著者は翻訳家のニキ・リンコさん。「自閉っ子の行動にはこんなに“浅いワケ”があるのです!深読みをやめれば、わかりあうヒントになる」の帯が秀逸w
本書では「自閉っ子」と書いてあるけれど、ここで取り上げられているのは、自閉症の中でも知的な遅れを伴わないタイプ、いわゆるアスペルガーで、ニキさんも30代でアスペルガーだと診断され、この本はその実体験を綴ったもの。
アスペさんの苦労や葛藤、認識傾向が、まるでさくらももこエッセイ的に、さっくり読めてしまうが、意外と自閉症の人の見えている世界を深く考察したチャプターもあって、勉強になる。脱力系の文章&イラストに騙されてはならない。
小学校の頃に水やり係に任命されて、雨の日にも外で律儀に花に水をやっていたエピソードは、微笑ましいようにも思えるが、当事者にとっては深刻な問題なのかもしれない。とにかく、支持や命令を額面通りに受け取って例外に臨機応変に対応できないアスペルガーの大変さがわかる。
しかも当人の気質は、決して真面目に仕事に取り組むタチじゃないっていう。気質(なまけもの)と障害の特性(マジメ)が一致していないという。これは辛いよな。
こちとら、好きでりちぎに行動とってんじゃないやい。
応用力がないおかげで、しかたなく、ハイパーりちぎな行動パターンに閉じ込められているだけなんだからね。
それに、私はちょっともりちぎ者じゃないもん。(53ページ)
しかし、これって周囲の人も大変だよな。ファジーじゃないことのほうが現実では少ないわけで、となれば、アスペさんがすべてのファジーに適応できないというわけでは決してないということになる。
したがって、ニキさんは雨の日に水やりに行っちゃったけど、別のアスペさんは「水やりは基本的には毎日するんだけど、雨の日はしなくていいよ」ってあらかじめ指示したら「当たり前だろ、バカにしてんのか!」って怒り出す可能性もあるってわけだ(今のニキさんにそういう指示をしても失笑されるか、気を悪くされるだろう)。
つまり、相手や事例によって、このファジーは大丈夫、このファジーは無理って違うわけで、これは正直かなりめんどくさい。まさに俺ルール!!
だから、この人はアスペルガーだからと、一括りの対応はできないってことを肝に命じる必要がある。でも、これ対人コミュニケーションにおいてとっても重要なことなのかもしれないな。理解し合うということ。相手の俺ルールを。
以下は興味深かった箇所。
私はけっこういろんなことを知っていたと思う。自慢じゃないが、虫の名前と、会社のロゴなら、同級生に負けなかったはずだ。
でも、「知ってること」と「知ってること」をつないでみることが少なかった。
それで、応用がきかなかったんじゃなかろうか。(37ページ)
きっと、自閉じゃないひとたちは、複雑な日常生活に能率よく対応するため、よく似たものどうしをざっくりとまとめたり、よく似たものをついでに思い出したりして、かしこく手抜きをしているんだろうと思う。(83ページ)
本当はわかっていないのに、わかっていない状態をふつうだと思っているから、
わかっていないことがわからなかった。
これでは、「教えてください」とも言えない。
(略)
自分なりに考えて選んで、結果が思わしくなくても、
「もっとじょうずな選択ができたのかも」という発想はわいてこなかった。
自分なりに精いっぱい考えたんだから、これがベストの選択肢に決まっていると思っていた。
「ベストの選択肢でもこの程度にしかならなかったってことは、選択肢のすべてがショボかったにちがいない」と思うか、
「ベストの選択肢でもこの程度にしかならなかったってことは、私なんてどうせ、どんないいチャンスを与えられてもダメなのにちがいない」と思うか、
解釈が両極端になってしまう。
「本当はよくわからないまま選んでしまったのかもしれない」という可能性には、なかなか気がつかなった。(139ページ)
そんな執着が生まれるのも、イチゴのいっこずつが「別のもの」に見えているからである。
フランス料理のコースで、前菜のあとにいきなりデザートが出てきたら、だれだって怒ると思う。
居酒屋で、ビールや枝豆のほかにいろいろおつまみを頼んで、おつまみがたくさん運ばれてきたのにビールがいつまでも来なかったら、やっぱり怒ると思う。
イチゴは食べればどれもイチゴの味がするんだから、
実質的には「前菜の次にデザート」「ビールが最後」みたいな損害は起こらない。
それなのに、「順番がめちゃくちゃになった」かのように感じてしまう。(196ページ)
現実では、そう簡単にはいかない。
私の正面で同級生がふたり、けんかをしているとしよう。そこへ、後ろから別の同級生が近づいてきたとしよう。
後ろから来た同級生は、正面で進行しているけんかに関心があるかもしれないし、ないかもしれない。なんらかの反応をするかもしれないし、しないかもしれない。けんかしているふたりだって、もうひとりが来たことで、ふるまいを変えるかもしれないし、変えないかもしれない。
これがけんかしているのが生身の同級生ではなく、テレビの中の艦隊士官とクリンゴン人であったならどうだろう?
