天守閣
玉座から立ち上がる豊臣「これでファイナルステージの顔ぶれが揃ったか・・・」
ギャンブルに買って大はしゃぎする石田総理「やった!152倍配当だぞ・・・!」
大谷官房長官「やめてください、これも放送されていたらどうするんですか。」
悔しがる各国の代表たち。
片桐「選ばれし挑戦者の皆さん!IR大阪天守閣にようこそ!!
いよいよファイナルステージとなります!
このゲームの勝者が、豊臣秀吉の財宝200兆円相当を獲得できるのです!
最後のゲームは“ウォール・オブ・フリーダム”!
3つのドアのうち好きな一つを選んで入ってください!
1つだけが財宝への金庫につながっております!
大道寺「最後は運ゲーかよ!!」
片桐「ドアを決めるのは先着順です!」
五右衛門「なんだって!?じゃあオイラはここだ!」
真ん中のドアを選ぶ五右衛門。
サラ「あっずるい!」
大道寺「じいさん、スタッフに正解のドアを教えてもらってんじゃねえか?」
片桐「ほかの方はどうしますか?」
サラ「こういうのって心理学的な傾向ってあるの?」
ウォンイク「左を選ぶ人が多いって言うけどね・・・」
翼「では、裏をかいて正解は右なんでしょうか・・・?」
サラ「どうするカイトくん?」
カイト「う~ん・・・」
プラナス「私は左にするわ・・・」
サラ「とられちゃったよ!」
片桐「プラナスさんが左、旧五右衛門さんが真ん中、新五右衛門チームが右となりました!
では、最初にドアを選んだ真ん中から入ってもらいましょう!」
五右衛門「それじゃあ、ちょっくら行ってくるわ。」
大道寺「あの緊張感のなさ・・・絶対にヤラセだぜ!」
サラ「じじい~!」
五右衛門「貧乏人のみなさんごきげんよう」
五右衛門がドアを開けると、その先は熱湯風呂になっており、頭から落ちてしまう。
あわてて熱湯風呂から脱出し、氷水をかける五右衛門。
翼「でも外しましたよ!」
片桐「初代五右衛門さん失格です!
ここで追加ルールです!ドアを選びなおすことができます!
どうしますか?」
サラ「なんですって?」
大道寺「意味あるのか?」
安藤「これはモンティ・ホール問題だ。」
サラ「なにそれ。」
安藤「確率論的には、最初の選択は1/3ですが、今度は2/3になるので、選び直したほうが勝率が上がるという研究があって・・・」
翼「で・・・でも、向こうとまったく同じ立場なのに、確率は上がるんですか?」
プラナス「面白いわね・・・私はあなたたちの好きでいい・・・」
ウォンイク「何度も試行するならともかく、一発勝負だし、1/3も確率としてはけっこう高いからね・・・」
ドアに近づくカイト「・・・・・・」
何かに気づく。
翼「カイトさん・・・?」
カイト「みんな・・・ぼくは右で行こうと思う・・・」
サラ「なんで!?」
カイト「理由は言えないけど・・・ぼくを信じて欲しい」
ウォンイク「まあ、もともと運否天賦のゲームだ。好きにしたまえ。」
大道寺「最後は直感・・・いいじゃねえか、俺達らしくて」
サラ「ちょっと待ってよ!200兆円がかかってるのよ・・・!?」
安藤「確率が高い方を選ぶべきじゃ・・・」
大道寺「好きな男の言うことを信じろよ」
サラ「あんた・・・まあ、いいわ、わかった。カイトくんを信じる」
カイト「翼さんもいい?」
微笑む翼「・・・私も右だと思います。」
片桐「それでは運命の瞬間です!二つのドアを同時にオープンします!」
カウントダウンが始まる。
「3」
「2」
「1・・・!」
「オープン!!!」
すると左のドアから本多忠勝が現れる。
「アイルビーバック!・・・ん?」
見ると、プラナスは姿を消していた。
サラ「・・・ということは!!??」
片桐「コングラッチュレイションズ!!!
豊臣秀吉の財宝は新五右衛門チームの獲得です!!」
サラ「やったーーー!!」
翼「ドアの前でかすかにリングが鳴ってたんですね・・・」
カイト「うん・・・」
扉の奥には数え切れないほどの銀のインゴットが並んでいる。
片桐「それでは、ご紹介いたしましょう!
木下財団の総帥、経団連の終身会長であり、この大阪城の城主であられる大殿、豊臣社長です!!」
門が開いて、200兆円の小切手を持った豊臣が現れる。
片桐「豊臣社長から賞金の授与です!」
豊臣「くそ~!石川五右衛門め!オイラの完敗だ!まいった!
あんたは偉い!世のため人のために200兆円を使ってくれ。」
サラ「ついにやったね、カイトくん・・・!」
カイト「う・・・うん・・・」
うちわを仰いでいる五右衛門「あんちゃんはえらい!」
カイト「・・・国家予算並みのお金を、ずいぶんあっさり泥棒に渡しちゃうんですね・・・
秀吉さん・・・」
豊臣「オレはフェアな人間だからね」
豊臣の横を通り過ぎ、五右衛門にもう一度尋ねる翼。
カイト「そうでしょうか・・・自分から自分にお金を渡すなら、それこそ全財産だって関係ない・・・」
大道寺「カイトは何を言ってるんだ??」
慌てる片桐「そ、それでは、優勝は石川五右衛門チームということで番組は終了です!ありがとうございました~!」
五右衛門「・・・もういいよ片桐。
あんちゃんは全部お見通しのようだ。」
片桐「殿・・・」
五右衛門「そのとおり。オイラが豊臣秀吉だ。」
『風と翼:RESET』脚本⑦
2023-05-14 10:28:23 (1 year ago)
IR大阪最上階
片桐「ステージ4にやってまいりました!
残るチームはとうとうたったの3チーム!
フランス代表、怪盗ルポン!」
ルポン「コマンドール!」
片桐「風間カイトくん率いる神奈川代表石川五右衛門チーム!」
ぼろぼろのカイト達。
サラ「マジでサラ・コナークロニクルだった・・・」
片桐「最後に・・・!
初代石川五右衛門・・・!」
五右衛門「からくり道中!」
カイト「・・・って参加してたんですか!!???」
五右衛門「うん♪驚いたろ、へへっ」
片桐「これは世紀の映像になりました!初代五右衛門と二代目五右衛門がついに共演!」
翼「あなたが有名な石川五右衛門さんですか・・・」
五右衛門「嬢ちゃん、百地んとこの娘だろう?赤ん坊の時に実は会ってるんだよ。
覚えてねえだろうなあ。」
サラ「あんたが出場するなら、私たちに頼む必要はなかったじゃないの!」
ウォンイク「しかし、あのステージをあなたが全てクリアしたとは・・・」
大道寺「インチキしたんじゃねえか?」
五右衛門「な・・・何を言う!冗談じゃあないよ」
片桐「それでは、ステージ4は“ブレイブマン・ストレイト”です!
