ブーちゃんがレシーブした木野の変化球を、乙奈がトスをする。
乙奈「お願い、海野さん・・・!」
海野「このチャンスを無駄にはしない!」
海野が渾身のスパイクを打つ。
火野がブロックに入るが、海野のスパイクに腰が弾ける。
火野「ひいい怖い!」
金野が海野の剛速球をレシーブしようとするが、間に合わずコーナーに決まってしまう。
主審が笛を鳴らす。
山村「やった・・・!これでスリーアウトだ!」
マスクをあげる主審「チェンジ!」
スコアボードに目をやる海野「7点差か・・・危ないところだった・・・」
実況「1回裏、白亜高校の攻撃です!」
海野「すごいよ・・・ブーちゃんのおかげで助かった・・・!」
乙奈「ブーちゃんは、中国拳法の気功を極めた達人ですから・・・私の無回転サーブの才を見出してくれたのもブーちゃんなんです・・・」
花原「なんでそんな半生を黙っていたのよ・・・!第3話から登場してたのに、もう37話よ!!」
ボソボソとしゃべるブーちゃん
乙奈「・・・本当に優れた拳士は自分の実力をひけらかさないものだ・・・・・・それに・・・」
花原「それに・・・?」
乙奈「・・・おしゃべりな料理人じゃかっこがつかないだろう・・・?」
ちおり「か・・・かっけー!」
花原「トラをタコ殴りにしたことがあるんじゃ、そら栃木県でクマに会ってもビビらないわ・・・」
華白崎「ひ・・・人に歴史ありですね・・・」
海野「乙奈さん・・・本家の無回転フローターサーブで7点差は埋められるかな・・・?」
乙奈「・・・お任せください・・・」
乙奈の無回転サーブは、詩留々高専のメンバーも対応できない。
スコアボードは「詩留々7対白亜8」になり、逆転している。
山村「ようし、逆転だ・・・!」
タバコに火を付けるさくら
「・・・ブーちゃんをメンバーから除外したことの重大性を思い知るがいいわ、天才少女・・・」
慌てるスバル「おい・・・!1回表でコールド勝ちできるんじゃなかったのか!?」
りかぜ「ええ・・・予定では。だから人生は面白い・・・」
金野「木野さん・・・これであなたの利用価値は何もなくなったわよ・・・」
木野「そんな・・・ひどいですわ・・・」
火野「・・・いいかげんにしなさいよ金野!あんただって、レシーブを失敗したじゃない!
なにがバレー経験者よ!利用価値がないのはあんたよ!」
金野「・・・あなたが海野にひるまずにブロックをしていたらレシーブはできていたわ。」
球場の土を食べる月野「土もうめー」
2人に割って入る水野「責任者探しみたいなことはやめようよ・・・私たちは大切な仲間じゃない。」
金野「・・・わたしたちが仲間・・・?そんなこと誰が決めたの?
我々に与えられた任務は、詩留々高専を勝利させること・・・仲良しクラブを作ることじゃないわ・・・
無能な役たたずは排除する。勝利とはそこまでしなければ得られないものなのよ・・・」
水野「それが・・・もし・・・金野さんでも・・・?」
金野「・・・ええ。
私が足でまといになったら、ためらうことなく処分なさい。それがロボットの本懐でしょう?」
水野「そんなの・・・悲しすぎるよ・・・」
金野「その感情だって、きっとプログラムされたものに過ぎないわ・・・
私たちはただの人間のイミテーションよ・・・
人間の欲望によって生み出された・・・」
胸の奥が冷たくなるりかぜ「・・・人間のイミテーション・・・。」
スバル「もういいやめろ!たくさんだ!!うちは、この試合に仮に負けてもあんたらを処分なんかしない!うちの大切なマネージャーが寝る間も惜しんで、命を吹き込んだのが、あんたたちなんだ・・・!
あんたたちは使い捨ての道具なんかじゃ決してない!
わかったら、敵の攻撃に備えろ・・・!」
目を潤ませるりかぜ「・・・ボス・・・」
スバル「なんで、あんたが泣いてるんだ・・・!」
りかぜ「い・・・いえ・・・目にゴミが・・・」
金野「榛東主将・・・」
木野「私も・・・まだコートにいてもいいんですか・・・?」
スバル「当たり前だろ!自分が作った製品を愛さないエンジニアがどこにいるんだ!」
火野「金野さん・・・やるわよ・・・」
金野「ええ・・・」
水野「あのサーブを力を合わせてなんとか克服しよう・・・!」
山村「なんか、あの個性の強い海野ロボたちがまとまったように見えるが・・・」
さくら「向こうには、職人ブーちゃんの代わりに、頼れる精神的支柱・・・主将榛東スバルがいるってことか・・・」
海野「あっちも成長をしているんだ・・・」
華白崎「・・・ええ・・・私たちのように。」
りかぜ「みんな・・・ちょっと・・・」
スバル「どうした、りかぜちゃん・・・」
りかぜ「ずっと黙っていたけど・・・私にはもうひとつの能力があるの・・・
でも、これはあまりにも非科学的で・・・きっと信じてくれない・・・」
ニヤリと笑うスバル「非科学的な軌道のサーブが今起こっているだろう?」
りかぜ「・・・お願い・・・私を嫌いにならないでね。」
スバル「うちはあんたにこのチームの全権を任せている・・・りかぜちゃんを信じているから。」
頷くりかぜ。
主審の笛がなる。
乙奈「このまま、そっくり点差を広げられれば・・・!」
無回転サーブを打つ乙奈。
海野「ナイスサーブ!」
ふわふわと空中を漂うボール。
火野の方へ落ちていくが・・・
りかぜ「・・・違う・・・!金野さん!」
金野がレシーブ体制に入る。
金野「了解!」
すると、本当にボールの軌道が変わり、火野から金野に変わる。
金野が変化球をレシーブしてしまう。
金野「月野会長!」
月野「ほいっ!」
スパイクを打つ火野「もらった!!」
花原「嘘でしょ!返した・・・!?」
ブロックをするが、勢いが止まらずコートアウトしてしまう。
主審「アウト!」
水野「やったね!」
火野と金野がタッチする「よっしゃあ!」
海野「そんな・・・!なんでボールの軌道が判ったの・・・!?」
花原「なんか、最初からどこへ落ちるかを知っていたような・・・」
ちおり「あのサーブってどこに落ちるか、打ってる乙奈さんは分かるの?」
首を振る乙奈「わたくしにもさっぱり・・・まるで・・・未来を予知していたような・・・」
華白崎「それなら、ただの偶然です・・・気を取り直していきましょう・・・!」
海野「うん、まだ1アウトだもの!」
もう一度無回転フローターサーブを打つ乙奈「いきますわよ~え~い・・・!」
今度はかなり球速がある。
火野「なんで、私の方にいつも飛んでくるのよ・・・!」
りかぜ「違う・・・!ボスです!」
スバル「サンキュー!」
すると、スバルの方へ直角にボールの方向が変わる。
なんとかレシーブするスバル。
ショックを受ける乙奈「・・・!そんな・・・!」
海野「みんな、攻撃が来るよ!!」
月野がトスを上げようとする。すると、火野と水野がアタックモーションに入る。
ブロックする花原が混乱する「うわ!私が嫌いな奴だ・・・!!」
海野「だいじょうぶ!私もブロックに入る・・・!」
すると、月野がそのままアタックを決める。
海野「しまった・・・!」
ちおりをモデルにしたロボットとは思えないほどの剛速球がコートに叩き込まれる。
華白崎がレシーブに入るが、間に合わない。
華白崎「悔しい・・・油断した・・・!!」
主審が笛を鳴らす。
主審「2アウト!」
月野「わ~い、やった~!」
水野「作戦大成功!」
花原「おい!ちおりロボがあんなアタックを打っていいの!?」
華白崎「申し訳ない・・・あのロボットのベースはすべて海野さんであることを失念していた・・・」
花原「それって・・・」
華白崎「私たちの個性は、海野さんの身体能力にさらに付加されているということです・・・
つまり・・・私たちは5人の海野さんと、鮎原姉妹を圧倒した榛東主将と戦っているのです。」
海野「それより、やっぱり変だよ・・・!乙奈さんのサーブの最終標的がすべて読まれているなんて・・・!」
乙奈「・・・ブーちゃん・・・」
乙奈を見て頷くブーちゃん。
乙奈「答えは・・・あのマネージャーの子ですわ・・・」
海野「網野りかぜさん・・・?」
花原「確かに、あの子が指示を出していたような・・・でも、なんで・・・乙奈さんの心を読んでも、乙奈さんだってどこに落ちるかわからないのに・・・」
乙奈「わたくしのサーブの行き先があらかじめ決まっていたら・・・?」
花原「・・・え?ランダムなんでしょう?」
乙奈「ええ・・・ですが、それは私たちには結果がわからないから・・・
チョコレートの箱は開けてみなければ、何が入っているかはわからない・・・
だから子どもたちはわくわく心を躍らせるの・・・
でも・・・チョコレートの箱の中身はすでに決まっている・・・そうでしょう・・・?」
海野「・・・?乙奈さん・・・もう少し私たちにも分かるように教えてくれるかな・・・」
華白崎「もしかして・・・乙奈さんは・・・この世界は決定論であると・・・?」
乙奈「数学ではそう言うのですね・・・ええ・・・
わたくしたちの運命はすでに決められているのです・・・主によって・・・」
花原「ちょっと待ってよ!じゃあ、あのクローン少女が神さまだって言うの!?
やめてよ・・・そんな怖いことを言うのは・・・!!」
乙奈「そうとは言ってはいません・・・いませんが・・・少し先の運命が・・・もし見えるのだとしたら・・・?」
りかぜ(・・・できれば、この能力は使いたくなかった・・・精神的にも負荷がかかるし・・・
気味悪がられてクローン人間の風当たりはさらに強くなるから・・・)
微笑むスバル「りかぜちゃんは本当に頼りになるなあ!」
誤魔化すりかぜ「え?ええ・・・わたしは勘が鋭いの・・・」
スバル「みんな!これで、お互いに乙奈の変則サーブは無効化した・・・!
スリーアウトを取るぞ!」
海野ロボ「おー!!」
・
相手コートのそばにいるりかぜに話しかける乙奈
「網野りかぜさんとおっしゃいましたか・・・?
あの鮎原姉妹との試合の時も、最後に突風が吹くのを予言されてましたわね・・・」
りかぜ「・・・?」
乙奈「わたくしはプロテスタントです・・・主のご意思が覗ける預言者の存在を否定は致しません・・・」
りかぜ「あなたは、私の予知能力を信じるの・・・?」
微笑む乙奈「ええ・・・むしろ・・・気苦労も絶えないことでしょう・・・同情しますわ・・・」
りかぜ「あら、ずいぶん余裕なのね・・・」
乙奈「ふふ・・・あなたは、どれくらい先の未来まで見えるのかしら・・・?
