ドラえもん のび太の恐竜2006

 「面白い度☆ 好き度☆」
 
 恐竜映画で恐竜が手抜きでどうする!喝!

 ドラえもんの声優陣が一斉入れ替えになって初めて作られた映画版。映画版第一作の「のび太の恐竜」をリメイクして新生ドラ映画の誕生を高らかに宣言しようと思ったのだろうけど・・・う~ん・・・今更感が・・・でも企画としては悪くないのかな?
 「のび太の恐竜」と言う作品を知らないちびっ子は楽しめると思う。でもほとんどのドラえもんファンはこの名作を知っているから、なかなか厳しい。

 もともと話はとんでもなくよくできている。この話を基にスピルバーグ監督は『E.T』を作ったし、映画版の『ジュラシック・パーク』で、野外で飼育されていたティラノサウルスがなぜかヴィジターセンターのエントランスに現れて、ヴェロキラプトルと戦って大暴れするラストシーンありますよね?
 あれ原作にないどころか映画版でも当初は無かったシーンなんです。あのヴェロキラプトルを放り投げてこちらに向き直って吼えるティラノサウルスのポーズは『のび太の恐竜』の原作184ページと全く一緒なので持っている人は調べてみてください。スピルバーグ監督のオマージュなんですね。古畑任三郎でした。

 で、このリメイク版は、偉大な原作に臆したのかほとんど物語が同じなんです。せっかく21世紀に新しく作リ直すんだから、時代性を取り入れて大きく変えちゃってもいいと思うんだけど・・・
 で、何を変えたかって言うと、登場する恐竜を時代設定に合わせたってだけ。まあ恐竜マニアをうならせようとしたのかもしれぬ。そんな気もする。
 私がこの映画をあえて見ようと思ったのも、今のアニメの高い画力で本作の恐竜をどうリメイクするんだろう?っていうのがあったから。
 しかしひどい。恐竜をテーマにした映画で恐竜の絵を手抜いてどうするんだってくらいひどい。適当。手抜き。これなら私がスタジオ乗り込んで代わりに描いてやりたいよってくらいひどい。もう恐竜どうこうじゃなくてアニメ作品としても客をバカにしてない?ってくらいひどい。
 特にティラノサウルスが草食恐竜に襲いかかるシーン・・・動画枚数が圧倒的に足りない。こんなんでいいの?動きがカクカクのサーチ状態。
 ティラノサウルスの顔も間抜けで全然怖くないし。なんなのこれ作った監督。本当にやっつけ仕事。なめんじゃねえ。喝ですよ喝!
 例えば萌え美少女アニメの美少女をちびまる子ちゃんの冬田さんみたいな画風でお前ら描くって言うのかよ。

 で、舞台は一億年前の白亜紀の北米だから、原作は間違ってブロントサウルス(ジュラ紀の恐竜)をティラノサウルスは襲っていたけど、ちゃんと白亜紀の竜脚類のアラモサウルスに変えてやったよ・・・ってか。ぬるいわ!
 そんな時代考証の部分をいくら修正しようが、肝心の恐竜の絵があれなら焼け石に水だ!むしろドラえもんのオールドファンは、今はなかなか見れないオールド復元(ティラノサウルスがカンガルーのように立っている)の恐竜を見に来ているかもしれないだろうが!
 全長が絵を見るに推定100メートル近くあるブロントサウルスが白亜紀にいてもいいじゃないか。ステゴザウルスがいてもオーニソミマスがいてもいいじゃないか!そんな事言うなら、一億年前にはティラノサウルスいないからね?(ティラノサウルスはもっと後で絶滅直前の時代に登場した)
 もう物語をほとんど一緒にするなら、いっそ恐竜も古く懐かしい感じで出せばいいのに、この中途半端さ。プテラノドンをケツァルコアトルスにしたからなんだってんだ。

 そもそものび太の恐竜って言うけどピー助は恐竜じゃない。有名な話だけど。あれならニワトリを育てた方が恐竜って言えちゃう。
 なんで恐竜じゃないフタバスズキリュウを使ったかって言うと、当時日本で発掘された恐竜ってあまりいなくて、図鑑に載っているのは海生爬虫類のフタバスズキリュウか、旧日本領から発掘されたカモノハシ竜ニッポノサウルスくらいだった。
 まあ他にもキタダニリュウとかモシリュウとかサンチュウリュウとかいろいろいたんだけど、部分的な化石しか見つかってなくて、全体像が大体わかっているのは上に挙げた二つくらいだった。おそらくは。
 だからもし今F先生が「のび太の恐竜」を思いついたら、福井県でかなり保存状態のいい恐竜が見つかっているから、ピー助はイグアノドンの仲間のフクイサウルスになったのかもしれない。
 二足歩行できるフクイサウルスなら、白亜紀の冒険シーンではフタバスズキリュウ以上に大活躍できると思うけど、白亜紀に行く前の現代のシーンで、公園の池にネッシーのごとく隠すことができないから、やっぱ無理か・・・
 でも公園で飼育する前にスモールライト使えばいいよね。でもでかくなりすぎて飼いづらくなるって言うペット問題をやろうとしたのかな?