後ろから近づいてきたひとは、テレビの中のけんかの進行に影響を与える心配はない。「テレビの画面の外にいる」というだけで、「このけんかには没交渉の第三者である」ということが、たちどころに、かつ、確実にわかるのである。
(略)
テレビはわかりやすい。(242ページ)
こんな感じで、アスペルガーの知識(だけ)オタクぶりや、常同性(同じパターンが繰り返されることを好む)、当事者意識のなさ(第三者的発言をしたがる)などの特徴が、的確かつ個性的な表現で、わかりやすく書かれている。
そういや、東大生ってかなりの割合(4人にひとり)でアスペルガーが多いって話があるんだけど、どうだろう。とんでもない情報の丸暗記をしないと試験にパスできないわけだから、そういう人がたくさんいるっていうのはなんとなく納得はしちゃうよな。
ポスターの歴史
2016-03-19 15:46:07 (8 years ago)
もう二度と美術は教えることはないと思っていたら、いや~人生は全く先が読めない・・・!かつての美術の授業で用いたレジュメとかいろいろ処分しちゃったので、急遽作り直すことにしました。やっぱ、大学の講義のようにレジュメをここにアップロードしておくべきであった。
というわけで今回はポスターというものがどうのように発展してきたか。そもそもポスターの定義ってなんだっていう話はあるんだけど、ここでは「絵と文字を使った商業的な宣伝」くらいに考えてください。
古代
モーゼの十戒など。法や協約を板に刻む。
古代ギリシャ(紀元前700年前~)・ローマ(1世紀~)
政治商業などの広告メッセージがすでに存在していた(ポンペイの壁画など)。
ルネサンス(14世紀~16世紀)
15世紀に活版印刷、製紙術の発明などによって書家の職が衰退。
それまでは羊皮紙に人が手作業で書き写していた。
アンシャンレジーム期
16~18世紀のフランスの絶対君主制の時代。
ポスターの掲示には国王の許可が必要になる。
フランソワ一世
「法は板に掲示される。法は紙に大きな文字で書かれ、それらの提出物は保持され撤去については体罰が課せられる」(1539年)
この頃のポスターはほとんど文字だけだった。
芸術的なイラストが入るのは、18世紀に公示された兵隊募集用ポスターなどから。
ポスター広告は教会や金融業者、王の庇護を受けた芸人(観劇)なども利用するようになる。
1679年東インド会社設立もポスターによって公示された。
18世紀
木版(凸版印刷)から石版(平板印刷)へ。
1798年作曲家アロイス・ゼネフェルダー(ドイツ)が石版術(リトグラフ)を発明、弟子のエンゲルマンによって完成。(リトカラー印刷で特許)
違った石に違った色を使って刷る多色石版。
石版術(リトグラフ)の利点
①石の上にじかに描ける(早い!)
②彫らなくていい(簡単!)
③石を磨けば再利用できる(安い!)
19世紀
フランス革命のあとに石版術がポスターに本格的に利用。
香水、医薬品、馬車、時計屋の広告など。
色の付いた絵が全面にひろがるポスターが主流に。
ただ色(いろどり)や転写が不完全だった。三原色を重ねるので色彩が濁ってしまう。
19世紀後半~第一次世界大戦
ポスター黄金時代と呼ばれる。
産業革命によって自由経済が発達。ライバル企業に負けないために宣伝の重要性が高まった。
1865年にブリセ石版印刷工房がエンゲルマンの技術を改良。
簡単に完全な色の転写が可能になる。安く大量の図版が生産できるように。
ジュール・シェレ
多色石版を使った芸術ポスターの父。
女性をモチーフにした陽気で色鮮やかなポスターを1000以上も制作した。
1881年フランス
壁にポスターを貼るのに市の許可が必要になる。
壁の品位を落とすようなポスター(えっちなの)もアウト。
年間使用料を徴収するように→広告掲示会社が設立。
1890年代
パリの芸術家たちが積極的にポスターを制作。
ベタと輪郭線という日本(ジャポニスム)の影響が現れる。
シェレの弟子ロートレックがポスターに作家性を主張する。
「誰が描いているのかわからない描き方は終わった」
アール・ヌーヴォー
「新しい芸術」の意味。これはフランス語で、イギリスでは「モダンスタイル」、ドイツやオーストリアでは「ユーゲントシュティール(青春様式)」と呼ばれる。
植物の蔦などをデザインに取り入れた曲線が印象的な様式。
新古典主義への反発から生まれ、芸術と工業とを結ぼうとした。
グラッセやミュシャといったポスター絵画の巨匠が登場。
どんどん芸術的に複雑化した。
ポスターブーム
ポスターがたくさん出来て収集家も登場、コレクションアイテム化する。
1900年以降
芸術ポスターの没落、ブームが終わる。
カピエッルロ
単純化された図像のポスターを制作(反リアリズム)。
「ポスターの基本は「読みやすさ」と「商標の推定」である」
簡潔で、明度対比で目立つものこそが最高のポスター。
カッサンドル
フランスのグラフィックデザイナー(1901~68)。
「絵画はそれ自体が一つの目標であるが、ポスターは商人と大衆のあいだのひとつの伝達手段に過ぎない。ちょうど電報配達人のようなものである。電報配達人は伝聞を発するのではなく、それを運び届けるだけなのである。誰も配達人にその意見を求めはしない」
ポスターにおける幾何学的構成と純粋性を表現。
1904年アメリカ
オフセット印刷の発明。
亜鉛板の原版を一度ゴムの円筒に写し(オフ)、そのゴムが紙に印刷する(セット)手法。
極めて高速でしなやか、鮮明。原版もゴムのブランケットが大量に刷るので摩耗しない。
