劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆」

 ネタとトリックのピタゴラスイッチ。

 昨夜テレビ朝日で放送されていたミステリードラマの劇場版。ついこないだ劇場公開されていた新作映画だし、6月になってからまったくブログを更新していないので、ぶっちゃけ記事にするために観てみました。

 私は推理物と言ったら、小学生の頃に読んだシャーローク・ホームズか古畑任三郎くらいしか知らなくて、そこまで詳しくもなければ興味のあるジャンルでもないんですが、あえて言うならば、作劇ジャンルの中で最もロジカルであり、プロットを組み立てるのが最も困難なのはミステリーだと思う。だからこういう話を作れる人はマジですごい。フェアなミステリーって要は伏線がしっかりしているってことだから。

 ミステリーって難しいのは、犯罪のトリックありきで物語を組み立てていくようなところがあるから、なんというか機械的な構造になりがちなこと。
 読者(もしくは視聴者)に提示する推理ゲームをちゃんと成立させるために、文学的な側面が犠牲になるし、あえてそれ(文学性)をやってもわざとらしくなっちゃうんだよね。とってつけた犯罪の動機(≒犯人の半生が語られる感動?シーン)とかw

 だから下手な脚本家が作ると、トリックに引っ張られたキャラクターが不自然極まりない言動をするようになってしまうんだけど、あえてそれを逆手にとって不自然な言動で笑かしにかかったのがこのトリックシリーズなんだと思う。
 この方法はかなりハイコンテキストで上手いなあって思った。もうファンは皆こういったミステリーお馴染みの展開に飽き飽きしていて、その文脈を共有している。
 だからどっかでみたことのありそうな山村の「マンネリ村」が物語の舞台になっただけでニヤリとするんだろうな。金田一シリーズだよねあれ。
 
 ハイコンテキストと言えば、仲間由紀恵さん演じる盛りの過ぎた女性マジシャン山田さんのアパートに膨大なチキンラーメンがあるところなんか、もうハイコンテキストここに極まれりって感じでゲラゲラ笑っちゃったけどw
 あと物理学者の上田先生の胡散臭い著作!あれ、本の装丁がしっかりデザインされているのとかやたら面白くなかったですか?
 タイトルとか本当に馬鹿馬鹿しいのに帯までちゃんと作っているんだww一生懸命『どんと来い超常現象1~5』を作っている小道具さんを想像してもう笑った笑った・・・って思ってたらあの本実際に売っているんですね。悪乗りもいいところだ!

 と、こんな感じで全編にわたってひたすらくだらないんだけど「コメディものだからメインプロットも取ってつけたような適当なもんでいいや」って感じでもなくて、なかなかしっかりしているのがステキ。ギャグを全部取っ払ったら一昔前のミステリーとしてはなかなかの出来の話だった気がする。
 ・・・いや、正直すごいよ。最初にも言ったけど、こういうロジカルな脚本は私には絶対書けないよ。数学が苦手だったしな。
 まあ私は推理小説ろくに読まないから、もしかしたらメインプロットやトリックも丸ごと何かを拝借しているのかもしれないけど・・・とりあえず「双子」って言うのはミステリーでは使い勝手がいい設定だよね。

 最後に一言。この手の映画ってピタゴラスイッチみたいなもんで、最後にスルスル伏線が繋がっていくのが分かっていくのは「すげ~」って思うし面白いんだけど、それだけなんだよね。
 それは私がミステリーの緻密なプロットにそこまで興味がないからかもしれないけど、いまいち心に残らない。感情を揺さぶられない。考えさせられない。
 へらへら笑って後には何も残らない。でもそれでいいじゃんプップクプ~って居直っているのがトリックなんだろうな・・・

 ヅラの刑事が電気でビリビリするだけで条件反射的に笑ってしまうから悔しい・・・!

芸術家はシュウゾウに気をつけろ!

 こんばんは。今日はついに契約書を書きました。これで私もとうとう魔法少女・・・じゃない、漫画を連載することに!権利関係の契約は注意しないといろいろ面倒だからちゃんと読んだけど、この前の打ち合わせで言った通りのことしか書いてなかった。

 しかしもう締め切りまであと一カ月と言うのに、ここ2,3日昔アップした恐竜のイラストをイジイジいじっている始末・・・!
 その上私の中の小さなシュウゾウがうるさい。「お前ならもっと描けるはずだ!見せてみろお前の100%!」とかほんとうぜえ・・・!
 そんな感じで細かいところ延々と直し続けちゃうんだよな。なんであの時ここに意識がいかなかったんだ~!みたいな。でもこんなこと続けてたってキリがないんだよね。これは漫画もだけど。
 
