気象学覚え書き

 こんばんは。いや~そろそろ2015年もおしまいですね。私は気象予報士にでもなるつもりなのでしょうか。自分でもよくわからなくなってきました。それでは良い新年をお迎えください!

大気
8割は窒素で、2割は酸素。
地表から高さ80キロメートルまでの大気はよく混ざり合っているため、成分の割合はどこでもだいたい同じだが、水蒸気の量だけは空間的にも時間的にも変動が激しい。
水蒸気の大部分は地表付近に存在し、水温の高い熱帯の海上ではたくさん水が蒸発するために水蒸気の割合は大きくなる。水蒸気は蒸発する際に熱を奪い、凝結する際には熱を放出するため、大気の熱収支や対流運動に大きな影響を与えている。

気圧
空気が物を押す力を気圧と言うが、高さによって上にのっかっている空気の量は違うので、低い場所では気圧は大きく、高い場所では気圧は小さくなる。
だいたい気圧は高度が5.5キロメートル上がるごとに半分に減っていく。つまり地表から高度11キロメートルの場所では気圧は地表の4分の1となる。
では地表の気圧、すなわち高度0メートルでの大気圧はいくらかというと、平均で約10万パスカル、1013ヘクトパスカルとなる。これを1気圧と呼ぶ。
つまり1気圧は、1平方メートルの面積になんと10トンの力がかかっていることになるが、人間がその力でぺちゃんこになることはない。その理由は、気圧は水圧と同様に、上からだけでなくすべての方向にほぼ均等にかかる上、人間の体内にも空気が入っているので内圧と外圧が釣り合っているからである。また体内の水は1000気圧でも全然つぶれないほど頑丈である。
逆に言うと、内部の空気をすべて抜いてしまうと硬いドラム缶でも簡単につぶれてしまう。

エヴァンジェリスタ・トリチェリ
水銀の入った試験管を、同じく水銀の入った水槽の中で逆さにして、試験管の水銀の液面がどれだけ下がったかで大気圧を測定したイタリアの科学者。4度目の登場。
この実験はつまり、空気が水槽の液面を押す大気圧と、試験管の中の水銀がその重さによって水槽へ流れていこうとする力が、ちょうど釣り合うポイントを調べることで、大気圧の大きさを求めるというものである。
例えば断面積1平方センチ、高さ1メートルの試験管の中の水銀が水槽に流れていき、水槽の液面から76センチのところで止まったならば、76センチぶんの水銀の質量を空気が支えていることになり、したがってそれが大気圧の大きさということになる。
水銀の密度は13.6g/cm3なので、密度×高さ×断面積で、13.6×76×1≒1000となり、水槽の液面には1平方センチメートルに1キログラムの圧力がかかっていることがわかる。

高層天気図
中学校で習う天気図は、海面での異なる気圧の分布を表した地上天気図と呼ばれるものだが、上空のジェット気流の流れなどを調べる際には、500ヘクトパスカルなど特定の気圧に着目して、同じ強さの気圧がどのように広がっているかを表した高層天気図を用いる。
つまり、地上天気図は同じ高度(海抜0m)での気圧の違いを表し(等高度面天気図)、高層天気図は同じ気圧(例:500hPa)での高度の違いを表す(等圧面天気図)。
高層天気図では、高い等高線で囲まれたエリアは気圧が高く(そのエリアの地面に乗っかっている空気の高さが高いから)、低い等高線で囲まれたエリアは気圧が低い(そのエリアの地面に乗っかっている空気の高さが低いから)ことになる。

大気圏
地球を覆っている大気の層のことで、温度分布の違いによって以下の4つに分けられる。

➀対流圏(地表~高度11キロメートル)
100メートル高くなるごとに平均0.65℃気温が下がっていくエリア。
高さが高いほど太陽に近づくので熱くなるんじゃないかと思われるが、対流圏では太陽光はまずもって地表を暖めるため、地表に近い低い場所の方が暖かくなる。
雲や雨などいわゆる天気の変化(対流)はこの対流圏で行われている。
ちなみに対流圏の上を飛行するジャンボジェットの窓から空を見ると、雲が平らに広がっているように見えるが、これは対流圏の上の成層圏では高さが高くなるほど温度が上がるため、対流圏で発生した上昇気流が成層圏まで上昇できないためである。よって気温が低いところで発生する雲は成層圏には存在せず、天気の変化もないのである。
また、対流圏の終わり、成層圏との境目は圏界面と呼ばれている。
圏界面の高さは、緯度が高い場所ではやや低く(8~10キロメートル)、赤道に近い場所ではやや高い(12~15キロメートル)。また季節によっても変化する。

②成層圏(高度約11~50キロメートル)
あの有名なオゾン層が存在し、有害な紫外線を吸収してくれている。その際オゾンは熱を放出するので(チャップマン機構)、オゾン層がある高度20~30キロメートルのエリアから気温は上昇していく。
緯度が30~60°までの中高緯度の成層圏では、東西方向に一周する風の向きが季節によって逆転し、夏は東風、冬は西風になる。また南極や北極には極渦という低温で巨大な低気圧がある。
対流圏と比較して成層圏の循環は安定しているが、冬になると対流圏の大規模な変動の影響で極渦が一時的に崩壊し、極域の気温が急上昇する成層圏突然昇温もまれに発生する。
また、赤道上空の成層圏では、東西風の向きがだいたい13ヶ月で逆転する準二年振動が起こっている。
南半球の冬は、極渦内に太陽の光があまり届かないためオゾンによる加熱が弱く極渦内は著しく低温になり、-78℃以下になると硝酸液滴と氷粒からなる極成層雲圏ができる。春になると、そこで紫外線によるオゾン分子の分解が進行し、1980年代にはオゾンホールが観察されるようになった。

