『不思議の国のアリス』のキャラクターについて

 『アリス・イン・ワンダーランド』関連記事、第4弾。ここまで引っ張ったのは『アバター』の「ガイア理論」「バイオフィリア仮説」以来ですね。

 前にも書いたのですが、『不思議の国のアリス』の面白さは所謂「内輪ネタ」で、ファンじゃないと分からないものが多いと思います。
 そこで映画に出てきた『不思議の国のアリス』キャラの元ネタのようなものを、かいつまんでまとめてみようと思います。※この解説は私の主観が多少含まれている可能性があります。ご了承ください。

「アリス・リデル」
 いわずもがな。主人公です。彼女はリデル家三姉妹の次女で、大学構内でルイス・キャロル(=数学者チャールズ・ラトウィッジ・ドジスン)と出会います。
 カメラオタクのパイオニアであったドジスンは、その後もリデル三姉妹と度々遊び、彼女の写真を残しています。意外だと思うかもしれませんが、実は『不思議の国のアリス』当時の8歳のアリスさん、ダークブラウンのショートヘアが似合う女の子で、ルイス・キャロル自身が手掛けた挿絵ではちゃんとショートになっています。

 いわゆる我々のイメージする「アリス」は、著名な画家ジョン・テニエル氏の挿絵のイメージで、テニエル氏はてっきり「アリス」をブロンドのロングヘアの女の子と勘違いしてしまったようです。
 さらに『不思議の国のアリス』は出版当初、ぶっちゃけあまり売れませんでした。英国でのヒットは、その後のテニエルの挿絵によるものが大きく、まさに内容ではなく絵で売れていったという、「漫画は絵じゃねえ!内容だ!」と息巻く私にとっては大変耳の痛い話であります・・・

 ちなみにお父さんは、映画のような実業家ではなく、なんと学校の校長先生。このお父さんはめっちゃエリートで、ギリシャ語辞典の編纂や、ヴィクトリア女王の旦那さんの宗教の相談役も務めていました。これはパブリックスクールが「スコラ哲学」の思想の下、つまりキリスト教と大きく結びついていたわけで、特にアリスの時代(=ヴィクトリア朝)の教育は「THE禁欲」。とても厳しいものでした。

「リデル家三姉妹」
 アリスの兄弟は男女合わせて10人いて、姉のロリーナと妹のイーディスは『不思議の国のアリス』の作中の挿絵でも、かの有名な「ジャムタルト裁判」の陪審員を務める鳥の役で登場しています。アリスに比べてなんとも・・・な扱いかもしれませんが、これはいわゆる言葉遊び(ダジャレ)で、姉ロリーナはインコ(英語でローリイ)、妹イーディスはワシ(イーグレット)となります。
 彼女らがドジスンにお話をせがまなければ、穴に落ちた後の展開を全く考えていなかった(!)という即興の作り話『不思議の国のアリス』は誕生しませんでした。

「アヒル」
 コーカースレースなどのガヤとして登場。このアヒルはルイス・キャロルの友人「ロビン・ダックワース」氏です。まさに友情出演ですね。

「ドードー」
 私が大好きなキャラ。『アリス・イン・ワンダーランド』の造形はピカ1でした!
 ドードーは、簡単なことも、わざと難しい言い回を用いて喋るキャラクターで、これは英国中流階級のスノッブを皮肉っていると考えられています。
 ドードーは自身が取り仕切るコーカースレースを優勝したアリスになんと優勝賞品として「“アリスの(!)”指抜き」を贈呈しました。めちゃくちゃな野郎ですw。
 アニメ版の偉そうなイメージはけっこう原作の雰囲気を捉えていたのではないでしょうか。
 Yukiko T.さんが指摘するように、あれはルイス・キャロル(=ドジスン)自身がモデルなのでは?という説があります。ドジスンは吃音癖があり、かしこまった自己紹介の時には、どもって「ドドド…」と言ってしまったらしく、そこから「ドードー」と。
 ちなみにドードーは架空の鳥ではなく、無人島のモーリシャス島に生息していたハトの仲間です。映画『アイスエイジ』でもいい味出していましたが、実はついこないだ(=17世紀)まで生き残っており、リョコウバトと同じく人間によって滅ぼされました。人懐こかったため、こん棒でぶたれたとか言う説もありますが、人間が島に持ち込んだ犬や家畜に殺されてしまったようです。
 長年の悠々自適な無人島ライフで、飛ぶのをやめて翼を退化させたドードーは、敏捷な彼らの牙から逃れることができませんでした。

