化学概論覚え書き①

 みなさんお元気ですか。私はぼちぼちです。最も苦手意識があり、単位が取れるかどうか不安だったケミカル概論ですが、大学のテキストが専門書というか雑学本で、すごい面白くて(著者の科学技術や環境問題に対する思想も全く同感!)有意義な読書の秋を楽しんでいます。
 さて、読書といえば、文化祭の古本市でデューイとかイスラームとか朝鮮半島とか、ユダヤの歴史とか10冊くらい古本を買っちゃったので、それも読みたいところですが、今週末にバイオロジー概論の単位修得試験がやってくるのをすっかり忘れていて、受験票が届いてアタフタしています。まさにバイオハザードです。

参考文献:井上祥平著『はじめての化学―生活を支える基礎知識―』

 初めてのことだけど、参考文献についてちょっとだけ紹介。
 物質についての科学であるケミカルを、あくまでも身近な生活をささえる産業技術として分りやすく紹介。本書に取り上げられる内容は、衣服からはじまり、住居や容器、食品、医薬品、エネルギー、環境問題、はたまた情報技術!まで非常にレンジが広い。
 高校などの化学の教科書では、単純な構造の物質から複雑な構造の物質という順番で教えていくので、日常生活とのつながりがわかりにくく、睡眠学習突入だが、本書では第2章でいきなりナイロン糸から話が始まるので、ああ、あれね!と親近感が半端ない。
 そして私たちは一本の糸のことすらよく分かってなかったんだ・・・と目からウロコの連発。さらに難しい化学反応式や構造式はほとんど掘り下げず、まあ大体こんな感じとサラッと流しちゃうのも男らしくて良い。
 自然科学の単位ではトップクラスに面白かった本なのでオススメです!

藍染め
そもそも色とは可視光線の波長の長さによって決まるが、その波長は、物体色の場合、光が当たった物質が特定の波長の光を吸収し、それ以外の波長の光を反射することによって決められる。
衣服の材料として使われている絹や羊毛や木綿、ナイロンは、もともと無色かほとんど色のない物質なので、染料によって着色をする。

古来から、糸や布を染めるためには植物の色素が用いられてきたが、葉を鮮やかな緑色にする色素のクロロフィルは、すぐに分解して黄褐色になってしまうため染料にはならなかった。そこで、植物の染料として古くは奈良時代から用いられてきたのが藍である。
藍染の場合は、その染料の色素が藍色であり、このとき黄色の光を吸収し、藍色の光を反射するため、私たちの目には藍色に見える。

しかし、藍染めの染料の原料であるインド原産の植物、タデアイの葉は緑で藍色ではない。
実はタデアイの葉の中にあるインディカンという無色の水溶性の物質が加水分解されると、インドキシルというグルコースができ、そのインドキシルが酸化されることで、青色の色素のインディゴになる。
この一連の反応は、タデアイを刈り取りそれを刻んで、天日乾燥し葉のみを集めて、それに水をかけて発酵させることで進んでいく。こうして約100日ですくもという保存が効く藍の染料が出来上がる。

藍の成分のインディゴは不溶性だが、アルカリ還元状態(水素と化合すること)で水に溶けるインディゴロイコになるため、かつては葉の醗酵菌、今では還元剤を用いてインディゴを還元させている。
インディゴロイコはアルカリ性の水溶液によく溶ける黄色い物質である。このインディゴロイコが溶けた溶液に布や糸を浸したあと、それを引き上げ、空気に触れさせる(酸化させる)ことでインディゴに戻し、藍染めが行われる。
ちなみにロイコ化合物の「ロイコ」とは「白」という意味で、その還元型に無色が多いことに由来している。

現在では、インディゴも茜染めのアリザリンも簡単な原理で合成できる。二重結合と単結合が交互に長くつながった構造の分子を作ればいいので、アシッド・レッド1のような人工的な合成染料もたくさん生まれている。

プラスチック
金属やセラミクス(無機物を焼いたもの。陶磁器)に比べてプラスチックはずっと柔らかく、ポリエチレンのフィルムはどんな形状にも変えられる。
セラミクスで最も硬い水晶と、プラスチックのポリエチレンを化学的な構造で比較してみると、水晶(二酸化ケイ素SiO2)はケイ素原子と酸素原子の共有結合で出来ており、ひとつのケイ素原子を中心に四面体があり、その頂点には4個の酸素原子がある。
一方のポリエチレンでは、炭素原子と炭素原子、炭素原子と水素原子の共有結合で出来ていて、ひとつの炭素原子を中心に四面体があり、その頂点には二個の炭素原子と二個の水素原子がある。
このように、水晶とポリエチレンの化学的な構造は非常によく似ている。

しかし、水晶が、それを構成する酸素原子に二個の結合部があるために、全体として巨大な網目構造になり、小さい力では分子の形に変化が起こらないのに対して、ポリエチレンのフィルムでは、それを構成する水素原子にたったひとつの結合部しかないために、線状の分子の集合体になり、この分子の形はわずかな力で変えられるために、プラスチックは軟らかいのである。

ちなみに、プラスチックを燃やすとダイオキシンが出るのでヤバイというイメージがあるが、これは別にすべてのプラスチックではない。
ダイオキシン類には必ず塩素が含まれているため、塩素を含まないプラスチック(ポリエチレン、ポリスチレン)を燃やしてもダイオキシンは発生せず、一般化するのはとんでもない間違いである!・・・と井上祥平さんが言ってた。

3大栄養素の生理的燃焼値
3大栄養素とは人間が食べる食べ物の中でエネルギー源になる糖質、脂質、タンパク質の三つの栄養素のことで、このうち糖質と脂質は、すべて炭素と水素と酸素の三種類の元素で作られているため、どちらも最終生成物は二酸化炭素と水になり、発生するエネルギー量もほぼ等しい。
しかしタンパク質は、炭素、水素、酸素の他に窒素も含まれているので完全燃焼させると一酸化窒素や二酸化窒素が生じるのだが、生体内ではタンパク質は完全燃焼せず、尿素、尿酸、クレアチンなどの窒素化合物が作られ、最終的に尿として排出される。
つまり、タンパク質の場合は、物理的に完全燃焼させて発生するエネルギーよりも、生体内で酸化還元されて発生するエネルギーの方が小さくなる。
さらに、タンパク質に限らず、摂取した栄養素は100%消化吸収されるわけではないので、物理的な燃焼値を補正する必要がある。このとき算出された燃焼値を生理的燃焼値、もしくはアトウォーター係数という。
これによると

糖質は4キロカロリー/グラム
脂質は9キロカロリー/グラム
タンパク質は4キロカロリー/グラム

となる。
したがって、糖質25グラム、脂質30グラム、タンパク質20グラムからなる食品があった場合、そのエネルギー含量は、4×25+9×30+4×20=450キロカロリーとなる。

