地獄の作戦本部。
地図を指差す鬼の将校「人間どもは広範囲に進撃中です・・・
特に東部戦線は、入間基地を信長四天王が死守。
日出時間が近づいたため、全軍撤退を開始しました。
上杉謙信は関東山地を突破・・・地獄に接近中とのこと。」
信玄「・・・源平師団が迎え撃てば大丈夫だ・・・」
気まずそうに目くばせをする鬼たち。
鬼「総統・・・両副官は・・・雪崩に巻き込まれ・・・もはや攻撃能力は・・・」
体を震わせて老眼鏡を取る信玄。
信玄「4名だけ残れ・・・閻魔、あしゅら、餓鬼、赤鬼・・・」
その他の鬼は退室していく。
静寂。
激高する信玄「命令しただろ!撤退は許さんと!吾輩の命令に背くとはけしからん!
その結果がこれだ!将軍どもはどいつもこいつも臆病者だ!」
鬼「あまりの侮辱です・・・!」
信玄「臆病な裏切り者!大嫌いだ!!だからさくま鉄人より格下なんだバーカ!」
鬼「いくら総統でも・・・」
信玄「将軍どもは鬼のクズだ!ちくしょーめー!!」
鉛筆を投げつける。
信玄「・・・奇襲攻撃は成功したのだ・・・!ここでの撤退は許さん!
今夜中に日本の自衛隊を無力化しろ!」
鬼「しかし、もう日の出です・・・封印期間が長い鬼は日光に弱く、塵になってしまいます・・・」
信玄「それがどうした。地獄の人口が減って都合が良いわ。」
鬼「ひ・・・ひどい・・・」
信玄「この戦は今夜中に大勢を決しなければならぬのだ。不老不死の鬼が日光に弱いことが人間側に知られてみろ。地獄の中に水爆を落とされて、いぶりだされるぞ!」
鬼「しかし、一部の人間は強い。これは認めざるを得ません・・・」
信玄「あのバカ忍者がトータル・エクリプスを設置できなければ、この戦争は終わりだ・・・だが言っておく。この地獄を追われるくらいなら・・・いっそ頭を撃ち抜く。」
・
東京スカイツリーを見上げるカイト。
「本日の営業は終了しました・・・」の看板。
案内パネルを読むカイト「高さ634m・・・これを登るの・・・!?
こちとらそういうパフォーマンス集団じゃないぞ・・・」
義経からもらったピッキングマシンで内部に侵入するカイト。
“トータル・エクリプス”を腰にくくり付ける。
壁に手をかけるカイト「上は寒そうだなあ・・・」
・
夜明け
誰もいない国道でヒッチハイクをしている家康たち。
乗り気じゃない服部「ナンバープレートが黒いのはAI車両だからすぐに逃げなよ」
軽トラがこちらに走ってくる。
家康「・・・お!あれはAIじゃない!」
「日光テクノロジー本社まで」と書かれたスケッチブックを持って本多「お~い!」
軽トラが止まる。
家康「おおっ本多!止まってくれたぞ・・・!」
軽トラのパワーウィンドウが下がる。
農家のおじさん「やい!おまえらの売ったロボットトラクターのせいで、うちの畑はめちゃくちゃだ!!ここでひき殺してやりてえが、それどころじゃねえ!せいぜい長生きするんだな!」
トマトを投げつけられる家康。
行ってしまう軽トラ。
服部「ロボットも人間も敵になったね。」
家康「どいつもこいつも手のひらを返しおって・・・」
服部「一般大衆なんてそんなものだよ。」
家康にくっついたトマトをはがして食べる本多「このトマトうまいな。」
その時、ポルシェが通りかかる。
サラ「あんたたち、こんなところで何やってるの?」
・
家康たちを後部座席に乗せてあげるサラ。
サラ「この先でいいのね?」
家康「ああ、我社はもうすぐだ。」
秀頼「AIが唯一襲ってこないのは、AIを管理しているあんたらの会社だからな。」
本多「今や、お互いロボットの敵。仲良くやろうぜ。」
サラ「全部あんたたちのせいでしょうが!
だから、こんな技術はやめろって言っていたのに!」
家康「蒸し返さなくてもいいじゃないか・・・
過去にこだわるものは未来を失うとか言うじゃんなあ。」
本多「誰の言葉だっけ?イチロー??」
秀頼「・・・過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目となるとも言うがな。」
サラ「会社にさえ行けば、緊急停止スイッチがあるのね?」
服部「フェイルセーフはもちろん用意してあるよ。
全AIには特定の周波数でCPUが壊れる仕掛けがついている。」
秀頼「家康よ・・・ひとつ聞いていいか?
なぜ、これほどまでにAIの普及を急いだ?」
サラ「どうせ金儲けでしょう。」
家康「ここで、本当のことを言っても信じてくれんだろ・・・」
秀頼「そういうな。」
家康「秀頼よ、お前の父は、あの天才豊臣秀吉だったよな・・・学歴は確か・・・」
秀頼「オックスフォード大のローカレッジだが・・・」
サラ「あんたなんかと違うのよ。」
家康「そうだな・・・わしとは違う世界に住むエリートだ・・・
だが・・・世の中のほとんどの人間は何の才能もないんだ・・・
わしは・・・そんな庶民に希望を与えたかっただけだ・・・
AIさえあれば、わしらは自分に引け目を感じずに生きていけると思ったんだ・・・」
サラ「・・・・・・。」
本多「おおっと、姉さん前だ!!」
急ブレーキを踏むサラ。
前方に牧場から脱走した牛の群れが国道を横切っている。
家畜の群れを眺める家康「わしらは不特定多数のその他じゃないんだ・・・」
サラ「でも・・・こればかりは試行錯誤するしかないわ・・・」
家康「まったく君の言うとおりだよ・・・」
その時、牛の後を追って鬼たちが国道を横断していく。
中には、警察の白バイに乗っている者もいる。
サラ「って、何アレ!!??」
秀頼「モノノ怪だぞ!!」
鬼の一匹がこちらに気づき、近づいてくる。
サラ「ひいい!来る・・・!」
ピストルを突きつけてくる鬼「いい車乗ってるじゃねえデスカ。降りな。」
人間から奪ったであろうサングラスと貴金属をつけて明らかにイキっている。
秀頼「しかも喋る・・・!カタコトで!!」
家康「先生・・・!」
動じずに車を降りる服部。
服部「・・・実験用に一匹捕獲しておくか。」
ボーラボーラを投げつけて、鬼の行動を封じる服部。
縄でぐるぐる巻きにされる鬼「ぎゃあ!」
鬼を車に積もうと近づく服部。
その時、太陽が完全に地平線から顔を出し、鬼が倒れている場所が日向になる。
すると、鬼から煙が出て、灰になって消えてしまう。
服部「なるほど、下級の鬼は直射日光で消滅するのか。」
サラ「一体なんなのよ・・・日本はどうなっちゃったのよ・・・!」
服部「滅亡する予定だったけど、もしかしたら回避できるかもしれない。」
鬼がかけていたサングラスをかける服部
「行こう、日光テクノロジーへ。」
・
地獄への陥没穴
穴を見つめる翼「ここが鬼の巣窟・・・」
八重「深そう・・・」
長門「地獄につながっているくらいだからな・・・」
消防隊が徹夜で救助活動を続けている。
消防士「君たち、ここは立ち入り禁止だ!まだ崩落の危険性があるし、中には未知の化け物もいるらしい・・・!」
警察手帳を見せる八重「警視庁です。」
翼「ここからは私一人で行きます・・・
八重さんと守(まも)ちゃんは消防隊の救助活動を手伝ってください・・・」
金吾「お前、守ちゃんって呼ばれてたのか・・・」
長門「うるさいな。」
お札を取り出す千代女「私はここから鬼が出ないようにするわ・・・」
翼「お願いします。」
長門「お前だけだと危険じゃないか?」
翼「ここまでくれば大丈夫・・・この剣で魔王を倒してカイトさんを救います・・・」
金吾「己の運命を受け入れたようじゃな・・・」
長門「お前とはいろいろあったが・・・気をつけろよソードダンサー。」
翼「ありがとう・・・お付き合いできなくてごめんね・・・」
涙目の八重「翼ちゃん・・・絶対戻ってきてね・・・」
翼「はい。私たちはお友達ですから。」
千代女「翼ちゃんの周囲に結界を重ね掛けしたわ。これでマントルの圧力にも耐えられるはず・・・」
翼「ありがとうございます。」
金吾「翼よ・・・勇気、正義、仁愛・・・お前にはわしの全てを伝授した・・・お前はわしの最後にして最高の弟子じゃ・・・存分に暴れてこい!」
頷く翼。
翼「私がこの戦争を止めます。」
ひらりと穴に飛び降りる翼。
穴の中に消えていく翼を見送る仲間たち。
・
愛知県三河
日光テクノロジー本社
服部半蔵のラボラトリーに入る一行。
サラ「あの鬼どもは一体なんなの??」
書庫の鍵を開ける服部「伊賀忍者の秘術は陰陽道に起源を持つ。
平安時代くらいまでは地上にも普通に鬼や妖怪がいたらしい・・・」
秀頼「今の今まで姿を見せなかったのはどういうことだ?」
メインコンピュータを起動する家康
「天界の天使によって地下に封印されていたのだ・・・」
サラ「鬼だけじゃなくて天使もいるの?」
家康「あんたも会ってるよ・・・」
サラ「は??」
家康「百地翼・・・やつの正体は救いの女神上杉謙信だ。」
サラ「冗談でしょ?」
伊賀エージェンシーにあった写真を渡す本多。
本多「マジみたいっすよ。」
写真の女性を確認するサラ「翼ちゃん・・・ちょっと待って、じゃあ翼ちゃんはいったい何歳・・・?」
・
大江戸セクハラパラダイスに降りる翼。
黒服たちが遊園地の除染作業をしている。
平八郎「殿のプレ来園までにしっかりと清掃するのだ!」
黒服「は!!」
平八郎に気づく翼「あ・・・あなたは、もしかして家康殿の・・・」
平八郎「お主何者だ?ここはまだ開園しとらんぞ!」
翼「鬼を見ませんでしたか?」
平八郎「わしがすべて退治してやった。」
ドン引きする翼「・・・え?」
平八郎「ほんの1500匹ほど、わにわにパニックの要領でボコボコにしたら、べそをかきながら、全員あの穴に逃げていったわ。」
翼「あそこが地獄・・・ありがとうございます!」
平八郎「おい、乙女よ・・・ここは危険だぞ・・・!」
平八郎が指差した穴に飛び降りる翼。
マントルへ落ちていく翼「・・・ここに来て・・・全て思い出した・・・!」
うっすら涙を浮かべる。
・
平安時代の巻物を広げる服部。
翼に似た天使が妖怪を退治している絵が描かれている。
服部「翼は古の時代から地上の人間を魑魅魍魎から守ってきた・・・」
サラ「なんで、そんなありがたい神様が地上でくのいちやってたのよ!」
レバーに手をかける家康「とりあえず、フェイルセーフを起動するぞ。これで我が社のAIはすべてガラクタになる・・・」
?「それはどうでしょうか?」
家康「あんたは・・・!」
明智「この会社は我々文部科学省の査察団が差し押さえますよ。」
秀頼「国が動いたか・・・!」
明智「先日の裁判で、おたくの会社は政府がケツを持つことになったのでね・・・」
秀頼「政府の技官がなぜAIの緊急停止を止める?」
明智「AIをすべて破壊されて証拠隠滅されちゃかなわないですから。」
サラ「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
明智「服部先生・・・お久しぶりです・・・」
服部「偉くなったなあ、あんた。」
明智「我々人類が、鬼のような魔物に立ち向かうには科学技術しかない。
みすみすその切り札を処分するおつもりですか?」
家康「・・・?」
秀頼「そうか・・・!
服部先生、百地丹波が改ざんしたソースコードはどこかわかりますか?」
服部「私が最初に作ったオリジナルコードと比較すればいいわけだから、わけはないよ。」
コンソールを叩く服部。
服部「あった。この部分の12行だ。翼の復活と、この計画を妨害する可能性のある人間を始末するように命令が変更されている。」
秀頼が服部の隣に座る。
キーボードをいじる秀頼「ここを・・・こうすれば・・・」
服部「人間への支援と、鬼への攻撃・・・」
明智「よくできました。
・・・そして、先ほどの質問にもお答えしましょう・・・」
・
暗い穴をひたすら落ち続けていく翼。
かつて、信玄をこの穴深くに封印したことを思い出す。
翼「私にはお母さんもお父さんも存在しない・・・
私は・・・人間じゃない・・・!」
翼の背中に巨大な翼が飛び出す。
明智(太平洋戦争末期、翼は私の発明品ハイドロランサー1530で魔王信玄の生命エネルギーを吸収した・・・信玄から生命エネルギーを奪えば機能停止になると予測したからです。
実際、私の計画は成功した。しかし・・・翼は信玄から限界値を超える生命エネルギーを吸収したことで・・・)
戦後の焼け野原の東京。
クレーターの中心に女の子の赤ちゃんが泣いている。
赤ちゃんを優しく抱き上げる百地丹波「翼・・・」
百地丹波の周りに集まってくる伊賀忍者。
五右衛門「よう、翼の姉ちゃんは見つかったかい??」
百地「ああ・・・」
五右衛門「おお、可愛い赤ちゃんだな。」
服部「もしかして・・・この子は・・・」
百地「ああ・・・」
服部「そうか・・・そうなるのか。」
百地丹波の指を握る赤ん坊の翼。にこりと笑う。
百地「はは・・・私がパパだよ・・・」
翼を折りたたんで急降下していく翼。
翼「でも・・・私を育ててくれてありがとう・・・お父さん・・・!」
『風と翼:REVELATION』脚本⑩
2023-08-06 18:10:19 (1 year ago)
深夜
ニュース「次のニュースです。
昨日、大地震で崩壊した首都移転予定地の陥没穴から、鬼に似た生物が這い出てきたという目撃情報が相次いでいます。」
現地リポーター「こちら現場の陥没穴です。我々取材班はここで2時間カメラを回していますが、鬼は一匹も現れません・・・」
目撃者「わりと警戒心が強くて、すぐにどこかに隠れちゃうんですよ・・・
しかし、AIロボットの事故に次いで、鬼騒動とは・・・勘弁して欲しいっすね・・・
・・・あ!いました!あそこにいます!」
リポーター「カメラさん回して!うわ、うんこを投げつけてきました!!