「チェシャ猫」
 『アリス・イン・ワンダーランド』では人気が高いようですが、そもそも「チェシャ」とはなんなのでしょうか。これは「チェシャ州(チーズの名産地)の猫」と言う意味(クルミ=チェスナッツの樹の上の猫と言う説もあり)だとされています。
 あのニヤニヤ笑いは写真オタクのキャロルが笑顔の子どもの写真を撮るとき、チーズを出した逸話が元ネタと言われています。そう、なんと「ハイ、チーズ!」はここから来たとか。
 チェシャ猫の面白いところは徹底した「傍観者」であるという事。敵か味方か分からない不気味さがあります。私が好きなシーンは、ハートの女王がチェシャ猫の首をはねよ!と命令するシーンです。その時チェシャ猫は、頭を残し体が消えていたので「陛下!この猫どこが首か解りません!」と処刑人が狼狽するのは笑っちゃいました。

「マッド・ハッター」
 いかれ帽子屋には実在のモデルがいたという説は根強く、オックスフォードに店を構え、シルクハットを磨く水銀でいかれた帽子屋さんがモデルだとか、常にシルクハットをかぶり、「ミスタービーン」のような「目覚まし機能付きベッド(時間になるとベッドから落とされるw)」などを発明した、いかれた家具屋「セオフィラス・カーター」氏がモデルだとも言われています。

「マッド・ティーパーティ」
 ヴィクトリア朝のイギリスを語る上で、お茶はかかせないでしょう。アメリカに対する「東インド会社」の紅茶の強引な安売りが、見事に裏目に出た「ボストン茶会事件」や、英国植民地のインドが茶の産地になった事はあまりにも有名です。
 ここで皮肉っているのは私は「マナー」だと思います。イギリスの食文化は味が乏しい反面、マナーがすごいといいます(実際味付けは、かなり乏しいです。素材の味を大切にしてるとも言えますが・・・)。
 三月ウサギの家の前でのお茶会はマナーもへったくれもありません。パンカスのついたナイフをバターに戻すわ、しまいには出席者の一人ヤマネをティーポットになぜか入れてしまいます。アニメ版では、(これもなぜか)最初からポットに入っていましたが・・・
 東京ディズニーランドで売っているお茶会のオルゴールは秀逸だと思っています。

「ヤマネ」
 『アリス・イン・ワンダーランド』では涙の洪水の「ネズミ」と一緒のキャラにされていましたが、原作のヤマネは「眠りネズミ」だけあって昼間は常にうとうとしています。
 お話をせがまれると、目をこすりながら「糖蜜の井戸に住む三姉妹」という突っ込みどころ満載な話をしてくれますが、アリスのように即座に突っ込んで話の腰を折ってはいけません。ヘソを曲げていじけてしまいますw。
 彼が歌うマザーグースの「キラキラお星様」の替え歌「トゥインクルトゥインクルリトルバット」という曲は『アリス・イン・ワンダーランド』でも歌われましたが、この曲のコウモリはオックスフォード大学の「バーソロミュー・プライス教授」の愛称が「コウモリ」だったことに由来しているそうで、まさに私の『トカノマン』ばりの「内輪ネタ」。こんなの解るわけないだろw。

