『青春アタック』第二部制作裏話

 ここまでが25年前に描いた部分。ネームにすると1000ページほど。こっからは未知の領域。読み返してみると、思っていた以上に三畳農業高戦が長かった。
 大河ドラマにすると、ここでちょうど折り返し地点。はたして全50話で完結できるのでしょうか・・・!?
 第二部は結局、海野さんの過去と初戦で終わってしまった・・・本当は第二戦まで行きたかったんだけどね。

海野美帆子
第二部から本格的に『三国志』を意識しています。彼女は劉備をイメージ。
人の悪口とか言わないし、徳はあると思う。また、もともとはお嬢様で、商社勤めの親の異動で神戸に引っ越したって感じ。育ちがいい人って、けっこういい人が多い気がする。

花原めぐな
関羽をイメージ。全然高潔じゃないけど。気位が高い点だけは似ている。
関羽って怪我の治療をしながら囲碁を打つエピソードがあるんだけど、あれをやってみた。
第二部から、ジャンプ力と怪力のスキルを習得したイメージ。まあ、怪力は第一部からか。

ちおり
張飛をイメージ。とんねるずのノリさん的な、笑顔でとんでもない行動をしでかす感じ。

華白崎
趙雲をイメージ。第一部よりもかなり丸くした。一応後輩だからね、この人。

乙奈
老兵の黄忠ってところか?ボールを怖がる理由は実は全然考えていなくて、なんとかひねり出した。こんなこと、業界では本当にありそうだよな。そしてもみ消してそうだよな。

ソラちゃん
『80日間宇宙一周』のアリエル・スカイから。

山村
こういう変態的な男子の教え子がいた。退屈しなかった。そして中学生なのにめちゃくちゃ腕相撲が強かった・・・バク宙できたしな。

大此木
もう登場させるつもりなかったんだけど、バレーを解説できる経験者が欲しかった・・・

オジカ
こちらも実在の友達。頭がよく東大に進学してた。

観客の軍馬
『ラストパーティ』のブリューナク号。

吹雪さくら
史上最低な諸葛孔明をイメージ。

徳川店長
『風と翼』の徳川家康。

狩野レイ
呂布をイメージ。
ふつうは「かのう」って読みそうだけど、あえて「カルノ」で。本名のレジーナは「レックス」の女性形。
彼女が言っていた戦争は「チェチェン紛争」のこと。この戦いでプーチンさんが台頭してくるんだよね。
ヤンキー高校の女番長っていう設定だったので、この女なら確かに喧嘩自慢の男たちも従うなっていう、説得力のある恐怖を描くのが大変だった。でも、彼女のシーンは結構怖いと思う。

ジョニー
『ジョニーブラボー』から。口調は茨城弁にした。

久蔵
『七人の侍』から。ヤンキーといえば木刀。

破門戸総裁
『ジュラシックパーク』の創始者、ジョン・ハモンドから。『カイジ』をまるまるパロディにしちゃったけど、呉越同舟というタイトルの回がどうしてもやりたかった・・・!
登場シーンは『アンタッチャブル』のパロディ。

病田通代女
『古代生物オパ』から。タブロイド紙の記者だったが、今作ではスポーツ雑誌のライターという設定。あとは96年の時と変わってないかな。

鮎原咲 
曹操をイメージ。
いわずもがな、あのバレー漫画の主人公から。戦うのは第四部の予定だけど、けっこう試合の展開はすでに考えてある。変更するかもしれないけれど。

有葉理央 
名前は三畳紀の恐竜からとった。
この子のキャラデザインは、個人的に自分のタイプの女の子にしている。オデコがでかくて、眉毛が太くて、八重歯がある、垢抜けていない感じの子。
口調を栃木弁にしようか迷ったが、やめた。もう一人の海野みたい感じにしたかった。どちらも故郷を失っているしね。
本当は、もう少し彼女が山に留まって戦う背景を掘り下げたかったんだけど、これ以上三畳高編を引き伸ばすと、全体的なバランスが悪くなるので割愛した。
ダム建設の闇とか本当はやりたかったんだよな。あれも、水はじつは余っているとか、災害時に治水効果が本当にあるのかとか、もう計画しちゃったからやるしかなくて、自治体に政府が圧力かけてるとかいろいろあるらしいよね。
ただし、八ッ場ダムは完成した直後に、前代未聞のスーパーセルが来て、けっこう活躍したらしいんだよね。難しい問題だよね。

『青春アタック』脚本㉖破鏡不照

観客「海野だ!部長の海野が帰ってきた・・・!」
アライ「いまさら遅いぜ!このアライ様が勝負を決めてやる!」
観客「前衛にはアライだ!」

花原「海野さん・・・」
海野「なに?」
花原「わたしたち・・・ちょっと海野さんに頼りすぎてたみたい・・・
でも・・・海野さんがいない分、みんなちゃんと頑張ったから・・・」
海野「花原さん・・・んーん・・・私もごめんなさい・・・
一人で走り回って・・・みんなの成長をちゃんと見ていなかった・・・
バレーはチームでやるから楽しいんだよね・・・
私は自分の役割を頑張るね・・・勝とう!」
タッチし合う6人。
「白亜高ファイオー!!」

さくら「遅かったじゃん・・・」
隣でライダースジャケットを脱いで、腰で縛るつよめ
「無理言わないでよ・・・こんなオフロードに呼んでおいて・・・
どう?学校の仕事は慣れた・・・?」
さくら「まあ、悪くはないよ・・・あんたの姉さんがいろいろ教えてくれるからね・・・」
病田(わたしなんか教えたっけ・・・??)
床にどかっとあぐらをかいて、撮影機材を設営するつよめ
「・・・で?こんなインチキみたいな試合を取材しろって・・・?」
さくら「インチキだろうが、コートの選手は真剣勝負さ。
まあ見てな・・・あんたを呼んだのにはいろいろ理由があるんだ。」
つよめ「それは楽しみだこと。」
小声で山村「先生の妹君は男みたいなお方ですな・・・」
小声で病田「・・・中身もほぼ男です・・・」

海野が強力なサーブを打つ。
「ナイスサーブ!」
理央が必死に飛び込みレシーブをする。
観客「あっちも必死だ!」
理央「クマガイさん!!」
クマガイがアタックをしようとする。
花原がブロックに入る「させるか・・・!」
しかし、それはおとりでアライがアタックを打つ。
花原(しまった・・・!)
しかしそのアタックをレシーブで拾ってリカバーする海野。
トスを上げるちおり「ほい!」
ブロックに入るクマガイとアライ「打ってこい・・・!止めたらあ!」
アタックをする花原。
アタック返しをするアライ「甘いわあ!!」
それを再びレシーブする海野「ふっ!」
アライ「あのやろー!バテたんじゃなかったのかー!!」

つよめ「・・・あの部長やっぱりめちゃくちゃうまいね。」
さくら「昔の誰かさんみたいだよな。」
つよめ「あら、ありがとう・・・」

乙奈が華白崎にトスを上げる。「はい!」
華白崎がアタックを打つ「勝つ!」
それもカウンターで返すアライ「きかねーって言ってんだろ!」
それをブロックして跳ね返す花原「アタック返し返し!!」
アライ「なにいいいいいい!!!」
ライン内に落ちるボール。
主審の笛。
観客「うおおおお!すげえええ!!」