鬼が笑っています!撮れてる!?」
カメラマン「レンズにうんこがついて無理・・・!」
・
東京へ向かう装甲キャンピングカー
翼「現実に鬼がいるなんて、未だに信じられません・・・」
ハンドルを握る千代女「動物園から逃げたゴリラってことはないの?」
金吾「動物園のゴリラが自衛隊の基地を襲って武器を強奪するわけないじゃろ。
わしは若い頃、鬼殺隊で何匹か鬼どもを退治したことがある。鬼退治なら任せろ。」
武器の手入れをする長門「よし、危なくなったら、このじじいを置いて逃げよう。」
金吾「・・・え?」
メガネをかけている八重「一応、妖怪図鑑を入手しました・・・」
長門「水木しげる先生の漫画じゃないのか、それ・・・」
八重「え・・・?で、でも・・・役に立つかなって・・・」
翼「八重さんお願いします。」
八重「ええと、日本で最後の鬼が確認されたのは平安時代で、最大最強最後の鬼の酒呑童子が退治されて以降は、地獄に引っ込んだみたいです・・・」
千代女「いったい何年前の話・・・?」
八重「西暦990年だから、約1000年前ですね・・・」
長門「じじい・・・貴様は一体何歳なんだ?」
八重「とりあえず、この本に書いてある鬼の弱点を集めました。」
東急ハンズの袋をひっくり返し、クリスマスリースを並べる八重。
長門「ここでクリスマスパーティでもするのか?」
八重「ひいらぎのトゲトゲが苦手みたいです。」
長門「それが事実なら、クリスマスリースを地面にばらまいとけば、敵の動きを封じられるな。」
八重「それと・・・イワシの頭を焼いた煙・・・桃の木・・・イヌ、サル、鳥類全般・・・」
長門「・・・弱点多すぎねえか?」
千代女「・・・ほうっておけば、都内のハトとカラスが退治してくれるんじゃない・・・?」
翼「でも・・・この刀でないと、鬼は殺せないそうです・・・」
長門「そういや、お前そんな太刀持ってたか・・・?」
翼「鶴姫一文字・・・私の父の形見だそうです・・・」
長門「社長が・・・?」
その瞬間、キャンピングカーに火炎弾が飛んでくる。
千代女「危ない!!」
キャンピングカーの周囲に張った結界にぶち当たる火炎弾。
急ブレーキを踏む千代女。
雪原の向こうに火炎放射器を担いだ平将門が立っている。
千代女「お・・・鬼よ・・・!」
長門「よし、じじい、お前の出番だ。クリスマスリースを好きなだけつけてやるから行ってこい。」
トイレに逃げ込む金吾「あたた・・・急に差し込みが・・・」
長門「あ、こいつ内側から鍵をかけたぞ!」
翼「・・・私が行きます・・・!」
・
自衛隊入間基地
バリケードを超えて侵入してくる無数の鬼たち。
自衛隊員「撤退!撤退だ!!」
兵士たちを追いかける鬼たちの眉間にペンが飛んできて突き刺さる。
バタバタと倒れる鬼。
丹羽「柴田さん!こいつら無限に湧いてきます!キリがないっす!!」
部隊を指揮する柴田
「気合だ!武器庫を奪われたら形勢逆転されるぞ!!」
襲ってくる鬼をくないでいなしながら滝川
「気合と言われても、どんなダメージを与えても1~2時間でケロッとしているからな・・・
権六(柴田勝家のこと)、いっそロケットランチャーで跡形もなく吹き飛ばしてはどうだろう?」
丹羽「やっこさんらの再生時間が稼げるかもしれませんね。私も、もう投げる万年筆がありませんよ。」
鬼たちをまとめてスープレックスで地面に沈める柴田
「いや、それだと我々が圧勝してしまう。翼たちが地獄にたどり着くまで、ここでひきつけなければならぬ。」
鬼の攻撃をクリップボードで受け止める丹羽
「あんばいが難しいなあ・・・!」
滝川「その翼というおなごに魔王は倒せるのか・・・?」
柴田「できる。このワシに勝ったのだから・・・」
・
関東山地の雪原
将門「ヌハハハハハハ!!今日のごはんは焼肉か!!??」
火炎放射器を上空に撃ちまくる将門。
千代女「危ない!みんなキャンピングカーから出て!!」
長門「結界が張ってあるんじゃないのか?」
千代女「式神結界は天井がないの!」
長門「キングザウルス3世スタイルかよ!!」
八重「火炎弾が降ってきます!」
慌てて、キャンピングカーから飛び降りる一同。
上空からキャンピングカーに火炎弾が降り注ぐ。
キャンピングカーのトイレの中でクリスマスリースを握りしめて震えている金吾。
大爆発するキャンピングカー。
八重「はあはあ、助かりました・・・」
燃え盛るキャンピングカーの残骸を見て翼「頭領は・・・」
千代女「あらやだ、忘れてた・・・」
長門「大好きなトイレと死ねたんだから本望だろ・・・」
将門の隣に歩いてくる義経「仲間を見捨てるとは・・・どっちが鬼か分かりませんね。」
義経を見てキュンとする八重「か・・・可愛い・・・」
長門「あのちっこい少年も鬼なのか・・・?」
義経「みなさんはじめまして。わたしは戦争博士の源義経です。
みなさんがAIを避けてこちらのルートで地獄に攻め入るのは計算していました。」
長門「ああ、そうかいコナン君。で、たった二人で私達を止めようってのか?」
義経「伊賀忍者三大上忍の藤林長門守さんですね・・・
ピストル、サブマシンガン、手榴弾などの完全装備をして、高校球児一人に敗れた伝説の忍者だということは、くもんで予習済みです。」
長門「そうそう・・・っておい!」
義経「となりは、甲賀忍者の望月千代女さん・・・強力な結界を生み出せる歩き巫女・・・警視庁の八重かをり警視・・・秀吉の暗殺に挑んだ凄腕のアサシン・・・」
目を輝かす八重「わ・・・私のことも知ってくれているんですか?」
千代女「八重ちゃん・・・」
翼を見る義経「そして・・・正義の女神上杉謙信・・・
我々の野望のために、あなたにはここで死んでもらいます・・・」
翼「私の名前は百地翼です・・・!」
義経「あれ?おかしいな・・・チャレンジでは、上杉謙信って・・・」
長門「その参考書はどこで売ってるんだ・・・」
将門「つーことで、その翼ちゃんをおれっちに差し出しな。でねえと痛ってえ目にあわすぜ?」
義経「進研ゼミでご存知かと思いますが、我々鬼は決して死にません。つまり、戦で敗北することはないのです。」
八重「なぜ、地上に奇襲攻撃を・・・」
義経「絶対勝てる戦争をしない国家はありませんよ。」
将門「人口問題だよ。オレたちは死なないから、地獄が足りなくなっちゃってさあ・・・」
義経「将門将軍・・・!」
将門「なんだよ、黙っておくことか?
お前ら人間が地上の環境を破壊し尽くす前に移住しとかねえとさ、取り返しのつかねえことになるだろう?心配するな、あんたらの次の住処は用意しておいてやるよ、上部マントルにな。」
お札を取り出す千代女「そっちにも差し引きならない事情があるのはわかったわ・・・でも、こっちも地上を鬼に譲るわけにはいかないのよ・・・」
義経「交渉決裂ですね。」
義経がラジコンのコントローラーを取り出しレバーを押すと、背後の崖から戦車の群れがものすごい勢いで駆け下りてくる。
義経「九五式重戦車の鵯越です。」
旧日本軍の戦車隊に怯える八重「・・・こ・・・降参したほうがいいんじゃ・・・」
刀を抜く翼「ここを突破して、カイトさんを救う・・・みなさん力を貸してください・・・」
長門「背後は任せろソードダンサー。」
そう言うと、八重のメガネをとってしまう。
目つきが変わる八重「平和な世の中に不要な驚異は排除する・・・」
長門「だそうだ。」
千代女「来るわよ・・・!」
義経「戦車隊撃てえ!!!」
4人めがけて一斉射撃をしてくる戦車隊。
千代女が慌てて4人に結界を張る。
結界にぶつかる榴弾。
砲撃の煙で視界が遮られ乱戦となる。
長門「戦車の弱点は上からの攻撃だ!」
翼「さすが、操縦経験者・・・!」
刀で戦車の主砲を両断していく翼。
長門は手榴弾を戦車のキャタピラにかませて脱輪させていく。
長門「忍法プライベートライアン!!」
ワクワクする将門「あいつらやるなあ!」
義経「将門将軍!望月千代女さんを先に始末してください!
あの人が死ねば、相手チームの防御力は大きく落ちます!」
将門「え~」
義経「赤本では、千代女さんの戦闘力はほぼゼロです!
あなたのマントルランチャーで簡単に殺せます!」
将門「おれっち、一応武士だぞ。弱いものいじめはなあ・・・」
義経「戦争に弱いものいじめもジャイアントキリングもない!
もういい、私が仕留めます!」
弓矢を取り出す義経
「矢尻には南海のイモガイ、アンボイナの毒が1000mg!
刺さったら即死確定!望月千代女覚悟!」
矢を剣で跳ね返す八重「そうはさせない・・・」
義経「くっ・・・」
八重「毒物及び劇物取締法違反で逮捕する・・・!」
八重に向けて火炎放射器を発射する将門。
将門「油断すんな義経!」
義経「すまない・・・!」
火力を調整する将門「こんな結界、オレッチが溶かしてやる!」
最大火力で火炎放射器を発射する将門「4000ケルビンの熱々のマントルをくらいやがれ~~!!」
4人の式神結界が押されていく。
千代女「く・・・!ダメ・・・防ぎきれない・・・!」
敵の背後に現れる金吾「わしの出番のようじゃな・・・」
千代女「お父さん・・・?」
翼「頭領危険です・・・逃げてください!」
長門「絶対お前の出番じゃないぞ・・・!」
金吾に気づく義経「望月金吾・・・甲賀忍者の総帥・・・」
金吾「やい、鬼ども!わしはお前らの弱点を知っとるぞ!」
将門「じいさん、本当か?」
義経「はったりです!」
金吾「誰が魔王信玄を生み出したと思ってるんじゃ・・・
お前ら鬼は地下生活が長いじゃろ・・・」
顔つきが変わる義経「・・・将門将軍!あの老人を殺せ!!」
将門「ほうっておいても寿命で死ぬだろ。」
太陽が地平線から登る。
金吾「そう、お前ら鬼の弱点は・・・!」
太陽光線が金吾のハゲ頭によって増幅され将門と義経を照らす。
金吾「太陽拳!!」
目を押さえる義経「め、目が!!!」
将門「やってくれたな、じいさん!!」
金吾に向けて火炎放射器を発射する将門。
金吾「これがわしのラストエクスプロージョンじゃ~~~!!」
火炎放射器に向けて強烈な屁をこく金吾。
超大爆発。
その衝撃で雪崩が発生し、義経と将門と金吾は戦車隊と共に雪に埋まって消えてしまう。
翼「頭領~~~!!」
千代女「お父さん!!」
長門「見事だ、むき卵・・・」
八重「二階級特進です・・・」
雪に埋まっている金吾「お~い生きてるって!!助けとくれ~~!」
・
自衛隊入間基地
撤退していく鬼たち。
レフェリーをしている丹羽「鬼たちが逃げていきます!」
鬼に関節技を決めているショートタイツの柴田「なんとかしのいだか・・・」
セコンドをしている滝川「もしかして・・・夜しか活動できないのか・・・?」
丹羽「ナイトミュージアムスタイルなんですね・・・」
ニュース「次のニュースです。
昨日、大地震で崩壊した首都移転予定地の陥没穴から、鬼に似た生物が這い出てきたという目撃情報が相次いでいます。」
現地リポーター「こちら現場の陥没穴です。我々取材班はここで2時間カメラを回していますが、鬼は一匹も現れません・・・」
目撃者「わりと警戒心が強くて、すぐにどこかに隠れちゃうんですよ・・・
しかし、AIロボットの事故に次いで、鬼騒動とは・・・勘弁して欲しいっすね・・・
・・・あ!いました!あそこにいます!」
リポーター「カメラさん回して!うわ、うんこを投げつけてきました!!
