?」
女王の方を指さす。
でっぷりと肥えた巨大な女王アリの後ろには巨大な扉がある。
クリス「アメミットの出口・・・すなわち・・・」
マーガレット「超古代都市コロナドへの入口・・・」
女王アリの方へ飛び出そうとするクリスを止めるライト。
ライト「ちょい待て!」
ギャングの死体を運んできたアリが出てきた通路から、今度は別のものを咥えたアリが女王の方へ近づいてくる。
ライト「なんやあれは・・・?」
双眼鏡を暗視モードにしてアリが咥えているものを確認するライト。
ライト「!!みんな伏せろ!!」
女王に時限爆弾を渡す働きアリ。
珍妙な貢物に首をかしげる女王。ホールの中央が爆発する。
女王の間は爆弾で吹っ飛んだアリの死骸でいっぱいになる。
ロープをつたって通路からホールへ降りてくるギャングたち。
女王のちぎれた頭を蹴飛ばすマルドゥク「これでいい・・・」
ギャングに気づかれないようにもの陰に隠れている4人。
30人以上いたギャングたちは6人しかいない。
クリス「向こうもだいぶ減ったな・・・」
ライト「あれだけ肉団子にされればそりゃ減ったやろ」
扉の前に立つマルドゥク
ギャングたちに扉を開かせる
ギャング「ダメですボス、開きません。なにか仕掛けがあるようです・・・」
手を振り上げるマルドゥク。扉から離れるギャングたち。
ロケットランチャーで扉を吹き飛ばすマルドゥク。
マルドゥク「これで開いた・・・」
扉から強烈な光が差し込む。
マーガレット「貴重な遺跡になんてことを・・・」
ライト「あれがアリならトゥームレイダースは誰でもクリアできるな」
扉を抜けるマルドゥク。
目の前には考古学的にどの文明にも見られない形状の広大な遺跡が広がっている
いびつに湾曲した石壁には見たことのない文字が赤く光っている。
マルドゥク「二手に分かれてスタータブレットを探せ。お前はオレと来い。」
ギャング「分かりました」
コロナドの捜索を開始するギャングたち。
・
コロナドに入る4人。
クリス「ここが超古代都市コロナド・・・」
マーガレット「・・ご感想は?」
肩を震わせるクリス「本当にあった・・・」
ライト「よかったな・・・」
ミグ「おめでとうございます」
クリス「祝杯はまだだ・・・スタータブレットを見つけないと・・・」
マーガレット「ヒントを探しましょう」
石壁に近づくマーガレット
クリス「文字が読めるか?」
マーガレット「信じられない・・・
こんなの初めて見たわ・・・どの文化にも属さないタイプの文字よ。」
ライト「母さんにも読めない文字があったんやな」
マーガレット「当然よ。私が読めるのは人間の文字だけ」
ミグ「え・・・?」
マーガレット「この遺跡は人類が作ったものじゃないわ・・・」
クリス「てことはやはり神の・・・」
首を振るマーガレット「その結論はまだ早いんじゃない?」
ミグ「なんか怖くなってきた・・・」
ライト「ミグ・・・」
ミグ「こんなところに私たちがズカズカ足を踏み入れちゃっていいのかな・・・?」
躊躇なく建物に登って手招きしているクリス
「おい、キミらも早く来いよ!こっから辺りが見渡せるぞ!」
ライト「ミグ、もう手遅れや・・・」
見晴らしのいい高台に登る一行
眼下には高層ビルが並んでいる。
マーガレット「まるで夢を見ているようね・・・」
クリス「伝説によれば太陽神ライトニングは超古代都市コロナドを3日で創造し、その中央のミュセイオンに自身の叡智スタータブレットを置いた・・・」
ライト「ライトニング?」
ライトの頭を撫でるクリス「お前の名前はそれから取ったんだよ」
マーガレット「そしてライトニングはタブレットを11に分割し、それぞれの天使に配った。
天使は各惑星へと飛び・・・それぞれの星の人類に文明を授けた・・・」
ライト「数が合わへんぞ」
クリス「ああ、太陽と月が惑星としてカウントされるんだ・・・
さて・・・いよいよ神に会えるぞ・・・どうする?」
ライト「どうする・・・ちゅうてもなあ・・・とりあえず挨拶だけしてちゃちゃっと石版をもらってこうや」
クリス「お前、神様だぞ!?私には聞きたいことが数え切れないほどたくさんある・・・」
マーガレット「そんなに聞きたいなら、インタビューの順序をあらかじめ考えておいたらどうなの?」
クリス「すでに20年前から考えてあるよ。」
マーガレット「・・・呆れた。」
ライト「ミグはなにか聞きたい?」
ミグ「私はいいよ・・・」
クリス「もしかして冥王星の人たちは神とか信じてないとか?」
ミグ「いえ・・・じゃあひとつだけ・・・
感謝を伝えたいです。私を産んでくれてありがとう・・・私は今幸せですって。」
クリス「あなたは面白いことを言うね。それなら自分の親に言えば済むじゃないか」
ライト「おい・・・!」
ミグ「そうですね・・・私にとっては神に会うのも親に会うのも変わらないのかもしれませんね・・・」
・
コロナドの中央にある巨大な立方体の建物「ミュセイオン」
クリスが近づくとドアが自動で開く。
クリス「やっぱ神の作った街はすごいな~」
自動ドアの原理を調べるマーガレット「・・・・・・。」
ライト「母さん?行くで」
マーガレット「あ、はい」
建物の中に入る4人。
入口を抜けると下に下る幅の広い螺旋階段があり、さらにその奥は吹き抜けになった広大なスペースが広がっていることがわかる。
クリス「なんだ・・・ここは・・・」
ミュセイオンの中は誰も想像もしたことのないような異質な空間が広がっている。
蔦のようなものが蜘蛛の巣のように張り巡らされており、そのアレイは空間中央部の光り輝く巨大なまゆにつながっている。
蔦は一見乱雑に張られているように見えるが、近づいて観察すると樹形図のような規則性があることがわかる。
ライト「なんやこれ?」
クリス「系統樹だ・・・」
ミグ「生命の・・・?」
マーガレット「いえ・・・世界よ・・・」
螺旋階段とまゆをつなぐブリッジを歩くマーガレット。
ブリッジのそばに伸びる蔦に触れる。
マーガレットの体温に反応してかすかに動き、色を変えるつた。
「この粘菌のような巨大な単細胞生物に世界のすべてを演算をさせているのよ・・・
エネルギーの供給はきっとあの中央のまゆからね。
生物を使うとは、まったくたいしたものね・・・その発想はなかったわ・・・」
蔦をナイフで傷つけるクリス。中から血液のような液体が出てくる。
別の場所を傷つけると血液の色が違う。
ミグ「・・・データベースなんだ・・・これまで現れたすべての生き物の」
クリス「これがセフィロトの樹の正体・・・コロナドの叡智・・・」
マーガレット「まさか四方数kmにも及ぶ巨大な生物だったとは残念ね。
とてもじゃないけど博物館へ運び出せるようなものじゃないわクリス。」
ライト「ここ自体が博物館みたいなもんやもんな」
クリス「いや・・・これはスタータブレットじゃない。きっとあの繭の中だ。」
ライト「やっぱり行くんやな」
クリス「もちろん」
・
黄金色に輝く繭の中に入るクリス
クリスの目の前にはついに長いあいだ探し続けていたもの・・・
スタータブレットが中央で浮いている。
クリス「あった・・・!」
スタータブレットを手に取るクリス
クリス「あった・・・!!」
クリスが持ったことでスタータブレットが反応し、マックの起動音を鳴らす。
タブレットの画面が付き、メニュー画面が表示される。
最初は画面の言語がわからなかったが、そのうちに形を変えて英語になっていく。
スタータブレット「表示言語を最適化しました。お調べになりたい情報をメニュー画面からどうぞ」
クリス「すげええええ!!!!!」
大はしゃぎでタッチパネルになっている画面をスクロールさせるクリス。
クリス「人はなんで生まれて、死んだらどうなるのか・・・なんでも書いてあるぞ・・・!
へ~宇宙が11次元ってそういうことだったのか!
すげえすげえすげえ!!!」
振り返るクリス
「おい、みんなちょっと来いよ!死ぬってどういうことかわかったよ?