設備投資は高いが、大量印刷における単価はとても安い。
写真製版
赤青黄黒の四色の密度を調整することで様々な色が表現できる(四回の印刷工程でOk)
↓
色調節の熟練工が消える。
第二次世界大戦後
宣伝手段の多様化(ラジオ、映画、テレビ、インターネット)によってポスターはその一つの手段に過ぎなくなる。
というわけで今回はポスターというものがどうのように発展してきたか。そもそもポスターの定義ってなんだっていう話はあるんだけど、ここでは「絵と文字を使った商業的な宣伝」くらいに考えてください。
古代
モーゼの十戒など。法や協約を板に刻む。
古代ギリシャ(紀元前700年前~)・ローマ(1世紀~)
政治商業などの広告メッセージがすでに存在していた(ポンペイの壁画など)。
ルネサンス(14世紀~16世紀)
15世紀に活版印刷、製紙術の発明などによって書家の職が衰退。
それまでは羊皮紙に人が手作業で書き写していた。
アンシャンレジーム期
16~18世紀のフランスの絶対君主制の時代。
ポスターの掲示には国王の許可が必要になる。
フランソワ一世
「法は板に掲示される。法は紙に大きな文字で書かれ、それらの提出物は保持され撤去については体罰が課せられる」(1539年)
この頃のポスターはほとんど文字だけだった。
芸術的なイラストが入るのは、18世紀に公示された兵隊募集用ポスターなどから。
ポスター広告は教会や金融業者、王の庇護を受けた芸人(観劇)なども利用するようになる。
1679年東インド会社設立もポスターによって公示された。
18世紀
木版(凸版印刷)から石版(平板印刷)へ。
1798年作曲家アロイス・ゼネフェルダー(ドイツ)が石版術(リトグラフ)を発明、弟子のエンゲルマンによって完成。(リトカラー印刷で特許)
違った石に違った色を使って刷る多色石版。
石版術(リトグラフ)の利点
①石の上にじかに描ける(早い!)
②彫らなくていい(簡単!)
③石を磨けば再利用できる(安い!)
19世紀
フランス革命のあとに石版術がポスターに本格的に利用。
香水、医薬品、馬車、時計屋の広告など。
色の付いた絵が全面にひろがるポスターが主流に。
ただ色(いろどり)や転写が不完全だった。三原色を重ねるので色彩が濁ってしまう。
19世紀後半~第一次世界大戦
ポスター黄金時代と呼ばれる。
産業革命によって自由経済が発達。ライバル企業に負けないために宣伝の重要性が高まった。
1865年にブリセ石版印刷工房がエンゲルマンの技術を改良。
簡単に完全な色の転写が可能になる。安く大量の図版が生産できるように。
ジュール・シェレ
多色石版を使った芸術ポスターの父。
女性をモチーフにした陽気で色鮮やかなポスターを1000以上も制作した。
1881年フランス
壁にポスターを貼るのに市の許可が必要になる。
壁の品位を落とすようなポスター(えっちなの)もアウト。
年間使用料を徴収するように→広告掲示会社が設立。
1890年代
パリの芸術家たちが積極的にポスターを制作。
ベタと輪郭線という日本(ジャポニスム)の影響が現れる。
シェレの弟子ロートレックがポスターに作家性を主張する。
「誰が描いているのかわからない描き方は終わった」
アール・ヌーヴォー
「新しい芸術」の意味。これはフランス語で、イギリスでは「モダンスタイル」、ドイツやオーストリアでは「ユーゲントシュティール(青春様式)」と呼ばれる。
植物の蔦などをデザインに取り入れた曲線が印象的な様式。
新古典主義への反発から生まれ、芸術と工業とを結ぼうとした。
グラッセやミュシャといったポスター絵画の巨匠が登場。
どんどん芸術的に複雑化した。
ポスターブーム
ポスターがたくさん出来て収集家も登場、コレクションアイテム化する。
1900年以降
芸術ポスターの没落、ブームが終わる。
カピエッルロ
単純化された図像のポスターを制作(反リアリズム)。
「ポスターの基本は「読みやすさ」と「商標の推定」である」
簡潔で、明度対比で目立つものこそが最高のポスター。
カッサンドル
フランスのグラフィックデザイナー(1901~68)。
「絵画はそれ自体が一つの目標であるが、ポスターは商人と大衆のあいだのひとつの伝達手段に過ぎない。ちょうど電報配達人のようなものである。電報配達人は伝聞を発するのではなく、それを運び届けるだけなのである。誰も配達人にその意見を求めはしない」
ポスターにおける幾何学的構成と純粋性を表現。
1904年アメリカ
オフセット印刷の発明。
亜鉛板の原版を一度ゴムの円筒に写し(オフ)、そのゴムが紙に印刷する(セット)手法。
極めて高速でしなやか、鮮明。原版もゴムのブランケットが大量に刷るので摩耗しない。
設備投資は高いが、大量印刷における単価はとても安い。
写真製版
赤青黄黒の四色の密度を調整することで様々な色が表現できる(四回の印刷工程でOk)
↓
色調節の熟練工が消える。
第二次世界大戦後
宣伝手段の多様化(ラジオ、映画、テレビ、インターネット)によってポスターはその一つの手段に過ぎなくなる。
理科クライマックス
2016-03-14 20:53:50 (8 years ago)
-
カテゴリタグ:
- 雑記
先日多摩で開催されたバースデーテスト無事に合格しました~\(^^)/
あの日はなんかいろいろと疲れていて、すっごい眠いし(早朝4時半起き)正直行くの諦めようかな・・・と特急に乗り遅れた時とかに何度も頭をよぎったんですが、首都高使って行ってよかった・・・!
