最近職員室の新聞を見るのが楽しい。ウチは読売と地方紙の2誌をとっているんだけれど、学校には朝日新聞などもあって新聞社ごとのカラーが楽しめる。
例えば読売新聞なんて語り口はソフトだけどメチャクチャ民主党が嫌いで自民党LOVEなのがわかるし、逆に朝日新聞は自民党政権に対しては冷ややか。
個人的には私も今の自民党人気には懐疑的だから(アベノミクスってなんじゃら)、シンパシーを感じるのはどっちかというと朝日新聞なんだけど、そういう政治的なスタンスは私にとってはそんなに重要じゃない。
朝日新聞が面白いのは記事のバラエティというか、とにかくツボを付いたニュースが多い印象がある。風営法でクラブのダンスが細かく規制されているという記事もあれば、ガンダムについて有識者が語る連載があったりw
今日はガンダムユニコーンの作者がコメントしてたんだけど、「壮大なスケールをテーマにしたアニメが富野さん(=伝説巨神イデオン)以降はほとんどない」とか言ってて親近感を感じたね。
まあアニメの話はどうでもいいんだけど、国際問題で言えば、昨日の二面では南アフリカ共和国のサイを「なりすまし猟」で流通させちゃっている問題を取り上げていたんだけど、こういう話ってなかなか世の中について考えさせられる。
なりすまし猟というのは、南アフリカは外貨を稼ぐために観光客にビッグゲームハンティングということでサイを狩らせているんだけど、その記念としてサイの角を持ち帰るのは公認しているんだって。
だからその法の抜け穴を利用して、はなから売買目的でバイトの人に適当にハンティングをさせて(素人なのでサイなんて仕留められないから最終的に同行したプロにやってもらう)、サイの角を国外に運んじゃうんだってw
なにしろサイの角はアジアではとっても需要が高く、今ではなんと金よりも価値があるらしい。もちろん密猟も横行しているんだけど、今回の事件はもっと厄介だ(サイの死体の前で記念撮影もさせる念の入り用!)。
それなら、そんなハンティングやめちゃえばいいじゃんって気もするけれど、そこで得たお金でサイの保護や繁殖に当てているのでなんとも皮肉な話。なにやるにしてもお金がかかるのだ。
今日は西アフリカにある国「マリ」のクーデターについて載っていたんだけど、なんとこの問題はリビアのカダフィ大佐が倒されたことと関係があるんだって。
カダフィ政権が倒れたことで、カダフィ側で戦ってたイスラム系遊牧民族トゥアレグがマリに武器を持ち帰り、マリの政府軍を圧倒しているんだって。
本当はイスラム教っていうのは異文化に寛容なはずなんだけど、貴重な文化遺産も破壊されまくっているから、ほっとくわけにも行かず旧宗主国のフランスが軍事介入しているというわけらしい。世界はつながっているんだなあ。
こういうニュースって物語を作るときにもすっごい役に立つのは言うまでもない。社会や世界に興味を持つのは無駄ではないからね。
マロさんは「新聞は2紙以上取りなさいって昔のマンガ家は編集者に忠告されたそうですね」って言ってたんだけど、確かに『こち亀』の秋本先生なんかも新聞を何紙もとって、興味深い記事はスクラップにしているんだ。
あの時は単純に「よく読む時間あるな」位にしか思ってなかったんだけど、いよいよ私も真似しようかなあwチョキチョキ。
プロメテウス
2013-01-12 13:18:31 (10 years ago)
-
カテゴリタグ:
- 映画
「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆」
知ってどうするんです?
多分、そこが人間とロボットの違いなのかも。
公開時からいろいろ賛否両論だった映画。『エイリアン』や『アメリカン・ギャングスター』のリドリー・スコット監督。
人類はなぜ生まれ、どこに行くのか?その手の普遍的な問の答えって、結局とんちみたいなものしか出ない。でも人類にメタ思考ができるようになっちゃったのが運の尽き。答えを求めずにはいられない。
だから人類は宗教や哲学、自然科学を生み出した。神でもなんでもいいから「お前たち人類が生まれたのには意味があるんだよ」って言って欲しい。理由が知りたい。理由があるなら。
人が私(ロボット)を作ったわけは?