実は私たちって死んだら・・・」
マルドゥク「どうなるんだ?」
クリス「あ・・・」
「そこまでだ、教授。その板をよこしな。その答え合わせをしたくなかったらな・・・」
ギャングにライトたちが捕まっている。
マルドゥク「言っとくが今回は毒なんて撃たねえぞ。一撃でこいつの脳みそぶちまけてやる」
クリス「ライト・・・」
ライト「教授・・・すまん」
マルドゥク「どうする?」
クリス「・・・分かった。スタータブレットはくれてやる。
だから他の人間は傷つけないと約束してくれ。私の・・・大切な家族なんだ」
マルドゥク「やっと大人になったな、教授・・・いいだろう」
マーガレット「クリストファー・・・」
ライト「そいつに石版をやったらあかん!」
クリス「いいんだライト・・・」
石版をマルドゥクに渡すクリス
マルドゥク「お利口だ」
石版を受け取るマルドゥク。
そしてミグに銃を向ける。
ミグ「え・・・?」
マルドゥク「だが、こいつはお前の家族じゃねえ」
クリス「・・・・・・!」
ライト「やめろ!」
引き金を引くマルドゥク。
銃声。
『80日間宇宙一周 The Stargazer』脚本⑧
2013-02-03 01:51:38 (12 years ago)
神殿上空を飛ぶリンドバーグ号。
ライト「あいつら、教授に扉を開けさせるつもりや・・・」
ミグ「どうする?」
ライト「あのままだと教授は有罪確定や。助け出す。」
祭壇に上がって石畳の記号を読むクリス
「王冠」「知恵」「理解」「慈悲」「王国」「知識」「美」「勝利」「基礎」「栄光」「峻厳」・・・
マルドゥク「なんだそら」
石畳の図像を見つめるクリス「これはセフィロトの樹だよ。
その果実を食べると神と等しい力を得ることができる・・・」
マルドゥク「そいつは味わってみてえ」
クリス「私の説ではその正体はエメラルドでできた石版だがね・・・」
アストライア大神殿にプロペラ音が聞こえてくる
空を見上げ瀑布の向こうを指さすギャング「ボス!」
マルドゥク「息子か・・・」
ロケット砲を構えるギャング「撃ち落としますか!?」
マルドゥク「まあ待て・・・家族を再会させてやろう」
接近するリンドバーグ号を見上げるクリス「ライト・・・」
ジェットの向きを変え大瀑布の中央に垂直に着陸するリンドバーグ号。
船から降りてくるライト「教授!」
クリス「連れ戻しに来たのか・・・」
ライト「いや・・・スタータブレットを見つけるで・・・」
クリス「え・・・?」
リンドバーグ号にマーガレットがいるのに気づくクリス
マーガレットを呼ぶライト「母さん!」
ミグに促されて降りてくるマーガレット。
クリス「マーガレット・・・」
マーガレット「なにも言わないで」
ライト達に銃を突きつけるギャング
マルドゥク「一家が集合ってか」
マーガレット「随分出世したわね、あなた・・・」
マルドゥク「おかげさまでな。さあ扉を開いてもらおうか。アレゴリー先生」
マーガレット「誰が協力するといったの?」
マルドゥク「この状況を見て言ってんのか?てめえの息子をいつでも蜂の巣に出来るんだぞ」
マーガレット「やれやれ・・・20年前あんたを雇うんじゃなかったわ・・・」
神殿のオベリスクに近づくマーガレット
オベリスクに彫られた文字を読む。
「神の力は太陽系に文明をもたらした。
冥王星には苦難を受け入れる強さを
海王星には恵みの海と安らぎを
天王星には宇宙と調和するための音楽を
土星には病を癒す奇跡を
木星には知恵と多様な生命を
火星には団結し戦う勇気を
地球には気高い誇りと自由を
ゼウス 記・・・」
マーガレットのとなりでオベリスクを見つめるクリス
マーガレット「このオベリスクが女神の聖域のヒントのようね」
クリス「木星には知恵と生命を・・・私が思ったとおりだ・・・」
マルドゥク「おい時間稼ぎはオレには通用しねえぞ」
クリス「学問には時間がかかるんだ」
マーガレット「20年間待ったのにそれを無駄にしたいの?」
マルドゥク「てめえら・・・」
二人を見て微笑むライト
ライト「ああなると誰にも止められへん・・・」
マルドゥク「そうか・・・」
ライトにエアライフルを撃つマルドゥク
クリスとマーガレット「!!」
ライトに駆け寄ろうとするミグ「ライト!!」
ミグに銃を向けるギャングたち
マルドゥク「動くな!」
首をおさえるライト。首にはダートが突き刺さっている。
苦しむライト「ぐ・・・!」
マルドゥク「そいつはアンフィスバエニアオオムカデの毒牙から抽出した猛毒でな・・・
激しい出血と皮膚の爛れで苦しみながら死んでいくんだ・・・」
クリス「ああ、毒物マニアだった女王ラトナの記録では最も悲惨な死に方をしたっていう・・・」
マーガレット「解説してる場合じゃないでしょ!」
マルドゥク「10分以内にこの血清を打たなければ、お前らの息子は手遅れだ・・・」
マーガレット「10分以内って・・・本当に聖域の謎はわからないのよ!」
クリス「そうだ!この神殿自体初めて来たんだぞ!」
マルドゥク「じゃあ息子はまた作るんだな。」
痙攣するライト。とうとう地面に倒れる。
ミグ「やめろ!なんでもする!なんでもするからそいつを助けてくれ!」
ミグの方を振り返るマルドゥク「なんでもする・・・?」
ミグを不安そうに見つめるクリスとマーガレット。
ライト「やめろ・・・ミグ・・・あかん・・・」
マルドゥク「ならば、お前が扉を開けろ。」
星の欠片を持って祭壇に上がるミグ。
クリス「あの人、扉の開け方を知っているのか・・・?」
マーガレット「まさか・・・考古学の知識なんて何もなかったわよ」
クリス「じゃ、なんで・・・」
マルドゥク「綺麗な女が醜く炭化していくのは一興だな」
汗でぐっしょりのミグ「落ち着け・・・考えろ・・・」
深呼吸をして目を瞑る。
記憶がめまぐるしくかけまわる。
「アストライアの大神殿と迷宮は、探求者に試練を与えるであろう
星の運河を辿り、星の欠片を手にした女神の舞によって真実の扉は開かれるのだ」
「女神は神殿の扉を開き王の帰還を待ち続けた・・・何年も何十年も・・・」
マーガレット(このオベリスクが女神の聖域のヒントのようね)
サーシャ(舞いの各振り付けはそれぞれの惑星に対応しているの)
ケセド(我々は過去を完全に消し去ることはできない。それらは物語の形であれ、文化風習の形であれ・・・形を変えて残っているものだ・・・)
何かを閃くミグ「もしかして・・・」
マルドゥク「どうした?怖気づいたか、女」
泡を吹くライト「ミグ・・・オレはもうええ・・・やめろ・・・」
ミグ「なら私も一緒に行くよ・・・」
台座に星の欠片をセットするミグ。
周りの石柱が動き出す。
ライト「あかん・・・」
ミグ「最初のステップは・・・」
中央のオリハルコンから光線が発射される
「西・・・!」
石柱の反射板から跳ね返ってきた光線をよけるミグ。
だがよけた光線が再び反対側の石柱に跳ね返ってミグを襲う。
マーガレット「危ない・・・!」
ミグ「冥王星には苦難を受け入れる強さを・・・!」
体を右にひねって光線を避けるミグ。
クリス「よけた!」
片腕を上げるミグ「海王星には恵みの海と安らぎを」
そのまま一回転する「天王星には宇宙と調和するための音楽を」
ステップで次々に飛んでくる光線をかわし続けるミグ。
バックステップで光線を交わしたあと腰をかがめて両手を広げるミグ。
「土星には病を癒す奇跡・・・」
頭上スレスレを光線が飛んでいく。
「木星には知恵と多様な生命を・・・」
マルドゥク「踊ってやがる・・・」
美しく舞い続けるミグに見とれる瀕死のライト「ミグ・・・」
「地球には気高い誇りと自由を・・・」
最後の光線をかわして踊り終えるミグ
石柱の回転が止まる。
息を切らすミグ
手を叩くマルドゥク
その直後神殿全体が振動する。
石畳の床の溝が赤く発光し、地面が動き出す。
女神の聖域が3っつに分かれ、同心円状に広がりだし、それぞれが遠ざかる。
ギャング「離れろ・・・!」
祭壇の中央に巨大なトンネルが口を開ける。
振動が止まる。
ミグ「扉はあけたぞ!血清を打ってくれ!!」
立ち上がるマルドゥク。トンネルの方へ歩き出す。
ミグとすれ違いざま、背中越しに血清の注射器を放り投げる。
