砂嵐が吹き荒れる砂漠のど真ん中に不時着しているリンドバーグ号
クリス「へくちん!・・・ったく誰か噂してるな~」
ロケットエンジンに詰まった砂をかき出しているライト
「教授、あんたも手伝えや!操縦桿奪って砂の中に突っ込んだのはお前やぞ!」
サングラスをかけて地図を広げるクリス「おかしいな・・・古地図によればアストライア大神殿はこのあたりの砂の中に埋まっているはずなんだけど・・・」
ライト「仮に埋まってても砂に突っ込むのはただの墜落やろ。」
クリス「だってお前がダムを爆破するのに反対するから・・・」
ライト「テロやないか。
もういい加減スタータブレットは諦めたらどうや・・・20年探しても見つからないってことはそもそもないんやって。どれほど周りに迷惑かければ気が済むねん。」
クリス「人間夢を諦めたら終わりよ。」
ライト「いや違うな。あんたは夢をあきらめないから終わってんねん。」
クリス「本当屁理屈は母さん似だな。
まあ心配するな。スタータブレットさえ見つかれば全部チャラになるって。
考えてみろ、この世のすべてが書かれてるんだぞ。ちょっとすごくね?
それは人類の叡智そのものだ。」
リンドバーグ号の巨大なエンジンブロックにスコップを突っ込むライト「また始まった・・・」
「ゼウスは超古代文明を探していた・・・それは土星のサタンのように死を恐れたからじゃない。
ゼウスは純粋に知りたかったのだ。
われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか・・・
そして果てしない旅の末ついにゼウスはそれを知った・・・私も知りたい。」
ライト「まずお前が考えるべきはオレがなんで生まれたかちゃうんか。」
クリス「それはあれですよ・・・有性生殖ですから、こ」
ライト「もういいもういい!そんな話聞きたくない!」
「キシャー」
ライト「手伝う気がないんならちょっと黙っててくれへんか?」
「キシャー」
ライト「気が散るねん!」
クリス「いや、私じゃない・・・」
砂丘の向こうを指さすクリス
双眼鏡をつかむライト「・・・どこや?」
クリス「見えなくなった」
双眼鏡で周りを確認するライト
砂嵐がやんで視界が開ける。
砂丘の先には傾いて砂漠に埋まった観客席が見える。
「おいよく周り見てみろ・・・あんたは神殿に突っ込んだんやない・・・
コロシアムや・・・」
直径3キロほどの円形闘技場の中心にリンドバーグ号があることがわかる。
「キシャー」
砂丘の向こうから聞こえる不気味な音が大きくなる
二人「・・・・・・。」
砂丘の向こうからカマドウマがぴょんと跳ねてくる。
息を吐くクリス「・・・ただのバッタだ」
そのカマドウマめがけて巨大なクモが突進し目にも止まらぬ速さでカマドウマを捕まえる。
大アゴにはさまれたカマドウマはもがくが、毒液を注入されて即座に風船のように膨らんで破裂する。吹き飛んだカマドウマの脚が二人の方へ飛んでくる。
ライト「うわ!クモの化物や!!」
クリス「ライト退治しろ!」
ライト「バカかスリッパでどうにかなるでかさちゃうぞ!」
カマドウマの体液をあっという間に吸ったハインラインスパイダーが二人の方へ近づいてくる。
クリス「武器武器!」
ライト「この前お前が全部使ったんやろ!」
二人の方にとんでもないスピードで突っ込んでくるハインラインスパイダー
クモをすんでのところでかわす親子。
クモはリンドバーグ号側面にぶつかり機体が大きく凹む。
ライト「にゃあああ!オレの船があああ!」
ライトのモノマネをするクリス「大丈夫大丈夫。また作ればええんや。」
ライト「あ~!もう我慢の限界や!!お前とはやってられるか~!」
クリス「なんだキミは父親に手を上げるのか!」
クリスに飛びかかるライト
ライト「うるさい!お前なんかオヤジちゃうわ!!この大冒険バカ!」
コロシアムの中で取っ組み合いの喧嘩をはじめる二人。
ライト「だいたいお前のせいで母さんが出てったんや!」
クリス「違うよ、私が出てったんだ!」
「なにがスタータブレットや、あんなもん、ただの古いまな板やんけ!」
「なんだと!?私を侮辱するのは構わないが、人類の叡智をまな板よわばりするのは許せん!
決闘だ!かかってこい!」
ぶっ飛ばされるクリス
「来年還暦の父を本当にぶったな、この野郎!」殴りかえすクリス
ライト「そんな強く殴ってないやろ!このバカ親父!」
ハインラインスパイダーが二人に向き直る。
クモの吹きつけた糸で二人一緒にぐるぐる巻きにされるライトとクリス
クリス「あらららら」
ライト「なんでお前とセットにされなあかんねん!」
クリス「・・・ごめんなライト、私父親らしいこと何もしてやれなかったけど・・・」
ライト「腹くくるの早!!」
長い脚で糸をたぐり寄せるハインラインスパイダー
ライト「くっ・・・!」
二人をアゴで挟む瞬間ハインラインスパイダーが二人を地面に落とす。
突然辺りを警戒するハインラインスパイダー
大地を揺らし、その場から立ち去っていく巨大なクモ。
ぐるぐる巻きにされたまま置き去りにされる二人
ライト「教授・・・なんか助かったで・・・」
クリス「え?マジ!?よっしゃあああ第二章の始まりだぜ!」
糸で縛られたまま砂の上で横になる二人の前に誰かが近づく。
頭上を見上げるライト
ライト「・・・第二章が始まるかどうかはまだわからんで教授・・・」
マルドゥク「言っただろクリストファー、また会おうぜってな・・・」
マルドゥクの背後には武装したギャングたちとそのキャラバンが並んでいる。
・
トートの教会
子供たちに支援物資を配るボランティアの若い女性。
「ハイペリオン基金」と書かれたダンボール
そこからおもちゃや衣服を取り出して一人に一つずつ渡していくシスター「神のご加護を」
子供「ありがとう」
ミグの横を子供が駆けていく
ミグ「転ばないようにね」
子供「うん!」
サーシャ「そう、またライトとはぐれちゃったの・・・」
ミグ「ああ・・・」
サーシャ「言っとくけど今度は私じゃないわよ」
ミグ「分かってるよ・・・しかしこんなところで会うとはな・・・」
サーシャ「皮肉なもので、惑星連合の和平合意によって難民が大量に出てね。
私たちも駆り出されたってわけ」
サーシャは土星で着ていたような肌を覆うローブではなく、ブーツにソックス、ショートパンツにTシャツといった動きやすいアウトドアスタイルをしている。
ミグ「なんでまた・・・」
サーシャ「植民地というタガが外れたことで独立した少数民族が互いに争いだしたのよ。
かえって紛争が増えたから兵器や武器の需要はうなぎのぼり。
ミラージュで大儲けしたサーペンタリウスは笑いが止まらないでしょうね・・・」
「和平合意のきっかけはミラージュの暴走だったもんな・・・」
「でも惑星連合の和平合意は・・・セレマの民族宥和政策は決して間違っていないわ。
平和への道のりは茨の道だけれど・・・いつかきっと、必ず報われる。」
「そうだな・・・」
「あなたは私にこう言ったわね。許す強さがあれば人は分かり合えることもできるって」
「え?」
「この星には女を贈与しあう部族だっているし、戦った相手を食べてしまう部族だっている。
言葉も文化も大きく異なる民族が互いに相手を認め合うためには、あなたの言うとおり許す強さが必要だわ・・・」
ミグ「甘っちょろい理想論だったのかな・・・」
「いいえ。私はあなたの言葉に救われているのよ。
報復の連鎖を繰り返すこの星には神が必要なの。例えそれがどんな形であっても。」
ミグ「なあ、神は本当に存在すると思うか・・・?」
サーシャ「あなたその質問をこの私に言う?」
ミグ「すまない。でも、どうやら本当にいるらしいんだよ。なんか神は四角いらしくてさ・・・」
サーシャ「神はいるから信じるものじゃない。信じるからいるものなのよ。」
ミグ「もし神に会ったらキミはどうする?」
微笑むサーシャ「・・・毎日会ってる。」
教会に入ってきて首を振るケセド
ケセド「ダメだ将軍、砂漠の船は全便欠航だ。アレゴリー教授には宿で待機してもらった。」
ミグ「足止めか・・・」
サーシャ「当たり前じゃない。今日は凱旋祭だもの。仕事は休みよ」
ミグ「凱旋祭・・・?」
サーシャ「あらそれでこの街を訪れたんじゃないの?」
・
街中で民族衣装をまとったパレードが始まる。
カテドラルの鐘が鳴り、花びらが舞い上がる。
教会の奥の小さな部屋でサーシャによって民族衣装に着替えさせられるミグ
ミグのネクタイをほどくサーシャ「そんなかっこう暑苦しいでしょう。
こっちのほうがあなたにはずっと似合う。」
ミグ「いや私はいいって・・・ダムに行かなきゃいけないし・・・」
サーシャ「どのみち今日は砂漠にはいけないわ。覚悟を決めなさい。」
ミグの胸元から青い宝石のついたネックレスを見つけるサーシャ
「あら、これはなに?」
「ああ、それは海王星でライトにもらったんだ・・・」
「綺麗・・・まるで女神アストライアのオリハルコンみたい」
「アストライア・・・」
「彼女よ。」
礼拝堂にある女神の石像に目をやるミグ
サーシャ「まあ胸のオリハルコンは何年も前に盗掘されちゃったんだけど・・・」
女神が両手を広げ美しく舞っている。胸には宝石がついていたらしいがえぐり取られている。
その台座には文字が彫られている。
ミグ「女神は神殿の扉を開き王の帰還を待ち続けた・・・何年も何十年も・・・」
サーシャ「・・・それにライトはこう言ってたわよ。」
ミグ「え?」
宝石をミグの首にかけるサーシャ
「しかめっ面ばっかりしてないで、少しは人生を楽しめって」
『80日間宇宙一周 The Stargazer』脚本④
2013-02-03 01:34:52 (12 years ago)
リムジン
マーガレット「・・・あ、査読しなきゃいけない論文があったんだ、取ってきていい?」
ケセド「また今度にしていただけませんかね奥さん・・・」
ため息をつくマーガレット「は~・・・だからクリストファーには関わりたくないのよ・・・
あの男は例え離れていてもこっちに干渉してくるんだから」
ケセド「・・・強力な電磁波のような人だな」
意識を回復するミグ「う・・・」
マーガレット「眠り姫のお目覚めのようよ」
ミグ「どこへ連れて行くつもりだ・・・
その人に手を出したらライトが黙っちゃいないぞ」
ケセド「キミ達を傷つけるつもりはない。ただ会ってもらいたい方がいる」
ミグ「会ってもらいたい方?」
ケセド「セレマだ。」
ミグ「セレマ?」
マーガレット「まさか・・・」
ケセド「我が木星の偉大な父、ンゴロ・アルベド議長。」
・
アマルテア中心部――木星民族会議議長ンゴロ・アルベドの宮殿(夜)
宮殿の上空を飛ぶリンドバーグ号
ライト「誰の家なんや」
クリス「木星の偉大な父さ」
ライト「あんたと対極にいる人物ってことか」
クリス「言うよね~・・・でも私もなにげにいい父親だったろ?」
ライト「お前正気か。」