アライ「きさま・・・なんのまねだありゃあ・・・」
花原「ふふふ・・・君の技は全て見切ったよ・・・」※実はマグレ
大此木「あいつはすぐに人の技をパクるよな・・・」

シャッターを切るつよめ「あんたの学校にあんないいエースアタッカーがいたの?」
さくら「らしいね・・・」
つよめ「なんでもっと前から監督をやらなかったのよ・・・もったいないなあ・・・」
さくら「私はやるからには絶対に勝つからね・・・」

ちおり「適当に腕振り回してただけでしょ?」
花原「うるさい、バラすな。」

理央「オジカくんとクマガイさんにボールを回すわ!どんどん打って!
アライくんはダイレクトアタックを狙って!」
アライ「おう」
クマガイがアタックを打とうとする。
花原がブロックに入る。
オジカ「一人じゃ、あいつのアタックは止められない!」
すると、花原、乙奈、華白崎の3人が同時にブロックする。
クマガイ「さ・・・三枚・・・!!」
大此木「後衛に海野がいるからこそできるプレーだ!!」
観客「これで23対23・・・!同点だ!!」

クマガイを叱るオジカ「女の子たちに負けて捕食動物としておめーは悔しくねえのか!」
ちおり「シカに叱られくまってるくま。」
クマガイ「うまいね!」
オジカ「うまいねじゃねえ!!」
アライ「まあまあ、落ち着けよ・・・まだこっちはくまが前衛なんだ・・・
2点くらい簡単に取れるぜ。」
オジカ「いや・・・事態は深刻だぞ・・・次のサーバーを見てみるがいい・・・」

ボールを持つ乙奈。
アライ「あー!!変態サーブの乙奈だ!!」
オジカ「だから、サーブ権は死守しなければいけなかったのだ・・・!」

サーブを打つ乙奈「たあ。」
突然カーブがかかり、アライの方からクマガイの顔面にぶつかる無回転フローターサーブ。
アライ「むり!!」
観客「逆転!!白亜高マッチポイントだー!!」
理央「やばいよ・・・!」
シマダ「あ・・・あの・・・変化球の統計を取ってみたのですが・・・」
理央「本当??」
シマダ「ええ・・・あのサーブ、前衛レフトに最終的に落ちる確率が一番高いんです・・・
私に任せてくれませんか??」

大此木「いよっしゃー!決めちまえ!!」
病田「みんながんばって・・・!」
つよめ「なんつーサーバーがいるんだ・・・ん?このフォーメーションは??」

三畳高はイノセとシマダ以外のメンバーはほぼコートの隅に待機している。

大此木「完全にイノセ任せだぞ!!イノセの機動力で勝負に出るつもりか!!」
オジカ「賭けだが、イノセの持ち場を広くすればその分イノセの機動力は上がる・・・!
あとはシマダの計算次第だ・・・」
イノセ「いくぜ、相棒・・・」
シマダ「どきどき・・・」

サーブを打つ乙奈「え~い」
クネクネと蛇行しながら相手コートにむかっていくサーブボール。
ボールの方へイノセが発進する。「ファイヤ!」
突進した方向からボールの向きがそれる。
観客「かわされた・・・!」
しかし、すぐに方向転換をするイノセ。
観客「いや!読んでる・・・!!」
乙奈のサーブをぎりぎりレシーブするイノセ。
トスを上げるオジカ「でかした!!!いけクマガイ!!」
クマガイが渾身のアタックを打つ。
華白崎がブロックに入るが、クマガイは器用にインナーコースにスパイクを叩き込む。
華白崎(インナー・・・!!??)
それを海野がバックジャンプしながらレシーブする。
海野「ふっ!!!」
観客「うお!クマガイの全力のアタックをブロックなしで受けたぞ!!」
起き上がる海野「腕がへし折れると思った・・・!!生原さんお願い・・・つないで・・・!!」

トスを上げるちおり「花原さん!」
アタックモーションに入る花原。
慌ててブロックに入る三畳高の前衛。
オジカ「花原を止めろ・・・!!」

この時あげた生原血織のトスは最高に美しかったという・・・

回想
芝生の上で並んで座るちおりと花原の二人。
花原「私はね、スポーツが嫌いなの。
大の大人がボールで遊んでて・・・恥ずかしくないのかしら・・・」

生徒会室
華白崎「あなたには誰もが認める絶対的な才能が一つある・・・それはその身長です。」
とあるチラシを前に出す。
華白崎「あなたは、その身長を活かしてこの大会に出場するべきだ・・・」
花原「高校バレー春のバトルロイヤル大会・・・あなた、この私に球技をやれっていうの・・・??
くだらない・・・なんで私が・・・」

体育館での最初の練習
花原「・・・私バレーに向いてない。」
海野「練習すればできるって・・・!」
ちおり「できるよ!花原さん天才だもん。」





乾坤一擲のアタックを決める花原。
ブロックに入ったクマガイがパワーで負けて後ろに倒れる。

あまりの出来事に一瞬時が止まる会場。

騒然とする会場「すげええ!クマガイが吹っ飛んだ~~!!」
主審が笛を鳴らす。
花原が腕を上げる。
ちおり「やったー!」
白亜高部員「勝ったあああああ!!!」
主審「第二セットは白亜高校の勝利です!」
抱き合うちおりと花原。
華白崎「は・・・ははは・・・」
花原「さあ、帰ろう・・・!」
ちおり「うん!」

主審「い・・・いや・・・まだ第三セットがあるんですが・・・」
テンションが上がってポールによじ登っているちおり「え?おわりじゃないの?」
アライ「てめえら第一セットを落としたじゃねーか・・・!」
花原「キリがいいし、うちの勝ちでいいじゃん。」
アライ「よくねーよ・・・!」

その時、野外で爆発音が轟く。
アライ「!!なんだ!?」
合宿場全体が振動する。
メキメキという音。

さくら「よっしゃー!この混乱に乗じて第三セットスタート!主審!とっとと始めなさい!」
主審「ピ・・・ピー!」
華白崎「地震の最中で試合をするのは危険では・・・!」
怯える観客の野生動物たち。
花原「ちおり!サーブよ!」
ちおり「イエスサー!」
アライ「かかってこいやー!!」
地面に伏せる理央「いや・・・本当に始めるの!??」

サーブを打つちおり「えーい!!」
その瞬間、合宿場全体が大きく傾き、ちおりのオーバーハンドサーブが天井の梁に当たる。
ちおり「わーい!天井サーブだー!」
床が斜めに傾き、滑り落ちていく選手たち。
イノセの蹄では床にしがみつけず、ずるずる後退していく。
もはやレシーブどころじゃない。
オジカ「これは地震じゃない・・・!合宿場が動いている・・・!」
床に爪を立てて踏ん張り、サーブをレシーブするアライ「おらー!」
合宿場が横に移動しているので、慣性の法則で空中のボールが変な方向へ動いている。
アライ「クマガイ!アタックだ!!」
クマガイ「わ・・・わかりました!!」