未来が全て見えるなら・・・吹雪監督の罠にはかからなかったはず・・・」
りかぜ「・・・だから宗教関係者は嫌いなのよ・・・」
乙奈「教会は厳しくて・・・わたくしも利き手を強制されたものですわ・・・」
ハッとするりかぜ「・・・!うそでしょ・・・」
ボールを持つ手を左手から右手に持ち帰る乙奈。
右手で勢いよくボールを放り投げる乙奈。
すると、左手の拳を握り、風車のように力強くスイングをする。
りかぜ「ドライブサーブ・・・!!」
海野「乙奈さんが大此木くんの必殺サーブを・・・!?」
ネットをスレスレでカッ飛んでいく剛速球。
スバル「速い・・・!」
金野「大丈夫・・・!アウトです!!」
ドライブサーブはものすごい速度でエンドラインを超えていく・・・が、突然軌道をUターンさせ、エンドラインの内側に戻ってきて、後衛の背後の床に叩きつけられる。
金野「馬鹿な・・・!!」
スバル「おいおい、あんなサーブ打っちゃダメだろ・・・!」
ちおり「すげ~!!」
花原「なによあれ・・・!あんな超必殺技を隠してたなんて・・・!」
乙奈「ふふ・・・ごめんなさい・・・
大此木さんに教わって・・・できるようになったのがついこないだなんです・・・」
海野「利き手・・・左だったんだね・・・」
乙奈「こちらの手なら体重も乗りますわ・・・
どうですか、預言者さん・・・
どこに落ちるか予知できても、この軌道にみなさんは対応できるかしら?」
肩を震わせるりかぜ「くくく・・・あなた達こそ本当の怪物よ・・・いいわ。退治してあげる。」
『青春アタック』脚本㊱酒池肉林
2024-03-07 20:23:46 (1 year ago)
殺し屋によってめちゃくちゃにされている「桃源楼」
パンダ拳と白鶴拳で、殺し屋と戦うブーちゃんの両親。
拳法の師範代である二人を相手に、互角の戦いをする殺し屋。
殺し屋「本土の達人はみんな殺しちゃったけど、こんな島国にこれほどの使い手がいたとは嬉しいわ・・・!」
店主「きさま・・・ファミレスの手のものか・・・!」
殺し屋「出店拡大のため・・・お命いただくわ・・・!」
殺し屋の手刀を脚で蹴り上げる女将さん「あんた、危ない・・・!蹴(しゅう)!!」
殺し屋「あら、やるじゃない・・・!
油でギトギトな汚い店舗・・・消し炭にしてくれるわ!」
火を噴く殺し屋。プロパンガスに引火し爆発する。
吹っ飛ぶ夫妻「ぎゃああああああ!」
殺し屋「おほほ・・・四川火炎拳の味はどうかしら・・・!」
黒焦げになる夫妻「ひ・・・卑怯な・・・!」
殺し屋「食材のアヒルを絞め殺すのに、卑怯もくそもないでしょう?」
店主「くっ・・・」
女将さん「あんた・・・!」
殺し屋「これで終わりよ・・・アニマル拳最後の伝承者高満凱(カオ・マンガイ)」
その時、殺し屋に寸胴が飛んでくる。
殺し屋は拳で寸胴を叩き落とすが、中に入っていた拉麺のスープが頭から降り注ぐ。
殺し屋「あちち・・・いったい誰よ・・・!」
振り返ると、修行から帰ってきたブーちゃんが怒りの形相で立っている。
店主「・・・智子・・・!修行から帰ってきたのか・・・!」
女将さん「あんた・・・お逃げ・・・!」
殺し屋「うふふ・・・噂の食い逃げ犯ね・・・
あんたが食べたステーキ肉のようにウエルダンに焼いてあげるわ・・・!」
火を噴く殺し屋。
しかし、体についたスープの背脂に引火して火だるまになってしまう。
殺し屋「アイヤー!!しまった・・・!」
床をごろごろ転がって火を消す殺し屋。
指をくいと曲げて殺し屋を挑発するブーちゃん。
殺し屋「お前を焼いても不味そうだな、ですって!!??
・・・殺してやるわ・・・!!」
殺人拳を繰り出す殺し屋。
怒りのブーちゃんと無数の突きの応酬をする。
殺し屋「ほわちゃちゃちゃちゃちゃ・・・・!!」
立ち上がる女将さん「あんた・・・智子に負けてられないよ!!」
店主「・・・おう!!」
3人がかりで殺し屋と戦う。
ブーちゃんにおたまとフライ返しでボコボコにしばかれる殺し屋。
殺し屋「いや~ん!なんなのこの家族・・・!」
老師「この勝負待った・・・!」
戦いをやめる4人。
老師「そなたら・・・仮にも料理人なら拳ではなく、料理で決着をつけたらどうじゃ・・・?
宮廷料理人、満漢全席の韓信よ・・・」
殺し屋「あら・・・あたしを知っているの?」
老師「わたしの記憶が確かならば・・・
そなたほどの料理人が、ファミレスの用心棒とは落ちぶれたもんじゃの・・・」
殺し屋「言ってくれるじゃない・・・あなた・・・何者なの?」
老師「ほっほっほ・・・ただの食道楽じゃよ・・・」
すると、老師の両サイドにいるボディガードが叫ぶ。
ネイチャー紫門「静まれい・・・!こちらにおわすお方をどなたと心得る!?
おそれ多くも、ミシュランガイドの主宰、世界的美食家の北大路袁杯(えんばい)先生であらせられるぞ・・・!!」
服田裏幸應「ご老公の御前である・・・!控えおろう・・・!!」
殺し屋「な・・・なんですって・・・!!」
老師「この勝負、このわしが預かる・・・!蘇るがいいアイアンシェフよ!!」
・
料理の鉄人のようなセットの「ロイヤルコスト」本部の玉座
老師「今回のテーマは中華の真髄・・・!アレ・キュイジーヌ!!」
黄色の料理服を着て、中華包丁を高速で振るい、食材を次々にみじん切りにしていく韓信。
「ラストエンペラーが食した満漢全席を今夜、完全再現してあげるわ・・・!」
一方の「桃源楼」店主は中華鍋を握ろうとするが、殺し屋との戦いの傷が深く、鍋を持ち上げられない。
女将さん「あんた・・・!」
店主「くっダメだ・・・やつに秘孔をつかれたらしい・・・!」
すると、ブーちゃんが代わりに中華鍋に油をひく。
店主「智子・・・まさかお前が・・・!」
女将さん「あんたが何を作れるんだい・・・!相手は宮廷料理人だよ・・・!」
ブーちゃんが無言で調理を始める。
店主「・・・そうか・・・お前がやるんだな・・・頼んだぞ、わが娘よ・・・!」
韓信「きさまが私の相手・・・?桃源楼もここまで落ちぶれたか・・・
私はね・・・料理を馬鹿にされるのが一番嫌いなの・・・」
ロイヤルコストの社長「素人のガキが・・・所詮は付け焼刃よ・・・」
韓信「平野社長・・・品川水族館と上野動物園には連絡を入れたの・・・?」
社長「もう、届いているわよ・・・」
すると、扉が開き、巨大な水槽と猛獣の檻が搬入される。
店主「・・・な!なんだあれは・・・!!」
韓信「なにって・・・食材に決まっているじゃない・・・」
老師「ほう・・・四八珍を集めたか・・・」
すると、巨大な水槽に飛び込む韓信。
水槽の中には凶暴なヒョウアザラシとホホジロザメが入っており、韓信に牙をむく。
ホホジロザメのロレンチーニ器官を思い切り殴る韓信。
ホホジロザメは一撃で絶命し、韓信に背びれをもぎ取られる。
返す刀で、ヒョウアザラシの首をひねる。
水槽から上がる韓信「まずは海八珍・・・!」
ついで、上野動物園が持ってきた猛獣の檻に入る。
サイとラクダとゾウがいるが、手刀でアフリカゾウの鼻を切断し、フタコブラクダのコブをもぎ取り、シロサイのペニスを引きちぎる。
韓信「山八珍・・・!!さあ、調理よ!!」
女将さん「あんた・・・!本当に当時の満漢全席を再現する気だよ・・・!」
店主「食材だけでいったい何億円かけているんだ・・・!」
一方のブーちゃんは、中華鍋に冷えたご飯をぶち込み、炒め出す。
女将さん「あんた・・・智子が・・・!」
店主「あれは・・・」
鼻で笑う社長「・・・満漢全席にただの炒飯で挑むつもり・・・?」
油断しない韓信(・・・手際がいいわね・・・老師が見込んだだけのことはあるか・・・)
中国銅鑼を叩くネイチャー紫門「そこまで!!」
韓信は、たった1時間で32品もの料理を完成させてしまう。
韓信「・・・駝峰、犀尾、象抜・・・現代では動物愛護団体に金を握らせない限り食せない、幻の逸品よ・・・袁杯先生、皇帝気分でお召し上がりください・・・」
老師「うむ・・・見事じゃ・・・」
料理を口にする老師「素晴らしい・・・贅の限りを尽くしたもてなし・・・心から感謝するぞ。」
社長「勝ったわね・・・」
服田裏幸應「続いて、桃源楼の料理です・・・!前へ・・・!」
老師の前に普通の街中華の岡持ちを置くブーちゃん。
老師「ほう・・・」
女将「あんた・・・あれって・・・」
岡持ちを開くブーちゃん。
店主「わしのカニチャーハンだ・・・」
れんげでチャーハンをすくう老師。
老師「・・・む?これはなんじゃ・・・」
チャーハンを口にする。
老師「う・・・美味い・・・!!この食感・・・上品な香り・・・チャーシューではない・・・
タケノコか・・・!味付けはオイスターソースと・・・鰹節じゃ・・・!
日本の懐石料理と、本格中華が奇跡の調和を生んでおる・・・!!
この勝負・・・桃源楼の勝利じゃ・・・!」
社長「ばかな・・・!」
手を取って喜ぶ夫婦「やったよあんた・・・!智子がやったんだ!!」
韓信「な・・・なんですって・・・!こんな貧乏臭い焼き飯が私の宮廷料理よりも上だって言うの!?」
老師「・・・お前さんは、王族に仕えた上流階級・・・飢えたことなどないじゃろう・・・
そなたの満漢全席は見事であったが・・・あれを口にできる人間はこの世に何人いるというのじゃ?」
韓信「・・・それは・・・」
老師「人にとって食とはただの生理活動ではない・・・
料理人の存在意義とは、食を通じて、多くの者を笑顔にし、生きる喜びを与えることじゃ・・・
その点において、この素朴なチャーハンはお主の宮廷料理に勝っておるのじゃ・・・」
韓信「・・・見損なわないで・・・!私だって、普段はゾウの鼻なんて調理しないわ・・・!」
老師「うむ・・・分かっておるぞ・・・
お前さんも、多くの者の幸せのために、ファミレスのフランチャイズチェーンに手を貸したのだろう?
しかし、実態はどうじゃ・・・セントラルキッチンから送られてきた冷凍食材をバイトが解凍するだけの料理に心はあるのか?それが、お前さんが多くの者に届けたかった味なのか?
そもそも・・・ロイヤルコストでお主が監修した料理を食べたことはあるのか・・・?」
首を横に振る韓信「ないわ・・・」
老師「ロイヤルコストの料理は見栄えだけはいいが・・・まるでボール紙をかじってるようじゃぞ・・・」
韓信「うそでしょう・・・?
社長・・・!あなた、私のレシピを勝手に変えたんじゃないでしょうね!」
社長「・・・しょうがないじゃない!あんたのレシピはコストがかかりすぎるのよ・・・!」
老師「よかったら、お主もこの炒飯を食べてみたらどうじゃ・・・
盛りつけは地味で、食器も既製品じゃが・・・この料理には子が親を思う心がある・・・」
チャーハンを口にする韓信。
目を閉じる。
韓信「私は大きな過ちを犯すところだったわ・・・
かけがえのない街中華をこの世から消すところだった・・・
子豚のブーちゃん・・・わたしの完敗よ・・・桃源楼はこの私が命をかけて守ることを約束するわ・・・」
社長「なんですって!!品川水族館と上野動物園にいくら払ったと思ってんのよ!
裏切るなんて許さない・・・!」
韓信「ホホジロザメの餌になりたくなかったら、今すぐ私の前から消えなさい・・・
そして・・・フランチャイズチェーンから今すぐ私の名前を消すのよ・・・」
韓信のオーラに負けて逃げ出す社長「・・・!」
老師「ほっほっほ・・・ブーちゃんか・・・よい名じゃ・・・
桃源楼店主よ・・・よい後継ができたの・・・」
目が潤む店主「智子・・・」
ブーちゃん「ブー!」
――こうして、高木智子は伝説の料理人ブーちゃんとなったのである・・・
――劇終――
伊勢崎華蔵寺公園
りかぜ「馬鹿な・・・なんて長い回想なの・・・!」
さくら「ブーちゃんの恐ろしさ・・・味わえたようね・・・」
パンダ拳と白鶴拳で、殺し屋と戦うブーちゃんの両親。
拳法の師範代である二人を相手に、互角の戦いをする殺し屋。
殺し屋「本土の達人はみんな殺しちゃったけど、こんな島国にこれほどの使い手がいたとは嬉しいわ・・・!」
店主「きさま・・・ファミレスの手のものか・・・!」
殺し屋「出店拡大のため・・・お命いただくわ・・・!」
殺し屋の手刀を脚で蹴り上げる女将さん「あんた、危ない・・・!蹴(しゅう)!!」
殺し屋「あら、やるじゃない・・・!