ビルの屋上と屋上にかけられた不安定な橋を渡って、向こう側の天守閣に到達できればクリア!財宝の獲得に挑戦できる最終ステージに進むことができます!」
大道寺「じゃあ、じいさん最初にやってみろ。」
五右衛門「バカヤロウ、星になっちまうよ」
?「もう1人いる・・・」
片桐「なんと、失礼しました!謎の仮面プラナスさんもステージ4進出です!」
翼「・・・!あなたは・・・」
カイト「翼さんを襲った殺し屋だ・・・!」
プラナスは躊躇なく、不安定な橋をかけ渡る。
プラナスに向けて、砲弾が次々に発射されるが、人間離れした身のこなしで全てかわしていく。
唖然とする一同。
片桐「プラナスさん、ファイナルステージ進出!!」
ルポン「私は辞退させていただく。こんなバカバカしいことで人生を終わらせたくはないね。ジュテーム。」
プラナス「あなたたちはどうするの?忍者さんたち・・・」
カイト「あの人の攻略で発射タイミングはだいたいわかった・・・」
翼「いけそうですか・・・?」
カイト「多分。」
サラ「ちょ、ちょっと正気!?あんなのできっこないわよ!」
カイト「殺し屋ができて、プロの忍者ができないことはない・・・」
サラ「死んじゃうって!」
カイト「だいじょうぶ、足の速さには自信がある。一気に駆け抜けちゃうよ」
片桐「それでは、新五右衛門チームの挑戦です!いけー!」
プラナスを超える足の速さで橋を駆けていくカイト。
片桐「すごい速さで橋を駆けていきます!!」
カイトに向けて砲弾が発射される。
カイトは最初の砲弾をジャンプしてかわすが、次の砲台がカイトのジャンプを見越して砲弾を撃ち込む。
ウォンイク「いけない、さっきとタイミングが違う!」
安藤「砲台に人工知能が搭載されているんだ・・・!」
空中のカイトの腕に砲弾が当たる。
カイト「ぐっ!」
翼「カイトさん・・・!」
バランスを崩し、橋から落ちかけるカイト。
青ざめるサラ。
その時、対岸のプラナスがとっさにカイトに手を伸ばし、引き上げる。
カイト「・・・!」
片桐「プラナスさんのサポートで、新五右衛門チームもなんとかクリアです!」
翼「助けてくれた・・・?」
プラナス「腕は大丈夫・・・?」
カイト「な・・・なんで・・・」
プラナス「あなたはプロの忍者じゃないから。」
カイト「え・・・」
プラナス「悪いことは言わない。真剣に進路を考えることね・・・」
カイト「ぼくは・・・!」
プラナス「次に忍者の真似事をしたら・・・」
カイト「・・・・・・。」
プラナス「・・・殺す。」
翼たちが駆け寄る。
「カイトさん!」
サラ「カイトくん!?大丈夫・・・?」
カイト「あ・・・ああ・・・」
翼「ありがとうございます・・・」
プラナス「・・・あなたなら助けなかった。」
片桐「・・・で、どうしますか?初代五右衛門さん。挑戦しますか?」
五右衛門「ん?うん」
片桐「最後に、伝説の義賊初代石川五右衛門さんの挑戦です!」
五右衛門「じゃあ、マイルドモードで」
片桐「スタッフの皆さん、マイルドモードでお願いします!」
そう言うと、橋に手すりができ、橋のすぐ下には防護ネット、砲台は撤去される。
サラ「あ!ずる!!」
難なく橋を渡る五右衛門「いや~手に汗握るスリルと冒険だった!」
片桐「おめでとうございます!」
五右衛門を見るカイト「もしかして、あの人・・・」
頷く翼「あの人も忍者ですから・・・」
カイト「信用してはいけない・・・」
翼「はい・・・」
片桐「ステージ4にやってまいりました!
残るチームはとうとうたったの3チーム!
フランス代表、怪盗ルポン!」
ルポン「コマンドール!」
片桐「風間カイトくん率いる神奈川代表石川五右衛門チーム!」
ぼろぼろのカイト達。
サラ「マジでサラ・コナークロニクルだった・・・」
片桐「最後に・・・!
初代石川五右衛門・・・!」
五右衛門「からくり道中!」
カイト「・・・って参加してたんですか!!???」
五右衛門「うん♪驚いたろ、へへっ」
片桐「これは世紀の映像になりました!初代五右衛門と二代目五右衛門がついに共演!」
翼「あなたが有名な石川五右衛門さんですか・・・」
五右衛門「嬢ちゃん、百地んとこの娘だろう?赤ん坊の時に実は会ってるんだよ。
覚えてねえだろうなあ。」
サラ「あんたが出場するなら、私たちに頼む必要はなかったじゃないの!」
ウォンイク「しかし、あのステージをあなたが全てクリアしたとは・・・」
大道寺「インチキしたんじゃねえか?」
五右衛門「な・・・何を言う!冗談じゃあないよ」
片桐「それでは、ステージ4は“ブレイブマン・ストレイト”です!
ビルの屋上と屋上にかけられた不安定な橋を渡って、向こう側の天守閣に到達できればクリア!財宝の獲得に挑戦できる最終ステージに進むことができます!」
大道寺「じゃあ、じいさん最初にやってみろ。」
五右衛門「バカヤロウ、星になっちまうよ」
?「もう1人いる・・・」
片桐「なんと、失礼しました!謎の仮面プラナスさんもステージ4進出です!」
翼「・・・!あなたは・・・」
カイト「翼さんを襲った殺し屋だ・・・!」
プラナスは躊躇なく、不安定な橋をかけ渡る。
プラナスに向けて、砲弾が次々に発射されるが、人間離れした身のこなしで全てかわしていく。
唖然とする一同。
片桐「プラナスさん、ファイナルステージ進出!!」
ルポン「私は辞退させていただく。こんなバカバカしいことで人生を終わらせたくはないね。ジュテーム。」
プラナス「あなたたちはどうするの?忍者さんたち・・・」
カイト「あの人の攻略で発射タイミングはだいたいわかった・・・」
翼「いけそうですか・・・?」
カイト「多分。」
サラ「ちょ、ちょっと正気!?あんなのできっこないわよ!」
カイト「殺し屋ができて、プロの忍者ができないことはない・・・」
サラ「死んじゃうって!」
カイト「だいじょうぶ、足の速さには自信がある。一気に駆け抜けちゃうよ」
片桐「それでは、新五右衛門チームの挑戦です!いけー!」
プラナスを超える足の速さで橋を駆けていくカイト。
片桐「すごい速さで橋を駆けていきます!!」
カイトに向けて砲弾が発射される。
カイトは最初の砲弾をジャンプしてかわすが、次の砲台がカイトのジャンプを見越して砲弾を撃ち込む。
ウォンイク「いけない、さっきとタイミングが違う!」
安藤「砲台に人工知能が搭載されているんだ・・・!」
空中のカイトの腕に砲弾が当たる。
カイト「ぐっ!」
翼「カイトさん・・・!」
バランスを崩し、橋から落ちかけるカイト。
青ざめるサラ。
その時、対岸のプラナスがとっさにカイトに手を伸ばし、引き上げる。
カイト「・・・!」
片桐「プラナスさんのサポートで、新五右衛門チームもなんとかクリアです!」
翼「助けてくれた・・・?」
プラナス「腕は大丈夫・・・?」
カイト「な・・・なんで・・・」
プラナス「あなたはプロの忍者じゃないから。」
カイト「え・・・」
プラナス「悪いことは言わない。真剣に進路を考えることね・・・」
カイト「ぼくは・・・!」
プラナス「次に忍者の真似事をしたら・・・」
カイト「・・・・・・。」
プラナス「・・・殺す。」
翼たちが駆け寄る。
「カイトさん!」
サラ「カイトくん!?大丈夫・・・?」
カイト「あ・・・ああ・・・」
翼「ありがとうございます・・・」
プラナス「・・・あなたなら助けなかった。」
片桐「・・・で、どうしますか?初代五右衛門さん。挑戦しますか?」
五右衛門「ん?うん」
片桐「最後に、伝説の義賊初代石川五右衛門さんの挑戦です!」
五右衛門「じゃあ、マイルドモードで」
片桐「スタッフの皆さん、マイルドモードでお願いします!」
そう言うと、橋に手すりができ、橋のすぐ下には防護ネット、砲台は撤去される。
サラ「あ!ずる!!」
難なく橋を渡る五右衛門「いや~手に汗握るスリルと冒険だった!」
片桐「おめでとうございます!」
五右衛門を見るカイト「もしかして、あの人・・・」
頷く翼「あの人も忍者ですから・・・」
カイト「信用してはいけない・・・」
翼「はい・・・」
『風と翼:RESET』脚本⑥
2023-05-14 10:22:37 (1 year ago)
片桐「さて、ステージ1を突破したのは100チーム中50チームとなりました!
ステージ2は、“ホッピングストーンオーシャン”です!
対岸まで到達すればステージクリアです!」
蒼月の光が差し込む海上には、対岸にかけて飛び石が浮いている。
カイト「この石をつたって向こう岸に行けばいいのか・・・」
大道寺「コイツはシンプルそうだな」
サラ「これもトラップがあるんじゃないの?」
ステージ1の電流を受けて、なかなかチャレンジしない参加者たち。
豊臣「とっとと渡れ、魚の餌にしちまうぞこのやろう!」
海中に人喰いザメがいることに気づく。
サラ「落ちたら死んじゃうじゃないの!」
その時、滝川一益が飛び石を駆け抜けようとする。
滝川「信長四天王として、これ以上無様な姿は見せられん!」
翼「あの人さっき失格したような・・・」
半分以上海をわたるが、飛び石の中にダミーがあり、それを踏んで海に落ちてしまう滝川。
滝川に殺到するサメ。
それを見て、ほかの参加者が一斉に飛び石を渡ろうとする。
車上荒らし「今だ!今なら仮に落ちてもサメは来ない!」
次々に海へ落ちていく参加者。
サラ「ひどい!ほとんどの石がダミーじゃない!