食品添加物
食品添加物にはいくつかの目的がある。

①食品の製造に必要なもの
②食品の栄養価を保つのに必要なもの
③食品の保護に必要なもの
④食品を魅力あるものにするため必要なもの

①の代表は乳化剤と增粘安定剤である。牛乳は水と乳脂肪が混ざったものだが、このように本来は混ざらない水と油を分離させずに保つのが乳化剤である。
增粘安定剤は食品を粘っこくしたりゼリーを作るときに用いられ、天然のペクチンや合成物のアルギン酸ナトリウム(どちらも炭水化物)がある。このように食品添加物がないと製造できない食品は多い。

②については、アミノ酸、ビタミン、ミネラルを添加した食品がたくさんあるが、その理由には、食品の製造や加工で失われた栄養分を補ったり、ゆっくり食事が取れない忙しい人の栄養バランスを保つため、などが挙げられる。飽食といわれる現在の食生活の裏側である。

③は食品の流通・消費に関わることで、大量の食品をなるべく生に近い状態で、一定期間保存するために用いられている。
無添加で保存期間が少ない食品を長期間保存するためには、細菌の発生を抑えたり、油脂の酸化を防ぐことが必要だが、これを酸化防止剤や、保存料、殺菌剤、防カビ剤などの食品添加物が担っている。

④には、食品の味を魅力的なものにする甘味料や調味料と、食品の見かけをよくする着色料や漂白剤、発色剤の二種類がある。

以上が食品添加物の役割、メリットだが、当然デメリットも存在する。
ひとつめが、素材本来の香りや味ではなく、化学調味料の人工的な味に味覚が慣れてしまうこと。
ふたつめが、安全性である。食品添加物の使用については各国で制限がかけられているが、その基準も絶対に安全だとは限らない。
例えばハムやソーセージの発色をよくする亜硝酸塩(NaNO2)は、食物に含まれるアミンと反応して発ガン物質のニトロソアミンになるため、亜硝酸塩の使用基準と残存料は厳しく定められている、またニトロソアミンの生成を抑えるためにビタミンCが必ず同時に使われている。
しかし、体内の酵素反応でもニトロソアミンは発生し、さらに肝臓で分解されることも分かっているので、パッとしない色のハムやソーセージを食べるか、見栄えのいいハムやソーセージを食べるかは消費者個人の判断となってくる。

整腸剤
胃酸は塩化水素が主成分で、肌を火傷させたりコレラ菌を殺菌するほどの強酸性を示すが、胃の表面はアルカリ性の胃粘液に覆われているので、胃のペーハーは中性に保たれている。
しかし刺激物やストレスなどが原因で、胃酸の分泌量が増えすぎると、胃痛や胸焼けを感じてしまう。
この時、服用するのが、炭酸水素ナトリウムや水酸化マグネシウムなどのアルカリ性の物質が主成分の整腸剤で、過剰に分泌された酸を中和し、胃痛を和らげる。

炭酸水素ナトリウムの整腸剤は吸収性制酸薬に分類され、胃酸を急速に中和するが効果の持続時間は短い。
また、中和に使われなかった余りの成分が体内に吸収され、代謝性アルカローシス(血液や体液のペーハーバランスがアルカリ性に傾くこと)が起こる。
さらに、中和時に発生する二酸化炭素(げっぷ)によって胃が刺激されて二次的に胃酸が分泌されたり(リバウンド現象)、胃が膨張することによって胃潰瘍が悪化する可能性もある。
以下は炭酸水素ナトリウムの整腸剤を服用した時の化学反応式である。

NaHCO3(整腸剤)+ HCl(胃酸) → NaCl + H2O + CO2(げっぷ)

水酸化マグネシウムの整腸剤は非吸収性制酸薬に分類され、吸収性制酸薬と比べると効果は穏やかで、胃酸の分泌を中和しペプシンの作用を和らげ、胃の表面を保護する。
副作用としては、吸収阻害や便秘になる可能性がある。また体内に吸収されないので尿がアルカリ性になる。
以下は水酸化マグネシウムの整腸剤を服用した時の化学反応式である。

Mg(OH)2 (整腸剤)+ 2HCl(胃酸) → MgCl2 + 2H2O

ブレンステッド=ローリーの酸塩基理論では、酸性とは水素イオンを与える物質、アルカリ性とは水素イオンを受け取る物質であると定義されている。
つまり中和反応とは、酸からアルカリへ水素イオンの移動が起こることで溶液が中性となり、塩と水の生成物ができる反応を言う。

ペニシリン
ペニシリンはフレミングによって世界で初めて発見された抗生物質の一種で、風邪をこじらせた際などに、飲み薬として処方されたり、点滴と一緒に投与される。抗生物質は微生物が作り出し、ほかの微生物の生育を阻害する物質のことである。
ペニシリンはアオカビの一種ペニシリウム・クリソゲナムが作り出し、ブドウ球菌などの病原菌の細胞壁を作るのに必要な酵素を阻害して殺してしまう。高等動物の細胞にはこのような酵素はないので人間に対しては毒性はない。
ペニシリンは細菌(病原微生物)による感染症に対して素晴らしい効果を発揮してきたが、長いあいだ使っているうちにペニシリンに抵抗できる耐性菌が現れた。
これに対して、化学的な合成によってペニシリンの分子構造を一部変えたものが半合成ペニシリンである。
例えばメチシリンは天然のペニシリンをもとに作られた半合成ペニシリンである。
しかし、メチシリンにも耐性のある黄色ブドウ球菌(MRSA)が現れ、病原菌と抗生物質の戦いはいたちごっこになっている。
ペニシリンには、フレミングのようにアオカビ培養液から精製した天然ペニシリン、アオカビの培養液に別の原料を人為的に加えて、それをアオカビに合成させたものを精製した生合成ペニシリン、天然ペニシリンや生合成ペニシリンをもとに化学的な構造を変化させた半合成ペニシリン、すべてを化学的に合成した全合成ペニシリンがあり、同じ抗生物質を長期間使わないようにして耐性菌の出現を回避することが必要である。

半導体
現代の電子機器の核となる物質がシリコンの結晶などの半導体である。シリコンの構造はダイヤモンドと同じく、シリコン同士の共有結合(電子を共有する結合)でできた巨大な網の目である。
しかしシリコンの結合は、ダイヤモンド(炭素)の結合よりも少し弱く、結晶の一部は結合が切れている。この部分では電子は動けるので、シリコンは導体でも絶縁体でもない、ある程度の導電性を示す。もう少し正確に言うと、結合の切れた部分が隣へ隣へと移ることで結果的に電子が移動する。
半導体の興味深く、重要な点は微量な不純物を加えることで導電性が大幅に変えられるということである。もともとはシリコンの導電性を調べている時に再現性が乏しく、それが微量の不純物によるものであることがわかったのだが、今ではあえて不純物を加えている。