「カラスと書きもの机のなぞなぞ」
 ジョニー・デップ演じる帽子屋も出題したなぞなぞ。答えが気になった方もいると思いますが、これは三谷幸喜さんの作品の「赤い洗面器の男」と同じ「マクガフィン」で、答えはありません。そもそもアドリブで作った話なので、けっこう適当なんです。
 しかし「これではあまりにひどい」という事で、キャロル自身再版時の改訂で解答例をいくつか出しています。「カラスも机もnote(鳴き声、ノート)を出します」とか「nevar(=
never)の逆がraven(カラス)」とか、そんな解答です。
 この手の言葉遊びは続編『鏡の国のアリス』で「鏡文字」「カバン語(複数の言葉を一つの言葉としてくっつける。「ツルピカ」とかそんな感じ)」とさらに高度になり、英語が出来ないとついていけませんw。 

「グリフォン」
 『アリス・イン・ワンダーランド』では登場が見送られましたが、この怪獣はオックスフォード大学の寮の紋章にもなっている「学問の象徴」として作中登場しています。
 パブリックスクールをはじめとする当時の英国の英才教育はとっても厳格で、『ロッキングオン』編集者のスズキアカネさんによれば、異性を彷彿とさせるならばピアノの脚の脚線美すら封印したそうです。ひええ。
 そんな厳格で由緒正しきグリフォンに、まあ見事に破綻した教育事情を語らせるのは、キャロルにも何か意図があったんだと思います。
 私はこの章が最も好きで、「読み方(Reading)と書き方(Writing) 」を「這い方(Reeling)と悶え方(Writhing)」とか、英語のダジャレだらけのゾーンは絶句しますw。「社会」→「醜怪」「理科」→「美化」とか和訳した人、本当にお疲れ様でした・・・

「モックタートル」
 グリフォンの相方キャラですね。ウミガメの体に仔牛の頭と言うシュールな造形は見事。これは当時のレストランが高級料理「ウミガメスープ」と言いながら、ウシの肉を使っていたことに由来しています。つまり食品偽造問題のメタファーです。昔からあったんですね。
 彼は「時間割は最初に10時間あって、一日ごとに授業数を割っていく、だから、じ・か・ん・わ・り♪」とかほざくんですけど、アリスの「じゃあ11日目は?」という的確な突っ込みを見事にスル―してくれますw。

「ハートの女王」
 これは言うまでもなく英国の階級社会のメタファーでしょう。「アッパークラス」という上流階級(ようは王侯貴族)は、ほんの一握りで1000人もいません。
 いわゆる英国紳士は「ミドルクラス」と言われる階級なのですが、ミドルクラスは日本の「一億総中流」のイメージでとらえてしまうと誤解が生じます。彼らはイギリス人口の30%ほどで、ほとんどが労働者階級(著名なサッカー選手やロックスターはこの階級出身)なのです。
 ちなみにイギリスでは労働者とミドルクラスは一杯吞みに行くパブも、読む新聞も違うと言います。ただサッチャー政権時の話なので今もどうかはわかりませんが、多分現在もあまり変わってないと思います。イギリスって「己の分を知る」と言うか、そういう国だと思いますw。

 最後に参考文献の紹介を。『概説イギリス文化史』(ミネルヴァ書房)は、読みやすくてかなりお勧めです。
 これさえ読めばメイド喫茶だって100倍楽しめると思います。すいません嘘です。

私が『アリス・イン・ワンダーランド』の脚本を書くなら・・・

 映画『アリス・イン・ワンダーランド』関連記事、第3弾。今回は「アリス」とハリウッド映画の相性について。
 なにせ片や英国、片やアメリカですからね。相性が悪いのは仕方がないこと?イギリスの「タイムズ」とか読んでいる保守層はアメリカが嫌いとか・・・・苦笑
 そもそもハリウッドは、どんな人でも見てくれるようにあまり頭を使わずに楽しめる(失礼な話ですが、ここは結構重要なポイントだと思う)大作娯楽映画を「収益目標、製作費の2倍!」と綿密な計画に基づいて制作していきます。
 ただ『不思議の国のアリス』の面白さは、大衆向けアメリカ映画のような頭を使わず感覚に訴えてくる性質のようなものでなく、かなり知的。さすがブリティッシュジョークって感じのものです。
 アメリカ映画が「派手」だとすればイギリス文学はちょっと「地味」で、そう考えるとディズニーのアニメ映画はかなりうまくやったと思います。