クマガイがアタックを撃つと、合宿場の床が割れ、白亜高と三畳高のコートがネットを境に分断される。
クマガイ「やばい!体育館を壊しちゃった!!」
白亜高のコートの傾斜が一気について、ほとんど直角になる。
あわててネットにしがみつく白亜校の部員たち。
ちおり「くまちゃん、コートを壊すのは反則だよ。」
クマガイ「ごめん・・・!」
大此木「んなわけあるかい!!」
合宿場の半分がそのまま崖に落下していく。

ネットにしがみついてぶら下がる華白崎「ああ・・・」
ネットがぶちぶちとちぎれて、華白崎が落下してしまう。
「うわああああ!!」
その瞬間、華白崎の脚をつかんで落下を食い止める花原。
残りの片腕でポールをつかんでいる。
花原「がんばれカッシー!」
涙を流す華白崎「花原さん、私まだ死にたくない・・・!私にはまだ小さな兄弟が4人も・・・!!」
ちおりに怒鳴る花原「ちおり・・・サーブだ!」
ちおり「おっけー!」
両足でポールをつかんで、もう一度サーブを打つちおり。
さくら「ナイスサー!」
アライ「こいや~!」
理央「まだバレーをやっているわ・・・!」
角で海野と乙奈を必死に持ち上げているオジカ
「もういい分かった・・・!おれたちの降参だ・・・!!」



巨大なブルドーザーが合宿場を押し、基礎を壊しながら崖へ進んでいく。
建設省役人「ふははは!馬鹿どもめ!
ニャンバダム建設を阻む、こざかしい野生動物どもがすべて小屋に集まっておるわ!
一網打尽にしろ!!」
ブルドーザーを操縦する如月建設「・・・いいのか?このまま落として!
中には人間もいるんだぞ!」
建設省役人「アクセル全開だ!
今朝の集中豪雨で全員流されたことにしろ!
我が政権に逆らうと、こうなるということを思い知らせてやる・・・!」



窓から顔を出すシマダ「ああっ・・・!建設省の役人だ・・・!
圧力でらちがあかないから土地収用の強硬手段に出たんだ!!」
理央「このままじゃ、こっちのコートも落とされちゃう・・・!」

その時、合宿場の窓ガラスが割れて、銃弾のような剛速球がブルドーザーに飛んでいく。
バレーボールは正確に、コックピットの役人の顔面を打ち据える。
役人「ぎゃああああ!!」
気絶して操作盤に覆いかぶさる役人。
如月建設「馬鹿!前が見えないだろ!!」
暴走したブルドーザーは、進路を変えて合宿場をはなし、自らがけ下へ転落してしまう。

サーブフォームをしているさくら「・・・楽しいバレーボールに水を差すんじゃないよ。」



めちゃくちゃに破壊されている校舎。
地面に崩れ落ちる理央「・・・校舎が・・・みんな・・・壊れちゃった・・・
お母さんとの思い出が・・・」
昭和40年の写真を拾う。
海野「有葉部長・・・」
華白崎「信じられない・・・日本政府がこんなことをするなんて・・・」
涙を流す理央「もともと三畳村でダム建設に賛成する人なんて誰もいなかった・・・
でも・・・水没予定地には補助金は出ないし・・・インフラの整備だってしてくれない・・・
そうやって村のコミュニティは崩壊したんです・・・
残ったのは、動物たちだけ・・・
わたしは・・・お母さんの三畳中をもう一度強豪校にしたかった・・・」
海野「・・・有葉さん・・・」
つよめ「・・・もともと50年前の入札ありきの計画だからね・・・
2000億円が転がり込むプロジェクトなら、野生動物くらい簡単に殺すわよ・・・」
さくら「・・・んで、撮れたの?」
ボイスレコーダーを取り出すつよめ「・・・あいつらのクソみたいな会話もね。
私を呼んだ理由ってこういうことね・・・」



無人駅
白亜高を見送る三畳農業高校。
理央「私たちの負けよ。楽しい試合をありがとう・・・」
握手をする海野「・・・みなさんはこれからどうするんですか??」
理央「なにも考えてないけど・・・また、みんなで校舎を作ろうかな。」
アライ「理央・・・お前ももう山を下りろよ。」
理央「・・・え?」
クマガイ「みんなで相談したんです。
ぼくらのために一生に一度の青春時代を無駄にすることはないって・・・」
理央「クマガイさん・・・」
オジカ「・・・これ以上はやめておけ・・・次は猟銃で撃たれるぞ・・・」
理央「でも・・・ダムができたらみんなの自然は・・・!」
アライ「勘違いしてねえか?
俺たちは人間様に住処をあつらえてもらわないと生きてけないほどやわじゃねえ・・・」
イノセ「・・・どこでだって生きてけるさ・・・生命は道を探し出す・・・」
微笑むシマダ「心配しないでください。」
理央「みんなとまたバレーができるかな・・・」
クマガイ「いつでも遊びに来てよ。」
海野「いこう、理央ちゃん・・・汽車が出るよ・・・」
涙をぬぐう理央「・・・うん・・・」
手を振る動物たちを残して、山を下りる人間たち。

ホームに残るアライとオジカ。
アライ「なあ・・・あのまま第三セットを戦っていたら・・・勝てたと思うか?」
微笑むオジカ「・・・ふん、当たり前だ・・・」

春高バレーバトルロイヤル大会
白亜校 対 三畳農業高校
相手チームの降参により、白亜高校の勝利。
三畳農業高校バレー部――廃部

『青春アタック』脚本㉕銅頭鉄額

イチゴ谷に降っていた雨はいつの間にか弱まっている。
保健室のカーテンを開ける大此木。
「嵐はおさまったみてえだな・・・具合はどうだ大将・・・」
ベッドから起き上がる海野「・・・うん・・・ずいぶんよくなったよ。ありがとう・・・
そういえば・・・試合の方はどうなったんだろう・・・」
大此木「合宿場がまだ賑やかだから、試合が続いているんじゃねーか?
・・・よし、様子を見に行ってやろう・・・」
海野「ありがとう・・・」

傘をさして合宿場に足を運ぶ大此木。
「そうは言ったが・・・もう終わってたりしねえだろうな・・・」
大此木に興奮した様子で駆け寄る病田「た・・・大変です!」

ちおりがサーブを打つ。
ちおり「にゃん!!」
アライがレシーブできない。
観客「うお!いいサーブだ!」

大此木がスコアボードを見る。
「16対13・・・?白亜高校が押してるのか・・・!たった5人で・・・!」

突進でレシーブをするイノセ。
オジカ「リオ打て!!」
理央のアタックをブロックする花原。
観客「ブロックが高い・・・!」
理央「たまげたわね・・・!!」
ちおり「ナイスブロック~!」
花原「見たか!大此木・・・!勝っててバビったか!?」
大此木「・・・バビった・・・」
花原「ブロックは任せなさい!!」

アライがバックアタックを決める。
それをちおりがレシーブする。
ブーちゃんが乙奈にトスを上げる。

大此木「乙奈がアタックだと!?」

理央「オジカくん!アタックはできないんじゃないの?」
オジカ「あいつはできない・・・!」

乙奈が卓球のような横打ちでスパイクを打つ。
オジカ「馬鹿な・・・!」
変なカーブがかかっており、クマガイが怯えて避ける。
クマガイ「怖い・・・!」
観客「サーブ同様、どこに跳ねるかわからない・・・!これは怖い!!」

