『ラストパーティ』制作裏話

 あけましておめでとうございます。今朝は中世の騎士の漫画『ラストパーティ』をサイトにアップしていました。

 ・・・裏話ってもう二年以上前に描いたから当時の心境とか忘れちゃったよ。この頃はまさかサイトを作って自分の漫画を公開するなんて想像もしていなかったから、とにかく吹き出しの字が汚い。
 今だったら少なくとも字が読める程度には書いていたんだけど、この頃は友だちか担当編集者の人くらいにしか見せなかったから、読めない字があったらその場で教えればいいやって感じで適当だった。・・・正直読めませんね、これじゃあ・・・『ダブルスピーク』の時のようにあとで写植をしようと思います。
 でもこいつはページ数が多くて大変だなあ・・・とりあえずあまりにひどいところから優先してやっていこう・・・

 しかし思うんだけど、当時の私はなんでこんな漫画描こうと思ったんだろう?中世とか剣とか魔法とか別に興味ないのに、無理して書いているから近年まれにみるほど物語の粗が多い。
 一生懸命頑張っている感じは伝わるけど、vicさん風に言えばボタンの掛け違い状態と言うか・・・まああまり納得のいくできじゃない。
 で、今思い出したんだけど、当時打ち合わせに行っていた漫画雑誌がファンタジーとスポーツと学園物しかうちはダメって言っててそれでファンタジーに初挑戦したんだった!
 で、ファンタジーってRPGのドラクエのような世界だろ・・・ドラクエの世界って中世ヨーロッパっていうけど、中世ヨーロッパって実際どんな世界だったんだろう?と中世についてあまりにも無知だったので、中世に関する書籍をとりよせていろいろ勉強したんだった。

 ただ勉強した割には時代考証がメチャクチャなのは前にも話した通り。そもそも魔法なんて存在する時点でおかしいよね。まあケルト魔術って言うのは本当に大昔にあったんだけど・・・
 とにかく私は騎士ですらよく分かっていなかったんだ。でも「騎士」って言われて「こうこうこういう人」ってなかなか答えられないですよね?
 一般的なイメージは鎧着て馬にまたがって・・・って言うイメージで・・・でもそれは「キャバリエ(馬に乗る人の意)」っていう騎馬兵のイメージであって、イングランドの騎士って言うと騎士は階級なんですよね。いわゆる「サー」です。
 中世の貴族の息子は、幼少期から英才教育を受けて、大体二十歳くらいでナイトの爵位を授与されていました。偉い人が剣で新人騎士の肩をペシペシってやるあの儀式(ダビング)です。
 ここら辺は私は本で読みましたけど、『ロック・ユー』っていう中世の馬上槍試合(ジュースティング)を取り上げた愉快な映画があるのでそっちを見た方がイメージが簡単につかめるかも。

 この漫画で一番面白いと思うのは「馬に乗って戦う」ってイメージの騎士がウマと戦っているって言うところですよね。ここは自分でも面白いと思った。
 あとはページの都合&面白くないという理由でカットになっちゃったけど、剣に執着していた騎士のヴィンツァーが長弓戦術が流行っちゃったことで前線を離れヒッキーになっちゃって、でも最後はあんなにこだわっていた剣を捨てて、弓で巨大な軍馬を倒すって言うところも皮肉があって好きかも。まあカットされたけどw。ツバイハンダーなんてハンマー投げの室伏選手じゃないんだから、あんな風に絶対投げれないよね・・・
 
 逆にいまいち上手く描けなかったなって思ったのは女の子(シルビア)の行動原理なんだけど、こんな女騎士になりたい奴って当時の少女で絶対いなかったよね(ジャンヌ・ダルクさんくらいか)。でもそれは現代の価値観で考えるから感情移入できないだけかもしれない。そんなことをこれを読んだ編集さんが言ってた。
 現代の価値観に近いのは引きこもりの騎士ヴィンツァーだと思うけど、本当に当時の西ヨーロッパってしじゅう戦争ばっかやってて、もう戦争やる資金もないからエドワード三世が地方の諸侯を回って「資金援助してよ」って頭下げてたくらいだった。他にもイタリアの商会を羊毛産業詐欺で騙してお金工面したりとか・・・だからリチャード一世が獅子心王と言われたように、エドワード三世は羊毛産業王とも言われる。そんなにお前ら戦いたいんかいって感じですよねw。

 ヴィンツァーもシルビアもそんな時代に生きていた人なんだから、戦争とか死とかに多少ならずとも向かい合わなければいけなかっただろうし、人権何て言うのもなかったわけだしね。これはヴィクトリア朝でも全くなかったけど。特に子どもの人権。
 まあシルビアは同じ戦争に行くなら、戦死して娘を悲しませた魔法使いの母親よりは、常に生還する(←臆病なだけ)剣士のヴィンツァーの方がかっこいいしマシってことで進路をそっちにしたんだろうな。・・・安易な・・・でも中学生くらいの将来の夢ってこんな感じだよね。

プロジェクトアルフまさかの日本初放送!