作れたから。
もし創造主がそう答えたらあなたは失望するでしょう。
公開当時には「アメリカは結局創造説」とか「キャラの動機がよくわからない」色々言われたけど、私はこの映画・・・すっごい楽しかった。
漫画の脚本で似たような設定(木星の考古学者の話)をやろうとしているから、ビジュアルイメージの参考に見たってだけだったんだけど、いや~見てよかった。
楽園で知恵の果実をかじっちゃった人間の、純粋かつ凶暴な知的欲求を描きたかったんだって考えると、綺麗にまとまってはいるし、クロワッサンが空から墜落したり、妊婦がイカを出産したり、主人公の吹き替えが致命的だったりは私にとってはツッコミどころではなく、おバカな魅力として作用した。
悔しいかな、同じく『2001年宇宙の旅』をモチーフにしたエヴァンゲリオンの時もそうだったんだけど、私って結局笑ってしまうとその映画の評価が上がってしまう。どんなに嫌いな作品でも笑わせられちゃうとOKOKになっちゃって、つまらない作品とはどうしても思えない。笑いは正直だからね。
こういうこと言うと、いつも「馬鹿にしてるんでしょ」って言われるんだけど、それは全く違う。人が生まれてから死ぬまでの間の辛い人生に、笑いという花を咲かせるのはなかなか尊く、難しいことだ。
それを一生懸命やっているひとを私は尊敬こそすれ、馬鹿にはしない。じゃあこんな馬鹿な映画作れるのかって問いたいよ。大人になるとなかなか馬鹿なものに全エネルギーを傾けるってことができなくなる。
うんこマンちんこマンとか描いていると、ある時ふと「これを28歳で描く意味はあるのか?理由は??」と冷静になってしまってなんかバカバカしくなっちゃう。時間的余裕も限られているからね。そうだな、この「歳をとると描く理由を求めずにはいられなくなっちゃう病気」をプロメテウス病と名付けようw
ただ、ひとつわがままを言わせてもらうなら、あのラストは余計だったかな。リドリー・スコット監督のファンサービスだったんだろうけど、あれでB級ホラー映画みたいなオチになっちゃったわけで。
というか私はエイリアンのあのデザインがあまり好きじゃない。なんかやりすぎって感じがするんだよな。装飾を付け足しすぎというか・・・成田享さんのウルトラ怪獣に見られるようなシンプルな美しさがない。
とはいえアメリカのクリーチャーのちょっとグロイ感じとかは、日本人ってなかなか出せないから羨ましいけどね。ジュラシックパークの恐竜のデザインを見たとき、芋の煮っ転がしからハンバーグになったような衝撃((C)毒蝮三太夫)を受けたもの。この恐竜は生きてる!って。
話が脱線したけれど、というわけで、まあ、最初は剛力さんによる女性科学者の吹き替えが前代未聞のレベルだったんだけど、意外と映画の内容も最終的にはバカ全開だったから(空飛ぶクロワッサンあたりでもうどうでも良くなった)、最後の方は違和感感じなかったんだよな。慣れってすごい。
このキャスティングは剛力彩芽ファンを劇場に呼ぶための、毎度お馴染みのあざといマーケティングだったんだろうけど、私、最終的にこの映画における剛力の投入には何かもっと深い意味があったんじゃないかって考えているからね。
剛力彩芽「死ねえええええ~~!!!!」(今回のベストアクト)
知ってどうするんです?
多分、そこが人間とロボットの違いなのかも。
公開時からいろいろ賛否両論だった映画。『エイリアン』や『アメリカン・ギャングスター』のリドリー・スコット監督。
人類はなぜ生まれ、どこに行くのか?その手の普遍的な問の答えって、結局とんちみたいなものしか出ない。でも人類にメタ思考ができるようになっちゃったのが運の尽き。答えを求めずにはいられない。
だから人類は宗教や哲学、自然科学を生み出した。神でもなんでもいいから「お前たち人類が生まれたのには意味があるんだよ」って言って欲しい。理由が知りたい。理由があるなら。
人が私(ロボット)を作ったわけは?
作れたから。
もし創造主がそう答えたらあなたは失望するでしょう。
公開当時には「アメリカは結局創造説」とか「キャラの動機がよくわからない」色々言われたけど、私はこの映画・・・すっごい楽しかった。
漫画の脚本で似たような設定(木星の考古学者の話)をやろうとしているから、ビジュアルイメージの参考に見たってだけだったんだけど、いや~見てよかった。
楽園で知恵の果実をかじっちゃった人間の、純粋かつ凶暴な知的欲求を描きたかったんだって考えると、綺麗にまとまってはいるし、クロワッサンが空から墜落したり、妊婦がイカを出産したり、主人公の吹き替えが致命的だったりは私にとってはツッコミどころではなく、おバカな魅力として作用した。
悔しいかな、同じく『2001年宇宙の旅』をモチーフにしたエヴァンゲリオンの時もそうだったんだけど、私って結局笑ってしまうとその映画の評価が上がってしまう。どんなに嫌いな作品でも笑わせられちゃうとOKOKになっちゃって、つまらない作品とはどうしても思えない。笑いは正直だからね。
こういうこと言うと、いつも「馬鹿にしてるんでしょ」って言われるんだけど、それは全く違う。人が生まれてから死ぬまでの間の辛い人生に、笑いという花を咲かせるのはなかなか尊く、難しいことだ。
それを一生懸命やっているひとを私は尊敬こそすれ、馬鹿にはしない。じゃあこんな馬鹿な映画作れるのかって問いたいよ。大人になるとなかなか馬鹿なものに全エネルギーを傾けるってことができなくなる。
うんこマンちんこマンとか描いていると、ある時ふと「これを28歳で描く意味はあるのか?理由は??」と冷静になってしまってなんかバカバカしくなっちゃう。時間的余裕も限られているからね。そうだな、この「歳をとると描く理由を求めずにはいられなくなっちゃう病気」をプロメテウス病と名付けようw
ただ、ひとつわがままを言わせてもらうなら、あのラストは余計だったかな。リドリー・スコット監督のファンサービスだったんだろうけど、あれでB級ホラー映画みたいなオチになっちゃったわけで。
というか私はエイリアンのあのデザインがあまり好きじゃない。なんかやりすぎって感じがするんだよな。装飾を付け足しすぎというか・・・成田享さんのウルトラ怪獣に見られるようなシンプルな美しさがない。