帰りには2年前、マッドなCMにハマリにハマった東京サマーランドのデカスラも見れたしね。つーか、東京サマーランドってあんな山と川の狭間にあったんだね・・・テレビCMのイメージだと横浜みたいに、もっと街中にあるんかと思った・・・めっちゃフォレストウッドブッシュ。
しかし、この試験って、全国から理科教員を目指す強者(とも)が100人くらい集結し、かなり倍率が高かったらしいんだけど、びっくりしたのは理科の試験だっていうのに、「日本の産業を海外に負けないように・・・」とか「技術者の需給バランスが・・・」みたいなマクロ経済学のお題で小論文を書けって言われて、みんな頭抱えていたっていう。
私はもう好きに書いちゃって、学校の現場感覚として、国策としてのエンジニア育成やイノベーションみたいな話は正直ピンとこないって、問題自体を批判しちゃったんだよな。
理科教育(科学教育)って言っても、科学には純粋な「理学」と応用的な「工学」の二つの側面があって、後者は技術科にやらせてるんだから、理科は理学を教えればいいじゃんっていう。
なにかの手段として理科を学ぶんじゃなくて、ただ単純に自然現象って不思議だな、面白いなっていうそういう感性を育むきっかけが作れれば、あとはそれぞれが考えて、中には科学者やエンジニアになる人も出てくるだろうしっていう。コンサマトリーなものでいいだろうと。
もちろん現代の科学は国家が大きなステークホルダーにはなっているんだけど、そういうのは大人の事情であって、学校で子どもに理科を教えるときにいるのかな、と。早熟な人にはそういう側面も解禁したほうが面白いのかもしれないけれど。
ほいで、次に面接があって、面接官に「今の理科教育に足りないものは何だと思いますか?」みたいな私みたいなトーシローには大きすぎる問題をパスされちゃったんだけど、「え~と科学史にも触れたら面白いですよね」って言ったら、偶然面接官が科学史の先生で「そうなんですよ!」って食いついてくれて、いろいろついてた私。特急には乗り遅れたけれど。
あとは相変わらずネットなどでやきもきしてるんだけど、理系にこそ科学哲学ちゃんと教えたほうがいいんじゃないかって言う気はするよね。
科学哲学を知らないばかりに、科学自体をメタ的に見れず金科玉条のアジェンダにしちゃっている理系クラスタがあまりにも多い気がする。それだけ科学哲学を学ぶ機会が理系には少ないんじゃないかって言う。文系と理系の狭間にあるから盲点になってるのかも。
もちろん三中信宏さんみたいに、信頼できる科学観をお持ちの人もいるんだけど、まずもってプロの科学者じゃなくて、その周辺にいる人たちが、ね。
まあ、なんにせよこれで天変地異が起こらない限り、理科の実験単位も取得できるぜって言う。特に前にも行ったけど、地学はやっぱりフィールド行かないとどうにも分からないって言うのがあるから。座学だけじゃ限界があるよっていう。
それに大学で先生に直接いろいろ聞きたいことあるんだよな。来る日のために質問リストでも作っておくかな。とりあえず相対性理論ってまずもって何を証明したくて考えたの??
あの日はなんかいろいろと疲れていて、すっごい眠いし(早朝4時半起き)正直行くの諦めようかな・・・と特急に乗り遅れた時とかに何度も頭をよぎったんですが、首都高使って行ってよかった・・・!
帰りには2年前、マッドなCMにハマリにハマった東京サマーランドのデカスラも見れたしね。つーか、東京サマーランドってあんな山と川の狭間にあったんだね・・・テレビCMのイメージだと横浜みたいに、もっと街中にあるんかと思った・・・めっちゃフォレストウッドブッシュ。
しかし、この試験って、全国から理科教員を目指す強者(とも)が100人くらい集結し、かなり倍率が高かったらしいんだけど、びっくりしたのは理科の試験だっていうのに、「日本の産業を海外に負けないように・・・」とか「技術者の需給バランスが・・・」みたいなマクロ経済学のお題で小論文を書けって言われて、みんな頭抱えていたっていう。
私はもう好きに書いちゃって、学校の現場感覚として、国策としてのエンジニア育成やイノベーションみたいな話は正直ピンとこないって、問題自体を批判しちゃったんだよな。
理科教育(科学教育)って言っても、科学には純粋な「理学」と応用的な「工学」の二つの側面があって、後者は技術科にやらせてるんだから、理科は理学を教えればいいじゃんっていう。
なにかの手段として理科を学ぶんじゃなくて、ただ単純に自然現象って不思議だな、面白いなっていうそういう感性を育むきっかけが作れれば、あとはそれぞれが考えて、中には科学者やエンジニアになる人も出てくるだろうしっていう。コンサマトリーなものでいいだろうと。
もちろん現代の科学は国家が大きなステークホルダーにはなっているんだけど、そういうのは大人の事情であって、学校で子どもに理科を教えるときにいるのかな、と。早熟な人にはそういう側面も解禁したほうが面白いのかもしれないけれど。
ほいで、次に面接があって、面接官に「今の理科教育に足りないものは何だと思いますか?」みたいな私みたいなトーシローには大きすぎる問題をパスされちゃったんだけど、「え~と科学史にも触れたら面白いですよね」って言ったら、偶然面接官が科学史の先生で「そうなんですよ!」って食いついてくれて、いろいろついてた私。特急には乗り遅れたけれど。
あとは相変わらずネットなどでやきもきしてるんだけど、理系にこそ科学哲学ちゃんと教えたほうがいいんじゃないかって言う気はするよね。
科学哲学を知らないばかりに、科学自体をメタ的に見れず金科玉条のアジェンダにしちゃっている理系クラスタがあまりにも多い気がする。それだけ科学哲学を学ぶ機会が理系には少ないんじゃないかって言う。文系と理系の狭間にあるから盲点になってるのかも。
もちろん三中信宏さんみたいに、信頼できる科学観をお持ちの人もいるんだけど、まずもってプロの科学者じゃなくて、その周辺にいる人たちが、ね。
まあ、なんにせよこれで天変地異が起こらない限り、理科の実験単位も取得できるぜって言う。特に前にも行ったけど、地学はやっぱりフィールド行かないとどうにも分からないって言うのがあるから。座学だけじゃ限界があるよっていう。
それに大学で先生に直接いろいろ聞きたいことあるんだよな。来る日のために質問リストでも作っておくかな。とりあえず相対性理論ってまずもって何を証明したくて考えたの??