慌てて注射器をキャッチするミグ。
ライフルのバレルの下に取り付けられた照明を付けるマルドゥク「いくぞ」
ぞろぞろとトンネルに入っていく武装したギャングたち。
神殿に取り残される四人。
ライトに血清を打つミグ
ライトの顔色が徐々に良くなっていく
ミグ「ライト・・」
力なくつぶやくライト「まったくこの星では踏んだり蹴ったりや・・・」
マーガレット「よかった・・・」
ライト「泣くなよ母さん・・・」
マーガレット「泣いてないわよ。これは水しぶきが目に付いただけ」
ミグに向き直るクリス「ありがとう、ええと・・・」
ミグ「ミグ・・・ミグ・チオルコフスキーです。」
クリス「あなたが・・・」
ライト「いいやつやろ・・・」
クリス「ああ、いい人だ・・・」
よろよろと立ち上がるライト「って、こうしちゃおれん・・・」
肩を貸すミグ「ライト立てるのか・・・?」
ライト「マルドゥクは行っちまった。あいつよりも先にスタータブレットを見つけんと・・・」
マーガレット「もういいじゃない。命を捨ててまで探すようなもんじゃないわ・・・」
ライト「いや、神殿を開けちまった以上、最後までやらんと・・・
それにこれはオレたち家族の問題でもあるんやないか」
ミグ「ライト・・・」
ライト「ミグにも来てほしいんやけど・・・」
ミグ「もちろん。バイザック大佐に約束したしな。」
クリスに振り返るライト「教授は・・・?」
クリストファーがいない
ミグ「待ちきれなかったようだな・・・」
ライト「たしかこの先は迷宮になっているんやなかったっけか・・・」
マーガレット「どうしようもないひと・・・」
ライト「じゃあ迷子を探しに行くか」
ランタンを灯して迷宮の闇に足を踏み入れる三人。
ライト「あいつら、教授に扉を開けさせるつもりや・・・」
ミグ「どうする?」
ライト「あのままだと教授は有罪確定や。助け出す。」
祭壇に上がって石畳の記号を読むクリス
「王冠」「知恵」「理解」「慈悲」「王国」「知識」「美」「勝利」「基礎」「栄光」「峻厳」・・・
マルドゥク「なんだそら」
石畳の図像を見つめるクリス「これはセフィロトの樹だよ。
その果実を食べると神と等しい力を得ることができる・・・」
マルドゥク「そいつは味わってみてえ」
クリス「私の説ではその正体はエメラルドでできた石版だがね・・・」
アストライア大神殿にプロペラ音が聞こえてくる
空を見上げ瀑布の向こうを指さすギャング「ボス!」
マルドゥク「息子か・・・」
ロケット砲を構えるギャング「撃ち落としますか!?」
マルドゥク「まあ待て・・・家族を再会させてやろう」
接近するリンドバーグ号を見上げるクリス「ライト・・・」
ジェットの向きを変え大瀑布の中央に垂直に着陸するリンドバーグ号。
船から降りてくるライト「教授!」
クリス「連れ戻しに来たのか・・・」
ライト「いや・・・スタータブレットを見つけるで・・・」
クリス「え・・・?」
リンドバーグ号にマーガレットがいるのに気づくクリス
マーガレットを呼ぶライト「母さん!」
ミグに促されて降りてくるマーガレット。
クリス「マーガレット・・・」
マーガレット「なにも言わないで」
ライト達に銃を突きつけるギャング
マルドゥク「一家が集合ってか」
マーガレット「随分出世したわね、あなた・・・」
マルドゥク「おかげさまでな。さあ扉を開いてもらおうか。アレゴリー先生」
マーガレット「誰が協力するといったの?」
マルドゥク「この状況を見て言ってんのか?てめえの息子をいつでも蜂の巣に出来るんだぞ」
マーガレット「やれやれ・・・20年前あんたを雇うんじゃなかったわ・・・」
神殿のオベリスクに近づくマーガレット
オベリスクに彫られた文字を読む。
「神の力は太陽系に文明をもたらした。
冥王星には苦難を受け入れる強さを
海王星には恵みの海と安らぎを
天王星には宇宙と調和するための音楽を
土星には病を癒す奇跡を
木星には知恵と多様な生命を
火星には団結し戦う勇気を
地球には気高い誇りと自由を
ゼウス 記・・・」
マーガレットのとなりでオベリスクを見つめるクリス
マーガレット「このオベリスクが女神の聖域のヒントのようね」
クリス「木星には知恵と生命を・・・私が思ったとおりだ・・・」
マルドゥク「おい時間稼ぎはオレには通用しねえぞ」
クリス「学問には時間がかかるんだ」
マーガレット「20年間待ったのにそれを無駄にしたいの?」
マルドゥク「てめえら・・・」
二人を見て微笑むライト
ライト「ああなると誰にも止められへん・・・」
マルドゥク「そうか・・・」
ライトにエアライフルを撃つマルドゥク
クリスとマーガレット「!!」
ライトに駆け寄ろうとするミグ「ライト!!」
ミグに銃を向けるギャングたち
マルドゥク「動くな!」
首をおさえるライト。首にはダートが突き刺さっている。
苦しむライト「ぐ・・・!」
マルドゥク「そいつはアンフィスバエニアオオムカデの毒牙から抽出した猛毒でな・・・
激しい出血と皮膚の爛れで苦しみながら死んでいくんだ・・・」
クリス「ああ、毒物マニアだった女王ラトナの記録では最も悲惨な死に方をしたっていう・・・」
マーガレット「解説してる場合じゃないでしょ!」
マルドゥク「10分以内にこの血清を打たなければ、お前らの息子は手遅れだ・・・」
マーガレット「10分以内って・・・本当に聖域の謎はわからないのよ!」
クリス「そうだ!この神殿自体初めて来たんだぞ!」
マルドゥク「じゃあ息子はまた作るんだな。」
痙攣するライト。とうとう地面に倒れる。
ミグ「やめろ!なんでもする!なんでもするからそいつを助けてくれ!」
ミグの方を振り返るマルドゥク「なんでもする・・・?」
ミグを不安そうに見つめるクリスとマーガレット。
ライト「やめろ・・・ミグ・・・あかん・・・」
マルドゥク「ならば、お前が扉を開けろ。」
星の欠片を持って祭壇に上がるミグ。
クリス「あの人、扉の開け方を知っているのか・・・?」
マーガレット「まさか・・・考古学の知識なんて何もなかったわよ」
クリス「じゃ、なんで・・・」
マルドゥク「綺麗な女が醜く炭化していくのは一興だな」
汗でぐっしょりのミグ「落ち着け・・・考えろ・・・」
深呼吸をして目を瞑る。
記憶がめまぐるしくかけまわる。
「アストライアの大神殿と迷宮は、探求者に試練を与えるであろう
星の運河を辿り、星の欠片を手にした女神の舞によって真実の扉は開かれるのだ」
「女神は神殿の扉を開き王の帰還を待ち続けた・・・何年も何十年も・・・」
マーガレット(このオベリスクが女神の聖域のヒントのようね)
サーシャ(舞いの各振り付けはそれぞれの惑星に対応しているの)
ケセド(我々は過去を完全に消し去ることはできない。それらは物語の形であれ、文化風習の形であれ・・・形を変えて残っているものだ・・・)
何かを閃くミグ「もしかして・・・」
マルドゥク「どうした?怖気づいたか、女」
泡を吹くライト「ミグ・・・オレはもうええ・・・やめろ・・・」
ミグ「なら私も一緒に行くよ・・・」
台座に星の欠片をセットするミグ。
周りの石柱が動き出す。
ライト「あかん・・・」
ミグ「最初のステップは・・・」
中央のオリハルコンから光線が発射される
「西・・・!」
石柱の反射板から跳ね返ってきた光線をよけるミグ。
だがよけた光線が再び反対側の石柱に跳ね返ってミグを襲う。
マーガレット「危ない・・・!」
ミグ「冥王星には苦難を受け入れる強さを・・・!」
体を右にひねって光線を避けるミグ。
クリス「よけた!」
片腕を上げるミグ「海王星には恵みの海と安らぎを」
そのまま一回転する「天王星には宇宙と調和するための音楽を」
ステップで次々に飛んでくる光線をかわし続けるミグ。
バックステップで光線を交わしたあと腰をかがめて両手を広げるミグ。
「土星には病を癒す奇跡・・・」
頭上スレスレを光線が飛んでいく。
「木星には知恵と多様な生命を・・・」
マルドゥク「踊ってやがる・・・」
美しく舞い続けるミグに見とれる瀕死のライト「ミグ・・・」
「地球には気高い誇りと自由を・・・」
最後の光線をかわして踊り終えるミグ
石柱の回転が止まる。
息を切らすミグ