鬼が笑っています!撮れてる!?」
カメラマン「レンズにうんこがついて無理・・・!」
・
東京へ向かう装甲キャンピングカー
翼「現実に鬼がいるなんて、未だに信じられません・・・」
ハンドルを握る千代女「動物園から逃げたゴリラってことはないの?」
金吾「動物園のゴリラが自衛隊の基地を襲って武器を強奪するわけないじゃろ。
わしは若い頃、鬼殺隊で何匹か鬼どもを退治したことがある。鬼退治なら任せろ。」
武器の手入れをする長門「よし、危なくなったら、このじじいを置いて逃げよう。」
金吾「・・・え?」
メガネをかけている八重「一応、妖怪図鑑を入手しました・・・」
長門「水木しげる先生の漫画じゃないのか、それ・・・」
八重「え・・・?で、でも・・・役に立つかなって・・・」
翼「八重さんお願いします。」
八重「ええと、日本で最後の鬼が確認されたのは平安時代で、最大最強最後の鬼の酒呑童子が退治されて以降は、地獄に引っ込んだみたいです・・・」
千代女「いったい何年前の話・・・?」
八重「西暦990年だから、約1000年前ですね・・・」
長門「じじい・・・貴様は一体何歳なんだ?」
八重「とりあえず、この本に書いてある鬼の弱点を集めました。」
東急ハンズの袋をひっくり返し、クリスマスリースを並べる八重。
長門「ここでクリスマスパーティでもするのか?」
八重「ひいらぎのトゲトゲが苦手みたいです。」
長門「それが事実なら、クリスマスリースを地面にばらまいとけば、敵の動きを封じられるな。」
八重「それと・・・イワシの頭を焼いた煙・・・桃の木・・・イヌ、サル、鳥類全般・・・」
長門「・・・弱点多すぎねえか?」
千代女「・・・ほうっておけば、都内のハトとカラスが退治してくれるんじゃない・・・?」
翼「でも・・・この刀でないと、鬼は殺せないそうです・・・」
長門「そういや、お前そんな太刀持ってたか・・・?」
翼「鶴姫一文字・・・私の父の形見だそうです・・・」
長門「社長が・・・?」
その瞬間、キャンピングカーに火炎弾が飛んでくる。
千代女「危ない!!」
キャンピングカーの周囲に張った結界にぶち当たる火炎弾。
急ブレーキを踏む千代女。
雪原の向こうに火炎放射器を担いだ平将門が立っている。
千代女「お・・・鬼よ・・・!」
長門「よし、じじい、お前の出番だ。クリスマスリースを好きなだけつけてやるから行ってこい。」
トイレに逃げ込む金吾「あたた・・・急に差し込みが・・・」
長門「あ、こいつ内側から鍵をかけたぞ!」
翼「・・・私が行きます・・・!」
・
自衛隊入間基地
バリケードを超えて侵入してくる無数の鬼たち。
自衛隊員「撤退!撤退だ!!」
兵士たちを追いかける鬼たちの眉間にペンが飛んできて突き刺さる。
バタバタと倒れる鬼。
丹羽「柴田さん!こいつら無限に湧いてきます!キリがないっす!!」
部隊を指揮する柴田
「気合だ!武器庫を奪われたら形勢逆転されるぞ!!」
襲ってくる鬼をくないでいなしながら滝川
「気合と言われても、どんなダメージを与えても1~2時間でケロッとしているからな・・・
権六(柴田勝家のこと)、いっそロケットランチャーで跡形もなく吹き飛ばしてはどうだろう?」
丹羽「やっこさんらの再生時間が稼げるかもしれませんね。私も、もう投げる万年筆がありませんよ。」
鬼たちをまとめてスープレックスで地面に沈める柴田
「いや、それだと我々が圧勝してしまう。翼たちが地獄にたどり着くまで、ここでひきつけなければならぬ。」
鬼の攻撃をクリップボードで受け止める丹羽
「あんばいが難しいなあ・・・!」
滝川「その翼というおなごに魔王は倒せるのか・・・?」
柴田「できる。このワシに勝ったのだから・・・」
・
関東山地の雪原
将門「ヌハハハハハハ!!今日のごはんは焼肉か!!??」
火炎放射器を上空に撃ちまくる将門。
千代女「危ない!みんなキャンピングカーから出て!!」
長門「結界が張ってあるんじゃないのか?」
千代女「式神結界は天井がないの!」
長門「キングザウルス3世スタイルかよ!!」
八重「火炎弾が降ってきます!」
慌てて、キャンピングカーから飛び降りる一同。
上空からキャンピングカーに火炎弾が降り注ぐ。
キャンピングカーのトイレの中でクリスマスリースを握りしめて震えている金吾。
大爆発するキャンピングカー。
八重「はあはあ、助かりました・・・」
燃え盛るキャンピングカーの残骸を見て翼「頭領は・・・」
千代女「あらやだ、忘れてた・・・」
長門「大好きなトイレと死ねたんだから本望だろ・・・」
将門の隣に歩いてくる義経「仲間を見捨てるとは・・・どっちが鬼か分かりませんね。」
義経を見てキュンとする八重「か・・・可愛い・・・」
長門「あのちっこい少年も鬼なのか・・・?」
義経「みなさんはじめまして。わたしは戦争博士の源義経です。
みなさんがAIを避けてこちらのルートで地獄に攻め入るのは計算していました。」
長門「ああ、そうかいコナン君。で、たった二人で私達を止めようってのか?」
義経「伊賀忍者三大上忍の藤林長門守さんですね・・・
ピストル、サブマシンガン、手榴弾などの完全装備をして、高校球児一人に敗れた伝説の忍者だということは、くもんで予習済みです。」
長門「そうそう・・・っておい!」
義経「となりは、甲賀忍者の望月千代女さん・・・強力な結界を生み出せる歩き巫女・・・警視庁の八重かをり警視・・・秀吉の暗殺に挑んだ凄腕のアサシン・・・」
目を輝かす八重「わ・・・私のことも知ってくれているんですか?」
千代女「八重ちゃん・・・」
翼を見る義経「そして・・・正義の女神上杉謙信・・・
我々の野望のために、あなたにはここで死んでもらいます・・・」
翼「私の名前は百地翼です・・・!」
義経「あれ?おかしいな・・・チャレンジでは、上杉謙信って・・・」
長門「その参考書はどこで売ってるんだ・・・」
将門「つーことで、その翼ちゃんをおれっちに差し出しな。でねえと痛ってえ目にあわすぜ?」
義経「進研ゼミでご存知かと思いますが、我々鬼は決して死にません。つまり、戦で敗北することはないのです。」
八重「なぜ、地上に奇襲攻撃を・・・」
義経「絶対勝てる戦争をしない国家はありませんよ。」
将門「人口問題だよ。オレたちは死なないから、地獄が足りなくなっちゃってさあ・・・」
義経「将門将軍・・・!」
将門「なんだよ、黙っておくことか?
お前ら人間が地上の環境を破壊し尽くす前に移住しとかねえとさ、取り返しのつかねえことになるだろう?心配するな、あんたらの次の住処は用意しておいてやるよ、上部マントルにな。」
お札を取り出す千代女「そっちにも差し引きならない事情があるのはわかったわ・・・でも、こっちも地上を鬼に譲るわけにはいかないのよ・・・」
義経「交渉決裂ですね。」
義経がラジコンのコントローラーを取り出しレバーを押すと、背後の崖から戦車の群れがものすごい勢いで駆け下りてくる。
義経「九五式重戦車の鵯越です。」
旧日本軍の戦車隊に怯える八重「・・・こ・・・降参したほうがいいんじゃ・・・」
刀を抜く翼「ここを突破して、カイトさんを救う・・・みなさん力を貸してください・・・」
長門「背後は任せろソードダンサー。」
そう言うと、八重のメガネをとってしまう。
目つきが変わる八重「平和な世の中に不要な驚異は排除する・・・」
長門「だそうだ。」
千代女「来るわよ・・・!」
義経「戦車隊撃てえ!!!」
4人めがけて一斉射撃をしてくる戦車隊。
千代女が慌てて4人に結界を張る。
結界にぶつかる榴弾。
砲撃の煙で視界が遮られ乱戦となる。
長門「戦車の弱点は上からの攻撃だ!」
翼「さすが、操縦経験者・・・!」
刀で戦車の主砲を両断していく翼。
長門は手榴弾を戦車のキャタピラにかませて脱輪させていく。
長門「忍法プライベートライアン!!」
ワクワクする将門「あいつらやるなあ!」
義経「将門将軍!望月千代女さんを先に始末してください!
あの人が死ねば、相手チームの防御力は大きく落ちます!」
将門「え~」
義経「赤本では、千代女さんの戦闘力はほぼゼロです!
あなたのマントルランチャーで簡単に殺せます!」
将門「おれっち、一応武士だぞ。弱いものいじめはなあ・・・」
義経「戦争に弱いものいじめもジャイアントキリングもない!
もういい、私が仕留めます!」
弓矢を取り出す義経
「矢尻には南海のイモガイ、アンボイナの毒が1000mg!
刺さったら即死確定!望月千代女覚悟!」
矢を剣で跳ね返す八重「そうはさせない・・・」
義経「くっ・・・」
八重「毒物及び劇物取締法違反で逮捕する・・・!」
八重に向けて火炎放射器を発射する将門。
将門「油断すんな義経!」
義経「すまない・・・!」
火力を調整する将門「こんな結界、オレッチが溶かしてやる!」
最大火力で火炎放射器を発射する将門「4000ケルビンの熱々のマントルをくらいやがれ~~!!」
4人の式神結界が押されていく。
千代女「く・・・!ダメ・・・防ぎきれない・・・!」
敵の背後に現れる金吾「わしの出番のようじゃな・・・」
千代女「お父さん・・・?」
翼「頭領危険です・・・逃げてください!」
長門「絶対お前の出番じゃないぞ・・・!」
金吾に気づく義経「望月金吾・・・甲賀忍者の総帥・・・」
金吾「やい、鬼ども!わしはお前らの弱点を知っとるぞ!」
将門「じいさん、本当か?」
義経「はったりです!」
金吾「誰が魔王信玄を生み出したと思ってるんじゃ・・・
お前ら鬼は地下生活が長いじゃろ・・・」
顔つきが変わる義経「・・・将門将軍!あの老人を殺せ!!」
将門「ほうっておいても寿命で死ぬだろ。」
太陽が地平線から登る。
金吾「そう、お前ら鬼の弱点は・・・!」
太陽光線が金吾のハゲ頭によって増幅され将門と義経を照らす。
金吾「太陽拳!!」
目を押さえる義経「め、目が!!!」
将門「やってくれたな、じいさん!!」
金吾に向けて火炎放射器を発射する将門。
金吾「これがわしのラストエクスプロージョンじゃ~~~!!」
火炎放射器に向けて強烈な屁をこく金吾。
超大爆発。
その衝撃で雪崩が発生し、義経と将門と金吾は戦車隊と共に雪に埋まって消えてしまう。
翼「頭領~~~!!」
千代女「お父さん!!」
長門「見事だ、むき卵・・・」
八重「二階級特進です・・・」
雪に埋まっている金吾「お~い生きてるって!!助けとくれ~~!」
・
自衛隊入間基地
撤退していく鬼たち。
レフェリーをしている丹羽「鬼たちが逃げていきます!」
鬼に関節技を決めているショートタイツの柴田「なんとかしのいだか・・・」
セコンドをしている滝川「もしかして・・・夜しか活動できないのか・・・?」
丹羽「ナイトミュージアムスタイルなんですね・・・」
『風と翼:REVELATION』脚本⑨
2023-08-05 11:11:01 (1 year ago)
夜。
雪化粧の伊賀山中
家康「はくしょい!」
廃墟となった伊賀エージェンシーの本社ビルに入る家康一行。
家康「あった・・・ここなら雪をしのげよう・・・」
本多が地面にキャンプ用品を並べる。
本多「麓のWILD1からかっぱらってきました。」
家康「山賊じゃねえか・・・」
本多「麓の町は壊滅です。もう誰もいません。」
携帯燃料で火種を起こす本多。
家康「手際がいいな。」
マシュマロを焚き火で焼く本多「一時期、家族でキャンプにはまってたんすよ」
焚き火を囲んで座る3人。
鉈で木を削って武器を作っている服部。
焚き火を眺める家康「AIで安寧の世を築こうとしたが・・・またしても失敗だ・・・
わしのビジネスは成功したためしがない・・・」
本多「確かに。今川焼き屋は集団食中毒出したし、地下風俗は売上金強奪されたしね。
・・・はい、じょうずに焼けました」
焼きマシュマロを家康に渡す本多
マシュマロをほおばる家康「お前は、ずっとついてきてくれるよな・・・」
本多「小学校からの仲じゃないっすか。」
家康「正信・・・」
その時、外の茂みで動物の悲鳴が上がる。
家康「ひいい!」
服部「罠にかかったようだ。どっこいしょ。」
立ち上がって、建物から出て行く服部。
茂みの中に消えていく。
本多「・・・失敗なんて慣れっこじゃないですか。
渡る世間に鬼はなし・・・一からもう一度頑張りましょうや」
服部「これって食べられるかな・・・?」
服部が、罠にかかった鬼を引きずってくる。
本多「うわキモっ・・・!」
家康「先生、なんという動物ですか、これは・・・!」
服部「おそらく地獄の鬼だと思う。
AIが翼を解放するために、魔王信玄の封印も解いてしまったということか・・・」
家康「信玄・・・!?太平洋戦争を起こして日本をめちゃくちゃにしたデーモンじゃないですか!」
本多「でもあいつはA級戦犯になって処刑されたんじゃないすか?
俺は小学校でそう習いました。」
鉈を振り上げる服部「鬼は・・・」
ダン!と、鬼の腕を切断する服部。
「決して殺せない・・・」
切断された腕がわずかに再生しているのがわかる。
家康「・・・生きていたのか・・・」
切断した鬼の腕に鉄串を突き刺し、焚き火で炙る服部。
服部「そして信玄は同じ失敗を繰り返さない・・・
今度こそ太平洋戦争で欧米に勝つつもりだ・・・」
鬼の腕が焼けていく。
服部「世界は再び地獄の業火に包まれる・・・」
家康「なんとかならんのですか、先生・・・」
鬼の腕のバーベキューをかじる服部。
服部「翼の記憶がよみがえることに賭けるしかない・・・」
「翼?」
壁にかかっている結婚式の写真を鉄串で指す服部。
家康「・・・?このギャルどっかで・・・」
本多「・・・あ!風間カイトの彼女ですよ!チアガールやってた。」
家康「先生・・・チアガールに、なんとかなる問題なのですか・・・?」
・
望月忍者屋敷
翼「私には無理です・・・!」
金吾「お主の父は言っておった・・・お前さんには神にも等しい力が秘められておると・・・
戦時中、医学者だったわしは、養命酒と間違えて、あの信玄に不老不死の秘薬を調合してしまった・・・
その時の後悔から、弟子の百地丹波が死者を復活させることに反対したのじゃ・・・
・・・死を超越したものは、もはや人間ではない・・・鬼じゃ。
鬼を倒せるのは、神しかおらぬ。」
翼「わたしはただの人間ですって・・・!