③中間圏(高度約50~80キロメートル)
対流圏と同様に高くなるに従ってどんどん気温が下がっていくエリア。
地表から中間圏までは大気の化学組成はほぼ一定である。また、成層圏と中間圏を合わせて中間大気と呼ぶ。
中間圏の終わりの中間圏界面では夏に上昇気流が強くなり、冬よりも寒くなる。この時できた氷の粒は夜光雲として観測される。

④熱圏(高度約80~700キロメートル)
いわゆるスペースシャトルや国際宇宙ステーションが飛ぶエリアで、大気圏と言ってもほとんど宇宙空間。流れ星やオーロラはここで発生する。
酸素分子や窒素分子が、太陽からのX線や紫外線を吸収することで、原子レベル(大部分は電離してイオンと電子)に分解され、この時発生する熱がオゾン層同様に大気を暖めている。高度200キロメートル以上ではその温度はエネルギー換算で600℃を超え、時には2000℃になることもある(※あくまでも分子のエネルギーの値であり、さらに分子の数が少ないため実際の気温は0℃ほどで熱圏は寒い)。
このように熱圏にも薄いながらも大気があり、これを高層大気という。

エネルギー収支
地球に入ってくるエネルギーと、出て行くエネルギーの収支のこと。
地球に入ってくるエネルギーの方が多ければ地球の温度はどんどん上がり、地球から出ていくエネルギーの方が多ければ地球の温度はどんどん下がっていくはずだが、エネルギーの収支バランスが釣り合っているため地球の温度はほぼ一定に保たれている。
エネルギーの輸送手段としては潜熱(状態変化の際に発生する熱)や熱の伝導、対流などがある。
試験では、エネルギーの出入りを矢印と数値で示したグラフが出題されるが、実はこのグラフをよく見ると、宇宙空間、大気圏、地表のそれぞれにおいてエネルギー収支は必ずプラマイ0になっていることがわかる。

①宇宙空間のエネルギー収支(合計値100)
収入:太陽放射100
支出:反射散乱31+大気からの放射57+地表からの直接放射12=100

②大気圏のエネルギー収支(合計値152)
収入:太陽放射の吸収20+地表からの放射の吸収102+地表からの伝導・対流・潜熱30=152
支出:大気・雲の放射152

③地表のエネルギー収支(合計値144)
収入:太陽放射49+大気からの放射95
支出:地表からの放射114+地表からの伝導・対流・潜熱30

太陽放射
太陽が自身の莫大なエネルギーを電磁波の形で宇宙空間に放出すること。
その約半分は可視光線である。
太陽放射のエネルギーは地表に届く前に大気によって吸収・反射されるので、大気圏外で受け取るエネルギーよりも地表で受け取るエネルギーの方が値は小さくなる。
紫外線は、成層圏でオゾンに吸収されたり、大気で反射されるため、地表にはほとんど届かない。
赤外線の一部は水蒸気と二酸化炭素によって吸収される。
可視光線も一部は大気や雲によって吸収・反射されるが、大きくは減少せずに地表に届く。

太陽定数
大気圏の1番外側(宇宙より)の部分において、太陽光線に対して垂直な1平方メートルの面が1秒間に受け取る太陽放射のエネルギーのこと。
約1370W/m2で蛍光灯40本分。
大気圏の1番外側の部分で地球全体が1秒間に受け取るエネルギーの合計は、地球の断面積×太陽定数(I)なので

E=πr2×I

これを地球の表面積で割れば、地球が受け取る放射エネルギーの平均(緯度や昼夜の違いをすべて合計した値)が求められる。

(πr2×I)÷4πr2=1/4×I
          =1370÷4
          ≒340

地球放射
地球も太陽と同じく自身のエネルギーを電磁波として宇宙に放出しており、その大半は赤外線(赤外放射)である。

アルベド(反射能)
白っぽさという意味。太陽エネルギー100%のうち、30%は大気に反射されて宇宙に戻され、残りの20%は大気に、50%は地表が吸収していることがわかる。
これは地表に比べて大気の色が白いからである。したがって地表でも雪や氷河などは白いので光をよく跳ね返してしまう。このバランスが崩れて地球全体が凍ってしまったのが6億年前の全球凍結である。

温室効果
さらに面白いのは、太陽と地球は100のエネルギーの取引しかしていないのに、大気や地表は100を超えるエネルギーの取引をしていること。まさに銀行の信用創造、レバレッジみたいなことをやっている。
その理由は、大気(中の水蒸気や二酸化炭素)が吸収する電磁波の波長に偏りがあるためである。
大気は、太陽からの可視光線はほとんど吸収せず(スルー)、地表からの赤外線はよく吸収する。
さらに赤外線で温まった大気は、そのエネルギーを赤外線の形で、宇宙と地表に2:3の割合で再放射するので地表付近の温度が高くなるのである。
温室効果がなければ、地球の地表は現在よりも30℃以上下がって-18℃になってしまう。
このバランスが崩れて海がすべて蒸発してしまったのが金星である。

放射冷却現象
地表からはコンスタントに赤外放射の形でエネルギーが失われているため、太陽が見えない夜になると地表面の温度は低下してしまう。これを放射冷却という。
特に地面の土や石は、海や川の水に比べて比熱が小さいため(温度変化が大きい)、海よりも陸の方が放射冷却の影響は大きくなる。
また、よく晴れた風の弱い冬の夜は特に放射冷却が厳しい。これは温室効果がある雲がなく、風による熱の交換もなく、夜の時間が長いからである。

逆転層
放射冷却で地面が上空よりも冷えると、通常の対流圏の気温分布と逆転し、空気の対流運動が衰えるために(冷たい空気は上に持ち上がらない)、さらに地表の冷却が進んでしまう。
工場や自動車の排ガスも地表に近い場所にとどまってしまうため、深刻な大気汚染をもたらすことがある。