 昨日K氏からとんでもないメールが。

 明日アルフ幻の最終回スペシャルやるらしいよ

 ・・・幻の最終回?幻の・・・?ま・・・まさか・・・アルフが宇宙人調査団に捕えられたその後を描いた幻の作品Project ALFでは!?

 このプロジェクトアルフと第2シーズンの「アルフのクリスマスプレゼント(前後編)」は、なぜかかつての放送ではお蔵入りになり、日本語吹き替えもされなかったのです。
 未公開話「クリスマスプレゼント」は、この前の再放送時に所さんや小松政夫さんらアルフファミリーが再集結し、10数年ぶりに吹き替えを撮り足してくれ話題となりましたが、ままままさかこの「プロジェクトアルフ」まで吹き替えで放送してくれるとは・・・

 ・・・私は死んだのか?これは夢か?「2ちゃんねる」とかでぼやいたような願望が現実になるとはネットの力もすごいなあ。まあこちらはタナー家が登場しない分、所さんだけ呼べば吹き替え出来ちゃうのですけど、それでもすごい。
 たとえばアルフの日本語吹き替え版DVDは「たのみコム」でも上位だったけど、当初は版権の問題があって実現は不可能とか言われていたんですよね。それが実現しちゃうんだから見直したよネット世論。

 しかしNHKも本当に大晦日に粋なことするなあ。ありがとうK氏。最初ドッキリかと思ったよ。みなさん今夜六時はNHK教育で決まりですよ!奇跡をこの目に!

ブリューナク号修正

 なんか最近超朝型になっちゃってもう眠いです。せっかく今日の日テレのゴールデンは6時から所さん尽くしなのに、もう力尽きそうです。「笑ってこらえて」は久々に見たけど、やっぱ面白い。この番組って頑張っている人の人間模様を描くのが本当に上手いですよね。70歳の振り付け師の人は、本当に動きにキレがあって若々しくて奇麗で・・・確かに化け物w。
 あとこの番組でしか見たことのない、所さんの隣りの女性アナウンサーが照れ屋と言うか引っ込み思案なところがけっこう可愛い。
 私「スーパーモーニング」の赤江アナとか、「モヤモヤさまぁ~ず」の大江アナとか、日曜日の朝の関口宏さんの番組の眼鏡のアナウンサーとかも好きだけど、この人もいい。
 タレントのようにガンガン前へ出るタイプのアナウンサー(主に8の女子アナ)もいるけど、芸能人の引き立て役に回るアナウンサーもいいですよね。というかそれが本来の形か。
 あれ?もう眠くてどうでもいいこと書いちゃってるな・・・女子アナの誰が好きだなんてどうでもいいよ。

 今日はkenkoさんが以前に「見たい」と仰ってくれた『ラスト・パーティ』をサイトに公開するために、本編に登場する軍馬の顎の下を修正していました。
 ウチの実家はそもそも競馬関係の仕事をしていて、親曰くウマの顎の下は筋肉で盛り上がっていて中央はかなり隙間の様なへこみがあるそうなんです。
 マジかいってことで確認しようとしたのですが、なかなかウマって横から見た写真しかなくて顎の下の資料がネットでも見つからず・・・結局上野動物園に行って本物のウマで確認してきました。本当にそうなってたw。
 動物が好きといながら、ウマについてすらあまりに無知なのが恥ずかしいのですが、馬の顎の下なんてなかなか気になったりしませんよね。
 で、一応顎を直したのですけど、これで自然なのかはよく分かりません。いいのかなこれで・・・かなり不安。そもそもこの軍馬は高さ3メートルもある恐竜並の大きさの架空の軍馬なので、そこを突っ込まれたらもうおしまいです。