手を叩くマルドゥク
その直後神殿全体が振動する。
石畳の床の溝が赤く発光し、地面が動き出す。
女神の聖域が3っつに分かれ、同心円状に広がりだし、それぞれが遠ざかる。
ギャング「離れろ・・・!」
祭壇の中央に巨大なトンネルが口を開ける。
振動が止まる。
ミグ「扉はあけたぞ!血清を打ってくれ!!」
立ち上がるマルドゥク。トンネルの方へ歩き出す。
ミグとすれ違いざま、背中越しに血清の注射器を放り投げる。
慌てて注射器をキャッチするミグ。
ライフルのバレルの下に取り付けられた照明を付けるマルドゥク「いくぞ」
ぞろぞろとトンネルに入っていく武装したギャングたち。
神殿に取り残される四人。
ライトに血清を打つミグ
ライトの顔色が徐々に良くなっていく
ミグ「ライト・・」
力なくつぶやくライト「まったくこの星では踏んだり蹴ったりや・・・」
マーガレット「よかった・・・」
ライト「泣くなよ母さん・・・」
マーガレット「泣いてないわよ。これは水しぶきが目に付いただけ」
ミグに向き直るクリス「ありがとう、ええと・・・」
ミグ「ミグ・・・ミグ・チオルコフスキーです。」
クリス「あなたが・・・」
ライト「いいやつやろ・・・」
クリス「ああ、いい人だ・・・」
よろよろと立ち上がるライト「って、こうしちゃおれん・・・」
肩を貸すミグ「ライト立てるのか・・・?」
ライト「マルドゥクは行っちまった。あいつよりも先にスタータブレットを見つけんと・・・」
マーガレット「もういいじゃない。命を捨ててまで探すようなもんじゃないわ・・・」
ライト「いや、神殿を開けちまった以上、最後までやらんと・・・
それにこれはオレたち家族の問題でもあるんやないか」
ミグ「ライト・・・」
ライト「ミグにも来てほしいんやけど・・・」
ミグ「もちろん。バイザック大佐に約束したしな。」
クリスに振り返るライト「教授は・・・?」
クリストファーがいない
ミグ「待ちきれなかったようだな・・・」
ライト「たしかこの先は迷宮になっているんやなかったっけか・・・」
マーガレット「どうしようもないひと・・・」
ライト「じゃあ迷子を探しに行くか」
ランタンを灯して迷宮の闇に足を踏み入れる三人。
『80日間宇宙一周 The Stargazer』脚本⑦
2013-02-03 01:46:09 (12 years ago)
トートの中央の広場にある噴水。
噴水に座って珍しく一人でぼんやりとしているライト。
ライト「どうすりゃええっていうんや・・・」
ライトに近づくミグ「お父さん・・・ギャングに殺されるぞ」
ライト「しゃあないやろ、母さんがほっとけちゅうたんや」
「あまり人の家庭に口を出したくはないんだが・・・許してくれ。」
ライトの隣に座るミグ。
微笑むミグ「冥王星人って意外とおせっかいなんだ」
家族のことを話し始めるライト
「ああ見えても若い頃は二人でスタータブレットを探していたんや。
母さんが古代文明の文字を解読する際に訪ねていったのが教授の研究室やったから・・・」
黙って話を聞くミグ。
「教授が出て行ったあと、母さんは女手一つでオレを育ててくれて、大学まで行かせてくれた。
母さんには感謝してるけど・・・母親というよりは・・・学校の先生みたいやった。
母さんはどんなことが起こっても“書斎にいる”んや・・・
あの頃のオレは親から自立したかったし、何事にも動じない母さんの気が引きたかった。
だから戦争が始まった時、レオナと一緒に家を飛び出したんや・・・」
「それでお母さんに後ろめたさがあるんだな・・・」
「今考えればアホなことをしたわ。オレら親子は二度も母さんを置き去りにしてしもうた・・・」
「私思うんだ・・・自立や独立っていうのは、これまでの関係をすべて絶って自分ひとりで生きていくことじゃないんじゃないか?」
「・・・・・・。」
「私は20年間たった一人で生きてきた・・・いや、周囲には私を気にかけてくれる仲間もいたのに、彼らの声を無視し続けていたんだ・・・大切な人を再び失うのが怖かったから・・・
後悔してる。
あの20年は二度と帰ってこないけど・・・でも、そのおかげで今の私がいる。」
噴水から立ち上がるミグ
「いくら自分を傷つけても過去は変えられない・・・でも・・・過去は過去なんだよ」
「・・・・・・。」
微笑むミグ「ま、これは私が尊敬する人物の言葉だが。」
「所さんやないんか・・・」
「ひとりで抱え込むなよ。さみしいじゃないか。私だって力になりたいんだ。」
鼻歌を歌いながら教会に戻っていくミグ
「♪梅雨どきに元気なのはカタツムリ~元気なのに遅い」
幼い頃の父親との思い出を思い出すライト
公園でライトがクラスの悪ガキにバカにされる
「お前の親父はホラ吹きや!」
「神が四角い板なんて本気で言うとるけど、頭おかしいんちゃうんか!」
「そんなもんあるわけないやろ」
自分の息子がいじめられるのを見かけるクリス。
子どもたちに割って入る勇気が出ない。
公園でひとりで泣いているライト。
公園に入ってくるクリス。
ライト「お父さん・・・お父さんは嘘つきじゃないよね??」
ライトの頭を撫でて微笑んでうなずくクリス「ああ・・・」
いじめられたライトを肩車するクリス「パパは必ずスタータブレットを見つけてみせるからな」
「約束だよ」
「ああ・・・約束だ・・・」
・
教会に入ってくるライト
「・・・母さん、あのバカ親父を捕まえに行くで。」
マーガレット「冗談じゃないわ・・・」
ライト「いつまで意地張ってるつもりや!
・・・確かに教授はどうしょうもないやっちゃ。
でもどうしょうもないやつなら見捨ててええんか?オレたちは家族やろ。」
「あなたをあんな目に遭わせた男よ?」
「それでもオレにとっちゃたった一人の父親なんや・・・」
「ならあなたが一人で迎えに行きなさい。」
「いや、あかん。オレたち3人でスタータブレットを見つけるんや。」
「・・・何考えてるの?」
「親孝行や」
・
スターライン運河
モーターボートで運河を下るライト、マーガレット、ミグ。後ろではケセドが舵を取っている。
ライト「まずはコロシアムに行ってくれ。オレの船がそこにあるんや」
ケセド「了解」
EM銃の手入れをするミグ。
マーガレット「随分物騒なものを持っているのね」
ミグ「ライトの話によればコロシアムにはクモの怪物がいるそうなんです」
ケセド「ハインラインスパイダーだ。」
ミグ「ハインラインスパイダー?」
ケセド「木星最大最強の肉食動物だ。巨大で俊敏。厄介なやつだ・・・
古代木星では異教徒をコロシアムに閉じ込めて彼らの餌にしていたそうだ」
弾を装填するミグ「やっつけてやりましょう・・・」
ため息をついて本を開くマーガレット
川を下っていくと巨大なコロシアムが見えてくる。
コロシアムの入口でモーターボートを止めるケセド。
コロシアムを取り巻く景観は以前とはうって変わっており、運河の真ん中で浅く水に浸かっている。
ミグ「美しくも不気味な静けさってところだな。例の怪物は見えるか?」
双眼鏡を取り出すケセド「待ってくれ」
ライト「水に流されたってことはないんかな」
双眼鏡を構えるケセド「それならばありがたいが・・・」
コロシアムの奥にリンドバーグ号が水に浮いている、
ケセド「船はあったぞ」
ミグ「動くのか?」
ライト「海王星の一件以来防水処理はした。
問題はつまった砂と凹みやけど、どうにかなるやろ。」
マーガレット「遠いわね・・・あそこまで行けない?」
ケセド「モーター音で怪物に気づかれたら危険だ」
ライト「ならいい考えがあるで」
コロシアムの中央部へ進んでいくモーターボート。
折れた巨大な柱の影からハインラインスパイダーが姿を見せる。
八つの目でボートを凝視するクモの怪物。
進み続けるボート。柱の影で全く動かないハインラインスパイダー。
だしぬけにボートに猛スピードで突っ込んでいく巨大グモ。
アメンボのように水面を滑り、脚は水を弾く時以外はほとんど動かしていない。
ボートの方に怪物が引き寄せられるのを見てコロシアムの奥へ走っていく一行、
「よし今や!母さんから行って!」
ブツブツ言いながら走り出すマーガレット「あんな生き物絶滅すればいいのに・・・」