クリス「万が一にもうざい父親ではなかったはずだ。我が子を信頼し自由にさせたのだから」
ライト「つーかいなかったやろ」
クリス「・・・その点、私の父は厳しかった・・・私を規則でがんじがらめにした。
人を殺すなとか、人の物は壊すなとか、勝手に持ってくなとか・・・」
ライト「・・・当たり前やんけ。」
クリス「歴史上の偉人は大抵その全てをやっているんだよ、ハリソン・フォードでさえ」
ライト「あの人は演技でやっとんねん!いい加減にしろ馬鹿!」
クリス「やっぱ教育の仕方間違っちゃったのかなあ・・・」
ライト「まあいい。で、なんでそんな偉大な人物が母さん誘拐すんねん」
クリス「誘拐したんじゃないさ・・・これから会う人物はそんな小悪党じゃない。ずっと大物だ。」
・
宮殿の待合室
扉の向こうではたくさんのスタッフが夜までせわしなく働いている。
ケセド「セレマの執務が終わるまで、もうしばらくお待ちください」
ソファに緊張して座るミグ「セレマとは?」
マーガレット「氏族の名前ね。最高の敬意を表す呼び方よ。
ンゴロ・アルベド議長についてはご存知?」
首を振るミグ
マーガレット「少しは冥王星以外の新聞を読んだほうがいいわ。
人種差別が激しかったアマルテアで差別政策を撤廃した人物よ。
アマルテアの治安がここまでよくなったのはセレマのおかげってわけ。
ミグ「なんでそんな人が私たちを・・・」
マーガレット「さあね・・・愛と寛容の平和主義者として有名だけど、強い意志と決断力がある闘士でもあるわ。まあ、わざわざ宮殿に招待してくれたんです。とりあえず会ってみましょう。」
ケセド「それではこちらへどうぞ。セレマがお待ちです。」
宮殿内の大ホール
豪華な装飾が施されたホールの中心にアルベド議長が立っている。
アルベド「マーガレット・アレゴリー教授にミグ・チオルコフスキーさん。お会い出来て光栄だ。
急な招待を許してくれ。部下が手荒な真似はしなかっただろうか」
ミグ「いえ・・・」
マーガレット「ご招待にあずかりまして光栄です、議長」
アルベド「美しいお二人とゆっくり食事でもしたいところなのだが、なにぶん私も多忙の身なので無礼を許して欲しい。さっそく本題に入ろう・・・」
ケセドがうなずき壁のパネルを操作する。
「この星は今、歴史的に重大な分岐点に立たされている。
つまり民族の宥和に向かうか、血で血を洗う復讐の泥沼に向かうかの・・・
この機会を逃したら永遠に民族紛争はなくならないだろう・・・
ここで争いののろしが上がることは何としても避けたい・・・わかるかね。」
ミグ「・・・しかし・・・私たちと木星の社会情勢にいったい何の関係が・・・」
アルベド「ではお見せしよう」
ホールの壁が持ち上がり、中から巨大な石碑の写が現れる
アルベド「あなたがたが探していたのは、これではないのかな」
マーガレット「これは・・・小惑星の石碑に書かれていたものと同じ碑文・・・」
ミグ「え・・・?」
アルベド「その通りだ」
ミグ「なぜこれが・・・」
アルベド「教授はセバ族を知っているかね?」
マーガレット「アストライア大神殿を守る、いにしえの扉の民族・・・
しかし大神殿と共に彼らも遠い昔に滅びた・・・」
アルベド「大神殿を隠し、生き残っていたらどうかね?」
「なんですって?」
アルベド「私はセバ族の末裔なのだよ。」
マーガレット「アストライア大神殿が存在するって言うの?」
うなずくアルベド「スターライン運河の先に・・・」
アストライアの大神殿と迷宮は、探求者に試練を与えるであろう
星の運河を辿り、星の欠片を手にした女神の舞によって真実の扉は開かれるのだ
ケセド「これは政府の一部の人間しか知らない、機密事項だ。
しかしあなたのご亭主は小惑星からこの碑文を見つけてしまった・・・」
マーガレット「冗談でしょ・・・」
アルベド「私の部族は扉を守るだけだ。神に近しい存在がいるかどうかはわからない。
だが、我々の先祖がゼウスが封印した力を守ったように、その力を求め解放しようとする者もいた。
ケレリトゥス教授によって、その悪しき心の持ち主がスタータブレットの存在を知ってしまったのだ・・・」
ケセド「スマイル・マルドゥク・・・ニグレド族の末裔、その最後の生き残りだ。」
マーガレット「ニグレド族・・・古代木星に死と破壊をもたらした戦闘部族・・・」
ケセド「20年前からマルドゥクはメインベルトの小惑星を武力で支配し、その資源を一手に牛耳った。だが連中の本当の目的はレアメタルでも天然ガスでもなかった・・・」
マーガレット「それが、これだったってわけね」
アルベド「ニグレド族の手にスタータブレットが渡れば、平和への道を歩み出す我が星に大いなる禍が降りかかるに違いない。それだけは阻止せねばならない。」
ケセド「我々はキミ達の動向を監視しようと思っていたのだが、向こうの動きは思った以上に素早い。連中が国境に向かったという情報が入った。もう悠長なことはしていられないだろう」
ミグ「それで我々にどうしろと?」
アルベド「マルドゥクよりも早くスタータブレットを見つけ、回収してもらいたい」
バルコニーから宮殿内部の様子を双眼鏡で眺めるクリスとライト
ライト「おい、母さんを助け出さなくてええんか?」
クリス「いい、次の目的地がわかった。」
「どこやねん」
「港市国家パシファエ。グランド・イクリプスダムだ。」
・
港市国家パシファエ国境付近にある「デスファーブル野生動物保護区」
高さ6メートルにもなるフェンスには
「生物多様性なんてくそくらえ」「家族が虫に食われてから言え」
といったボードがくくりつけられている。
炎天下の空は乾いた地面をじりじりと焼き付ける。
巨大なカンガルーのように進化した全長2mほどのカマドウマの群れが跳ねていく。
広大な大地に敷かれた交易路を突き進むジープ。
ハンドルを握るケセド。地図を見るマーガレット。
ミグは外の巨大な昆虫を見つめている。
アルベド(我がセバ族は大神殿に至る運河を消し去った。
水路の流れを変えたのは、枯れた大地に灌漑用水を送るためでもあったが、伝説の運河を伝説のまま残すためでもあったのだ)
汗が流れるミグ。でもネクタイを緩めない。
ケセド「なにか飲むか将軍。冥王星と違ってこの星は暑いだろう?」
ミグ「いえ、結構・・・それで・・・」
ケセド「ああ、スタータブレットの話だったな。
スタータブレットとは最初の人類に知性を与えたとされる伝説の石版だ。
動物の中で唯一人類だけが高度な文明を築くに至ったのはこの石版の力が原因らしい」
ミグ「世の中にはそんなものがあるのか?」
席の後ろからぼやくマーガレット「ないからこんなことになってるんでしょ。」
ケセド「・・・まあ彼女のように、その存在を疑問視する意見が優勢だな。
しかし石版伝説はこの星では珍しいものではない。
木星王ゼウス一世は、超古代都市コロナドでスタータブレットを見つけ、この世のすべてを知ったという。宮殿にあったあの碑文はその冒険の物語を綴ったものだ。」
ミグ「・・・あのピカールもまるでそれが存在するかのように言っていた。
スタータブレットには近づくな・・・」
マーガレット「確かにそのとおりよ。近づくべきじゃなかった・・・」
ミグ「・・・大佐。あなたは本当にあると思いますか」
ケセド「それは神を信じているかっていうのと同じ問いだな。
正直にわかには信じがたいが・・・
古くからの伝承は“真実”を暗示していることが多い。
我々は過去を完全に消し去ることはできない。それらは物語の形であれ、文化風習の形であれ・・・
形を変えて残っているものだ。これも私の部族の古い言い回しだが。」
ミグ「・・・・・・。」
ケセド「石版が実在するにせよしないにせよ、マルドゥクをこのまま放っておくのは危険だ。
グランド・イクリプスダムは百年も前から水力発電によってアマルテアに電力を供給している。スターライン運河を見つけ出すためならギャングはダムすら破壊するだろう。
発電所を止めるなんて卑劣な真似を許すわけには行かない。そうだろう?」
ミグ「え?ええ・・・」
ケセド「着いたぞ・・・交易路の終着点、港町トートだ・・・」
パシファエにある小さな港街トート
四方を砂漠に囲まれた歴史あるオアシス都市で、中心には小さな教会がある。
その教会のそばには小さな井戸があり、紛争によって国を追われた難民たちが水を求めて長い列を作っている。
ボランティア団体のスタッフ「え~ただいま最後尾は300分待ちで~す!」
ミグ「ここのどこが港町なんだ・・・?」
ケセド「砂の海の港ってとこだな・・・ちょっと待っててくれ。私は現地のガイドを探してくるから。
ダムに行く前に砂の海で漂流したら一大事だからな」
人ごみに消えていくケセド。
教会の広場で水を待つ列を眺める二人。
家屋の日陰に入って座り、井戸からポンプで水を汲み上げる様子をぼんやりと見つめるマーガレット。
マーガレット「あなた・・・地球へ着いたら、そのまま息子とは別れてしまうの?」
ミグ「え・・・?」
マーガレット「ずっと息子のそばにいて欲しかったけど・・・残念ね・・・」
ミグ「息子さんには大切な恋人がいるそうですよ。
それに私は彼よりもずっと年をとっています。人種も違いますしね・・・」
マーガレット「息子はそうは思ってないみたいよ・・・あなたのことよく手紙に書いてる。」
「ライトが・・・?」
「太陽系の果てに、これまでの旅で出会った中で一番親切な人がいたって・・・
あなたにはずっと助けてもらってるって。」
「そんな・・・命を助けてもらったのはこっちなのに・・・」
「・・・あなた、ご家族は?」
「いえ、身寄りがないんです」
「そう・・・話しづらいこと聞いたわね」
「・・・家族がいれば喧嘩もできるんですよね・・・」
「離婚もね・・・」
マーガレット「・・・あ、査読しなきゃいけない論文があったんだ、取ってきていい?」
ケセド「また今度にしていただけませんかね奥さん・・・」
ため息をつくマーガレット「は~・・・だからクリストファーには関わりたくないのよ・・・
あの男は例え離れていてもこっちに干渉してくるんだから」
ケセド「・・・強力な電磁波のような人だな」
意識を回復するミグ「う・・・」
マーガレット「眠り姫のお目覚めのようよ」
ミグ「どこへ連れて行くつもりだ・・・
その人に手を出したらライトが黙っちゃいないぞ」
ケセド「キミ達を傷つけるつもりはない。ただ会ってもらいたい方がいる」
ミグ「会ってもらいたい方?」
ケセド「セレマだ。」
ミグ「セレマ?」
マーガレット「まさか・・・」
ケセド「我が木星の偉大な父、ンゴロ・アルベド議長。」
・
アマルテア中心部――木星民族会議議長ンゴロ・アルベドの宮殿(夜)
宮殿の上空を飛ぶリンドバーグ号
ライト「誰の家なんや」
クリス「木星の偉大な父さ」
ライト「あんたと対極にいる人物ってことか」
クリス「言うよね~・・・でも私もなにげにいい父親だったろ?」