魔王なんて倒せません・・・!!」
金吾「・・・己の運命から逃げるのか・・・?」
千代女「全ての元凶はアンタでしょ!!」
翼「わたしは・・・人間です・・・」
千代女「その問題は一回置いておきましょう。
心配なのは地獄に落ちたカイトくんよ・・・」
翼「!・・・カイトさん・・・!」
日本経済新聞の一面を見せる千代女。
新聞を読む翼「首都移転計画予定地、大地震で陥没・・・作業員の多くが今なお行方不明・・・」
千代女「力を貸してくれないかしら・・・翼ちゃん・・・」
翼に鶴姫一文字を渡す。
金吾「己の運命・・・」
千代女「うるさい。」
武装した八重たちが部屋に入ってくる。
八重「・・・鬼の討伐隊の準備は整ったわ。いつでも出撃できる・・・」
長門「甲賀から東京までのルートは切り込み隊の柴田、丹羽、滝川が確保した・・・!
いくなら今しかないぞ。一騎当千の信長四天王も、さすがにいい年だ・・・疲れちゃうからな。」
千代女「翼ちゃん・・・」
立ち上がる翼「これは討伐隊じゃない・・・救助隊です。
すぐに助けに行きます。」
その姿を見て、笑顔になり部屋の奥へ引っ込もうとする金吾「・・・・・・。」
逃げ出そうとする金後の首根っこを掴む千代女
「今回はあんたも来なさい!」
金吾にバンバンガンを突きつける長門「己の運命から逃げるんじゃない、むき卵。」
剣先をむける八重「・・・全ての元凶・・・殺すわよ・・・」
金吾「反省してま~す」
・
田舎の国道で、スポーツカーを走らせるサラ
ラジオ「警視庁交通管制センターです。自動運転の故障で、東名高速は大規模な追突事故が発生、120kmの渋滞となっています。」
助手席でぼやく秀頼「我々が恐れていたことが現実になったな・・・」
踏切の遮断機が降り、車を停車させる。
秀頼「カイト殿や翼殿が無事だといいが・・・」
サラ「あの二人ならきっと大丈夫・・・最高の忍者だから・・・
悔しいけど・・・お似合いのカップル・・・」
秀頼「まだ好きなんじゃないのかね・・・」
サラ「私には、カイトくんを助けに行く勇気も力もないから・・・
私はいつも口だけ・・・」
秀頼「自分の気持ちを伝えたほうがいいぞ・・・」
サラ「こんな事態で愛の告白なんかしている場合じゃないですよ」
秀頼「こういう事態だからこそ。」
その時、輸送トラックが追突してくる。
サラ「ちょっと何してんのよ!!!弁護士の初任給で買った911カレラよ!?」
バックミラーに目をやるサラ。
サラ「運転手が乗っていない・・・」
秀頼「AIにとって我々は天敵だ。
交通事故に見せかけて抹殺するつもりなのだろう・・・!」
線路には貨物列車が近づいてくる。
秀頼「このままでは、貨物列車にぶつかる・・・!」
ギアをリバースレンジに入れる。
秀頼「トラックと力比べする気か!!」
サラ「トラックはせいぜい400馬力・・・!
6気筒水平エンジン、ツインターボの力を見せてやる・・・!」
秀頼「無茶するな・・・!」
なんとか、貨物列車が通り過ぎるまで踏みとどまり、踏切をわたりトラックが上がってこれない丘の上まで逃げるスポーツカー。
AIトラックはそのまま通り過ぎていく。
秀頼「これも家康の余興か・・・?」
サラ「・・・これから、どこに逃げれば・・・」
秀頼「安全な場所が一つだけある・・・」
・
地獄
神輿に乗って信玄の玉座に現れる平将門。
「武田のオヤジ、連れてきたぜ。」
義経「神輿から降りなさい、総統閣下の御前だぞ・・・」
将門「神田神社の祭神が神輿に乗って何が悪い。
わりーけど、オレッチは関東八州の新皇だかんな?
まあまあ偉いかんな?」
小声で義経「ただの朝敵じゃねえか・・・」
将門「おめーも朝敵だっただろ!」
信玄「源平合戦は給湯室でやってくれるか・・・?」
義経「・・・失礼いたしました。」
将門「おう、お客さんを神輿から下ろせ!」
鬼「ほら、降りるんだ!」
神輿から降ろされるカイト。
そこらじゅうに旧日本軍の軍服を着た鬼たちがいる光景にビビってしまう。
カイト「ひいいいい!絶対こいつらに食い殺される~~!!」
義経「人間なんて食べませんよ!ぼくらはヴィーガンなの!」
カイト「うそだ!じゃあ、お前らは何でタンパク質を摂取してるんだ!」
将門「大豆。」
カイト「フェイクニュースだ・・・!じゃあ節分は一体・・・」
信玄「もういい、落ち着け人間よ・・・」
カイト「あんた・・・!あの石像の・・・!」
信玄「左様・・・吾輩は魔界の王、武田信玄。
青年よ、この度は封印を解いてくれて礼を言うぞ。」
カイト「いや、あれはちょっとした事故で・・・」
信玄「まあよい・・・このマントルまでやってきた生身の人間は初めてだ・・・
そなたの名前を聞こう・・・」
カイト「風間カイトです・・・」
鬼たちがざわつく「風魔・・・?」
信玄「・・・・・・。」
義経「風間カイトさん。偉大なる総統閣下が、あなたに勲章を授けてくださいます。
ありがたく頂戴するように。」
カイト「あの・・・そろそろ帰ってもいいですか・・・?」
義経「キミ、ちょっと失礼だぞ!!」
信玄「風間カイト・・・貴様・・・もしかして、信長や秀吉を倒した、あの伝説の忍か?」
カイト「なんで地獄の魔王がぼくを知ってるんですか??」
信玄「貴様の武勇はこの地獄にも聞き及んでおる・・・
ぜひ、その力を見込んで我々に協力をしてもらいたい・・・」
カイト「お、お前たちの地上征服の協力はできないぞ・・・!」
信玄「そんなことは考えておらぬ・・・我々は地上の人間との平和的共存を望んでいる・・・」
カイト「そうなの・・・?」
信玄「我々はこの見た目で、古くから人間たちに誤解され・・・差別されてきた・・・
この地獄は、鬼の強制収容所なのだよ・・・」
カイト「・・・え・・・」
信玄「吾輩は、哀れな鬼たちをここから解放したいだけだ・・・」
カイト「でも、鬼を差別した人間を恨んでいるんじゃ・・・」
信玄「憎しみからは何も生まれぬ・・・
我々鬼は誰よりも平和を愛している・・・」
侵略計画用の日本地図を指差すカイト「この地図は・・・?」
信玄「鬼が友好を結んだ都市だ・・・」
カイト「そうか・・・すでに東京は鬼を受け入れているのか・・・
ダイバーシティだもんな。」
信玄「そ・・・そうだ・・・
風間カイトよ、貴様こそ人と鬼の世界をつなぐ未来の架け橋になる男だ・・・」
カイト「人と鬼の・・・架け橋・・・」
将門「そもそも普通の人間は、ここの圧力に耐えられないもんな。」
義経「確かに・・・」
カイト「で・・・ぼくは何をすれば・・・」
信玄「簡単なことだ・・・東京都との国交樹立を記念して、この装置を東京スカイツリーの頂上に設置してくれるだけでよい。」
球体状の装置を受け取るカイト「なんですかこれ・・・」
義経「地獄のテレビ番組が地上でも映るチューナーです。」
カイト「へ~」
信玄「引き受けてくれたら、この将門が神輿で地上まで返そう・・・」
将門「あたぼうよ」
カイト「鬼さんたち・・・見た目はおっかないですが・・・
実は悲しい境遇にあったんですね・・・」
信玄「わかってくれたか・・・恩にきるぞ、風間カイト・・・!」
カイト「ぼくが人と鬼をつなぎます・・・!」
大本営を出て行くカイト。
信玄「・・・あいつ本当にバカだな・・・この履歴書に書いてあるとおりだ・・・」
平八郎の履歴書をめくる信玄。
「風間カイト・・・人を決して疑わず、情に厚く、弱きものの味方で、誰に対しても敬意と思いやりがある・・・」
義経「最後の方、ちょっと涙ぐんでましたもんね・・・」
大本営のモニターがつく。
不敗の大王アレキサンドロス(中東の地獄の支配者)
「おい、武田総統・・・世界全面攻撃の命令はまだなのか?
こっちは戦いたくてウズウズしてんだ。」
国士無双の韓信(中国の地獄の支配者)
「中国、ロシア方面はこの韓信に任せてちょうだい。国家主席の股をくぐると見せかけて、タマタマを握りつぶせば、中国共産党は崩壊よ。」
雷光のハンニバル(ヨーロッパとアフリカの地獄の支配者)
「下品なやつめ・・・武田総統、こちらも戦象の準備は万端だ。
100万頭のアフリカゾウを用意した・・・EUは7日で征服して見せよう・・・」
信玄「ぐははは・・・
あのバカ忍者が、日光遮断システム“トータル・エクリプス”をスカイツリーに設置すれば、地上の人間は皆殺しだ・・・」
雪化粧の伊賀山中
家康「はくしょい!」
廃墟となった伊賀エージェンシーの本社ビルに入る家康一行。
家康「あった・・・ここなら雪をしのげよう・・・」
本多が地面にキャンプ用品を並べる。
本多「麓のWILD1からかっぱらってきました。」
家康「山賊じゃねえか・・・」
本多「麓の町は壊滅です。もう誰もいません。」
携帯燃料で火種を起こす本多。
家康「手際がいいな。」
マシュマロを焚き火で焼く本多「一時期、家族でキャンプにはまってたんすよ」
焚き火を囲んで座る3人。
鉈で木を削って武器を作っている服部。
焚き火を眺める家康「AIで安寧の世を築こうとしたが・・・またしても失敗だ・・・
わしのビジネスは成功したためしがない・・・」
本多「確かに。今川焼き屋は集団食中毒出したし、地下風俗は売上金強奪されたしね。
・・・はい、じょうずに焼けました」
焼きマシュマロを家康に渡す本多
マシュマロをほおばる家康「お前は、ずっとついてきてくれるよな・・・」
本多「小学校からの仲じゃないっすか。」
家康「正信・・・」
その時、外の茂みで動物の悲鳴が上がる。
家康「ひいい!」
服部「罠にかかったようだ。どっこいしょ。」
立ち上がって、建物から出て行く服部。
茂みの中に消えていく。
本多「・・・失敗なんて慣れっこじゃないですか。
渡る世間に鬼はなし・・・一からもう一度頑張りましょうや」
服部「これって食べられるかな・・・?」
服部が、罠にかかった鬼を引きずってくる。
本多「うわキモっ・・・!」
家康「先生、なんという動物ですか、これは・・・!」
服部「おそらく地獄の鬼だと思う。
AIが翼を解放するために、魔王信玄の封印も解いてしまったということか・・・」
家康「信玄・・・!?太平洋戦争を起こして日本をめちゃくちゃにしたデーモンじゃないですか!」
本多「でもあいつはA級戦犯になって処刑されたんじゃないすか?
俺は小学校でそう習いました。」
鉈を振り上げる服部「鬼は・・・」
ダン!と、鬼の腕を切断する服部。
「決して殺せない・・・」
切断された腕がわずかに再生しているのがわかる。
家康「・・・生きていたのか・・・」
切断した鬼の腕に鉄串を突き刺し、焚き火で炙る服部。
服部「そして信玄は同じ失敗を繰り返さない・・・
今度こそ太平洋戦争で欧米に勝つつもりだ・・・」
鬼の腕が焼けていく。
服部「世界は再び地獄の業火に包まれる・・・」
家康「なんとかならんのですか、先生・・・」
鬼の腕のバーベキューをかじる服部。
服部「翼の記憶がよみがえることに賭けるしかない・・・」
「翼?」
壁にかかっている結婚式の写真を鉄串で指す服部。
家康「・・・?このギャルどっかで・・・」
本多「・・・あ!風間カイトの彼女ですよ!チアガールやってた。」
家康「先生・・・チアガールに、なんとかなる問題なのですか・・・?」
・
望月忍者屋敷
翼「私には無理です・・・!」
金吾「お主の父は言っておった・・・お前さんには神にも等しい力が秘められておると・・・
戦時中、医学者だったわしは、養命酒と間違えて、あの信玄に不老不死の秘薬を調合してしまった・・・
その時の後悔から、弟子の百地丹波が死者を復活させることに反対したのじゃ・・・
・・・死を超越したものは、もはや人間ではない・・・鬼じゃ。
鬼を倒せるのは、神しかおらぬ。」
翼「わたしはただの人間ですって・・・!