 余談ですが、ドラえもんは勿論、F先生の著作全般に詳しいマロさんが「万能加工ミニ工場」のシーンがなくなっていて残念って言ってて大爆笑だったんだけど(あああったなそんなの!ってw)、確か「一億年前ってどれくらい昔か?」ってドラえもん先生が説明するシーンもカットされてましたよね。
 あのシーンはブロントサウルスをアラモサウルスに差し替える以上に教育的でいいシーンだと思うんだけどな。あれを見れば絶対人類と恐竜が同じ時代にいたなんて思わないだろうから。
 とってつけたように最後にスピノサウルスなんて出すなら(しかもあいつ北米にいねえよ)万能加工ミニ工場と一億年前の講義シーンを入れてやってほしかったよ。

 最後に一言。恐竜ハンターの声をやった船越英一郎さんだけは超よかった。あっぱれ!この人はうまい。声優向きの声だと思う。『カンフーパンダ』の時も思ったけど、声優上手い芸能人って俳優中心に結構いるよね。

なんでもすごいっちゃすごい論

 vicさんにならって今年観た映画の評価をおさらいしてみると星五つばかりということに気がつく。☆の大安売りだ。
 ☆5っていうのは「もうこれ以上はこの話は面白くしようがない」ってことなんだけど、確かにプロの人たちが一生懸命考えつくしたものを見ているのだから、素人の私が見て「これこうすれば、もっと面白くなるのに」って思うことはそうそうない。

 そもそも私って小さい頃から単純かつ大げさですぐになんにでも感動する。「すごいなあ」とか「かっけえ」とか「腹が痛い」とか・・・
 同時につまらないものも素直に「つまんねえ(=笑えない)」って思っちゃうから☆1との二極化が進んでいるんだと思う。なら大沢の親分さんのようにアッパレと喝でいいじゃねえかって気もするんだけどね。まれにちょっと惜しいのとかがあるから、この五段階の評価基準は継続するけど。

 で、この前物まね芸人の苦労話が「金スマ」でやっていた・・・と言うかそれを録画したものを母親が朝見ていて自分もつられて観たんだけど、「馬鹿馬鹿しいなあ」って思う芸でも、自分が少しでもそれをやってみると、この芸をやるためにとんでもない苦労があるんだって言うことに気付く
 ・・・ていうかそんなの当たり前なんだけど、なかなか人ってそれに気付く想像力は皆あるのに面倒くさいから考えない。だからつい「こんなバカなことやって金がもらえていいなあ」ってバカにした目線で見ちゃうこともある。

 でも実際その芸を自分がやってみたり、自分にはできるのだろうかって考えると、自分には到底できないということに気付く。別にそんなのやってみたくもないよって言う人もいるだろうけど、やっぱりそいつができないことに変わりはない。つまり受け手から作り手に移行した時、その人を尊敬する気持ちが生まれたりする。

 私なんて何を見てもいちいち「これってどう作ったんだろう?」とか「すごいなあ」とか思ってトリップしちゃうから面倒がられているんだけど(最近は理科の授業中、電流計と電圧計って内部構造は何が違うんだろう?と不思議な気持ちに・・・)、どんな人もそれなりに自分の仕事をしていて、その結果社会に貢献しているんだから、その仕事の成果や苦労を分かってもらえるのは嫌なことじゃないと思う。

 でも映画などのクリエイターや、匠の技を持つ町工場の職人って、他の職種よりも個人戦の色彩が強いと思う。自分の個性を売りにして戦っているというか(評価を人のせいにできない)。もちろん映画も漫画も今時は大人数で作っているんだけど、でも創作活動とはリーダーがいなくても秩序化する創発現象なんかでは決してない。
 『トイ・ストーリー』を作ったアニメ会社のピクサーがすごいって言うけど、あのすごさはとどのつまりジョン・ラセターって言うカリスマ的リーダーがいるからってところはあると思う。