ライト「お前正気か。」
クリス「万が一にもうざい父親ではなかったはずだ。我が子を信頼し自由にさせたのだから」
ライト「つーかいなかったやろ」
クリス「・・・その点、私の父は厳しかった・・・私を規則でがんじがらめにした。
人を殺すなとか、人の物は壊すなとか、勝手に持ってくなとか・・・」
ライト「・・・当たり前やんけ。」
クリス「歴史上の偉人は大抵その全てをやっているんだよ、ハリソン・フォードでさえ」
ライト「あの人は演技でやっとんねん!いい加減にしろ馬鹿!」
クリス「やっぱ教育の仕方間違っちゃったのかなあ・・・」
ライト「まあいい。で、なんでそんな偉大な人物が母さん誘拐すんねん」
クリス「誘拐したんじゃないさ・・・これから会う人物はそんな小悪党じゃない。ずっと大物だ。」
・
宮殿の待合室
扉の向こうではたくさんのスタッフが夜までせわしなく働いている。
ケセド「セレマの執務が終わるまで、もうしばらくお待ちください」
ソファに緊張して座るミグ「セレマとは?」
マーガレット「氏族の名前ね。最高の敬意を表す呼び方よ。
ンゴロ・アルベド議長についてはご存知?」
首を振るミグ
マーガレット「少しは冥王星以外の新聞を読んだほうがいいわ。
人種差別が激しかったアマルテアで差別政策を撤廃した人物よ。
アマルテアの治安がここまでよくなったのはセレマのおかげってわけ。
ミグ「なんでそんな人が私たちを・・・」
マーガレット「さあね・・・愛と寛容の平和主義者として有名だけど、強い意志と決断力がある闘士でもあるわ。まあ、わざわざ宮殿に招待してくれたんです。とりあえず会ってみましょう。」
ケセド「それではこちらへどうぞ。セレマがお待ちです。」
宮殿内の大ホール
豪華な装飾が施されたホールの中心にアルベド議長が立っている。
アルベド「マーガレット・アレゴリー教授にミグ・チオルコフスキーさん。お会い出来て光栄だ。
急な招待を許してくれ。部下が手荒な真似はしなかっただろうか」
ミグ「いえ・・・」
マーガレット「ご招待にあずかりまして光栄です、議長」
アルベド「美しいお二人とゆっくり食事でもしたいところなのだが、なにぶん私も多忙の身なので無礼を許して欲しい。さっそく本題に入ろう・・・」
ケセドがうなずき壁のパネルを操作する。
「この星は今、歴史的に重大な分岐点に立たされている。
つまり民族の宥和に向かうか、血で血を洗う復讐の泥沼に向かうかの・・・
この機会を逃したら永遠に民族紛争はなくならないだろう・・・
ここで争いののろしが上がることは何としても避けたい・・・わかるかね。」
ミグ「・・・しかし・・・私たちと木星の社会情勢にいったい何の関係が・・・」
アルベド「ではお見せしよう」
ホールの壁が持ち上がり、中から巨大な石碑の写が現れる
アルベド「あなたがたが探していたのは、これではないのかな」
マーガレット「これは・・・小惑星の石碑に書かれていたものと同じ碑文・・・」
ミグ「え・・・?」
アルベド「その通りだ」
ミグ「なぜこれが・・・」
アルベド「教授はセバ族を知っているかね?」
マーガレット「アストライア大神殿を守る、いにしえの扉の民族・・・
しかし大神殿と共に彼らも遠い昔に滅びた・・・」
アルベド「大神殿を隠し、生き残っていたらどうかね?」
「なんですって?」
アルベド「私はセバ族の末裔なのだよ。」
マーガレット「アストライア大神殿が存在するって言うの?」
うなずくアルベド「スターライン運河の先に・・・」
アストライアの大神殿と迷宮は、探求者に試練を与えるであろう
星の運河を辿り、星の欠片を手にした女神の舞によって真実の扉は開かれるのだ
ケセド「これは政府の一部の人間しか知らない、機密事項だ。
しかしあなたのご亭主は小惑星からこの碑文を見つけてしまった・・・」
マーガレット「冗談でしょ・・・」
アルベド「私の部族は扉を守るだけだ。神に近しい存在がいるかどうかはわからない。
だが、我々の先祖がゼウスが封印した力を守ったように、その力を求め解放しようとする者もいた。
ケレリトゥス教授によって、その悪しき心の持ち主がスタータブレットの存在を知ってしまったのだ・・・」
ケセド「スマイル・マルドゥク・・・ニグレド族の末裔、その最後の生き残りだ。」
マーガレット「ニグレド族・・・古代木星に死と破壊をもたらした戦闘部族・・・」
ケセド「20年前からマルドゥクはメインベルトの小惑星を武力で支配し、その資源を一手に牛耳った。だが連中の本当の目的はレアメタルでも天然ガスでもなかった・・・」
マーガレット「それが、これだったってわけね」
アルベド「ニグレド族の手にスタータブレットが渡れば、平和への道を歩み出す我が星に大いなる禍が降りかかるに違いない。それだけは阻止せねばならない。」
ケセド「我々はキミ達の動向を監視しようと思っていたのだが、向こうの動きは思った以上に素早い。連中が国境に向かったという情報が入った。もう悠長なことはしていられないだろう」
ミグ「それで我々にどうしろと?」
アルベド「マルドゥクよりも早くスタータブレットを見つけ、回収してもらいたい」
バルコニーから宮殿内部の様子を双眼鏡で眺めるクリスとライト
ライト「おい、母さんを助け出さなくてええんか?」
クリス「いい、次の目的地がわかった。」
「どこやねん」
「港市国家パシファエ。グランド・イクリプスダムだ。」
・
港市国家パシファエ国境付近にある「デスファーブル野生動物保護区」
高さ6メートルにもなるフェンスには
「生物多様性なんてくそくらえ」「家族が虫に食われてから言え」
といったボードがくくりつけられている。
炎天下の空は乾いた地面をじりじりと焼き付ける。
巨大なカンガルーのように進化した全長2mほどのカマドウマの群れが跳ねていく。
広大な大地に敷かれた交易路を突き進むジープ。
ハンドルを握るケセド。地図を見るマーガレット。
ミグは外の巨大な昆虫を見つめている。
アルベド(我がセバ族は大神殿に至る運河を消し去った。
水路の流れを変えたのは、枯れた大地に灌漑用水を送るためでもあったが、伝説の運河を伝説のまま残すためでもあったのだ)
汗が流れるミグ。でもネクタイを緩めない。
ケセド「なにか飲むか将軍。冥王星と違ってこの星は暑いだろう?」
ミグ「いえ、結構・・・それで・・・」
ケセド「ああ、スタータブレットの話だったな。
スタータブレットとは最初の人類に知性を与えたとされる伝説の石版だ。
動物の中で唯一人類だけが高度な文明を築くに至ったのはこの石版の力が原因らしい」
ミグ「世の中にはそんなものがあるのか?」
席の後ろからぼやくマーガレット「ないからこんなことになってるんでしょ。」
ケセド「・・・まあ彼女のように、その存在を疑問視する意見が優勢だな。
しかし石版伝説はこの星では珍しいものではない。
木星王ゼウス一世は、超古代都市コロナドでスタータブレットを見つけ、この世のすべてを知ったという。宮殿にあったあの碑文はその冒険の物語を綴ったものだ。」
ミグ「・・・あのピカールもまるでそれが存在するかのように言っていた。
スタータブレットには近づくな・・・」
マーガレット「確かにそのとおりよ。近づくべきじゃなかった・・・」
ミグ「・・・大佐。あなたは本当にあると思いますか」
ケセド「それは神を信じているかっていうのと同じ問いだな。
正直にわかには信じがたいが・・・
古くからの伝承は“真実”を暗示していることが多い。
我々は過去を完全に消し去ることはできない。それらは物語の形であれ、文化風習の形であれ・・・
形を変えて残っているものだ。これも私の部族の古い言い回しだが。」
ミグ「・・・・・・。」
ケセド「石版が実在するにせよしないにせよ、マルドゥクをこのまま放っておくのは危険だ。
グランド・イクリプスダムは百年も前から水力発電によってアマルテアに電力を供給している。スターライン運河を見つけ出すためならギャングはダムすら破壊するだろう。
発電所を止めるなんて卑劣な真似を許すわけには行かない。そうだろう?」
ミグ「え?ええ・・・」
ケセド「着いたぞ・・・交易路の終着点、港町トートだ・・・」
パシファエにある小さな港街トート
四方を砂漠に囲まれた歴史あるオアシス都市で、中心には小さな教会がある。
その教会のそばには小さな井戸があり、紛争によって国を追われた難民たちが水を求めて長い列を作っている。
ボランティア団体のスタッフ「え~ただいま最後尾は300分待ちで~す!」
ミグ「ここのどこが港町なんだ・・・?」
ケセド「砂の海の港ってとこだな・・・ちょっと待っててくれ。私は現地のガイドを探してくるから。
ダムに行く前に砂の海で漂流したら一大事だからな」
人ごみに消えていくケセド。
教会の広場で水を待つ列を眺める二人。
家屋の日陰に入って座り、井戸からポンプで水を汲み上げる様子をぼんやりと見つめるマーガレット。
マーガレット「あなた・・・地球へ着いたら、そのまま息子とは別れてしまうの?」
ミグ「え・・・?」
マーガレット「ずっと息子のそばにいて欲しかったけど・・・残念ね・・・」
ミグ「息子さんには大切な恋人がいるそうですよ。
それに私は彼よりもずっと年をとっています。人種も違いますしね・・・」
マーガレット「息子はそうは思ってないみたいよ・・・あなたのことよく手紙に書いてる。」
「ライトが・・・?」
「太陽系の果てに、これまでの旅で出会った中で一番親切な人がいたって・・・
あなたにはずっと助けてもらってるって。」
「そんな・・・命を助けてもらったのはこっちなのに・・・」
「・・・あなた、ご家族は?」
「いえ、身寄りがないんです」
「そう・・・話しづらいこと聞いたわね」
「・・・家族がいれば喧嘩もできるんですよね・・・」
「離婚もね・・・」
『80日間宇宙一周 The Stargazer』脚本③
2013-02-03 01:30:50 (12 years ago)
研究室の窓の外に高級車がやってきて止まる。
その後ろには無骨な軍用ジープが続く。
車両からぞろぞろと降りてくるスーツの男と屈強な男たち。
窓の外をぼんやりと眺める「さてと・・・そろそろ帰ってくれないかしら」
ライト「え?」
マーガレット「結論から言って・・・これは古代木星語よ。」
ミグ「木星?」
マーガレット「エッジワースカイパーベルトに文明はないわ。正直に言いなさい。
これはメインベルトの石碑でしょう?・・・あの男ね」
ライト「それは・・・」
「呆れた。まだスタータブレットを探しているのね・・・」
ミグ「スタータブレット???」
ライト「ま、まあでもあれが見つかれば教授も落ち着くと思うで」
プロジェクターからフィルムを外してそれを突き返すマーガレット
「もうその話はうんざり。スタータブレットなんてただのオカルトよ。
太陽系科学学会もそう断定したわ。」
ライト「でもこれはなんや?