さくら「元トップアイドルが運動ができないわけがないじゃない・・・
歌って踊ってんのよ・・・?」
山村「むう、名采配だ・・・!花原と乙奈を隣り合わせて前衛においたのは、必ずどちらかが攻撃を繰り出せるからか・・・」

サーブを打つちおり「おりゃー!」
綺麗な打線で相手コートに飛んでいくサーブ。
相手もパスを繋ぎ、理央がアタックをする。
しかし、やはり花原のブロックに阻まれる。
理央「なんですってー!」
観客「またブロックしたぞ!」
ネット越しのボールをひろうオジカ「甘いわ!」
観客「オジカのリバウンドプレイだ!!」
続いてアライがアタックを打つ「次は俺様だー!」
アライのアタックも跳ね返す花原。
オジカが突進する「どけい!俺が決める・・・!」
オジカの角アタックもブロックしてしまう花原。
オジカ「・・・馬鹿な・・・!!」
主審「ピー!」
騒然とする会場。
「うおおおお!角アタックもはねかえしたー!とんでもないブロッカーだ!!」

花原にとびつくちおり「かっこいー!!」
息を切らす花原「はあはあ・・・かっこいいでしょ・・・」
華白崎「花原さん!よくやった!」
花原「は・・・はい!ありがとうございます・・・!!」
華白崎(レシーブで太刀打ちできないあの角アタックを・・・ブロックしたのは大きい・・・!)
理央「あたしもアライくんもオジカくんも・・・みんな止められちゃったよ・・・!」
クマガイ「うわあああもう20点だ・・・!」
理央「オジカくん・・・なにか策はないの・・・?セットを奪われちゃうよ・・・!」
オジカ「くくく・・・安心しろ・・・策はある・・・
審判。タイムアウトだ!」

試合が中断される。

花原「なに?休めるの・・・?」
華白崎「30秒だけですが・・・」
選手たちにスポーツドリンクを配布する山村と病田。
さくら「よーしよくやったおめえら!あの世の海野も喜んでいるぜ!」
山村「そんな悲しい展開ではないぞ・・・」

扇子をあおぐ理央「・・・で、策って?」
オジカ「相手の弱点は花原だ・・・」
理央「いやいや・・・!その花原さんがノリに乗ってるから、追い込まれてるんじゃない!」
アライ「狂ったか、シカ!」
オジカ「・・・馬鹿どもが・・・冷静になれ・・・
あいつのブロックは隙だらけだ・・・我々は高さに騙されているんだ・・・
相手チームでブロックができるのは花原だけだ。
あとは身長が高くない。
つまり、やつがひとりでリードブロックをしているわけだ・・・驚異的な瞬発力でな。
・・・こちらにはアタックが打てるものがたくさんいる・・・なにも順番に戦いに挑まなくてもよいのだ」
アライ「・・・そうか・・・!昔の特撮の敵幹部みたいになってんのか・・・!」

――リードブロックとは、相手アタッカーの攻撃を予測してブロックを行うことである。
基本的には相手のトスコースを見るのだが、それだけにクイック攻撃の反応は難しくなる。
日ソ双璧時代のオリンピックでは、日本代表が「ひかり攻撃」というクイック攻撃でソ連代表を翻弄したことは、日本バレー界の伝説となっている・・・!

オジカ「クマガイ・・・花原のブロックを破れるか?」
クマガイ「・・・やってみます・・・」
アライ「とうとう秘密兵器の登場か。」
万石「くまはもともと夕方から活発になる動物・・・午前中の立ち上がりが遅いのも仕方がないな。」

タイムが終了する。
主審が啼く「ピー!」
オジカ「さあ行くぞ・・・!」
三畳高「おー!!」
さくら「勝負なんて勢い任せよ!このままねじふせろ!」
白亜高「おー!!!」

前衛ポジションにつく花原「さー!かかってきなさい!
ゴマフアザラシでもスマトラサイでもブロックしてやるから!」
オジカ「ローテーションでクマガイを前衛にするぞ・・・!
いくぞ、理央、アライ・・・!」
アライ「おうよ!」
理央「まかせて!」

アライがレシーブする「くそがー!」
オジカ「クマガイトスだ!」
クマガイがトスを上げる「プー!!」
ブロックに入る花原「さーかかってきなさい動物たち・・・!」
すると、理央とアライとオジカの3人全てがアタックモーションに入る。
肝を潰す花原「!!!げ~~~誰が打つの・・・!!??」
アライ「この俺だ~!」
アライにブロックの照準を合わせる花原「なんのー!」
アライ「・・・見事に引っかかったぜ・・・」
花原「・・・え?」
時間差攻撃でオジカが角アタックを決める。
スパイクが顔面に当たり吹っ飛んでいく花原「ぎゃあああああ!!」
華白崎「・・・時間差攻撃・・・!!」
オジカ「本当の戦いはここからだよ姫・・・」

花原が審判のトビに訴える。
花原「審判!あんな卑怯な攻撃ファウルだよ・・・!」
トビ「・・・い・・・いや・・・れっきとした戦術です・・・」
トビに掴みかかる花原「この野郎・・・お前とタカの違いは一体なんなんだよ・・・」
トビ「ぴぴぴぴ!!」
華白崎「花原さん、落ち着いて・・・!!」
乙奈「主審の怒りを買うのは得策じゃありませんわ・・・!」

クマガイが前衛に現れる。
花原「とうとう来たわね・・・くま。」

山村「前衛に有葉、オジカ、クマガイ・・・!三畳高が最も強いパターンだぞ・・・!」
サーブをするため、自分よりも大きいボールを運ぶシマダ「よいしょよいしょ・・・」
花原「あ~はっは!かわいいぞリスー!打ってこー♫」
シマダがサーブを打つ「えい!」

理央「油断してるわね・・・シマダさんは天井サーブの名手よ・・・!」
花原「なんだ、あのサーブ・・・!無駄に高い・・・!!」
華白崎「花原さん!オーバーでレシーブです・・・!」
花原「・・・え?」
オーバーハンドパスができず、顔面で天井サーブを受ける花原。
主審「ピー!」

理央「ナイスサーブ!シマダさん!」
シマダ「へへ・・・」
オジカ「忘れちゃならねえのは、花原は素人だってことだ・・・
シマダよ、どんどん花原を狙っていけ。やつはオーバーができないんだ・・・」

もう一度花原の方へ天井サーブが飛んでくる。
花原「くそーへなちょこサーブめ・・・!調子狂うなあ!」
また、オーバーで失敗し、顔でサーブを受ける。
花原「うぎゃあ」