大気の循環
風は温度の低いところ(高気圧)から高いところ(低気圧)に吹く。

ハドレー循環
地球で最も暖かい赤道(熱帯収束帯)の空気と、緯度30°のエリア(亜熱帯高圧帯)の空気との循環。

フェレル循環
緯度30°のエリア(亜熱帯高圧帯)の空気と、緯度60°のエリア(寒帯前線帯)の空気との循環。

極循環
緯度60°のエリア(寒帯前線帯)の空気と、北極や南極の空気との循環。

コリオリの力
地球は西から東に高速で回転しているために、慣性の法則が働いて、北から南へ吹く風は西によれ、南から北へ吹く風は東によれること。
北半球では進行方向に対して右に、南半球では左によれると考えると覚えやすい。
ちなみに角速度ωで自転する地球の緯度φの場所で、速度vで移動する質量mの物体が受けるコリオリの力fは・・・

f=2mvωsinφ

となり、コリオリの力は移動する物体の質量と速度と、その物体が乗っかっている天体の自転の速度と緯度の高さに比例することがわかる。

貿易風
緯度30°(亜熱帯高圧帯)辺りから、赤道へ吹く風。コリオリの力で向きが西によれている東風。ハドレー循環の一部。
18世紀には、この風を利用して帆船が大西洋を横断し貿易を行っていた。そのため、もともとはトレードウィンドのトレードは「決まった経路」という意味だったが、それが「貿易」に転じた。

偏西風
緯度30°(亜熱帯高圧帯)から、緯度60℃(寒帯前線帯)へ吹く風。コリオリの力で向きが東によれている西風。日本にやって来る台風が西から東へ接近するのも偏西風のためである。
ハドレー循環との境目(亜熱帯高圧帯)では特に風速が強まりジェット気流になる。ジェット気流が発生する位置は季節によって異なり、南北の温度差が緩やかになる夏は高緯度側、南北の温度差が激しくなる冬は強まって低緯度側を吹く。

ロスビー循環
中緯度(亜寒帯前線帯)に吹く偏西風(亜寒帯ジェット気流)が、南北の温度差を解消しようとして出来る渦(温帯低気圧など)によってクネクネと蛇行すること。この時の蛇行する流れを偏西風波動という。
この波を、北を上にして真上から見たとき、山になっている部分をリッジ(気圧の尾根)、谷になっている部分をトラフ(気圧の谷)という。

極偏東風
北極や南極から緯度60℃のエリア(寒帯前線帯)へ吹く風。コリオリの力で向きが西によれている東風。
偏西風があれば偏東風もあったという。

風のメカニズム
めっちゃニュートン力学。ベクトルを書くっきゃない。ベクター!(※山寺宏一の声で)

地衡風
上空の偏西風にもコリオリの力が働き進行方向とは右によれていく。
また、北半球の偏西風においては、南側の気圧が高く(亜熱帯高圧帯)、北側の気圧が低いために、気圧傾度力(圧力が高い方から低い方へ風が流れること)の関係で、進行方向の左にもよれていく。
つまりコリオリの力による影響(風を右にそらそうとする)と気圧傾度力による影響(風を左にそらそうとする)はちょうどつり合って、風はどちらにもよれずに等圧線に沿って真っ直ぐに吹いていく。このような風を地衡風という。
ちなみに、密度をρ(ロー)、気圧差をΔρ、距離をΔnとすると

気圧傾度=Δρ÷Δn

気圧傾度力=(Δρ÷Δn)÷ρ

しかし、風は気圧の高いところから低いところに吹くので(気圧が増えていく向きと風向きが正反対なので)上の式にマイナスを付けて

-(Δρ÷Δn)÷ρ

地衡風は、この力とコリオリの力がつり合うため

-(Δρ÷Δn)÷ρ=2mvωsinφ

という式が成り立つ。

傾度風
高気圧や低気圧のそばでは等圧線が曲がるため、等圧線に沿って吹く地衡風もカーブしながら流れていく。このカーブがきついと遠心力が無視できない大きさになり、コリオリの力、気圧傾度力、遠心力の三つがつり合うようになる。
低気圧の場合は気圧傾度力VSコリオリの力+遠心力、高気圧の場合はコリオリの力VS気圧傾度力+遠心力というバトルになるが、コリオリの力が風速に比例するのに対して、遠心力は風速の二乗に比例するため、高気圧においては気圧差が高くなると、中心に向かうコリオリの力が、外向きに向かう気圧傾度力+遠心力のタッグに勝てなくなり、つり合いが保てなくなってしまう。したがって高気圧の強さには上限がある。

気圧差
このように傾度風の方向を踏まえると、北半球における高気圧では時計回り、低気圧では反時計回りに地表で風が吹くこともわかる。
また、地表付近では、風と地面との摩擦力の関係で風が弱まり、風の強さに比例するコリオリの力も弱く、気圧傾度力がコリオリの力に勝ってしまうため、風は気圧の高いところから低い所へ等圧線を横断していく。そのため高気圧では中心から外側、低気圧では外側から中心に風が吹く。

対流
温かい空気は膨張することで上昇し、冷たい空気は凝結することで下降すること。

乾燥断熱減率
上昇する空気が熱のやり取りを全くしない断熱状態で、水蒸気の凝結も起こらない場合、空気の温度は、高さが1キロメートル高くなるごとに9.8℃の割合で低下する。やさしいテキストでは10℃にしてくれている。嬉しい。

乾燥大気の安定性
気温が高さと共に低下する割合(気温減率)が乾燥断熱減率よりも大きい場合、空気の塊の温度の方が周囲の気温よりも高くなり、空気の塊は浮力を得て上昇していく。
このように対流を活発に続けている大気を絶対不安定という。絶対不安定な大気は、夏に強い日差しで温められた地面や、冬に大陸からの換気が、相対的に暖かい会場に吹き出す場合などで見られる。
逆に、周囲の気温減率が乾燥断熱減率よりも小さい場合は、上昇した空気が水蒸気にならない限り安定する。高い場所ほど気温が高くなる成層圏(もしくは逆転層)では大気の安定性はさらに高くなり、空気の上下の対流は起こらない。
さらに気温減率と乾燥断熱減率の変化の割合が同じ場合は中立と呼ばれる。