マネー・ショート 華麗なる大逆転
2016-03-13 09:09:16 (8 years ago)
-
カテゴリタグ:
- 映画
「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆」
燃えさかる家の前で火災保険を勧めてる。
家から車で3分くらいのところに映画館ができたんですよ。だから金曜ロードショー的にレイトショーが見に行けてしまうようになっちゃったという。朝『アーロと少年』見て、夜この映画見てきたんだ。しかもこの映画館すごい安い。新作が1300円で見れちゃう。
今までは、映画館がかなり遠かったから、相当見たい作品がないとめんどくさくて行かなかったんだけど、今後はどうなるかわからないという。安いし。
で、『マネー・ショート』なんだけど、「ショート」っていうのは、金融商品の値下がりを見越して高値のうちに手放しちゃおうっていう投資戦略。信用取引の空売りとか。逆は「ロング」取引っていって、値上がりを期待して、買いから入る奴。
つまりサブプライムショックを見越して、空売り仕掛けて大儲けした人たちの実話。よく本人たちは、そんな罪悪感満載なことを映画化させてるよなって感じだけど、まだ救いがあるのは、この人たちは当時の金融市場の詐欺まがいな行為に加担していないってこと。
ふと住宅ローンの内部事情を調べてたら「こんなひどいことになってるの!?」ってびっくりして、こんなペテン行為いつまでも持つはずないだろって、信用リスクに関する保険商品であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を買い漁る。
とはいえ、さすがウォール街は詐欺師の集団だけあって、モーゲージ債(不動産債権のこと)の寄せ集めシチューであるCDO(CDSとスペルが似てややこしい)が主人公たちの予想に反してゾンビ的に踏ん張り、大量のCDSを抱える彼らは高額な保険料に頭を抱えるというチキンレースに。
しかし、作中では住宅ローン詐欺で潤っている連中は「モーゲージ債が暴落するわけないじゃないか、何お前らCDSなんてコレクションしてるの?HAHAHA」みたいな感じで、すごい愚鈍に描かれているけど、こんなことがまかり通っているなら、おそらくこのペテンにどっぷり加担して、さんざ設けた挙句に「あ、そろそろやばいな、店じまいだな」って思って、今度はCDSをガンガン買ってガッツリ売り抜けたやつもたくさんいたと思うんだよ。で、そいつらは内部事情知っている分、無敵だよなあって。
さらに、今って電子取引やってるじゃん。あれがもうイカサマギャンブルみたいなもんで、外部のトレーダーがある株を注文するのにマウスクリックするじゃん。すると、その1000分の1秒先に、ブラックボックスと呼ばれているウォール街の全自動ロボットコンピューターが取引してしまうという複雑怪奇な“システム”がすでに完成されていて、どうやっても外部トレーダーはウォール街よりも有利な取引が原理的にできないっていう。
これって結局胴元がギャンブルをどうにでも操作できるデジタルパチンコみたいなもんで、これに勝つには、ブラックボックスを凌ぐロボットコンピューターか、ブラックボックスを破壊するウィルスみたいなのを開発するしかなくて、そうなるともはやトレーダーは株取引とかじゃなくてプログラマーやハッカーに転職しなきゃならないよなっていう。趣旨がもはや違うだろっていう。賭博黙示録カイジかよっていう。
なんにせよこんな状況が合法化されているのがアメリカはすごいよなっていう。投資って本来は将来伸びていくビジネスを応援するものだったのに、単なるカジノ的なマネーゲームになっちゃったっていう。つーか住宅証券フォーラムをラスベガスでやるんじゃねえ!