オジカ「よくやったこれで一点差だ!」
アライ「見たか!」
花原「・・・はい。」
乙奈が花原に耳打ちする。

オジカ「同点に持ちこめ!」
天井サーブを打つシマダ。
花原「あわわわ!・・・ってちょっと待ってアンダー!」
オーバーではなくアンダーでレシーブする花原。
観客「賢い!」
乙奈が花原にトスを上げる。「花原さん・・・!」
アタックする花原「くらっとけ!」
ブロックで跳ね返すクマガイ「えーい!」
花原「・・・!くま・・・!」
リカバーする華白崎「乙奈さん・・・!」
今度は乙奈がアタックする。
乙奈のアタックも巨体を活かしてブロックしてしまうクマガイ。
乙奈「跳ね返されましたわ・・・!」
観客「うおおおお!まるでさっきの花原だ!!」
クマガイ「どうだ!」
花原「う・・・くそ~勝負よ!くま!!」
クマガイ「うけましょう!」
アタックフォームに入る花原「うらー!」
助走コースでかなりアウトをとっている。
乙奈が天井に届くようなトスを上げる。
華白崎「オープン攻撃・・・?!」
とんでもない打点の高さでアタックを打つ花原「この高さならどうだ!!」
ぎりぎりクマガイの爪が届く。
観客「とどいたぞ!!」

理央「こっちコートよ!リバウンドお願い!!」
リバウンドするオジカ。
オジカ「クマガイ撃て!!」
ブロックに入る花原「止めてやる!!」
叫ぶクマガイ「くまー!!」
叫ぶ花原「ひとー!!」
クマガイのアタックをブロックするが、驚異的な力でボールごと後方へ吹き飛ばされる花原。
地面にぶち当たり、回転しながらバウンドしていく花原の巨体。
花原「うわああああああ!!!」

観客「うおおおおお!ついにクマガイがアタックを打った!!なんつー威力だ!!」
コートの外で痙攣している花原。
大此木「・・・あいつだいじょぶか・・・?死んでねえか・・・??」
ちおり「体重72kgの花原さんをふきとばすとは・・・」
花原「そんなにないわよ!!
・・・て、いつつ・・・まだまだ・・・負けないわよ!」

さくら「けっこう根性あるじゃない・・・」
山村「うむ・・・まるで別人だ・・・」
花原「パワーなら私・・・わたしだってくまに大きさは負けてないんだ・・・!」
オジカ「そうかな?クマガイは体重が120kgもあるんだぜ?」
花原「なんですって・・・!?わたし10人分じゃない・・・!」
アライ「なんて見え透いた嘘なんだ・・・!!」

オジカのアタックを止めようとジャンプする花原。
オジカ「また引っかかったな!やはりこいつはクイック攻撃には対応できない・・・!」
クマガイがアタックを決める。

スコアが逆転している。
「白亜高20-三畳高21」

理央「あと4点!これで決まりよ!!」

山村「三畳高はとんでもないものを温存していたな・・・」
さくら「オリンピックでもくまは出てこないからね・・・さ~てどうすっかな・・・」
大此木「クマガイ、オジカ、有葉のフロントラインは最強だ・・・どうするね」

クマガイの前に花原が、オジカの前に華白崎が、理央の前に乙奈がつく。
大此木「マンツーマンブロックだと!!」

理央「時間差攻撃はこれで止められちゃうわね・・・」
オジカ「ふん、この俺の角アタックを広末涼子ごときが止められるかな・・・?」
角を振り回すオジカ。
華白崎「うわ・・・!けっこう角が怖い・・・!!」
華白崎がオジカのアタックをブロックしようとするが、腰が引けてしまい決められてしまう。
華白崎(はあはあ・・・角が怖くて積極的にブロックに行けなかった・・・!
花原さん・・・相当の勇気の持ち主だわ・・・)
花原「どんまい、カッシー・・・!」
大此木「やはり、花原以外に連中のブロックは不可能か・・・?」




雨上がりのイチゴ谷。
獣道をバイクを押しながら歩いている女性ライダー。
「もう試合決まっちゃったかなあ・・・
こんなとこバイクでくるんじゃなかった・・・雨には降られるし・・・」
バイクを三畳高の駐輪場に止める女性。
ヘルメットを脱ぐと、赤く染めたボブカットが風に揺れる。
スポーツ雑誌『月刊スポコン』の記者、病田通代女――
「まったく、さくらは一体どこでバレーをやらせてんのよ・・・」
カメラを構えて、合宿場の扉を開けるつよめ。

するとコートでは人間と野生動物がバレーで激戦を繰り広げている。
つよめ「つーか、さくらは何にバレーをやらせているのよ!!
しかも、せってるし・・・!」
つよめのとなりに現れる海野「本当だ、せってる・・・!」
つよめ「あなたは・・・?」
海野「白亜高校バレー部部長の海野です・・・」
つよめ「・・・部長さんですか・・・わたくし、こういうものです・・・」
名刺をわたすつよめ。
海野「病田って・・・」
つよめ「双子の姉がお世話になってます・・・」
海野「え~!!ぜんぜん似てないんですね・・・」
つよめ「姉は根暗でしょう?
いや~山桜が綺麗だって言うからツーリングがてら取材に来たんですが・・・いきなり嵐にあってびしょびしょですよ・・・で雨宿りしてたら、こんな時間に・・・」
海野「よく、バイクで来れましたね・・・」
つよめ「・・・で海野部長は補欠なんですか・・・?」
海野「・・・え?」

主審「ピー!サブ・スティチュエーション!」
白亜高部員「・・・あ!!」
コートに海野が入る。
華白崎「海野さん!」
花原「もう体は大丈夫なの・・・?」
海野「ええ・・・ごめんね・・・抜けちゃって・・・」
ちおり「わーい!海野さんだ!」
スコアボードを見る海野。
「21対23・・・勝負は決まってない・・・!勝てるよ!!」
一気に士気が上がる白亜高校。

『青春アタック』脚本㉔空前絶後

サービスエリアに立つ乙奈。
乙奈「・・・この流れをわたくしが止めてはなりませんわ・・・」
理央「あの貴婦人は試合中ずうっと緊張しているよね。」
オジカ「乙奈姫櫨美・・・3年、元アイドルらしいが球技は未経験・・・
レシーブもパスもそこまでうまくないし・・・花原のように上背があるわけでもない。
チーム最大の穴だな。」

乙奈を見つめる白亜高メンバー。
華白崎「・・・乙奈さんってサーブできるんですか??」
ちおり「・・・サーブしてるの見たことあったっけ?」
花原「・・・そういやないかも・・・」
華白崎「乙奈さん・・・リラックス・・・!自信がないなら下打ちで・・・!」
ブーちゃんが3人に近づく。
花原「・・・え?みんなが帰ったあと、いつも一人で練習をしていた・・・?」

フローターサーブのフォームを構える乙奈。
のろのろした動きの乙奈「う~や~・・・」

オジカ「なんだ、あの動きは・・・」
アライ「・・・ウケ狙いか?」

ボールを打つ乙奈「たあっ」
ボールは高さが足りず、ネットに接近する。

理央「あれじゃあ入らないね。こっから反撃よ!」
すると、ボールが突然上に進行方向が変わりネットを超えてくる。
目を疑う理央「・・・な!きたよ~!!!」
ふわふわ風船のように浮きながら相手コートの上を漂う乙奈のサーブ。
理央「なんという滞空時間なの!!??」
オジカ「イノセ!シマダ!!」
シマダ「ちょっと待ってください!ええと・・・南西距離1.3m・・・!いやもとい90センチ・・・!!」
また方向が変わるボール。
シマダ「きゃあああまた曲がった!!」
シマダ「北北西仰角3度、距離95センチ!」
イノセ「よしきた!!」
イノセがボールに突進するが、ボールがイノセを避けて、バレーのポールに激突するイノセ。