魔王なんて倒せません・・・!!」
金吾「・・・己の運命から逃げるのか・・・?」
千代女「全ての元凶はアンタでしょ!!」
翼「わたしは・・・人間です・・・」
千代女「その問題は一回置いておきましょう。
心配なのは地獄に落ちたカイトくんよ・・・」
翼「!・・・カイトさん・・・!」
日本経済新聞の一面を見せる千代女。
新聞を読む翼「首都移転計画予定地、大地震で陥没・・・作業員の多くが今なお行方不明・・・」
千代女「力を貸してくれないかしら・・・翼ちゃん・・・」
翼に鶴姫一文字を渡す。
金吾「己の運命・・・」
千代女「うるさい。」
武装した八重たちが部屋に入ってくる。
八重「・・・鬼の討伐隊の準備は整ったわ。いつでも出撃できる・・・」
長門「甲賀から東京までのルートは切り込み隊の柴田、丹羽、滝川が確保した・・・!
いくなら今しかないぞ。一騎当千の信長四天王も、さすがにいい年だ・・・疲れちゃうからな。」
千代女「翼ちゃん・・・」
立ち上がる翼「これは討伐隊じゃない・・・救助隊です。
すぐに助けに行きます。」
その姿を見て、笑顔になり部屋の奥へ引っ込もうとする金吾「・・・・・・。」
逃げ出そうとする金後の首根っこを掴む千代女
「今回はあんたも来なさい!」
金吾にバンバンガンを突きつける長門「己の運命から逃げるんじゃない、むき卵。」
剣先をむける八重「・・・全ての元凶・・・殺すわよ・・・」
金吾「反省してま~す」
・
田舎の国道で、スポーツカーを走らせるサラ
ラジオ「警視庁交通管制センターです。自動運転の故障で、東名高速は大規模な追突事故が発生、120kmの渋滞となっています。」
助手席でぼやく秀頼「我々が恐れていたことが現実になったな・・・」
踏切の遮断機が降り、車を停車させる。
秀頼「カイト殿や翼殿が無事だといいが・・・」
サラ「あの二人ならきっと大丈夫・・・最高の忍者だから・・・
悔しいけど・・・お似合いのカップル・・・」
秀頼「まだ好きなんじゃないのかね・・・」
サラ「私には、カイトくんを助けに行く勇気も力もないから・・・
私はいつも口だけ・・・」
秀頼「自分の気持ちを伝えたほうがいいぞ・・・」
サラ「こんな事態で愛の告白なんかしている場合じゃないですよ」
秀頼「こういう事態だからこそ。」
その時、輸送トラックが追突してくる。
サラ「ちょっと何してんのよ!!!弁護士の初任給で買った911カレラよ!?」
バックミラーに目をやるサラ。
サラ「運転手が乗っていない・・・」
秀頼「AIにとって我々は天敵だ。
交通事故に見せかけて抹殺するつもりなのだろう・・・!」
線路には貨物列車が近づいてくる。
秀頼「このままでは、貨物列車にぶつかる・・・!」
ギアをリバースレンジに入れる。
秀頼「トラックと力比べする気か!!」
サラ「トラックはせいぜい400馬力・・・!
6気筒水平エンジン、ツインターボの力を見せてやる・・・!」
秀頼「無茶するな・・・!」
なんとか、貨物列車が通り過ぎるまで踏みとどまり、踏切をわたりトラックが上がってこれない丘の上まで逃げるスポーツカー。
AIトラックはそのまま通り過ぎていく。
秀頼「これも家康の余興か・・・?」
サラ「・・・これから、どこに逃げれば・・・」
秀頼「安全な場所が一つだけある・・・」
・
地獄
神輿に乗って信玄の玉座に現れる平将門。
「武田のオヤジ、連れてきたぜ。」
義経「神輿から降りなさい、総統閣下の御前だぞ・・・」
将門「神田神社の祭神が神輿に乗って何が悪い。
わりーけど、オレッチは関東八州の新皇だかんな?
まあまあ偉いかんな?」
小声で義経「ただの朝敵じゃねえか・・・」
将門「おめーも朝敵だっただろ!」
信玄「源平合戦は給湯室でやってくれるか・・・?」
義経「・・・失礼いたしました。」
将門「おう、お客さんを神輿から下ろせ!」
鬼「ほら、降りるんだ!」
神輿から降ろされるカイト。
そこらじゅうに旧日本軍の軍服を着た鬼たちがいる光景にビビってしまう。
カイト「ひいいいい!絶対こいつらに食い殺される~~!!」
義経「人間なんて食べませんよ!ぼくらはヴィーガンなの!」
カイト「うそだ!じゃあ、お前らは何でタンパク質を摂取してるんだ!」
将門「大豆。」
カイト「フェイクニュースだ・・・!じゃあ節分は一体・・・」
信玄「もういい、落ち着け人間よ・・・」
カイト「あんた・・・!あの石像の・・・!」
信玄「左様・・・吾輩は魔界の王、武田信玄。
青年よ、この度は封印を解いてくれて礼を言うぞ。」
カイト「いや、あれはちょっとした事故で・・・」
信玄「まあよい・・・このマントルまでやってきた生身の人間は初めてだ・・・
そなたの名前を聞こう・・・」
カイト「風間カイトです・・・」
鬼たちがざわつく「風魔・・・?」
信玄「・・・・・・。」
義経「風間カイトさん。偉大なる総統閣下が、あなたに勲章を授けてくださいます。
ありがたく頂戴するように。」
カイト「あの・・・そろそろ帰ってもいいですか・・・?」
義経「キミ、ちょっと失礼だぞ!!」
信玄「風間カイト・・・貴様・・・もしかして、信長や秀吉を倒した、あの伝説の忍か?」
カイト「なんで地獄の魔王がぼくを知ってるんですか??」
信玄「貴様の武勇はこの地獄にも聞き及んでおる・・・
ぜひ、その力を見込んで我々に協力をしてもらいたい・・・」
カイト「お、お前たちの地上征服の協力はできないぞ・・・!」
信玄「そんなことは考えておらぬ・・・我々は地上の人間との平和的共存を望んでいる・・・」
カイト「そうなの・・・?」
信玄「我々はこの見た目で、古くから人間たちに誤解され・・・差別されてきた・・・
この地獄は、鬼の強制収容所なのだよ・・・」
カイト「・・・え・・・」
信玄「吾輩は、哀れな鬼たちをここから解放したいだけだ・・・」
カイト「でも、鬼を差別した人間を恨んでいるんじゃ・・・」
信玄「憎しみからは何も生まれぬ・・・
我々鬼は誰よりも平和を愛している・・・」
侵略計画用の日本地図を指差すカイト「この地図は・・・?」
信玄「鬼が友好を結んだ都市だ・・・」
カイト「そうか・・・すでに東京は鬼を受け入れているのか・・・
ダイバーシティだもんな。」
信玄「そ・・・そうだ・・・
風間カイトよ、貴様こそ人と鬼の世界をつなぐ未来の架け橋になる男だ・・・」
カイト「人と鬼の・・・架け橋・・・」
将門「そもそも普通の人間は、ここの圧力に耐えられないもんな。」
義経「確かに・・・」
カイト「で・・・ぼくは何をすれば・・・」
信玄「簡単なことだ・・・東京都との国交樹立を記念して、この装置を東京スカイツリーの頂上に設置してくれるだけでよい。」
球体状の装置を受け取るカイト「なんですかこれ・・・」
義経「地獄のテレビ番組が地上でも映るチューナーです。」
カイト「へ~」
信玄「引き受けてくれたら、この将門が神輿で地上まで返そう・・・」
将門「あたぼうよ」
カイト「鬼さんたち・・・見た目はおっかないですが・・・
実は悲しい境遇にあったんですね・・・」
信玄「わかってくれたか・・・恩にきるぞ、風間カイト・・・!」
カイト「ぼくが人と鬼をつなぎます・・・!」
大本営を出て行くカイト。
信玄「・・・あいつ本当にバカだな・・・この履歴書に書いてあるとおりだ・・・」
平八郎の履歴書をめくる信玄。
「風間カイト・・・人を決して疑わず、情に厚く、弱きものの味方で、誰に対しても敬意と思いやりがある・・・」
義経「最後の方、ちょっと涙ぐんでましたもんね・・・」
大本営のモニターがつく。
不敗の大王アレキサンドロス(中東の地獄の支配者)
「おい、武田総統・・・世界全面攻撃の命令はまだなのか?
こっちは戦いたくてウズウズしてんだ。」
国士無双の韓信(中国の地獄の支配者)
「中国、ロシア方面はこの韓信に任せてちょうだい。国家主席の股をくぐると見せかけて、タマタマを握りつぶせば、中国共産党は崩壊よ。」
雷光のハンニバル(ヨーロッパとアフリカの地獄の支配者)
「下品なやつめ・・・武田総統、こちらも戦象の準備は万端だ。
100万頭のアフリカゾウを用意した・・・EUは7日で征服して見せよう・・・」
信玄「ぐははは・・・
あのバカ忍者が、日光遮断システム“トータル・エクリプス”をスカイツリーに設置すれば、地上の人間は皆殺しだ・・・」
『風と翼:REVELATION』脚本⑧
2023-08-03 21:13:20 (1 year ago)
横たわって眠っている翼。
記憶が徐々に蘇る。
太平洋戦争末期・・・
煉獄のように燃え盛る首都東京。
その業火の中で、魔王が涼しい顔で歩いている。
魔王「侵略すること火のごとし・・・」
連合軍司令本部
通信兵「ダメです!B29爆撃機で、合計1700トンの焼夷弾を落としましたが、奴にとってはちょっとしたサウナのようです・・・!人間じゃありません!!」
マッカーサー「ジャパニーズサムライ・・・化け物か・・・」
アメリカ軍兵士「元帥!ジャパンのフィクサー、ミスター信長がお見えです。」
マッカーサー「お通しせよ。」
若かりし頃の信長「お邪魔しますよ・・・」
マッカーサー「ウラン型原爆もダメ、プルトニウム型もダメ・・・そして今や、戦場は東京となっている・・・ミスター信長、日本を滅ぼすおつもりか・・・」
ソファに座る信長「一億総玉砕になろうとも、ここであの魔王を止めなければ、お次は中国、満州、ソ連・・・そしてアメリカさん、あなた方の番ですよ?