シリコンに加える不純物は周期表の族番号でシリコン(14族)の左隣り(13族)か、右隣り(15族)の元素である。
13族の元素(例えばインジウム)はシリコンよりも結合に関係する電子の数(電子価)がひとつ少なく、14族の元素(例えばアンチモン)はシリコンよりも電子価がひとつ多い。
したがってシリコンの中にアンチモンを加えると、その場所では電子がひとつ余ることになる。これが自由電子となり電気が流れやすくなる。
逆に、インジウムを加えると、その場所では電子がひとつ不足することになる。このような場所は正孔と呼ばれる。正孔はいわば電子が抜けた穴で、そのために電子が入りやすい。
正孔の隣りの原子にあった電子が正孔に移動すると、隣りの原子の場所が正孔となるため、正孔の移動は、電子の移動であると考えられる。
こうして半導体は伝導性を上げることができる。

ちなみに、正孔を持つ半導体をp型半導体(ポジティブ型半導体)、電子を余計に持つ半導体をn型半導体(ネガティブ型半導体)という。この二種類の半導体を組み合わせて、電子機器に必要な素子、ダイオード(交流を直流に変換する際、電流を一方通行にする素子)やトランジスタ(回路のオンオフを切り替える素子)が作られる。
ラジオやテレビでは、音や光を変換した信号を電波として発信し、ここから必要な信号を選んで(同調)、元の信号を取り出し(検波)、増幅して、音や光の形に戻しているが、このとき、検波や増幅のような働きをするのが半導体である。
ダイオードでは微弱な電流で大きな電気回路のスイッチを入れることで、電気信号を増幅している。

半導体に使うシリコンは高純度である必要があり、不純物を加える前に不純物があってはならないので、原材料のケイ砂(石英=二酸化ケイ素)を炭素で還元して、純度98~99%のシリコンを作る。
また、シリコンから不純物を取り除くことは固体の状態では難しいため、還元したシリコンを塩化水素と反応させて液体のトリクロロシランにしたあと、これを蒸留させることで不純物を取り除き、最後に水素と反応させ高純度のシリコンが手に入る。

物理学概論覚え書き②

 当初の予定では、物理とケミカルと理科教育法すべてのレポートを三連休中に終わらせたかったのだが、学問はそんなに甘いものではなかったらしく、物理学しか終わりませんでした。
 当初から無茶な計画だったらしい。ということで今月15日にレポートの締め切りが来るんだけどケミカルは見送りかなあ・・・ひい。

万有引力の法則
木に実ったりんごは地面に落ちるのに、なぜ空の月は地球に落ちてこないのか?
そんなこども電話相談室的なアポリアに対する理論的な説明として考えられたのが、かの有名な万有引力の法則である。
これは、すべての物体は他の物体を引っ張る力である引力があり、その引力の強さは質量の大きさに比例し、また物体と物体の距離の二乗に反比例するというものである。
式にすると以下のようになる。

F(引力)=G(重力定数)×m(物体Aの質量)×M(物体Bの質量)/r2(物体間の距離の二乗)

つまり、質量mのりんごと質量Meの地球では、比べ物にならないくらい地球に対してりんごが小さいので、りんごの作用する引力Fは

F=G×m×Me/re2

となり、この引力は地球の重力mgとほぼ同じなので(実際はりんごの方も地球を引きつけてはいるのだが)

mg=G×m×Me/re2

と置き換えられる。

重力定数Gは、イギリスのキャベンディッシュがねじり天秤で測定した。
イギリス王室並みの財産があった彼は、有名な水素の発見をはじめ、電気回路や状態変化など、数々の研究成果を残したが、極度の恥ずかしがりや&引きこもりだったらしく、その偉大な功績をほとんど世間に発表しなかった。
そんなキャベンディッシュの測定から217年・・・現在では重力定数はG=6.67×10-11(m3/kg・s2)とされている。

さて、万有引力の式を用いれば、なんとまあ地球の質量も計算できる。
地球と月に引力が働いているとして、月が地球の方に引っ張られないのは、地球が月を引っ張る引力と同じだけ、回転する月が地球から遠ざかろうとする遠心力が働いているからである。

遠心力は

F=m×v2/r

そして引力Fと遠心力Fは等しいから=で結べ

G×m×M/r2= m×v2/r(m=月の質量、M=地球の質量とする)

G×m×M=m×v2×r

M=m×v2×r/m×G

M=v2r/G

この式に、地球と月までの距離約384400kmと月の速度秒速1kmを代入。
この場合、単位をメートルと秒に直すのに注意。

M=1000×1000 × 384400000 / 6.67×10-11

M=3844÷6.67×1022

M=576×1022キログラム

でかすぎてよくわからないのでトンにすると

M=576×1019トン

5760000000兆トンでやっぱりよくわからない。ウルトラ怪獣か!
(実際には地球の質量はもうちょっと大きくて約60億兆トン

一方、月の質量は736×1017トンで、だいたい地球の質量の100分の1くらいということになる。

ちなみに、万有引力によって海の潮の満ち引きが起きているのでサーファーは嬉しい。地球の自転によって、月の方を向いている面はより強く月に海水が引っ張られるので、海面の高さが変化するわけ。

オットーサイクルとカルノーサイクル
ドイツの発明家のオットーは、現在ではオットーサイクルと呼ばれる4つの工程を踏むエンジンで特許を取った。
オットーサイクルとは

①ガスの吸入
②ガスの圧縮
③点火・爆発
④排気


という4つのサイクルを繰り返す熱機関(ガソリンエンジン)のことである。
熱機関は、高温熱源(ボイラー)、低温熱源(冷却装置)、作業物質(圧縮されたり収縮されたりする物質。蒸気機関なら水蒸気)の3つの要素で構成される。

エンジンの作業物質は空気であるが、その空気の体積と圧力の変化は各サイクルで次のようになる。
①圧力なし、体積増加(吸気される)
②圧力上昇、体積圧縮(気体は仕事をされる)
③圧力さらに上昇、体積一定→圧力急低下、体積膨張(気体は仕事をする)
④圧力低下、体積低下(排気される)

同じ体積の気体では、気体の圧力は絶対温度に比例するので(ボイル・シャルルの法則)、高温高圧の気体がおこなう仕事のほうが、低温低圧の気体よりも大きい。
熱機関においては、高温熱源からの熱Q高からなるべくたくさんの仕事Wを取り出すことが求められるが、熱力学第二法則からW/Qは1にならない(熱をすべて仕事には変えられない)ので、熱機関とは高温熱源のエネルギーの一部を仕事に変える機関であると言える。
そこで、熱機関を効率化し、どれくらいまでならW/Qを1に近づけられるかが問題になってくる。

フランスの軍人でエンジニアでもあったカルノーは、この問題に対してカルノーサイクルという理想的な熱機関を考えた。
カルノーサイクルは以下の4つの工程を繰り返す。

①等温膨張
気体が膨張すると、気体の温度は低下するが、その低下分だけの熱Q高が供給され、気体の温度は一定に保たれる。つまり供給された熱Q高はすべて仕事に使われる。