とはいえアメリカのクリーチャーのちょっとグロイ感じとかは、日本人ってなかなか出せないから羨ましいけどね。ジュラシックパークの恐竜のデザインを見たとき、芋の煮っ転がしからハンバーグになったような衝撃((C)毒蝮三太夫)を受けたもの。この恐竜は生きてる!って。
話が脱線したけれど、というわけで、まあ、最初は剛力さんによる女性科学者の吹き替えが前代未聞のレベルだったんだけど、意外と映画の内容も最終的にはバカ全開だったから(空飛ぶクロワッサンあたりでもうどうでも良くなった)、最後の方は違和感感じなかったんだよな。慣れってすごい。
このキャスティングは剛力彩芽ファンを劇場に呼ぶための、毎度お馴染みのあざといマーケティングだったんだろうけど、私、最終的にこの映画における剛力の投入には何かもっと深い意味があったんじゃないかって考えているからね。
剛力彩芽「死ねえええええ~~!!!!」(今回のベストアクト)
『ライジング・サン』
2013-01-01 00:27:46 (10 years ago)
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カテゴリタグ:
- 本
ハッピーニューイヤー!ということで新年最初のブログ記事は、我が心の師マイクル・クライトン先生が、かつての日米貿易摩擦をとりあげた産業サスペンス、『ライジング・サン』をご紹介。
どんな分野でも、取り上げるからには徹底的なリサーチを行うのがクライトン先生の仕事の流儀。今回も米国人から見た日本人の「異質さ」をリアルに描いています。
松下幸之助の経営哲学、田中角栄とロッキード事件、竹下登とリクルート事件、社交辞令、系列、隠蔽体質・・・アメリカの人が、よくまあ日本人をここまで考察したよなあって感じでびっくり。
この小説って『ジュラシック・パーク』の次に発表されていて、日本でクライトン先生の知名度がバーンと上がったあとのまさかのジャパンバッシング小説だったので、当時は色々と物議を醸したようですが、改めて読んでみると別に日本をそこまで悪く描いてはいない。
ただ悪人がいてそれがたまたま日本人だったって感じ。そしてこいつは日本人の私から見ても「外道」。
イシグロマサオお前のことだよ。
こういうのって、例え指摘が合っていても、なんとなく面白くないから「いや~全然違うよ、やっぱアメリカ人は日本人をわかってないね~」とか言いたくなっちゃうものだけど、実際当事者だけが、その違和感に気づいてないってことはよくある。
そして冗談抜きで日本人ってこういう生き物でしょ。表面上はうまく取り繕っても、ぼくらは初対面の外国の人になかなか心を開かない。
「いろいろな点で、日本人は素晴らしい民族だ。勤勉で、知的で、ユーモアがあって。掛け値なしに誠実な人々だよ。ただ世界一のレイシストでもある。(略)日本人は好きだ。大好きだといってもいい。だが、わたしは日本人ではない。そして日本人は、決してそれを忘れさせてはくれない」
いつだったか我が家に、本国ではテレビに出るほど著名なドイツ人の市議会議員さんが来たんだけど、やっぱり照れるのか、怖いのか、距離感を作ってしまう。とりあえず気を悪くさせないように笑顔を作ろうって・・・それが一番相手にとって失礼なんだよって!
さすが200年以上引きこもってただけある。日本人は世界一のレイシストなんだな。
「日本企業はMITに対して、教授職25人ぶんの研究費を寄付している。どの国よりもはるかに多い金額だ。なぜそんなことをするのか。あれこれと試したあげくに、日本人は知ったからだよ――自分たちにはアメリカ人ほどの創造性がないということをね。それでいて、革新的な技術はほしい。となれば、することはひとつだ。買うのさ」(470ページ)
でさ、このセリフで思い出したんだけどさ、そもそも日本って、ある意味中国以上のパクリ国家だよね。
しかも中国のように、ただ丸パクリするんじゃなくて、自分たちの使い勝手がいいようにチャチャっと改良しちゃうんだから始末に負えない。
大体クールジャパンとか言われている日本のサブカルチャー、オタク文化だって、若い子は知らないだろうけど元はアメリカニズム。
ただオリジナルがなんだか分からないほど自国文化のように昇華させてしまうから、まさかアメリカの真似をやっているとは気づかない。パクリのレベルが高すぎて自分たちのやってることがパクリだってことを忘れちゃうなんて、まったくひどいやつらだよ、ジャップは。
それに今では信じられないけど、バブル期までの日本って今の中国みたいな感じで、確かIBMに産業スパイを送ったり、ニューヨークの名だたるビル(エンパイアステートビルやロックフェラーセンター)を買い占めちゃったり、なかなか相手のメンツを無視した、阿漕なことをやっていたらしい(実際東京の地価が高騰したときは、アメリカ全土が買える値段にまで上がった!)。
こんな真似されて面白くないのは、もちろんアメリカ。日本人の狡猾さ、図太さに危機感を抱き、何より日本人の空気読め的な暗黙のルールに悩まされたという。クウキッテナンダ???
よくTPP問題で「これをやったら日本はアメリカの企業に潰される…!」とか言う政治家がいるけれど(その意見に反対というわけではない)、その逆を日本はアメリカにさんざんやってきたんだよね。
もちろんアメリカだってアンフェアなことは平気でやるけど、それにいちいち目くじら立ててもしょうがない。かつてのジャパニーズビジネスマンが言っていた通り今もビジネスは戦争なのだ。
「あいつらライフルで撃ってきやがる!ひどい」って戦場で抗議する兵士はいないだろう。戦ってんだから。アウトレイジビヨンドの片岡さんが言うとおり「やったやられたはお互い様でしょ。」なのだ。
「日本にアメリカの土地を買うなというのなら、売るなといいたい。――盛田昭夫(ソニー創業者)」
しかしグローバル化、ボーダレス化が進んで、結局そこにあるのは仁義なき血みどろの抗争なのだろうか・・・国境や文化の壁を越えた共存共栄の友好関係は築けないのだろうか?