ウォール街は業界用語で人を煙に巻く。
さて、ウォール街の金融マンは自らのチート的立場を①複雑な取引のシステム②複雑な数式の契約内容③複雑な業界用語の3つで確立しているところがあって、これを追求しようにも、作った連中ですら何がなんだかわからないほど膨大で複雑なものの不正行為の証拠(アラ)を探さないといけないわけで、これは悪魔の証明的に分が悪いわけですよ。
で、ウォール街の悪魔を反証できるくらい知恵があるやつならば、それがたとえオカルトだと分かっていても悪魔に加担して、善良な羊どもを餌食にしちゃった方がはるかにコスパがいいって言うね。経済的人間は合理的な行動をとるからね。
すなわち知能の格差構造がここまでシビアに可視化されているっていうのはすごいよね。
そういや、ちょうどこの前そんなことを実感する本を読んだんですよ。スティーブン・ピンカーの『暴力の人類史』っていう分厚い本なんだけどさ。どう考えても、この半分以下の分量で住むような話を、牛歩戦術のようにダラダラ長くして、カルピスのように薄めて薄めて、上下巻合わせて1400ページという。
長いから、構成もとっちらかっちゃってわかりづらく、反証しようにもすごい根気がいるっていうね。ああ、これって大量の書類を作って活字に弱い人を騙す保険契約詐欺やお役所詐欺と一緒だなっていうwオレの金と時間を返しやがれマザーファッカーっていう。
まあ、この件に関しては改めてブログの記事にするかもしれない。超面倒だから、しないかもしれない。でも、しないとオレの敗北って感じがするからやっぱするかも。文章は長きゃいいってもんじゃない問題ね。
燃えさかる家の前で火災保険を勧めてる。
家から車で3分くらいのところに映画館ができたんですよ。だから金曜ロードショー的にレイトショーが見に行けてしまうようになっちゃったという。朝『アーロと少年』見て、夜この映画見てきたんだ。しかもこの映画館すごい安い。新作が1300円で見れちゃう。
今までは、映画館がかなり遠かったから、相当見たい作品がないとめんどくさくて行かなかったんだけど、今後はどうなるかわからないという。安いし。
で、『マネー・ショート』なんだけど、「ショート」っていうのは、金融商品の値下がりを見越して高値のうちに手放しちゃおうっていう投資戦略。信用取引の空売りとか。逆は「ロング」取引っていって、値上がりを期待して、買いから入る奴。
つまりサブプライムショックを見越して、空売り仕掛けて大儲けした人たちの実話。よく本人たちは、そんな罪悪感満載なことを映画化させてるよなって感じだけど、まだ救いがあるのは、この人たちは当時の金融市場の詐欺まがいな行為に加担していないってこと。
ふと住宅ローンの内部事情を調べてたら「こんなひどいことになってるの!?」ってびっくりして、こんなペテン行為いつまでも持つはずないだろって、信用リスクに関する保険商品であるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を買い漁る。
とはいえ、さすがウォール街は詐欺師の集団だけあって、モーゲージ債(不動産債権のこと)の寄せ集めシチューであるCDO(CDSとスペルが似てややこしい)が主人公たちの予想に反してゾンビ的に踏ん張り、大量のCDSを抱える彼らは高額な保険料に頭を抱えるというチキンレースに。
しかし、作中では住宅ローン詐欺で潤っている連中は「モーゲージ債が暴落するわけないじゃないか、何お前らCDSなんてコレクションしてるの?HAHAHA」みたいな感じで、すごい愚鈍に描かれているけど、こんなことがまかり通っているなら、おそらくこのペテンにどっぷり加担して、さんざ設けた挙句に「あ、そろそろやばいな、店じまいだな」って思って、今度はCDSをガンガン買ってガッツリ売り抜けたやつもたくさんいたと思うんだよ。で、そいつらは内部事情知っている分、無敵だよなあって。
さらに、今って電子取引やってるじゃん。あれがもうイカサマギャンブルみたいなもんで、外部のトレーダーがある株を注文するのにマウスクリックするじゃん。すると、その1000分の1秒先に、ブラックボックスと呼ばれているウォール街の全自動ロボットコンピューターが取引してしまうという複雑怪奇な“システム”がすでに完成されていて、どうやっても外部トレーダーはウォール街よりも有利な取引が原理的にできないっていう。
これって結局胴元がギャンブルをどうにでも操作できるデジタルパチンコみたいなもんで、これに勝つには、ブラックボックスを凌ぐロボットコンピューターか、ブラックボックスを破壊するウィルスみたいなのを開発するしかなくて、そうなるともはやトレーダーは株取引とかじゃなくてプログラマーやハッカーに転職しなきゃならないよなっていう。趣旨がもはや違うだろっていう。賭博黙示録カイジかよっていう。
なんにせよこんな状況が合法化されているのがアメリカはすごいよなっていう。投資って本来は将来伸びていくビジネスを応援するものだったのに、単なるカジノ的なマネーゲームになっちゃったっていう。つーか住宅証券フォーラムをラスベガスでやるんじゃねえ!