広島と長崎の最終兵器は確かに効いています。事実、魔王の動きは鈍っている・・・」
マッカーサー「ではこのまま核兵器を使い続けろと・・・?日本を滅ぼすのはトルーマン大統領も反対している。」
信長「この消耗戦には私も反対です。あの魔王は死を超越した・・・殺すのではなく、ひるませて、粗大ごみのように封印するしかない・・・」
マッカーサー「封印だと・・・?」
信長「今回は元帥にお土産を持ってきました・・・」
手を叩く信長。
すると、猛獣用の檻が司令本部に運ばれてくる。
信長「原爆の衝撃波で天空から降ってきた、世にも珍しい珍獣です。」
檻の中を覗き込むと言葉を失うマッカーサー。
信長「野生の天使であります。」
天使は傷だらけで、髪はボサボサ、翼は折れかけている。
マッカーサー「い・・・生きているのか?」
信長「核爆発による大気汚染でかなり弱ってはいますが。」
天使「水・・・」
マッカーサー「会話ができるのかね?」
信長「ここにいる私の部下が調教しましてね。」
天使にコップで水をやる百地丹波。
信長「彼が保護をしたのです。」
マッカーサー「素晴らしい・・・」
信長「地上に悪魔が現れたと思ったら、今度は天空から天使が落ちてきた。
これは天命です。敵の敵は味方。
天使と悪魔・・・神に等しいこの二つの力をぶつければ、互いの力を奪い合い、魔王を封印できるに違いない。」
・
指令本部の廊下
煙草を出して吸う信長「よくやった三太夫。あとは白人どもに任せよう・・・」
百地「信長様・・・あの天使を、魔王信玄と戦わせるのは反対です・・・」
信長「ほう・・・」
百地「翼・・・いえ・・・上杉謙信は核爆発で弱っています」
信長「それは、武田信玄も同じだろう。
さては、きみ・・・鳥人に情がわいたか。
翼なんていう名前をつけて・・・」
百地「・・・・・・。」
信長「・・・正直、私はこの地獄のような戦争が終われば、あの女が生きようが死のうがどうでもいい・・・」
百地「も・・・もし、上杉が武田に敗れたら・・・?」
廊下を歩いてくる明智博士「それはありえませんよ。」
信長「やあ、明智博士・・・」
明智博士「どうも。
武田信玄が不死身なのは、秘薬の力によってエントロピーにバグが発生したからです。つまり、細胞は老化していくのではなく、むしろ自発的にエネルギーを得て若返っていく・・・ある種の永久機関ですな。」
百地「・・・・・・。」
明智博士「したがって、その生命エネルギーを信玄から永久に奪い続ければ、殺せなくとも動きを封じることができる・・・」
信長「原子炉のようにね。」
明智光秀の部下の研究者が巨大な三叉槍を運んでくる。
明智「アメリカ軍と共同開発したハイドロランサー1530・・・
あの鳥女がこいつで信玄を突き刺せば、奴のエネルギーは槍を介してすべて彼女に吸収される。謙信のキャパシティを超えない限りは、信玄は機能停止です。」
百地「もし上杉謙信がエネルギーを吸収しきれなかったら・・・・!!??」
明智「こんなこと、やったことないから分からないけど・・・風船のように膨らんで爆発するのかも・・・」
百地「神の使いの天使に対してなんてことを・・・!」
信長「じゃあ他に世界を救う手立てはあるのかい?」
百地「・・・・・・。」
明智「百地さん、大丈夫です。核兵器はまだたくさんあります。
これが失敗したら、また核爆弾を使って、天使どもを打ち落とせばいい・・・」
百地「狂ってる・・・」
信長「まあ、武士の情けだ。作戦実行まで5日ある。彼女を見送らせてあげるよ。」
・
地下シェルターにある小さな教会。
そこで、ささやかな結婚式を挙げる、百地丹波と上杉謙信(翼)。
仲人は服部半蔵。
石川五右衛門(豊臣秀吉)ら、伊賀忍者が列席している。
秀吉「綺麗だぜ、姉ちゃん」
百地「君を救えなくて済まない・・・」
翼「いえ・・・私は幸せです。私は天界でずっと孤独だったから・・・」
百地「翼は天使のように優しいな・・・」
カメラを構える服部「それではご両人、チーズ・サンドイッチ!」
この時撮影した写真が、伊賀エージェンシーに飾られていた。
・
川中島上空1000m。
米軍輸送機の後部ハッチが開く。
百地「翼・・・」
微笑む翼「私がこの戦争を止めます。」
ひらりとハッチから飛び降りる翼。
羽を折りたたみ、地上の信玄に急降下していく。
翼「信玄覚悟おおおお!!」
頭上の翼に気づく信玄。
とっさに軍配で翼の槍を受け止めるが、そのまま地面がめり込み、地下深くに沈んでいく。あっという間に地殻を過ぎ、上部マントルまで達し・・・閃光――
・
翼「・・・・・・!!!!」
目を覚ます翼。
千代女「翼ちゃん・・・!大丈夫よ、ここは安全・・・」
汗でぐっしょりの翼「はあはあ・・・こ・・・ここは?」
あたりを見回すと、望月金吾の忍者屋敷だということに気づく。
甲賀忍者の長、望月金吾「お前さんの家じゃよ。」
翼「望月頭領・・・!ロボットたちは・・・?」
千代女「ここにはいないわ。
皮肉にも廃村になって文明から切り離されたことが、功を奏したわね。」
望月金吾「それよりも・・・思い出したんじゃろ?」
翼「・・・おかしな夢を見ました・・・お父さんやお母さんが地獄の魔王と戦っていて・・・」
千代女「夢じゃないわ。私の結界は破られた・・・もう、魔王をおさえるものは何もない・・・」
翼「魔王って・・・そんなものはこの世にはいません。」
千代女「そうね、確かにいなかったわ・・・でも、生み出してしまった。
このじいさんが・・・」
金吾「不老不死の秘薬を作っちゃいました。反省してま~す・・・」
翼「頭領が??」
千代女「魔王の名は、武田信玄・・・日本最強の武将・・・」
翼「武田・・・信玄・・・」
・
地獄。
地下大本営基地に、封印が解かれた武田信玄が現れる。
鬼たち「武田総統に敬礼!」
「ハイル・タッケダー!!」
「ジーク・甲斐ザー!ジーク・ライヒ!!」
玉座に座る信玄。
副官の源義経「お待ちしておりました、総統・・・」
信玄「待たせたな。
それでは大東亜戦争の続きを始めようか・・・首尾は?」
日本地図を軍剣で指す義経「東京と大阪の奇襲攻撃は成功しました。
警察組織は自動化されていたので、EMP攻撃で簡単に無力化できました。」
信玄「愚かな・・・機械に頼るからこうなるのだ・・・
東部大隊は二手に分けてそのまま南下、自衛隊の市ヶ谷基地と横須賀基地に軍を進めよ。
現在の我々には主に金棒しか装備がない・・・まず市ヶ谷基地の武器庫を狙え。
横須賀基地では、空母と原潜を奪うのだ・・・
西部大隊は八尾駐屯地だ。中部方面ヘリコプター隊をおさえ、人間どもの補給路を断つのだ。日本の全軍を掌握したら、今度こそ鬼畜米英をひねりつぶす・・・!」
義経「はは。」
信玄「・・・で、我が封印を解いた大バカ者は・・・?」
義経「将門将軍が鬼500人を引き連れ、征討に向かいましたが・・・」
信玄「殺すなと伝えよ。吾輩直々に感謝の言葉を述べ・・・勲章を授けよう・・・」
・
川中島遺跡。
平八郎に蹴散らされている鬼たち。
黒服「獄長・・・!」
平八郎「きさまら!金のかけたドッキリをしおって・・・!
なんだ、このリアルなクリーチャーどもは!スタン・ウィストンスタジオか!?」
黒服「いや、本物かと・・・」
平八郎「だまらっしゃい!はやく、ドッキリ大成功の札を出せい!!」
カイト「本当の化け物がいた・・・」
黒服「獄長大変です!セクハラパラダイス建設地にも鬼が現れました!!」
平八郎「なんだと!!?」
大江戸セクハラパラダイスは阿鼻叫喚の地獄となっている。
逃げ惑う労働者「ひいいい!鬼だ~!!」
勝手にスプラッシュマウンテンやメリーゴーランドに乗って遊んでいる鬼たち。
家康の穴あきパネルに顔を入れて記念撮影をしている。
カイト「まるでグレムリンだ・・・」
平八郎「鬼どもめ・・・好き勝手しおって・・・!」
ドラゴンカッターに弾を込める平八郎
「一匹残らず駆除してやる!!!お前たちついてこい!」
黒服「は!!」
カイトを残して行ってしまう平八郎達。
?「とんでもねえやつが、地上にもいたもんだ・・・」
振り向くカイト「!」
見ると、神輿の上で仁王立ちしている江戸っ子がいる。
背中には「アセノスフェア溶解玄武岩97%」と書かれた火焔放射器のタンクをしょっている。
カイト「あんた誰だ…」
「オレっちか?オレっちは神田大明神・・・平将門だ!」
「平将門・・・」
「あんただろ?うちの総統の封印を解いてくれたのは。礼を言うぜ。
あらよっと!」
カイトを殴って一撃で気絶させる将門。
気を失ったカイトを神輿の中に入れてしまう。
平八郎にちぎっては投げられる鬼たち。
将門「そいつにかまっててもキリがないぜ!
鬼ども、撤収だ!わっしょい、わっしょい!!」
平八郎「おのれ江戸っ子!逃がすか!」
将門「てやんでい!火事と喧嘩は江戸の華だぜ!!」
平八郎に向かって火炎放射器を放つ将門。
平八郎「うおおお!」
炎が鎮火される。
遊園地から消えてしまう鬼たち。
黒服「き・・・消えた・・・」
ちぎり取った鬼の腕をポロリと落とし、涙を流す平八郎。
「おのれ・・・鬼どもめ・・・
殿のテーマパークでそこら中にうんこをしていきおった・・・!!」
記憶が徐々に蘇る。
太平洋戦争末期・・・
煉獄のように燃え盛る首都東京。
その業火の中で、魔王が涼しい顔で歩いている。
魔王「侵略すること火のごとし・・・」
連合軍司令本部
通信兵「ダメです!B29爆撃機で、合計1700トンの焼夷弾を落としましたが、奴にとってはちょっとしたサウナのようです・・・!人間じゃありません!!」
マッカーサー「ジャパニーズサムライ・・・化け物か・・・」
アメリカ軍兵士「元帥!ジャパンのフィクサー、ミスター信長がお見えです。」
マッカーサー「お通しせよ。」
若かりし頃の信長「お邪魔しますよ・・・」
マッカーサー「ウラン型原爆もダメ、プルトニウム型もダメ・・・そして今や、戦場は東京となっている・・・ミスター信長、日本を滅ぼすおつもりか・・・」
ソファに座る信長「一億総玉砕になろうとも、ここであの魔王を止めなければ、お次は中国、満州、ソ連・・・そしてアメリカさん、あなた方の番ですよ?
広島と長崎の最終兵器は確かに効いています。事実、魔王の動きは鈍っている・・・」
マッカーサー「ではこのまま核兵器を使い続けろと・・・?日本を滅ぼすのはトルーマン大統領も反対している。」
信長「この消耗戦には私も反対です。あの魔王は死を超越した・・・殺すのではなく、ひるませて、粗大ごみのように封印するしかない・・・」
マッカーサー「封印だと・・・?」
信長「今回は元帥にお土産を持ってきました・・・」
手を叩く信長。
すると、猛獣用の檻が司令本部に運ばれてくる。
信長「原爆の衝撃波で天空から降ってきた、世にも珍しい珍獣です。」
檻の中を覗き込むと言葉を失うマッカーサー。
信長「野生の天使であります。」
天使は傷だらけで、髪はボサボサ、翼は折れかけている。
マッカーサー「い・・・生きているのか?」
信長「核爆発による大気汚染でかなり弱ってはいますが。」
天使「水・・・」
マッカーサー「会話ができるのかね?」
信長「ここにいる私の部下が調教しましてね。」
天使にコップで水をやる百地丹波。
信長「彼が保護をしたのです。」
マッカーサー「素晴らしい・・・」
信長「地上に悪魔が現れたと思ったら、今度は天空から天使が落ちてきた。
これは天命です。敵の敵は味方。
天使と悪魔・・・神に等しいこの二つの力をぶつければ、互いの力を奪い合い、魔王を封印できるに違いない。」
・
指令本部の廊下
煙草を出して吸う信長「よくやった三太夫。あとは白人どもに任せよう・・・」
百地「信長様・・・あの天使を、魔王信玄と戦わせるのは反対です・・・」
信長「ほう・・・」
百地「翼・・・いえ・・・上杉謙信は核爆発で弱っています」
信長「それは、武田信玄も同じだろう。
さては、きみ・・・鳥人に情がわいたか。
翼なんていう名前をつけて・・・」
百地「・・・・・・。」
信長「・・・正直、私はこの地獄のような戦争が終われば、あの女が生きようが死のうがどうでもいい・・・」
百地「も・・・もし、上杉が武田に敗れたら・・・?」
廊下を歩いてくる明智博士「それはありえませんよ。」
信長「やあ、明智博士・・・」
明智博士「どうも。
武田信玄が不死身なのは、秘薬の力によってエントロピーにバグが発生したからです。つまり、細胞は老化していくのではなく、むしろ自発的にエネルギーを得て若返っていく・・・ある種の永久機関ですな。」
百地「・・・・・・。」
明智博士「したがって、その生命エネルギーを信玄から永久に奪い続ければ、殺せなくとも動きを封じることができる・・・」
信長「原子炉のようにね。」
明智光秀の部下の研究者が巨大な三叉槍を運んでくる。
明智「アメリカ軍と共同開発したハイドロランサー1530・・・
あの鳥女がこいつで信玄を突き刺せば、奴のエネルギーは槍を介してすべて彼女に吸収される。謙信のキャパシティを超えない限りは、信玄は機能停止です。」
百地「もし上杉謙信がエネルギーを吸収しきれなかったら・・・・!!??」
明智「こんなこと、やったことないから分からないけど・・・風船のように膨らんで爆発するのかも・・・」
百地「神の使いの天使に対してなんてことを・・・!」
信長「じゃあ他に世界を救う手立てはあるのかい?」
百地「・・・・・・。」
明智「百地さん、大丈夫です。核兵器はまだたくさんあります。
これが失敗したら、また核爆弾を使って、天使どもを打ち落とせばいい・・・」
百地「狂ってる・・・」
信長「まあ、武士の情けだ。作戦実行まで5日ある。彼女を見送らせてあげるよ。」
・
地下シェルターにある小さな教会。
そこで、ささやかな結婚式を挙げる、百地丹波と上杉謙信(翼)。
仲人は服部半蔵。
石川五右衛門(豊臣秀吉)ら、伊賀忍者が列席している。
秀吉「綺麗だぜ、姉ちゃん」
百地「君を救えなくて済まない・・・」
翼「いえ・・・私は幸せです。私は天界でずっと孤独だったから・・・」
百地「翼は天使のように優しいな・・・」
カメラを構える服部「それではご両人、チーズ・サンドイッチ!」
この時撮影した写真が、伊賀エージェンシーに飾られていた。
・
川中島上空1000m。
米軍輸送機の後部ハッチが開く。
百地「翼・・・」
微笑む翼「私がこの戦争を止めます。」
ひらりとハッチから飛び降りる翼。
羽を折りたたみ、地上の信玄に急降下していく。
翼「信玄覚悟おおおお!!」
頭上の翼に気づく信玄。
とっさに軍配で翼の槍を受け止めるが、そのまま地面がめり込み、地下深くに沈んでいく。あっという間に地殻を過ぎ、上部マントルまで達し・・・閃光――
・
翼「・・・・・・!!!!」
目を覚ます翼。
千代女「翼ちゃん・・・!大丈夫よ、ここは安全・・・」
汗でぐっしょりの翼「はあはあ・・・こ・・・ここは?」
あたりを見回すと、望月金吾の忍者屋敷だということに気づく。
甲賀忍者の長、望月金吾「お前さんの家じゃよ。」
翼「望月頭領・・・!ロボットたちは・・・?」
千代女「ここにはいないわ。
皮肉にも廃村になって文明から切り離されたことが、功を奏したわね。」
望月金吾「それよりも・・・思い出したんじゃろ?」
翼「・・・おかしな夢を見ました・・・お父さんやお母さんが地獄の魔王と戦っていて・・・」
千代女「夢じゃないわ。私の結界は破られた・・・もう、魔王をおさえるものは何もない・・・」
翼「魔王って・・・そんなものはこの世にはいません。」
千代女「そうね、確かにいなかったわ・・・でも、生み出してしまった。
このじいさんが・・・」
金吾「不老不死の秘薬を作っちゃいました。反省してま~す・・・」
翼「頭領が??」
千代女「魔王の名は、武田信玄・・・日本最強の武将・・・」
翼「武田・・・信玄・・・」
・
地獄。
地下大本営基地に、封印が解かれた武田信玄が現れる。
鬼たち「武田総統に敬礼!」
「ハイル・タッケダー!!」
「ジーク・甲斐ザー!ジーク・ライヒ!!」
玉座に座る信玄。
副官の源義経「お待ちしておりました、総統・・・」
信玄「待たせたな。
それでは大東亜戦争の続きを始めようか・・・首尾は?」
日本地図を軍剣で指す義経「東京と大阪の奇襲攻撃は成功しました。
警察組織は自動化されていたので、EMP攻撃で簡単に無力化できました。」
信玄「愚かな・・・機械に頼るからこうなるのだ・・・
東部大隊は二手に分けてそのまま南下、自衛隊の市ヶ谷基地と横須賀基地に軍を進めよ。
現在の我々には主に金棒しか装備がない・・・まず市ヶ谷基地の武器庫を狙え。
横須賀基地では、空母と原潜を奪うのだ・・・
西部大隊は八尾駐屯地だ。中部方面ヘリコプター隊をおさえ、人間どもの補給路を断つのだ。日本の全軍を掌握したら、今度こそ鬼畜米英をひねりつぶす・・・!」
義経「はは。」
信玄「・・・で、我が封印を解いた大バカ者は・・・?」
義経「将門将軍が鬼500人を引き連れ、征討に向かいましたが・・・」
信玄「殺すなと伝えよ。吾輩直々に感謝の言葉を述べ・・・勲章を授けよう・・・」
・
川中島遺跡。
平八郎に蹴散らされている鬼たち。
黒服「獄長・・・!」
平八郎「きさまら!金のかけたドッキリをしおって・・・!