花原「なんつー変化球よ!!」
ちおり「やったー!!」

アライ「あ・・・あんなやばいサーブ見たことねえぞ・・・
イノセからサービスエースとは・・・おい、あいつ本当に穴なのか!?」
オジカ「・・・信じられん・・・!
ボールに細工したんじゃないのか・・・!?」
ボールにヒヅメをたてるオジカ。
理央「お・・・落ち着いてオジカくん・・・!」
アライ「おい・・・オジカが取り乱しているの初めて見たぞ・・・」
クマガイ「貴重プー・・・」

ちおり「あんなこと科学的にできるの・・・?」
花原「・・・ボールに回転がかかっていないから、変な空気抵抗がかかっているのかも・・・」
華白崎「おそらく無回転フローターサーブの一種かと・・・」
ちおり「乙奈さん、もう一度あれやって!」
乙奈「あんなへっぽこサーブでよろしければ・・・」

もう一度サーブを打つ乙奈「たー」
観客「また変化球だ・・・!」
サーブを追いかけてクマガイのみぞおちに突っ込むイノセ。
観客「うわ!とれない・・・!!」
「三畳高のレシーバー陣が翻弄されてる・・・!すげえ!!」

理央「なんなの・・・あれは・・・」
オジカ「あそこまでランダムにカーブがかかるボールを正攻法でレシーブするのは不可能だ・・・
シマダ・・・」
シマダ「はい・・・」
オジカ「無理にあれをレシーブしようとは考えるな。しかし毎回のサーブの到達点のデータを記録してくれ。どこへ落下するかがわからない以上、確率に頼るしかない・・・」
シマダ「わかりました・・・!」
万石「リスは餌の少ない時期に備えて、地中に木ノ実を埋める分散貯蔵という行動をとる。
リスはそこで埋めた木ノ実の場所を記憶を頼りに探し出すのだ・・・
サーブパターンを記憶することなど訳はないだろう・・・」

乙奈のサーブに翻弄される、シカやくま。
理央「あーえらいこっちゃえらいこっちゃ・・・」
オジカ「慌てるな・・・!向こうで怖いのはサーブだけじゃねえか!
よく考えてみろ・・・
あんなめちゃくちゃな動きに気を取られているが、サーブである以上必ず9m四方のコートの中に落ちてるんだ」
理央「・・・どうするの?」
オジカ「ゾーンディフェンスを敷こう・・・6人がそれぞれ決めた場所をしっかり守れ・・・
その6分割したいずれかにボールは必ず来る・・・!」
理央「なるほど・・・さすがオジカくん・・・」

主審「ピー!」
アライ「来たぞ・・・!」
オジカ「いいか!慌てて動くな!冷静に自分の持ち場だけを守れ!!」
アライの方に飛んでいくボール。
オジカ「アライ・・・!」
ボールの進路が変わる。
オジカ「・・・と見せかけて理央だ!」
なんとかレシーブする理央「てい!」
オジカ「よーし、よくとった!」
オジカ「イノセ!フォローだ!」
シマダ「南東へ6.2m!」
イノセ「発射!!」
ボールをオジカにあげるイノセ。
角をふるってものすごいアタックを決めるオジカ「仮は・・・返すぜ!!」
華白崎「速い!!」
あまりの剛速球でブーちゃんがレシーブできない。

山村「なんという剛球・・・!」
病田「す・・・すごいスピードでしたよ・・・!」

オジカ「・・・久々だよ・・・このオレが本気のスパイクをするのは・・・オレは口だけかと思ったか?」
花原「あ・・・あれは・・・あの時の・・・角アタック・・・!!」
華白崎「角アタック・・・?」

オジカ「1点返したな・・・」
アライ「しかし、あの変化球でまだ9点差だぜ?」
オジカ「ふん、ゲームが進むにつれあのサーブは克服するさ。
施行が多いほど確率は正確になる・・・
まあ、乙奈にはもうサーブ権は回ってこないかもしれんがな・・・」
理央「よしっ!追いつくよ!」

サーブを打つオジカ「任せておけ!」
剛速球を乙奈に向かって打つ。
オジカのサーブが取れない乙奈。
乙奈「きゃああ!」
オジカ「容赦はしないぜ、弱肉強食ってやつだ。あんたに点を取られたぶん・・・もらう!」

山村「監督。まずいのではないか?」
さくら「なんで?」
山村「三畳高は強力アタッカーが有葉、オジカ、アライと3人もいるんだ・・・
間違いなく、向こうはオフェンシブチーム・・・
それをブーコック長と華白崎副会長だけに任せるのは厳しいのでは・・・」
さくら「こっちにもいるさ・・・強力アタッカーは・・・」

オジカ「逆転まで行くぞ・・・!」
角を振り上げサーブを打とうとした瞬間、雷が近くに落ちて、合宿場が停電する。
理央「うわ・・・停電だ!」
万石「ブレーカーはどこだ?」
暗闇で光る無数の野生動物の目。

ブレーカーを上げる観客のサル。
照明がつく。
みると、オジカのサーブがネットに阻まれ入っていない。
観客「あ~!入っていない・・!ついてねえ!!」
理央「どんまい・・・オジカくん・・・」
オジカ「ガッデム・・・!」
乙奈「天が味方しましたわね・・・!」
華白崎「次のサーバーが更に点差をつければ・・・!」
自信なくサービスエリアに入る花原「・・・・・・。」

アライ「おっ・・・あいつはアンダーしかできないんだよな・・・」
理央「チャンスね!」

華白崎「花原さん・・・オーバーハンドでいきませんか・・・?
スパイクをやや上に打つようなイメージでボールを叩けばいいんです。」
花原「・・・ほんと?」
ボールを投げる花原。
思い切り振りかぶる花原。
勢いが付きすぎて、自分のみぞおちをついてしまい、床に膝をつく花原。

アライ「ぎゃはは!」
その時、アライの真横をとんでもない剛速球が突き抜け、ラインズマンのカルガモに当たる。
ボールは勢いがとどまらず、カルガモごと壁にぶつかり、キャットウォークと床のあいだをバウンドしていく。

アライ「な・・・なんだ今のは!?」
理央「早すぎて見えなかった・・・」

花原「・・・?ふふふ・・・素人相手に大人気なかったかな・・・?」
理央「な・・・なんですって!?」
花原「これこそが私の真のサーブ!KDD(花原しかできない誰も)!」

でもやっぱりアウトだった。
理央「もう一羽しか残ってません・・・!」
花原「ごめん・・・」

観客「すげええ!力だけはめちゃくちゃだ!最強の女子高生!」
花原「ははは・・・インドア派で通っているのにな・・・」
華白崎「・・・次のサーバーもパワーがありますよ・・・ディフェンス一本!」

クマガイがボールを持つ。
万石「ツキノワグマはおとなしい動物だが・・・身を守る際に繰り出すパワーは人間が敵うもんじゃねえ・・・」
アライ「パワーにはパワーよ!クマガイのロケットサーブを喰らいやがれ!!」
クマガイ「よ・・・よ~し、いくぞ!」
強力なサーブを繰り出すクマガイ。
アライ「よっしゃー!!」
クマガイのサーブがアライの後頭部に当たる。

――クマガイもサーブが苦手だった・・・!!