湿潤断熱減率
水蒸気を多く含む湿潤な空気が断熱状態で上昇した場合、空気の塊は乾燥断熱減率にしが立って冷たくなっていくが、ある高さまで行くと空気の温度は露点に達して、空気中の水蒸気は凝結を始めてしまう。
その際、潜熱が放出されて空気の温度が暖かくなるために、凝結高度C以上の温度低下の割合は乾燥断熱減率よりも小さく、グラフにして傾きは小さくなる。
この時の温度低下の割合を湿潤断熱減率という。

自由対流高度F
周囲の気温減率が、湿潤断熱減率よりも大きい場合は、空気の塊の温度の方が周囲の気温よりも高くなり、浮力を得て対流ができるようになる。この時の高度。

雲頂高度T
空気の塊は、自由対流高度を越えたあとも凝結を続け、ゆっくりと温度を低下させていき、最終的に周囲の気温と空気の塊が同じ温度になる高度まで上昇をしていく。
この時の高度が雲頂高度で、積乱雲はこの高度まで発達し、高さが圏界面付近の10キロメートルを超えることもある。

湿潤大気の安定性
周囲の気温減率が乾燥断熱減率よりも小さくても、その空気が湿潤である場合は、気温減率と湿潤断熱源率を比べ、気温減率が湿潤断熱減率よりも大きければ(周囲の気温の方が空気の塊よりも冷たければ)、大気は対流を起こし不安定になる。
このとき、水蒸気の凝結を伴う対流は湿潤対流と呼ばれ、積乱雲を発達させることがある。

条件付き不安定
とはいえ、湿潤対流を起こすには、大気の下の方に湿った空気があって、それが自由対流高度まで持ち上げるだけの上昇気流が必要である。こういった状態は条件付き不安定と呼ばれる。

フェーン現象
湿った空気が山を超えると、降りてくるときには温められて乾燥しているという現象。
冬の西高東低の気圧配置の際、北陸地方は雪が降って湿度は高いが、山脈ごしの関東地方は乾燥しているのは、これが起こるからである。
例えば地上(標高0メートル)で25℃の空気の塊が高さ2500メートルの山を越え、再び標高0メートルまで降りてきたとき、その空気の温度と湿度はどうなっているかを考える。
ただし高さ1500メートル~山頂まで雲を生じ、その際に凝結した水滴は雨になったとする。

乾燥断熱減率は1℃/100m
湿潤断熱減率は0.5℃/100m
飽和水蒸気量(g/m3)は5℃の時6.8、30℃の時30.4とする。


①1500メートルまでは凝結していない(雲ができてない)ので、空気の温度は乾燥断熱減率の割合で低下していく。したがって100メートルの上昇につき1℃温度は下がるので単純に1500メートルでは15℃温度は下がり、もともと25℃あった空気は1500メートル地点では10℃にまで冷やされる。

②1500~山頂の2500メートルまでは降水を伴うため、今度は湿潤断熱減率を用いて、空気の温度低下を求める。
100メートルで0.5℃温度が下がるなら1000メートル高くなると5℃温度が下がるので、空気の温度はさらに5℃にまで下がる。

③山頂から地上へ降りる際には降水は伴わないため、空気の温度は乾燥断熱減率の割合で上昇していく。2500メートルでは温度上昇は25℃なので、空気の温度は30℃になっている。

④空気の水蒸気量は5℃の時の飽和水蒸気量6.8だけ残っているので(それをオーバーした水蒸気はすべて雨になった)、山頂から降りてきた空気の塊の湿度は、中学校の湿度の計算と同じように

(地上に降りてきた空気が持っている水蒸気の量6.8/30℃の時の飽和水蒸気量30.4)×100=22.3

したがって湿度は22%である。

積乱雲による気象現象
積乱雲とは強い上昇気流によって縦方向に成長した雲のこと。
この雲の中で氷晶が成長し、あられや雪になって落下、これが地上に降る時には溶けて激しい雨になる(冷たい雨)。
また、この時高速で落下する水滴や氷の粒によって、周囲の空気は下方向へ引きずられて下降気流が生まれる。
ひとつの積乱雲の寿命は、だいたい30分~1時間程であるため、積乱雲による雷雨は30分ほどですぐにおさまる。夏の帰り道にこいつに外で出くわすと色々と悔しい。

竜巻
積乱雲の中の上昇気流が回転してできる直径数十~数百メートルの渦。
アメリカでは風速が秒速100メートルを超えることもあり(藤田スケールでF4クラス)、家や列車が吹き飛ばされてしまう。ちなみにアメリカではF5のツイスターも観測されており、列車が持ち上げられて飛行してしまうほどだという。

ガストフロント
積乱雲による冷たい下降気流が地表にぶつかって起きる突風(ガスト)。この突風と周囲の暖かい空気との前線をガストフロントという。

ダウンバースト
積乱雲に乾いた空気が流れ込むと、落下する雨滴の蒸発が促進されて周囲から熱を奪う。すると潜熱によって冷却された空気は重くなり下降気流の勢いはさらに増す。
こうしてできた強い下降気流がダウンバーストで、時には離陸中の飛行機を墜落させることもある。