 描き手が気になるところって、おそらく見る側にとっては誰も違いに気付かないほどの些細な箇所なんだから、それは自己満足もいいところなんだよ。
 一体この絵を誰のために描いているのか?・・・いや漫画はともかく、恐竜は自分の為なんだけどw、自分の為ならもっと手を抜いてもいいのに気になっちゃうんだよな。
 なんかもう私の自由意思なんかじゃなくて悪い霊(=シュウゾウ)に取りつかれている感じだよ。
 
 でも前にも言ったけど絵って描き込めばいいって言うもんじゃないから難しい。雑が丁寧に勝つ場合もある。勢いとかで。奥が深い。
 それに鉛筆で描き込むとやっぱりボソボソになっちゃうのが嫌い。恐竜の皮膚ってボソボソはしていないからね。ヌメヌメもしてないけど。

 それにしても完成って何なんだろうね・・・「もうこれでいいや!」って終わらせちゃう人を美術系の人は根性無しって批判するが、私は本気で羨ましい。締め切りって言うのもあるしな。
 
 そういや昨日の深夜テレビで、外国の教会かなんかで孤独に壁画描いている高橋さんっていう芸術家が出ていたんだけど、この人も有名な(らしい)ベテラン芸術家なのにやっぱり描いては消しを繰り返している・・・芸術家にとっての締め切りは「死」なのかもな・・・あ~あ・・・

 ・・・ん?オレの描いているものって芸術だっけ?んな馬鹿な!ゴミだよ(C)トイ・ストーリー3
 というわけで気楽にやれたらいいんだけどね!

パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 宝物は金や銀ばかりじゃないだろ。

 今2003年に描いた昔のSF漫画を連載用に仕上げているけど、この映画の公開年も同じく8年前らしい。なんと!そんなに前の映画だったのか・・・昨日初めて観たよ。

 こういった「海賊冒険もの」って言うのは男の子心を理屈抜きでくすぐるよね。とはいえ私はそれほどこのジャンルに思い入れがなくグーニーズくらいしか連想できないけど。そのグーニーズですらもはや記憶があいまいだけど。
 でもとにかく純粋なワクワクをくれる映画。深い話じゃないのでゴロリと寝ころんでテレビで観る分には最高のエンターテイメント。ええ面白かったですとも!
 あまりに面白くて私は久々にスタン状態になったよwこれは『オーケストラ!』以来かな。だって子どもが喜びそうなこととりあえずぶちこんでいるんだもん!物語の展開も早いし。いいな~こういう潔い作り方・・・ただチャンバラのシーン長ぇよ!(笑)

 しかしスパロウ船長は腐女子に人気があるだけある。船長は作劇上の立ち位置が絶妙。主人公なのにどこか第三者(サブキャラ)的な位置にいる。なかなか王道ハリウッド映画でこんな風には作れないよ。
 主人公の立ち位置としては「周りの人たちの影響で成長していく主人公」と「周囲の人を変えていく触媒的主人公」っていう二つのやり方があると思うんだ。で、スパロウ船長は明らかに後者のタイプでなかなか面白かった。
 これが少年ジャンプとかだと前者になっちゃうんだけど、あのどこか他人事のように「我関せず~」って傍観しているところがスマートでかっこいいんだろうね。なかなかにルパン三世的だ。

 それにスパロウ船長ってけっこう平和主義者(?)で、海賊の割に荒事が嫌いな自由人なんだよね。「暴力はんた~い」みたいな。本当ネコみたいだなコイツw
 スパロウ船長が直接手を下したのは、結局本編では宿敵バルボッサ一人だけだったし、そのバルボッサを長年とっておいた一発の銃弾で倒す演出とか「絶対そうなるだろうな~」って予想していたけど最高!ベタこそベター。
 …と、このようにたまに仲間の為に真剣に戦っちゃうところとか…こいつに惚れない女はいないよ。欠点と言えばちょっと不潔なところくらいかwまあ17世紀のお話だから・・・

 上手いのは、主人公的なラブロマンスは他のキャラクターにやらせ、スパロウ船長は仲人的な位置にいながらも、船長以外のキャラクター造形は全て「テンプレ」にして、船長の魅力を引き出すためだけの存在にしてしまっているということ(とはいえヅラを離さないお父さんとかよかったけどねw)。
 ここら辺もなかなかさりげなくて匠だ。ちゃんとジャック・スパロウの映画になっているんだから。