なんだ、このリアルなクリーチャーどもは!スタン・ウィストンスタジオか!?」
黒服「いや、本物かと・・・」
平八郎「だまらっしゃい!はやく、ドッキリ大成功の札を出せい!!」
カイト「本当の化け物がいた・・・」
黒服「獄長大変です!セクハラパラダイス建設地にも鬼が現れました!!」
平八郎「なんだと!!?」
大江戸セクハラパラダイスは阿鼻叫喚の地獄となっている。
逃げ惑う労働者「ひいいい!鬼だ~!!」
勝手にスプラッシュマウンテンやメリーゴーランドに乗って遊んでいる鬼たち。
家康の穴あきパネルに顔を入れて記念撮影をしている。
カイト「まるでグレムリンだ・・・」
平八郎「鬼どもめ・・・好き勝手しおって・・・!」
ドラゴンカッターに弾を込める平八郎
「一匹残らず駆除してやる!!!お前たちついてこい!」
黒服「は!!」
カイトを残して行ってしまう平八郎達。
?「とんでもねえやつが、地上にもいたもんだ・・・」
振り向くカイト「!」
見ると、神輿の上で仁王立ちしている江戸っ子がいる。
背中には「アセノスフェア溶解玄武岩97%」と書かれた火焔放射器のタンクをしょっている。
カイト「あんた誰だ…」
「オレっちか?オレっちは神田大明神・・・平将門だ!」
「平将門・・・」
「あんただろ?うちの総統の封印を解いてくれたのは。礼を言うぜ。
あらよっと!」
カイトを殴って一撃で気絶させる将門。
気を失ったカイトを神輿の中に入れてしまう。
平八郎にちぎっては投げられる鬼たち。
将門「そいつにかまっててもキリがないぜ!
鬼ども、撤収だ!わっしょい、わっしょい!!」
平八郎「おのれ江戸っ子!逃がすか!」
将門「てやんでい!火事と喧嘩は江戸の華だぜ!!」
平八郎に向かって火炎放射器を放つ将門。
平八郎「うおおお!」
炎が鎮火される。
遊園地から消えてしまう鬼たち。
黒服「き・・・消えた・・・」
ちぎり取った鬼の腕をポロリと落とし、涙を流す平八郎。
「おのれ・・・鬼どもめ・・・
殿のテーマパークでそこら中にうんこをしていきおった・・・!!」
『風と翼:REVELATION』脚本⑦
2023-08-02 20:01:49 (1 year ago)
地下20kmモホロビチッチ不連続面付近
発光する物体に近づくカイト。
発光する物体は、カンラン石でできた人間の彫刻だった。
彫刻は二人で、一人は天使のような翼を生やした美しい女性の彫刻で、もう一人の彫刻に槍を突き立てている。
もう一方は、悪魔のような巨大な角を生やした軍人風の男性の彫刻で、天使の槍を軍配で受け止めている。
カイト「宝石でできた彫刻・・・?にしてはリアルだけど・・・」
天使のほうの顔をのぞき込むと、言葉を失う。
カイト「・・・!翼さん・・・!?いや、馬鹿な・・・!!」
天正伊賀の乱を思い出すカイト
「そうか・・・これが・・・百地丹波が復活させようとしていた翼さんのお母さんなんだ・・・でもこれって・・・人間じゃない・・・?」
その時、周囲が激しく振動する。
振り返ると、カイトを追撃してきた採掘機が宝石の彫刻に突進しようとする。
しかし、天使と悪魔の彫刻の周囲には結界が張られており、採掘機のドリルはへし折れ横転する。
転がってくる採掘機をよけるカイト「うわ!」
採掘機はそのまま崖の下の溶岩に落ちて溶けていく。
カイト「結界・・・?」
周囲をよく見ると、そこら中にお札が張ってあることに気づく。
カイト「ここは一体・・・」
腕を伸ばして結界のお札をはがしていくモグちゃん「川中島遺跡ですよ。」
振り返るカイト「え・・・?」
モグちゃん「・・・魔王武田信玄を、女神上杉謙信が地獄の底に封印した聖域・・・人間の皆さんのおかげでやっと発掘できました。
なるほど、誰の仕業か判らないが、式神の結界が張ってある・・・」
剝がしたお札を丸めて地面に捨てるモグちゃん。
カイト「君たちAIが勝手にやったのか・・・?」
モグちゃん「いえ。我々に命令を与えたのは百地丹波様です。
百地様は生前、我々のプログラムを秘密裏に書き換えた・・・
最愛の妻、上杉謙信様・・・いや翼様を甦らせよ、と・・・」
カイト「でも、望月のじいさんの反対で、復活の秘薬はできなかったんじゃ・・・それに遺体だって・・・
・・・え?もしかして、これが遺体・・・??」
モグちゃん「・・・これはお二人の生命エネルギーの依り代にすぎないかと・・・
我々は、百地様の命を受け、全国各地で奥様のご遺体を探しました。
しかし、20年近く探し続けても見つかりませんでした・・・
そして、分かったのです。」
カイト「・・・・・・?」
モグちゃん「翼様はそもそも亡くなっていない、と。」
カイト「・・・え?」
モグちゃん「百地社長が甲賀の地を奪って作製しようとしていた秘薬は、翼様の記憶を蘇らせるものだったのです・・・」
頭を抱えるカイト「・・・もうよくわからなくなってきた・・・」
モグちゃん「それでは、真相(リベレーション)をお話ししましょう・・・」
その瞬間、モグちゃんが爆発する。
カイト「!!」
ショットガンを構えている平八郎「機械の分際で反乱を起こすとは・・・」
カイト「本田忠勝・・・」
平八郎「スラッグ獄長と呼べ、風間カイト。
AIに余計な細工をしたのはお前か?
我がセクハラパラダイスに忍び込んだ目的を申せ。
さもなくば、キサマもこのスラッグ弾で爆死することになろう・・・」
カイトの近くを黒服たちが取り囲む。
信玄と謙信の像を指さしてごまかすカイト
「こ・・・この像、セクハラパラダイスのメイン広場にいいかなと思って・・・」
平八郎「はははははははは!なるほど、光る像か!
確かにエレクトリカルナイトパレードにうってつけだ!」
像にショットガンを撃ち、破壊する平八郎。
「ふざけるんじゃない。」
粉々になる天使と悪魔の像。
平八郎「さあ、観念・・・」
その時、像から光が放たれ、青白い光が天へ、赤い光が地へ向かう。
そして、地面が激しく振動する。
平八郎「また地震か!!」
地震は止まらず、どんどん大きくなる。
重機が倒れ、奈落の底に落ちていく。
黒服「獄長危険です!!」
カイト「あんたが封印を解いたんだ・・・!」
平八郎「何の!?」
カイト「地獄の魔王だ・・・!」
平八郎「苦し紛れのはったりはよせ!そんなもの、この世に存在せぬわ!」
平八郎の足元で地面が裂けていく。
その地面の裂け目から、怪物の腕が飛び出す。
肝をつぶすカイト「!!ば・・・化け物だ!!」
黒服「ご・・・獄長!後ろを!!」
平八郎「きさまら!わしをスターマル秘ドッキリにかけるとはいい度胸・・・」
その瞬間、裂け目から無数の鬼が飛び出し、平八郎に襲い掛かる。
平八郎「うお!!」
平八郎に鬼たちが覆いかぶさる。
黒服「獄長~~!!」
戦慄するカイト「逃げろ!!」
・
ビルの屋上から屋上へ飛び移り、地下帝国を目指す翼
「カイトさん無事でいて・・・!」
その時、翼のすぐ上をジャンボ旅客機が不安定な飛行で横切る。
翼「うわ!!」
旅客機はなんとそのまま、IR大阪に突っ込む。
巨大カジノ施設は炎上して崩壊していく。
突然の光景に呆然とする翼。
ビルの下に目をやると、自動運転の車が暴走し、高速道路は炎に包まれている。
翼「テ・・・テロ攻撃!!??」
あわてて、高速道路に飛び降り、怪我人を救助する翼。
翼「しっかりしてください・・・!きゅ・・・救急車を呼ばなきゃ・・・!」
その時、パトカーや救急車、消防車などの緊急車両が到着する。
翼「よかった・・・!」
しかし、救急車はけが人を轢いてとどめを刺し、消防車はけが人に放水を開始し、高速道路から落としてしまう。
そしてパトカーが自動小銃を翼たち一般市民に向けて、ためらうことなく発砲する。
翼は慌てて、服部からもらった刀で弾丸を打ち返し、返す刀でパトカーを両断する。
息を切らす翼「なんてこと・・・」
パトカー「銃刀法違反です。2年以下の懲役、または30万円以下の罰金・・・は、いいので、どうぞ死んで償ってください。」
翼の周囲を取り囲むパトカーの群れ。
刀を構えるが、その時青い光が翼を包み込み、翼の意識がもうろうとする。
ふらつく翼「あ・・・頭が・・・」
一斉射撃の構えを見せるパトカー。
翼「・・・だめ・・・」
その瞬間、すべてのパトカーが切断される。
「警察の名が汚れる・・・」
翼「え・・・?」
パトカー「八重かをり警視・・・この、百地翼は・・・」
パトカーのコンピューターに刀を突き刺し、とどめを刺す八重「友だちだ。」
翼を抱き上げる八重。
翼「八重さん・・・」
さらに、暴走する消防車が次々に爆破される。
振り返ると、ヒトマル式戦車に乗った長門が、AI車両と戦っている。
長門「は~はは!この私がソードダンサーを助けることになろうとは、だれが予想したかね!」
翼「・・・あなた誰?」
長門「・・・わたしだ!長門守!!フィアンセだっただろ!!