翼ちゃんの忍術でなんとかならない?」
翼「すいません、私、水だけは苦手でして・・・」
大道寺「向こう岸につけばいいんだろ・・・?オレが行こう。」
ウォンイク「君の体重ではあの浮き石は沈んでしまうぞ、ここは軽量級のサラくんが・・・」
慌てるサラ「大道寺くんありがとう!」
カイト「策はあるの?」
大道寺「まあな。小学生の頃、どうぶつ奇想天外のスタジオ観覧をしたこともある動物博士の俺に任せとけ」
サラ「そういや鈴木蘭々のサイン色紙持ってたわね・・・」
ウォンイク「あれはなんて種類のサメだい?動物博士」
大道寺「よくわからん。」
そう言うと、石を渡ろうとせず、ゆっくりと海に入っていく大道寺。
大きく息を吸い込むと海中に深く潜水をする。
サラ「あいつ何考えてるの!!??」
そのまま海中を泳いで、対岸にわたってしまう大道寺。
片桐「なんと、最初から石を渡らず対岸まで泳いでしまうというパワープレー!」
サラ「なんでサメに襲われなかったの?」
大道寺「サメの被害に最もあうのは水面で音を鳴らすサーファーらしい。
つまり静かに潜っちまえばサメは襲ってこねえ・・・」
ウォンイク「みのもんたに感謝だね」
片桐「さあ、メジロザメに襲われて半分以上が救急車で運ばれましたが、元気に次のステージに参りましょう!」
・
IR大阪天守閣
豊臣「ちょっと海に入れるサメが多すぎたな。ほとんど生き残ってねえじゃねえか。」
幸村「海遊館のサメ、ほとんど借りてきましたからね・・・
それよりも社長・・・イ会長がお見えになってます・・・」
豊臣「会長が・・・?」
・
IR大阪のメインエントランス
片桐「ステージ3はいよいよ舞台がIR大阪に移りまして“エビルズマンション”です!
部屋数2000の迷宮となっているこのビルの最上階を目指してください!」
リーゼントをセットしなおす大道寺「このビルって何階建てだ?」
インカムの安藤「図面だと88階建てです。」
空き巣「やってられるか!オレはエレベーターで行くぜ!」
オレオレ詐欺師「あ!オレも乗せろ!」
エレベーターの方へ駆け出すほかの参加者。
大道寺「行っちまったぞ」
ウォンイク「どうする、カイトくん」
カイト「エレベーターは絶対やめといたほうがいい・・・」
エレベーターホールの方から悲鳴が聞こえる。
カイト「ほら・・・」
片桐「言い忘れましたが、このビルには、みなさんを襲う刺客がいます!
彼らに捕まらないように最上階まで登ってください!」
なぜかまだ参加している滝川「その者をこちらが退治してもいいのか?」
片桐「可能ならば結構ですが・・・」
滝川「よいのだな!ようし、見ておれ、拙者が成敗してくれる!」
片桐「ちなみに、刺客が接近している際には、みなさんのリングが警報を発しますので、ぜひ活用してください。」
すると、エントランスの参加者全員のリングが鳴る。
翼「来る・・・!」
滝川「ぎゃああああ無念だああああ!」
滝川が人形のように勢いよく、こちらに放り投げられてくる。
闇の中から、ショットガンとサングラスを装備した、無骨な男が姿を現す。
用心棒(平八郎)「犯罪者どもめ・・・貴様らに今日を生きる資格はねえ。」
カイト「あいつは・・・!」
翼「聚楽第のターミネーターですよ!」
怪盗ルポン「なんだね、相手はたったひとりじゃないか」
ビリー「HAHAHA!YOUは西部劇名物ダイナマイトでボンバー!」
カイト「向こうもやばいぞ!みんな伏せろ!」
ダイナマイトを投げつけるビリー・ザ・キッド。
大爆発。
傷一つ負っていない本田平八郎忠勝。
ビリー「ヒーハー!?モンスターね!!」
平八郎「ライダーキック!」
ビリー「ぶぎゃあああ!」
強力なドロップキックをくらってなぜか爆発四散するビリー。
次々と本多忠勝によってちぎっては投げられる参加者たち。
カイト「あれを倒すのは無理だ!逃げよう!!」
・
食堂に逃げ込むカイトたち
サラ「はあはあ・・・ここまでくれば・・・」
大道寺「おっバイキングがあるぜ!夜食でもつまもうぜ」
サラ「わあ、美味しそう!」
ウォンイク「オールスター感謝祭を思い出すねえ」
カイト「じゃ、ここで一旦休憩しようか・・・」
ゼリーをスプーンで救うサラ「なにしろこのビルはでかいから、あのミノタウルスにもそうそう出会わない・・・」
スプーンですくったゼリーが揺れる。
ウォンイク「?」
壁に平八郎の影が写っている。
5人のリングが鳴る。
逃げ出すサラ「なんで・・・!!」
インカムから安藤「おそらく、みなさんのリングが発信機になって相手に伝わっているんだと思います。」
リングに手をかける大道寺「こいつを外しちまおう!」
カイト「いや失格になると思う!」
大道寺「くそが!」
・
天守閣のVIPルーム「帝王裏の間」
日韓を支配するフィクサー、イ・スンシン会長「大変だったな・・・」
豊臣「すいません、なかなか挨拶できなくて・・・
会長の御尽力で、“計画”は順調に進行中です。」
「気にせんでいい・・・弟は元気か」
「ええ・・・会長によろしくと言っていました。」
「計画の後はどうするんだ?・・・韓国こねえか?若い衆もいるからよ。」
「ありがとうございます・・・」
ステージ2は、“ホッピングストーンオーシャン”です!
対岸まで到達すればステージクリアです!」
蒼月の光が差し込む海上には、対岸にかけて飛び石が浮いている。
カイト「この石をつたって向こう岸に行けばいいのか・・・」
大道寺「コイツはシンプルそうだな」
サラ「これもトラップがあるんじゃないの?」
ステージ1の電流を受けて、なかなかチャレンジしない参加者たち。
豊臣「とっとと渡れ、魚の餌にしちまうぞこのやろう!」
海中に人喰いザメがいることに気づく。
サラ「落ちたら死んじゃうじゃないの!」
その時、滝川一益が飛び石を駆け抜けようとする。
滝川「信長四天王として、これ以上無様な姿は見せられん!」
翼「あの人さっき失格したような・・・」
半分以上海をわたるが、飛び石の中にダミーがあり、それを踏んで海に落ちてしまう滝川。
滝川に殺到するサメ。
それを見て、ほかの参加者が一斉に飛び石を渡ろうとする。
車上荒らし「今だ!今なら仮に落ちてもサメは来ない!」
次々に海へ落ちていく参加者。
サラ「ひどい!ほとんどの石がダミーじゃない!
翼ちゃんの忍術でなんとかならない?」
翼「すいません、私、水だけは苦手でして・・・」
大道寺「向こう岸につけばいいんだろ・・・?オレが行こう。」
ウォンイク「君の体重ではあの浮き石は沈んでしまうぞ、ここは軽量級のサラくんが・・・」
慌てるサラ「大道寺くんありがとう!」
カイト「策はあるの?」
大道寺「まあな。小学生の頃、どうぶつ奇想天外のスタジオ観覧をしたこともある動物博士の俺に任せとけ」
サラ「そういや鈴木蘭々のサイン色紙持ってたわね・・・」
ウォンイク「あれはなんて種類のサメだい?動物博士」
大道寺「よくわからん。」
そう言うと、石を渡ろうとせず、ゆっくりと海に入っていく大道寺。
大きく息を吸い込むと海中に深く潜水をする。
サラ「あいつ何考えてるの!!??」
そのまま海中を泳いで、対岸にわたってしまう大道寺。
片桐「なんと、最初から石を渡らず対岸まで泳いでしまうというパワープレー!」
サラ「なんでサメに襲われなかったの?」
大道寺「サメの被害に最もあうのは水面で音を鳴らすサーファーらしい。
つまり静かに潜っちまえばサメは襲ってこねえ・・・」
ウォンイク「みのもんたに感謝だね」
片桐「さあ、メジロザメに襲われて半分以上が救急車で運ばれましたが、元気に次のステージに参りましょう!」
・
IR大阪天守閣
豊臣「ちょっと海に入れるサメが多すぎたな。ほとんど生き残ってねえじゃねえか。」
幸村「海遊館のサメ、ほとんど借りてきましたからね・・・
それよりも社長・・・イ会長がお見えになってます・・・」
豊臣「会長が・・・?」
・
IR大阪のメインエントランス
片桐「ステージ3はいよいよ舞台がIR大阪に移りまして“エビルズマンション”です!