ボートにあっさり追いつき大きな顎で捕まえるハインラインスパイダー。
脚と顎でボートを叩き壊していくが、獲物の姿はない。激怒する怪物。
「キシャー」
コロシアムの奥を振り返るハインラインスパイダー。
見るとリンドバーグ号に人間が乗り込もうとしている。
リンドバーグ号にマーガレットを乗せるライト。
ライト「急げ母さん!」
マーガレット「段差が・・・」
リンドバーグ号の前でクモを見張るミグ「まだかライト!」
コックピットに乗り込むやいなや計器を操作するライト
「頼むで、動いてくれ・・・!」
ボートを放り投げてハインラインスパイダーが猛スピードでリンドバーグ号へ向かってくる。
ミグ「速い・・・!」
EM銃を構えて、狙いを付け接近する怪物に向けて撃つミグ。
プラズマ化した銃弾はクモの頭部に命中するが、ひるまず突っ込んでくる。
ミグ「EM銃が効かない!!??」
クモをアサルトライフルで銃撃するケセド「脚だ!脚の関節を狙え!!」
銃撃をものともせず、どんどんリンドバーグ号に近づいてくるハインラインスパイダー
意を決するケセド「・・・私が囮になる」
ミグ「バカな!あなたも!」
ケセド「だが同じ戦士として誓ってくれ。
セレマの意志に従い、マルドゥクの野望を阻止すると・・・!」
ハインラインスパイダーのほうへ駆け出すケセド。
ミグ「ケセド!」
ケセド「頼んだぞ!」
ハッチから身を乗り出すライト「ミグ乗れ!!」
ケセドを援護射撃するミグ「彼を見捨てられない!」
ハインラインスパイダーを至近距離で銃撃するケセド「うおおおおお!」
クモはケセドを顎で挟んで軽々と持ち上げる。
ケセドは構わずEM銃でもろくなった外骨格を銃撃し続ける。
ハインラインスパイダーの鋏角の一つが吹き飛び青色の血が吹き出る。
加勢しようとするミグ「ケセド!」
ライト「ミグ!ここでみんなやられたら何のためにあいつは命を捨てて戦ってるんや!」
ミグ「・・・・・・!」
コロシアムから離陸するリンドバーグ号。
断末魔の叫びを上げて大地に崩れるハインラインスパイダー。水しぶきが上がる。
コロシアムでハインラインスパイダーと刺し違えるケセド。
仰向けになって太陽を見つめるケセド「神よこの命返すぞ・・・」
・
扉の神殿――アストライア大神殿。
スターライン運河の先にあるガニメデ大瀑布の中央にある、四方を滝に囲まれた神殿。
神殿は水上の四角い広場の上に建設されていて、人工島のようになっている。
ボートから降りて、神殿に積荷を下ろすギャングたち。
水しぶきと霧で虹がかかっている。
古地図を確認するマルドゥク「ここだ・・・ついに見つけた・・・」
広場の中央には「女神の聖域」と呼ばれる、奇妙な石柱に囲まれた祭壇のようなものがある。
祭壇の床には、絵文字のような記号が書かれたスイッチのようなものが規則正しく並んでいる。
直径50センチほどの円形のスイッチの数は11で、各スイッチは石畳の床の隙間に埋め込まれたエネルギーを供給するチューブのようなもので繋がっている。
石柱の数も11だ。そのさらに奥にはオベリスクが建っている。
ギャング「これは・・・?」
マルドゥク「鍵穴だ」
祭壇の中央には星の欠片を捧げる台がある。
星の欠片(オリハルコン)を取り出し台座に置こうとするマルドゥク。
クリス「本当に置いてしまうのかな」
女神の聖域に歩いてくるクリス。
銃を突きつけるギャングたち「クリストファーてめえ・・・!」
マルドゥク「生きてたのか・・・」
ギャング「引田天功みたいなやつだ・・・」
台座を見つめるクリス
クリス「伝説の墓荒らしローズ・シュナイダーを覚えてないかね」
マルドゥク「なに?」
クリス「200年前、トートの礼拝堂からアストライア像の宝石を盗み出し、この聖域にかざした。
今のキミのように・・・どうなったかね?」
マルドゥク「・・・脅しているのか?」
クリス「忠告だよ」
部下にオリハルコンを渡すマルドゥク。
「ありがとよ。だがお前には、これはやらねえ。(部下に)お前がやれ。」
オリハルコンを台座にセットする手下のギャング。
台座にカチリとはまったオリハルコンの結晶に地面からエネルギーが注入される。
石畳の床をはうチューブにもエネルギーが流れ込み、赤く光り出す。
祭壇を取り囲む石柱が音を立てて左右にスライドしていく。
マルドゥク「なにが起こるんだ・・・?」
だしぬけにオリハルコンの結晶から赤い光線が四方に飛び出す。
その光線の一つが動き続ける石柱の反射板にあたって跳ね返り、台座の方に立っているギャングの体を貫く。
叫び声を上げるギャング。ギャングの体は熱されて、どんどん炭化していく。
石畳の床に倒れるギャングだった炭。その衝撃で粉々になった炭は風でどこかへ飛んでいく。
台座からポトンと落ちる星のかけら。
クリス「ほらね・・・」
マルドゥク「てめえわかっていたのか・・・」
クリス「NG例だけね・・・愚かな墓荒らしは正義の女神によって裁かれる」
星の欠片をクリスに放り投げるマルドゥク「じゃあ今度はお前の番だ」
星の欠片を受け取るクリス
マルドゥク「裁いてもらえ」
噴水に座って珍しく一人でぼんやりとしているライト。
ライト「どうすりゃええっていうんや・・・」
ライトに近づくミグ「お父さん・・・ギャングに殺されるぞ」
ライト「しゃあないやろ、母さんがほっとけちゅうたんや」
「あまり人の家庭に口を出したくはないんだが・・・許してくれ。」
ライトの隣に座るミグ。
微笑むミグ「冥王星人って意外とおせっかいなんだ」
家族のことを話し始めるライト
「ああ見えても若い頃は二人でスタータブレットを探していたんや。
母さんが古代文明の文字を解読する際に訪ねていったのが教授の研究室やったから・・・」
黙って話を聞くミグ。
「教授が出て行ったあと、母さんは女手一つでオレを育ててくれて、大学まで行かせてくれた。
母さんには感謝してるけど・・・母親というよりは・・・学校の先生みたいやった。
母さんはどんなことが起こっても“書斎にいる”んや・・・
あの頃のオレは親から自立したかったし、何事にも動じない母さんの気が引きたかった。
だから戦争が始まった時、レオナと一緒に家を飛び出したんや・・・」
「それでお母さんに後ろめたさがあるんだな・・・」
「今考えればアホなことをしたわ。オレら親子は二度も母さんを置き去りにしてしもうた・・・」
「私思うんだ・・・自立や独立っていうのは、これまでの関係をすべて絶って自分ひとりで生きていくことじゃないんじゃないか?」
「・・・・・・。」
「私は20年間たった一人で生きてきた・・・いや、周囲には私を気にかけてくれる仲間もいたのに、彼らの声を無視し続けていたんだ・・・大切な人を再び失うのが怖かったから・・・
後悔してる。
あの20年は二度と帰ってこないけど・・・でも、そのおかげで今の私がいる。」
噴水から立ち上がるミグ
「いくら自分を傷つけても過去は変えられない・・・でも・・・過去は過去なんだよ」
「・・・・・・。」
微笑むミグ「ま、これは私が尊敬する人物の言葉だが。」
「所さんやないんか・・・」
「ひとりで抱え込むなよ。さみしいじゃないか。私だって力になりたいんだ。」
鼻歌を歌いながら教会に戻っていくミグ
「♪梅雨どきに元気なのはカタツムリ~元気なのに遅い」
幼い頃の父親との思い出を思い出すライト
公園でライトがクラスの悪ガキにバカにされる
「お前の親父はホラ吹きや!」
「神が四角い板なんて本気で言うとるけど、頭おかしいんちゃうんか!」
「そんなもんあるわけないやろ」
自分の息子がいじめられるのを見かけるクリス。
子どもたちに割って入る勇気が出ない。
公園でひとりで泣いているライト。
公園に入ってくるクリス。
ライト「お父さん・・・お父さんは嘘つきじゃないよね??」
ライトの頭を撫でて微笑んでうなずくクリス「ああ・・・」
いじめられたライトを肩車するクリス「パパは必ずスタータブレットを見つけてみせるからな」
「約束だよ」
「ああ・・・約束だ・・・」
・
教会に入ってくるライト
「・・・母さん、あのバカ親父を捕まえに行くで。」
マーガレット「冗談じゃないわ・・・」
ライト「いつまで意地張ってるつもりや!