ウォール街は業界用語で人を煙に巻く。
さて、ウォール街の金融マンは自らのチート的立場を①複雑な取引のシステム②複雑な数式の契約内容③複雑な業界用語の3つで確立しているところがあって、これを追求しようにも、作った連中ですら何がなんだかわからないほど膨大で複雑なものの不正行為の証拠(アラ)を探さないといけないわけで、これは悪魔の証明的に分が悪いわけですよ。
で、ウォール街の悪魔を反証できるくらい知恵があるやつならば、それがたとえオカルトだと分かっていても悪魔に加担して、善良な羊どもを餌食にしちゃった方がはるかにコスパがいいって言うね。経済的人間は合理的な行動をとるからね。
すなわち知能の格差構造がここまでシビアに可視化されているっていうのはすごいよね。
そういや、ちょうどこの前そんなことを実感する本を読んだんですよ。スティーブン・ピンカーの『暴力の人類史』っていう分厚い本なんだけどさ。どう考えても、この半分以下の分量で住むような話を、牛歩戦術のようにダラダラ長くして、カルピスのように薄めて薄めて、上下巻合わせて1400ページという。
長いから、構成もとっちらかっちゃってわかりづらく、反証しようにもすごい根気がいるっていうね。ああ、これって大量の書類を作って活字に弱い人を騙す保険契約詐欺やお役所詐欺と一緒だなっていうwオレの金と時間を返しやがれマザーファッカーっていう。
まあ、この件に関しては改めてブログの記事にするかもしれない。超面倒だから、しないかもしれない。でも、しないとオレの敗北って感じがするからやっぱするかも。文章は長きゃいいってもんじゃない問題ね。
アーロと少年
2016-03-12 18:21:05 (8 years ago)
「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」
怖くないと言ったか。怖いから戦ったんだ。
ピクサーは『モンスターズ・ユニバーシティ』の次の2014年に作品を発表できなかったんだけど(プレーンズは別枠)、本来はこの映画(ザ・グッドダイナソー)が公開される予定だったらしい。
去年は某映画によっていろいろと凹んでいたんだけど、この映画でちょっと中和できたなら、公開時期が遅れてもよかったかな、と。
古代の動物が人間の子どもと旅をするっていうことで、『アイスエイジ』と設定が似ててどうなるんだろ、と思ってたけど、まさかの大草原の小さな家。
カウボーイティラノサウルスがかっこいい。走り方も馬のだく足みたいなんだもんw意外とそれが違和感無かったっていうね。
ピクサーってロジカルな脚本で勝負する印象があるけど、今回はもう、実写と見まごうばかりの美しく雄大な大自然の描写に圧倒される“画”で見せる映画。多分脚本のテキスト量としてはピクサーで最も少ないんじゃないか。言葉はいらねえんだみたいな。
で、メリダの時も思ったけど、ピクサーってミドルエイジクライシスに悩む大人が主人公のことが多いけど、メリダやアーロみたいな子どもを主人公にする場合は、ロジックを捨てて女性的な感性で映画を組み立てているよね。
メリダの時は中世だったけど、今回は先史時代ってこともあってシンプルな作風がうまくマッチしていたんじゃないかなあ。
それにアパトサウルスやティラノサウルスは広大なアメリカの荒野から見つかっているわけで、絶滅をまぬがれて文明を作っていたという設定でもニューヨークで金融をやっている恐竜っていうのはちょっと違和感があるしね(^_^;)だからこその農業・牧畜文明だという。
アーロ
小さくてひ弱なアパトサウルスの少年。恐竜なのに臆病、しかもカミナリ竜なのに雷が怖いっていう。リトルフットとかディズニーのダイナソーとうまくかぶらないようにしたんだろうな・・・
顔のデザインがカーズのメーターに似ているという指摘があったが、父親は更に似ていたという(マキバオーにも)。つーかパパはプロポーションがアパトサウルスっていうよりはカマラサウルスとかのマクロナリアっぽかった。
スポット
人間の子ども。この映画では恐竜は言葉をしゃべるが、彼は唸ったり吠えることしかできない。
とはいえ狼少年的な境遇だから言葉が喋れないって感じがする。最後の人間のファミリーは普通に会話してそうだったしな。
イヌをイメージしてキャラを造形したらしいが、大きなカナブンを主人に持ってくるところなどはちょっとネコっぽかった。いらねえよっていう。
フォレスト・ウッドブッシュ
スティラコサウルスに似た角竜。サルトル的な斜視。ディスイズ“夢なんて諦めよう”という、夢なんて諦めさせてくれる動物(他いろいろ)を角の上に乗せている。
ブッチ
ブル・Tレックス。松重豊さんの声がドハマり。メチャ渋い。本国では西部劇の大御所が声を当てているに違いない。
こういう恐竜がしゃべる映画だと、大型肉食恐竜って主人公らを食べようとする悪役になりがちだけど(リトルフットのシャープトゥースとか)、彼らもカウボーイ文明を築いているので草食恐竜と割と共存しているという。ステゴサウルスとはうまくやれてないらしいけど。
中生代って確かに割と哺乳類も大型の奴いたんだけど(レペノマムスとか)バッファローなどの新生代以降の哺乳動物も共存しているからね。
こういうのって恐竜が滅んでこその動物だと思うからちょっと違和感はあるけどね、まあ人間がいるならいるわな。
バブハ
牛泥棒。なにげに結構強い羽毛恐竜。別名ランドール・ザンダップ・ラプトル。嘘。
イナズマドカン
おそらくニクトサウルス。なんにせよ翼竜。やなやつ。
この映画では小型で知恵の回るタイプの動物が凶暴で怖い。