部屋数2000の迷宮となっているこのビルの最上階を目指してください!」
リーゼントをセットしなおす大道寺「このビルって何階建てだ?」
インカムの安藤「図面だと88階建てです。」
空き巣「やってられるか!オレはエレベーターで行くぜ!」
オレオレ詐欺師「あ!オレも乗せろ!」
エレベーターの方へ駆け出すほかの参加者。
大道寺「行っちまったぞ」
ウォンイク「どうする、カイトくん」
カイト「エレベーターは絶対やめといたほうがいい・・・」
エレベーターホールの方から悲鳴が聞こえる。
カイト「ほら・・・」
片桐「言い忘れましたが、このビルには、みなさんを襲う刺客がいます!
彼らに捕まらないように最上階まで登ってください!」
なぜかまだ参加している滝川「その者をこちらが退治してもいいのか?」
片桐「可能ならば結構ですが・・・」
滝川「よいのだな!ようし、見ておれ、拙者が成敗してくれる!」
片桐「ちなみに、刺客が接近している際には、みなさんのリングが警報を発しますので、ぜひ活用してください。」
すると、エントランスの参加者全員のリングが鳴る。
翼「来る・・・!」
滝川「ぎゃああああ無念だああああ!」
滝川が人形のように勢いよく、こちらに放り投げられてくる。
闇の中から、ショットガンとサングラスを装備した、無骨な男が姿を現す。
用心棒(平八郎)「犯罪者どもめ・・・貴様らに今日を生きる資格はねえ。」
カイト「あいつは・・・!」
翼「聚楽第のターミネーターですよ!」
怪盗ルポン「なんだね、相手はたったひとりじゃないか」
ビリー「HAHAHA!YOUは西部劇名物ダイナマイトでボンバー!」
カイト「向こうもやばいぞ!みんな伏せろ!」
ダイナマイトを投げつけるビリー・ザ・キッド。
大爆発。
傷一つ負っていない本田平八郎忠勝。
ビリー「ヒーハー!?モンスターね!!」
平八郎「ライダーキック!」
ビリー「ぶぎゃあああ!」
強力なドロップキックをくらってなぜか爆発四散するビリー。
次々と本多忠勝によってちぎっては投げられる参加者たち。
カイト「あれを倒すのは無理だ!逃げよう!!」
・
食堂に逃げ込むカイトたち
サラ「はあはあ・・・ここまでくれば・・・」
大道寺「おっバイキングがあるぜ!夜食でもつまもうぜ」
サラ「わあ、美味しそう!」
ウォンイク「オールスター感謝祭を思い出すねえ」
カイト「じゃ、ここで一旦休憩しようか・・・」
ゼリーをスプーンで救うサラ「なにしろこのビルはでかいから、あのミノタウルスにもそうそう出会わない・・・」
スプーンですくったゼリーが揺れる。
ウォンイク「?」
壁に平八郎の影が写っている。
5人のリングが鳴る。
逃げ出すサラ「なんで・・・!!」
インカムから安藤「おそらく、みなさんのリングが発信機になって相手に伝わっているんだと思います。」
リングに手をかける大道寺「こいつを外しちまおう!」
カイト「いや失格になると思う!」
大道寺「くそが!」
・
天守閣のVIPルーム「帝王裏の間」
日韓を支配するフィクサー、イ・スンシン会長「大変だったな・・・」
豊臣「すいません、なかなか挨拶できなくて・・・
会長の御尽力で、“計画”は順調に進行中です。」
「気にせんでいい・・・弟は元気か」
「ええ・・・会長によろしくと言っていました。」
「計画の後はどうするんだ?・・・韓国こねえか?若い衆もいるからよ。」
「ありがとうございます・・・」
『風と翼:RESET』脚本⑤
2023-05-14 10:17:32 (1 year ago)
IR大阪――深夜12時
闇夜に紛れ、地下の排水管をかけるカイトたち。
不平を言うサラ「くさい!鼻がもげる・・・!」
大道寺「うるせえ、静かにしろ・・・!」
サラ「なんで、ウォンイクはいないのよ・・・!」
大道寺「ジャケットが汚れるのが嫌なんだとよ。
だいたい勝手についてきたのはオメエじゃねえか、安藤と基地で待ってりゃよかったんだよ。」
サラ「まさか、こんなところから侵入するなんて・・・」
大道寺「どうせ、あの翼ちゃんと張り合ってるんだろ、やめとけ。」
サラ「ぶん殴るわよ、大道寺くん」
二人の先で図面を広げて翼と話し合うカイト。
大道寺「しかし、あいつら、潜入のこなれ感がすごいなあ・・・」
サラ「さも当然のようにマンホールに入るもんね・・・」
キャットウォークの上を指差す翼「おそらく、この上が最初の関門だと思います。」
はしごを登るカイト「一体、秀吉はどんなトラップを仕掛けたか・・・」
ハッチを開けるカイト。
カイト「なんだこりゃ・・・」
・
ハッチの先には、巨大なフェンスがそびえ、そのふもとには大勢の人だかりができている。
「ステージ1受付」と書かれたテントには、ガラの悪い男たちが列を作っている。
ハッチからはい出て周囲を見渡すと、観客やテレビカメラも入っていることに気づく。
カイト「これは・・・まるでテレビ番組だ・・・」
カイトの後ろからはい出てくる3人。
館内アナウンスが入る。
豊臣「腕自慢の泥棒諸君!よくぞお足元の悪いなか、我が風雲大阪城にお越しくださいました!ぜひ、全ステージを突破して、金庫に眠る莫大な財宝と世界一の大泥棒の称号をゲットしてください!」
雄叫びを上げる泥棒たち。
豊臣「石川五右衛門なんかに負けるんじゃねえぞ社会のゴミども!!財宝は先着1名だ!」
オレオレ詐欺師「やってやるぜ~!」
万引き主婦「優勝するわよ!」
車上荒らし「きっとやれる・・・!」
大道寺「秀吉の野郎、ほかの泥棒たちも招待したみてえだな・・・」
サラ「これじゃあ、下水道に潜った意味なかったじゃない!!」
監視カメラがカイトを捉える。
豊臣「おやおや~・・・そこにいるのは石川五右衛門さんじゃありませんか!
受付がお済でない方は、あちらのテントにとっとと急げバカヤロウ!」
参加者の目が一斉にカイトに集まる。
空き巣(・・・!あの青年が石川五右衛門・・・!!)