もしかしたら教授は本当にスタータブレットまであと一歩ってところまでつかんでるんちゃうか?」
ミグ「スタータブレットって何??」
窓の外を見つめながら追い返すマーガレット
「どうでもいいわ。とにかくこれ以上は協力できません。帰ってくれない。忙しいの」
・
庭に着陸しているリンドバーグ号を確認する男たち。
無線で連絡する特殊部隊の隊員「例の宇宙船に間違いありません。」
大学に入ってくるスーツの男と屈強そうな背の高い黒人の男。
屈強な男「それで・・・いったい何者なんですか?」
スーツの男「彼らとは何度か会ってましてね・・・とっても面白い人物なんですよ。」
屈強な男「それが例のものを狙っていると?どうもわからないな。
我々が動くほど大物のようには思えませんが・・・」
スーツの男「くっくっく・・・まあそのうちわかりますよ。」
大学の受付に挨拶をする。
スーツの男「マーガレット・アレゴリー教授をお願いします」
・
研究室を強引に追い出される二人。
マーガレット「さっさとそのフィルムをもってここから離れなさい。
以後大学には戻ってこないように。出口はこの通路を右ね」
扉を閉めるマーガレット
ミグ「なんかにわかに怒られちゃったな・・・」
ライト「忙しいんやろ・・・それにあの人、教授とはいろいろあってな」
ミグ「いや、私が嘘をついたのが悪かったんだよ。
ごめんなライト、余計なこと言っちゃって・・・」
ライト「ええってええって。お前がいなかったら読まずに突き返されてたわ。
しかし、さすが名家の出は違うな・・・!」
「え?」
「いろんな文字知ってたやないか。ファイファイの円盤とか・・・オイラぜんっぜんや」
ミグ「ああ・・・大したことじゃないよ」
ライト「ニャハハまたまた!」
ミグ「後ろの黒板読んだだけだから」
ライト「・・・・・・」
ミグ「ごめんね。遺跡探検なんてしたことないんだ。私の趣味は家で一人で酒を飲むこと」
ライト「・・・帰ろうか、ミグ・・・」
ミグ「うん・・・」
大学から出ていく二人。
・
マーガレットの研究室
スーツの男と屈強な男が研究室に入ってくる。
スーツの男「失礼しますよ」
マーガレット「あらムッシュピカール・・・今日は懐かしい人ばかり訪ねてくるわね」
ピカール「・・・というと?」
マーガレット「いえ、こっちの話よ。お茶でもいかが?そこの木偶の坊も飲む?」
ケセド・バイザック大佐「あ。いただきます。」
マーガレット「で、今日はなんの御用かしら?」
ピカール「実は人を探していましてね・・・
地球の冒険家と冥王星の軍人のコンビなんですが・・・あの二人にはほとほと困ってましてね・・・」
懐から写真を撮り出すピカール「ご存知ないですかね?」
写真を受け取り無言で見つめるマーガレット
「・・・用件はそれだけ?」
写真を突き返すマーガレット「人探しなら残念ね、力になれそうにないわ。宇宙は広いもの」
ピカール「ええ、宇宙は広い・・・だから母親のあなたを訪ねてきたんですよ・・・」
大学構内の中庭
リンドバーグ号に向かって歩く二人
ミグ「・・・つけられてるぞ」
ライト「そのようやな・・・」
研究室
マーガレット「・・・容疑は?」
ケセド「アマルテア政府の機密情報を持ち出した疑いです。」
マーガレット「言っててバカバカしくない?」
ケセド「私も同感です。彼らはどう考えても国際スパイには見えない。
とはいえ上からの命令なんです。形式的な事実確認をするだけですので、居場所をご存知ならば教えていただきたい」
マーガレット「ごめんなさい、バカな子だけどそれなりに可愛いのよ」
大学の中庭を歩く二人を発見する特殊部隊
「隊長ターゲットを確認。宇宙船の方へ向かっています」
ケセド「了解。すぐに向かう。・・・博士、見つかりました」
ピカール「ああ、見つかったようです」
紅茶を飲むマーガレット「はい、いってらっしゃい」
ピカール「あなたにもご同行願えませんかね?」
マーガレット「あら20年前の学会を覚えてない?私はあなたが嫌いなの」
ピカール「そうですか・・・バイザック大佐」
ケセド「了解。二人を確保しろ。」
中庭
特殊部隊が物陰に隠れながら近づき徐々にふたりを包囲する
ライト「なんやねん・・・」
ミグ「知らないよ、もしかしてそのフィルムを狙ってるんじゃないのか?」
ライト「お宝に興味があるのはギャングだけやないってことか・・・
・・・数が多いな。リンドバーグ号で蹴散らすわ、援護してくれ」
微笑むミグ「人生最大の危機的状況かな・・・?」
ライト「バカ言え・・・後ろは預けたで!」
ケセド「作戦開始だ」
特殊部隊「了解・・・」
銃を構える特殊部隊に突然拳銃を撃ちまくるミグ。
その途端ダッシュで宇宙船に向かうライト。
特殊部隊「気づかれた!!」
ケセド「宇宙船に行かせるな!」
リンドバーグ号に特殊部隊が近づけないように銃でライトを援護するミグ。
宇宙船に近づけない特殊部隊
ケセド「クソっ!ゴム弾だ!ゴム弾であの女を制圧しろ!」
ミグに向かってゴム弾のグレネードランチャーを撃つ特殊部隊。
ゴム弾を避けながら中庭の並木の陰に身を隠すミグ。
マガジンを素早く取り外し、装填しなおす。
ミグ「ああ、もう・・・」
リンドバーグ号にたどり着くやいなやハッチを開けてEM銃をミグに放り投げるライト。
ライト「こいつで母さんを頼む!」
EM銃を受け取るミグ「母さん?」
ケセド「よし、相手は弾切れだ、押せ押せ押せ!GOGOGO!」
EM銃の弾丸が飛んでくる
特殊部隊が吹っ飛ぶ「うわあああ!」
「なんだあれは!?」
「大佐実弾の許可を!!」
ケセド「いやダメだ!殺してはならん!セレマの命令だ!」
EM銃でジープがひっくり返る
「後退だ!一度体勢を立て直して再び」
ミグに応戦する特殊部隊の一団にリンドバーグ号が突っ込んでくる
ライト「散れい!ちらんかいお前ら~~!!」
リンドバーグ号のプロペラから逃げ出す特殊部隊「うわあああ!」
無線をひっつかむケセド「やっぱ撤退!全員撤退!!」
研究室
窓の外では銃声が鳴り響き激しい戦闘が行われているが、動じずにお茶会をしている二人。
マーガレット「あれが形式的な事実確認?」
ピカール「まあね」
EM銃を構え部屋に踏み込んでくるミグ「アレゴリー教授!」
マーガレット「ああ・・・あなた。」
ピカール「お邪魔してますよ」
驚くミグ「ピカール卿・・・!」
マーガレット「もしかして知り合い・・・?」
ミグ「悪党です」
うなずくマーガレット「知り合いのようね」
EM銃を向けるミグ「今度は何を企んでいる?」
ピカール「とんでもない、私はただ忠告に来ただけですよ。」
ミグ「忠告だと・・・?」
ピカール「スタータブレットには近づかないほうがいい」
マーガレット「あら、どういう風の吹き回し?
クリストファーの論文は質の悪いオカルトなんじゃなかった?」
椅子から立ち上がるピカール「世の中知らなくていいこともあるんです。
ご主人にそうお伝えください。」
マーガレット「言って聞くようならとっくに言ってるわ」
ピカール「そうでしたね。」
ミグ「待て!スタータブレットってみんな言ってるけど何なんだ!?流行ってるのか!??」
後ろからミグを殴りつけ気絶させるケセド
倒れるミグ「ぐっ」
ピカール「荒唐無稽な御伽噺ですよ。」
・
中庭
撤退する特殊部隊
リンドバーグ号で制圧するライト「帰れ!帰れボケ!!」
大学から車両が出ていく
ライト「まったくゴキブリみたいなやつや・・・」
研究室
ライト「ミグ!母さん!!」
研究室には誰もいない。
クリス「さらわれたようだな」
ライト「教授!いたんか!」
クリス「で、例のフィルムは読んでもらった?」
ライト「お前どうしてくれんねん!お前のせいで母さんとミグが捕まっちまったんやぞ!」
クリス「大ジョブ大ジョブ。相手の目的がスタータブレットなら古代文字が読める母さんに危害は加えないって。そのミグってやつは殺されちゃうかもしれないけどねニャハハ!・・・で誰そいつ?」
ライト「殴るぞ」
クリス「少しは落ち着いたらどうだ。カッカしてると見えるものも見えなくなる。例えば・・・
この便箋はママの趣味じゃない」
マーガレットの机から手紙を見つけるクリス。
ライト「なんや?」
クリス「招待状だ」
その後ろには無骨な軍用ジープが続く。
車両からぞろぞろと降りてくるスーツの男と屈強な男たち。
窓の外をぼんやりと眺める「さてと・・・そろそろ帰ってくれないかしら」
ライト「え?」
マーガレット「結論から言って・・・これは古代木星語よ。」
ミグ「木星?」
マーガレット「エッジワースカイパーベルトに文明はないわ。正直に言いなさい。
これはメインベルトの石碑でしょう?・・・あの男ね」
ライト「それは・・・」
「呆れた。まだスタータブレットを探しているのね・・・」
ミグ「スタータブレット???」
ライト「ま、まあでもあれが見つかれば教授も落ち着くと思うで」
プロジェクターからフィルムを外してそれを突き返すマーガレット
「もうその話はうんざり。スタータブレットなんてただのオカルトよ。
太陽系科学学会もそう断定したわ。」
ライト「でもこれはなんや?
もしかしたら教授は本当にスタータブレットまであと一歩ってところまでつかんでるんちゃうか?」
ミグ「スタータブレットって何??」
窓の外を見つめながら追い返すマーガレット
「どうでもいいわ。とにかくこれ以上は協力できません。帰ってくれない。忙しいの」
・
庭に着陸しているリンドバーグ号を確認する男たち。
無線で連絡する特殊部隊の隊員「例の宇宙船に間違いありません。」
大学に入ってくるスーツの男と屈強そうな背の高い黒人の男。
屈強な男「それで・・・いったい何者なんですか?」
スーツの男「彼らとは何度か会ってましてね・・・とっても面白い人物なんですよ。」
屈強な男「それが例のものを狙っていると?どうもわからないな。
我々が動くほど大物のようには思えませんが・・・」
スーツの男「くっくっく・・・まあそのうちわかりますよ。」
大学の受付に挨拶をする。
スーツの男「マーガレット・アレゴリー教授をお願いします」
・
研究室を強引に追い出される二人。
マーガレット「さっさとそのフィルムをもってここから離れなさい。
以後大学には戻ってこないように。出口はこの通路を右ね」
扉を閉めるマーガレット
ミグ「なんかにわかに怒られちゃったな・・・」
ライト「忙しいんやろ・・・それにあの人、教授とはいろいろあってな」
ミグ「いや、私が嘘をついたのが悪かったんだよ。
ごめんなライト、余計なこと言っちゃって・・・」
ライト「ええってええって。お前がいなかったら読まずに突き返されてたわ。
しかし、さすが名家の出は違うな・・・!」
「え?」
「いろんな文字知ってたやないか。ファイファイの円盤とか・・・オイラぜんっぜんや」
ミグ「ああ・・・大したことじゃないよ」
ライト「ニャハハまたまた!」
ミグ「後ろの黒板読んだだけだから」
ライト「・・・・・・」
ミグ「ごめんね。遺跡探検なんてしたことないんだ。私の趣味は家で一人で酒を飲むこと」
ライト「・・・帰ろうか、ミグ・・・」
ミグ「うん・・・」
大学から出ていく二人。
・
マーガレットの研究室
スーツの男と屈強な男が研究室に入ってくる。
スーツの男「失礼しますよ」
マーガレット「あらムッシュピカール・・・今日は懐かしい人ばかり訪ねてくるわね」
ピカール「・・・というと?」
マーガレット「いえ、こっちの話よ。お茶でもいかが?そこの木偶の坊も飲む?」
ケセド・バイザック大佐「あ。いただきます。」
マーガレット「で、今日はなんの御用かしら?」
ピカール「実は人を探していましてね・・・
地球の冒険家と冥王星の軍人のコンビなんですが・・・あの二人にはほとほと困ってましてね・・・」
懐から写真を撮り出すピカール「ご存知ないですかね?」
写真を受け取り無言で見つめるマーガレット
「・・・用件はそれだけ?」
写真を突き返すマーガレット「人探しなら残念ね、力になれそうにないわ。宇宙は広いもの」
ピカール「ええ、宇宙は広い・・・だから母親のあなたを訪ねてきたんですよ・・・」
大学構内の中庭
リンドバーグ号に向かって歩く二人
ミグ「・・・つけられてるぞ」
ライト「そのようやな・・・」
研究室
マーガレット「・・・容疑は?」
ケセド「アマルテア政府の機密情報を持ち出した疑いです。」
マーガレット「言っててバカバカしくない?」
ケセド「私も同感です。彼らはどう考えても国際スパイには見えない。
とはいえ上からの命令なんです。形式的な事実確認をするだけですので、居場所をご存知ならば教えていただきたい」
マーガレット「ごめんなさい、バカな子だけどそれなりに可愛いのよ」
大学の中庭を歩く二人を発見する特殊部隊
「隊長ターゲットを確認。宇宙船の方へ向かっています」
ケセド「了解。すぐに向かう。・・・博士、見つかりました」
ピカール「ああ、見つかったようです」
紅茶を飲むマーガレット「はい、いってらっしゃい」
ピカール「あなたにもご同行願えませんかね?」
マーガレット「あら20年前の学会を覚えてない?私はあなたが嫌いなの」
ピカール「そうですか・・・バイザック大佐」
ケセド「了解。二人を確保しろ。」
中庭
特殊部隊が物陰に隠れながら近づき徐々にふたりを包囲する
ライト「なんやねん・・・」
ミグ「知らないよ、もしかしてそのフィルムを狙ってるんじゃないのか?」
ライト「お宝に興味があるのはギャングだけやないってことか・・・
・・・数が多いな。リンドバーグ号で蹴散らすわ、援護してくれ」
微笑むミグ「人生最大の危機的状況かな・・・?」
ライト「バカ言え・・・後ろは預けたで!」
ケセド「作戦開始だ」
特殊部隊「了解・・・」
銃を構える特殊部隊に突然拳銃を撃ちまくるミグ。
その途端ダッシュで宇宙船に向かうライト。
特殊部隊「気づかれた!!」
ケセド「宇宙船に行かせるな!」
リンドバーグ号に特殊部隊が近づけないように銃でライトを援護するミグ。
宇宙船に近づけない特殊部隊
ケセド「クソっ!ゴム弾だ!ゴム弾であの女を制圧しろ!」
ミグに向かってゴム弾のグレネードランチャーを撃つ特殊部隊。
ゴム弾を避けながら中庭の並木の陰に身を隠すミグ。
マガジンを素早く取り外し、装填しなおす。
ミグ「ああ、もう・・・」
リンドバーグ号にたどり着くやいなやハッチを開けてEM銃をミグに放り投げるライト。
ライト「こいつで母さんを頼む!」
EM銃を受け取るミグ「母さん?」
ケセド「よし、相手は弾切れだ、押せ押せ押せ!GOGOGO!」
EM銃の弾丸が飛んでくる
特殊部隊が吹っ飛ぶ「うわあああ!」
「なんだあれは!?」
「大佐実弾の許可を!!」
ケセド「いやダメだ!殺してはならん!セレマの命令だ!」
EM銃でジープがひっくり返る
「後退だ!一度体勢を立て直して再び」
ミグに応戦する特殊部隊の一団にリンドバーグ号が突っ込んでくる
ライト「散れい!ちらんかいお前ら~~!!」
リンドバーグ号のプロペラから逃げ出す特殊部隊「うわあああ!」
無線をひっつかむケセド「やっぱ撤退!全員撤退!!」
研究室
窓の外では銃声が鳴り響き激しい戦闘が行われているが、動じずにお茶会をしている二人。
マーガレット「あれが形式的な事実確認?」
ピカール「まあね」
EM銃を構え部屋に踏み込んでくるミグ「アレゴリー教授!」
マーガレット「ああ・・・あなた。」
ピカール「お邪魔してますよ」
驚くミグ「ピカール卿・・・!」
マーガレット「もしかして知り合い・・・?」
ミグ「悪党です」
うなずくマーガレット「知り合いのようね」
EM銃を向けるミグ「今度は何を企んでいる?」
ピカール「とんでもない、私はただ忠告に来ただけですよ。」
ミグ「忠告だと・・・?」
ピカール「スタータブレットには近づかないほうがいい」
マーガレット「あら、どういう風の吹き回し?