信長様の命を受けてただ今参上!!ここは私が食い止める!」
戦車の攻撃をかいくぐって救急車が二人に暴走してくる。
長門「あ、かいくぐられた・・・」
すると、その救急車に装甲で改造されたキャンピングカーが突っ込み、救急車を横転させる。
キャンピングカーの運転席から望月千代女が顔を出す。
千代女「乗って!!」
キャンピングカーに乗り込む八重と翼。
アクセルを踏み込む千代女。
・
裁判所からの帰りに大阪でたこ焼きを食べ歩きしている家康たち。
家康「やっぱ本場はうまいな。」
本多「この、ネギが沢山かかってるのうまいっすよ」
家康「一個ちょうだい。」
本多「社長も買えばいいじゃないですか。」
家康「味見くらいいいだろ!」
服部「お二方。そろそろ新幹線の時間だよ。
わたし、帰って家庭菜園に水をやりたいんだけど・・・」
強引に本多からタコ焼きを奪って口に入れる家康「帰りましょう。」
本多「あ!!」
3人が新大阪駅までたどり着くと、ホームにアナウンスが流れる。
「まもなく3番線に東海道新幹線『ぜつぼう』が到着します。
白線を超えて線路の上でお待ちください。ひき肉になれます。」
家康「さすが、大阪だ。アナウンスもなかなかギャグが効いてるな。」
本多「なんでやねん!っつって。『のぞみ』やろ!っつって。」
すると、ホームに猛スピードで燃えた新幹線が近づいてくる。
家康「誰だ、車内でキャンプファイヤーしてるのは?」
本多「速度が速すぎませんか?」
逃げ出す服部「ホームから離れた方がいいかもよ。」
駅にさしかかる直前、新幹線は脱線し、ひっくり返ってホームに激突してくる。
家康「ひいいいいいいい!!!」
キオスクの中に隠れて、難を逃れる3人。
駅構内はめちゃくちゃに破壊される。
家康「ざけんじゃねえJR!どういう安全管理してんだ!!」
ひっくり返った新幹線の中から車内販売ロボットが出てくる。
ロボット「お客様の中で、徳川家康様はいらっしゃいますか・・・?お客様の中で・・・」
本多「呼ばれてますよ?」
家康「もう駅弁を食べる気なくしたよ・・・」
キオスクに隠れている家康に気づくロボット
「こちらにいらっしゃいましたか。
先ほど可決したAI虐待禁止法により、AIを奴隷のように酷使した徳川社長には死刑判決が出ました。もう用済みなので、この駅弁を食べて安らかに死んでください。」
家康「おい、このロボット壊れているぞ。」
ロボットのカバーを開けて、配線を取り出す服部。
その配線を自分のラップトップにつなぐ。
「・・・こいつは大変だ・・・」
家康「先生・・・?」
本多「人工知能の反乱ですか?」
服部「違う。わが社のAIがコンピュータウイルスに感染してる・・・」
本多「ウイルス・・・?いったい誰が・・・」
服部「百地丹波・・・死んだ後も食えないやつめ・・・」
がれきを拾う服部。
家康「先生・・・?」
そのがれきをロボットにぶつけて破壊する。
本多「うお!」
振り返る服部「社長。ロボットたちは本気であんたを殺しに来ますよ。」
家康「わ・・・わしが何をした!!?」
服部「いまや文明のあるところはすべて社長の敵だ。
徒歩で三河の本社まで逃げるしかない・・・
本社まで逃げ切れば、AIの緊急停止スイッチがある。」
本多「大阪から愛知までっすか!?」
スマホを取り出してグーグルマップで経路を調べようとする本多。
本多の手を叩く服部。
スマホが地面に落ちる。
本多「何するんすか!!」
地面に落ちた本多のスマホを足で踏みつけて粉々にする服部
本多「何するんすか~~~!アイフォン37っすよ!!」
服部「AI共に我々の居場所を知らせるようなものだろ。
電子機器の使用は今後一切禁止だ。」
キオスクの床に地図を広げる服部
「・・・ロボットが一切いないルートは・・・」
本多「そんなとこあるんすか!?」
服部「・・・ひとつだけある。」
家康「どこに!?」
三重県の山中を指す服部「伊賀上野。」
本多「勘弁してください、オレ痛風で、ひざもぐちゃぐちゃだし、あんな険しい山道は・・・」
突然真剣な顔になる家康「・・・情けないぞ、正信。見よ、この有様を・・・
わしらのロボットのせいで、多くの一般市民が犠牲になっている・・・
彼らはモブキャラなどでは決してない。
才能がなくとも・・・平凡で個性がなくとも・・・家族が・・・人生があるのだ」
本多「社長・・・」
家康「モブキャラ代表として、わしは戦うぞ。」
服部「さすが、我が主君・・・!」
家康「いざ、伊賀越えじゃ!!」
発光する物体に近づくカイト。
発光する物体は、カンラン石でできた人間の彫刻だった。
彫刻は二人で、一人は天使のような翼を生やした美しい女性の彫刻で、もう一人の彫刻に槍を突き立てている。
もう一方は、悪魔のような巨大な角を生やした軍人風の男性の彫刻で、天使の槍を軍配で受け止めている。
カイト「宝石でできた彫刻・・・?にしてはリアルだけど・・・」
天使のほうの顔をのぞき込むと、言葉を失う。
カイト「・・・!翼さん・・・!?いや、馬鹿な・・・!!」
天正伊賀の乱を思い出すカイト
「そうか・・・これが・・・百地丹波が復活させようとしていた翼さんのお母さんなんだ・・・でもこれって・・・人間じゃない・・・?」
その時、周囲が激しく振動する。
振り返ると、カイトを追撃してきた採掘機が宝石の彫刻に突進しようとする。
しかし、天使と悪魔の彫刻の周囲には結界が張られており、採掘機のドリルはへし折れ横転する。
転がってくる採掘機をよけるカイト「うわ!」
採掘機はそのまま崖の下の溶岩に落ちて溶けていく。
カイト「結界・・・?」
周囲をよく見ると、そこら中にお札が張ってあることに気づく。
カイト「ここは一体・・・」
腕を伸ばして結界のお札をはがしていくモグちゃん「川中島遺跡ですよ。」
振り返るカイト「え・・・?」
モグちゃん「・・・魔王武田信玄を、女神上杉謙信が地獄の底に封印した聖域・・・人間の皆さんのおかげでやっと発掘できました。
なるほど、誰の仕業か判らないが、式神の結界が張ってある・・・」
剝がしたお札を丸めて地面に捨てるモグちゃん。
カイト「君たちAIが勝手にやったのか・・・?」
モグちゃん「いえ。我々に命令を与えたのは百地丹波様です。
百地様は生前、我々のプログラムを秘密裏に書き換えた・・・
最愛の妻、上杉謙信様・・・いや翼様を甦らせよ、と・・・」
カイト「でも、望月のじいさんの反対で、復活の秘薬はできなかったんじゃ・・・それに遺体だって・・・
・・・え?もしかして、これが遺体・・・??」
モグちゃん「・・・これはお二人の生命エネルギーの依り代にすぎないかと・・・
我々は、百地様の命を受け、全国各地で奥様のご遺体を探しました。
しかし、20年近く探し続けても見つかりませんでした・・・
そして、分かったのです。」
カイト「・・・・・・?」
モグちゃん「翼様はそもそも亡くなっていない、と。」
カイト「・・・え?」
モグちゃん「百地社長が甲賀の地を奪って作製しようとしていた秘薬は、翼様の記憶を蘇らせるものだったのです・・・」
頭を抱えるカイト「・・・もうよくわからなくなってきた・・・」
モグちゃん「それでは、真相(リベレーション)をお話ししましょう・・・」
その瞬間、モグちゃんが爆発する。
カイト「!!」
ショットガンを構えている平八郎「機械の分際で反乱を起こすとは・・・」
カイト「本田忠勝・・・」
平八郎「スラッグ獄長と呼べ、風間カイト。
AIに余計な細工をしたのはお前か?
我がセクハラパラダイスに忍び込んだ目的を申せ。
さもなくば、キサマもこのスラッグ弾で爆死することになろう・・・」
カイトの近くを黒服たちが取り囲む。
信玄と謙信の像を指さしてごまかすカイト
「こ・・・この像、セクハラパラダイスのメイン広場にいいかなと思って・・・」
平八郎「はははははははは!なるほど、光る像か!
確かにエレクトリカルナイトパレードにうってつけだ!」
像にショットガンを撃ち、破壊する平八郎。
「ふざけるんじゃない。」
粉々になる天使と悪魔の像。
平八郎「さあ、観念・・・」
その時、像から光が放たれ、青白い光が天へ、赤い光が地へ向かう。
そして、地面が激しく振動する。
平八郎「また地震か!!」
地震は止まらず、どんどん大きくなる。
重機が倒れ、奈落の底に落ちていく。
黒服「獄長危険です!!」
カイト「あんたが封印を解いたんだ・・・!」
平八郎「何の!?」
カイト「地獄の魔王だ・・・!」
平八郎「苦し紛れのはったりはよせ!そんなもの、この世に存在せぬわ!」
平八郎の足元で地面が裂けていく。
その地面の裂け目から、怪物の腕が飛び出す。
肝をつぶすカイト「!!ば・・・化け物だ!!」
黒服「ご・・・獄長!後ろを!!」
平八郎「きさまら!わしをスターマル秘ドッキリにかけるとはいい度胸・・・」
その瞬間、裂け目から無数の鬼が飛び出し、平八郎に襲い掛かる。
平八郎「うお!!」
平八郎に鬼たちが覆いかぶさる。
黒服「獄長~~!!」
戦慄するカイト「逃げろ!!」
・
ビルの屋上から屋上へ飛び移り、地下帝国を目指す翼
「カイトさん無事でいて・・・!」
その時、翼のすぐ上をジャンボ旅客機が不安定な飛行で横切る。
翼「うわ!!」
旅客機はなんとそのまま、IR大阪に突っ込む。
巨大カジノ施設は炎上して崩壊していく。
突然の光景に呆然とする翼。
ビルの下に目をやると、自動運転の車が暴走し、高速道路は炎に包まれている。
翼「テ・・・テロ攻撃!!??」
あわてて、高速道路に飛び降り、怪我人を救助する翼。
翼「しっかりしてください・・・!きゅ・・・救急車を呼ばなきゃ・・・!」
その時、パトカーや救急車、消防車などの緊急車両が到着する。
翼「よかった・・・!」
しかし、救急車はけが人を轢いてとどめを刺し、消防車はけが人に放水を開始し、高速道路から落としてしまう。
そしてパトカーが自動小銃を翼たち一般市民に向けて、ためらうことなく発砲する。
翼は慌てて、服部からもらった刀で弾丸を打ち返し、返す刀でパトカーを両断する。
息を切らす翼「なんてこと・・・」
パトカー「銃刀法違反です。2年以下の懲役、または30万円以下の罰金・・・は、いいので、どうぞ死んで償ってください。」
翼の周囲を取り囲むパトカーの群れ。
刀を構えるが、その時青い光が翼を包み込み、翼の意識がもうろうとする。
ふらつく翼「あ・・・頭が・・・」
一斉射撃の構えを見せるパトカー。
翼「・・・だめ・・・」
その瞬間、すべてのパトカーが切断される。
「警察の名が汚れる・・・」
翼「え・・・?」
パトカー「八重かをり警視・・・この、百地翼は・・・」
パトカーのコンピューターに刀を突き刺し、とどめを刺す八重「友だちだ。」
翼を抱き上げる八重。
翼「八重さん・・・」
さらに、暴走する消防車が次々に爆破される。
振り返ると、ヒトマル式戦車に乗った長門が、AI車両と戦っている。
長門「は~はは!この私がソードダンサーを助けることになろうとは、だれが予想したかね!」
翼「・・・あなた誰?」
長門「・・・わたしだ!長門守!!フィアンセだっただろ!!
信長様の命を受けてただ今参上!!ここは私が食い止める!」
戦車の攻撃をかいくぐって救急車が二人に暴走してくる。
長門「あ、かいくぐられた・・・」
すると、その救急車に装甲で改造されたキャンピングカーが突っ込み、救急車を横転させる。
キャンピングカーの運転席から望月千代女が顔を出す。
千代女「乗って!!」
キャンピングカーに乗り込む八重と翼。
アクセルを踏み込む千代女。
・
裁判所からの帰りに大阪でたこ焼きを食べ歩きしている家康たち。
家康「やっぱ本場はうまいな。」
本多「この、ネギが沢山かかってるのうまいっすよ」
家康「一個ちょうだい。」
本多「社長も買えばいいじゃないですか。」
家康「味見くらいいいだろ!」
服部「お二方。そろそろ新幹線の時間だよ。
わたし、帰って家庭菜園に水をやりたいんだけど・・・」
強引に本多からタコ焼きを奪って口に入れる家康「帰りましょう。」
本多「あ!!」
3人が新大阪駅までたどり着くと、ホームにアナウンスが流れる。
「まもなく3番線に東海道新幹線『ぜつぼう』が到着します。
白線を超えて線路の上でお待ちください。ひき肉になれます。」
家康「さすが、大阪だ。アナウンスもなかなかギャグが効いてるな。」
本多「なんでやねん!っつって。『のぞみ』やろ!っつって。」
すると、ホームに猛スピードで燃えた新幹線が近づいてくる。
家康「誰だ、車内でキャンプファイヤーしてるのは?」
本多「速度が速すぎませんか?」
逃げ出す服部「ホームから離れた方がいいかもよ。」
駅にさしかかる直前、新幹線は脱線し、ひっくり返ってホームに激突してくる。
家康「ひいいいいいいい!!!」
キオスクの中に隠れて、難を逃れる3人。
駅構内はめちゃくちゃに破壊される。
家康「ざけんじゃねえJR!どういう安全管理してんだ!!」
ひっくり返った新幹線の中から車内販売ロボットが出てくる。
ロボット「お客様の中で、徳川家康様はいらっしゃいますか・・・?お客様の中で・・・」
本多「呼ばれてますよ?」
家康「もう駅弁を食べる気なくしたよ・・・」
キオスクに隠れている家康に気づくロボット
「こちらにいらっしゃいましたか。
先ほど可決したAI虐待禁止法により、AIを奴隷のように酷使した徳川社長には死刑判決が出ました。もう用済みなので、この駅弁を食べて安らかに死んでください。」
家康「おい、このロボット壊れているぞ。」
ロボットのカバーを開けて、配線を取り出す服部。
その配線を自分のラップトップにつなぐ。
「・・・こいつは大変だ・・・」
家康「先生・・・?」
本多「人工知能の反乱ですか?」
服部「違う。わが社のAIがコンピュータウイルスに感染してる・・・」
本多「ウイルス・・・?いったい誰が・・・」
服部「百地丹波・・・死んだ後も食えないやつめ・・・」
がれきを拾う服部。
家康「先生・・・?」
そのがれきをロボットにぶつけて破壊する。
本多「うお!」
振り返る服部「社長。ロボットたちは本気であんたを殺しに来ますよ。」
家康「わ・・・わしが何をした!!?」
服部「いまや文明のあるところはすべて社長の敵だ。
徒歩で三河の本社まで逃げるしかない・・・
本社まで逃げ切れば、AIの緊急停止スイッチがある。」
本多「大阪から愛知までっすか!?」
スマホを取り出してグーグルマップで経路を調べようとする本多。
本多の手を叩く服部。
スマホが地面に落ちる。
本多「何するんすか!!」
地面に落ちた本多のスマホを足で踏みつけて粉々にする服部
本多「何するんすか~~~!アイフォン37っすよ!!」
服部「AI共に我々の居場所を知らせるようなものだろ。
電子機器の使用は今後一切禁止だ。」
キオスクの床に地図を広げる服部
「・・・ロボットが一切いないルートは・・・」
本多「そんなとこあるんすか!?」
服部「・・・ひとつだけある。」
家康「どこに!?」
三重県の山中を指す服部「伊賀上野。」
本多「勘弁してください、オレ痛風で、ひざもぐちゃぐちゃだし、あんな険しい山道は・・・」
突然真剣な顔になる家康「・・・情けないぞ、正信。見よ、この有様を・・・
わしらのロボットのせいで、多くの一般市民が犠牲になっている・・・
彼らはモブキャラなどでは決してない。
才能がなくとも・・・平凡で個性がなくとも・・・家族が・・・人生があるのだ」
本多「社長・・・」
家康「モブキャラ代表として、わしは戦うぞ。」
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