油でギトギトな汚い店舗・・・消し炭にしてくれるわ!」
火を噴く殺し屋。プロパンガスに引火し爆発する。
吹っ飛ぶ夫妻「ぎゃああああああ!」
殺し屋「おほほ・・・四川火炎拳の味はどうかしら・・・!」
黒焦げになる夫妻「ひ・・・卑怯な・・・!」
殺し屋「食材のアヒルを絞め殺すのに、卑怯もくそもないでしょう?」
店主「くっ・・・」
女将さん「あんた・・・!」
殺し屋「これで終わりよ・・・アニマル拳最後の伝承者高満凱(カオ・マンガイ)」
その時、殺し屋に寸胴が飛んでくる。
殺し屋は拳で寸胴を叩き落とすが、中に入っていた拉麺のスープが頭から降り注ぐ。
殺し屋「あちち・・・いったい誰よ・・・!」
振り返ると、修行から帰ってきたブーちゃんが怒りの形相で立っている。
店主「・・・智子・・・!修行から帰ってきたのか・・・!」
女将さん「あんた・・・お逃げ・・・!」
殺し屋「うふふ・・・噂の食い逃げ犯ね・・・
あんたが食べたステーキ肉のようにウエルダンに焼いてあげるわ・・・!」
火を噴く殺し屋。
しかし、体についたスープの背脂に引火して火だるまになってしまう。
殺し屋「アイヤー!!しまった・・・!」
床をごろごろ転がって火を消す殺し屋。
指をくいと曲げて殺し屋を挑発するブーちゃん。
殺し屋「お前を焼いても不味そうだな、ですって!!??
・・・殺してやるわ・・・!!」
殺人拳を繰り出す殺し屋。
怒りのブーちゃんと無数の突きの応酬をする。
殺し屋「ほわちゃちゃちゃちゃちゃ・・・・!!」
立ち上がる女将さん「あんた・・・智子に負けてられないよ!!」
店主「・・・おう!!」
3人がかりで殺し屋と戦う。
ブーちゃんにおたまとフライ返しでボコボコにしばかれる殺し屋。
殺し屋「いや~ん!なんなのこの家族・・・!」
老師「この勝負待った・・・!」
戦いをやめる4人。
老師「そなたら・・・仮にも料理人なら拳ではなく、料理で決着をつけたらどうじゃ・・・?
宮廷料理人、満漢全席の韓信よ・・・」
殺し屋「あら・・・あたしを知っているの?」
老師「わたしの記憶が確かならば・・・
そなたほどの料理人が、ファミレスの用心棒とは落ちぶれたもんじゃの・・・」
殺し屋「言ってくれるじゃない・・・あなた・・・何者なの?」
老師「ほっほっほ・・・ただの食道楽じゃよ・・・」
すると、老師の両サイドにいるボディガードが叫ぶ。
ネイチャー紫門「静まれい・・・!こちらにおわすお方をどなたと心得る!?
おそれ多くも、ミシュランガイドの主宰、世界的美食家の北大路袁杯(えんばい)先生であらせられるぞ・・・!!」
服田裏幸應「ご老公の御前である・・・!控えおろう・・・!!」
殺し屋「な・・・なんですって・・・!!」
老師「この勝負、このわしが預かる・・・!蘇るがいいアイアンシェフよ!!」
・
料理の鉄人のようなセットの「ロイヤルコスト」本部の玉座
老師「今回のテーマは中華の真髄・・・!アレ・キュイジーヌ!!」
黄色の料理服を着て、中華包丁を高速で振るい、食材を次々にみじん切りにしていく韓信。
「ラストエンペラーが食した満漢全席を今夜、完全再現してあげるわ・・・!」
一方の「桃源楼」店主は中華鍋を握ろうとするが、殺し屋との戦いの傷が深く、鍋を持ち上げられない。
女将さん「あんた・・・!」
店主「くっダメだ・・・やつに秘孔をつかれたらしい・・・!」
すると、ブーちゃんが代わりに中華鍋に油をひく。
店主「智子・・・まさかお前が・・・!」
女将さん「あんたが何を作れるんだい・・・!相手は宮廷料理人だよ・・・!」
ブーちゃんが無言で調理を始める。
店主「・・・そうか・・・お前がやるんだな・・・頼んだぞ、わが娘よ・・・!」
韓信「きさまが私の相手・・・?桃源楼もここまで落ちぶれたか・・・
私はね・・・料理を馬鹿にされるのが一番嫌いなの・・・」
ロイヤルコストの社長「素人のガキが・・・所詮は付け焼刃よ・・・」
韓信「平野社長・・・品川水族館と上野動物園には連絡を入れたの・・・?」
社長「もう、届いているわよ・・・」
すると、扉が開き、巨大な水槽と猛獣の檻が搬入される。
店主「・・・な!なんだあれは・・・!!」
韓信「なにって・・・食材に決まっているじゃない・・・」
老師「ほう・・・四八珍を集めたか・・・」
すると、巨大な水槽に飛び込む韓信。
水槽の中には凶暴なヒョウアザラシとホホジロザメが入っており、韓信に牙をむく。
ホホジロザメのロレンチーニ器官を思い切り殴る韓信。
ホホジロザメは一撃で絶命し、韓信に背びれをもぎ取られる。
返す刀で、ヒョウアザラシの首をひねる。
水槽から上がる韓信「まずは海八珍・・・!」
ついで、上野動物園が持ってきた猛獣の檻に入る。
サイとラクダとゾウがいるが、手刀でアフリカゾウの鼻を切断し、フタコブラクダのコブをもぎ取り、シロサイのペニスを引きちぎる。
韓信「山八珍・・・!!さあ、調理よ!!」
女将さん「あんた・・・!本当に当時の満漢全席を再現する気だよ・・・!」
店主「食材だけでいったい何億円かけているんだ・・・!」
一方のブーちゃんは、中華鍋に冷えたご飯をぶち込み、炒め出す。
女将さん「あんた・・・智子が・・・!」
店主「あれは・・・」
鼻で笑う社長「・・・満漢全席にただの炒飯で挑むつもり・・・?」
油断しない韓信(・・・手際がいいわね・・・老師が見込んだだけのことはあるか・・・)
中国銅鑼を叩くネイチャー紫門「そこまで!!」
韓信は、たった1時間で32品もの料理を完成させてしまう。
韓信「・・・駝峰、犀尾、象抜・・・現代では動物愛護団体に金を握らせない限り食せない、幻の逸品よ・・・袁杯先生、皇帝気分でお召し上がりください・・・」
老師「うむ・・・見事じゃ・・・」
料理を口にする老師「素晴らしい・・・贅の限りを尽くしたもてなし・・・心から感謝するぞ。」
社長「勝ったわね・・・」
服田裏幸應「続いて、桃源楼の料理です・・・!前へ・・・!」
老師の前に普通の街中華の岡持ちを置くブーちゃん。
老師「ほう・・・」
女将「あんた・・・あれって・・・」
岡持ちを開くブーちゃん。
店主「わしのカニチャーハンだ・・・」
れんげでチャーハンをすくう老師。
老師「・・・む?これはなんじゃ・・・」
チャーハンを口にする。
老師「う・・・美味い・・・!!この食感・・・上品な香り・・・チャーシューではない・・・
タケノコか・・・!味付けはオイスターソースと・・・鰹節じゃ・・・!
日本の懐石料理と、本格中華が奇跡の調和を生んでおる・・・!!
この勝負・・・桃源楼の勝利じゃ・・・!」
社長「ばかな・・・!」
手を取って喜ぶ夫婦「やったよあんた・・・!智子がやったんだ!!」
韓信「な・・・なんですって・・・!こんな貧乏臭い焼き飯が私の宮廷料理よりも上だって言うの!?」
老師「・・・お前さんは、王族に仕えた上流階級・・・飢えたことなどないじゃろう・・・
そなたの満漢全席は見事であったが・・・あれを口にできる人間はこの世に何人いるというのじゃ?」
韓信「・・・それは・・・」
老師「人にとって食とはただの生理活動ではない・・・
料理人の存在意義とは、食を通じて、多くの者を笑顔にし、生きる喜びを与えることじゃ・・・
その点において、この素朴なチャーハンはお主の宮廷料理に勝っておるのじゃ・・・」
韓信「・・・見損なわないで・・・!私だって、普段はゾウの鼻なんて調理しないわ・・・!」
老師「うむ・・・分かっておるぞ・・・
お前さんも、多くの者の幸せのために、ファミレスのフランチャイズチェーンに手を貸したのだろう?
しかし、実態はどうじゃ・・・セントラルキッチンから送られてきた冷凍食材をバイトが解凍するだけの料理に心はあるのか?それが、お前さんが多くの者に届けたかった味なのか?
そもそも・・・ロイヤルコストでお主が監修した料理を食べたことはあるのか・・・?」
首を横に振る韓信「ないわ・・・」
老師「ロイヤルコストの料理は見栄えだけはいいが・・・まるでボール紙をかじってるようじゃぞ・・・」
韓信「うそでしょう・・・?
社長・・・!あなた、私のレシピを勝手に変えたんじゃないでしょうね!」
社長「・・・しょうがないじゃない!あんたのレシピはコストがかかりすぎるのよ・・・!」
老師「よかったら、お主もこの炒飯を食べてみたらどうじゃ・・・
盛りつけは地味で、食器も既製品じゃが・・・この料理には子が親を思う心がある・・・」
チャーハンを口にする韓信。
目を閉じる。
韓信「私は大きな過ちを犯すところだったわ・・・
かけがえのない街中華をこの世から消すところだった・・・
子豚のブーちゃん・・・わたしの完敗よ・・・桃源楼はこの私が命をかけて守ることを約束するわ・・・」
社長「なんですって!!品川水族館と上野動物園にいくら払ったと思ってんのよ!
裏切るなんて許さない・・・!」
韓信「ホホジロザメの餌になりたくなかったら、今すぐ私の前から消えなさい・・・
そして・・・フランチャイズチェーンから今すぐ私の名前を消すのよ・・・」
韓信のオーラに負けて逃げ出す社長「・・・!」
老師「ほっほっほ・・・ブーちゃんか・・・よい名じゃ・・・
桃源楼店主よ・・・よい後継ができたの・・・」
目が潤む店主「智子・・・」
ブーちゃん「ブー!」
――こうして、高木智子は伝説の料理人ブーちゃんとなったのである・・・
――劇終――
伊勢崎華蔵寺公園
りかぜ「馬鹿な・・・なんて長い回想なの・・・!」
さくら「ブーちゃんの恐ろしさ・・・味わえたようね・・・」
『青春アタック』脚本㉟一子相伝
2024-03-06 22:25:37 (1 year ago)
チェーンのファミリーレストラン
ウエイトレス「きゃあああ食い逃げよ・・・!!待ちなさい!」
サーロインステーキをかじりながら、店内を逃走する若かりし頃のブーちゃん。
出口に集まってくる店員たち。
伝票を突き出すウエイトレス「もう逃げられないわ・・・お会計をしなさい・・・!」
すると、顔を腕で守って、窓ガラスを突き破って店外に逃走を図るブーちゃん。
ウエイトレス「逃げたわ・・・!」
厨房の裏口からコックが現れ、食い逃げ犯につかみかかろうとする。
コック「このガキ・・・この店で最も高いメニューであるサーロインステーキ1kgスペシャルディナーセットを注文しておいて、食い逃げとはいい度胸だ・・・!」
飛び掛かる屈強な大人のコックを、素早い身のこなしで体をさばき、かわすブーちゃん。
ぼそぼそと何かをつぶやく。
コック「なんだと・・・!こんなひどい調理をされちゃ、死んでいった黒毛和牛が浮かばれないだと・・・!?もう容赦しねえ!」
フライパンで殴り掛かるコック。
そのフライパンを中国拳法の発勁で止めてしまうブーちゃん。
銅鑼のような「ぐわ~ん」という音が鳴る。
コック「なんだと・・・!」
フライパンをまともについたので、手を振って痛がるブーちゃん。
コック「なんだ、このガキは・・・!」
ファミレスのメニューを開いて、両手で持ち、扇のように振り回し、コックに打撃を与える。
コック「ぐああああああ!!」
ウエイトレス「あれは・・・春秋戦国時代の伝説の中国拳法・・・索子(ソーズ)孔雀拳・・・!」
・
小さな町中華「桃源楼」
厨房で中華鍋を振っている店主「馬鹿者!」
びくっとするブーちゃん。
店主「わしが頼んだのは出前だ・・・!