海洋学覚え書き

 皆さんお元気ですか。私は未だに風邪を引きずっています。なんという病弱。このまま蛇の生殺し状態で年を越す可能性濃厚で、すっごいブルーです。
 というか、いくら私が体が弱いとは言え、12月に入ってずっと体調不良、つまり一ヶ月近くも風邪をこじらせたことって初めてで、長らく健康というステータスを味わっていないのですが、やっぱり思考にモヤがかかっているというか、クリアじゃないんだよね。普段もバカだけど、それでももうちょい頭切れるもん。
 とにかく気力というか、精神力というか、アグレッシブさというか、「よし!やるぞ!」っていうモチベーションが全然ない。あと判断力の低下。そこらへんが体調が悪いと露骨だね。ただ記憶力に関してはあんまり下がった感じはしない。・・・もともとないしな。
 は~なんか本当ここんところダウナーだなあ。しょっぺえ。しょっぱいといえば塩。塩といえば海。ということで今回の地学は海についてです。

海水
海の水はしょっぱいが、それは塩分が含まれているからである。海水の塩分の8割近くは塩化ナトリウム(食塩)で、1割が塩化マグネシウム(豆腐を凝固させる“にがり”)である。

塩分
海水1kg中の塩類は、1kgを1000グラムに変換し千分率パーミルで表す。海水の塩分は平均して35パーミル、すなわち海水1kg辺り35gの塩分が含まれている。
塩分は川の淡水や雨が海水に混ざると薄まるが、淡水の中には塩類は含まれていないために、塩分は低下しても、その組成の割合(8割が塩化ナトリウム)は変化しない。これは空気の組成にも言える。
逆に海水から蒸発が起こると塩分は高くなる。
したがって赤道など低圧帯は雨が多いので塩分は低く、北極や南極など高圧帯は雨が少なく蒸発量が多いため塩分は高い。

地球の水
たしか生物学概論②のところでも触れたような気がするけど、97%が海水。残りのほとんどは淡水で、それ以外の0.001%は大気中に含まれている。
意外だけど淡水のほとんどは氷河となって凍っていて、残りの水が地下や湖や河川にある。
地球の水は、太陽エネルギーを基点として循環しており、海洋では陸上よりも水がたくさんあるために降水量よりも蒸発量の方が大きく、陸地からの水の補給がなければ海水はどんどん減っていくことになる。
逆に陸上では蒸発量よりも降水量の方が大きく、結果として地球全体では蒸発量と降水量は釣り合っている。

海水温
海水温は深さによって異なる層構造をしている。

①表層混合層
表層の海水は、温度がほぼ一定になる。これは波や風、対流で海水がかき混ぜられるためである。
しかしこの層の厚さは、夏は海水が温められて上昇し海面近くにとどまるために薄く、冬は海水が冷やされてそれが深い場所に沈む(対流が起きる)ために厚く変化する。日本近海の場合、夏は10~20メートル、冬は100メートル以上と層の厚さが変化する。

②主水温躍層
深さに比例して海水温が下がる層。赤道に近い場所では表層混合層の水温が高いため、主水温躍層の水温は急激に低下するが、北極や南極では表層混合層の水温がはじめから低いために主水温躍層は見られない。

③深層
主水温躍層の下にある、深さに伴う海水温の低下がゆるやかな層。水深2000メートルより深いところは、緯度や季節に関係なく水温は0~4℃で一定になる。

海流
表層の海水の水平方向の流れを海流という。地球の低緯度と高緯度のエネルギーを差を埋めるために大きな循環が生じる。

風成循環
海流ができる主な原因は風で、風の吹く方向が緯度によって大まかに決まっている以上、海流も緯度によってある程度は決まっている。
したがって貿易風が吹いている場所では東から西、偏西風が吹いている場所では西から東に海流は流れていく。

海水表層循環
地球には海流をさえぎる陸地があるため、太平洋などの広い場所では海流がぐるぐると循環している。これを海水表層循環という。
例えば北太平洋では、北赤道海流(暖流)がユーラシア大陸にぶつかって北に向きを変え黒潮(暖流)となり、その後、日本を迂回し北大西洋海流(暖流)となって太平洋を東に進み、今度は北米大陸にぶつかってカリフォルニア海流(寒流)となって南下し、再び北赤道海流に戻っている。
北太平洋ではこのように海流は時計回りに循環しているが、南半球では反時計回りになる。

黒潮
日本近海を流れる有名な暖流。亜熱帯循環に属する。
水温は20~30℃で温かい。
塩分は34~35パーミル。
スピードは秒速0.5~2.5メートルで速い。
色は濃い紺色で透明度は高い。
溶存酸素およびプランクトンは少ない。


親潮
日本近海を流れる有名な寒流。亜寒帯循環に属する。
水温は1~19℃で冷たい。
塩分は33パーミル。
スピードは秒速0.2~0.5メートルで遅い。
色は緑で透明度は低い。
溶存酸素およびプランクトンは多い。


対馬海流
九州と朝鮮半島のあいだにある対馬海峡から日本海を流れる暖流。

リマン海流
ロシアから日本海を流れる寒流。リマンとはロシア語で「河口」という意味。

赤道反流
赤道の中心を自転方向と同じ向きに流れている海流。暖流。

南極周極流
南極海を自転方向と同じ向きに流れている海流。寒流。

深層循環(ブロッカーのコンベアーベルト)
表層の海水は風によって水平方向に循環するが、深層の海水は温度や密度(塩分濃度)によって沈み込み、鉛直方向に循環する。これを熱塩循環という。
深層水のほとんどはグリーンランド、もしくは南極大陸付近で出来ている。その理由は、これらの地域の海水は凍ってしまうからで、その際に氷の中に取り込まれにくい塩分が余って海水の密度(塩分濃度)が上がり、海底へ沈んでいく。
グリーンランドから沈み込んだ海水は、大西洋を南下しそのまま南極に到達、そこで南極でできた高密度の海水と合流、インド洋や太平洋へ送られゆっくりと上昇、北太平洋中部で表層へ戻り、再びグリーンランドへ帰っていく。
このサイクルは1000~2000年かかる。