 もっと言えばこの漫画中世イギリスをモチーフにしながら時代考証がかなりいい加減で、中世の騎士が新聞読んでますからねw。
 いやこの漫画を描くにあたってめちゃくちゃ中世の事は調べたのですが、ファッションや生活などが結構地味で、どうせ描くなら面白くしちゃえとルネサンスよりも前の時代なのに、それ以降の服装や建築様式も取り入れちゃってます。すいません。わざとです。下手すりゃヴィクトリア朝も混じってますからね。めちゃくちゃだ。だから架空の国にしたんですけど・・・
 一応モデルになったのは、百年戦争開戦ギリギリのイングランドですね。当時イングランドは北にあるアイルランドと結構戦っていたんですよ。
 この戦いあたりでイングランドはでっかい弓を使った「長弓戦術」って言うのを編み出して、百年戦争ではフランス軍をボッコボコにします。この快進撃でフランスをほとんど占領しちゃいますからね。その後一時休戦したりして、最後はジャンヌ・ダルクとか出てきてフランスに形勢逆転されちゃうんですけど・・・
 主人公の元勇者ヴィンツァーは、KO氏が命名したんですけどオランダ系です。なんでオランダ人がイングランドの傭兵やっているの?って感じですが、これは実際にもあったことらしいです。

 とりあえず『ドリームワールド』も全編公開したことだし、次はこの『ラスト・パーティ』をアップしたいと思います。
 でもなんか二年前に描いた『ラスト・パーティ』の方が『ドリームワールド』よりも絵が巧い感じがしてへこむなあ・・・『ドリームワールド』なんて『ラストパーティ』の五倍近く時間かけて丁寧に書いたつもりなのに・・・時間かければもっと巧く書けるって言うほど単純でもないんだな・・・あ~あ。なんか上達しなくなっちゃったなあ。まあ上達はいいけど、今の画力を維持はしたいなあ。

ドラえもん のび太の恐竜2006

 「面白い度☆ 好き度☆」
 
 恐竜映画で恐竜が手抜きでどうする!喝!

 ドラえもんの声優陣が一斉入れ替えになって初めて作られた映画版。映画版第一作の「のび太の恐竜」をリメイクして新生ドラ映画の誕生を高らかに宣言しようと思ったのだろうけど・・・う~ん・・・今更感が・・・でも企画としては悪くないのかな?
 「のび太の恐竜」と言う作品を知らないちびっ子は楽しめると思う。でもほとんどのドラえもんファンはこの名作を知っているから、なかなか厳しい。

 もともと話はとんでもなくよくできている。この話を基にスピルバーグ監督は『E.T』を作ったし、映画版の『ジュラシック・パーク』で、野外で飼育されていたティラノサウルスがなぜかヴィジターセンターのエントランスに現れて、ヴェロキラプトルと戦って大暴れするラストシーンありますよね?
 あれ原作にないどころか映画版でも当初は無かったシーンなんです。あのヴェロキラプトルを放り投げてこちらに向き直って吼えるティラノサウルスのポーズは『のび太の恐竜』の原作184ページと全く一緒なので持っている人は調べてみてください。スピルバーグ監督のオマージュなんですね。古畑任三郎でした。

 で、このリメイク版は、偉大な原作に臆したのかほとんど物語が同じなんです。せっかく21世紀に新しく作リ直すんだから、時代性を取り入れて大きく変えちゃってもいいと思うんだけど・・・
 で、何を変えたかって言うと、登場する恐竜を時代設定に合わせたってだけ。まあ恐竜マニアをうならせようとしたのかもしれぬ。そんな気もする。
 私がこの映画をあえて見ようと思ったのも、今のアニメの高い画力で本作の恐竜をどうリメイクするんだろう?っていうのがあったから。
 しかしひどい。恐竜をテーマにした映画で恐竜の絵を手抜いてどうするんだってくらいひどい。適当。手抜き。これなら私がスタジオ乗り込んで代わりに描いてやりたいよってくらいひどい。もう恐竜どうこうじゃなくてアニメ作品としても客をバカにしてない?ってくらいひどい。
 特にティラノサウルスが草食恐竜に襲いかかるシーン・・・動画枚数が圧倒的に足りない。こんなんでいいの?動きがカクカクのサーチ状態。
 ティラノサウルスの顔も間抜けで全然怖くないし。なんなのこれ作った監督。本当にやっつけ仕事。なめんじゃねえ。喝ですよ喝!
 例えば萌え美少女アニメの美少女をちびまる子ちゃんの冬田さんみたいな画風でお前ら描くって言うのかよ。