ファミリーレストランで食い逃げとは情けない・・・先祖代々の家名を汚すつもりか!
なに!?あんな不味い店に客を取られて、なにが家名だ、だと・・・!?
一人娘だから甘やかしたが・・・もう許さん!わしの四川パンダ拳でお仕置きをしてやる!
かかってこい智子!!」
女将さん「あんた、やめときなよ!お客のカニチャーハンがさめるよ!」
娘に締め上げられる店主「あたたたたた・・・ギブアップ・・・!」
女将さん「智子!放しておやり!
父ちゃんがあんたに拳法を伝承したのは、食い逃げするためじゃないよ!」
店主をはなすブーちゃん。
女将さんが常連客にカニチャーハンを運ぶ「お待たせしました老師・・・」
常連客の小柄な老人「本場中国でもこれほどの中華料理を味わえぬというのに・・・
ファミリーレストランのチェーンに人気を取られるとは・・・世知辛い世の中になったものですな・・・」
店主「長年通っていただいているのに、すいません・・・私の力不足で・・・
あちらさんは資本が巨額で、テレビCMもすごくて・・・
実は・・・この店も地上げの話がありまして・・・
いい機会なんで・・・店をたたんで中国に帰ろうと思ってるんです。」
老師「なんと・・・さみしいですな・・・」
ショックを受けるブーちゃん「!」
店主「・・・なに?親友の乙奈さんと別れるのは許さないだと?
あんな不味い店に負けて悔しくないのか、ばか、はげ、デブ、サモハン・・・
キサマ・・・!親に向かってなんという口のきき方だ・・・!
かかってこい・・・!」
やっぱり娘に締め上げられる店主「あたたたたた・・・ギブアップ・・・!」
老師「ほっほっほ・・・元気のいい娘さんじゃの・・・」
店主「へ・・・へえ・・・じゃじゃ馬娘で手に負えねえんでさあ・・・親として情けない限りで・・・」
老師「お主・・・その怒りを食い逃げではなく、料理にぶつけてみてはどうじゃ・・・?」
ブーちゃん「?」
老師「お主が言う通り、あのファミリーレストランのステーキに2500円の価値なぞない・・・
焼き加減は雑だし、ソースも工夫がない・・・
なぜ、スーパーで半額以下で買える牛肉のステーキを、客はわざわざ外食で食べたいのか・・・?
それは、プロの調理にそれだけの金を払う価値があると考えているからじゃ・・・
お前さんは中国一の料理人の娘じゃ・・・舌は確かであろう・・・
ひとの料理に文句をつけるのではなく・・・文句のない料理をおのれ自身が生み出すじゃ・・・!」
店主「老師・・・しかし、うちの娘は料理の修行などなにも・・・」
老師「店主よ。この娘さん、わしに預けてはくれぬか?」
店主「老師が・・・?」
ブーちゃんの方を向いて老師「わしが、お前さんを一流の料理人に育てて見せようぞ・・・
そして、フランチャイズからこの店を守るのじゃ・・・!」
強く頷くブーちゃん「・・・!」
店主「智子・・・お前本気なのか・・・?料理の修行は、中国武術の何倍も辛く厳しいんだぞ・・・!」
女将さん「あんた・・・止めても無駄だよ。
見てみなよ、智子の目を・・・父ちゃんの店を守りたいって、覚悟を決めた目さ・・・」
店主「智子・・・」
木の棒に風呂敷をひっかけて、老子と共に家を出ていくブーちゃん。
・
人里離れた竹林を歩く老子とブーちゃん。
おなかが鳴るブーちゃん。
老師「・・・腹が減ったか・・・そろそろ食事にするかの。」
よだれを垂らして頷くブーちゃん。
老師「ほっほっほ・・・わしは食えるものなど何も持っとらんぞい・・・
この竹林で現地調達し、調理するのじゃ。
今日のランチの満足度はお主にかかっておるぞ。」
ブーちゃん「・・・!!」
老師「ちなみにこの竹林は、日本なのになぜか人食い虎が生息しているので、山菜狩りの際には用心することじゃ・・・」
散策してキノコを見つけるが、毒を警戒して諦めるブーちゃん。
老師「ほう・・・なかなかやるのう・・・きのこは素人が手を出すと、命を失いかねんほど奥が深い食材・・・懸命な判断じゃ・・・」
しばらくして、筍を見つけて掘り返す。
川で筍を洗うと、生でかじるブーちゃん。
老師「ほっほっほ・・・自分が知っている野菜を食べるのはいいが・・・お前さんは、その野菜のことをどれだけ知っておるのかの・・・?」
ブーちゃん「・・・!」
しばらくすると、腹痛を訴えるブーちゃん。
苦しむブーちゃんを見つめる老師
(生の筍には、シアン系の毒素が含まれておるのじゃ・・・
そのため、筍は必ずゆでてアクを抜く・・・
文明のない大自然に出て初めてわかったであろう・・・
食のありがたみ・・・調理の英知を・・・
この竹林で生き延びよ・・・さすれば・・・お前さんは多くの知恵を学ぶじゃろう・・・)
不法投棄してあった粗大ゴミから鍋を見つけ、川の水をくむ。
水を沸かすため、火を起こそうとするが、なかなか火種ができない。
空腹に耐え兼ねたブーちゃんがとうとう錯乱状態になる。
老師「飢えても己を見失ってはならぬ・・・」
そう言うと、懐からカロリーメイトを出してかじる。
それに気づいたブーちゃんが、老師からカロリーメイトを奪おうと飛びかかってくる。
その攻撃をかわす老師。
空腹のいらいらで、次々に打撃を繰り出してくるブーちゃん。
しかし、カロリーメイトをかじりながらその技をすべてかわす老師。
老師「ほっほっほ・・・拳に力が入ってないのう・・・
悪いことは言わぬ。わしを打つ体力があるうちに、調理を続けたほうがよいぞ・・・」
怒髪天のブーちゃんが渾身の発勁を繰り出すが、老師にかわされ、後ろの巨石を殴ってしまう。
バラバラに砕ける巨石。
老師「・・・なんというパワーじゃ・・・!」
悶絶するブーちゃん。
老師「そりゃ痛いじゃろう・・・お主が砕いたのは太古のマリンスノーが堆積して出来たチャートじゃ・・・モース硬度は7はくだらぬ・・・つまり、鋼も砕くということじゃ・・・」
するとブーちゃんが粗大ゴミの中から金属片を探して、それをチャートの破片で叩きつける。
老師「ふむ・・・正解じゃ・・・」
無事、火打石で火をおこし、鍋で筍を煮るブーちゃん。
老師「お前さんの初めての調理・・・見届けさせてもらおう・・・」
無心で、鍋の中の筍を見つめるブーちゃん。ヨダレがとまらない。
すると、茂みが揺れて、人食い虎が飛び出してくる。
老師「なんと・・・冗談じゃったが、本当におったか・・・!」
虎は、ブーちゃんが楽しみにしていたたけのこの鍋をひっくり返してしまう。
お湯が焚き火に掛かり、消えてしまう火。
二人に牙をむくトラ。
ブーちゃん「・・・・・・!!」
老師「ここはわしが囮になる・・・!逃げるのじゃ・・・!」
虎への恐怖よりも、料理を台無しにされたことへの怒りが勝るブーちゃん。
猛獣のふるう爪をかわし、懐に入り、百烈拳をお見舞いするブーちゃん。
ボコボコにされ「にゃー」と情けない声を上げて逃げ出そうとするトラ。
しかし、ブーちゃんはトラのしっぽを掴んで離さない。
そのまま、ジャイアントスイングをしてトラをチャートの壁に叩きつける。
動かなくなるトラ。
老師「・・・なんじゃと?トラは食えるのかじゃと・・・!?」
トラを竹で串刺しにして、丸焼きにしてしまうブーちゃん。
老師「これがお前さんの最初の料理とは・・・
中国ではその昔、虎肉は不老長寿の薬として食されておったが・・・
現代ではおそらくワシントン条約的にアウトじゃ・・・」
トラの丸焼きを泣きながら食べるブーちゃん。
老師「そうか・・・うまいか・・・それなら、死んだトラも本望じゃろう・・・」
・
ファミリーレストラン「ロイヤルコスト」本社
脚を組んで、キセルを吸う女社長「食い逃げ犯に返り討ちにされたですって・・・?」
コックとウエイトレスたち「・・・・・・。」
社長「こういう時の為に、あんたたちにはユーキャンの通信講座で拳法を取得させたのよ?」
コック「あのデブのガキ・・・索子孔雀拳の使い手で・・・」
ウエイトレス「少林寺拳法3級では歯が立たないです・・・」
社長「言い訳はたくさん。わたしはたった一度の失敗も許さない・・・先生。」
手を叩く社長。
チャイナ服を着たオカマの殺し屋「およびかしら?」
社長「役立たずを始末なさい。」
身構えるコックとウエイトレス。
コックはフライパンを握り、ウエイトレス3人はそれぞれ鉈、鎖鎌、棒を構える。
殺し屋が、指をチョキにして鉈を振るうウエイトレスの目をつぶす。
「きゃああああ!」
殺し屋「上海拳・・・!」
ウエイトレスの鎖鎌をよけると、彼女のエプロンをめくりあげて、顔を覆って縛り上げて、窒息させてしまう。
殺し屋「広東拳・・・!」
棒を振り回す3人目のウエイトレス。
バックステップでかわし、口から火を噴いてウエイトレスを焼いてしまう。
殺し屋「四川拳!!」
コック「ちくしょう!死んでたまるか!!」
殺し屋「あら、いい男じゃな~い」
フライパンをよけて、懐に入りコックにディープキスをする殺し屋。
一気に息を吹き込むと、コックの体が丸く膨らんでしまう。
コック「ぐえええええ!」
破裂するコック。
殺し屋「北京拳!!!」
あっさり四人を倒してしまう殺し屋。
社長「さすがは満漢全席の韓信・・・見事ね・・・」
殺し屋「で?孔雀拳のお嬢ちゃんは何者なの?」
書類を投げる社長「地上げを拒んでいる小汚い町中華の娘よ・・・」
殺し屋「うふふ・・・中華はわたしの十八番よ・・・いいわ。更地にしてあげる。」
・
竹林を下山する2人。
老師「見事この竹林で3か月生き延びた・・・お主に教えることはもうない・・・
命を譲り受けるが、食の真髄・・・忘れるでないぞ・・・」
頷くブーちゃん。
老師「10年後・・・お主が自分の店を構えた時・・・再び会おうぞ。」
タクシーを止めて立ち去る老師。
老師「運転手さん、銀座まで。」
見送るブーちゃん。
その時、ブーちゃんのもとに中華料理屋のバイトの女の子が走ってくる。
バイト「お嬢様・・・!早く店にお戻りください・・・!旦那様と奥様が・・・!!」
ウエイトレス「きゃあああ食い逃げよ・・・!!待ちなさい!」
サーロインステーキをかじりながら、店内を逃走する若かりし頃のブーちゃん。
出口に集まってくる店員たち。
伝票を突き出すウエイトレス「もう逃げられないわ・・・お会計をしなさい・・・!」
すると、顔を腕で守って、窓ガラスを突き破って店外に逃走を図るブーちゃん。
ウエイトレス「逃げたわ・・・!」
厨房の裏口からコックが現れ、食い逃げ犯につかみかかろうとする。
コック「このガキ・・・この店で最も高いメニューであるサーロインステーキ1kgスペシャルディナーセットを注文しておいて、食い逃げとはいい度胸だ・・・!」
飛び掛かる屈強な大人のコックを、素早い身のこなしで体をさばき、かわすブーちゃん。
ぼそぼそと何かをつぶやく。
コック「なんだと・・・!こんなひどい調理をされちゃ、死んでいった黒毛和牛が浮かばれないだと・・・!?もう容赦しねえ!」
フライパンで殴り掛かるコック。
そのフライパンを中国拳法の発勁で止めてしまうブーちゃん。
銅鑼のような「ぐわ~ん」という音が鳴る。
コック「なんだと・・・!」
フライパンをまともについたので、手を振って痛がるブーちゃん。
コック「なんだ、このガキは・・・!」
ファミレスのメニューを開いて、両手で持ち、扇のように振り回し、コックに打撃を与える。
コック「ぐああああああ!!」
ウエイトレス「あれは・・・春秋戦国時代の伝説の中国拳法・・・索子(ソーズ)孔雀拳・・・!」
・
小さな町中華「桃源楼」
厨房で中華鍋を振っている店主「馬鹿者!」
びくっとするブーちゃん。
店主「わしが頼んだのは出前だ・・・!