恐怖心を欠落させ、雷のお告げで弱い動物を餌食にする彼は、アーロが乗り越える恐怖の象徴なんだろう。まさか雷雲自体を倒すわけにはいかないしね。
しかし、こうやって振り返ると、この映画ってキャラが少ないよね。背景は超写実的で広大だけど、そこに暮らす生き物は簡略化されていてわずかっていう、対比。
これってほとんど荒野のアメリカ大陸に生きるアメリカ人の自然観なのかもしれないよね。自分たちは、この大陸にとっては所詮はよそ者っていう。日本みたいに狭いところに鮨詰めになって暮らす私たちには、ちょっとさみしいな、厳しいなっていう。
ただ、自然災害の受け止め方とかは通じるものがあるのかもしれないな。日本では3月11日の翌日公開っていうのも何かあるよね。
怖さを受け入れろ。自然と一緒だ。逃げも逆らいもせず、乗り越えていくんだ。
怖くないと言ったか。怖いから戦ったんだ。
ピクサーは『モンスターズ・ユニバーシティ』の次の2014年に作品を発表できなかったんだけど(プレーンズは別枠)、本来はこの映画(ザ・グッドダイナソー)が公開される予定だったらしい。
去年は某映画によっていろいろと凹んでいたんだけど、この映画でちょっと中和できたなら、公開時期が遅れてもよかったかな、と。
古代の動物が人間の子どもと旅をするっていうことで、『アイスエイジ』と設定が似ててどうなるんだろ、と思ってたけど、まさかの大草原の小さな家。
カウボーイティラノサウルスがかっこいい。走り方も馬のだく足みたいなんだもんw意外とそれが違和感無かったっていうね。
ピクサーってロジカルな脚本で勝負する印象があるけど、今回はもう、実写と見まごうばかりの美しく雄大な大自然の描写に圧倒される“画”で見せる映画。多分脚本のテキスト量としてはピクサーで最も少ないんじゃないか。言葉はいらねえんだみたいな。
で、メリダの時も思ったけど、ピクサーってミドルエイジクライシスに悩む大人が主人公のことが多いけど、メリダやアーロみたいな子どもを主人公にする場合は、ロジックを捨てて女性的な感性で映画を組み立てているよね。
メリダの時は中世だったけど、今回は先史時代ってこともあってシンプルな作風がうまくマッチしていたんじゃないかなあ。
それにアパトサウルスやティラノサウルスは広大なアメリカの荒野から見つかっているわけで、絶滅をまぬがれて文明を作っていたという設定でもニューヨークで金融をやっている恐竜っていうのはちょっと違和感があるしね(^_^;)だからこその農業・牧畜文明だという。
アーロ
小さくてひ弱なアパトサウルスの少年。恐竜なのに臆病、しかもカミナリ竜なのに雷が怖いっていう。リトルフットとかディズニーのダイナソーとうまくかぶらないようにしたんだろうな・・・
顔のデザインがカーズのメーターに似ているという指摘があったが、父親は更に似ていたという(マキバオーにも)。つーかパパはプロポーションがアパトサウルスっていうよりはカマラサウルスとかのマクロナリアっぽかった。
スポット
人間の子ども。この映画では恐竜は言葉をしゃべるが、彼は唸ったり吠えることしかできない。
とはいえ狼少年的な境遇だから言葉が喋れないって感じがする。最後の人間のファミリーは普通に会話してそうだったしな。
イヌをイメージしてキャラを造形したらしいが、大きなカナブンを主人に持ってくるところなどはちょっとネコっぽかった。いらねえよっていう。
フォレスト・ウッドブッシュ
スティラコサウルスに似た角竜。サルトル的な斜視。ディスイズ“夢なんて諦めよう”という、夢なんて諦めさせてくれる動物(他いろいろ)を角の上に乗せている。
ブッチ
ブル・Tレックス。松重豊さんの声がドハマり。メチャ渋い。本国では西部劇の大御所が声を当てているに違いない。
こういう恐竜がしゃべる映画だと、大型肉食恐竜って主人公らを食べようとする悪役になりがちだけど(リトルフットのシャープトゥースとか)、彼らもカウボーイ文明を築いているので草食恐竜と割と共存しているという。ステゴサウルスとはうまくやれてないらしいけど。
中生代って確かに割と哺乳類も大型の奴いたんだけど(レペノマムスとか)バッファローなどの新生代以降の哺乳動物も共存しているからね。
こういうのって恐竜が滅んでこその動物だと思うからちょっと違和感はあるけどね、まあ人間がいるならいるわな。
バブハ
牛泥棒。なにげに結構強い羽毛恐竜。別名ランドール・ザンダップ・ラプトル。嘘。
イナズマドカン
おそらくニクトサウルス。なんにせよ翼竜。やなやつ。
この映画では小型で知恵の回るタイプの動物が凶暴で怖い。
恐怖心を欠落させ、雷のお告げで弱い動物を餌食にする彼は、アーロが乗り越える恐怖の象徴なんだろう。まさか雷雲自体を倒すわけにはいかないしね。
しかし、こうやって振り返ると、この映画ってキャラが少ないよね。背景は超写実的で広大だけど、そこに暮らす生き物は簡略化されていてわずかっていう、対比。
これってほとんど荒野のアメリカ大陸に生きるアメリカ人の自然観なのかもしれないよね。自分たちは、この大陸にとっては所詮はよそ者っていう。日本みたいに狭いところに鮨詰めになって暮らす私たちには、ちょっとさみしいな、厳しいなっていう。
ただ、自然災害の受け止め方とかは通じるものがあるのかもしれないな。日本では3月11日の翌日公開っていうのも何かあるよね。
怖さを受け入れろ。自然と一緒だ。逃げも逆らいもせず、乗り越えていくんだ。
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