 で、舞台は一億年前の白亜紀の北米だから、原作は間違ってブロントサウルス(ジュラ紀の恐竜)をティラノサウルスは襲っていたけど、ちゃんと白亜紀の竜脚類のアラモサウルスに変えてやったよ・・・ってか。ぬるいわ!
 そんな時代考証の部分をいくら修正しようが、肝心の恐竜の絵があれなら焼け石に水だ!むしろドラえもんのオールドファンは、今はなかなか見れないオールド復元(ティラノサウルスがカンガルーのように立っている)の恐竜を見に来ているかもしれないだろうが!
 全長が絵を見るに推定100メートル近くあるブロントサウルスが白亜紀にいてもいいじゃないか。ステゴザウルスがいてもオーニソミマスがいてもいいじゃないか!そんな事言うなら、一億年前にはティラノサウルスいないからね?(ティラノサウルスはもっと後で絶滅直前の時代に登場した)
 もう物語をほとんど一緒にするなら、いっそ恐竜も古く懐かしい感じで出せばいいのに、この中途半端さ。プテラノドンをケツァルコアトルスにしたからなんだってんだ。

 そもそものび太の恐竜って言うけどピー助は恐竜じゃない。有名な話だけど。あれならニワトリを育てた方が恐竜って言えちゃう。
 なんで恐竜じゃないフタバスズキリュウを使ったかって言うと、当時日本で発掘された恐竜ってあまりいなくて、図鑑に載っているのは海生爬虫類のフタバスズキリュウか、旧日本領から発掘されたカモノハシ竜ニッポノサウルスくらいだった。
 まあ他にもキタダニリュウとかモシリュウとかサンチュウリュウとかいろいろいたんだけど、部分的な化石しか見つかってなくて、全体像が大体わかっているのは上に挙げた二つくらいだった。おそらくは。
 だからもし今F先生が「のび太の恐竜」を思いついたら、福井県でかなり保存状態のいい恐竜が見つかっているから、ピー助はイグアノドンの仲間のフクイサウルスになったのかもしれない。
 二足歩行できるフクイサウルスなら、白亜紀の冒険シーンではフタバスズキリュウ以上に大活躍できると思うけど、白亜紀に行く前の現代のシーンで、公園の池にネッシーのごとく隠すことができないから、やっぱ無理か・・・
 でも公園で飼育する前にスモールライト使えばいいよね。でもでかくなりすぎて飼いづらくなるって言うペット問題をやろうとしたのかな?

 余談ですが、ドラえもんは勿論、F先生の著作全般に詳しいマロさんが「万能加工ミニ工場」のシーンがなくなっていて残念って言ってて大爆笑だったんだけど(あああったなそんなの!ってw)、確か「一億年前ってどれくらい昔か?」ってドラえもん先生が説明するシーンもカットされてましたよね。
 あのシーンはブロントサウルスをアラモサウルスに差し替える以上に教育的でいいシーンだと思うんだけどな。あれを見れば絶対人類と恐竜が同じ時代にいたなんて思わないだろうから。
 とってつけたように最後にスピノサウルスなんて出すなら(しかもあいつ北米にいねえよ)万能加工ミニ工場と一億年前の講義シーンを入れてやってほしかったよ。

 最後に一言。恐竜ハンターの声をやった船越英一郎さんだけは超よかった。あっぱれ!この人はうまい。声優向きの声だと思う。『カンフーパンダ』の時も思ったけど、声優上手い芸能人って俳優中心に結構いるよね。

なんでもすごいっちゃすごい論

 vicさんにならって今年観た映画の評価をおさらいしてみると星五つばかりということに気がつく。☆の大安売りだ。
 ☆5っていうのは「もうこれ以上はこの話は面白くしようがない」ってことなんだけど、確かにプロの人たちが一生懸命考えつくしたものを見ているのだから、素人の私が見て「これこうすれば、もっと面白くなるのに」って思うことはそうそうない。

 そもそも私って小さい頃から単純かつ大げさですぐになんにでも感動する。「すごいなあ」とか「かっけえ」とか「腹が痛い」とか・・・
 同時につまらないものも素直に「つまんねえ(=笑えない)」って思っちゃうから☆1との二極化が進んでいるんだと思う。なら大沢の親分さんのようにアッパレと喝でいいじゃねえかって気もするんだけどね。まれにちょっと惜しいのとかがあるから、この五段階の評価基準は継続するけど。