 イギリス文学の地味なイメージを「こんなんじゃ娯楽作品にならないよ」と、すべて取り払いアメリカ的に仕上げヒットした『指輪物語』の例もありますから(これもうるさ型原作ファンは怒っただろうな・・・)、『不思議の国のアリス』だっていっそ原作をもっと無視して全く新しい話にしちゃえばよかったのに、そこがちょっとイギリスに配慮したのか、中途半端だったからつまらなかったんだと思います。
 私の尊敬する「優しい巨人」マイクル・クライトンは『ロストワールド』の映画化の際にこう言いました。「ぼくの原作小説をふまえなくてもいい。私は好きに描くから、きみ(スピルバーグ)は好きに撮ってくれ。表現媒体が違うのだから、それぞれにあった手法があるのは当たり前で、原作者が原作と違うところを詮索するのは失礼なことだ。」
 ほえ~!かっこいいいいいいい!私の大好きな言葉です。

 つまり原作をふまえているかどうかではなく、面白いかどうかをクリエイタ―ならば最優先にすべきだということでしょう。確かに小説に、そして映画に合った表現と言うのはあります(漫画はけっこう映画よりかな?)。
 正直言って『不思議の国のアリス』の原作の面白さのキモは映像化しづらいものだと思います。
 それは当時のイギリスの事情や文化、作者のルイス・キャロル、アリス・リデルのバックボーンを知らないと楽しめない、つまり「内輪ネタ」作品であり、そもそも川遊びの際にキャロルがアリスにせがまれて苦し紛れに話した即興の物語(『不思議の国のアリス』のパイロット版『地下の国のアリス』はここで生まれました)なのだから無理もない。

 では、ぶつくさ文句言っている私が万が一『アリス・イン・ワンダーランド』の脚本家だったらどうしたでしょうか。
 とりあえず原作の面白さは泣く泣く捨てます。原作ファンですが、だってイギリス人以外には面白さ伝わらないですから・・・(BGMは勿論「桃太郎電鉄」の名曲「さよならウニ丼屋」)
 で、「アリスはやっぱり少女のままが良かった」という人もいますが、私は少女のままだとやっぱり厳しいと思うのです。原作の焼き直しになっちゃうし。ここは原作脱却の意味も含めて「アリス19歳」の設定は採用したいと思います。
 ただアリスの性格は確実に変えます!『アリス・イン・ワンダーランド』のアリスは皆さん指摘していますが、いつも顔色が悪い陰気な女で、ワンダーランドに行っても全然楽しそうじゃないんです。
 原作のアリスはやたら順応性高かったですからね。あんないかれた世界行っても、動じね~wって。
 そこで私があの映画を作るとしたら、19歳になっても未だに「動物さんたちがお話してくるの♪」と妄想癖が治っていない・・・悪く言えば危ない女性にしたいですw。
 つまり映画『魔法にかけられて』でアニメの世界から現実にやってきたプリンセスのような感じですね。もちテンション高いはっちゃけたコメディ映画にしますよ。私なら。

 で、結婚のくだりも相手からのプロポーズをはなから嫌がるのではなく、設定を変更し「いい加減いい歳だから恋愛もしたいし、かなり美人なんだけど、性格が結構アレなので何度もお見合いに失敗(相手に逃げられている!)している三姉妹の売れ残り」といった感じにします。
 で、物語で出会う男性は最初失笑だったけど、そんなアリスを初めて受け入れてくれそうな優しくハンサムでセクシーな男性で・・・まあ、そんな感じ。だから私版『アリス・イン・ワンダーランド』はアリスは結ばれます!