ファミリーレストランで食い逃げとは情けない・・・先祖代々の家名を汚すつもりか!
なに!?あんな不味い店に客を取られて、なにが家名だ、だと・・・!?
一人娘だから甘やかしたが・・・もう許さん!わしの四川パンダ拳でお仕置きをしてやる!
かかってこい智子!!」
女将さん「あんた、やめときなよ!お客のカニチャーハンがさめるよ!」
娘に締め上げられる店主「あたたたたた・・・ギブアップ・・・!」
女将さん「智子!放しておやり!
父ちゃんがあんたに拳法を伝承したのは、食い逃げするためじゃないよ!」
店主をはなすブーちゃん。
女将さんが常連客にカニチャーハンを運ぶ「お待たせしました老師・・・」
常連客の小柄な老人「本場中国でもこれほどの中華料理を味わえぬというのに・・・
ファミリーレストランのチェーンに人気を取られるとは・・・世知辛い世の中になったものですな・・・」
店主「長年通っていただいているのに、すいません・・・私の力不足で・・・
あちらさんは資本が巨額で、テレビCMもすごくて・・・
実は・・・この店も地上げの話がありまして・・・
いい機会なんで・・・店をたたんで中国に帰ろうと思ってるんです。」
老師「なんと・・・さみしいですな・・・」
ショックを受けるブーちゃん「!」
店主「・・・なに?親友の乙奈さんと別れるのは許さないだと?
あんな不味い店に負けて悔しくないのか、ばか、はげ、デブ、サモハン・・・
キサマ・・・!親に向かってなんという口のきき方だ・・・!
かかってこい・・・!」
やっぱり娘に締め上げられる店主「あたたたたた・・・ギブアップ・・・!」
老師「ほっほっほ・・・元気のいい娘さんじゃの・・・」
店主「へ・・・へえ・・・じゃじゃ馬娘で手に負えねえんでさあ・・・親として情けない限りで・・・」
老師「お主・・・その怒りを食い逃げではなく、料理にぶつけてみてはどうじゃ・・・?」
ブーちゃん「?」
老師「お主が言う通り、あのファミリーレストランのステーキに2500円の価値なぞない・・・
焼き加減は雑だし、ソースも工夫がない・・・
なぜ、スーパーで半額以下で買える牛肉のステーキを、客はわざわざ外食で食べたいのか・・・?
それは、プロの調理にそれだけの金を払う価値があると考えているからじゃ・・・
お前さんは中国一の料理人の娘じゃ・・・舌は確かであろう・・・
ひとの料理に文句をつけるのではなく・・・文句のない料理をおのれ自身が生み出すじゃ・・・!」
店主「老師・・・しかし、うちの娘は料理の修行などなにも・・・」
老師「店主よ。この娘さん、わしに預けてはくれぬか?」
店主「老師が・・・?」
ブーちゃんの方を向いて老師「わしが、お前さんを一流の料理人に育てて見せようぞ・・・
そして、フランチャイズからこの店を守るのじゃ・・・!」
強く頷くブーちゃん「・・・!」
店主「智子・・・お前本気なのか・・・?料理の修行は、中国武術の何倍も辛く厳しいんだぞ・・・!」
女将さん「あんた・・・止めても無駄だよ。
見てみなよ、智子の目を・・・父ちゃんの店を守りたいって、覚悟を決めた目さ・・・」
店主「智子・・・」
木の棒に風呂敷をひっかけて、老子と共に家を出ていくブーちゃん。
・
人里離れた竹林を歩く老子とブーちゃん。
おなかが鳴るブーちゃん。
老師「・・・腹が減ったか・・・そろそろ食事にするかの。」
よだれを垂らして頷くブーちゃん。
老師「ほっほっほ・・・わしは食えるものなど何も持っとらんぞい・・・
この竹林で現地調達し、調理するのじゃ。
今日のランチの満足度はお主にかかっておるぞ。」
ブーちゃん「・・・!!」
老師「ちなみにこの竹林は、日本なのになぜか人食い虎が生息しているので、山菜狩りの際には用心することじゃ・・・」
散策してキノコを見つけるが、毒を警戒して諦めるブーちゃん。
老師「ほう・・・なかなかやるのう・・・きのこは素人が手を出すと、命を失いかねんほど奥が深い食材・・・懸命な判断じゃ・・・」
しばらくして、筍を見つけて掘り返す。
川で筍を洗うと、生でかじるブーちゃん。
老師「ほっほっほ・・・自分が知っている野菜を食べるのはいいが・・・お前さんは、その野菜のことをどれだけ知っておるのかの・・・?」
ブーちゃん「・・・!」
しばらくすると、腹痛を訴えるブーちゃん。
苦しむブーちゃんを見つめる老師
(生の筍には、シアン系の毒素が含まれておるのじゃ・・・
そのため、筍は必ずゆでてアクを抜く・・・
文明のない大自然に出て初めてわかったであろう・・・
食のありがたみ・・・調理の英知を・・・
この竹林で生き延びよ・・・さすれば・・・お前さんは多くの知恵を学ぶじゃろう・・・)
不法投棄してあった粗大ゴミから鍋を見つけ、川の水をくむ。
水を沸かすため、火を起こそうとするが、なかなか火種ができない。
空腹に耐え兼ねたブーちゃんがとうとう錯乱状態になる。
老師「飢えても己を見失ってはならぬ・・・」
そう言うと、懐からカロリーメイトを出してかじる。
それに気づいたブーちゃんが、老師からカロリーメイトを奪おうと飛びかかってくる。
その攻撃をかわす老師。
空腹のいらいらで、次々に打撃を繰り出してくるブーちゃん。
しかし、カロリーメイトをかじりながらその技をすべてかわす老師。
老師「ほっほっほ・・・拳に力が入ってないのう・・・
悪いことは言わぬ。わしを打つ体力があるうちに、調理を続けたほうがよいぞ・・・」
怒髪天のブーちゃんが渾身の発勁を繰り出すが、老師にかわされ、後ろの巨石を殴ってしまう。
バラバラに砕ける巨石。
老師「・・・なんというパワーじゃ・・・!」
悶絶するブーちゃん。
老師「そりゃ痛いじゃろう・・・お主が砕いたのは太古のマリンスノーが堆積して出来たチャートじゃ・・・モース硬度は7はくだらぬ・・・つまり、鋼も砕くということじゃ・・・」
するとブーちゃんが粗大ゴミの中から金属片を探して、それをチャートの破片で叩きつける。
老師「ふむ・・・正解じゃ・・・」
無事、火打石で火をおこし、鍋で筍を煮るブーちゃん。
老師「お前さんの初めての調理・・・見届けさせてもらおう・・・」
無心で、鍋の中の筍を見つめるブーちゃん。ヨダレがとまらない。
すると、茂みが揺れて、人食い虎が飛び出してくる。
老師「なんと・・・冗談じゃったが、本当におったか・・・!」
虎は、ブーちゃんが楽しみにしていたたけのこの鍋をひっくり返してしまう。
お湯が焚き火に掛かり、消えてしまう火。
二人に牙をむくトラ。
ブーちゃん「・・・・・・!!」
老師「ここはわしが囮になる・・・!逃げるのじゃ・・・!」
虎への恐怖よりも、料理を台無しにされたことへの怒りが勝るブーちゃん。
猛獣のふるう爪をかわし、懐に入り、百烈拳をお見舞いするブーちゃん。
ボコボコにされ「にゃー」と情けない声を上げて逃げ出そうとするトラ。
しかし、ブーちゃんはトラのしっぽを掴んで離さない。
そのまま、ジャイアントスイングをしてトラをチャートの壁に叩きつける。
動かなくなるトラ。
老師「・・・なんじゃと?トラは食えるのかじゃと・・・!?」
トラを竹で串刺しにして、丸焼きにしてしまうブーちゃん。
老師「これがお前さんの最初の料理とは・・・
中国ではその昔、虎肉は不老長寿の薬として食されておったが・・・
現代ではおそらくワシントン条約的にアウトじゃ・・・」
トラの丸焼きを泣きながら食べるブーちゃん。
老師「そうか・・・うまいか・・・それなら、死んだトラも本望じゃろう・・・」
・
ファミリーレストラン「ロイヤルコスト」本社
脚を組んで、キセルを吸う女社長「食い逃げ犯に返り討ちにされたですって・・・?」
コックとウエイトレスたち「・・・・・・。」
社長「こういう時の為に、あんたたちにはユーキャンの通信講座で拳法を取得させたのよ?」
コック「あのデブのガキ・・・索子孔雀拳の使い手で・・・」
ウエイトレス「少林寺拳法3級では歯が立たないです・・・」
社長「言い訳はたくさん。わたしはたった一度の失敗も許さない・・・先生。」
手を叩く社長。
チャイナ服を着たオカマの殺し屋「およびかしら?」
社長「役立たずを始末なさい。」
身構えるコックとウエイトレス。
コックはフライパンを握り、ウエイトレス3人はそれぞれ鉈、鎖鎌、棒を構える。
殺し屋が、指をチョキにして鉈を振るうウエイトレスの目をつぶす。
「きゃああああ!」
殺し屋「上海拳・・・!」
ウエイトレスの鎖鎌をよけると、彼女のエプロンをめくりあげて、顔を覆って縛り上げて、窒息させてしまう。
殺し屋「広東拳・・・!」
棒を振り回す3人目のウエイトレス。
バックステップでかわし、口から火を噴いてウエイトレスを焼いてしまう。
殺し屋「四川拳!!」
コック「ちくしょう!死んでたまるか!!」
殺し屋「あら、いい男じゃな~い」
フライパンをよけて、懐に入りコックにディープキスをする殺し屋。
一気に息を吹き込むと、コックの体が丸く膨らんでしまう。
コック「ぐえええええ!」
破裂するコック。
殺し屋「北京拳!!!」
あっさり四人を倒してしまう殺し屋。
社長「さすがは満漢全席の韓信・・・見事ね・・・」
殺し屋「で?孔雀拳のお嬢ちゃんは何者なの?」
書類を投げる社長「地上げを拒んでいる小汚い町中華の娘よ・・・」
殺し屋「うふふ・・・中華はわたしの十八番よ・・・いいわ。更地にしてあげる。」
・
竹林を下山する2人。
老師「見事この竹林で3か月生き延びた・・・お主に教えることはもうない・・・
命を譲り受けるが、食の真髄・・・忘れるでないぞ・・・」
頷くブーちゃん。
老師「10年後・・・お主が自分の店を構えた時・・・再び会おうぞ。」
タクシーを止めて立ち去る老師。
老師「運転手さん、銀座まで。」
見送るブーちゃん。
その時、ブーちゃんのもとに中華料理屋のバイトの女の子が走ってくる。
バイト「お嬢様・・・!早く店にお戻りください・・・!旦那様と奥様が・・・!!」
40代突入
2024-03-05 22:08:31 (1 year ago)
-
カテゴリタグ:
- 雑記
10年もあった30代があっけなく終了してしまった・・・
もう学生気分を改めないといけないのか・・・ということで、私もいい年なので住宅ローンを考えてみたいと思います。私に金融機関の信用があるのかは、かなり怪しいが・・・
でも、まあ、40代はもう大人なんだから、自分を棚に上げたり、居直ることが許される年齢だと思うので、今後もふてぶてしく生きていきたいと思います。
最近、ユーチューブで個人塾を経営している「マスクド先生」のチャンネルが好きで(特に2号が好き)、よく見てるんですけど、今回店舗付きの住宅を購入する可能性があるので、とうとう自分の学習塾が立ち上げられるのかもしれないのだ・・・!家から小学校や中学校も近いしな。つーか、かつて働いていた中学校が近いしな。
ちなみに、最近カラコロッタが「まぼろしの桃源郷」に変わったが、はっきり言ってバージョンダウン。まごうことなきクソゲー。
10球続くのが稀になったし、ワンダーチャンス中に終了してもSPポケットで3球復活する仕様になった反面、特殊マスがかなり間引かれた。勝てん・・・!