②断熱膨張
気体が膨張して仕事を行う。シリンダー内が外界との熱の出入りがない断熱状態では、膨張した分だけ気体の温度は低下する。

③等温圧縮
気体を圧縮すると、気体の温度は上がるが、気体の温度が一定に保たれるように熱Q低が気体を冷やす。

④断熱圧縮
シリンダーは断熱状態なので、圧縮された分だけ気体の温度は増加する。こうして気体の状態は①で等温膨張をする前と全く同じになる。

カルノーサイクルはリアルでは絶対に不可能な完全な断熱構造になっているので、供給された熱エネルギーが、等温圧縮工程以外では外部に逃げず、Q高-Q低はすべて仕事に用いられる。

これによると高温熱源の絶対温度がT高、低温熱源の絶対温度がT低の場合、熱機関の効率η(エータ)には上限があり

η=熱機関が行う仕事W(Q低+Q高)/高温熱源が放出する熱量Q高<T高-T低/T高

という式が求められる(カルノーの原理)。

つまり熱機関の1サイクル分の仕事量は、高温熱源と低温熱源のギャップが大きいほど増加し、効率も良くなるということだが、低温熱源は作業物質を冷却する水や大気なので、その温度を下げるには限界がある(凍ってしまうから)。
つまり、熱機関の効率を上げるには高温熱源の温度を上げるしかないが、となると作業物質の温度が上がり、それにともない圧力も強力になるので、それに耐えられる材料で熱機関を作らなければならない。
カルノーサイクルは言ってみれば思考実験に過ぎないのだが、内燃機関の効率を計算する際には、カルノーが考えた式は非常に便利である。

静電誘導と雷
雷の発生メカニズムは現在でもわからないことが多いらしいが、とりあえず静電気なんじゃないかと言われている。
金属のような導体に、マイナス(プラス)に帯電した物質(棒など)を近づけると、棒に近い側に金属のプラス(マイナス)の電気が引き寄せられるが、これを静電誘導という。
このとき棒と金属は、空気に隔てられていて絶縁されているが、電圧が大きかったり、距離が近すぎると、棒と金属のあいだに電気が流れ、放電してしまう。

これが雷雲でも起こるとされている。
そもそも雲は、太陽によって温められて上昇した地表の空気が、まわりの気圧が下がることでさらに体積を膨張させ、露点を下回り、水滴になることで発生する。
さらに、上昇した空気の温度が-10℃を下回ると、水滴は氷の結晶に変化するが、この氷の粒がたがいにこすれ合うことで、雷のもとになる静電気は生まれる。
このとき、小さくて軽い氷の粒はプラスに、大きくて重い氷のつぶはマイナスに帯電し、雷雲の上下に電極的に配置される。

こうして雲の下部に帯電したマイナスの電気は、静電誘導によって地面をプラスに帯電させてしまう。
しかし雷雲と地面を隔てる空気は電気を流しにくいので、雷雲の電気はすぐに地面には流れず、どんどん大きくなり、電気がこれ以上蓄えられなくなったとき――雲の高さが低い時は地面に、そうではない場合は雲上部に放電される。

雷のエネルギーは凄まじく、通り道にある原子がもつ電子をはじき飛ばし、陽イオンと電子に分けて大気をプラズマ化してしまう。この時生まれた電子も、光を放ちながら地面に向かう。
また、地面に帯電したプラスの電気も、地面に電子が到達する直前にお迎え放電を起こし雲に流れていく。このプラスの電気は電子よりも大きなエネルギーを持ち、さらに強烈な光を放つ。これらの発光現象が稲妻である。
 
直流モーターの仕組み
モーターとは、電磁誘導の原理を利用して、電池から取り出される直流の電流と、内部の磁石がつくる磁界から、力(回転)を生み出す装置である。
電磁誘導の法則は、19世紀初頭に学校に通えないほど貧しかったファラデーによって発見されたとされている。
電磁誘導とは、電流、磁界、力のうち、二つがあれば、残りの一つが作り出せるというもので、この三つの向きはそれぞれX軸、Y軸、Z軸方向と、たがいに垂直の向きに発生する。フレミングの左手の法則は、左手の親指と人差し指と中指を使って、電流(中指)、磁界(人差し指)、力(親指)の向きを表すものである。

モーターは、この電流、磁界、力の向きが互いに垂直であることを利用する。
磁石のN極とS極の間を回転するように取り付けられたコイルに電流を流すと、電磁誘導によってコイルは回転をはじめるが、このまま180°回転すると、磁界に対する電流の向きが逆になってしまい回転運動の向きも上下逆になってしまう。つまりコイルは半回転ごとに向きを変え、いったりきたりを繰り返し、同じ方向に一周できない。

そこでコイルの付け根に整流子という部品を取り付けることによって、コイルが90°回転、270°回転するごとに、コイルの中を流れる電流の向きを切り替えている。
したがって整流子によって電流の向きが切り替わる時には、ブラシと整流子は外れ、電流は瞬間的に流れなくなるのだが、回転の慣性によってそのまま整流子の途切れた部分を通り過ぎると、再びブラシと整流子はくっつくので、常に同じ向きにコイルは回転できるというわけである。

このような実用的な直流モーターはアメリカの発明家のダヴェンポート夫妻によって開発され、当初は印刷機などに利用された。
直流モーターは小型で、電気を入れたらすぐに反応し、速度制御が簡単というメリットもあるが、構造上、整流子とブラシの接続部分が摩耗するため、消耗品として扱われる。

核反応
原子核の質量は、それを構成する陽子や中性子(まとめて核子という)の質量によって決められるが、原子核の質量を精密に測定してみると、陽子の質量×Z個と、中性子の質量×N個の合計値よりも小さかった。この差を質量欠損という。
陽子や中性子などの核子が集まって原子核を作ると、バラバラな時に比べ、エネルギー(核力の位置エネルギー)がΔE分だけ小さい状態になっている。
相対性理論によれば、質量はエネルギーの一形態なので、質量mの物体は

E=m×c2

だけのエネルギーを持っているということになり、よって、ΔEだけエネルギーが減ったということは、相対性理論を変形して

Δm=ΔE/c2

だけ質量が減少したと考える必要がある。
したがって、原子核をバラバラにするためには、外部からΔE分の大きさのエネルギーを与えなければならない。この時のΔEを原子核の結合エネルギーという。

核子一個あたりの結合エネルギー(単位はメガ原子ボルトMeV)は

原子核の結合エネルギーΔE÷核子の総数(質量数)A

で求められる。
このエネルギーの値を水素原子から比べてみると、原子の核子数が大きくなるにつれ、それをつなぐ結合エネルギーも急増し、質量数56の鉄原子核でその値はピークとなる。
そのため鉄より大きな原子核の結合エネルギーは、原子核を構成する陽子の量が増えることで、電気的反発(クーロン力)が大きくなるために徐々に低下してく(クーロン力は核子を結びつける核力よりもずっと広範囲に働くので、原子核の大きさが大きいほど有利となる)。
つまり鉄の原子核が、もっとも安定していて(原子核をバラバラにするのが最も難しい)、それよりも軽い原子核は核融合を、それよりも重い原子核は核分裂をする可能性がある。
また、これらの反応によって変化する質量に伴って、エネルギーが吸収されたり放出されたりする(エネルギー保存の法則)。