海流のメカニズム

吹送流
風に引きずられて出来る海水の流れのこと。
しかし、海水の流れにはコリオリの力と海水の摩擦力が働くために、海水の流れは風の向きに対して北半球では右にそれる。
この力は表面から深層に伝わっていき、その向きは螺旋を描くように次々と右にそれていく。また流れの速さは深くなるほど低下していく。
このような吹送流を、提唱した海洋物理学者の名前(ヴァン・エクマン)からエクマン吹送流といい、エクマン吹送流がはたらく深さ数10メートルまでのエリアをエクマン層と言う。

地衡流
コリオリの力と圧力傾度力(水が高いところから低い所へ行こうとする力のこと)がつり合って一定の速さで流れ続ける海流のこと。

還流
エクマン吹送流によって海水が運ばれることをエクマン輸送というが、北半球ではコリオリの力によって、偏西風によって西から東に運ばれる海水は南にそれ、貿易風によって東から西に運ばれる海水は北にそれるので、ちょうど時計回りに海水が循環することになる。これを環流という。

西岸強化
コリオリの力は緯度が高いほど(北になるほど)大きくなるため、貿易風と偏西風では、北にある偏西風が運ぶ海水の方が大きくよれることになる。
偏西風のエクマン輸送は北半球では南によれるので、南向きの流れの範囲は広く、逆に貿易風によるエクマン輸送の北向きの流れの範囲は狭くなり、環流の中心は西にずれてしまう。そのため、黒潮やメキシコ湾流など、太陽の西岸の流れは非常に強くなる。

大気と海洋の相互作用

エルニーニョ現象
赤道付近の貿易風の力が弱まることで、通常なら太平洋西部が高く、太平洋東部(南米ペルー沖)が低い海水温の配置が変わり、ペルー沖の海水温が高くなる現象。
貿易風によって西に運ばれていたペルー沖の表層の海水が、エルニーニョでは東に戻されることにより、低気圧の発生する場所が通常よりも東にずれる。
エルニーニョとは「イエス・キリスト(のお恵み)」という意味で、クリスマスの時期がちょうどバナナの収穫時期であることに由来するが、漁業においては、冷たく栄養分を多く含んだ深層水が持ち上がってこず、アンチョビに加工されるカタクチイワシが全然取れなってしまう。
エルニーニョ現象は世界中に影響を及ぼし、日本では夏に強まるはずの太平洋高気圧が弱まるために天気が悪くなり(梅雨が長くなる)、さらに北のオホーツク海高気圧が南下することで冷夏になることが多い。
また冬も大気循環が鈍るために、オホーツク高気圧の影響が弱まって暖冬になる。

ラニーニャ現象
エルニーニョ現象の逆。貿易風が強まることで太平洋西部の海水温がさらに高くなり、ペルー沖の海水温が深海からの湧昇流によって低くなる現象。
ラニーニャ現象が起きると世界中の気圧配置のギャップが大きくなり、日本では猛暑・厳冬となる。
ちなみにラニーニャとは「女の子」という意味。


本当に地学か?お前は物理学なんじゃないのか?っていう範囲。というか、中学校の理科では生物学と地学はセットにされていたけど(2分野)、実際に学んでみると生物学は化学、地学は物理学に学習内容は近いよね。

波長(L)
波の山(谷)から山(谷)までの距離。

周期(T)
あるポイントにおいて、波の山(谷)が通過し、次の山(谷)が通過するまでの時間。

速度(v)
波が進む速さ。
音速と同様に振動数と波長をかけて求めることができる。

v=n×L

また“みはじ”的に波長(距離)を周期(時間)で割っても出せる。

v=L/T

振動数(n)
単位時間内に決まったポイントを通過する波の山(谷)の数。

波高
波の山から谷までの高さの差(鉛直距離)。

風浪
海上を吹く風が直接影響してできる波のこと。不規則な形をして尖った峰を持つ。
風のスピードが波のスピードよりも大きければ、風からのエネルギーを得て波は発達を続ける。
ただし風が吹き付ける距離や時間が限定されると、波の発達も限定される。

うねり
風浪が風域の外へ出たり、海上風が弱まると、短い波長の波が衰えて、なだらかな比較的に形が整った波だけが残される。これをうねりといい、夏の土用波(遠い場所の台風によって発生した波がはるばる日本の海岸に到達したもの)がこれである。
また、風浪とうねりが混在したものは波浪と呼ばれ、海面の波の多くはこの形をとる。
風浪やうねりは、海の深さが波長と同程度以上のところで発生し、水が円運動をしている。

津波
海の深さが波長と同程度以下になると、水は楕円運動を起こし長波となる。
この時の波の速さは、トリチェリの法則からv=√g×√hで表され、水深が深ければ深いほど波の速度は上がり、浅くなるにつれ速度は衰える。
水深4000メートルの場合は津波の速さは時速700キロメートルを超える。

波の屈折
波は水深が浅くなればなるほどスピードを落とすため、斜めに海岸にやってきた波は光のように屈折をする。

波の集中と分散
波が海岸にまっすぐやってきても海岸線が斜めだと同様に波は屈折を起こすため、岬付近では波が集中し高い波になり、入江では波が分散し低い波になる。

くだけ波
海岸の岩礁などでくだけて白くなる波のこと。水深が浅くなり波の速度が遅くなると、後ろからの次の波が前の波に覆いかぶさって、波の高さは高くなる。

潮汐
月や太陽の引力によって海の水位が周期的に変化すること。
水位が一番高い時を満潮、低い時を干潮といい、その周期はだいたい12時間25分だという。
満潮から干潮へ移るとき(引き潮)は海水は沖の方へ移動し、干潮から満潮へ移るとき(満ち潮)は海水は海岸の方へ移動してくる。この時の海水の流れは潮流と呼ばれる。
潮流は海峡は浅い海では速度が秒速数メートルにもなり、水面に波がたったり渦ができる。