銀行強盗(ただのガキじゃねえか・・・大したことなさそうだな・・・)
スリ(殺す・・・)
翼「と・・・とりあえず、私たちも受付に行きましょう・・・」
カイト「うん・・・」
受付テント
列に並ぶカイトたち。
係員「申し訳ございません、犯罪歴がない方はご参加いただけません。
ご自身の手配書など、犯罪者であることを証明する書類が必要になります。」
ミスターサスケ「え?ダメなの・・・!?」
カイト「ぼくらも、そんな証明書はもってないですけど・・・」
係員「石川五右衛門様御一行ですね。お待ちしておりました。
エントリーナンバーは824になります。」
ナンバーが割り振られた金属製のエントリーリングを渡される。
サラ「あたしらは顔パスみたいね・・・」
カイト「参加者は、これを手首にはめろってさ。」
リングを付けるサラたち。
サラ「いよいよ本当にテレビ番組になってきたわね・・・」
大道寺「実際に放送されてるんだよ。」
インカムから安藤「しかし、これはお互いにフェアな状況だと思います。」
大道寺「どういうことだ?」
基地でテレビを見る安藤
「先輩たちの様子は今、全国ネットで生中継されています。」
カイト「・・・つまり、秀吉の方も仮に財宝が奪われても、ぼくらにムチャはできない・・・」
翼「逆に、絶対にクリアはできないという自信が向こうにはあるわけです・・・」
大道寺「おもしれえ。」
ファンの取り巻きを引き連れてウォンイク「やあ、無事に到着したみたいだね、待っていたよ・・・」
大道寺「てめえ、こっちはドブの中を潜入したってのに・・・!」
ファン「ウォン様、頑張ってー♥」
ファンに手を振るウォンイク。
ウォンイクにリングを渡すサラ「いいから、あんたもこれをつけなさい!」
カイトの近くに寄ってささやく翼。
「カイトさん・・・」
カイト「・・・ああ・・・秀吉はなんでぼくらが石川五右衛門だと知ってるんだ・・・?」
翼「考えたくはありませんが・・・」
カイト「・・・僕らのチームに内通者がいる・・・?」
サラ、大道寺、ウォンイクの方を見つめるカイトと翼。
・
IR大阪天守閣
豊臣「富も権力もあり、人生に退屈しているゲストの皆さん。
さあ、いよいよショーの始まりだぜ」
特別ゲストとして石田内閣の面々や各国の代表が招かれている。
バニーガールのディーラー「大阪城へようこそ!
最初のゲームは“ボーダー・ウォール”です。
1万ボルトの電圧をかけたフェンスを越え、向こう側に行けたらステージクリアです。まもなくベットタイムを締め切ります。」
ルイス・フロイスEU大使「つまり、感電死しない挑戦者に賭ければいいのかね」
バニー「ええ、ステージ1での配当金は次回のステージで全額ベットし、転がすことも可能ですよ~」
フロイス「ようし、私は怪盗ルポンに3000ベットだ」
ハドソン米大統領「わしはビリー・ザ・キッドだ!」
石田総理「え、じゃあ私は石川五右衛門に・・・」
大谷官房長官「賭けるんかい・・・」
片桐「では、最初の挑戦者は、群馬県からお越しの滝川一益さんです!」
滝川一益「信長四天王として、これ以上秀吉に好き勝手はさせん!」
滝川を応援しに来ている、柴田と丹羽。
柴田「よっ元忍者!」
丹羽「がんばれ~」
ワイプの豊臣「何年前のこと話してるんだあいつ・・・」
慣れた様子で鍵縄を回す滝川
「こんなフェンスは忍者にとっちゃわけもない・・・」
鍵縄を放り投げ、フェンスのてっぺんに鉤爪を引っ掛ける滝川
滝川「かかった!」
滝川が大ジャンプして、フェンスに脚をかけようとすると、体に大電圧がかかり吹っ飛ぶ。
滝川「ぎゃああああああああ!」
片桐「滝川さん失格です!」
柴田「あいつは我が四天王の中でも最弱・・・」
丹羽「じゃあ、次は柴田さんがやりますか?」
白旗を上げる柴田「秀吉!ギブア~~~ップ!!」
阿鼻叫喚の参加者たち「ふざけんな!
俺たちは電流が流れているなんて聞いてねえぞ!!」
豊臣「害獣の侵入を防ぐにはこれが一番!どうした?全員ギブアップかい。」
サラ「あのおっさん、ふっとんだわよ・・・!」
ウォンイク「犯罪者がひどい目にあうのを楽しむ番組のようだね」
大道寺「悪趣味なやつらだ」
翼と話し合うカイト「どう攻略したものか・・・」
翼「感電さえしなければいいわけですからね。」
大道寺「あの二人、攻略する前提で話してるぜ・・・」
銀行強盗「ガキども・・・俺が見本を見せてやる・・・」
片桐「続いての挑戦者は、東京都からお越しの銀行強盗レッドギャングさんです!
失敗すれば、そのまま逮捕無期懲役ですが、高圧電流をどう攻略しますか?」
「オレを誰だと思ってやがる・・・」
片桐「お~っと、両手両足に絶縁体のゴムを装着だ!」
ほかの参加者「正解はあれか!」
「よし、オレ達もパクろう!」
強盗「て、てめえら、真似するんじゃねえ!著作権侵害だぞ!
くそが、さすが犯罪者どもめ・・・先に超えるのはオレだ!」
ゴムをつけた泥棒たちがフェンスに殺到する。
片桐「お~っと参加者が次々とフェンスを登り・・・」
参加者たち「ぎゃああああああああ」
片桐「感電しました~~~!」
天守閣で大爆笑の豊臣
サラ「ゴムじゃ防げない・・・!?」
大道寺「ゴムは電気を通さないんじゃねえのか」
安藤「絶縁破壊・・・!電圧が高すぎるんだ・・・!」
ウォンイク「見たまえ、犯罪者たちのローストを・・・」
次々に逮捕されていく失格者。
翼「・・・よし。私が行きます。」
サラ「翼ちゃん!!??」
大道寺「さっきの惨劇見てたんじゃねえのか?」
カイト「頼んだ。チームの場合はメンバーがひとりでもクリアすればいいみたいだから」
翼「了解です。」
片桐「なんと、この状況でまだ挑戦者がいます!
エントリーナンバー824、石川五右衛門チームの百地翼さんです!」
豊臣「さあ、本命だ・・・」
フェンスに駆け寄る翼
片桐「お~っと、ゴムもなしになんのためらいもなくフェンスに駆け寄っていく~!」
フェンスに両手両足で飛びつく。
電線にしがみつくが、感電していない翼。
サラ「感電してない!」
大道寺「なるほど、電線のカラスと一緒だ。
1本だけ掴むぶんには、体に電気は流れねえ。」
2本の電線に接触しないように、体を揺すって、次の電線にしがみつく翼。
次のジャンプで、てっぺんの電線に到達し、そのままジャンプで向こう側に降りてしまう。
片桐「五右衛門チーム、ステージ1クリアです!!」
サラ「すごい!!」
石川五右衛門に賭けていたので喜ぶ石田「やった~!!」
豊臣「まあ、これくらいはいけないとね」
闇夜に紛れ、地下の排水管をかけるカイトたち。
不平を言うサラ「くさい!鼻がもげる・・・!」
大道寺「うるせえ、静かにしろ・・・!」
サラ「なんで、ウォンイクはいないのよ・・・!」
大道寺「ジャケットが汚れるのが嫌なんだとよ。
だいたい勝手についてきたのはオメエじゃねえか、安藤と基地で待ってりゃよかったんだよ。」
サラ「まさか、こんなところから侵入するなんて・・・」
大道寺「どうせ、あの翼ちゃんと張り合ってるんだろ、やめとけ。」
サラ「ぶん殴るわよ、大道寺くん」
二人の先で図面を広げて翼と話し合うカイト。
大道寺「しかし、あいつら、潜入のこなれ感がすごいなあ・・・」
サラ「さも当然のようにマンホールに入るもんね・・・」
キャットウォークの上を指差す翼「おそらく、この上が最初の関門だと思います。」
はしごを登るカイト「一体、秀吉はどんなトラップを仕掛けたか・・・」
ハッチを開けるカイト。
カイト「なんだこりゃ・・・」
・
ハッチの先には、巨大なフェンスがそびえ、そのふもとには大勢の人だかりができている。
「ステージ1受付」と書かれたテントには、ガラの悪い男たちが列を作っている。
ハッチからはい出て周囲を見渡すと、観客やテレビカメラも入っていることに気づく。
カイト「これは・・・まるでテレビ番組だ・・・」
カイトの後ろからはい出てくる3人。
館内アナウンスが入る。
豊臣「腕自慢の泥棒諸君!よくぞお足元の悪いなか、我が風雲大阪城にお越しくださいました!ぜひ、全ステージを突破して、金庫に眠る莫大な財宝と世界一の大泥棒の称号をゲットしてください!」
雄叫びを上げる泥棒たち。
豊臣「石川五右衛門なんかに負けるんじゃねえぞ社会のゴミども!!財宝は先着1名だ!」
オレオレ詐欺師「やってやるぜ~!」
万引き主婦「優勝するわよ!」
車上荒らし「きっとやれる・・・!」
大道寺「秀吉の野郎、ほかの泥棒たちも招待したみてえだな・・・」
サラ「これじゃあ、下水道に潜った意味なかったじゃない!!」
監視カメラがカイトを捉える。
豊臣「おやおや~・・・そこにいるのは石川五右衛門さんじゃありませんか!