とはいえ、フローズンアイランドよりも、ジャックポットが出やすくなった気もするので、いよいよ通常ゲームは空気となったらしい。こっちが心配するくらいの爆発力があったコロッタタワーも予想通り下方修正されたしな。



待望のアメジストジャックポットチャンス。マーブルフィーバーのジャックポットチャンスのように3ラウンド制になったが、最終的にサファイアジャックポットチャンスになるので、これってサファイアをダラダラ長くやってんじゃねーかって思ってはいけない。
ちなみに、初見時に深夜まで粘って、1万枚超の高額アメジストジャックポットチャンスまで行けたのだが、そこで店が閉店し抽選の様子が見れなかったのは内緒だ(ハズレメダルを後日アテンダントしてもらいました)。


バースデープレゼントということで1万枚の純増・・・!去年の今頃は35万枚の預けメダルがまだあったそうだが、これで去年の水準までに戻した。つーか、10ベットでよく戻せたな。戻せるんだな。

誕生日にメダルが増えたのは嬉しいが、こんな悲報も・・・全国的にレアなオンラインのフォーチュントリニティ3を5に魔改造するのは失策だと思うぞ、伊勢崎レジャーランドよ・・・
ユーチューブでちょこちょこFT5の動画を見たが、全く面白くなさそう。音楽も演出もクソ。マンネリ。FT4から、世界観が迷走し、ジャックポットの払い出しがチョロチョロになり、本当に私の中でこのシリーズは終焉した。むしろ、3から2に遡って欲しかったくらいよ。
もう学生気分を改めないといけないのか・・・ということで、私もいい年なので住宅ローンを考えてみたいと思います。私に金融機関の信用があるのかは、かなり怪しいが・・・
でも、まあ、40代はもう大人なんだから、自分を棚に上げたり、居直ることが許される年齢だと思うので、今後もふてぶてしく生きていきたいと思います。
最近、ユーチューブで個人塾を経営している「マスクド先生」のチャンネルが好きで(特に2号が好き)、よく見てるんですけど、今回店舗付きの住宅を購入する可能性があるので、とうとう自分の学習塾が立ち上げられるのかもしれないのだ・・・!家から小学校や中学校も近いしな。つーか、かつて働いていた中学校が近いしな。
ちなみに、最近カラコロッタが「まぼろしの桃源郷」に変わったが、はっきり言ってバージョンダウン。まごうことなきクソゲー。
10球続くのが稀になったし、ワンダーチャンス中に終了してもSPポケットで3球復活する仕様になった反面、特殊マスがかなり間引かれた。勝てん・・・!
とはいえ、フローズンアイランドよりも、ジャックポットが出やすくなった気もするので、いよいよ通常ゲームは空気となったらしい。こっちが心配するくらいの爆発力があったコロッタタワーも予想通り下方修正されたしな。



待望のアメジストジャックポットチャンス。マーブルフィーバーのジャックポットチャンスのように3ラウンド制になったが、最終的にサファイアジャックポットチャンスになるので、これってサファイアをダラダラ長くやってんじゃねーかって思ってはいけない。
ちなみに、初見時に深夜まで粘って、1万枚超の高額アメジストジャックポットチャンスまで行けたのだが、そこで店が閉店し抽選の様子が見れなかったのは内緒だ(ハズレメダルを後日アテンダントしてもらいました)。


バースデープレゼントということで1万枚の純増・・・!去年の今頃は35万枚の預けメダルがまだあったそうだが、これで去年の水準までに戻した。つーか、10ベットでよく戻せたな。戻せるんだな。

誕生日にメダルが増えたのは嬉しいが、こんな悲報も・・・全国的にレアなオンラインのフォーチュントリニティ3を5に魔改造するのは失策だと思うぞ、伊勢崎レジャーランドよ・・・
ユーチューブでちょこちょこFT5の動画を見たが、全く面白くなさそう。音楽も演出もクソ。マンネリ。FT4から、世界観が迷走し、ジャックポットの払い出しがチョロチョロになり、本当に私の中でこのシリーズは終焉した。むしろ、3から2に遡って欲しかったくらいよ。
『青春アタック』脚本㉞已己巳己
2024-03-01 21:56:45 (1 year ago)
白亜高校の体育館ではいつにもまして練習に熱が入る。
部員の先頭に立ってジョギングする花原「ここ~で勝ったら12億!はい!」
部員たち「12億!12億!!」
華白崎(・・・なんつー品のない掛け声なんだ・・・)
体育館に入ってくる病田「すごい気合・・・」
タバコを吸うさくら「・・・なんだかんだで、全国ベスト3だからね・・・
部員の士気は高いよ。
華白崎さんの徹底した基礎練習・・・
マッスルくんの筋力トレーニング・・・
小早川さんの走力トレーニングに・・・
ブーちゃんの食事管理・・・
部員の健康チェックは私がやってるし。
ここにきてインフルエンザで出場停止はしょっぱいからねえ・・・」
病田「・・・ありがとう。監督を引き受けてくれて。
部員の子達・・・あんなに嬉しそう・・・」
さくら「礼ならあの子達に言いなよ。私は勝てる可能性がなければ絶対引き受けない。」
病田「そうだね・・・次はどんな作戦?」
さくら「・・・作戦は・・・もうない。」
病田「・・・え?」
さくら「この作戦は、もともと3戦で優勝することを前提で立てていた。
3戦くらいなら、運動経験のないあの子たちも体力の限界が来る前に勝ち越せると思ったから。
しかし・・・今回の引き分け試合で、その目はなくなった。
裏工作の資金も枯渇。
やってくれたわ・・・クローン少女・・・」
病田「それなら、別の作戦を立てれば・・・」
さくら「ねえ先生・・・最高の教師ってどんな先生だか知ってる?」
病田「・・・え?」
さくら「教職の授業で習わなかった?」
病田「・・・なんだっけ・・・」
さくら「生徒の心に火を付ける教師らしいよ。」
部員たちのジョギングを眺める2人の教師。
さくら「あの子らには、もう私の小細工は必要ないのかもしれない・・・」
ジョギングする花原「借金帳消し12億!はい!!」
病田「あ、そうそう・・・健康チェックと言ったら・・・
高体連の方から部員に健康診断をさせてほしいという依頼が来ています・・・」
笑うさくら「さすがの破門戸も感染症が怖いか。」
病田「抗原検査と、血中の抗体検査をさせてほしいと・・・」
さくら「血液サンプルを送ればいいんでしょ?後でやっとくよ。
私、人に尖ったものを突き刺すの大好きだから・・・」
病田「お願いします。」
・
詩留々高専
保健室で寝ているバレー部員たち。
それを扉から見つめるりかぜ「・・・・・・。」
廊下のベンチに座っているスバル「・・・動けそうな部員は・・・?相馬原は?中之条は・・・?」
黙って首を振るりかぜ。
壁を殴るスバル「くそ・・・!みんな故障かよ・・・!」
りかぜ「あの鮎原姉妹との一戦で、我々は肉体の限界を超えてしまった・・・」
スバル「・・・ちくしょー!せっかく海野にリベンジができるチャンスが来たってのによ・・・!」
スバルの隣に来るりかぜ「・・・ボス・・・」
スバル「うちの心が読めるなら、そっとしておいてくれねえか・・・」
春高バレーバトルロイヤル大会のルールブックをめくるりかぜ「・・・策ならあります。」
スバル「今から部員を勧誘するのか?」
頷くりかぜ
スバル「無理だ・・・!試合は明日だぞ?」
りかぜ「約束したでしょう・・・あなたを一番高い表彰台に立たせると。」
スバル「・・・なんで、うちにそこまでしてくれるんだ・・・?」
りかぜ「・・・あなただけは・・・私を差別しなかった。」
立ち上がって歩いていくりかぜ。
・
高体連本部ビル
ビル内のセキュリティを管理するコントロールルーム。
防犯モニターを見つめる狩野「・・・・・・。」
りかぜがラップトップを操作して、高体連のセキュリティシステムをハッキングしている。
腕時計を見るりかぜ「5、4、3、2、1、・・・」
モニターが反応する。
狩野「・・・見て。」
黒服の警備員「なにか・・・?」
狩野「ドアのセキュリティシステムが停止してしまった。」
警備員「ああ・・・さっき業者が定期メンテナンスをすると言っていました。」
狩野「・・・そう・・・。」
ビル内に侵入して、ロックが外れたドアをこじ開け、冷蔵庫に入っていくりかぜ。
タンクの蓋を引き上げると、中には白亜高校の部員の血液サンプルが冷凍保存されて入っている。
シェービングクリームの容器の蓋を開けて、血液サンプルを一つずつ入れていくりかぜ。
りかぜ「・・・高木智子・・・乙奈姫櫨美・・・華白崎桐子・・・」
別のタンクに移る。
りかぜ「・・・生原血織・・・花原恵菜・・・そして・・・
海野美帆子・・・」
・
華蔵寺公園
野球場はナイターになっている。
実況「芝生の上を転がるボール
ただ目で追うよ Sunny Day Sunday!
全国1億5千万人のバレーボールファンの皆さん、こんばんは!
春の高校バレー、バトルロイヤル大会もいよいよ準決勝を迎えました!
あの絶対王者、聖ペンシルヴァニア大附属と五分の激戦を繰り広げた、群馬県の詩留々高専に挑むのは、千葉県の新星、初出場の白亜高校・・・!