・・・確かに教授はどうしょうもないやっちゃ。
でもどうしょうもないやつなら見捨ててええんか?オレたちは家族やろ。」
「あなたをあんな目に遭わせた男よ?」
「それでもオレにとっちゃたった一人の父親なんや・・・」
「ならあなたが一人で迎えに行きなさい。」
「いや、あかん。オレたち3人でスタータブレットを見つけるんや。」
「・・・何考えてるの?」
「親孝行や」
・
スターライン運河
モーターボートで運河を下るライト、マーガレット、ミグ。後ろではケセドが舵を取っている。
ライト「まずはコロシアムに行ってくれ。オレの船がそこにあるんや」
ケセド「了解」
EM銃の手入れをするミグ。
マーガレット「随分物騒なものを持っているのね」
ミグ「ライトの話によればコロシアムにはクモの怪物がいるそうなんです」
ケセド「ハインラインスパイダーだ。」
ミグ「ハインラインスパイダー?」
ケセド「木星最大最強の肉食動物だ。巨大で俊敏。厄介なやつだ・・・
古代木星では異教徒をコロシアムに閉じ込めて彼らの餌にしていたそうだ」
弾を装填するミグ「やっつけてやりましょう・・・」
ため息をついて本を開くマーガレット
川を下っていくと巨大なコロシアムが見えてくる。
コロシアムの入口でモーターボートを止めるケセド。
コロシアムを取り巻く景観は以前とはうって変わっており、運河の真ん中で浅く水に浸かっている。
ミグ「美しくも不気味な静けさってところだな。例の怪物は見えるか?」
双眼鏡を取り出すケセド「待ってくれ」
ライト「水に流されたってことはないんかな」
双眼鏡を構えるケセド「それならばありがたいが・・・」
コロシアムの奥にリンドバーグ号が水に浮いている、
ケセド「船はあったぞ」
ミグ「動くのか?」
ライト「海王星の一件以来防水処理はした。
問題はつまった砂と凹みやけど、どうにかなるやろ。」
マーガレット「遠いわね・・・あそこまで行けない?」
ケセド「モーター音で怪物に気づかれたら危険だ」
ライト「ならいい考えがあるで」
コロシアムの中央部へ進んでいくモーターボート。
折れた巨大な柱の影からハインラインスパイダーが姿を見せる。
八つの目でボートを凝視するクモの怪物。
進み続けるボート。柱の影で全く動かないハインラインスパイダー。
だしぬけにボートに猛スピードで突っ込んでいく巨大グモ。
アメンボのように水面を滑り、脚は水を弾く時以外はほとんど動かしていない。
ボートの方に怪物が引き寄せられるのを見てコロシアムの奥へ走っていく一行、
「よし今や!母さんから行って!」
ブツブツ言いながら走り出すマーガレット「あんな生き物絶滅すればいいのに・・・」
ボートにあっさり追いつき大きな顎で捕まえるハインラインスパイダー。
脚と顎でボートを叩き壊していくが、獲物の姿はない。激怒する怪物。
「キシャー」
コロシアムの奥を振り返るハインラインスパイダー。
見るとリンドバーグ号に人間が乗り込もうとしている。
リンドバーグ号にマーガレットを乗せるライト。
ライト「急げ母さん!」
マーガレット「段差が・・・」
リンドバーグ号の前でクモを見張るミグ「まだかライト!」
コックピットに乗り込むやいなや計器を操作するライト
「頼むで、動いてくれ・・・!」
ボートを放り投げてハインラインスパイダーが猛スピードでリンドバーグ号へ向かってくる。
ミグ「速い・・・!」
EM銃を構えて、狙いを付け接近する怪物に向けて撃つミグ。
プラズマ化した銃弾はクモの頭部に命中するが、ひるまず突っ込んでくる。
ミグ「EM銃が効かない!!??」
クモをアサルトライフルで銃撃するケセド「脚だ!脚の関節を狙え!!」
銃撃をものともせず、どんどんリンドバーグ号に近づいてくるハインラインスパイダー
意を決するケセド「・・・私が囮になる」
ミグ「バカな!あなたも!」
ケセド「だが同じ戦士として誓ってくれ。
セレマの意志に従い、マルドゥクの野望を阻止すると・・・!」
ハインラインスパイダーのほうへ駆け出すケセド。
ミグ「ケセド!」
ケセド「頼んだぞ!」
ハッチから身を乗り出すライト「ミグ乗れ!!」
ケセドを援護射撃するミグ「彼を見捨てられない!」
ハインラインスパイダーを至近距離で銃撃するケセド「うおおおおお!」
クモはケセドを顎で挟んで軽々と持ち上げる。
ケセドは構わずEM銃でもろくなった外骨格を銃撃し続ける。
ハインラインスパイダーの鋏角の一つが吹き飛び青色の血が吹き出る。
加勢しようとするミグ「ケセド!」
ライト「ミグ!ここでみんなやられたら何のためにあいつは命を捨てて戦ってるんや!」
ミグ「・・・・・・!」
コロシアムから離陸するリンドバーグ号。
断末魔の叫びを上げて大地に崩れるハインラインスパイダー。水しぶきが上がる。
コロシアムでハインラインスパイダーと刺し違えるケセド。
仰向けになって太陽を見つめるケセド「神よこの命返すぞ・・・」
・
扉の神殿――アストライア大神殿。
スターライン運河の先にあるガニメデ大瀑布の中央にある、四方を滝に囲まれた神殿。
神殿は水上の四角い広場の上に建設されていて、人工島のようになっている。
ボートから降りて、神殿に積荷を下ろすギャングたち。
水しぶきと霧で虹がかかっている。
古地図を確認するマルドゥク「ここだ・・・ついに見つけた・・・」
広場の中央には「女神の聖域」と呼ばれる、奇妙な石柱に囲まれた祭壇のようなものがある。
祭壇の床には、絵文字のような記号が書かれたスイッチのようなものが規則正しく並んでいる。
直径50センチほどの円形のスイッチの数は11で、各スイッチは石畳の床の隙間に埋め込まれたエネルギーを供給するチューブのようなもので繋がっている。
石柱の数も11だ。そのさらに奥にはオベリスクが建っている。
ギャング「これは・・・?」
マルドゥク「鍵穴だ」
祭壇の中央には星の欠片を捧げる台がある。
星の欠片(オリハルコン)を取り出し台座に置こうとするマルドゥク。
クリス「本当に置いてしまうのかな」
女神の聖域に歩いてくるクリス。
銃を突きつけるギャングたち「クリストファーてめえ・・・!」
マルドゥク「生きてたのか・・・」
ギャング「引田天功みたいなやつだ・・・」
台座を見つめるクリス
クリス「伝説の墓荒らしローズ・シュナイダーを覚えてないかね」
マルドゥク「なに?」
クリス「200年前、トートの礼拝堂からアストライア像の宝石を盗み出し、この聖域にかざした。
今のキミのように・・・どうなったかね?」
マルドゥク「・・・脅しているのか?」
クリス「忠告だよ」
部下にオリハルコンを渡すマルドゥク。
「ありがとよ。だがお前には、これはやらねえ。(部下に)お前がやれ。」
オリハルコンを台座にセットする手下のギャング。
台座にカチリとはまったオリハルコンの結晶に地面からエネルギーが注入される。
石畳の床をはうチューブにもエネルギーが流れ込み、赤く光り出す。
祭壇を取り囲む石柱が音を立てて左右にスライドしていく。
マルドゥク「なにが起こるんだ・・・?」
だしぬけにオリハルコンの結晶から赤い光線が四方に飛び出す。
その光線の一つが動き続ける石柱の反射板にあたって跳ね返り、台座の方に立っているギャングの体を貫く。
叫び声を上げるギャング。ギャングの体は熱されて、どんどん炭化していく。
石畳の床に倒れるギャングだった炭。その衝撃で粉々になった炭は風でどこかへ飛んでいく。
台座からポトンと落ちる星のかけら。
クリス「ほらね・・・」
マルドゥク「てめえわかっていたのか・・・」
クリス「NG例だけね・・・愚かな墓荒らしは正義の女神によって裁かれる」
星の欠片をクリスに放り投げるマルドゥク「じゃあ今度はお前の番だ」
星の欠片を受け取るクリス
マルドゥク「裁いてもらえ」
『80日間宇宙一周 The Stargazer』脚本⑥
2013-02-03 01:41:16 (12 years ago)
グランド・イクリプスダム
ライト「楽しめるわけないやろ!」
クリス「でもめったにないぞ、ダイナマイトでダムごと爆死って経験は」
総延長2000キロもあるグランド・イクリプスダムの秘密のエリアにある何百年も使われていないクレストゲート(頂上水門)にダイナマイトごとくくりつけられているライトとクリス。
封印されたゲートには枯れたツタがからまり、マルチプルアーチは古代の要塞といったおもむきだ。
眼下に広がる黄金色の砂漠の海はゲートから何キロも下にある。
ライト「お前本当にぶっ飛ばしたるからな!」
ギャング「てめえら静かにしろ!」
ゲートに取り付けられた作業用の足場から二人の様子を見物するマルドゥク
「やらせておけ。死んだら親子ゲンカもできねえ・・・」
ギャングがマルドゥクのもとに二人の所持品を持ってくる
マルドゥク「さて・・・オレの小惑星から持ってったものを返してもらうぜ・・・」
クリス「やだ、エッチ!」
クリスのバックパックをひっくり返すマルドゥク
バッグの中から虫メガネや恐竜図鑑、星座早見盤やバナナが落ちてくる。
空になったバックパックの二重底から小惑星のかけらを奪い取るマルドゥク
マルドゥク「昔からあんたの隠し場所は変わってねえな・・・」
小惑星の結晶はオレンジ色に輝いている。
「これが“星の欠片”クリスタルオリハルコンか・・・20年かかってやっと手に入れた・・・」
クリス「場所を特定して掘り出したのは私だぞ」
「だが今はオレのものだ」
星の欠片を首にかけて立ち上がるマルドゥク
「世話になったな教授。
あんたが20年前学会で恥をかいたおかげでオレには夢が出来た。」
クリス「夢・・・?」
背を向けるマルドゥク「力だ」
クリス「あれ、行っちゃうの?」
マルドゥク「スターライン運河は頼むぜ。」
親子にくっつけられたダイナマイトの導火線に火がつけられる。
立ち去るギャングたち。
ダムに取り残されるふたり。
クモによって二人一緒に足の先までぐるぐる巻きにされ、ダイナマイトをくくりつけられた二人の体。
ライト「・・・おいどうするんや」
クリス「決まってるだろ。取られたものは取り返す」
ライト「同感や」
ギャングがいたステップから導火線の火がクレストゲートに近づいてくる。
クリス「キミは工科大学に行ってたよな」
ライト「中退したけどな」
「導火線の火って息で吹き消せるかな?」
「お誕生会ちゃうぞ、今の導火線は水でも消せないんや・・・
おいこの体勢のまま、あそこの日向に向きを変えれるか・・・?」
クリス「なんで?」
ライト「いいから!せ~ので右に飛ぶで」
クリス「わかった」
ライト「せ~の・・・ぎゃっ」
タイミングが合わず二人ともども転んで地面に顔をぶつけるライト
「お前どっち飛んどんねん!右って言ったやろ!」
「私にとっての右じゃないの!?」
「日向はこっちやんけ!ダムから落ちるとこやったわ!」
「わりわり!」
体をギリギリまでそらし日向に顔を向けるライト。灼熱の太陽がライトを照らす。
クリス「なにするんだ」
ライト「クモの糸って何でできてるか知ってるか?」
クリス「すまん、今週のむしむしQ見てなかった・・・」
ライト「スピドロイン・・・タンパク質なんや。つまり・・・」
フライトゴーグルのレンズが光を集め体に巻き付いた蜘蛛の糸を暖めていく。
腕の力で強引にクモの糸を引きちぎるライト「紫外線で劣化する。」
立ち上がるライト「助かったでレオナ・・・」
クリス「さすがマサチューセッツ工科大学!天才!」
ライト「いい息子を持ったやろ!」
クレストゲートに立ち、肩を組み太陽を見上げる二人「ニャハハハハハハ!」
ライトのフライトゴーグルが集めた光が地面の導火線に火をつける。
大爆発
・
ラクダのようなナナフシに乗ってダムから離れるギャング。
背後でダムが爆発し放水が始まる
双眼鏡でダムの決壊を確認するギャング「死にました」
マルドゥク「これでもう邪魔する奴はいない・・・」
・
トートの凱旋祭
中央の広場で人々がゼウスの帰還を祝福し踊っている。
子供たちと踊りながらミグにダンスの振り付けを教えるサーシャ
「そんな難しい振り付けじゃないわよ。
各振り付けはそれぞれの惑星に対応しているの。海王星はこう(片腕を上げる)、天王星は一回転してバックステップ・・・そして冥王星――あなたの星ね、それは体を右にひねってこう。
最初のステップは西からよ。」
サーシャの真似をして踊るミグ。
最初はたどたどしかったが徐々に踊りのコツを掴んでいく。
徐々に曲に合わせてペースアップしていく舞い。
サーシャ「上手よミグ・・・!」
ミグの美しい踊りに見とれて人が集まってくる。
ミグを見つめるケセド「美しい人だ・・・」
マーガレット「本当ね・・・私の子にはもったいないわ・・・」
サーシャ(トートは超古代都市コロナドから帰還したゼウス一世が旅の疲れを癒したとされる街なのよ)
ミグ(なぜゼウスは神の力を捨ててまでコロナドから帰還したんだろう・・・?)