起潮力
月が地球の周りを公転するときは、同時に地球も月との共通重心を中心に公転をしているので、地球にも遠心力が働く。とはいえ、この遠心力は月が地球に及ぼす引力と釣り合っているため、地球と月の距離は保たれる。
しかし、それは地球の中心の話であり、月に近い地球の面では月の引力>遠心力となり、月と反対側の地球の面では遠心力>月の引力となるため、これが起潮力となって潮の満ち引きが発生する。
ベクトルで表すならば、起潮力Fは遠心力f0と月の引力fの合力である。
遠心力f0は地球のどの場所でも同じ向きと大きさだが、月の引力fは月から離れるほど小さくなる。これをふまえると、月に近い面と月の反対の面の起潮力は、ちょうど向きは反対で大きさは等しくなる。

大潮と小潮
起潮力は月だけでなく太陽も影響を及ぼすので、月・地球・太陽が一直線に並ぶと、月と太陽の起潮力が重なって大潮に、月と太陽が地球に対して垂直になる時は、月と太陽の起潮力が打ち消しあって小潮となる。
しかし太陽による起潮力は月のちょうど半分程度なので、小潮の際にも起潮力は完全には相殺されず、月側に海水は持っていかれる。

地質学覚え書き②

 皆さんお元気ですか。私は年末見事に風邪をこじらせて、観たい映画も見逃し(ペンギンズ)、物理学の試験も小数点の位置を間違え、散々な目にあいました(多分落ちたorz)。
 で、憂さ晴らしに絵を描こうにも頭痛とめまいがひどくてろくにデッサンも取れず、かといって大学の勉強をする気も起きず、本当に生きる屍ライフを送っていました。地学の勉強だってまだまだたくさんまとめなきゃいけないことがあるのに、このていたらく。ただ、ちょっとだけ脳みそのキレもよくなり、地質図の読み方がわかるようになったので、地層や堆積関係の記事を新たに作ることにしました。
 ちなみに地学はあと、宇宙、気象、海洋の範囲がまだまだ手つかずなので頑張りたいと思います。年内に全て終わらせられればいいな。
 理科の単位は・・・物理が撃沈してしまった以上、半年計画の予定を伸ばして一年計画に変更せざるを得まい。もともと二年くらいで取る単位を半年で取ろうとした無茶なプロジェクトではあったんだけど。社会科もなんだかんだで結構かかったしな。

堆積岩
水の力によって、礫、砂、泥が押し固められて出来た岩石。
そんなんで砂や泥が硬い岩石になるんかいって感じだが、具体的に言うと、堆積物の重みで堆積粒子が密着したあと(圧密作用)、粒子のあいだの水に溶けていた炭酸カルシウムや二酸化珪素などの成分が沈殿して固結するという(セメント化作用)、二つのプロセスを経て堆積物の粒子は接着されて硬い岩石になる。これを続成作用という。

砕せつ岩
礫岩、砂岩、泥岩、頁岩(はがれやすい泥岩)粘板岩(もっとはがれやすい)

火山砕せつ岩
凝灰角れき岩(火山弾や火山礫によるもの)、凝灰岩(火山灰によるもの)

生物岩
石灰岩(貝、サンゴ、ウミユリ、有孔虫の死骸)、チャート(放散虫、珪藻の死骸)、チョーク(コッコリス※石灰質プランクトン)、珪藻土(珪藻の死骸)

化学岩
岩塩(食塩が沈殿)、石灰岩(炭酸カルシウムが沈殿)、チャート(珪酸が沈殿)、石こう(硫酸カルシウムが沈殿)

化石
生物の遺骸や痕跡が地層中に保存されたもの。堆積岩に含まれる。
骨や歯(リン酸カルシウム)や貝殻(炭酸カルシウム)などが残ることが多い。

印象化石
古生物の体の輪郭が岩石に押し付けられて残った化石

化学化石
化石や岩石に含まれる古生物の有機化合物。炭化水素、アミノ酸、炭水化物

示相化石
繁栄した期間が長い割に特定の環境に生息したため、その化石の種類でその地層の堆積環境がわかる。サンゴやシジミなど。

示準化石
繁栄した期間が短い割に広域に生息したため、その化石の種類で地層の年代がわかる。
古生代では三葉虫やフズリナが、中生代ではアンモナイトやベレムナイトが、新生代ではビカリアやメタセコイアが有名。

地質年代
地層を古い順に並べたもの。大きく分けると冥王代(岩石記録及び生物記録なし)、始生代(原核生物誕生)、原生代(真核生物出現)、古生代(硬い殻や骨格を持つ生物の誕生)、中生代(恐竜の繁栄)、新生代(哺乳類の繁栄)の6つとされるが、もうちょい細かく分けると以下のようになる。