この試合の勝者が賞金総額12億円をかけた鮎原姉妹との挑戦権を得ます・・・!」
球場の真ん中にあるバレーボールコートに整列する白亜高校バレー部と、詩留々高専のスバルとりかぜ。
りかぜ「前回の反省を踏まえて、気温の下がる夜に試合を設定しました・・・
これなら空気の密度が高いので神風は吹きません・・・」
スバル「なるほど・・・しかし、大丈夫か?目の下のクマがすごいけど・・・」
りかぜ「だいじょうぶよ・・・」
スバル「この試合は7イニング制で行くぜ?今回は延長ありだ。
この試合に引き分けはねえ。」
海野「OKよ。楽しみましょう。」
花原「ちょっと、あんたたち2人だけ?ほかのメンバーは?」
ちおり「あと4人連れてこないと、不戦敗になるよ!」
乙奈「ありましたわね・・・そういうことも・・・」
りかぜ「・・・私は体が弱いので戦えませんが・・・あなたたちの相手は造ったわ。」
海野「・・・造った・・・?」
球場に大型トレーラーが入ってくる。
花原「・・・もしかして・・・あの体育館にあったバレーボールマシン?」
ちおり「でもレシーブはどうやんの?」
花原「・・・うん・・・」
りかぜ「いでよ・・・これが私の最高傑作・・・」
荷台の扉がゆっくりと開いていく。
すると、中には海野そっくりのアンドロイドが5人立っている。
りかぜ「バレーボーロイド、UMX12よ・・・!」
花原「なんだって~~!!」
ちおり「海野さんが5人に増えたよ!」
乙奈「違いますわ、ご本人を入れると6人ですわ・・・!」
海野「わ・・・私にそっくり・・・!こ・・・これ、本当にロボットなの?」
花原「・・・あんた・・・クローンがクローンを作ったんじゃないでしょうね・・・」
海野ロボットは水色のSFアニメのようなユニフォームを着ている。
海野ロボの一人に近づき、髪の毛を書き上げてこめかみを見せるりかぜ
「ここが主電源ボタン。」
華白崎「・・・信じられない・・・し、しかし、アンドロイドを出場させていいんですか?」
りかぜ「ルールブックには書いてない・・・」
花原「そりゃ書いてないでしょうよ・・・!」
海野ロボに近づいていくちおり「すご~い!こんにちは!!」
すると、海野ロボが返事をする「はじめまして。水野美帆子です。私はこの大会が終わったらピーナツ農園に売られるの、よろしくね!」
花原「・・・声もそっくり・・・なんか気持ち悪いわね・・・」
別の海野ロボ「なに?あんたロボットを差別すんの?」
花原「・・・え?」
海野ロボ「天才科学者の火野美帆子よ。水野さん、気にすることないわ。」
水野「う・・・うん・・・」
火野「夏休みの自由研究で水爆を作ってIAEAに厳重注意を受けた私のガチバレーにあなたたちはついていけるかしら?おほほほ!!」
ちおり「・・・なんか誰かに似てない?」
口が開けっ放しの花原「・・・・・・。」
月野「にゃー!月野美帆子だよ!好きな雑草はハルジオンです!希望を捨てなければ絶対勝てるわ!」
飛び上がって喜ぶちおり「うおー!私もいる~~!!」
月野「こんちゃー!」
メガネをなおす金野美帆子「はあ・・・くだらないわ・・・こんな試合はとっとと終わらせて、バレー部は廃部よ。」
木野美帆子「まあまあ・・・長い目で見たらどうですか?この試合で優勝すれば、わたくしたちアンドロイドへの偏見も変わっていくと思いますわよ・・・」
花原「ちょっと待てーい!!水野美帆子まではわかる!なんで、ほかの中身が私たちになってるのよ!」
りかぜ「・・・なにか問題でも?」
華白崎「これは・・・自分との戦いになりますね・・・」
乙奈「傍から見たら、ひょうきんな海野さんがわたくしたちのモノマネをしているように見えますわ・・・」
海野「・・・な、なんで私のロボットなんか・・・」
スバル「・・・わかんない?去年あんたに負けた復讐だよ。」
病田「・・・どうせなら鮎原姉妹のロボットを造ればいいのに・・・」
さくら「・・・いや・・・連中にとっては海野さんは鮎原以上に乗り越えるべき壁なのよ。」
病田「・・・もしバレーの技術もコピーしていたら・・・?互角・・・?」
さくら「・・・いや結構やばいね・・・ロボットに疲労はない・・・」
病田「そんな・・・」
さくら「なあに、必ず穴はあるさ・・・私はもう見つけたよん。」
スバル「さあ、プレイボールだ!」
・
実況「先攻は勝ち数が多いチームとなります!共に2勝ですが、詩留々高専の引き分け試合が加算されるため、詩留々高専の攻撃からスタートです!」
スバル「頼んだぞ、木野美帆子・・・!」
サービスエリアに入る木野「やるだけやってみますわ・・・え~い!」
めちゃくちゃな軌道を描くサーブ。
花原「・・・な、なによあれ・・・!!」
華白崎「・・・乙奈さんの無回転フローターサーブだ・・・!!」
ちおり「まかして!て~い!」
ちおりが飛び込みレシーブしょうとボールに突っ込むが、軌道が変わり花原にぶつかって二人共倒れる。
花原「ぎゃああ!!」
スバル「おっしゃー!まずは先制だ!」
海野「乙奈さんのサーブまでコピーしてる・・・!」
木野の変化球サーブに翻弄される白亜高校。
ちおり「・・・あれってどうレシーブするのが正解なの?」
乙奈「わたくしにもわかりませんわ・・・」
スバル「言い忘れたが、10点以上点差がつくとコールド負けになるぜ!」
火野「おっしゃー!木野さん、とっととサーブで勝負を決めなさい!」
金野「・・・それ以外はあなたはからっきしダメですからね・・・」
木野「ご・・・ごめんなさい・・・」
水野「やめなよ・・・そんな言い方・・・」
金野「私は事実を申し上げたまでです。我々が守備に回ったとき、いの一番に敵に狙われるのは、レシーブができない木野さんだ。」
火野「そのとおり!」
金野「それと、火野さんです。このふたりははっきり言って戦力外ですね。」
火野「・・・え?」
芝をむしって食べる月野「芝生うめ~・・・」
スバル「おいおい、お前ら試合に集中してくれよ。」
花原「・・・わたしたちあんなに仲が悪かったっけ・・・?」
華白崎「・・・ええ・・・」
海野「これ以上点差を広げると、きびしいわ・・・私が下がるね・・・」
木野がサーブを打つ。
風船のようにふわふわ向かってくるボール。
海野(ふわふわ漂って・・・どこかで突然勢いをなくして落ちるんだ・・・
そこを狙う・・・!)
すると、ネットを超えた時点でいきなりストンと落ちるボール。
海野(しまった・・!落下タイミングが早い・・・!)
飛び込みレシーブでぎりぎりボールを上げる海野。
海野「誰か!リカバーを!」
乙奈「は・・・はい・・・!」
なんとか、レシーブをして相手のコートに入れる。
スバル「チャンスボールだ!」
水野「おっけー!」
水野が綺麗にレシーブを上げる。
月野がトスをして、火野が強力なスパイクを打つ。
花原の顔面にめり込むスパイク。
花原「ぐげえええ!!」
海野「花原さん・・・!」
主審の笛。
火野「見たか~!」
火野に飛びつく月野「火野さん天才~!」
混ざっているちおり「かっけー!」
華白崎「だめだ・・・!海野部長でも乙奈さんのサーブは予測できない・・・!」
海野「みんなごめん・・・動きが完全にランダムだから反応しきれない・・・」
花原「・・・どうするのよ・・・海野さんが拾えないなら、誰も拾えないわよ・・・!」
乙奈「な・・・なんかすいません・・・あんなサーブを打って・・・」
スコアを付ける山村「あれを完璧にレシーブできたのは野生のイノシシだけだ・・・
どうするのだ監督。」
さくら「・・・そうだっけ?まあ、野生のイノシシができたことを人間様ができないわけはないでしょ」
山村「・・・。いや、普通にできないだろ・・・
それに、花原さんのスパイクも模倣されている・・・
うちのチームを完全コピーしてくるとは、悪趣味極まりないぞ・・・」
さくら「・・・ねえマッスルくん。向こうのチームは本当に完全コピーかな?」
山村「姿が海野部長でなかったら、見分けがつかないと思うが・・・」
さくら「一人足りないんじゃない?
乙奈さんのサーブを誰よりもとなりで見続けてきた天才リベロがいるでしょう・・・」
気づく山村「・・・!ブー料理長がいない・・・!」
さくら「きっと、あのロボットはこの前の試合で部員が負傷でもして、急ごしらえで揃えたものなのよ・・・だから、必要最低限の5台しか用意ができなかった・・・
見なさい。あの天才少女の顔を・・・どう見ても寝不足のそれよ。」
山村「・・・確かに・・・」
病田「でも・・・向こうはなぜブーちゃんだけを外したんですか・・・?」
タバコに火を付けるさくら
「・・・理由はわからないけど・・・それが詩留々高専の致命的なミスなのは確かよ。」
となりで聞いているりかぜ「・・・致命的なミス・・・?冗談じゃないわ・・・
あの高木智子という謎の人物の血液があの給食のおばさんのものだったのは気づかなかった・・・
しかし・・・ブーちゃんのテクニックはレシーブとパスが多少上手なだけ・・・
身長もないし、悪いけれど海野部長の下位互換に過ぎないわ・・・
この勝負、私達の勝ちよ・・・!」
木野がサーブを打つ「たあ~」
怯える花原「ひいい!来た・・・!」
海野「ボールをよく見て・・・!」
華白崎「集中です・・・!」
その時、一人だけブーちゃんは目を閉じる。
精神を研ぎ澄ませて集中すると、ボールが空気を切り裂く音だけが聞こえる。
老師(少女よ・・・目で見えるものに惑わされてはならぬ・・・
デカ盛り・・・激辛・・・インスタ映え・・・それらは命をいただく食材への冒涜じゃ。
まだわからんか?
料理の真髄・・・それは作り手の・・・)
カッと目を見開くブーちゃん。
老師(心じゃよ・・・!)
木野の変化球サーブをレシーブするブーちゃん。
スバル「何いいい!!?返した!!」
りかぜ「馬鹿な・・・!」
部員の先頭に立ってジョギングする花原「ここ~で勝ったら12億!はい!」
部員たち「12億!12億!!」
華白崎(・・・なんつー品のない掛け声なんだ・・・)
体育館に入ってくる病田「すごい気合・・・」
タバコを吸うさくら「・・・なんだかんだで、全国ベスト3だからね・・・
部員の士気は高いよ。
華白崎さんの徹底した基礎練習・・・
マッスルくんの筋力トレーニング・・・
小早川さんの走力トレーニングに・・・
ブーちゃんの食事管理・・・
部員の健康チェックは私がやってるし。
ここにきてインフルエンザで出場停止はしょっぱいからねえ・・・」
病田「・・・ありがとう。監督を引き受けてくれて。
部員の子達・・・あんなに嬉しそう・・・」
さくら「礼ならあの子達に言いなよ。私は勝てる可能性がなければ絶対引き受けない。」
病田「そうだね・・・次はどんな作戦?」
さくら「・・・作戦は・・・もうない。」
病田「・・・え?」
さくら「この作戦は、もともと3戦で優勝することを前提で立てていた。
3戦くらいなら、運動経験のないあの子たちも体力の限界が来る前に勝ち越せると思ったから。
しかし・・・今回の引き分け試合で、その目はなくなった。
裏工作の資金も枯渇。
やってくれたわ・・・クローン少女・・・」
病田「それなら、別の作戦を立てれば・・・」
さくら「ねえ先生・・・最高の教師ってどんな先生だか知ってる?」
病田「・・・え?」
さくら「教職の授業で習わなかった?」
病田「・・・なんだっけ・・・」
さくら「生徒の心に火を付ける教師らしいよ。」
部員たちのジョギングを眺める2人の教師。
さくら「あの子らには、もう私の小細工は必要ないのかもしれない・・・」
ジョギングする花原「借金帳消し12億!はい!!」
病田「あ、そうそう・・・健康チェックと言ったら・・・
高体連の方から部員に健康診断をさせてほしいという依頼が来ています・・・」
笑うさくら「さすがの破門戸も感染症が怖いか。」
病田「抗原検査と、血中の抗体検査をさせてほしいと・・・」
さくら「血液サンプルを送ればいいんでしょ?後でやっとくよ。
私、人に尖ったものを突き刺すの大好きだから・・・」
病田「お願いします。」
・
詩留々高専
保健室で寝ているバレー部員たち。
それを扉から見つめるりかぜ「・・・・・・。」
廊下のベンチに座っているスバル「・・・動けそうな部員は・・・?相馬原は?中之条は・・・?」
黙って首を振るりかぜ。
壁を殴るスバル「くそ・・・!みんな故障かよ・・・!」
りかぜ「あの鮎原姉妹との一戦で、我々は肉体の限界を超えてしまった・・・」
スバル「・・・ちくしょー!せっかく海野にリベンジができるチャンスが来たってのによ・・・!」
スバルの隣に来るりかぜ「・・・ボス・・・」
スバル「うちの心が読めるなら、そっとしておいてくれねえか・・・」
春高バレーバトルロイヤル大会のルールブックをめくるりかぜ「・・・策ならあります。」
スバル「今から部員を勧誘するのか?」
頷くりかぜ
スバル「無理だ・・・!試合は明日だぞ?」
りかぜ「約束したでしょう・・・あなたを一番高い表彰台に立たせると。」
スバル「・・・なんで、うちにそこまでしてくれるんだ・・・?」
りかぜ「・・・あなただけは・・・私を差別しなかった。」
立ち上がって歩いていくりかぜ。
・
高体連本部ビル
ビル内のセキュリティを管理するコントロールルーム。
防犯モニターを見つめる狩野「・・・・・・。」
りかぜがラップトップを操作して、高体連のセキュリティシステムをハッキングしている。
腕時計を見るりかぜ「5、4、3、2、1、・・・」
モニターが反応する。
狩野「・・・見て。」
黒服の警備員「なにか・・・?」
狩野「ドアのセキュリティシステムが停止してしまった。」
警備員「ああ・・・さっき業者が定期メンテナンスをすると言っていました。」
狩野「・・・そう・・・。」
ビル内に侵入して、ロックが外れたドアをこじ開け、冷蔵庫に入っていくりかぜ。
タンクの蓋を引き上げると、中には白亜高校の部員の血液サンプルが冷凍保存されて入っている。
シェービングクリームの容器の蓋を開けて、血液サンプルを一つずつ入れていくりかぜ。
りかぜ「・・・高木智子・・・乙奈姫櫨美・・・華白崎桐子・・・」
別のタンクに移る。
りかぜ「・・・生原血織・・・花原恵菜・・・そして・・・
海野美帆子・・・」
・
華蔵寺公園
野球場はナイターになっている。
実況「芝生の上を転がるボール
ただ目で追うよ Sunny Day Sunday!