サーシャ(この町に伝わるアストライアの伝説はご存知?)
ミグ(いや・・・)
サーシャ(正義の女神アストライアは人間の王ゼウスに恋をしてしまったの。
アストライアは神の掟を破り、ゼウスと限られた時を愛し合った。
その後、アストライアを忘れることができなかったゼウスは、長い旅の末、人間と神の世界をつなぐ光の都コロナドを探し出した。しかし神々はコロナドに人間が立ち入ったことを許さなかった。
神の名を汚したアストライアはコロナドから追放され、その扉の外でゼウスの帰還を待ち続けた・・・
長い年月が流れ、ゼウスがコロナドから帰還した時、ゼウスは若さを保ち、アストライアは老いていた。
皮肉にもアストライアは人間に、ゼウスは神になっていた・・・)
踊り続けるミグ。
気がつくと街の全ての人が踊るミグを見つめている。
ミグ(ゼウスは老いたアストライアを愛してくれたのかな・・・)
サーシャ(言い伝えでは二人の結末は残っていないけれど・・・きっと・・・)
音楽が終わり、踊りきるミグ。
ミグに拍手が送られる。
ミグ「え・・・?」
その時、砂漠の海に大量の水が流れてくる。
枯れたスターライン運河は水で見る見るうちに満ちていく。
四方を水に囲まれていく港町トート。
住民「水だ!砂の海に水が満ちた・・・!」
「奇跡だ!」
「女神の舞いのおかげだ・・・!」
ミグを拝むお年寄り
ミグ「えええ!?」
「うわ水死体も流れてきた!」
「いや生きてるぞ!」
ミグ「えええええええ!!!???」
・
トートの教会。
応急キットをしまうサーシャ「とりあえず応急処置はしたけど・・・」
ミグ「ありがとう」
サーシャ「ライトに言っといて。これで借りは返したって」
無線機を置くケセド「私とシスターは外にいる」
ミグ「すまない大佐・・・」
サーシャ「いきましょう」
部屋から出ていく二人。
ベッドに横たわる傷ついたライト。
意識が回復しない。
「ライト・・・」
泣きながらライトの上半身を抱きかかえるミグ
「こんなことになるなら自分に素直になればよかった・・・!
私はあなたのことをあ・・・」
ライト「痛いよミグ・・・」
驚いてライトを離すミグ「うわまだ生きてた!」
ベッドに頭をぶつけるライト「ぎゃっ!」
ミグ「あ、ごめん!」
ライト「ミグ・・・ずっと言いたかったことがあるんや・・・ええかな・・・?」
ミグ「え?」
「母さんを守ってくれてありがとう・・・」
「・・・どういたしまして・・・」
ライト「それより教授は・・・?」
ライトのとなりでベッドに横たわっているクリス。
ショックを受けるライト「教授・・・」
ベッドから飛び起きる「ふあ~!よく寝た!はい、じゃあクリスの冒険第三章はじまるよ!」
ライト「寝てたんかい!」
服とフェドーラ帽を素早く身に付け部屋から出ていこうとするクリス。
手招きするクリス「さあみんな、表へ出な!(C)テリオスキッド」
だが部屋のドアの前にマーガレットが立ちふさがっている。
別れた妻に気づくクリス「あ・・・」
ライト「あ、これアカンやつや」
シーツをかぶってベッドに潜り込むライト
クリス「マーガレット・・・」
マーガレット「悪い子ねクリス」
夫婦喧嘩が始まる。
正座させられて一方的に叱られているクリス。
ベッドの中からミグに囁くライト「・・・ミグ止めてくれ・・・!」
ミグ「え?なんであたしが!?」
「オレが言ってもこいつら聞かへんねん」
恐る恐る二人に近づくミグ「と・・・とりあえず一回離れましょう
(私なんでこんなことしてんだろ・・・)」
手を振り上げるマーガレット「いや一発いかせてちょうだい
結婚してすぐに子供を私に押し付けて失踪した男よ。」
ミグ「暴力はいけません・・・!許す強さがあれば人は分かり合えることが・・・」
マーガレット「家族だからって分かり合えるわけじゃない!」
ひるむミグ。ライトの方を向いて涙目で首を振る(ムリだよ・・・)
マーガレット「まったく、こんな男と結婚するんじゃなかったわ。あなたが家族を省みたことがある?
子供のことを考えたことがあるの?」
クリス「あ・・・」
「いえ答えなくて結構。考えたことないわよね、あなたはいつも自分のことばかり」
「自分のために生きてたらこんなことしてないだろ、私は宝のために生きてるんだって。」
呆れてため息をつくマーガレット
「その夢が大切なのはあなただけよ。私たち家族の夢じゃない・・・
確かに、若い頃はあなたの野心的で勇敢なところに惹かれたけれど・・・
子供を出産して私は変わったの。母親になったのよ。
でもあなたは変わらなかった・・・
あなたはあのタブレットに取り付かれている。
この星のギャングと変わらないわ。」
ドアを開けるクリス「わかったよ・・・もうキミら家族には迷惑をかけない。
これからは私一人でやるよ」
マーガレット「勝手にしなさい。でも二度と私と息子に顔は見せないで。」
クリス「ああ・・・」
教会から出ていくクリス。
「おい、母さん!また教授が出てってまうで!」
「ほっときなさい・・・」
「せっかく家族一緒になれたのにええんか!?」
マーガレット「ほっときなさい!!」
ライト「・・・10年経ってもうちの家族は何も変わってへん・・・!」
部屋を飛び出すライト
ミグ「ライト・・・!」
ライト「楽しめるわけないやろ!」
クリス「でもめったにないぞ、ダイナマイトでダムごと爆死って経験は」
総延長2000キロもあるグランド・イクリプスダムの秘密のエリアにある何百年も使われていないクレストゲート(頂上水門)にダイナマイトごとくくりつけられているライトとクリス。
封印されたゲートには枯れたツタがからまり、マルチプルアーチは古代の要塞といったおもむきだ。
眼下に広がる黄金色の砂漠の海はゲートから何キロも下にある。
ライト「お前本当にぶっ飛ばしたるからな!」
ギャング「てめえら静かにしろ!」
ゲートに取り付けられた作業用の足場から二人の様子を見物するマルドゥク
「やらせておけ。死んだら親子ゲンカもできねえ・・・」
ギャングがマルドゥクのもとに二人の所持品を持ってくる
マルドゥク「さて・・・オレの小惑星から持ってったものを返してもらうぜ・・・」
クリス「やだ、エッチ!」
クリスのバックパックをひっくり返すマルドゥク
バッグの中から虫メガネや恐竜図鑑、星座早見盤やバナナが落ちてくる。
空になったバックパックの二重底から小惑星のかけらを奪い取るマルドゥク
マルドゥク「昔からあんたの隠し場所は変わってねえな・・・」
小惑星の結晶はオレンジ色に輝いている。
「これが“星の欠片”クリスタルオリハルコンか・・・20年かかってやっと手に入れた・・・」
クリス「場所を特定して掘り出したのは私だぞ」
「だが今はオレのものだ」
星の欠片を首にかけて立ち上がるマルドゥク
「世話になったな教授。
あんたが20年前学会で恥をかいたおかげでオレには夢が出来た。」
クリス「夢・・・?」
背を向けるマルドゥク「力だ」
クリス「あれ、行っちゃうの?」
マルドゥク「スターライン運河は頼むぜ。」
親子にくっつけられたダイナマイトの導火線に火がつけられる。
立ち去るギャングたち。
ダムに取り残されるふたり。
クモによって二人一緒に足の先までぐるぐる巻きにされ、ダイナマイトをくくりつけられた二人の体。
ライト「・・・おいどうするんや」
クリス「決まってるだろ。取られたものは取り返す」
ライト「同感や」
ギャングがいたステップから導火線の火がクレストゲートに近づいてくる。
クリス「キミは工科大学に行ってたよな」
ライト「中退したけどな」
「導火線の火って息で吹き消せるかな?」
「お誕生会ちゃうぞ、今の導火線は水でも消せないんや・・・
おいこの体勢のまま、あそこの日向に向きを変えれるか・・・?」
クリス「なんで?」