核分裂反応を利用したのが、おなじみの原子力発電である。
原子力発電で活躍するのが中性子である。
中性子は電気的な影響を受けないので、プラスの電荷を持つ原子核に反発されずに衝突させることができる。
天然存在比が0.72%のウラン235は中性子と衝突すると、クリプトン92とバリウム141に分裂し、その際に2~3個の中性子と核エネルギーを放出する。
この時放出された中性子の数は、ぶつかってきた中性子の数よりも多く、他のウラン原子核を分裂させるため、うまく工夫すれば核分裂を次々に連鎖的に引き起こすことができる。
この核連鎖反応を引き起こすためには、放出された中性子が外部に逃げ込まないように、一定量のウランがまとまって存在していなければならない。連鎖反応を起こすために最低限必要なウランの量を臨界量という。
したがってウランの量が臨海量以下ならば、中性子は次の核分裂を起こす前に外部に飛んでいってしまい連鎖反応は発生しない。ちなみに高濃縮ウラン235の臨界量は約20kgだという。
核エネルギーによって高温になった原子炉を高温熱源、海水を低温熱源とする熱機関をつかった発電が原子力発電である。

ちなみに天然ウランのほとんど(99.3%)はウラン238で、こちらは中性子が衝突しても核分裂は起きない。また、ウラン235の核分裂によって発生する速度の速い中性子を吸収し、ウラン239になってしまうため、天然ウランでは連鎖反応は起こらない。
しかしウラン239が二回β崩壊をして(半減期は二日ちょっと)できるプルトニウム239は中性子によって核分裂をし、さらにウラン235に比べて臨海量も少ない。
このプルトニウム239を燃料に利用したのが高速増殖炉である。

一方、核融合反応は、二つの原子核を電気的反発に逆らって無理やり近づけ接触させなければいけない。
したがって、ほっといても勝手に進んじゃったりする核分裂に比べて、人工的に起こすことが非常に難しく、原子核を秒速1000キロメートル以上の速度で正面衝突させなければならない。さらに、核融合反応を維持するには温度を一億度以上に保つ必要がある(ゼットンか)。逆に言えば、暴走の心配はない。

ちなみに、太陽のエネルギー源は1600万度にもなる中心部で、水素原子核が核融合をしてヘリウム原子核(あと中性子)になる際に放出される核エネルギーである。
つまり、核融合発電とは、地球に太陽を作るような気宇壮大な計画なのだが、1gの水さえあればタンクローリー1台分の燃料が取り出せる夢のクリーンエネルギー!という一般的なイメージと異なり、燃料に放射性物質(三重水素)を使ったりするので、デメリットももちろんある。うまい話はなかなかないのだ。

物理学概論覚え書き①

 ついに今月から、理科の一分野の単位取得大作戦を開始!
 なかなか勉強する時間がなくて、この三連休を使って、まずは物理学ってことなんだけど、レポートの出題範囲自体は意外と中学生三年生レベルで、こんなんで高校の理科も教えられるようになっちゃうの?オレって実は頭良い!?とか勘違いしてたら、小学校の振り子の運動で爆死。
 いや、確かに小学校で「振り子の揺れる周期っておもりの重さには関係ありません」ってやるけれど、なんでそうなるかさっぱりわからなかったし、理科に苦手意識のある先生が多いといわれる小学校でなんでこんな高度なもん扱うんだろうって前々から疑問には思ってたんだけど、やはり、三角関数と微分を普通に駆使しないと、説明できないという。小学生半端ねえ。

物理量
物理量とは、物理学で扱う、長さ、時間、速さ、力などの量のことで、単位を基準として、「50m」などのように「数値」×「単位」として表される。
従って、単位は定数(ある定まった一つの値をとること)であるのに対して、物理量は変数である。

さて、力と運動を扱う物理学である力学で出てくる物理量の単位は、長さ、質量、時間の三つの単位を決めれば、そこから全て定めることができる。
この時、長さの単位はメートル(光が真空中で1/299792458秒の間に進む距離)、質量の単位はキログラム(白金イリジウム合金の原器によって定義)、時間の単位は(セシウムが放射する光の周期の9192631770倍の時間)を、基本の単位にして、ほかの物理量の単位を定めた(例えば平方メートルなど)単位系は、MKS単位系と呼ばれ、さらにこれに電流の単位のアンペアを加えた四天王的なものはMKSA単位系と呼ばれる。

日本の計量法で採用されているのは、このMKSA単位系を拡張したSI単位系(国際単位系)で、メートル、キログラム、秒、アンペアに、温度のケルビン、光度のカンデラ、物質量のモルを加え、この七つの単位を基本単位としている。
これ以外の単位は、組み立て単位と呼ばれ、7つの基本単位を用いた式によってすべて表すことができる。組立単位は以下のものがある。

速さ=m/s(距離÷時間)
加速度=m/s2(速度の変化量÷速度の変化時間)
平面角(ラジアン)=m/m
立体角(ステラジアン)=m2/m2(球の半径の2乗の広さr2の面積をもつ球面上の面を球の中心から作る立体角)
周波数(ヘルツ)=/s(波の速さ÷波長)

面積=m2(長さ×長さ)
力(ニュートン)=m・kg/s2(質量×加速度)
エネルギー(ジュール)=m2・kg/s2(力×動かした距離)
仕事率、電力(ワット)=m2・kg/s3(エネルギー÷時間)
圧力(パスカル)=kg/ms2(ニュートン÷面積)

電荷(クーロン)=s・A(電流×時間)
電位、電圧(ボルト)=m2・kg/s3A(エネルギー÷電荷)
電気抵抗(オーム)=m2・kg/s3A2(電圧÷電流)
静電気量(ファラド)=s4・A2/m2kg(電荷÷電圧)

磁束(ウェーバー)=m2・kg/s2A(電圧×時間)
磁場、磁束密度(テスラ)=kg/s2A(磁束÷面積)
インダクタンス(ヘンリー)=m2・kg/s2A2(磁場÷電流)

光束(ルーメン)=cd・m2/m2(光度×ステラジアン)
照度(ルクス)=cd/m2(光度÷面積)
放射能(ベクレル)=/s(原子の崩壊量÷時間)
吸収線量(グレイ)=m2・s2(エネルギー÷質量)
実効線量(シーベルト)=m2・s2(エネルギー÷質量)


ちなみに物理量の桁が非常に大きかったり小さかったりする場合は、10のべき乗を使ったり(1の次に0がいくつ続くかを表す)、単位の前に接頭語(kmのkなど)をつけて、桁の数を調整する。
また、物理学の単位にはそれぞれ次元があり、異なる次元の単位は足し合わすことができないので、換算して同じ単位に表しなおす必要がある。
例えば、重さ+長さは計算できない。