全国1億5千万人のバレーボールファンの皆さん、こんばんは!
春の高校バレー、バトルロイヤル大会もいよいよ準決勝を迎えました!
あの絶対王者、聖ペンシルヴァニア大附属と五分の激戦を繰り広げた、群馬県の詩留々高専に挑むのは、千葉県の新星、初出場の白亜高校・・・!
この試合の勝者が賞金総額12億円をかけた鮎原姉妹との挑戦権を得ます・・・!」
球場の真ん中にあるバレーボールコートに整列する白亜高校バレー部と、詩留々高専のスバルとりかぜ。
りかぜ「前回の反省を踏まえて、気温の下がる夜に試合を設定しました・・・
これなら空気の密度が高いので神風は吹きません・・・」
スバル「なるほど・・・しかし、大丈夫か?目の下のクマがすごいけど・・・」
りかぜ「だいじょうぶよ・・・」
スバル「この試合は7イニング制で行くぜ?今回は延長ありだ。
この試合に引き分けはねえ。」
海野「OKよ。楽しみましょう。」
花原「ちょっと、あんたたち2人だけ?ほかのメンバーは?」
ちおり「あと4人連れてこないと、不戦敗になるよ!」
乙奈「ありましたわね・・・そういうことも・・・」
りかぜ「・・・私は体が弱いので戦えませんが・・・あなたたちの相手は造ったわ。」
海野「・・・造った・・・?」
球場に大型トレーラーが入ってくる。
花原「・・・もしかして・・・あの体育館にあったバレーボールマシン?」
ちおり「でもレシーブはどうやんの?」
花原「・・・うん・・・」
りかぜ「いでよ・・・これが私の最高傑作・・・」
荷台の扉がゆっくりと開いていく。
すると、中には海野そっくりのアンドロイドが5人立っている。
りかぜ「バレーボーロイド、UMX12よ・・・!」
花原「なんだって~~!!」
ちおり「海野さんが5人に増えたよ!」
乙奈「違いますわ、ご本人を入れると6人ですわ・・・!」
海野「わ・・・私にそっくり・・・!こ・・・これ、本当にロボットなの?」
花原「・・・あんた・・・クローンがクローンを作ったんじゃないでしょうね・・・」
海野ロボットは水色のSFアニメのようなユニフォームを着ている。
海野ロボの一人に近づき、髪の毛を書き上げてこめかみを見せるりかぜ
「ここが主電源ボタン。」
華白崎「・・・信じられない・・・し、しかし、アンドロイドを出場させていいんですか?」
りかぜ「ルールブックには書いてない・・・」
花原「そりゃ書いてないでしょうよ・・・!」
海野ロボに近づいていくちおり「すご~い!こんにちは!!」
すると、海野ロボが返事をする「はじめまして。水野美帆子です。私はこの大会が終わったらピーナツ農園に売られるの、よろしくね!」
花原「・・・声もそっくり・・・なんか気持ち悪いわね・・・」
別の海野ロボ「なに?あんたロボットを差別すんの?」
花原「・・・え?」
海野ロボ「天才科学者の火野美帆子よ。水野さん、気にすることないわ。」
水野「う・・・うん・・・」
火野「夏休みの自由研究で水爆を作ってIAEAに厳重注意を受けた私のガチバレーにあなたたちはついていけるかしら?おほほほ!!」
ちおり「・・・なんか誰かに似てない?」
口が開けっ放しの花原「・・・・・・。」
月野「にゃー!月野美帆子だよ!好きな雑草はハルジオンです!希望を捨てなければ絶対勝てるわ!」
飛び上がって喜ぶちおり「うおー!私もいる~~!!」
月野「こんちゃー!」
メガネをなおす金野美帆子「はあ・・・くだらないわ・・・こんな試合はとっとと終わらせて、バレー部は廃部よ。」
木野美帆子「まあまあ・・・長い目で見たらどうですか?この試合で優勝すれば、わたくしたちアンドロイドへの偏見も変わっていくと思いますわよ・・・」
花原「ちょっと待てーい!!水野美帆子まではわかる!なんで、ほかの中身が私たちになってるのよ!」
りかぜ「・・・なにか問題でも?」
華白崎「これは・・・自分との戦いになりますね・・・」
乙奈「傍から見たら、ひょうきんな海野さんがわたくしたちのモノマネをしているように見えますわ・・・」
海野「・・・な、なんで私のロボットなんか・・・」
スバル「・・・わかんない?去年あんたに負けた復讐だよ。」
病田「・・・どうせなら鮎原姉妹のロボットを造ればいいのに・・・」
さくら「・・・いや・・・連中にとっては海野さんは鮎原以上に乗り越えるべき壁なのよ。」
病田「・・・もしバレーの技術もコピーしていたら・・・?互角・・・?」
さくら「・・・いや結構やばいね・・・ロボットに疲労はない・・・」
病田「そんな・・・」
さくら「なあに、必ず穴はあるさ・・・私はもう見つけたよん。」
スバル「さあ、プレイボールだ!」
・
実況「先攻は勝ち数が多いチームとなります!共に2勝ですが、詩留々高専の引き分け試合が加算されるため、詩留々高専の攻撃からスタートです!」
スバル「頼んだぞ、木野美帆子・・・!」
サービスエリアに入る木野「やるだけやってみますわ・・・え~い!」
めちゃくちゃな軌道を描くサーブ。
花原「・・・な、なによあれ・・・!!」
華白崎「・・・乙奈さんの無回転フローターサーブだ・・・!!」
ちおり「まかして!て~い!」
ちおりが飛び込みレシーブしょうとボールに突っ込むが、軌道が変わり花原にぶつかって二人共倒れる。
花原「ぎゃああ!!」
スバル「おっしゃー!まずは先制だ!」
海野「乙奈さんのサーブまでコピーしてる・・・!」
木野の変化球サーブに翻弄される白亜高校。
ちおり「・・・あれってどうレシーブするのが正解なの?」
乙奈「わたくしにもわかりませんわ・・・」
スバル「言い忘れたが、10点以上点差がつくとコールド負けになるぜ!」
火野「おっしゃー!木野さん、とっととサーブで勝負を決めなさい!」
金野「・・・それ以外はあなたはからっきしダメですからね・・・」
木野「ご・・・ごめんなさい・・・」
水野「やめなよ・・・そんな言い方・・・」
金野「私は事実を申し上げたまでです。我々が守備に回ったとき、いの一番に敵に狙われるのは、レシーブができない木野さんだ。」
火野「そのとおり!」
金野「それと、火野さんです。このふたりははっきり言って戦力外ですね。」
火野「・・・え?」
芝をむしって食べる月野「芝生うめ~・・・」
スバル「おいおい、お前ら試合に集中してくれよ。」
花原「・・・わたしたちあんなに仲が悪かったっけ・・・?」
華白崎「・・・ええ・・・」
海野「これ以上点差を広げると、きびしいわ・・・私が下がるね・・・」
木野がサーブを打つ。
風船のようにふわふわ向かってくるボール。
海野(ふわふわ漂って・・・どこかで突然勢いをなくして落ちるんだ・・・
そこを狙う・・・!)
すると、ネットを超えた時点でいきなりストンと落ちるボール。
海野(しまった・・!落下タイミングが早い・・・!)
飛び込みレシーブでぎりぎりボールを上げる海野。
海野「誰か!リカバーを!」
乙奈「は・・・はい・・・!」
なんとか、レシーブをして相手のコートに入れる。
スバル「チャンスボールだ!」
水野「おっけー!」
水野が綺麗にレシーブを上げる。
月野がトスをして、火野が強力なスパイクを打つ。
花原の顔面にめり込むスパイク。
花原「ぐげえええ!!」
海野「花原さん・・・!」
主審の笛。
火野「見たか~!」
火野に飛びつく月野「火野さん天才~!」
混ざっているちおり「かっけー!」
華白崎「だめだ・・・!海野部長でも乙奈さんのサーブは予測できない・・・!」
海野「みんなごめん・・・動きが完全にランダムだから反応しきれない・・・」
花原「・・・どうするのよ・・・海野さんが拾えないなら、誰も拾えないわよ・・・!」
乙奈「な・・・なんかすいません・・・あんなサーブを打って・・・」
スコアを付ける山村「あれを完璧にレシーブできたのは野生のイノシシだけだ・・・
どうするのだ監督。」
さくら「・・・そうだっけ?まあ、野生のイノシシができたことを人間様ができないわけはないでしょ」
山村「・・・。いや、普通にできないだろ・・・
それに、花原さんのスパイクも模倣されている・・・
うちのチームを完全コピーしてくるとは、悪趣味極まりないぞ・・・」
さくら「・・・ねえマッスルくん。向こうのチームは本当に完全コピーかな?」
山村「姿が海野部長でなかったら、見分けがつかないと思うが・・・」
さくら「一人足りないんじゃない?
乙奈さんのサーブを誰よりもとなりで見続けてきた天才リベロがいるでしょう・・・」
気づく山村「・・・!ブー料理長がいない・・・!」
さくら「きっと、あのロボットはこの前の試合で部員が負傷でもして、急ごしらえで揃えたものなのよ・・・だから、必要最低限の5台しか用意ができなかった・・・
見なさい。あの天才少女の顔を・・・どう見ても寝不足のそれよ。」
山村「・・・確かに・・・」
病田「でも・・・向こうはなぜブーちゃんだけを外したんですか・・・?」
タバコに火を付けるさくら
「・・・理由はわからないけど・・・それが詩留々高専の致命的なミスなのは確かよ。」
となりで聞いているりかぜ「・・・致命的なミス・・・?冗談じゃないわ・・・
あの高木智子という謎の人物の血液があの給食のおばさんのものだったのは気づかなかった・・・
しかし・・・ブーちゃんのテクニックはレシーブとパスが多少上手なだけ・・・
身長もないし、悪いけれど海野部長の下位互換に過ぎないわ・・・
この勝負、私達の勝ちよ・・・!」
木野がサーブを打つ「たあ~」
怯える花原「ひいい!来た・・・!」
海野「ボールをよく見て・・・!」
華白崎「集中です・・・!」
その時、一人だけブーちゃんは目を閉じる。
精神を研ぎ澄ませて集中すると、ボールが空気を切り裂く音だけが聞こえる。
老師(少女よ・・・目で見えるものに惑わされてはならぬ・・・
デカ盛り・・・激辛・・・インスタ映え・・・それらは命をいただく食材への冒涜じゃ。
まだわからんか?
料理の真髄・・・それは作り手の・・・)
カッと目を見開くブーちゃん。
老師(心じゃよ・・・!)
木野の変化球サーブをレシーブするブーちゃん。
スバル「何いいい!!?返した!!」
りかぜ「馬鹿な・・・!」
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