作中で日本通刑事として登場するジョン・コナー警部は、日本人が好きだと言いながらも、やっぱり分かり合えない・・・と悲しそうにつぶやく。
はっきり言って、このコナー警部、相手に対する無言の気遣い(KY=空気読む)も完璧で、私なんかよりもずっと日本のしきたりや礼儀に詳しいんだけど、日本という国を知れば知るほど、日本を完全に理解することなんて出来やしないって、わからなくなってくるんだろうな。
「わたしには、アメリカで働いている日本人の友人が大勢いる。(略)友人たちは、いつもわたしに思い出してくれという――彼らはまず第一に人間であり、その次に日本人なのだと。残念ながらわたしの経験では、それが常に正しいとはかぎらないがね」(624ページ)
価値観が多様化した現代では、こういった異文化理解(本当の意味でのポストモダン)は、同じ日本人の間でも考えていかなければいけない問題なのかもしれない。
知らない相手に対するちょっとした気遣い・・・これは日本人が得意としたところだと思うんだけど、今の日本は皮肉なことに作中のアメリカと状況が似てしまった。そしてかつての日本の成金的ポジションはBRICsが元気に継承してくれている。
追う側から追われる側へ・・・日本とアメリカは今こそ本当の意味で仲良くなれるかもしれないw「いや~今になって当時のアメリカさんの気持ちわかりましたよ~」とかw
うるせえよ、いいからTPPやれこの野郎とか言われるんだろうなw
おまけ:それと余談だけど、この小説って固有名詞が『ジュラシック・パーク』と、いくつか重なっている。例えばインジェン社の大口出資元ハマグチ社や、恐竜のDNA解析に使ったスパコン「クレイ」の顛末など。おそらく同時期に書いていたから、遊んでみたんだろうねw
あと女体盛り出なかった。
どんな分野でも、取り上げるからには徹底的なリサーチを行うのがクライトン先生の仕事の流儀。今回も米国人から見た日本人の「異質さ」をリアルに描いています。
松下幸之助の経営哲学、田中角栄とロッキード事件、竹下登とリクルート事件、社交辞令、系列、隠蔽体質・・・アメリカの人が、よくまあ日本人をここまで考察したよなあって感じでびっくり。
この小説って『ジュラシック・パーク』の次に発表されていて、日本でクライトン先生の知名度がバーンと上がったあとのまさかのジャパンバッシング小説だったので、当時は色々と物議を醸したようですが、改めて読んでみると別に日本をそこまで悪く描いてはいない。
ただ悪人がいてそれがたまたま日本人だったって感じ。そしてこいつは日本人の私から見ても「外道」。
イシグロマサオお前のことだよ。
こういうのって、例え指摘が合っていても、なんとなく面白くないから「いや~全然違うよ、やっぱアメリカ人は日本人をわかってないね~」とか言いたくなっちゃうものだけど、実際当事者だけが、その違和感に気づいてないってことはよくある。
そして冗談抜きで日本人ってこういう生き物でしょ。表面上はうまく取り繕っても、ぼくらは初対面の外国の人になかなか心を開かない。
「いろいろな点で、日本人は素晴らしい民族だ。勤勉で、知的で、ユーモアがあって。掛け値なしに誠実な人々だよ。ただ世界一のレイシストでもある。(略)日本人は好きだ。大好きだといってもいい。だが、わたしは日本人ではない。そして日本人は、決してそれを忘れさせてはくれない」
いつだったか我が家に、本国ではテレビに出るほど著名なドイツ人の市議会議員さんが来たんだけど、やっぱり照れるのか、怖いのか、距離感を作ってしまう。とりあえず気を悪くさせないように笑顔を作ろうって・・・それが一番相手にとって失礼なんだよって!
さすが200年以上引きこもってただけある。日本人は世界一のレイシストなんだな。
「日本企業はMITに対して、教授職25人ぶんの研究費を寄付している。どの国よりもはるかに多い金額だ。なぜそんなことをするのか。あれこれと試したあげくに、日本人は知ったからだよ――自分たちにはアメリカ人ほどの創造性がないということをね。それでいて、革新的な技術はほしい。となれば、することはひとつだ。買うのさ」(470ページ)
でさ、このセリフで思い出したんだけどさ、そもそも日本って、ある意味中国以上のパクリ国家だよね。
しかも中国のように、ただ丸パクリするんじゃなくて、自分たちの使い勝手がいいようにチャチャっと改良しちゃうんだから始末に負えない。
大体クールジャパンとか言われている日本のサブカルチャー、オタク文化だって、若い子は知らないだろうけど元はアメリカニズム。
ただオリジナルがなんだか分からないほど自国文化のように昇華させてしまうから、まさかアメリカの真似をやっているとは気づかない。パクリのレベルが高すぎて自分たちのやってることがパクリだってことを忘れちゃうなんて、まったくひどいやつらだよ、ジャップは。
それに今では信じられないけど、バブル期までの日本って今の中国みたいな感じで、確かIBMに産業スパイを送ったり、ニューヨークの名だたるビル(エンパイアステートビルやロックフェラーセンター)を買い占めちゃったり、なかなか相手のメンツを無視した、阿漕なことをやっていたらしい(実際東京の地価が高騰したときは、アメリカ全土が買える値段にまで上がった!)。
こんな真似されて面白くないのは、もちろんアメリカ。日本人の狡猾さ、図太さに危機感を抱き、何より日本人の空気読め的な暗黙のルールに悩まされたという。クウキッテナンダ???
よくTPP問題で「これをやったら日本はアメリカの企業に潰される…!」とか言う政治家がいるけれど(その意見に反対というわけではない)、その逆を日本はアメリカにさんざんやってきたんだよね。
もちろんアメリカだってアンフェアなことは平気でやるけど、それにいちいち目くじら立ててもしょうがない。かつてのジャパニーズビジネスマンが言っていた通り今もビジネスは戦争なのだ。
「あいつらライフルで撃ってきやがる!ひどい」って戦場で抗議する兵士はいないだろう。戦ってんだから。アウトレイジビヨンドの片岡さんが言うとおり「やったやられたはお互い様でしょ。」なのだ。
「日本にアメリカの土地を買うなというのなら、売るなといいたい。――盛田昭夫(ソニー創業者)」
しかしグローバル化、ボーダレス化が進んで、結局そこにあるのは仁義なき血みどろの抗争なのだろうか・・・国境や文化の壁を越えた共存共栄の友好関係は築けないのだろうか?