 話の展開はこんな感じです。
①幼少期のシーン
②19歳のアリスが数々のお見合いを失敗し「101回目のプロポーズ」状態と化しているシーン
③101回目のお見合い(まじかい)で運命の王子様と出会うシーン
④自分を受け入れてくれそうな王子様に自分の話が妄想じゃないと立証するため、庭で走るウサギをつかまえようと追いかけて“案の定”穴に落ちる。
⑤ワンダーランドの住人に恋愛や将来について相談するアリス。
⑥でもみんないかれているからろくに相談相手にならない。ここらへんでラブコメ的ギャグの応酬!館内爆笑。
⑦ワンダーランドの住人をアリス以外の人にも見せれるたった1つの「方法」があることをキャタピラーかなんかに教えてもらうアリス。
⑧この「方法」は、白の女王に秘薬を作ってもらうとか、赤の女王を懲らしめるとか、ジャバちゃんを倒すとか・・・なんでもいいと思うのですが、ここは『鏡の国のアリス』をふまえてアリスがクイーンに「プロモーション(チェスの歩である「ポーン」は8列目まで無事に到達すると好きなコマになれること。大体みんな最強の「クイーン」になる)」でいきましょう!
⑨見事大冒険の末ワンダーランドのクイーンとなったアリスは、ワンダーランドに王子様を招待し子どものように楽しく遊ぶ
⑩ワンダーランドの住人にお礼と再会を約束して二人で夢から覚める
⑪アリスは愛する旦那様と結ばれ、その想像力を駆使して童話作家になったそうな。めでたし×2。

 ここでぜひ入れたいのが、現実の愛する男性(これはアリスが大人になるという象徴)と、いかれつつも楽しい不思議の国(これは大人になりきれない子どものアリスの象徴)との間の葛藤です!
 しかし私としては、どちらかを選ぶのではなく、ワンダーランドを大切な思い出として残したまま成長して欲しいんです。アリスは「どちらも選ぶぞ」という。
 大体成長って、子どもを捨てて大人になるとかそういうことじゃないですしね。

 私もアリスに負けず劣らずの妄想ぶりですが、脚本考える人なんて多かれ少なかれこんな感じです。多分。しかしこの脚本も賛否両論あるだろうな・・・やっぱ「アリス」の映画化は難しい!
 あ、ちなみに監督はティム・バートン監督よりも『ナイトミュージアム』シリーズのショーン・レヴィ監督の方がこの話には合うかも。

アイ・アム・レジェンド

 「面白い度☆☆ 好き度☆」

 テレビでやってたので見ました。世界中の人間がいなくなって、ウィル・スミス演じる細菌学者?のロバート・ネビルさん一人だけになってしまうという物語なのですが・・・これ、実は私の漫画『innocent garden』と同じ内容(オチ)なのではないか?とドキドキしてたんです。
 でもただのゾンビ映画でよかった~!本当に良かった。まあ『innocent garden』のようなオチの映画も探せば絶対あるでしょうけど。

 誰もいない貸しきり状態のニューヨークをウィル・スミスとイヌが意外と呑気に(ただし昼だけ)生活しているのですけど、このイヌのサムが超超超かわいい・・・!
 これCGじゃないですよね?動物プロダクションの俳優犬ですよね?なんて演技がうまい奴なんだ・・・!
 正直、千両役者のこいつがこの映画のおいしいところ全部持ってちゃった感があって、ワンちゃんが亡くなってからは、はっきり言って物語はどうでもよくなっちゃったことをここで白状します。サムが死んだこの映画なんてもういい!って(馬鹿)。

 なんというか、この映画はいろんな意味で今一つな感じで、上手く言えないのですけど、結局ウィルひとりぼっちと言う設定の割には、イヌが死んでからけっこうすぐに感染してない人間の母子に出会うし、なんか愛犬が死んでこれからが孤独との本当の戦いだ・・・!ってなるのかと思いきや、そんな展開にならなかったのが意外。
 だから、ここまでやるならあの親子出さずに、いっそラストまでウィル・スミスの一人芝居ものにして、殺人ウィルス感染者の「ダークシーカー(人間をイヌを使って襲う感染者。つるっぱげで超人的な力があるが、夜行性で光に弱い)」とのやり取りに描写を絞っても良かったのでは?
 そうするとラストのネビル博士がシーカー達に語りかけるシーンがもっと説得力が増したような・・・でも、どうなんだろ?
 ネビル博士はダークシーカーを人に戻すワクチンを開発するためにダークシーカーを捕獲し実験台にするのですが、そのつかまったダークシーカーを助けに彼らは襲ってくるんですよ。
 つまりダークシーカー側から見たら、おっかないのは仲間を捕獲し薬の実験台にしてしまうネビル博士だったという(しかも実験失敗で何人も殺してる)。