クマガイを蹴飛ばすアライ「このバカヤロー!」
クマガイ「ごめんプー!!」
アライを励ます花原「・・・わかるよその怒り・・・」
アライ「・・・な・・・?」

華白崎「よーし、ラッキーです!一気に行きましょう!!」
サイドハンドサーブを打つ華白崎。
理央「アウトよ・・・!」
ライン上ギリギリで地面に当たるサーブ。
カルガモがラインズマンフラッグを下げる。
観客「うおおお!入ってる!!」

感心する理央「・・・いいサーブね・・・」
華白崎「このセットは絶対にいただく・・・」
憧れる病田「さすが華白崎さん・・・!」
山村「海野部長がいないのに見事な闘志よ・・・2年3年を引っ張っておるわ・・・」

オジカ「華白崎桐子・・・成績優秀な才女だが、学力だけではなく負けん気の強さもチームナンバー1だ・・・1年だと思ってなめると痛い目を見るだろう・・・」
理央「確か、中学バレーで県代表だったんだよね・・・上手いわけだわ・・・」
オジカ「・・・お前らに任せていいか?」
シマダ「了解しました!」

もう一度激しいサーブを打つ華白崎。
イノセが全力で拾う。
観客「うお、拾ったぞ!」
トスを上げる理央「アライ!」
アライ「くらいやがれー!」
アライのアタックを飛び込みレシーブで拾う華白崎。
トスを上げるちおり「花原さん・・・!」
花原「まかせろ!」
助走して大ジャンプする花原。
前衛がシマダとイノセなのでブロックができない。
クマガイ「た・・・高いぞ!!」
乙奈「今ですわめぐなちゃん・・・!」
花原が高さを活かして渾身のアタックを打つ。
観客「!ほぼ垂直真下に打ったぞ!!」
イノセが拾いに行く。
イノセ「FIRE!」
キョロキョロするシマダ「方位は・・・!?」
シマダの真上に降ってくるボール。
ぷちという音を出して潰れるシマダ。
主審の笛「ピー!」

ちおり「やったー!」
ちおりとハイタッチする花原「ちおり、ナイストス!」
さくら「あれは・・・76年モントリオール五輪での日本代表の必殺技“稲妻降ろし”ね・・・」
山村「監督・・・あんな技も教えたのか・・・?」
さくら「・・・酔っ払ってて記憶にないんだよな・・・
でも・・・あの打ち方は見よう見まねで出来るものじゃない・・・」

アライ「大丈夫かシマダー!」
マリオに踏まれたクリボーのようなシマダ「つ・・・つぶれました・・・!」

乙奈「さすがですわ花原さん!」
華白崎「・・・花原さん・・・前言撤回します・・・」
花原「・・・へ?」
華白崎「このチームに戦力外などいない・・・謝るわ・・・」
花原「いいよ、もう・・・」

クマガイ「あの身長ですごいジャンプ力だ・・・!」
アライ「あの馬鹿カンガルーが・・・
やるじゃねえか素人ども!もう手加減しねえぞ!」
オジカ「・・・クマガイ・・・花原を力でねじ伏せられるのはおそらくお前だけだ・・・
前衛の心づもりをしておけ・・・パワー勝負になるぞ・・・」

『青春アタック』脚本㉓乾坤一擲

雷鳴が轟く。
雷の光に照らされる森のギャングアライグマ。
アライ「くらいやがれえええ!」
アタックを打つアライ。花原とちおりが拾おうとするが、お互いにゴチンとぶつかる。

海野がアタックを決めるが、イノシシが暴走して拾ってしまう。
シマダ「南西1.2m!」
アライ「おらあ!」
海野のアタックを全て跳ね返して、白亜高校の絶対エースを抑えてしまう。
息を切らす海野。
華白崎「海野部長がこれほどまでに抑えられてしまうとは・・・」
花原「ど・・・どうしよう・・・?」

アライ「あいつさえマークしちまえば勝てちまうな。」
オジカ「所詮は素人だからな・・・」

アタックを決めるアライ「おらあ!」
怯える花原「あわわ・・・」
ヘルプに走る海野「どいて・・・!」
片腕を伸ばしギリギリレシーブする海野「華白崎さん・・・!」
トスを上げる華白崎。
アタックをしようとする海野。
そのアタックを跳ね返すアライ。

飛び込みレシーブをする海野。
アタックをする海野。
花原をカバーする海野。

病田「・・・な、なんか、美帆子ちゃんだけでバレーをしているみたい・・・」
大此木「ほかの5人をすべてカバーしてるんだ・・・あいつは責任感が強いからな。
今までも、隠れてメンバーをフォローしていた・・・」
山村「むう・・・見てられん・・・我がエースアタッカーのあんな姿を見るのは・・・」
さくら「誰がアタッカーだって??」
山村「・・・む?」
さくら「あの子の専門はレシーバーよ。アタッカーじゃない。」
山村「なんと!では、今まで苦手な役割を・・・?」
さくら「・・・人には向き不向きがある。さあて、どうする?」

アライグマの猛攻に怯えるメンバーたち。
肩で息を切らす海野(初心者の花原さんたちには、あの珍獣の相手は無理だ・・・
私ががんばらないと・・・私が・・・)

織戸高校の昔のメンバーから「全国制覇」の旗を体育館から放り出されたことを思い出す海野。
織戸高校のキャプテン「・・・帰って・・・もうあなたとは関わりたくないわ・・・」
海野「ひとこと・・・謝りたくて・・・」
キャプテン「謝っても・・・ここにはもうあなたとバレーをしたい子なんていない・・・」
全国制覇の旗を外に放り投げてくる。
雨で濡れた地面に倒れる旗。泥で汚れる。
海野「みんなの夢だったよね・・・」
キャプテン「いいや、あなたの夢よ」

海野(・・・もう・・・ひとりぼっちは嫌だ・・・!)