 セリフもかっこいいよね。スパロウ船長名言集とかできそうなくらい面白くて、このキャラクターに深みを持たせている。「面白い少年漫画には必ず名言がある」というけど同感だ。いくつか挙げると・・・
 
 (「これって間抜けなんだか利口なんだか」と言う鍛冶職人に対して)不思議なことにその二つは矛盾しない。

 男にとって大切なのは何ができて何ができないかを知ることだ。


 なかなか知性的だw頭柔らかいんだろうね。だからあっと驚くことができるのだろう。海軍の船あっさり盗んじゃったりw
 そうそう私あのインターセプター号を強奪する砂浜のシーンで、船長とウィルの二人がボートの下にもぐってトコトコ船に接近するじゃないですか。あの時一瞬砂浜の向こうに小さく写る17世紀的な遠景が好きで、こういう細かなところもちゃんと描き込んでいるからこそ、カリブの海賊の世界を受け手は感じられるんだろうなあって胸をうたれてしまった。エクセレント。

 ただここまで言ってあれだけど・・・伝説の目的地とか言われる「死の島」にあっさり着くのはやっぱり突っ込みたくもなるよねwしかも作中二度行ったり来たりするから気軽に行ける感がすごかったw
 本当は海って広大でああいう伝説の場所に行くには数々の苦難を乗り越えるロードムービーになりがちなんだけど、まあ展開を早くしないとちびっ子が寝ちゃうからああいう決着にしたのだろうな。

 そういえば、バルボッサ一行にふりかかった死の島のメダルの呪いはかなり辛いものがあるよね。永遠に欲望が満たされず何も感じない呪い。でもあいつらけっこう愉快に笑っていたり、とても快楽が奪われたようには見えないんだけどw鬱とは無縁そうな人たちだ。

中国史覚え書き②

隋(581年 - 618年)
楊堅が建国。中央集権体制樹立。
均田制(口分田)、租庸調制、府兵制(兵農一致)
科挙(官僚試験)実施
第2代皇帝煬帝(暴君)は大運河の完成。外征による勢力拡大。高句麗遠征を三度失敗して滅亡。

唐(618年 - 690年 705年 - 907年)
李淵(在位618~626)が建国。首都長安。

太宗(在位626~649)
貞観の治(律令体制確立)
隋の諸制度を受け継ぐ。この律令制度は朝鮮や中国にも取り入れられる。
629年、玄奘がインドに留学。仏教を学ぶ。

高宗(在位649~683)
百済、高句麗を滅ぼす。

則天武后(624~705)
中国史唯一の女帝)

玄宗(在位712~756)
楊貴妃に入れ込んで政治を忘れる。

徳宗(在位779~805)
均田制・租庸調制から年に二回徴収(夏秋)の両税法に変更(ただ両税法は単税主義)。荘園の増大。

8世紀半ばになると律令支配が崩れ、9世紀後半の「黄巣(指導者の名前)の乱」をきっかけに唐は滅亡。

五代十国時代(907年 - 960年)
華北の五王朝と、華中、華南の十の地方政権の時代。混乱期。
趙匡胤(ちょう きょういん)がこれをおさめて宋を開く。

北宋(960年 - 1127年)
趙匡胤(在位960~976)
文治主義(君主独裁制強化)
科挙に皇帝が行う試験の殿試を加える。

芸術文化科学が発展。火薬、羅針盤、印刷術。

太宗(在位976~997)
中国全土を統一。

北方では遼(契丹)・西夏(タングート※チベット系民族)、そして遼を滅ぼした北方の王朝の金によって北宋は滅ぼされる(靖康の変)。

南宋(1127年 - 1279年)
金に華北を奪われた北宋が南下して高宗(在位1127~1162)が作った国。

岳飛(主戦派)と秦檜(和平派)の対立。結局和平派が金と和議(紹興の和議)を結ぶ。
西夏や金を滅ぼした元が首都「臨安」を陥落させ南宋は滅ぶ。

元(1271年 - 1368年)
東西の人物、文化の交流が活性化。
元に対する漢民族(全体の9割以上)の不満が高まり紅巾の乱(被支配層の農民反乱)をきっかけに滅亡。

明(1368年 - 1644年)
貧民出身の朱元璋が元を北方に追い払い建国。首都は南京→北京(1421~1644)
中央集権的な官僚政治を強化。両税法→16世紀後半には一条鞭法(両税、丁税=人頭税※納税能力に関係なく一人あたりから同額を徴収する税、を一括化して銀で納税)に。
儒教で農民を強化。皇帝の専制支配を確立。
茶、桑(果実酒の原料、蚕の餌)、綿花といった商業作物が栽培。
農民反乱(李自成の乱)によって滅亡。