 で、この前物まね芸人の苦労話が「金スマ」でやっていた・・・と言うかそれを録画したものを母親が朝見ていて自分もつられて観たんだけど、「馬鹿馬鹿しいなあ」って思う芸でも、自分が少しでもそれをやってみると、この芸をやるためにとんでもない苦労があるんだって言うことに気付く
 ・・・ていうかそんなの当たり前なんだけど、なかなか人ってそれに気付く想像力は皆あるのに面倒くさいから考えない。だからつい「こんなバカなことやって金がもらえていいなあ」ってバカにした目線で見ちゃうこともある。

 でも実際その芸を自分がやってみたり、自分にはできるのだろうかって考えると、自分には到底できないということに気付く。別にそんなのやってみたくもないよって言う人もいるだろうけど、やっぱりそいつができないことに変わりはない。つまり受け手から作り手に移行した時、その人を尊敬する気持ちが生まれたりする。

 私なんて何を見てもいちいち「これってどう作ったんだろう?」とか「すごいなあ」とか思ってトリップしちゃうから面倒がられているんだけど(最近は理科の授業中、電流計と電圧計って内部構造は何が違うんだろう?と不思議な気持ちに・・・)、どんな人もそれなりに自分の仕事をしていて、その結果社会に貢献しているんだから、その仕事の成果や苦労を分かってもらえるのは嫌なことじゃないと思う。

 でも映画などのクリエイターや、匠の技を持つ町工場の職人って、他の職種よりも個人戦の色彩が強いと思う。自分の個性を売りにして戦っているというか(評価を人のせいにできない)。もちろん映画も漫画も今時は大人数で作っているんだけど、でも創作活動とはリーダーがいなくても秩序化する創発現象なんかでは決してない。
 『トイ・ストーリー』を作ったアニメ会社のピクサーがすごいって言うけど、あのすごさはとどのつまりジョン・ラセターって言うカリスマ的リーダーがいるからってところはあると思う。

 誰がやってもまあ大体同じ仕事が出来る・・・それを目指してアメリカの工業化は進んできた。自動車会社のフォードも、サービス業のマクドナルドも、熟練の技を持つ職人さんなんていなくても、仕事の分散化およびマニュアル化によって、バイトの人をたくさん集めれば複雑な仕事ができるようになっている。
 その流れでハリウッド映画もアメリカの大きな輸出商品として作り方のマニュアル化を進めてきたけれど、やっぱり物を言うのは作家の個性だと思う。
 あれだけプロデューサーや投資家がうるさく内容に注文をつけ、映画の構成の仕方も分刻みで決まっているハリウッド映画でさえ、監督の個性って表出するもん。

 まあだから私は映画製作の事はよく分からないけど、そのすごさは想像がつくから、本当にすごいなあって思います。たま~にこんなの俺でも作れるんじゃね?って思うのもあったりするんだけど、でもそれも井の中の蛙だろうから、やっぱすごい。世間が言うつまらない映画を作った監督も、その仕事がもらえるだけ有名でカリスマ性があったってことだろうからね。

 そしてプロの仕事のすごさって最終的にすっごい微妙な世界に入ってくる。素人には分からないレベルの。おそらくぱっと見「わ~上手~い」って思うレベルまではどんな人もちょっと努力すれば行けるんだけど、そのレベルを超えようとした途端、だんだんちょっとの上達の為にかける時間や努力が膨大なものになってくる。大抵の人はここで「やってられねえよ!」ってやめちゃうんだけど、一部にその仕事が好きすぎてやめたくてもやめられない幸せなのか哀しいのかよく分からない輩がいる。それがプロなんだろうなあ。
 そういったぱっと見では気付かない隠れた努力を認めてくれる人に出会えることが孤独なクリエイターの幸せなのかも。そう考えるとあの物まね芸人「ツートン青木」さんは息子さんに自分の仕事を分かってもらえて幸せ者だろうなあ。
 ちなみにツートンさんの古畑任三郎のものまねって「後期」ですよね?詳しく言えば第3シリーズ以降。初期はもっと早口でしっかり喋っていたからね。私は第1シリーズの「殺しのファックス」が好きです。トリックどうこうじゃなくてシーンの組み立てとかがカッコ良かった。
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