クリストファーの論文は質の悪いオカルトなんじゃなかった?」
椅子から立ち上がるピカール「世の中知らなくていいこともあるんです。
ご主人にそうお伝えください。」
マーガレット「言って聞くようならとっくに言ってるわ」
ピカール「そうでしたね。」
ミグ「待て!スタータブレットってみんな言ってるけど何なんだ!?流行ってるのか!??」
後ろからミグを殴りつけ気絶させるケセド
倒れるミグ「ぐっ」
ピカール「荒唐無稽な御伽噺ですよ。」
・
中庭
撤退する特殊部隊
リンドバーグ号で制圧するライト「帰れ!帰れボケ!!」
大学から車両が出ていく
ライト「まったくゴキブリみたいなやつや・・・」
研究室
ライト「ミグ!母さん!!」
研究室には誰もいない。
クリス「さらわれたようだな」
ライト「教授!いたんか!」
クリス「で、例のフィルムは読んでもらった?」
ライト「お前どうしてくれんねん!お前のせいで母さんとミグが捕まっちまったんやぞ!」
クリス「大ジョブ大ジョブ。相手の目的がスタータブレットなら古代文字が読める母さんに危害は加えないって。そのミグってやつは殺されちゃうかもしれないけどねニャハハ!・・・で誰そいつ?」
ライト「殴るぞ」
クリス「少しは落ち着いたらどうだ。カッカしてると見えるものも見えなくなる。例えば・・・
この便箋はママの趣味じゃない」
マーガレットの机から手紙を見つけるクリス。
ライト「なんや?」
クリス「招待状だ」
『80日間宇宙一周 The Stargazer』脚本②
2013-02-03 01:27:11 (12 years ago)
木星最大の国家アマルテア。
日干しレンガの建物が並び、エジプトや西アジアのようなエキゾチックな雰囲気を醸し出している。
遠くには巨大な宮殿やモスクが見える。
青空マーケットでは様々な人種が交易品の取引をしている。
オープンテラスのカフェ&バー。
ラジオ「――JNC木星民族会議のンゴロ・アルベド議長は“木星の新しい夜明けだ”と惑星連合の和平合意を歓迎しました。これにより帝国主義の時代から続いた植民地は木星からすべて無くなることになります。
しかし民族の境界を無視してひかれた国境線は今もなお資源をめぐる対立の火種となっており、平和への道のりは長く険しいと言わざるを得ません。
貧困と紛争に喘ぐこの星が真に独立するには、内政干渉と国境の変更を認めないというJNCの条項を変更する必要があり、アルベド議長は・・・」
カフェのテーブルで指を組むYシャツ姿のミグ。木星は大気の影響で気温が高いがネクタイはちゃんと締めている。
ミグ「・・・で?お父さんの病気は大丈夫だったのか・・・?」
ライト「ああ、死にかけてたよ」
驚くミグ「帰ってきちゃっていいのか!?」
ライト「・・・というかあっちが勝手に宇宙船から飛び降りたんや」
ミグ「飛び降りた!!???」
「もうほっとけばええねん。(ウエイターの方を向いて)あ、ロイヤルアイスティー頼むわ」
テーブルに置かれるアイスティー
ミグ「なるほど。つまり・・・純粋にお前に会いたかっただけなんじゃないか・・・?」
ライト「い~やあれはお宝のことしか考えてへん。教授は昔からそうやった」
ミグ「教授・・・?」
ライト「オトンって感じせえへんねん。だって会ったの10回もないから」
ミグ「え??」
ライト「ミグの親御さんが亡くなったのって、あんたが10歳くらい?」
ミグ「そうだね」
ライト「じゃあお前の方がずっと親と会ってるよ・・・あんたは親とうまくいってた?」
ミグ「ああ・・・優しい両親だったよ。たくさん愛してもらったし。尊敬してる。
だから突然いなくなったのがショックでさ・・・」
アイスティーをストローでかき混ぜるライト「ふ~ん・・・」
ミグ「・・・家族との思い出が少なかったのなら、今から増やしていけばいいじゃないか。
私にはもう二度とできないんだから」
路地の奥からガラスの割れる音とけたたましい車のエンジン音が聞こえる。
ライト「まったくこんな市街地でカーチェイスやるなや・・・どこのバカ・・・」
後ろをふりかえり、テラスの外を見るライト。
見るとトラックに乗った男たちがひとりの裸の男を追いかけている。
追っ手「てめえもう許さねえぞ!クリストファー、金を返しやがれ!」
肩を落とすライト「・・・・・・。」
パンツ一枚のクリスが両脇にケースを抱えてトラックに追いかけられている「出世払い!」
銃撃される裸のクリストファーを見つめて口を開けるミグ
ライト「あれと暮らしたい?」
ミグ「・・・・・・。」
ライト「目合わせるな。因縁つけられるで・・・あ、近づいてきた。」
カフェのそばの石畳に停車しているバイクに股がるクリス「ちょうだい」
そばでタバコを吸っていたバイクタクシーのおじさん「待て!ドロボー!!」
構わずエンジンをかけるクリス。ブロロロロロロ・・・
オープンテラスを通り過ぎるバイクとギャングのトラック。
メニューで顔を隠すライト。トラックが遠ざかっていく。
ミグ「もう行ったよ・・・」
石畳の道を歩き、クリスがいたところへ向かうライト。
ライト「ま、こういうことや。気軽に関わったら火の粉がこっちにも飛んでくる・・・」
ミグ「お父さん歳の割にやたら動きが俊敏だったけど・・・でも、ほっといていいのか?」
ライト「自分で何とかするやろ・・・」
遠くで追っ手のトラックが横転し爆発する
男たち「うわ~~~!!!」
火が上がる方を見つめるミグ「・・・・・・。」
ライト「ほらね。」
何かに気づいてかがむライト
「・・・あのバカ、なんか落としていきおった・・・」
地面に落ちた小さなビニール袋を拾うライト。
ビニール袋の中のものを取り出すライト「カメラのフィルムやんけ」
ミグ「じゃあ届けてやらないと・・・」
小さなメモがついている。
メモを読むライト「・・・あいつ・・・」
(エウロパ大学のアレゴリー教授に解読頼むわ!ノシ)
・
黒板にチョークで板書する年配の女性教授
「現在木星には55の国家が独立しています。
しかし未だに紛争や内戦、飢餓といった深刻な問題を抱えている国も多い。
国境と資源に関係する地政学的な問題、歴史や文化に関係する民俗学的問題・・・
紛争の背景には様々な要因がありますが、私が考えるに、最も大きな原因はそれぞれの民族が異なる言語を使っているからだと考えます。」
大学の廊下を歩くミグとライト
ライト「は~こういう学校の雰囲気は好きになれへんねん。冥王星を思い出すわ・・・」
ミグ「悪かったな・・・で、誰なんだ?」
「ああ、マーガレット・アレゴリー・・・言語学者や。
宇宙のすべての文字を知っている。」
エウロパ大学の講堂
ほとんどの大学生は白人であくびをしている。
マーガレット「民族ごとの異なる思考体系の形成は、まさにその民族がどのような言語を用いているかに大きく規定されており、それらを相対的かつ系統学的に比較研究することは、民族紛争を客観的に分析する一つの手がかりになるはずです・・・
言うならば、これは言語の進化の道筋をたどることであり・・・
M・フーコーが論じた“知の考古学”にほかなりません。」
講義終了のベルが鳴る。ぞろぞろと出て行く学生たち。
教壇でテキストを揃えるマーガレット「・・・・・・。」
ライト「アレゴリー先生」
マーガレット「あら・・・久しぶりねライト君・・・今更単位を取りに来たの?残念だけど手遅れよ。」
苦手そうなライト「い、いや・・・ちょっと解読して欲しい文字があるんやけど・・・」
「ふ~ん・・・誰かによるわね」
「え?」
「あなたが言語学に興味を持つはずないでしょ?(廊下の学生たちに顎をやる)官僚候補の連中だって興味がないのに・・・この星の平和は当分お預けね・・・」
ライト「ははは・・・あきませんね~学校の授業はちゃんと聞かんと・・・(学生に怒鳴る)お前らちゃんと勉強せえよ!」
にじりよるマーガレット「で・・・誰の差し金なの?」
ライト「そ・・・それは・・・」
ミグ「私です」
マーガレット「あなたは?」
ミグ「ミグ・チオルコフスキー、冥王星の小惑星解体部隊のものです。小惑星を解体中に奇妙な碑文を発見したので、その写真をアレゴリー教授に見ていただきたく参上しました」
ライト(ミグ・・・!)