清(1636年 - 1912年)
中国東北地方に建国。女真人の軍事組織(八旗)によって内モンゴルと朝鮮を服属させる。
首都は北京。
康熙帝が中国全土を統一。中国最後の王朝。
約130年間東アジアに君臨。
専制政治。厳しい思想統制。
綿織物、絹織物、陶磁器が発達。ヨーロッパで珍重。
辛亥革命で中華民国ができて滅亡。

太田光VS宮田亮平

 この放送「爆笑学問東京藝術大学編」はもうずいぶん前に見て、かつてコラムでも取り上げたのですが、まだ喋り足りなかったのか再びいろいろツイートしちゃったのでここにまとめておきます。

 「爆笑学問」太田光のベストバウトはやっぱり東京芸大の学長の回だろう。あの芸大の学長のスタンスは本当腹が立ったし太田さんはよくやってくれたと思う。
 名作ですよw伝えることの限界を論じ、それを放棄した感じの学長、そしてそれを絶対あきらめない太田さん。全然かみ合わなかった。太田さんは理系分野の回だと頓珍漢な事言うけどこの回は痺れました。

 芸術家ってなんでこう・・・言葉を軽視しがちなんだろう。夏目房之介さんが指摘していたけど、自分の思いを言葉でうまく伝えられない人が絵や漫画をやっているって言うのはあるんだろうね。
 例えばうまく言葉にできない抽象的な感情があっても人類の歴史ってそれをなんとか言語化ないし体系化しようとしてきたわけじゃないですか。それを別にいいや、もうそういう時代じゃないよって東京芸大の学長が言っちゃっていいのか。あまりに短絡的だ。
 「伝わらなかったっていうのもいいんだ」ってこいつ自分に言い聞かせているだけだと思うんだよ。内心こいつが一番それが許せないんじゃないか。だからそうやってニヒルなふりをしている。哀しい。あまりにも。

 つまり多くを語ってしまいがちな太田さんのスタンスでやっといくつか伝わるかどうかだと思うんです。世の中って。それくらい表現って難しいし厳しい。
 「考える前に手を動かせ。」そう言う人は芸大によくいる。だが物語を構成する時も脳内の思考の「のみ」で一心不乱にプロットを削り出している。だから一見ロジカルな脚本も理屈だけじゃ作れない。
 本当に自分が伝えたいことは言葉にできない。当たり前だ。でもその現実を前に死ぬまであがくのが表現者じゃないのか。
 全然作り手が意図していなかったところで相手が受けたりするのは、私中学生くらいから知ってたもん。で「それも作り手は認めるべきだ」って、そんなの40過ぎまで認められなかった方がおかしいよ。
 自分の作品がどんな形にせよ相手の心を動かした。それだけでいいじゃないか。で、それですら現実ではめちゃくちゃ難しい。だからこそ「伝えたい」という思いは常に必要なんじゃないか。

 彼は学生の作品に対して「まだ言葉が多いね」と言う。おそらく“意味”に縛られているということなのだろう。人はそこに意味を求めがちだが、その意味性を全て取っ払って残るものとは何か。つきつめれば人間の創作活動そのものが自然、もしくは世界内存在の世界において「蛇足」になってしまう。
 また太田さんの物言いは確かに腹立たしいが、怖くて誰も言えないことを言ってくれた。つまり「これ」って意味あるのって?それにカチンときて上げ足とっただけな感じがする。

 「太田さんは言葉が多い。最後だけでいい」って言うけど、太田の伝えることに対する熱い思いがあってはじめて最後の一言まで口から出たのだとしたら、雑多な部分にも意味がある。つまり「考える前に手を動かせ」と一緒で彼は「考える前に言葉を乱射している」のだ。
 芸術表現は洗練しシンプルなものにすべきだという意見もあるが、泥試合だってある。二通りあったっていい。全部ブランクーシじゃなくったっていい。

 そして学長の言う「時空の違い」をふまえるならば時空を経て洗練されているのは間違いなく数学と言語だと思う。とんでもなく抽象的だから有史以来使われ続けている。それなのに言葉を軽視?する学長。いろいろ矛盾している。

 言葉はいらないなら沈黙して作ってりゃいいじゃんねw私は言葉で何かを伝えようとするのも好きだから喋り倒す。うざし。

 あと読み手と作り手の精神性に大きな隔たりがあることを痛感した。現代はプチクリで読み手が作り手を兼ねると言うけどなかなか難しいぜ。
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