ライト「いいから!せ~ので右に飛ぶで」
クリス「わかった」
ライト「せ~の・・・ぎゃっ」
タイミングが合わず二人ともども転んで地面に顔をぶつけるライト
「お前どっち飛んどんねん!右って言ったやろ!」
「私にとっての右じゃないの!?」
「日向はこっちやんけ!ダムから落ちるとこやったわ!」
「わりわり!」
体をギリギリまでそらし日向に顔を向けるライト。灼熱の太陽がライトを照らす。
クリス「なにするんだ」
ライト「クモの糸って何でできてるか知ってるか?」
クリス「すまん、今週のむしむしQ見てなかった・・・」
ライト「スピドロイン・・・タンパク質なんや。つまり・・・」
フライトゴーグルのレンズが光を集め体に巻き付いた蜘蛛の糸を暖めていく。
腕の力で強引にクモの糸を引きちぎるライト「紫外線で劣化する。」
立ち上がるライト「助かったでレオナ・・・」
クリス「さすがマサチューセッツ工科大学!天才!」
ライト「いい息子を持ったやろ!」
クレストゲートに立ち、肩を組み太陽を見上げる二人「ニャハハハハハハ!」
ライトのフライトゴーグルが集めた光が地面の導火線に火をつける。
大爆発
・
ラクダのようなナナフシに乗ってダムから離れるギャング。
背後でダムが爆発し放水が始まる
双眼鏡でダムの決壊を確認するギャング「死にました」
マルドゥク「これでもう邪魔する奴はいない・・・」
・
トートの凱旋祭
中央の広場で人々がゼウスの帰還を祝福し踊っている。
子供たちと踊りながらミグにダンスの振り付けを教えるサーシャ
「そんな難しい振り付けじゃないわよ。
各振り付けはそれぞれの惑星に対応しているの。海王星はこう(片腕を上げる)、天王星は一回転してバックステップ・・・そして冥王星――あなたの星ね、それは体を右にひねってこう。
最初のステップは西からよ。」
サーシャの真似をして踊るミグ。
最初はたどたどしかったが徐々に踊りのコツを掴んでいく。
徐々に曲に合わせてペースアップしていく舞い。
サーシャ「上手よミグ・・・!」
ミグの美しい踊りに見とれて人が集まってくる。
ミグを見つめるケセド「美しい人だ・・・」
マーガレット「本当ね・・・私の子にはもったいないわ・・・」
サーシャ(トートは超古代都市コロナドから帰還したゼウス一世が旅の疲れを癒したとされる街なのよ)
ミグ(なぜゼウスは神の力を捨ててまでコロナドから帰還したんだろう・・・?)
サーシャ(この町に伝わるアストライアの伝説はご存知?)
ミグ(いや・・・)
サーシャ(正義の女神アストライアは人間の王ゼウスに恋をしてしまったの。
アストライアは神の掟を破り、ゼウスと限られた時を愛し合った。
その後、アストライアを忘れることができなかったゼウスは、長い旅の末、人間と神の世界をつなぐ光の都コロナドを探し出した。しかし神々はコロナドに人間が立ち入ったことを許さなかった。
神の名を汚したアストライアはコロナドから追放され、その扉の外でゼウスの帰還を待ち続けた・・・
長い年月が流れ、ゼウスがコロナドから帰還した時、ゼウスは若さを保ち、アストライアは老いていた。
皮肉にもアストライアは人間に、ゼウスは神になっていた・・・)
踊り続けるミグ。
気がつくと街の全ての人が踊るミグを見つめている。
ミグ(ゼウスは老いたアストライアを愛してくれたのかな・・・)
サーシャ(言い伝えでは二人の結末は残っていないけれど・・・きっと・・・)
音楽が終わり、踊りきるミグ。
ミグに拍手が送られる。
ミグ「え・・・?」
その時、砂漠の海に大量の水が流れてくる。
枯れたスターライン運河は水で見る見るうちに満ちていく。
四方を水に囲まれていく港町トート。
住民「水だ!砂の海に水が満ちた・・・!」
「奇跡だ!」
「女神の舞いのおかげだ・・・!」
ミグを拝むお年寄り
ミグ「えええ!?」
「うわ水死体も流れてきた!」
「いや生きてるぞ!」
ミグ「えええええええ!!!???」
・
トートの教会。
応急キットをしまうサーシャ「とりあえず応急処置はしたけど・・・」
ミグ「ありがとう」
サーシャ「ライトに言っといて。これで借りは返したって」
無線機を置くケセド「私とシスターは外にいる」
ミグ「すまない大佐・・・」
サーシャ「いきましょう」
部屋から出ていく二人。
ベッドに横たわる傷ついたライト。
意識が回復しない。
「ライト・・・」
泣きながらライトの上半身を抱きかかえるミグ
「こんなことになるなら自分に素直になればよかった・・・!
私はあなたのことをあ・・・」
ライト「痛いよミグ・・・」
驚いてライトを離すミグ「うわまだ生きてた!」
ベッドに頭をぶつけるライト「ぎゃっ!」
ミグ「あ、ごめん!」
ライト「ミグ・・・ずっと言いたかったことがあるんや・・・ええかな・・・?」
ミグ「え?」
「母さんを守ってくれてありがとう・・・」
「・・・どういたしまして・・・」
ライト「それより教授は・・・?」
ライトのとなりでベッドに横たわっているクリス。
ショックを受けるライト「教授・・・」
ベッドから飛び起きる「ふあ~!よく寝た!はい、じゃあクリスの冒険第三章はじまるよ!」
ライト「寝てたんかい!」
服とフェドーラ帽を素早く身に付け部屋から出ていこうとするクリス。
手招きするクリス「さあみんな、表へ出な!(C)テリオスキッド」
だが部屋のドアの前にマーガレットが立ちふさがっている。
別れた妻に気づくクリス「あ・・・」
ライト「あ、これアカンやつや」
シーツをかぶってベッドに潜り込むライト
クリス「マーガレット・・・」
マーガレット「悪い子ねクリス」
夫婦喧嘩が始まる。
正座させられて一方的に叱られているクリス。
ベッドの中からミグに囁くライト「・・・ミグ止めてくれ・・・!」
ミグ「え?なんであたしが!?」
「オレが言ってもこいつら聞かへんねん」
恐る恐る二人に近づくミグ「と・・・とりあえず一回離れましょう
(私なんでこんなことしてんだろ・・・)」
手を振り上げるマーガレット「いや一発いかせてちょうだい
結婚してすぐに子供を私に押し付けて失踪した男よ。」
ミグ「暴力はいけません・・・!許す強さがあれば人は分かり合えることが・・・」
マーガレット「家族だからって分かり合えるわけじゃない!」
ひるむミグ。ライトの方を向いて涙目で首を振る(ムリだよ・・・)
マーガレット「まったく、こんな男と結婚するんじゃなかったわ。あなたが家族を省みたことがある?
子供のことを考えたことがあるの?」
クリス「あ・・・」
「いえ答えなくて結構。考えたことないわよね、あなたはいつも自分のことばかり」
「自分のために生きてたらこんなことしてないだろ、私は宝のために生きてるんだって。」
呆れてため息をつくマーガレット
「その夢が大切なのはあなただけよ。私たち家族の夢じゃない・・・
確かに、若い頃はあなたの野心的で勇敢なところに惹かれたけれど・・・
子供を出産して私は変わったの。母親になったのよ。
でもあなたは変わらなかった・・・
あなたはあのタブレットに取り付かれている。
この星のギャングと変わらないわ。」
ドアを開けるクリス「わかったよ・・・もうキミら家族には迷惑をかけない。
これからは私一人でやるよ」
マーガレット「勝手にしなさい。でも二度と私と息子に顔は見せないで。」
クリス「ああ・・・」
教会から出ていくクリス。
「おい、母さん!また教授が出てってまうで!」
「ほっときなさい・・・」
「せっかく家族一緒になれたのにええんか!?」
マーガレット「ほっときなさい!!」
ライト「・・・10年経ってもうちの家族は何も変わってへん・・・!」
部屋を飛び出すライト
ミグ「ライト・・・!」
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