受付がお済でない方は、あちらのテントにとっとと急げバカヤロウ!」
参加者の目が一斉にカイトに集まる。
空き巣(・・・!あの青年が石川五右衛門・・・!!)
銀行強盗(ただのガキじゃねえか・・・大したことなさそうだな・・・)
スリ(殺す・・・)
翼「と・・・とりあえず、私たちも受付に行きましょう・・・」
カイト「うん・・・」
受付テント
列に並ぶカイトたち。
係員「申し訳ございません、犯罪歴がない方はご参加いただけません。
ご自身の手配書など、犯罪者であることを証明する書類が必要になります。」
ミスターサスケ「え?ダメなの・・・!?」
カイト「ぼくらも、そんな証明書はもってないですけど・・・」
係員「石川五右衛門様御一行ですね。お待ちしておりました。
エントリーナンバーは824になります。」
ナンバーが割り振られた金属製のエントリーリングを渡される。
サラ「あたしらは顔パスみたいね・・・」
カイト「参加者は、これを手首にはめろってさ。」
リングを付けるサラたち。
サラ「いよいよ本当にテレビ番組になってきたわね・・・」
大道寺「実際に放送されてるんだよ。」
インカムから安藤「しかし、これはお互いにフェアな状況だと思います。」
大道寺「どういうことだ?」
基地でテレビを見る安藤
「先輩たちの様子は今、全国ネットで生中継されています。」
カイト「・・・つまり、秀吉の方も仮に財宝が奪われても、ぼくらにムチャはできない・・・」
翼「逆に、絶対にクリアはできないという自信が向こうにはあるわけです・・・」
大道寺「おもしれえ。」
ファンの取り巻きを引き連れてウォンイク「やあ、無事に到着したみたいだね、待っていたよ・・・」
大道寺「てめえ、こっちはドブの中を潜入したってのに・・・!」
ファン「ウォン様、頑張ってー♥」
ファンに手を振るウォンイク。
ウォンイクにリングを渡すサラ「いいから、あんたもこれをつけなさい!」
カイトの近くに寄ってささやく翼。
「カイトさん・・・」
カイト「・・・ああ・・・秀吉はなんでぼくらが石川五右衛門だと知ってるんだ・・・?」
翼「考えたくはありませんが・・・」
カイト「・・・僕らのチームに内通者がいる・・・?」
サラ、大道寺、ウォンイクの方を見つめるカイトと翼。
・
IR大阪天守閣
豊臣「富も権力もあり、人生に退屈しているゲストの皆さん。
さあ、いよいよショーの始まりだぜ」
特別ゲストとして石田内閣の面々や各国の代表が招かれている。
バニーガールのディーラー「大阪城へようこそ!
最初のゲームは“ボーダー・ウォール”です。
1万ボルトの電圧をかけたフェンスを越え、向こう側に行けたらステージクリアです。まもなくベットタイムを締め切ります。」
ルイス・フロイスEU大使「つまり、感電死しない挑戦者に賭ければいいのかね」
バニー「ええ、ステージ1での配当金は次回のステージで全額ベットし、転がすことも可能ですよ~」
フロイス「ようし、私は怪盗ルポンに3000ベットだ」
ハドソン米大統領「わしはビリー・ザ・キッドだ!」
石田総理「え、じゃあ私は石川五右衛門に・・・」
大谷官房長官「賭けるんかい・・・」
片桐「では、最初の挑戦者は、群馬県からお越しの滝川一益さんです!」
滝川一益「信長四天王として、これ以上秀吉に好き勝手はさせん!」
滝川を応援しに来ている、柴田と丹羽。
柴田「よっ元忍者!」
丹羽「がんばれ~」
ワイプの豊臣「何年前のこと話してるんだあいつ・・・」
慣れた様子で鍵縄を回す滝川
「こんなフェンスは忍者にとっちゃわけもない・・・」
鍵縄を放り投げ、フェンスのてっぺんに鉤爪を引っ掛ける滝川
滝川「かかった!」
滝川が大ジャンプして、フェンスに脚をかけようとすると、体に大電圧がかかり吹っ飛ぶ。
滝川「ぎゃああああああああ!」
片桐「滝川さん失格です!」
柴田「あいつは我が四天王の中でも最弱・・・」
丹羽「じゃあ、次は柴田さんがやりますか?」
白旗を上げる柴田「秀吉!ギブア~~~ップ!!」
阿鼻叫喚の参加者たち「ふざけんな!
俺たちは電流が流れているなんて聞いてねえぞ!!」
豊臣「害獣の侵入を防ぐにはこれが一番!どうした?全員ギブアップかい。」
サラ「あのおっさん、ふっとんだわよ・・・!」
ウォンイク「犯罪者がひどい目にあうのを楽しむ番組のようだね」
大道寺「悪趣味なやつらだ」
翼と話し合うカイト「どう攻略したものか・・・」
翼「感電さえしなければいいわけですからね。」
大道寺「あの二人、攻略する前提で話してるぜ・・・」
銀行強盗「ガキども・・・俺が見本を見せてやる・・・」
片桐「続いての挑戦者は、東京都からお越しの銀行強盗レッドギャングさんです!
失敗すれば、そのまま逮捕無期懲役ですが、高圧電流をどう攻略しますか?」
「オレを誰だと思ってやがる・・・」
片桐「お~っと、両手両足に絶縁体のゴムを装着だ!」
ほかの参加者「正解はあれか!」
「よし、オレ達もパクろう!」
強盗「て、てめえら、真似するんじゃねえ!著作権侵害だぞ!
くそが、さすが犯罪者どもめ・・・先に超えるのはオレだ!」
ゴムをつけた泥棒たちがフェンスに殺到する。
片桐「お~っと参加者が次々とフェンスを登り・・・」
参加者たち「ぎゃああああああああ」
片桐「感電しました~~~!」
天守閣で大爆笑の豊臣
サラ「ゴムじゃ防げない・・・!?」
大道寺「ゴムは電気を通さないんじゃねえのか」
安藤「絶縁破壊・・・!電圧が高すぎるんだ・・・!」
ウォンイク「見たまえ、犯罪者たちのローストを・・・」
次々に逮捕されていく失格者。
翼「・・・よし。私が行きます。」
サラ「翼ちゃん!!??」
大道寺「さっきの惨劇見てたんじゃねえのか?」
カイト「頼んだ。チームの場合はメンバーがひとりでもクリアすればいいみたいだから」
翼「了解です。」
片桐「なんと、この状況でまだ挑戦者がいます!
エントリーナンバー824、石川五右衛門チームの百地翼さんです!」
豊臣「さあ、本命だ・・・」
フェンスに駆け寄る翼
片桐「お~っと、ゴムもなしになんのためらいもなくフェンスに駆け寄っていく~!」
フェンスに両手両足で飛びつく。
電線にしがみつくが、感電していない翼。
サラ「感電してない!」
大道寺「なるほど、電線のカラスと一緒だ。
1本だけ掴むぶんには、体に電気は流れねえ。」
2本の電線に接触しないように、体を揺すって、次の電線にしがみつく翼。
次のジャンプで、てっぺんの電線に到達し、そのままジャンプで向こう側に降りてしまう。
片桐「五右衛門チーム、ステージ1クリアです!!」
サラ「すごい!!」
石川五右衛門に賭けていたので喜ぶ石田「やった~!!」
豊臣「まあ、これくらいはいけないとね」
『風と翼:RESET』脚本④
2023-05-14 10:13:51 (1 year ago)
人工島にそびえるIR大阪。
巨大なカジノを視察する官僚たち。
EUの大使や、アメリカの大統領がギャンブルに興じている。
豊臣「どうだい、うちのカジノは払い戻し率98%、あんたらの天下り先のインチキ公営ギャンブルは軒並み廃業ってやつだ」
官僚「ははは・・・では、定年後は是非ともカジノで・・・」
豊臣「一発勝負するんだね。」
SPが豊臣に耳打ちする。
幸村「社長。」
豊臣「・・・何!?石川五右衛門から予告状?」
幸村「いかがいたしますか。」
豊臣「いや、いいよ。面白いじゃないか。
安土城を超える、この難攻不落のIR大阪に挑戦するなんてよ。
“アトラクション”はすべて稼働済みなんだろ?」
幸村「は。」
豊臣「で、いつ来るって?」
幸村「今夜12時。」
嬉しそうに笑う豊臣「よし!攻略の様子を生中継だ!来るなら来い石川!」
幸村「楽しそうですね社長。」
豊臣「当たり前だろ、挑戦者が誰もいねえとよ、殺人アスレチックを作った意味なくなっちまうじゃねえか、へへ」
テレビ
「くだらない番組の途中ですが、ここで急遽番組内容を変更して、今年オープンした、巨大カジノIR大阪から生中継です!」
リポーター「こちら現場の片桐です・・・!なんと、今夜このカジノの金庫に保管されている銀を盗むと、石川五右衛門から犯行予告があったとのことで、急遽警察が厳戒態勢を敷いています!豊臣社長!今をときめく義賊五右衛門からの挑戦状ですが、現在のお気持ちは!?」
豊臣「いいか!石川五右衛門!警察には手は出させねえ!今夜はサシで勝負だ!メインゲートから5つすべての関門を突破して金庫にたどり着けば、財宝は好きなだけお前にくれてやる!