マーガレット「ああディープインパクトの・・・未解読言語に興味がおありなんですか?」
ミグ「え?ええまあ・・・遺跡探検が趣味なので・・・」
マーガレット「なるほど・・・例えばどんな未解読言語をご存知なの?」
ライト(んなもん知らんがな・・・)
ミグ「ええとインダス文字、ミノア語、エラム文字、ファイストスの円盤・・・」
マーガレット「なるほど・・・失礼しました、あなたには教養がある。
私の研究室へ案内しますわ。」
廊下の方へ歩き出すマーガレット
ライト「ミグ・・・」
黙ってうなずくミグ。マーガレットのあとをついて行く二人
研究室は本棚だらけで狭いが綺麗に整理整頓されている。
窓際には手入れの行き届いた花や観葉植物が並んでいて、小さな英国庭園のようになっている。
丁寧に紅茶を入れるマーガレット。
「あなたはメロンソーダよね。気が利かなくて本当ごめんなさいね・・・」
ライト「いや紅茶でええです・・・」
紅茶とケーキを差し出すマーガレット
「ヒマリアのプランテーションで採れた茶葉なんだけど・・・冥王星の方の口に合うかしら」
ミグ「いえ、いただきます・・・」
プロジェクターをセットするマーガレット「ところで、ええと・・・」
かがみ込んでプロジェクターの配線を繋ぐライト「あ、オレがやります」
「あ、どうも。で、チオルコフスキー将軍、どのあたりの小惑星でくだんの碑文を?
太陽系外縁天体?」
ミグ「ええ」
考え込むマーガレット「・・・・・・」
ライト「セットできました」
マーガレット「・・・まあいいわ。とりあえず見てみましょう」
研究室の照明が落とされる。
スクリーンに石版の写真が映し出される。
メガネをかけるマーガレット「これは・・・」
ライト「なんて書いてありますかね?読めますかね??」
マーガレット「ちょっと静かにして。今読んでいるんだから」
ライト「さーせん」
「・・・そこまで古い言葉じゃないわ・・・2世紀あたりね。
王は太陽の子
神に知恵という強大な力を授かり王国を築きし者
全知全能のその力は地を揺るがし、海を引き裂き、天空の星をも落とす
王は神にも等しい力を得た
ええと状態が悪くて読めないわ。
・・・よって王は神の地を去り、その力を封印することに決めた
アストライアの大神殿と迷宮は、探求者に試練を与えるであろう
星の運河を辿り、星の欠片を手にした女神の舞によって真実の扉は開かれるのだ」
マーガレット「書かれているのは以上よ。照明をつけて構わないわ」
照明をつけるライト
ライト「・・・で結局どういうこと?登場人物をイラスト付きで整理してくれへん?」
マーガレット「私の専門は解読するだけ。意味を見出すことじゃないわ。
それを得意とする学者をライトくん、あなたは知っているはずよ。」
日干しレンガの建物が並び、エジプトや西アジアのようなエキゾチックな雰囲気を醸し出している。
遠くには巨大な宮殿やモスクが見える。
青空マーケットでは様々な人種が交易品の取引をしている。
オープンテラスのカフェ&バー。
ラジオ「――JNC木星民族会議のンゴロ・アルベド議長は“木星の新しい夜明けだ”と惑星連合の和平合意を歓迎しました。これにより帝国主義の時代から続いた植民地は木星からすべて無くなることになります。
しかし民族の境界を無視してひかれた国境線は今もなお資源をめぐる対立の火種となっており、平和への道のりは長く険しいと言わざるを得ません。
貧困と紛争に喘ぐこの星が真に独立するには、内政干渉と国境の変更を認めないというJNCの条項を変更する必要があり、アルベド議長は・・・」
カフェのテーブルで指を組むYシャツ姿のミグ。木星は大気の影響で気温が高いがネクタイはちゃんと締めている。
ミグ「・・・で?お父さんの病気は大丈夫だったのか・・・?」
ライト「ああ、死にかけてたよ」
驚くミグ「帰ってきちゃっていいのか!?」
ライト「・・・というかあっちが勝手に宇宙船から飛び降りたんや」
ミグ「飛び降りた!!???」
「もうほっとけばええねん。(ウエイターの方を向いて)あ、ロイヤルアイスティー頼むわ」
テーブルに置かれるアイスティー
ミグ「なるほど。つまり・・・純粋にお前に会いたかっただけなんじゃないか・・・?」
ライト「い~やあれはお宝のことしか考えてへん。教授は昔からそうやった」
ミグ「教授・・・?」
ライト「オトンって感じせえへんねん。だって会ったの10回もないから」
ミグ「え??」
ライト「ミグの親御さんが亡くなったのって、あんたが10歳くらい?」
ミグ「そうだね」
ライト「じゃあお前の方がずっと親と会ってるよ・・・あんたは親とうまくいってた?」
ミグ「ああ・・・優しい両親だったよ。たくさん愛してもらったし。尊敬してる。
だから突然いなくなったのがショックでさ・・・」
アイスティーをストローでかき混ぜるライト「ふ~ん・・・」
ミグ「・・・家族との思い出が少なかったのなら、今から増やしていけばいいじゃないか。
私にはもう二度とできないんだから」
路地の奥からガラスの割れる音とけたたましい車のエンジン音が聞こえる。
ライト「まったくこんな市街地でカーチェイスやるなや・・・どこのバカ・・・」
後ろをふりかえり、テラスの外を見るライト。
見るとトラックに乗った男たちがひとりの裸の男を追いかけている。
追っ手「てめえもう許さねえぞ!クリストファー、金を返しやがれ!」
肩を落とすライト「・・・・・・。」
パンツ一枚のクリスが両脇にケースを抱えてトラックに追いかけられている「出世払い!」
銃撃される裸のクリストファーを見つめて口を開けるミグ
ライト「あれと暮らしたい?」
ミグ「・・・・・・。」
ライト「目合わせるな。因縁つけられるで・・・あ、近づいてきた。」
カフェのそばの石畳に停車しているバイクに股がるクリス「ちょうだい」
そばでタバコを吸っていたバイクタクシーのおじさん「待て!ドロボー!!」
構わずエンジンをかけるクリス。ブロロロロロロ・・・
オープンテラスを通り過ぎるバイクとギャングのトラック。
メニューで顔を隠すライト。トラックが遠ざかっていく。
ミグ「もう行ったよ・・・」
石畳の道を歩き、クリスがいたところへ向かうライト。
ライト「ま、こういうことや。気軽に関わったら火の粉がこっちにも飛んでくる・・・」
ミグ「お父さん歳の割にやたら動きが俊敏だったけど・・・でも、ほっといていいのか?」
ライト「自分で何とかするやろ・・・」
遠くで追っ手のトラックが横転し爆発する
男たち「うわ~~~!!!」
火が上がる方を見つめるミグ「・・・・・・。」
ライト「ほらね。」
何かに気づいてかがむライト
「・・・あのバカ、なんか落としていきおった・・・」
地面に落ちた小さなビニール袋を拾うライト。
ビニール袋の中のものを取り出すライト「カメラのフィルムやんけ」
ミグ「じゃあ届けてやらないと・・・」
小さなメモがついている。
メモを読むライト「・・・あいつ・・・」
(エウロパ大学のアレゴリー教授に解読頼むわ!ノシ)
・
黒板にチョークで板書する年配の女性教授
「現在木星には55の国家が独立しています。
しかし未だに紛争や内戦、飢餓といった深刻な問題を抱えている国も多い。
国境と資源に関係する地政学的な問題、歴史や文化に関係する民俗学的問題・・・
紛争の背景には様々な要因がありますが、私が考えるに、最も大きな原因はそれぞれの民族が異なる言語を使っているからだと考えます。」
大学の廊下を歩くミグとライト
ライト「は~こういう学校の雰囲気は好きになれへんねん。冥王星を思い出すわ・・・」
ミグ「悪かったな・・・で、誰なんだ?」
「ああ、マーガレット・アレゴリー・・・言語学者や。
宇宙のすべての文字を知っている。」
エウロパ大学の講堂
ほとんどの大学生は白人であくびをしている。
マーガレット「民族ごとの異なる思考体系の形成は、まさにその民族がどのような言語を用いているかに大きく規定されており、それらを相対的かつ系統学的に比較研究することは、民族紛争を客観的に分析する一つの手がかりになるはずです・・・
言うならば、これは言語の進化の道筋をたどることであり・・・
M・フーコーが論じた“知の考古学”にほかなりません。」
講義終了のベルが鳴る。ぞろぞろと出て行く学生たち。
教壇でテキストを揃えるマーガレット「・・・・・・。」
ライト「アレゴリー先生」
マーガレット「あら・・・久しぶりねライト君・・・今更単位を取りに来たの?残念だけど手遅れよ。」
苦手そうなライト「い、いや・・・ちょっと解読して欲しい文字があるんやけど・・・」
「ふ~ん・・・誰かによるわね」
「え?」
「あなたが言語学に興味を持つはずないでしょ?(廊下の学生たちに顎をやる)官僚候補の連中だって興味がないのに・・・この星の平和は当分お預けね・・・」
ライト「ははは・・・あきませんね~学校の授業はちゃんと聞かんと・・・(学生に怒鳴る)お前らちゃんと勉強せえよ!」
にじりよるマーガレット「で・・・誰の差し金なの?」
ライト「そ・・・それは・・・」
ミグ「私です」
マーガレット「あなたは?」
ミグ「ミグ・チオルコフスキー、冥王星の小惑星解体部隊のものです。小惑星を解体中に奇妙な碑文を発見したので、その写真をアレゴリー教授に見ていただきたく参上しました」
ライト(ミグ・・・!)
マーガレット「ああディープインパクトの・・・未解読言語に興味がおありなんですか?」
ミグ「え?ええまあ・・・遺跡探検が趣味なので・・・」
マーガレット「なるほど・・・例えばどんな未解読言語をご存知なの?」
ライト(んなもん知らんがな・・・)
ミグ「ええとインダス文字、ミノア語、エラム文字、ファイストスの円盤・・・」
マーガレット「なるほど・・・失礼しました、あなたには教養がある。
私の研究室へ案内しますわ。」
廊下の方へ歩き出すマーガレット
ライト「ミグ・・・」
黙ってうなずくミグ。マーガレットのあとをついて行く二人
研究室は本棚だらけで狭いが綺麗に整理整頓されている。
窓際には手入れの行き届いた花や観葉植物が並んでいて、小さな英国庭園のようになっている。
丁寧に紅茶を入れるマーガレット。
「あなたはメロンソーダよね。気が利かなくて本当ごめんなさいね・・・」
ライト「いや紅茶でええです・・・」
紅茶とケーキを差し出すマーガレット
「ヒマリアのプランテーションで採れた茶葉なんだけど・・・冥王星の方の口に合うかしら」
ミグ「いえ、いただきます・・・」
プロジェクターをセットするマーガレット「ところで、ええと・・・」
かがみ込んでプロジェクターの配線を繋ぐライト「あ、オレがやります」
「あ、どうも。で、チオルコフスキー将軍、どのあたりの小惑星でくだんの碑文を?