作中で日本通刑事として登場するジョン・コナー警部は、日本人が好きだと言いながらも、やっぱり分かり合えない・・・と悲しそうにつぶやく。
はっきり言って、このコナー警部、相手に対する無言の気遣い(KY=空気読む)も完璧で、私なんかよりもずっと日本のしきたりや礼儀に詳しいんだけど、日本という国を知れば知るほど、日本を完全に理解することなんて出来やしないって、わからなくなってくるんだろうな。
「わたしには、アメリカで働いている日本人の友人が大勢いる。(略)友人たちは、いつもわたしに思い出してくれという――彼らはまず第一に人間であり、その次に日本人なのだと。残念ながらわたしの経験では、それが常に正しいとはかぎらないがね」(624ページ)
価値観が多様化した現代では、こういった異文化理解(本当の意味でのポストモダン)は、同じ日本人の間でも考えていかなければいけない問題なのかもしれない。
知らない相手に対するちょっとした気遣い・・・これは日本人が得意としたところだと思うんだけど、今の日本は皮肉なことに作中のアメリカと状況が似てしまった。そしてかつての日本の成金的ポジションはBRICsが元気に継承してくれている。
追う側から追われる側へ・・・日本とアメリカは今こそ本当の意味で仲良くなれるかもしれないw「いや~今になって当時のアメリカさんの気持ちわかりましたよ~」とかw
うるせえよ、いいからTPPやれこの野郎とか言われるんだろうなw
おまけ:それと余談だけど、この小説って固有名詞が『ジュラシック・パーク』と、いくつか重なっている。例えばインジェン社の大口出資元ハマグチ社や、恐竜のDNA解析に使ったスパコン「クレイ」の顛末など。おそらく同時期に書いていたから、遊んでみたんだろうねw
あと女体盛り出なかった。
2012年は刺激的
2012-12-31 02:46:25 (10 years ago)
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カテゴリタグ:
- 雑記
いや~今日でついに2012年もおしまいですよね。今年は年初めからUstreamで伝説的黒歴史バレンタインデーぶっ壊せデモをやったり、いろいろな新体験をした年でした。
他にも人生初のマンガ連載、人生初のオフ会、人生初の運転、人生初の学校教員体験・・・どれも楽しかったですが、どれも少々刺激が強すぎたらしく、現在の私はフラフラですw
とりあえず今は冨樫義博ごっこをやっちゃっているYELLの漫画原稿を仕上げています。
今年の秋から学校の先生を学習塾と同時にやることになって(一時期家庭教師もやってた)、本当に漫画が描けなかった。続きを楽しみにしてくださっているファンの皆様ごめんなさい。来年はなにかの仕事を減らして、漫画にもう少し時間が割けるように考えているところです。
しかし今年は「ついに私も若者から大人になったなあ・・・」って実感した年でした。何といっても情けないのが「最近の若いもんは」という王道的ジジイ思考をするようになってしまったこと。
こういう頭の固い大人には絶対なりたくないって思っていたのに、そういうことを考えるようになってしまったのは、新鮮であると同時にかなりショックでした。
もう今の若い子とは共通点よりもギャップを感じることのほうが多くなってきたってことなのかも。そりゃそうだ、15歳も年が離れている子を相手にしているわけで、彼らとは元号が違う、世紀が違う。新世紀エヴァンゲリオン(あ、これも今年の初体験の一つだ)。
でもさ、もう自分もいい年なんだから、若い世代の壁になったほうがいいんだよね。今の大人って良くも悪くも物分りが良すぎて、子供には乗り越えるべき壁がない。
今の子ってなんでも自由にやらせてもらえるんだけど、それによって自分たちが生きる指針をなかなか定められないで苦しんでいる気がする(自由な分、規範が形成される機会がない)。自由を持て余しているんだ。
時に反発されようが、大人はブレずに「オレたちはこういうポリシーで生きてるんだ!」っていう生き様を子供に見せるべきなんだと思う。子供にいい顔するだけが教育じゃないもんね。
ああ、もう、こういうこと言ってる時点でオヤジっぽくて嫌なんですが、でも私はもう、どう考えても大人。大人になっちゃったもんは大人にならなきゃいけない。
もともと私は「創作するなら社会にコミットしなければいけない」というスタンスだったんだけど、教育現場に触れてそれがさらに確信に変わった。
個人主義と新自由主義がもたらしたものは、無秩序な混沌。学ばず、オレ様化する子供たち、働かない若者たち、ウェブを支配するバカで暇な人・・・これらは現代人なら誰しもが多少は共有しているメンタリティではないだろうか。
人間は誰でも失敗するけど、特に若者は人生経験が少ない分失敗する確率が高い。
そこで大人が子供の言いなりになって好きにやらせちゃうと、ろくなもんじゃない。それは寛容なように見えてすっごい無責任なことなんだって思った。
好きにしていいよって言うと本当に好きにするんだよこいつら!ww
ある人が「リバティとフリーダム」の違いですねって言ってたんだけど、まさにそう。自由はいいことだけど、その自由が他者の自由を侵害した場合の合意形成の手段を僕らはおざなりにしてしまった。
だから私はあえて頑固ジジイになろうと思う。いや10代の頃からそんな感じだったけどさw
教育の現場が未来の社会を映す鏡ならば、私たちが前提にしていたはずの最低限の共同体的ルールやモラルがここまで崩壊してしまったこの現状はちょっと心配だ。
まあ、そういった杞憂は、今の団塊の世代の人が「新人類!」とか言われていた頃から繰り返されているわけで、なんだかんだで結局世の中回るのだろうけれど、じゃあそれがいい世の中なのか?って聞かれると、ほとんどの人はそう思わないんじゃないだろうか。
今の子はけっこう感受性が高くて、厭世的な大人の姿を見て、若いうちからリアルを見切っているような気がする。