ただし、すぐに脱落するなよ。お前の挑戦は全て生中継するんだからな。
せいぜいお茶の間を楽しませてくれ。じゃあ、待ってるぜ。
このあとは、クレヨンしんちゃん!」
テレビ画面から振り返るサラ。
サラ「随分な自信ね・・・」
カイト「強力な助っ人が要るな・・・」
大道寺「ミスターサスケでも雇うか?」
・
街中の小さな図書館。
翼が図書館の中をのぞく。
すると、新しい司書が雇われていた。
翼「あの・・・私の内定は・・・」
板部岡館長「はっはっは、もちろん取り消しだ。この猟奇殺人鬼。」
翼「え・・・?」
館長「貴様はもう終わりだ、すでに警察に通報したからな!
殺しの続きは刑務所で楽しみな!
(突然弱気になる)・・・うそです言い過ぎました、ハリーポッターの最新刊を貸出しますんで、命だけは助けてください・・・!」
館内の客が翼を見て怯える。
慌てて図書館から逃げ出す翼。
「正当防衛だって言えば、信じてもらえるかな・・・」
公衆電話をかける翼。
安アパート。
パンツ一枚でだらしのない生活を送っている八重。
壁には「打倒石川五右衛門」「夢は警視総監」などの下手な書き初めが貼ってある。
スマートホンが鳴る。
八重「もしもし・・・え?翼ちゃん!?心配したよ、今どこにいるの?」
翼さん「八重さん助けてください・・・」
慌ててズボンを履く八重「うん、なんとかするから、待ってて・・・すぐにいくから。」
アパートを出て行く八重。
・
学校の体育館裏で八重を待つ翼。
物音が聞こえる。
翼「八重さん・・・?」
すると、自分が倒したはずの殺し屋が再び襲ってくる。
翼「生きてる・・・!!??」
斬撃を必死に避ける翼。
殺し屋「・・・どうあがいても、あんたに普通の人生は歩めない・・・」
翼「うるさい・・・」
殺し屋「今度はしっかり止めを指すことね・・・」
翼「うるさい~~!!!!」
殺し屋に思い切り蹴飛ばされて、壁に叩きつけられる翼。
涙を流す翼「あなたは何者なの・・・」
剣を振りかぶる殺し屋「今度は望月金吾はいないわよ・・・」
翼「なんで、そんなことまで・・・」
その時、無数の手裏剣が飛んでくる。
殺し屋はとっさに避けようとするが、手裏剣に変化がついており腕に突き刺さる。
殺し屋「!!」
カイト「手裏剣で助ける投手はいるぜ。」
翼「カイトさん・・・」
安心して気を失う翼。
翼に駆け寄るカイト「しっかり・・・!安藤くん、いっしょに運び出そう・・・!」
安藤「はい・・・!」
殺し屋ににじり寄る大道寺とウォンイク。
拳をボキボキと鳴らす大道寺「カイトのダチをずいぶん可愛がってくれたようだな・・・ああ?」
ジャケットの襟を整えるウォンイク「女の子に暴力を振るうとは、ちょっと見過ごせないね・・・」
殺し屋は剣を握ろうとするが、しびれてうまく持てない。
手裏剣に毒がついていたのだ。
カイト「キミのやり口を真似してみたよ。」
ウォンイク「さて、誰の差金かな?」
殺し屋のマスクを取ろうと近寄るウォンイク。
殺し屋は最後の力を振り絞って、煙玉を爆発させる。
ウォンイク「!!!」
煙が晴れると殺し屋は消えていた。
大道寺「逃げられたか。」
ウォンイク「すまない、油断した。」
二人に近づく五右衛門「あいつは・・・」
大道寺「知ってるのか、師匠。」
五右衛門「誰だっけ。」
大道寺「おいおい・・・」
ウォンイク「少なくとも、殺し屋は女性だね・・・」
大道寺「なんでわかる?」
口紅をつまむ。
ウォンイク「爆発したのはこれさ・・・」
大道寺「スパイ大作戦みたいなやつだな」
・
「う・・・」
秘密基地のソファで目を覚ます翼。
看病してくれていたサラ「気がついたみたいね、よかった・・・」
「ここは?」
「だいじょうぶ。安全な場所だから。」
「ありがとうございます・・・なんてお礼を言えばいいか・・・」
洗面器でぬれタオルを洗いながらサラ「・・・百地さんでしょ?カイトくんに忍術を教えたくのいちの先生。」
「え?私のことを知ってるんですか?」
「当然よ、だって百地さん、一時期うちの学校に通ってたじゃない。
カイトくんを野球部に復帰させようと、北条監督の前で切腹しようとして、すぐに退学しちゃったけど・・・」
気まずくなる翼「その節はご迷惑をおかけしました・・・」
微笑むサラ「私も同じことしたことあるから・・・」
「え・・・?」
昔話を話し始めるサラ。
「昔々、あるところにいじめられっ子の女の子がいました。
体の弱いその女の子はいつも泣いていました。
しかし、彼女には強い味方がいました。いつも彼女を守ってくれる男の子がいたのです・・・
女の子はある決心をしました。彼が自分の夢を叶えられるように、となりでずっと支えてあげたいと・・・だから、泣き虫をやめて強くなるんだって・・・」
翼「・・・・・・。」
机にあるドラッガーの著作に目をやるサラ。
「私はカイトくんに約束したんだ。
私がマネージャーになって、カイトくんを日本一の野球選手にするって。」
「でも、カイトさんは野球じゃなくて忍者に・・・」
「・・・本心では大学で野球を続けたかったと思うよ?
でも、カイトくんは自分のことよりも、他人のことを優先しちゃうの。
あの時だってそうだった・・・」
回想
監督に頭を下げるカイト
「オレはスタメンから外れてもいい!あいつらをレギュラーにしてやってください・・・!
あんなに野球を愛していて、技術もプロレベルなのに、いじめや差別で試合に出られないなんてあんまりです・・・!