太陽系外縁天体?」
ミグ「ええ」
考え込むマーガレット「・・・・・・」
ライト「セットできました」
マーガレット「・・・まあいいわ。とりあえず見てみましょう」
研究室の照明が落とされる。
スクリーンに石版の写真が映し出される。
メガネをかけるマーガレット「これは・・・」
ライト「なんて書いてありますかね?読めますかね??」
マーガレット「ちょっと静かにして。今読んでいるんだから」
ライト「さーせん」
「・・・そこまで古い言葉じゃないわ・・・2世紀あたりね。
王は太陽の子
神に知恵という強大な力を授かり王国を築きし者
全知全能のその力は地を揺るがし、海を引き裂き、天空の星をも落とす
王は神にも等しい力を得た
ええと状態が悪くて読めないわ。
・・・よって王は神の地を去り、その力を封印することに決めた
アストライアの大神殿と迷宮は、探求者に試練を与えるであろう
星の運河を辿り、星の欠片を手にした女神の舞によって真実の扉は開かれるのだ」
マーガレット「書かれているのは以上よ。照明をつけて構わないわ」
照明をつけるライト
ライト「・・・で結局どういうこと?登場人物をイラスト付きで整理してくれへん?」
マーガレット「私の専門は解読するだけ。意味を見出すことじゃないわ。
それを得意とする学者をライトくん、あなたは知っているはずよ。」
『80日間宇宙一周 The Stargazer』脚本①
2013-02-03 01:22:51 (12 years ago)
電報「チチ危篤。スグモドレ」
メインベルトの未知の宙域に存在する、地図にも載っていない小惑星「1903 XQ」
直径500キロに及ぶ小惑星の地表には大規模なレアメタルの鉱山が広がっている。
地下資源を回収し、製錬するためのトラス構造のプラントには、怪獣のように馬鹿でかいプロメテウス社製の重機がところせましと並んでいるが、採掘場は現在、操業停止しており動いていない。
小惑星表面を切り裂くように掘られた数キロにも及ぶトレンチ。
地下1000mまで垂直に掘られた、まるで不思議の国のアリスに出てくるような、巨大なトンネルの中にはロープやバケツ、エレベーター、作業用ステップが組まれている。
坑道の最深部
ダンゴムシのような生物をあしらった黄色と黒の警告標識が取り付けられている。
「400nm以下の波長の光は使用禁止!」
地下採石場の傍らには、古代文明のものと思われる寺院の遺跡が見えるが、物騒なドリルのついた採掘機によって半分以上破壊されている。
そこでは、EVA服(小惑星には大気がない)を着た20人ほどの発掘調査隊が作業をしており、その中央では大柄の中年男性が壁に向かって、エアスクライバーを使って壁面を掘り出していく。
「マーシャル大学考古学研究チーム」のロゴが入ったコンテナが発掘現場に転がる。
コンテナのいくつかは横倒しになっており、彼らが突貫工事で作業をしていることがわかる。
現地人のポーターは掘り出された出土品をリレーのように後ろへ運び出し、ビニール袋に入れていく。
ライト「あれ?」
ミグ「どうした?」
ライト「親父が危篤やって」
大柄な男に話しかける現地人のコーディネーター。
コーディネーター「ミスタータイムオーバー。チームヒキアゲル!」
男「・・・アミーゴあと五分。」
コーディネーター「アンタソレバカリ!マルドゥククル・・・!ココギャングノナワバリ・・・!」
男「ダイジ、ダイジ!発掘許可申請は何度も送ったんだから。
まああの馬鹿どもが英語読めるかわかんねーけどさ。ニャハハハハ!」
調査隊の背後にいかにもガラのわるそうな黒人ギャングたちが武装して立っている。
マルドゥク「二千通にも及ぶラブレターありがとよ教授、今度うちの若いのに英語ってのを教えてくれねえか?」
コーディネーター「ヒイイイイイ」
一目散に逃げ出すコーディネーター
男「あ、お先やってま~す」
「お先やってますじゃねえよ、てめえうちのシマで勝手に何やってんだ」
男(すべて掘り出す時間はなさそうだな・・・)
背中越しに小型カメラのシャッターを切る。
壁面から断片的に掘り出された石碑がフィルムに収められる。
ギャング「おい!なにしてる!!」
ギャング「ボス、あいつ記念撮影してますぜ」
ギャング「そのフィルムをよこせ!」
マルドゥク「殺されてえようだな教授、てめえももう終わりだ」
ミグ「それは大変じゃないか、すぐ行ってやろうよ」
ライト「大丈夫やって、殺しても死なんような男やから」
男「あんたらの商売の邪魔はしてない。ここは見逃してくれないかね」
マルドゥク「い~や、お前はここで大好きな遺跡ちゃんと死ぬんだ。」
男「ダメ?交渉決裂?ボーリングするとき地質図とか書いてやったじゃん。」
マルドゥク「残念だったな。」
男「ふ~・・・西部開拓時代・・・大切な井戸や金鉱が奪われそうになったとき何をしたと思うね?」
ギャング「ボス、まだ喋ってます」
マルドゥク「時間稼ぎだ。殺せ。」
銃を構えるギャング
とっさにギャングの方へ手榴弾を投げつける男
ギャング「爆弾だ!」
ギャング「よけろ!!」
手榴弾が破裂し強烈な閃光がはしる。
マルドゥク「あのやろう!はったりだ!!」
「撃ち殺せ!!!」
一斉に引き金を引くギャング
発掘隊とギャングとのあいだで激しい乱闘が始まる。
現地人の調査隊をビームガンで銃撃するギャング。
つるはしでギャングをぶっとばす調査隊。
銃撃をかわしてトンネルの奥へ走る男。
寺院の遺跡全体が大きく振動する。
マルドゥク「逃がすんじゃねえ!」
その刹那、閃光に向かって巨大なダンゴムシのような生き物がブルドーザーのように突っ込んでくる。重機やステップを破壊しながら暴走してくるギガントマキアーグソクムシ。
あるものは踏み潰され、あるものは消化液で溶かされる。
ギャング「ぎゃああああ」
マルドゥク「明かりを消せ!明かりを消せえええ!」
ギャングたちはグソクムシに銃撃するが、体の殻が厚くて通用しない。
マルドゥク「そんな化けもん相手にするな!やつを追え!」
遺跡の回廊を宇宙用のジェット推進ジープ「マーキュリー」に乗って進む考古学者。
道は上り坂になっていく。ギアを四輪駆動に切り替えてアクセルを踏み込む。
ギャングたちもトラックに乗って追いかける。
「行け!殺せええ!!」
前のジープに向かって銃撃するギャング。
車両は寺院中心部の祭壇に向かう。
祭壇には蔦やグロテスクな昆虫がびっしりとくっついていて、そこらじゅうに王の怒りに触れた墓荒らしの白骨化した亡骸が転がっている。
トラックの荷台に乗ったギャングがロケットランチャーを担ぎ、ジープに向かって発射する。
ジープの男はバックミラーを見ながら急ハンドルを切ってロケット弾をかわす。
ロケット弾は人面の形に掘られた祭壇の彫刻にぶち当たり、祭壇の中から黄金色に輝く古代文明の財宝が溢れ出る。
賢者の石やエリクサー、サウロンの指輪、ロンギヌスの槍なども見える。
男「へ~あんなところにあったんだ」
古びた吊り橋に差し掛かるジープ。
のっそりと動く背の高い巨大なザトウムシの下をくぐり抜ける。
付近には不思議な鉱物や、不気味に光る生物たちがそこらじゅうにいる。
釣り橋を渡り終えるやいなや、後続の追っ手の車両に向かってダイナマイトを放り投げる男。
男「掘れぬなら 埋めてしまおう 小惑星」
ギャング「あぶねえぞよけろ!!」
大爆発。吊り橋が焼ききれて後続車は奈落の底へ落ちていく。
ギャング「ぐわ~~~!」
遺跡から採掘所の坑道に入るジープ。
遠くにトンネルの出口が見えてくる。
男「にゃ~っはっは!さらばだ諸君!」
アクセルを踏み込みどんどん加速していくジープ。
その直後、考古学者のジープとヘッドライトに引き寄せられたグソクムシが正面衝突する。
ジープから吹っ飛ぶ男「ぎゃあああああ!」
ミグ「お父さんはいくつ?」
ライト「・・・もうじき50かな・・・?いや60だったかも・・・」
ミグ「すぐ戻ってやれって。もう昔のお父さんじゃないんだから」
燃えるジープ。
地面に倒れている男「あたたた・・・腰が・・・」
銃を突きつけるマルドゥク「歳を考えろ教授。てめえはもう若かねえんだ」
男「いやまったく・・・だからタクシー呼んどいた」
ギャングたち「?」
坑道にミサイルが発射され、岩石が崩れ大きな穴が開く。
マルドゥク「!!」
ライト「何が危篤や。どうせこんなこったろうと思った・・・」
穴の向こうにはプロペラ機のような宇宙船が浮いている。
ライト「迎えに来たで教授!」
男「お~!ライトくん!じゃ、私そろそろ帰るから。」
マルドゥク「てめえ・・・」
リンドバーグ号が機銃を連射し、男を取り囲むギャングたちを圧倒する。
男から離れるギャングたち。
旋回したリンドバーグ号は坑道に急降下し、カーゴハッチを開ける。
低空飛行するリンドバーグ号に向かって走りだし、タイミングよく飛び移る男。
急上昇するリンドバーグ号に向かって銃撃するギャング。
エンジンを点火させ吹っ飛んでいくリンドバーグ号
坑道に衝撃波が走る。吹き飛ばされるギャングたち。
無線を持つマルドゥク「船を出せ」
クレーンやパイプラインを避けながら、ギャングの採掘施設を猛スピードで飛ぶリンドバーグ号
ギャングたちの武装宇宙船がしつこく追ってくる。
ハッチを開けて船内に乗り込んでくる男「写真撮ったくらいで随分としつこいなあ」
ライト「今度はどの勢力を怒らせたんや」
男「ああ・・・アルンジャナイジェリアギャングだよ」
ライト「なんやて!!スマイル・マルドゥクを敵に回したのか!あんた行くとこまでおうたな!」
男「うん。宇宙で敵じゃない人間を探すほうが難しいよ!ニャハハハハ!今は最高のスリルと冒険を楽しもうじゃないか!」
機銃手の席に座るやいなや適当にボタンを押しまくる「あ、それポチッとな」
ライト「コラ勝手に押すな!!」
リンドバーグ号からクラスターミサイルが連射される。
追っ手の宇宙船が直撃を受けて爆発し、小惑星に落下し建設重機が吹き飛ぶ。
小惑星の採掘施設は連鎖反応的に次々と崩壊していき、最後に基礎が破壊されてゴロゴロ転がるヘリウム3の巨大な球体タンクに、衝撃波を受けて回転したクレーンがぶち当たって核爆発のようなキノコ雲ができる。
小惑星から離れるリンドバーグ号
窓を覗き込み首を振る男「なんてエグいことを・・・」
ライト「お前がやったんやろ!」
男「まあ、これでみんな土に帰ったべ。また調査隊のメンバー集め直さなきゃ。」
燃える小惑星を指さすライト「おい、それであれは終わりか。」
男「だって、あの破壊工作は最終的にキミの船がやったわけだし・・・ギャングの報復もこの船を狙うだろ。とりあえず木星入って適当なとこに降ろしてくれ。わたしは別の宇宙船に乗るから」
ライト「こらクソオヤジ、ギャングのアジトに落としたろうか」
男「10年ぶりに会った父親に向かって何だね、その口の利き方は・・・
あ、そうそう大事な話を忘れていたな。
私はあの小惑星で超古代文明の存在を示す、とんでもないお宝を手に入れた。」
ライト「超古代文明???」
「まあ、中心部の祭壇は2~3世紀のものだったがね。メインベルトは113年にゼウス一世の支配下に置かれたから考古学的に合理的な説明はつく。木星王の支配域は定説よりも広かったわけだ。
ええと・・・あった。これだ。」
懐から土にまみれた小さなかけらを取り出す。
男「見てくれ、紀元前の木星圏にはすでにこのような高度な結晶加工技術があったのだ。」
ライト「どーせまたいつものガラクタやろ。いい加減宝探しとかやめろや。小学生かお前は。
だいたい今いくつやねん、もっと大人になれ・・・」
男「59歳です」
ライト「・・・・・・。と、とにかくな、あんま社会に迷惑かけんなや。」
男「キミはいつからそんなお行儀のいい子になったんだ。私はそんな子に育てた覚えないぞ」
ライト「あんま育てられた覚えがないんやけど・・・」
男「昔の格言にもあるだろ。この世はでっかい宝島って。
いや~しかし汗かいちゃったなあ、なんか冷たいもんでもある?あと金貸してよ。」
ライト(助けてやったのに礼の一つもなしとは、なんてふてぶてしい野郎なんや・・・!)