 でもそういう話ってたしか他にありましたよね。あの藤子・F・不二雄先生もパロディにした吸血鬼の話で、K氏によれば藤子先生版では、感染をただひとり生き延びた男が、ラストで吸血鬼につかまり感染しちゃうんですけど、結局感染してもあまり前と変わらなくて、生活が夜型になっただけだったwという内容らしいです。
 そもそもこの映画ってその話(『地球最後の男』)のリメイクなのか(今気づいた)。ああそうか。かなり雰囲気が違いますね。

 そう考えるとこの前のスピルバーグの『宇宙戦争』と同じで「今さらなぜSFの古典を?」っていう人もいるんでしょうね。
 descf氏は『宇宙戦争』の設定はかなり突っ込みまくってました。火星人にあんなにすごい科学力があるなら、地球が安全に住めるかどうか調べてから侵略しろよ、とw。
 まあ一応火星人はトライポッドで地球の環境を火星化しようと試みてはいましたよ。でもちょっと計算が違ったんでしょうね。けっこう思っていたより厳しかったとw。
 私はスピルバーグ版『宇宙戦争』は、ロボット兵器が原作通り「トライポッド」だったので、それだけで満足でした。あれはよかった。造形的にも怖かったし。
 『宇宙戦争』の映画版は『インデペンデンス・デイ』などいくつかありますが、トライポッドは初の映像化だと思います(古い『宇宙戦争』はUFOのてっぺんに熱線銃がついているようなデザインでした)。

 なんか話がそれましたけど、強引に結論を言うならば『アイ・アム・レジェンド』の話がちょっと惜しいというか、いまいちなのは、古典の名作のリメイクだから仕方がなかったってことなんでしょうね。

トラックバックができない・・・?

 このブログは「チカッパ!ブログ」というらしいのですが、dario氏が放置したものを機械音痴の私が借りているので、詳しい機能が解らないんです。
 最近やっとブログの醍醐味と言われる「トラックバック」の方法を知ったのですが、こちらからTBはできるのに他のブログからはTBができないようです・・・これだと一方的でとても失礼ですよね・・・
 ブログの愛称によってトラックバックが出来ない場合はあるらしいのですが・・・調べてみたいと思います。

 追記:設定で「英語のみのTBとリンクのないTBを許可しない」のチェックを変更しました。

鋭い指摘です

 私は漫画の脚本を素人なりにも書くので、脚本面で偉そうに酷評してしまった『アリス・イン・ワンダーランド』ですが、一緒に見に行ったA氏が、映画『フック』との類似性を指摘。
 私は『フック』は見たことがないのですが、彼女の話によれば、かつてピーターパンだった中年(笑)が再びネバーランドに行くのですけど、彼はピーターパンのころの記憶を失っていて、少しずつかつての記憶を取り戻し、ピーターパンとなって冒険するようです。
 こ・・・これは19歳のアリスが、再びワンダーランドを冒険する『アリス・イン・ワンダーランド』とそっくりの設定ですね!

 そういえばあの映画のアリスは、苗字が「プレザンス・リデル」じゃなかった(キングスレー)ので確かに水煙管のキャタピラーがいうように「別のアリス」なんですね。
 あと本当のアリス・リデルには姉妹は二人いる(ロリーナとイーディス)のですけど、映画はマーガレットという美しい既婚者のお姉さんだけ登場していました。
 しかしこの映画のアリス、常に顔色悪かったですよね?あれはヴィクトリア朝の当時ああいう化粧が流行っていたのでしょうか?
 それとアリスはあの映画でワンダーランドを救い、もうひとまわり強くなったという事ですが、単に毒舌になっただけのような・・・
 その後アリス・キングスレーは女性実業家となり、中国との交易を目指し大海原に繰り出すのですが(ここでパイレーツ・オブ・カリビアンのテーマが流れたら爆笑だったな)、これってあの東インド会社・・・?
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