物語のないこんな世の中だからこそ、私は物語を書こう。「偉そうでお説教くさい」とか「なんでてめえに言われなきゃいけないんだ」とか言われようが、私は創作を通じてメッセージを送り続けたい。
しいてはそれが私にとって生きることだと思うから。
「『私はどうすればよいか?』という問いに答えられるのは、それに先立つ『私はどの物語のなかに自分の役を見つけられるか?』という問いに答えられる場合だけだ」――アラスデア・マッキンタイア『美徳なき時代』
他にも人生初のマンガ連載、人生初のオフ会、人生初の運転、人生初の学校教員体験・・・どれも楽しかったですが、どれも少々刺激が強すぎたらしく、現在の私はフラフラですw
とりあえず今は冨樫義博ごっこをやっちゃっているYELLの漫画原稿を仕上げています。
今年の秋から学校の先生を学習塾と同時にやることになって(一時期家庭教師もやってた)、本当に漫画が描けなかった。続きを楽しみにしてくださっているファンの皆様ごめんなさい。来年はなにかの仕事を減らして、漫画にもう少し時間が割けるように考えているところです。
しかし今年は「ついに私も若者から大人になったなあ・・・」って実感した年でした。何といっても情けないのが「最近の若いもんは」という王道的ジジイ思考をするようになってしまったこと。
こういう頭の固い大人には絶対なりたくないって思っていたのに、そういうことを考えるようになってしまったのは、新鮮であると同時にかなりショックでした。
もう今の若い子とは共通点よりもギャップを感じることのほうが多くなってきたってことなのかも。そりゃそうだ、15歳も年が離れている子を相手にしているわけで、彼らとは元号が違う、世紀が違う。新世紀エヴァンゲリオン(あ、これも今年の初体験の一つだ)。
でもさ、もう自分もいい年なんだから、若い世代の壁になったほうがいいんだよね。今の大人って良くも悪くも物分りが良すぎて、子供には乗り越えるべき壁がない。
今の子ってなんでも自由にやらせてもらえるんだけど、それによって自分たちが生きる指針をなかなか定められないで苦しんでいる気がする(自由な分、規範が形成される機会がない)。自由を持て余しているんだ。
時に反発されようが、大人はブレずに「オレたちはこういうポリシーで生きてるんだ!」っていう生き様を子供に見せるべきなんだと思う。子供にいい顔するだけが教育じゃないもんね。
ああ、もう、こういうこと言ってる時点でオヤジっぽくて嫌なんですが、でも私はもう、どう考えても大人。大人になっちゃったもんは大人にならなきゃいけない。
もともと私は「創作するなら社会にコミットしなければいけない」というスタンスだったんだけど、教育現場に触れてそれがさらに確信に変わった。
個人主義と新自由主義がもたらしたものは、無秩序な混沌。学ばず、オレ様化する子供たち、働かない若者たち、ウェブを支配するバカで暇な人・・・これらは現代人なら誰しもが多少は共有しているメンタリティではないだろうか。
人間は誰でも失敗するけど、特に若者は人生経験が少ない分失敗する確率が高い。
そこで大人が子供の言いなりになって好きにやらせちゃうと、ろくなもんじゃない。それは寛容なように見えてすっごい無責任なことなんだって思った。
好きにしていいよって言うと本当に好きにするんだよこいつら!ww
ある人が「リバティとフリーダム」の違いですねって言ってたんだけど、まさにそう。自由はいいことだけど、その自由が他者の自由を侵害した場合の合意形成の手段を僕らはおざなりにしてしまった。
だから私はあえて頑固ジジイになろうと思う。いや10代の頃からそんな感じだったけどさw
教育の現場が未来の社会を映す鏡ならば、私たちが前提にしていたはずの最低限の共同体的ルールやモラルがここまで崩壊してしまったこの現状はちょっと心配だ。
まあ、そういった杞憂は、今の団塊の世代の人が「新人類!」とか言われていた頃から繰り返されているわけで、なんだかんだで結局世の中回るのだろうけれど、じゃあそれがいい世の中なのか?って聞かれると、ほとんどの人はそう思わないんじゃないだろうか。
今の子はけっこう感受性が高くて、厭世的な大人の姿を見て、若いうちからリアルを見切っているような気がする。
物語のないこんな世の中だからこそ、私は物語を書こう。「偉そうでお説教くさい」とか「なんでてめえに言われなきゃいけないんだ」とか言われようが、私は創作を通じてメッセージを送り続けたい。
しいてはそれが私にとって生きることだと思うから。
「『私はどうすればよいか?』という問いに答えられるのは、それに先立つ『私はどの物語のなかに自分の役を見つけられるか?』という問いに答えられる場合だけだ」――アラスデア・マッキンタイア『美徳なき時代』
『あなたが死んだら私は悲しい』
2012-12-24 22:53:38 (10 years ago)
著者は心理学者の碓井真史さん。
朝起きたら、アマゾンからこの本が届いてた。・・・すごいよね。(確かに注文したのは私だけどさ・・・)
まあ言うまでもなく、自殺の本なんだけど、金八先生が言うように日本人ってとにかく自殺しちゃう。
自殺で亡くなった人は年間三万人をキープし続けており、世界ランキングでは五位。女性の自殺率に関しては第三位。毎日百人近くの人が自ら命を絶っていることになる。
世界中の貧しい国を渡り歩いたマザーテレサさんでさえ「本当の貧困はここにある」と述べた国、日本。彼女は、パッと見豊かで安全な、まるでエデンの園のような国に、第三世界にはない「飢えの本質」を見たわけだ。
人生がうまくいっていたら私たちはいい気なもんで、生きる意味とか本質なんて考えない。でも普段のんきだった奴が急に「形而上学的には・・・」とか哲学的なことを言いだしたら要注意だ。
人間、なにかうまくいかなかった時に初めて悩みだすもの。そして悩めば問題が解決すると思ってしまうから苦しいのだ。
悩み続けるだけで、悩みに対する答えが出るならば、私たちはきっと人生でこんなに追い込まれはしないだろう。