瓦礫となった小惑星の採掘施設
炎の前に立ち宇宙を見上げるマルドゥク「どこにでも逃げるがいい。必ず探し出してやるからな・・・」
マルドゥク「また会おうぜクリストファー・ケレリトゥス教授・・・」
メインベルトの未知の宙域に存在する、地図にも載っていない小惑星「1903 XQ」
直径500キロに及ぶ小惑星の地表には大規模なレアメタルの鉱山が広がっている。
地下資源を回収し、製錬するためのトラス構造のプラントには、怪獣のように馬鹿でかいプロメテウス社製の重機がところせましと並んでいるが、採掘場は現在、操業停止しており動いていない。
小惑星表面を切り裂くように掘られた数キロにも及ぶトレンチ。
地下1000mまで垂直に掘られた、まるで不思議の国のアリスに出てくるような、巨大なトンネルの中にはロープやバケツ、エレベーター、作業用ステップが組まれている。
坑道の最深部
ダンゴムシのような生物をあしらった黄色と黒の警告標識が取り付けられている。
「400nm以下の波長の光は使用禁止!」
地下採石場の傍らには、古代文明のものと思われる寺院の遺跡が見えるが、物騒なドリルのついた採掘機によって半分以上破壊されている。
そこでは、EVA服(小惑星には大気がない)を着た20人ほどの発掘調査隊が作業をしており、その中央では大柄の中年男性が壁に向かって、エアスクライバーを使って壁面を掘り出していく。
「マーシャル大学考古学研究チーム」のロゴが入ったコンテナが発掘現場に転がる。
コンテナのいくつかは横倒しになっており、彼らが突貫工事で作業をしていることがわかる。
現地人のポーターは掘り出された出土品をリレーのように後ろへ運び出し、ビニール袋に入れていく。
ライト「あれ?」
ミグ「どうした?」
ライト「親父が危篤やって」
大柄な男に話しかける現地人のコーディネーター。
コーディネーター「ミスタータイムオーバー。チームヒキアゲル!」
男「・・・アミーゴあと五分。」
コーディネーター「アンタソレバカリ!マルドゥククル・・・!ココギャングノナワバリ・・・!」
男「ダイジ、ダイジ!発掘許可申請は何度も送ったんだから。
まああの馬鹿どもが英語読めるかわかんねーけどさ。ニャハハハハ!」
調査隊の背後にいかにもガラのわるそうな黒人ギャングたちが武装して立っている。
マルドゥク「二千通にも及ぶラブレターありがとよ教授、今度うちの若いのに英語ってのを教えてくれねえか?」
コーディネーター「ヒイイイイイ」
一目散に逃げ出すコーディネーター
男「あ、お先やってま~す」
「お先やってますじゃねえよ、てめえうちのシマで勝手に何やってんだ」
男(すべて掘り出す時間はなさそうだな・・・)
背中越しに小型カメラのシャッターを切る。
壁面から断片的に掘り出された石碑がフィルムに収められる。
ギャング「おい!なにしてる!!」
ギャング「ボス、あいつ記念撮影してますぜ」
ギャング「そのフィルムをよこせ!」
マルドゥク「殺されてえようだな教授、てめえももう終わりだ」
ミグ「それは大変じゃないか、すぐ行ってやろうよ」
ライト「大丈夫やって、殺しても死なんような男やから」
男「あんたらの商売の邪魔はしてない。ここは見逃してくれないかね」
マルドゥク「い~や、お前はここで大好きな遺跡ちゃんと死ぬんだ。」
男「ダメ?交渉決裂?ボーリングするとき地質図とか書いてやったじゃん。」
マルドゥク「残念だったな。」
男「ふ~・・・西部開拓時代・・・大切な井戸や金鉱が奪われそうになったとき何をしたと思うね?」
ギャング「ボス、まだ喋ってます」
マルドゥク「時間稼ぎだ。殺せ。」
銃を構えるギャング
とっさにギャングの方へ手榴弾を投げつける男
ギャング「爆弾だ!」
ギャング「よけろ!!」
手榴弾が破裂し強烈な閃光がはしる。
マルドゥク「あのやろう!はったりだ!!」
「撃ち殺せ!!!」
一斉に引き金を引くギャング
発掘隊とギャングとのあいだで激しい乱闘が始まる。
現地人の調査隊をビームガンで銃撃するギャング。
つるはしでギャングをぶっとばす調査隊。
銃撃をかわしてトンネルの奥へ走る男。
寺院の遺跡全体が大きく振動する。
マルドゥク「逃がすんじゃねえ!」
その刹那、閃光に向かって巨大なダンゴムシのような生き物がブルドーザーのように突っ込んでくる。重機やステップを破壊しながら暴走してくるギガントマキアーグソクムシ。
あるものは踏み潰され、あるものは消化液で溶かされる。
ギャング「ぎゃああああ」
マルドゥク「明かりを消せ!明かりを消せえええ!」
ギャングたちはグソクムシに銃撃するが、体の殻が厚くて通用しない。
マルドゥク「そんな化けもん相手にするな!やつを追え!」
遺跡の回廊を宇宙用のジェット推進ジープ「マーキュリー」に乗って進む考古学者。
道は上り坂になっていく。ギアを四輪駆動に切り替えてアクセルを踏み込む。
ギャングたちもトラックに乗って追いかける。
「行け!殺せええ!!」
前のジープに向かって銃撃するギャング。
車両は寺院中心部の祭壇に向かう。
祭壇には蔦やグロテスクな昆虫がびっしりとくっついていて、そこらじゅうに王の怒りに触れた墓荒らしの白骨化した亡骸が転がっている。
トラックの荷台に乗ったギャングがロケットランチャーを担ぎ、ジープに向かって発射する。
ジープの男はバックミラーを見ながら急ハンドルを切ってロケット弾をかわす。
ロケット弾は人面の形に掘られた祭壇の彫刻にぶち当たり、祭壇の中から黄金色に輝く古代文明の財宝が溢れ出る。
賢者の石やエリクサー、サウロンの指輪、ロンギヌスの槍なども見える。
男「へ~あんなところにあったんだ」
古びた吊り橋に差し掛かるジープ。
のっそりと動く背の高い巨大なザトウムシの下をくぐり抜ける。
付近には不思議な鉱物や、不気味に光る生物たちがそこらじゅうにいる。
釣り橋を渡り終えるやいなや、後続の追っ手の車両に向かってダイナマイトを放り投げる男。
男「掘れぬなら 埋めてしまおう 小惑星」
ギャング「あぶねえぞよけろ!!」
大爆発。吊り橋が焼ききれて後続車は奈落の底へ落ちていく。
ギャング「ぐわ~~~!」
遺跡から採掘所の坑道に入るジープ。
遠くにトンネルの出口が見えてくる。
男「にゃ~っはっは!さらばだ諸君!」
アクセルを踏み込みどんどん加速していくジープ。
その直後、考古学者のジープとヘッドライトに引き寄せられたグソクムシが正面衝突する。
ジープから吹っ飛ぶ男「ぎゃあああああ!」
ミグ「お父さんはいくつ?」
ライト「・・・もうじき50かな・・・?いや60だったかも・・・」
ミグ「すぐ戻ってやれって。もう昔のお父さんじゃないんだから」
燃えるジープ。
地面に倒れている男「あたたた・・・腰が・・・」
銃を突きつけるマルドゥク「歳を考えろ教授。てめえはもう若かねえんだ」
男「いやまったく・・・だからタクシー呼んどいた」
ギャングたち「?」
坑道にミサイルが発射され、岩石が崩れ大きな穴が開く。
マルドゥク「!!」
ライト「何が危篤や。どうせこんなこったろうと思った・・・」
穴の向こうにはプロペラ機のような宇宙船が浮いている。
ライト「迎えに来たで教授!」
男「お~!ライトくん!じゃ、私そろそろ帰るから。」
マルドゥク「てめえ・・・」
リンドバーグ号が機銃を連射し、男を取り囲むギャングたちを圧倒する。
男から離れるギャングたち。
旋回したリンドバーグ号は坑道に急降下し、カーゴハッチを開ける。
低空飛行するリンドバーグ号に向かって走りだし、タイミングよく飛び移る男。
急上昇するリンドバーグ号に向かって銃撃するギャング。
エンジンを点火させ吹っ飛んでいくリンドバーグ号
坑道に衝撃波が走る。吹き飛ばされるギャングたち。
無線を持つマルドゥク「船を出せ」
クレーンやパイプラインを避けながら、ギャングの採掘施設を猛スピードで飛ぶリンドバーグ号
ギャングたちの武装宇宙船がしつこく追ってくる。
ハッチを開けて船内に乗り込んでくる男「写真撮ったくらいで随分としつこいなあ」
ライト「今度はどの勢力を怒らせたんや」
男「ああ・・・アルンジャナイジェリアギャングだよ」
ライト「なんやて!!スマイル・マルドゥクを敵に回したのか!あんた行くとこまでおうたな!」
男「うん。宇宙で敵じゃない人間を探すほうが難しいよ!ニャハハハハ!今は最高のスリルと冒険を楽しもうじゃないか!」
機銃手の席に座るやいなや適当にボタンを押しまくる「あ、それポチッとな」
ライト「コラ勝手に押すな!!」
リンドバーグ号からクラスターミサイルが連射される。
追っ手の宇宙船が直撃を受けて爆発し、小惑星に落下し建設重機が吹き飛ぶ。
小惑星の採掘施設は連鎖反応的に次々と崩壊していき、最後に基礎が破壊されてゴロゴロ転がるヘリウム3の巨大な球体タンクに、衝撃波を受けて回転したクレーンがぶち当たって核爆発のようなキノコ雲ができる。
小惑星から離れるリンドバーグ号
窓を覗き込み首を振る男「なんてエグいことを・・・」
ライト「お前がやったんやろ!」
男「まあ、これでみんな土に帰ったべ。また調査隊のメンバー集め直さなきゃ。」
燃える小惑星を指さすライト「おい、それであれは終わりか。」
男「だって、あの破壊工作は最終的にキミの船がやったわけだし・・・ギャングの報復もこの船を狙うだろ。とりあえず木星入って適当なとこに降ろしてくれ。わたしは別の宇宙船に乗るから」
ライト「こらクソオヤジ、ギャングのアジトに落としたろうか」
男「10年ぶりに会った父親に向かって何だね、その口の利き方は・・・
あ、そうそう大事な話を忘れていたな。
私はあの小惑星で超古代文明の存在を示す、とんでもないお宝を手に入れた。」
ライト「超古代文明???」
「まあ、中心部の祭壇は2~3世紀のものだったがね。メインベルトは113年にゼウス一世の支配下に置かれたから考古学的に合理的な説明はつく。木星王の支配域は定説よりも広かったわけだ。
ええと・・・あった。これだ。」
懐から土にまみれた小さなかけらを取り出す。
男「見てくれ、紀元前の木星圏にはすでにこのような高度な結晶加工技術があったのだ。」
ライト「どーせまたいつものガラクタやろ。いい加減宝探しとかやめろや。小学生かお前は。
だいたい今いくつやねん、もっと大人になれ・・・」
男「59歳です」
ライト「・・・・・・。と、とにかくな、あんま社会に迷惑かけんなや。」
男「キミはいつからそんなお行儀のいい子になったんだ。私はそんな子に育てた覚えないぞ」
ライト「あんま育てられた覚えがないんやけど・・・」
男「昔の格言にもあるだろ。この世はでっかい宝島って。
いや~しかし汗かいちゃったなあ、なんか冷たいもんでもある?あと金貸してよ。」
ライト(助けてやったのに礼の一つもなしとは、なんてふてぶてしい野郎なんや・・・!)
瓦礫となった小惑星の採掘施設
炎の前に立ち宇宙を見上げるマルドゥク「どこにでも逃げるがいい。必ず探し出してやるからな・・・」
マルドゥク「また会おうぜクリストファー・ケレリトゥス教授・・・」
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