 誰がやってもまあ大体同じ仕事が出来る・・・それを目指してアメリカの工業化は進んできた。自動車会社のフォードも、サービス業のマクドナルドも、熟練の技を持つ職人さんなんていなくても、仕事の分散化およびマニュアル化によって、バイトの人をたくさん集めれば複雑な仕事ができるようになっている。
 その流れでハリウッド映画もアメリカの大きな輸出商品として作り方のマニュアル化を進めてきたけれど、やっぱり物を言うのは作家の個性だと思う。
 あれだけプロデューサーや投資家がうるさく内容に注文をつけ、映画の構成の仕方も分刻みで決まっているハリウッド映画でさえ、監督の個性って表出するもん。

 まあだから私は映画製作の事はよく分からないけど、そのすごさは想像がつくから、本当にすごいなあって思います。たま~にこんなの俺でも作れるんじゃね?って思うのもあったりするんだけど、でもそれも井の中の蛙だろうから、やっぱすごい。世間が言うつまらない映画を作った監督も、その仕事がもらえるだけ有名でカリスマ性があったってことだろうからね。

 そしてプロの仕事のすごさって最終的にすっごい微妙な世界に入ってくる。素人には分からないレベルの。おそらくぱっと見「わ~上手~い」って思うレベルまではどんな人もちょっと努力すれば行けるんだけど、そのレベルを超えようとした途端、だんだんちょっとの上達の為にかける時間や努力が膨大なものになってくる。大抵の人はここで「やってられねえよ!」ってやめちゃうんだけど、一部にその仕事が好きすぎてやめたくてもやめられない幸せなのか哀しいのかよく分からない輩がいる。それがプロなんだろうなあ。
 そういったぱっと見では気付かない隠れた努力を認めてくれる人に出会えることが孤独なクリエイターの幸せなのかも。そう考えるとあの物まね芸人「ツートン青木」さんは息子さんに自分の仕事を分かってもらえて幸せ者だろうなあ。
 ちなみにツートンさんの古畑任三郎のものまねって「後期」ですよね?詳しく言えば第3シリーズ以降。初期はもっと早口でしっかり喋っていたからね。私は第1シリーズの「殺しのファックス」が好きです。トリックどうこうじゃなくてシーンの組み立てとかがカッコ良かった。

パソコン返還!

 パソコンが修理を終えて帰ってきました!修理が終わるのは来年になるとか言う話だったのに年内に帰ってくるとは何たる吉報。
 さっそく昨日撃破したゴルゴサウルスをアップ。これを完成版とします。もう当分ティラノサウルスの仲間はいいです。地味ながらも可愛いカモノハシ竜に浮気します。

 今日は予定通りKO氏と半年ぶりくらいに再会。なかなかこの歳になると友達と頻繁に会うのは難しいので、トークテーマをあらかじめ11個用意して臨みました。で、KO氏に好きなトークテーマを選んでもらうという・・・特に「ビートたけしのAKB48に対するリアクション」っていう話には食いついてくれたなあw。
 喋りたい内容を事前に考えたおかげで、とっても充実した2時間半を送ることができました。この方法はこれからも採用しようと思う。

 さて、この日の為に完成にこぎつけた『ドリームワールド』。KO氏は「なんて怖い話なんだw」と一言。そう。この漫画は私の漫画の中でもトップクラスに怖い話ですw。
 特に悪役が誰も見たことのない新しいタイプの悪役だと思います。ぶっちゃけ見ようによってはいいことしていますからね。ここら辺を読解してくれるのはさすがKO氏。嬉しいなあ。

 とにかく予定より早く今日パソコンが帰ってきたので『ドリームワールド』の続きも近いうちに全編アップできると思います!

ゴルゴサウルス撃破

 いや~ついに納得のいくゴルゴサウルスが描けました!4枚目にしてゴルゴ感がうまく表現できて大満足。他の人がなんて言うかはわからないけど、私の中のゴルゴのイデアはこんな感じだからいいの。結局アルバートサウルスって言えばアルバートサウルスにも見えちゃうようなイラストだけど、これでいいの(どうせわたしゃ恐竜ファン第一段階未満ですよ)。

 とにかく今回はポーズのアイディアをノートにラフスケッチした後、計画的に描いたのがよかったんだと思う。こういう風にポーズをしっかっり決め手から描き出したのは、大学の授業中ノートに書いた落書きのポーズを採用したステゴサウルス以来かな?
 結局フィギュアとかの立体物にしろ、萌えるポーズが決め手って感じがするから、これからもノートでいろんなポーズのラフを書いてから一番いいポーズを採用するようにしよう。