そもそも、そういった問に答えなどないのだ。出るならとっくにソクラテスさんあたりが解いちゃってる。
これは何も自殺に限ったことじゃなくて、生きている人間なら誰しもが経験すること。それなら、自殺する人としない人の境界線ってなんだ。
その人の気質なのか、運なのか、環境なのか・・・まるで交通事故や自然災害と同じように、どの人にも平等に自殺という災厄が降りかかってくるようだ。なにしろ一般的に成功者と言われる人だって死を選ぶことがあるのだから。
私は自殺って行為は、その人が出した究極的な結論だと思う。動物と神の中間にあると言われる人間の精神が、本能や肉体に勝利したというか。キングオブ自由意思というか(私は構造主義も好きなので人間の自己決定権については懐疑的ですが・・・)。
もちろん自殺を美化したり正当化しているわけじゃないんだけど、ほかの動物と比べて人間って興味深いなあって思うところでもある。
どこの世界に「配偶者ができないので死にます」とか「生きるのが辛くなったから死にます」と言って自殺しちゃう動物がいるんだ。
いや、いくらかの社会性昆虫などでは、群れのためにどう考えても自殺行為としか言えないような行動を取る個体はいるんだけれど、私たちの自殺もメタ的に見ればそれと同じなのだろうか。
集団の個体数調整のために、私たちの精神にはあらかじめ自爆スイッチみたいなものが取り付けられていて、一定の許容量を超えたら死ぬようになっているのかもしれない。
言うまでもなく「死」というのは究極的な命題で、なんといったってこの地球上に70億人近い人がいるのに、誰ひとり死んだことがある奴がいない。誰も知らないものがこんなに身近にある。それが恐ろしい。
もし自分が死んだらどうなってしまうんだろう。どこかに生き返った経験がある人でもいれば、私たちの心も少しは救済されるのだろうが・・・あ、でも生き返った人が「うげ~あの世は本当地獄だったよ、くせえし、痛えし・・・」とか言ったら、それはそれで悪夢だな。やっぱ最後の最後のお楽しみにとっておこうw
しかし、今の若者はもっとすごい。悪く言えば想像力が貧困とも言えるんだけど、7割の子供が死んだら生き返るって思ってるんだって。
いや、その可能性だってないわけじゃないし、物理学的には私たちの死骸は原子レベルでリサイクルされちゃうから、輪廻って言えばそうなんだけど・・・
問題は、テレビゲームや漫画やアニメの出来事を、リアルと適切な距離感を置いて認識できないということだよ。
そして自分のアイデンティティにしてしまうから、人類が何千年かかっても解けないようなアポリアにあっさりと結論を下してしまう。
そういう子供たちにとって、世界は「自分がわかるもの」でしか構成されていない。無知の知なんてないわけだ。
カウンセラーの先生に聞いた話なんだけど、今の子どもを自分の子ども時代と当てはめて勝手にわかった気になっちゃ絶対ダメなんだって。
キレた子に「そんなに言うならナイフで刺してみろ」なんて強気に挑発して、内心(どうせそんな度胸もねえくせに・・・)なんて思っていると、本当に刺してくる。
それは彼らが極悪で残酷だからじゃない。だって死んでも生き返ると思ってるんだから。ハリセンでなんでやねん!と同じノリでやっちゃうのかもしれない。
・・・こんなことをクリスマス・イブに考えている時点でいろいろ察されるような気もするんだけど、この日にこの本が届いちゃったもんはしょうがない。
そんな感じで、いや~っはっは今年はクリスマス・ウツだぜ!って居直って、ページをパラパラめくってたんだけど、これがまた、予想とは違って癒される。
日本一優しい気持ちになれる自殺の本なんだ。
内容に関しては・・・その、いろいろ為になって、素晴らしく、その、漫画のネタにいくつか使いたいなあって感じで、ここでは詳しく書きたくないんだけど(ずるいでしょw)、それでも一つだけ言いたいのは、イデオロギーがなくなって、自分自身で生きる意味を模索せざるを得なくなった現代では、遅かれ早かれ、宗教性の需要がゆりかえしで高まるんじゃないかなって思ってる。
なぜなら全ての人が自由意思や自己責任論に基づいて、己や社会の実存に向き合えるほど、人間は強くはないから。
宗教なんて言うとオウム真理教かよ、カルトかよって拒否反応を示す人もいるんだけど、はっきり言って私たちがハマっている、漫画やアニメ、映画だって、多少なりとも「物語」がある。
そして素晴らしい物語とは、ずいぶん前にもブログで書いたけど「ルールが明確化」されている。明確化されたルールとは煎じ詰めれば、因果律。
そう、宗教が教え諭す「神」というわけだ。
なんかほとんどの日本人って、科学や哲学、芸術と同じくらい宗教にも偏見を持っているんじゃないか。でも人間に宗教観があったからこそ、科学や哲学、芸術は発展した。そしてその恩恵を私たちは受けている。
宗教とは高い壷を売りつける団体のことじゃない。物語だ。そして物語は常に私たちの身近にあり、私たちに生きる希望を灯してくれる。
クリスマスが本来キリスト教的にどんな日だったか知らなくてもいい(私もよく知らん)。でも、誰もがクリスマスとは愛する人と共に過ごす日であることを知っている。それも宗教であり物語なんだ。だからこそ人は生きていける。
キザだけれどクリスマスくらいは一番大切な人にこう言ってやろうよ。
あなたが死んだら私は悲しい。
あ~彼女欲しい。
朝起きたら、アマゾンからこの本が届いてた。・・・すごいよね。(確かに注文したのは私だけどさ・・・)
まあ言うまでもなく、自殺の本なんだけど、金八先生が言うように日本人ってとにかく自殺しちゃう。
自殺で亡くなった人は年間三万人をキープし続けており、世界ランキングでは五位。女性の自殺率に関しては第三位。毎日百人近くの人が自ら命を絶っていることになる。
世界中の貧しい国を渡り歩いたマザーテレサさんでさえ「本当の貧困はここにある」と述べた国、日本。彼女は、パッと見豊かで安全な、まるでエデンの園のような国に、第三世界にはない「飢えの本質」を見たわけだ。