ニュートンの運動の法則
ペストの流行でケンブリッジ大学が閉鎖され、仕方がないから故郷に帰ってきたニュートンは、力と質量と加速度が物体の運動を理解する鍵であることに辿り着き、力学を確立、1687年(日本では元禄時代)に『プリンキピア』を出版した。
これまでの力学では、物体が落下するのは、その物体が元いた場所に帰ろうとしているからである、また、ものが落下する垂直運動と、ものが横に移動する水平運動は全く別の力である(リンゴのように月が地球に落下してこないのはそのため)などと考えていた。
しかしニュートンは、これまでのガリレオやケプラー、コペルニクスといった物理学者の功績を踏まえて、力の概念を明確に定義しなおし、以下の三つの運動の法則を唱えた。

運動の第一法則は、一般的に慣性の法則と呼ばれているものである。

外力が作用していない物体、もしくは外力の合計が0に相殺されている物体は、静止している場合は静止し続け、運動をしている場合は等速直線運動を続ける。

等速直線運動を続ける物体など日常ではまず目撃しないので、にわかには受け入れられない法則だが、それは等速直線運動を妨げる、外力があるからである。
しかし、場合によっては地球上でも等速直線運動的な運動は起きる。わかりやすいのはスカイダイビングで、地球の重力が働き続けるならば、ダイバーの落ちる速度は地面にぶつかるまで無限に大きくなってしまうが、物体の速度に比例して大きくなる空気抵抗が重力とは逆向きに働き、ある値で釣り合うので、最終的にはダイバーが落ちる速度は一定(うつ伏せバンザイポーズでだいたい時速200キロメートルで頭打ち)になる。
ガリレオは、物体に外力が働かなければ、その物体はやがて運動をやめて静止してしまうと考えたが、ニュートンは運動している物体が止まるのは、外力が働かないからなのではなく、まったく逆で、運動を妨げる力が働くからだと考えたのである。

運動の第二法則は、外力が働く場合の物体の運動を説明するものである。
一般的に運動の法則と言った場合はこの第二法則を指す。

物体の加速度(運動量の時間変化)は、その物体に作用する外力に比例し、物体の質量に反比例する。

つまり、加速度a=力F÷質量mという式が成り立ち、これを変形するとF=m×aという有名な運動方程式が出てくる。
こちらの法則は日常的にも理解がしやすい。例えば、自転車を加速させる場合、強い力でペダルをこいだほうがどんどん加速するし、自転車自体を軽くすれば、さらに加速はしやすくなる。
ニュートンは、質量という概念を、物体の慣性、物体の速度の変化のしにくさ(=動かしにくさ)の指標として考案している。ちなみによく似た概念の重さは重力によって値が変化するが、質量は変化しない。

運動の第三法則は、二つの物体が作用し合う力についての法則で、一般的には作用・反作用の法則と呼ばれる。

物体Aが物体Bに力を作用すれば、物体Bも物体Aに力を作用する。二つの力の向きは互いに逆で、その大きさは等しい。

例えば、手で壁を押そうとするとき、壁によって押し返されているように感じるが、これも自分が与えた力と同じだけの力を壁から受けているからである。
また二つの物体のあいだで摩擦力や質量に差があると、摩擦力や質量が小さい方の物体は、同じ力を受けても大きく動いてしまう。
体重の軽い人と重い人が互いに押し合う場合、作用反作用の法則で同じ力を与え合っているのに、重い人がびくともしないのはそのためである。

自動車の力学
運転手がアクセルやブレーキなどを使って自動車の速度を変えることで、自動車は動いたり止まったりすることができる。
このときの自動車の速度は、タイヤと路面に働く摩擦力によって変化する。

まず、止まっている車が走り出す場合を考える。
エンジンによって回転したタイヤは、道路に対して後ろ向きの力fを与え、作用反作用の法則によって、タイヤは道路に前向きに押し返される。
この時、fと同じ大きさで逆向きに働く力は静止摩擦力Fで、この限界値である最大摩擦力(F最大は、タイヤの接地面に作用する垂直抗力の大きさに比例する。
タイヤの後ろ向きの力fがこの最大摩擦力を超えた時に、自動車は前進を開始する。よって自動車と道路のあいだに摩擦力が作用しなければ自動車は動かない。

次に自動車が加速する場合である。
回転数が上がったタイヤは、道路からさらに大きな前向きの摩擦力を受けるので、自動車は加速していく。その加速度を表すベクトルは、自動車の進行方向と同じ前向きである。
また、カーブに差し掛かりハンドルを切って曲がる場合は、加速度を表すベクトルと道路がタイヤに及ぼす摩擦力は、自動車の進行方向とは横向きになる。
よって速度を落としつつハンドルを切らないと慣性の法則で横転する危険性がある。

最後にブレーキを踏んで自動車が止まる場合である。
ブレーキを踏むと速度は下がるので、その加速度を表すベクトルは、自動車の進行方向とは逆向きである。
この時に急ブレーキを踏むと、静止したタイヤは自動車の進行方向へ引きずられ、路面とのあいだに強い摩擦がかかる。
そのため、タイヤは道路に前向きの、道路はタイヤに後ろ向きの摩擦力を作用させ、自動車の速度は落ち、最終的に自動車は停止する。


単振り子の等時性
周期運動とは、時計の針やブランコなど、一定の間隔(周期)で同じ動きを繰り返すことで、物体の位置と速度が、一周期前の位置と速度に等しい運動のことである。
振動とは、物体が元の位置に戻ろうとする復元力によって、同じ道筋を上下もしくは左右にくり返し動く運動であるが、復元力の強さが元の位置とのズレの大きさに比例する場合(ゆーとぴあのネタ)を単振動という。

振り子は、外部からエネルギーを補給しない限り、振れ幅はどんどん小さくなっていき最後には止まってしまう(減衰振動)。そのため、振り子をいつまでも振動させるためには、周期的に変動する外力を加えなければいけない(強制振動)。