オレはあいつらと甲子園に行きたい・・・!」
サラ「あのあと、先輩にボコボコにされちゃって野球部を退部しちゃったんだけどね・・・
でも・・・私はそんなカイト君が好き。」
翼「・・・・・・」
サラ「あ・・・ごめんね、長々と昔のことを・・・
でもひとつだけ伝えたかったのは、百地さんが責任を感じることはないってこと。
カイトくん、中学3年生まで夢は仮面ライダーだったから。
正義の味方が好きなのよ。」
道具を片付けて部屋から出ていこうとするサラ。
翼「あの・・・」
サラ「サラ。・・・天井サラよ。」
退室するサラ。
扉を閉じると、その扉にもたれかかるサラ。
「なによ、あのいじらしい美少女は・・・カイトくんも惚れるわけだわ・・・」
巨大なカジノを視察する官僚たち。
EUの大使や、アメリカの大統領がギャンブルに興じている。
豊臣「どうだい、うちのカジノは払い戻し率98%、あんたらの天下り先のインチキ公営ギャンブルは軒並み廃業ってやつだ」
官僚「ははは・・・では、定年後は是非ともカジノで・・・」
豊臣「一発勝負するんだね。」
SPが豊臣に耳打ちする。
幸村「社長。」
豊臣「・・・何!?石川五右衛門から予告状?」
幸村「いかがいたしますか。」
豊臣「いや、いいよ。面白いじゃないか。
安土城を超える、この難攻不落のIR大阪に挑戦するなんてよ。
“アトラクション”はすべて稼働済みなんだろ?」
幸村「は。」
豊臣「で、いつ来るって?」
幸村「今夜12時。」
嬉しそうに笑う豊臣「よし!攻略の様子を生中継だ!来るなら来い石川!」
幸村「楽しそうですね社長。」
豊臣「当たり前だろ、挑戦者が誰もいねえとよ、殺人アスレチックを作った意味なくなっちまうじゃねえか、へへ」
テレビ
「くだらない番組の途中ですが、ここで急遽番組内容を変更して、今年オープンした、巨大カジノIR大阪から生中継です!」
リポーター「こちら現場の片桐です・・・!なんと、今夜このカジノの金庫に保管されている銀を盗むと、石川五右衛門から犯行予告があったとのことで、急遽警察が厳戒態勢を敷いています!豊臣社長!今をときめく義賊五右衛門からの挑戦状ですが、現在のお気持ちは!?」
豊臣「いいか!石川五右衛門!警察には手は出させねえ!今夜はサシで勝負だ!メインゲートから5つすべての関門を突破して金庫にたどり着けば、財宝は好きなだけお前にくれてやる!
ただし、すぐに脱落するなよ。お前の挑戦は全て生中継するんだからな。
せいぜいお茶の間を楽しませてくれ。じゃあ、待ってるぜ。
このあとは、クレヨンしんちゃん!」
テレビ画面から振り返るサラ。
サラ「随分な自信ね・・・」
カイト「強力な助っ人が要るな・・・」
大道寺「ミスターサスケでも雇うか?」
・
街中の小さな図書館。
翼が図書館の中をのぞく。
すると、新しい司書が雇われていた。
翼「あの・・・私の内定は・・・」
板部岡館長「はっはっは、もちろん取り消しだ。この猟奇殺人鬼。」
翼「え・・・?」
館長「貴様はもう終わりだ、すでに警察に通報したからな!
殺しの続きは刑務所で楽しみな!
(突然弱気になる)・・・うそです言い過ぎました、ハリーポッターの最新刊を貸出しますんで、命だけは助けてください・・・!」
館内の客が翼を見て怯える。
慌てて図書館から逃げ出す翼。
「正当防衛だって言えば、信じてもらえるかな・・・」
公衆電話をかける翼。
安アパート。
パンツ一枚でだらしのない生活を送っている八重。
壁には「打倒石川五右衛門」「夢は警視総監」などの下手な書き初めが貼ってある。
スマートホンが鳴る。
八重「もしもし・・・え?翼ちゃん!?心配したよ、今どこにいるの?」
翼さん「八重さん助けてください・・・」
慌ててズボンを履く八重「うん、なんとかするから、待ってて・・・すぐにいくから。」
アパートを出て行く八重。
・
学校の体育館裏で八重を待つ翼。
物音が聞こえる。
翼「八重さん・・・?」
すると、自分が倒したはずの殺し屋が再び襲ってくる。
翼「生きてる・・・!!??」
斬撃を必死に避ける翼。
殺し屋「・・・どうあがいても、あんたに普通の人生は歩めない・・・」
翼「うるさい・・・」
殺し屋「今度はしっかり止めを指すことね・・・」
翼「うるさい~~!!!!」
殺し屋に思い切り蹴飛ばされて、壁に叩きつけられる翼。
涙を流す翼「あなたは何者なの・・・」
剣を振りかぶる殺し屋「今度は望月金吾はいないわよ・・・」
翼「なんで、そんなことまで・・・」
その時、無数の手裏剣が飛んでくる。
殺し屋はとっさに避けようとするが、手裏剣に変化がついており腕に突き刺さる。
殺し屋「!!」
カイト「手裏剣で助ける投手はいるぜ。」
翼「カイトさん・・・」
安心して気を失う翼。
翼に駆け寄るカイト「しっかり・・・!安藤くん、いっしょに運び出そう・・・!」
安藤「はい・・・!」
殺し屋ににじり寄る大道寺とウォンイク。
拳をボキボキと鳴らす大道寺「カイトのダチをずいぶん可愛がってくれたようだな・・・ああ?」
ジャケットの襟を整えるウォンイク「女の子に暴力を振るうとは、ちょっと見過ごせないね・・・」
殺し屋は剣を握ろうとするが、しびれてうまく持てない。
手裏剣に毒がついていたのだ。
カイト「キミのやり口を真似してみたよ。」
ウォンイク「さて、誰の差金かな?」
殺し屋のマスクを取ろうと近寄るウォンイク。
殺し屋は最後の力を振り絞って、煙玉を爆発させる。
ウォンイク「!!!」
煙が晴れると殺し屋は消えていた。
大道寺「逃げられたか。」
ウォンイク「すまない、油断した。」
二人に近づく五右衛門「あいつは・・・」
大道寺「知ってるのか、師匠。」
五右衛門「誰だっけ。」
大道寺「おいおい・・・」
ウォンイク「少なくとも、殺し屋は女性だね・・・」
大道寺「なんでわかる?」
口紅をつまむ。
ウォンイク「爆発したのはこれさ・・・」
大道寺「スパイ大作戦みたいなやつだな」
・
「う・・・」
秘密基地のソファで目を覚ます翼。
看病してくれていたサラ「気がついたみたいね、よかった・・・」
「ここは?」
「だいじょうぶ。安全な場所だから。」
「ありがとうございます・・・なんてお礼を言えばいいか・・・」
洗面器でぬれタオルを洗いながらサラ「・・・百地さんでしょ?カイトくんに忍術を教えたくのいちの先生。」
「え?私のことを知ってるんですか?」
「当然よ、だって百地さん、一時期うちの学校に通ってたじゃない。
カイトくんを野球部に復帰させようと、北条監督の前で切腹しようとして、すぐに退学しちゃったけど・・・」
気まずくなる翼「その節はご迷惑をおかけしました・・・」
微笑むサラ「私も同じことしたことあるから・・・」
「え・・・?」
昔話を話し始めるサラ。
「昔々、あるところにいじめられっ子の女の子がいました。
体の弱いその女の子はいつも泣いていました。
しかし、彼女には強い味方がいました。いつも彼女を守ってくれる男の子がいたのです・・・
女の子はある決心をしました。彼が自分の夢を叶えられるように、となりでずっと支えてあげたいと・・・だから、泣き虫をやめて強くなるんだって・・・」
翼「・・・・・・。」
机にあるドラッガーの著作に目をやるサラ。
「私はカイトくんに約束したんだ。
私がマネージャーになって、カイトくんを日本一の野球選手にするって。」
「でも、カイトさんは野球じゃなくて忍者に・・・」
「・・・本心では大学で野球を続けたかったと思うよ?
でも、カイトくんは自分のことよりも、他人のことを優先しちゃうの。
あの時だってそうだった・・・」
回想
監督に頭を下げるカイト
「オレはスタメンから外れてもいい!あいつらをレギュラーにしてやってください・・・!
あんなに野球を愛していて、技術もプロレベルなのに、いじめや差別で試合に出られないなんてあんまりです・・・!
オレはあいつらと甲子園に行きたい・・・!」
サラ「あのあと、先輩にボコボコにされちゃって野球部を退部しちゃったんだけどね・・・
でも・・・私はそんなカイト君が好き。」
翼「・・・・・・」
サラ「あ・・・ごめんね、長々と昔のことを・・・
でもひとつだけ伝えたかったのは、百地さんが責任を感じることはないってこと。
カイトくん、中学3年生まで夢は仮面ライダーだったから。
正義の味方が好きなのよ。」
道具を片付けて部屋から出ていこうとするサラ。
翼「あの・・・」
サラ「サラ。・・・天井サラよ。」
退室するサラ。
扉を閉じると、その扉にもたれかかるサラ。
「なによ、あのいじらしい美少女は・・・カイトくんも惚れるわけだわ・・・」
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