渾身のアタックを打つが、それすらクマガイのブロックに阻まれる海野。
とうとう力尽き、コートで倒れてしまう。

白亜高部員「・・・!海野さん・・・!!」
救急箱を用意する山村「審判!タイムだ・・・!」

理央「クマガイさんのディフェンスが地味に効いてたみたいね・・・」
クマガイ「いや~強敵だった・・・」
アライ「クマガイのブロックが破られても、イノセとシマダが確実にレシーブするしな。」
イノセ「任せろ。」
スコアボードに目をやるオジカ「あと5点か・・・」



海野を寝かせるさくら
花原「・・・先生・・・」
さくら「だいじょうぶ、ただの貧血よ。すこし休ませれば治るわ。」
花原「よかった・・・」
さくら「最近、神経の方も使ってたらしいから・・・
あんたたちのまとめ役ってのも大変ね・・・」
花原「・・・え?」
華白崎と乙奈がお互いに見つめ合う「・・・・・・。」
よろよろと立ち上がる海野「迷惑かけてごめんね・・・さあ続きをやろう・・・!」
さくら「ダメよ、部長。すこしは休んでなさい。」
海野「しかし、監督・・・それでは5人になっちゃいますよ・・・」
服を脱ぎ出す山村「ふふふ・・・ついに来たか、この最強のマネージャー、マッスル山村のショータイムが・・・!」
さくら「5人で行きましょう。」
山村「・・・え?」
海野「そ・・・そんなむちゃくちゃな!5人であのチームに勝てるはずが・・・!」
さくら「これは監督としてじゃない。養護教諭としての判断よ。従ってもらうわ。」
海野「は・・・はい・・・」

さくら「おい、そこのマッシュ坊や。」
大此木「お・・・俺のこと言ってんのか・・・?」
さくら「うん。美帆子ちゃん、かなり辛そうだから保健室に連れてってほしいの。」
大此木「わ・・・私がですか??」
海野「・・・大此木くん・・・」
山村「それなら私が運んでやろう・・・なにしろ、この部のアイドルでありマネージャーは私なのだから・・・」
さくら「いやいいよ。マッスルくんはここでスコアをつけてて。」
むせび泣く山村「・・・なんもやらしてもらえねえ・・・!!」
山村にハンカチを差し出す病田。

海野に肩を貸してやる大此木「ほら、いくぞ・・・」
海野「ありがとう・・・」
花原「海野さんにセクハラすんじゃないわよ」
ちおり「バックブリーカーもダメだよ!」
大此木「誰がするか!」
合宿場を出て行く二人。

雷が激しくなる。
窓の外を見る野生動物。
「山火事にならないかしら・・・」
「土砂崩れで巣穴つぶれないかなあ・・・」

理央「・・・おっあっちは5人でやるみたいよ。」
シマダ「ほんとだ。」
アライ「勝負を捨てたな。止めを指してやる・・・」

さくら「さあ、諸君。海野部長にはもう甘えられないよ。どうする?」

イノセがボールを鼻面で放り投げ、ボールが空中に浮いているあいだに後ずさり、一気に突進してサーブを打つ。

ブーちゃんがそのサーブを根性で受け、華白崎がアタックをしようとする。
しかし、クマガイのあまりに高いブロックに肝を潰す。
華白崎のアタックを跳ね返すクマガイ。
ネット際に落ちたボールをひろうちおり「へにゃー!」
華白崎「会長・・・!」

さくら「あの子はネット際のプレイがうまいわね・・・」
山村「ですな。」

花原が今度はアタックモーションに入る。
花原「畜生ども、今度は私が相手だ!!」
アライ「うるせえ死んどけ!」
花原のアタックをアタックするアライ。
ボールが顔面に当たる花原「ぎゃあああ!!」

観客「すげえええ!アタッカー殺しのアライ!!」

頬を抑える花原「ううっもうやだ・・・いたい・・・」
華白崎「5人でやりあうのは相当厳しいですね・・・」

理央「あと2点で第1セット取れるよ!」

床に崩れる花原「だめだー海野さん抜きじゃ勝てないよー諦めよう・・・」
花原の背後に回るちおり「も~ダメだな~花原さんは・・・」
花原に浣腸をするちおり「闘魂注入!」
飛び上がる花原「ぐぎゃあああああ!!」
ボールを持ってポーズを決めるちおり「希望を捨てなきゃきっと勝てるわ!!」
理央「・・・ほう・・・」
山村「青春アタックの名台詞だ・・・!」



保健室。
ベッドの海野に毛布をかけてやる大此木。
海野「ありがとう・・・優しいんだね・・・」
微笑む大此木「なぜ、モテないか不思議か・・・?」
微笑む海野「・・・ぜんぜん・・・」
大此木「・・・バレーは一人じゃできねえぞ海野・・・」
海野「へへ・・・ひどいよね、私って・・・
心の中では結局みんなを素人扱いして信じていなかったんだ・・・
もう二度と・・・大切なチームメイトを失いたくなかったから・・・」
大此木「負けたら、お前のチームメイトはいなくなるのか?」
海野「・・・でも、私にとってはこれが最後の戦いなの・・・」
大此木「誰が決めたんだ、そんなこと・・・
いいから、お前はゆっくり寝てな。
あいつらは負けんよ。じゃなきゃ、この俺様も動物以下だ・・・」



――動物以下が決定した。
主審「ピー」
第一セットを落とす白亜高校。

ちおり「あー負けちゃったー次のセットがんばろー」
花原「あんたのカンチョーのせいで私がアタックできなかったからじゃない!」
ケンカするちおりと花原。
華白崎「は~っ私にあの二人をまとめるのは無理だ・・・」

扇子であおぐ理央「よく走り回れる元気があるよね・・・」
華白崎「なるほど・・・そういう見方も・・・」
アライ「馬鹿!向こうに聞こえちゃったぞ!」

パイプ椅子から立ち上がるさくら「さあて・・・追い込まれちゃったね。」
華白崎「・・・監督。なにか策が?」
さくら「一セット目の様子を見させてもらって、だいたいわかったわ・・・」

主審「それでは第二セットを開始します!」
万石「このセットもとってたたみかけろ!」
コートに入る三畳高「おー!」

理央「・・・ん?ポジションが変わった・・・!?」

前衛の両翼に乙奈とちおり、そしてセッターに花原がついている。

病田「・・・な!」
山村「花原さんがセッター!?」
花原「ふふふ・・・驚いているわね・・・何しろ私は・・・オーバーハンドパスができない・・・!!」

アライ「向こう、ポジション間違ったんじゃねえか??」
サービスエリアの理央「相手の監督は元全日本だよ。油断は禁物。」
綺麗なジャンプサーブを打つ理央。
理央「どうだ・・・!」

ブーちゃんがレシーブする。
理央「なんでよ~!!」
アライ「あの給食のおばさんレシーブうまいな・・・」

ブーちゃんのあげたボールがセッターの花原の方へ飛んでいく。
おびえる花原「もうきたー!!!」

理央「アタックが来るよ!」
クマガイ「ライトだ!!」

震える花原「う・・・うあああ・・・!」
花原はオーバーの姿勢はするもののトスが上げられず、勢いよく相手コートにボールを弾いてしまう。
意表を突かれて、花原のボールがブロックに入ったクマガイの顔面に当たる。
結果的にフェイントの形になり、白亜高が最初の一点を取る。

華白崎「花原さんナイスフェイント!!」
花原「・・・は?
け・・・計算通り・・・」

アライ「ホントかよ・・・」
花原に話しかけるオジカ「おいあんた・・・セッターとはどういうつもりだ?
オーバーハンドパスができないのは知っている・・・」
オジカを無視する花原「は・・・はは・・・乙奈さんサーブがんば~・・・」

山村「全日本よ・・・なぜ・・・トスができない花原さんをセッターにしたのだ・・・?」
タバコに火を付けるさくら「いや・・・そんなこと言ってないわよん。センターをやってって言ったのよ。」
山村「では聞き間違いか!!?」
煙を吐くさくら「でもまあいいか。面白そうだし。」
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