人生がうまくいっていたら私たちはいい気なもんで、生きる意味とか本質なんて考えない。でも普段のんきだった奴が急に「形而上学的には・・・」とか哲学的なことを言いだしたら要注意だ。
人間、なにかうまくいかなかった時に初めて悩みだすもの。そして悩めば問題が解決すると思ってしまうから苦しいのだ。
悩み続けるだけで、悩みに対する答えが出るならば、私たちはきっと人生でこんなに追い込まれはしないだろう。
そもそも、そういった問に答えなどないのだ。出るならとっくにソクラテスさんあたりが解いちゃってる。
これは何も自殺に限ったことじゃなくて、生きている人間なら誰しもが経験すること。それなら、自殺する人としない人の境界線ってなんだ。
その人の気質なのか、運なのか、環境なのか・・・まるで交通事故や自然災害と同じように、どの人にも平等に自殺という災厄が降りかかってくるようだ。なにしろ一般的に成功者と言われる人だって死を選ぶことがあるのだから。
私は自殺って行為は、その人が出した究極的な結論だと思う。動物と神の中間にあると言われる人間の精神が、本能や肉体に勝利したというか。キングオブ自由意思というか(私は構造主義も好きなので人間の自己決定権については懐疑的ですが・・・)。
もちろん自殺を美化したり正当化しているわけじゃないんだけど、ほかの動物と比べて人間って興味深いなあって思うところでもある。
どこの世界に「配偶者ができないので死にます」とか「生きるのが辛くなったから死にます」と言って自殺しちゃう動物がいるんだ。
いや、いくらかの社会性昆虫などでは、群れのためにどう考えても自殺行為としか言えないような行動を取る個体はいるんだけれど、私たちの自殺もメタ的に見ればそれと同じなのだろうか。
集団の個体数調整のために、私たちの精神にはあらかじめ自爆スイッチみたいなものが取り付けられていて、一定の許容量を超えたら死ぬようになっているのかもしれない。
言うまでもなく「死」というのは究極的な命題で、なんといったってこの地球上に70億人近い人がいるのに、誰ひとり死んだことがある奴がいない。誰も知らないものがこんなに身近にある。それが恐ろしい。
もし自分が死んだらどうなってしまうんだろう。どこかに生き返った経験がある人でもいれば、私たちの心も少しは救済されるのだろうが・・・あ、でも生き返った人が「うげ~あの世は本当地獄だったよ、くせえし、痛えし・・・」とか言ったら、それはそれで悪夢だな。やっぱ最後の最後のお楽しみにとっておこうw
しかし、今の若者はもっとすごい。悪く言えば想像力が貧困とも言えるんだけど、7割の子供が死んだら生き返るって思ってるんだって。
いや、その可能性だってないわけじゃないし、物理学的には私たちの死骸は原子レベルでリサイクルされちゃうから、輪廻って言えばそうなんだけど・・・
問題は、テレビゲームや漫画やアニメの出来事を、リアルと適切な距離感を置いて認識できないということだよ。
そして自分のアイデンティティにしてしまうから、人類が何千年かかっても解けないようなアポリアにあっさりと結論を下してしまう。
そういう子供たちにとって、世界は「自分がわかるもの」でしか構成されていない。無知の知なんてないわけだ。
カウンセラーの先生に聞いた話なんだけど、今の子どもを自分の子ども時代と当てはめて勝手にわかった気になっちゃ絶対ダメなんだって。
キレた子に「そんなに言うならナイフで刺してみろ」なんて強気に挑発して、内心(どうせそんな度胸もねえくせに・・・)なんて思っていると、本当に刺してくる。
それは彼らが極悪で残酷だからじゃない。だって死んでも生き返ると思ってるんだから。ハリセンでなんでやねん!と同じノリでやっちゃうのかもしれない。
・・・こんなことをクリスマス・イブに考えている時点でいろいろ察されるような気もするんだけど、この日にこの本が届いちゃったもんはしょうがない。
そんな感じで、いや~っはっは今年はクリスマス・ウツだぜ!って居直って、ページをパラパラめくってたんだけど、これがまた、予想とは違って癒される。
日本一優しい気持ちになれる自殺の本なんだ。
内容に関しては・・・その、いろいろ為になって、素晴らしく、その、漫画のネタにいくつか使いたいなあって感じで、ここでは詳しく書きたくないんだけど(ずるいでしょw)、それでも一つだけ言いたいのは、イデオロギーがなくなって、自分自身で生きる意味を模索せざるを得なくなった現代では、遅かれ早かれ、宗教性の需要がゆりかえしで高まるんじゃないかなって思ってる。
なぜなら全ての人が自由意思や自己責任論に基づいて、己や社会の実存に向き合えるほど、人間は強くはないから。
宗教なんて言うとオウム真理教かよ、カルトかよって拒否反応を示す人もいるんだけど、はっきり言って私たちがハマっている、漫画やアニメ、映画だって、多少なりとも「物語」がある。
そして素晴らしい物語とは、ずいぶん前にもブログで書いたけど「ルールが明確化」されている。明確化されたルールとは煎じ詰めれば、因果律。
そう、宗教が教え諭す「神」というわけだ。
なんかほとんどの日本人って、科学や哲学、芸術と同じくらい宗教にも偏見を持っているんじゃないか。でも人間に宗教観があったからこそ、科学や哲学、芸術は発展した。そしてその恩恵を私たちは受けている。
宗教とは高い壷を売りつける団体のことじゃない。物語だ。そして物語は常に私たちの身近にあり、私たちに生きる希望を灯してくれる。
クリスマスが本来キリスト教的にどんな日だったか知らなくてもいい(私もよく知らん)。でも、誰もがクリスマスとは愛する人と共に過ごす日であることを知っている。それも宗教であり物語なんだ。だからこそ人は生きていける。
キザだけれどクリスマスくらいは一番大切な人にこう言ってやろうよ。
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