さて、長さLの糸に質量mのおもりを取り付けて、振れ幅の小さい振動をさせる振り子を単振り子という。
おもりは、糸がおもりを引っ張る力(張力)Sと、おもりに働く重力mgの作用によって、半径Lの円弧上を往復運動する。
振り子が鉛直線(糸が真下に垂れた時の線)から角度θだけずれた時のおもりを左右に振動させる力Fは、張力Sと重力mgでできる平行四辺形の対角線で、かつ、張力Sはおもりの運動方向に垂直なので(おもりの運動方向は円弧の接線だから)、角度θ、斜辺の長さmg、高さ(対辺)Fの直角三角形ができ

sinθ=F÷mg

という式が作られる。これを力を表す式に変形すると

F=mg・sinθ

この力の向きが、おもりのズレの向き(変位)と逆向きの時(つまり中央に戻ろうとしているとき)は、マイナスの符号をつけて

F=-mg・sinθとする。

ここで、振り子の振れ幅が極めて小さい場合は、おもりの往復運動は円弧上の曲線ではなく、ほぼ直線の水平運動とみなせないこともない(数学や物理学のこういう考え好きくない)。
この時の移動距離をXとすると

sinθ=X÷L

これを、さきほどの

F=mg・sinθ

のsinθに代入すると

F=-mg・X÷Lとなる。

これをF=m×aの運動方程式に代入すると

-mg・X÷L=m×a

両辺をmで割ると

a=-g・X÷L・・・①

等速円運動の加速度a(向心加速度)は半径r×角速度ω(オメガ。一秒間に回った角度のこと)の二乗なので

a=r・ω2

さらに単振動の加速度aはrω2の変動をX軸上に表したものなので(回転運動の中心角は角速度ω×時間t)、したがって

a=rω2・sin・ωt

a=-ω2・X(※X=r・sin ωtを代入)・・・②

この②を①に代入すると

-ω2・X=-g・X÷L

となり

ω2=g÷L

ω=√g/L

単振動の周期Tは、一週分の道のり2πr÷速さrωなので

T=2π÷ω

よって微小振動の単振り子の周期はω=√g/Lを代入して

T=2π×√L/g

この式には、おもりの質量や振れ幅がないので、振り子の周期には糸の長さと重力加速度しか関係しないことがわかる。
これを振り子の等時性(糸の長さが同じなら、振れ幅が小さかろうが大きかろうが、揺れる周期は等しいということ)という。

逆に言えば、この式を

g=4π2・L/T2

に変形すれば、糸の長さと振り子の周期から地球の重力加速度を求めることができる(単位はもちろんメートルと秒を使う)。
この実験は、振り子とストップウォッチさえあれば手軽にでき、振り子の周期の測定についてもおもりが軽ければ空気抵抗はほとんど無視できる。ただ、糸の長さの測定や糸の伸びやねじれによって、周期の測定結果に誤差が出るので、何回か計測して、その平均値を式に代入しなければならない。

角運動量保存の法則
固定された軸に取り付けられたプロペラ(回転しても質量分布が変化しない剛体とする)がちょうど一秒で1回転するとき、0.5秒では180°、0.25秒では90°回転することになる。
このように角度θが時間とともに変化する変化の割合は、角速度ωと呼ばれ

角速度=角度の微分÷時間の微分
ω=dθ/dt

と表される。
角速度は単位時間あたりに何度回転しているかを示すので、角速度は単位時間あたりの回転回数fに360°をかけた値になる。
ちなみに三角関数的には、360°は2πラジアンとされるので

ω=2π・f・・・①

ちなみに、プロペラの長さをrとして、f回転をさせた場合、このプロペラのブレードの先端の速さVは、一周分の道のり(=円周の長さ)×回転数なので

V=2π・r・f・・・②

①を②に代入して

V=r・ω・・・③

これから、ブレードの先端の運動エネルギーは

E=1/2×m×V2

という、運動エネルギーの式のVに③を代入して

E=1/2×m×(r・ω)2

となる。

プロペラの回転エネルギーは、そのプロペラを粉々にして、粉ひと粒ひと粒にかかる運動エネルギーの合計として計算できる。
こういう無限に小さくしたものを無限に足し合わせると有限の値が出るよっていう数学的なハッタリがどうにも私はわからん。まあいいや。

質量mi、回転軸から距離がriのプロペラの破片iを考えると

プロペラ全体の運動エネルギーEは

E=∑i 1/2×mi×(ri・ω)2

E=1/2(∑i mi・ri2)ω2

ここでカッコの中の∑i mi・ri2はプロペラの慣性モーメントI(イナーシャ)なので

E=1/2・I・ω2

慣性モーメントとは、回転を始めたり、回転を止めたりするのに必要な力の量のことで、これは剛体の重さmと、回転軸から剛体までの距離rの二乗に比例して大きくなる。

このように、物体に作用する力が物体を回転軸の周りで回転させようとする能力Nは、力の大きさFと回転軸からの距離rに比例し

N=F×rとなる。

この時のNを力のモーメントという。長い棒を使えば重いものも持ち上がるよという、テコの原理がまさにこれ。

ちなみに、角運動量Lは運動量p×距離rなので

角運動量Lを時間微分すると

dL/dt=d(p・r)/dt 

微分の公式から

   =dr/dt・p+dp/dt・r

F=dp/dtの運動方程式から

   =dr/dt・p+F・r  

N=F×rより

   =dr/dt・p+N

等速円運動の場合、中心からの距離rは一定のため(円運動の半径は変わらない)、dr/dt・p=0

   =N           

したがって

N=dL/dt

つまり、力のモーメントNと角運動量Lの関係は、力Fと運動量pの関係と同じであることが分かり、運動量同様に外部からの力が加わらない限り、その値は変化しないことがわかる。

例えばフィギュアスケートで両腕を折りたたむと回転速度ωが上がるが、外力のモーメントNはかかっていないので、角運動量Lが変化しているわけではない。
したがって

L=pr
 =mvr  ※p=mvより
 =mrωr ※v=r・ωより
 =mrrω
 =Iω  ※慣性モーメントI=m・r2より

からL=Iωであり、慣性モーメントIは角速度ωが上がった分だけ、低下しなくてはいけない。
逆に、慣性モーメントは回転軸からの距離が短くなれば小さくなるので、両腕をたためば慣性モーメントIも低下、しかし全体の角運動量自体は保存されるので、そのぶん角速度ωが増加する。

地図図法覚え書き

メルカトル図法
すごい一般的な四角いやつ。16世紀に軍用として開発され、羅針盤による航海に使っていた。
地球を円柱に変換して、それを平面上に広げている。
そのため、角度は正しいが、面積が南北に行けば行くほど広がってしまい、南極大陸の大きさがえらいことになる。また北極点や南極点が描けない(点ではなく地平線的な直線=無限遠点になってしまう)。

モルワイデ図法
楕円状の地図で面積が正しい。

グード図法
りんごの皮を綺麗にむいたような形の地図。面積が正しい。

サンソン図法
かどの丸いひし形のような形の地図。面積が正しい。

ボンヌ図法
ハート型の地図。地球を円錐に見立てて、その展開図を丸くしたもの。面積が正しい。

正距方位図法
任意に選んだ基準の地点(円の中心地)からの距離と方位が正しい地図。国際連合のロゴがこれ(国連は北極点が円の中心)。
円の中心(例えば北極点)から別の場所(例えば日本)の距離と方位が正しいが、その逆――日本→北極点からの方位は正しくない(ただし距離は正しい)。
この図法では、地球の裏側が円周(無限遠点)になる。

アントマン

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 オレは使い捨てだ。だからオレなんだよ。

 人間っていうのは結局、働きアリと一緒でさ、一生のほとんどを労働に費やすわけで、となれば、その労働に生きがいを見いだせたら、それこそクオリティ・オブ・ライフ、人生を楽しむことができるのは間違いない。
 労働を罰ゲームとして考える聖書や、働いたら負けとうそぶくニートの思想と、この意見は相容れないところがあるんだけど、本当に働くっていうのは苦痛しかないのだろうか。
 となれば、働かずに暮らしているニートの人は、人生の勝者と言えるんだけど、『愛するということ』の記事でも言ったように、どうもそんな風に人生を有意義に楽しんでいるニートはあまり見かけない。なんでなんだろう?