 しかし、この前までは自分の絵の下手さを嘆き「絵なんてもうやめる!」とか泣き言言っていたのに、ちょっとうまく書けるとこうやって調子に乗るという私はなんて躁鬱野郎なんだ・・・
 これで2010年も思い残すことはもうないね。あとはKO氏とdario氏と会って、冬期講習やって終わりだね。去年よりは気持ちよく新年を迎えられそう。

 ただちょっと残念なのは、私のパソコンが新年にならないと帰って来ないから、この前完成した漫画と、ゴルゴサウルスをすぐにサイトにアップできないこと。
 そして漫画の原稿用紙がこのゴルゴで完全に尽きたから、この前ネット注文した原稿用紙が届くまで漫画も恐竜も描けないということくらい。
 私が愛用している原稿用紙はネット注文でも在庫が少なく、そのニーズのなさにびっくりした・・・逆になんでうちの大学の近くの文具屋はあれを売っていたんだろうか・・・

 とりあえず原稿用紙がないからインクでなぞりかけの『優等生学』でもペン入れしていようかな。そして今年はページ数が長く新人賞にも投稿できないような漫画ばっか描いてたけど、来年はもうちょっと出版社を意識した漫画も描いていこうと思う。短編ね。

『KAGEROU』

 ななななんと家に、あの水嶋ヒロの小説があった!ひえええええ!流行嫌いな私にとってこの本と『もしドラ』とAKBは天敵なのに・・・!
 誰が買ったんだ!?と思ったら母親の知り合いが貸してくれたそう。さくっと読めるから回し読みしているんだとか。
 ・・・で私も水嶋ヒロ問題について記事で取り上げちゃったことだし、実際に作品を読まなければ何にも言えないので、ちょっと読んでみました。
 私は小説とか文学作品はまったく読まないので読み始めはきつかったのですが、それでも一時間程度で読み終えることが出来ました。

 水嶋ヒロさんは普通の人よりも全然文才はあると思う。この本はアマゾンのレビューで酷評ばかりらしいけど、半分以上はひがみや妬みで言っていると思う。 
 じゃあこのレベルの小説を普通の人が書けるか?って言ったら書けない。230ページを書ききるってだけですごいと思う。なんでも人並み以上にこなせる人っているんですね。受賞劇はやっぱりヤラセくさいけど。
 私は文学について詳しくないので、この作品が他の作品に比べてどれほどか相対評価が出来ないのですが、文学小説ってまあこんなものだと思う。夏目漱石の『草枕』よりは全然面白かったなあ。決して素人が書いたようなレベルの小説ではないと思います。
 ただ私はそもそも小説を読むのが苦手なので、どんな小説でもそこまで好きにはならない(クライトン除く)。『1Q84』とか読んだ人にあらすじ聞いたけど馬鹿馬鹿しくて笑っちゃう。

 この小説は、最初の部分で多用する比喩表現の仕方が「ゴキブリのように」とか「クモのように」とかワンパターンでイマイチだなあって思ったのですが、読み進めると特に気にならなくなってくるし、また、なぜ40男に「少女の面影残る」美少女があっさり心を許すんだ?とか突っ込みどころもあるのですが、ある種のメタファーとかファンタジーって解釈すれば良し。
 だからこんな漫画のような物語を実写映画化するのはかなり無茶な気もするけれど、手動で自分の人工心臓を動かしながら、主人公が臓器移植組織から逃げるシーンは、すっごいシュールなシーンになりそうでちょっと気になるw。

 しかし作品って作者の人間性がもろに表出するから、こんな毒気のない登場人物を描く水嶋さんはいい人なんだなあって思う。
 臓器移植という重いテーマを扱っていながら、どこかお気楽で、どこか抜けた、独特な世界観は個性があってけっこう好き。でも決して命というテーマに対して軽く考えているのではなく、この人なりに真剣に考えて書いているのもわかるから面白い。

 残念なのは、複数の人間の手直しが入ったという後半~ラスト。後半はあまりに商品としてのクオリティに達していなかったから修正したって事らしいのだけど、出来れば水嶋ヒロ100%ヴァージョンで読みたかった。ちょっと後半の展開がまとまりが悪い感じもするから、もしかしたら改悪だったのかも。
 漫画の世界では編集者は作家にアドバイスはするけど決して原稿に手は入れないから、そういう意味で出版社側が水嶋さんをプロの作家扱いしていないのがわかる。ひどい。タレント本とかだとゴーストライターはよくある話らしいんだけど・・・
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