 結局、私たちが苦痛なのは、労働そのものではなくて、自分のことを誰にも承認されないということなんじゃないだろうか。
 そう言う意味で、フォードが自動車を大量生産するために導入した、メカニックのド素人でも「この部分のネジを締めればいいんだよ」的な、車を分業して組み立てるライン工程は、人々から働くことの素晴らしさを奪い、引き返せない大きな楔を打ち込んでしまった。
 誰でも気軽にやれる初心者大歓迎労働は、逆に言えば、お前の代わりなんていくらでもいるんだという、労働者の承認欲求を踏みにじる、恐ろしい仕事のあり方を生み出してしまったのだ。

 確かに、人間の集団は正規分布で、ほとんどの人のスペックは普通で能力的にはみんな大体似通っている。だから、大量生産された交換可能な部品のように、資本家は労働者を捉えてしまう。もちろん、そこまで露骨に言うと、さすがにプロレタリアート革命が起きそうだから、「雇用の流動化」みたいなダブルスピークで置き換えるんだけど。
 しかし、お前の代わりはいくらでもいるというなら、働いている方だって、オレが抜けてもどうせ別の人を補充すればいいじゃんと、会社への愛着はなくなるし、労働意欲だって上がらないだろう。

 コーポラティズムとか言うけど、資本家と労働者がこのように対立路線をとってしまうのは、パレート最適とはどうにも言い難い。
 そこで、戦後の日本企業は合理的な戦略として、年功序列賃金や終身雇用をとっていた。これらの雇用慣行は、会社が社員を育て、守ってくれるような親切な制度というよりは、将来社員に支払う予定の高い賃金を“人質”にして、有能な人材を手放さない、かなりクレバーなシステムだった。
 これが、バブル崩壊後にアメリカ型のドラスティックなリストラを導入したことで、労働は裏切り御免の非協力ゲームに代わり、生きがいの一つではなくなった。

 ここまでのお話をまとめると、私たちの人生の目的とは、我慢して働くことでも、働かずに楽をすることでもない。あなたの代わりは誰にもできないと、かけがけのない存在として承認される事なんだ。

 さて、アントマンとしてピム博士に選ばれるスコットは、これまでのマーベルヒーローと違って、北欧神話の神様でも、フォーブス誌に載りそうな金持ちでも、科学者でも、はたまた凄腕の軍人や、諜報員でもない。
 メキシコの刑務所から出所して、パナマ海峡をわたってアメリカに戻り、サーティワンアイスクリームを前科持ちということでクビにされた、ただのチンピラだ。
 つまり、彼がアントマンである必要ははっきり言って、全くない。
 これは、お前の代わりなんて他にもいるんだ、どころの話じゃない。アントマンという死の危険すら伴う、極めてブラックな職業を娘にやらせたくないがためにピム博士が選んだ捨て駒が、スコットだった。
 スコットは、空き巣やってただけあって身のこなしはいいけれど、それならもっとすごい運動選手にオファーすればいい。しかし、そういう有名な人を巻き込むのは罪悪感がある。なら、元犯罪者にやらせて、万が一そいつが小さくなりすぎて変死しても、別に胸も痛まないもんね、みたいな。
 そういうロジックをおこなえる、ピム博士はまったく冷徹な人なわけよ。そりゃあ息子のように可愛がった弟子もああなるよみたいな。

 実際に、スコット・ラングの二代目アントマンっていうのは、原作コミックではあまり人気が出なかったらしく、そういうメタな見方をしても、この人選は涙を誘うわけなんだけど、ところがどすこい、今回の映画は、これまでのマーベルヒーローに匹敵するほどの魅力的なキャラクター付けがされている。
 例えば、彼は暴力沙汰を好まない空き巣犯なんだ。本来防具である盾を武器として用いるキャプテンアメリカだって、ヒドラをバシバシ殺すのに、彼はマーベル映画初の不殺のヒーローなんだよな。 

 正義のヒーローだからって高潔なわけじゃない。犯罪者だからって残虐非道なわけじゃないっていう、相対化をこの映画は見せてくれる。

 スコット・ラングは、ピム博士のそんな思惑を踏まえたうえで――自分が捨て駒であることを理解した上で、アントマンを引き受ける。いや、わかったからこそ、彼は引き受けた。
 スコットも、娘を持つ一人の父親だったから。そう、この世の中には、あなた以外には代わりがいないという仕事がちゃんとある。
 山田洋次監督は、「家族を描くとお話は締まる」と言ったけど、まさにそう。この映画は『アイアンマン』に一見構造がよく似ているけど、むこうが描けなかった「親子」をメインテーマに描いており、マーベル映画でトップクラスに脚本がいい。
 あ~はいはい、じゃあ面白い作品を作るなら、とりあえず親子やっておけばいいのねって思うかもしれないけど、こういうシンプルかつベタなテーマこそ、実は組み立てるのは難しいもんなんだ。この映画の上手なところは、登場人物の配置がすべて親子関係のメタファーになっているところだろう。

 つまり、『アントマン』ってアメコミ映画というよりは、脚本の構造、作風、吹き替えなどの面で、かなり『ナイト・ミュージアム』とかのファミリーコメディ映画を意識していて、スコットを演じる、ポール・ラッドはどことなくベンさんっぽいし(つーかこの人は『ナイト・ミュージアム』で出演もしている)、スコットの吹き替えの木内さんってのは、ベンさんの吹き替えをやっていた故・檀臣幸さんと声や演技が似てるし、サーティワンアイスクリームのイヤミな上司の吹き替えは自然史博物館のマクフィー博士と一緒だし・・・
 さらに、毎回ネットを燃え上がらせる芸能人吹き替え枠だけど、スコットの相棒(なんかの映画で見たなって思ってたけど、思い出した『フューリー』!!)の吹き替えを担当した、ひらパー兄さんもすごいひょうひょうとした演技で、この役に合ってて、(つーかうまい)、ヒロインの声なんて『パシフィック・リム』の林原めぐみだと思ってたからね。内田有紀さんだったっという。芸能人も結局キャスティング次第なんだよな。

 とにかく、『進撃の巨人』とぶつかって、いまいち地味な進撃の小人の『アントマン』だけど、単体の映画としてもクオリティの高い映画なので、大味なアクション映画とかマニアックなアメコミヒーロー映画だと思わずに、残りのシルバーウィークに観に行ってみたらどうでしょうか?
 最後に一言。この記事でついにブログの記事が1000になりました!ヒーハー!!
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