カンブリア紀
アノマロカリス
エビとエイやヒラメ系の魚を合体させたような生き物。コイツだけ他の生き物に比べてやたらでかく、この時代の食物連鎖の頂点に立っていた。

オルドビス紀
フデイシ
石版に書き残された文字っぽかったためこう呼ばれる。いろいろな形のものがいるがかなりプログレ系で何の生き物に近いか正直良くわからない。

シルル紀
三葉虫
いわずもがな古生代を代表する古生物。世界中で多様化し、大小様々なものがいた。
体がおおきく三つに分かれているから三葉虫という。

クックソニア
最古の陸上植物だと言われる。根や葉、維管束がなく、その点でコケ植物に似ている。

デボン紀
ハチノスサンゴ
その名の通りはちの巣に激似なサンゴ。

直角貝
殻が円錐状のオウムガイ。ライオンノセラスなど巨大なものもいた。

プシロフィトン
高さ約60センチほどの原始的なシダ植物。根・茎・葉は未完成だが維管束ができた。

ユーステノプテロン
ヒレに骨を持ち、時に地を這うガッツあるさかな。

イクチオステガ
陸上というフロンティアを開拓した初期の両生類。

石炭紀
フズリナ
大型の有孔虫。チョコクリスピーに激似。葛生の川原によく落ちている。

ロボクやリンボク
石炭紀に繁栄したシダ植物。現在の石炭はだいたいコイツの成れの果てである。

プラティミラクリス
いわゆるゴキブリ。石炭紀は大繁栄したシダ植物によって酸素濃度が高く、昆虫が巨大化した。

ペルム紀
腕足類
現在のシャミセンガイがこの仲間だが、厳密には貝(軟体動物)ではないらしい。
二枚貝が左右に貝殻を持つのに対し、腕足類は上下に殻を持つ。

グロッソプテリス
肉厚の葉を持つシダ種子植物。古生代末の大絶滅もしぶとく生き延び、三畳紀の地層からも見つかる。

三畳紀
モノチス
ぶっちゃけホタテにしか見えない貝。

ニルソニア
ソテツの一種。

バイエラ
いわゆるイチョウの仲間。

ジュラ紀
トリゴニア(三角貝)
三角の形の貝。

白亜紀
イノセラムス
貝。恐竜絶滅前にカニに根こそぎ食べられてしまい、ひっそりと絶滅していた。

新生代古第三紀
ヌンムリテス(貨幣石)
大型の有孔虫。堅焼きポテトチップスに激似。

新生代新第三紀
ビカリア
円錐状に尖っていて小さなトゲトゲのある貝。

デスモスチルス
円柱を束ねたような歯を持つ哺乳類。

メガロドン
体長が10メートル以上あるジョーズ。

サヘラントロプス・チャデンシス
人類登場。

新生代第四紀
ブナ
ブナの木。

マンモスやナウマンゾウ
かつては日本にもゾウがいた・・・いや今も動物園にいるか。ええと、野生のゾウがいた。

地層

地層累重の法則
下のほうが地層は古い。

単層
同じ堆積物で構成されるひとつの地層のこと。

層理
地層と地層の境界。

級化層理
大きな粒が下に、小さな粒が上になっている地層の構造のこと。
礫、砂、泥を含んだ水(混濁流)が流れる際、重い粒の方が早く沈むから(ストークスの法則によれば粒の落下速度は粒径の二乗に比例する)。

ラミナ(葉理)
地層の断面に見られる、弱い縞模様。

クロスラミナ(斜交葉理)
ラミナが交差しているもの。水の流れがよく変わる場所で堆積した岩石で見られる。河口や三角州など。

リプルマーク(れん痕)
水の底についた波のあとの模様が地層の表面に残されたもの。
これを断面で見た場合、尖っている方が上である。

流痕
水の流れによって水底が削り取られたあと、そのくぼみに新たな地層が堆積した場合、その地層の底面にできるふくらみをいう。
水流が何を削ったり動かしたかによって、フルートキャスト(泥)、スキップキャスト(礫)、グルーブキャスト(小石)などと呼び方が変わる。

荷重痕
あとから堆積した重い地層が、その下のまだ固結していない軽い地層に垂れ下がること。

フレイム構造
火炎構造とも言う。下の層がまだ固まっていない時に、上にさらに地層が堆積することによって地層の境界が炎のような形になること。

インブリケーション
礫が平らな面を上流に向けて並んで堆積すること。これによって堆積時の水流の方向を知ることができる。

地質図
地図に地層の分布を書き加えたもの。読み取り方にかなりコツがいる。

クリノメーター
地質調査をする際に使う、方位磁針とおもりが合体したような道具。
地層と地層の境界面を層理面というが、その層理面の向きである走向と、層理面の角度である傾斜を測定できる。
クリノメーターには円状の目盛が二重にふってあるが、外側の目盛が方位磁針の、内側の目盛がおもりの目盛となっている。
ちなみにサバイバルグッズとしてのポテンシャルが評価され世界の陸軍で支給されている。

走向の測定方法
水平な地面に地層の境界線(層理)があれば、その層理のラインに沿ってクリノメーターを置いて、方位を調べればいいのだが、地層が斜面になっている場合はクリノメーターの端についている水準器を使って、クリノメーターを水平に浮かして層理に当てる必要がある。
走向の読み取り方は、クリノメーターの方位磁針をそのまま読み取ればOK。ちなみに走向が東にそれている場合は、方位コンパスの針(北の方角)はその分だけ西にそれるが、親切なことにクリノメーターの目盛は東と西の表示を逆にしてくれている。
走向の表し方は北を基準に、たとえば北から数えて東に45°の方向に層理面が向いていたらN45°Eと表す。ただし走向がぴったり南北(=角度のズレがゼロ)だったらN―S、東西(角度のズレが90°)だったらE―Wとする。

傾斜の測定方法
クリノメーターの横の面を地層面にくっつけ、その時のおもりの角度を調べる。
ちなみにおもりの指針はなぜかハート型になっている。プリティ。
角度の測定が終わったら今度はクリノメーターを水平にして、方位磁針で傾斜方向(=坂が下っている方向)を調べる。このとき傾斜方向は8方位で表す。
例えば傾斜角が30°、傾斜方向が南東だった場合は30°SEと表記する。

地質図記号
カタカナのトの字のようなマークは、層理面の走向と傾斜を表す。長い線とそこに書かれた数字が走向を、短い線とそこに書かれた数字が傾斜を表す。
傾斜角が垂直、すなわり90°の場合はカタカナのメの字っぽく短い線が突き抜ける。
以下まとめる。

ト→走向と傾斜
+→水平層(地層がきれいに水平に乗っている場所)
太い実線→断層
破線→推定断層
×→化石の産地


地質図の読み方
地質図は地層の広がり(地層境界線)と等高線を同時に相手にして、平面的な地図から立体的なイメージを掴まないといけないので難易度が高い。
また、同じ地層ならたぶん同じ厚さで重なっているだろ、という仮定をしているのも逆にややこしい。
とりあえず・・・
①地層境界線と等高線が平行に並んでいる場合、その地層は水平である。
②地層境界線と走向の線が直線で重なっている場合、その地層は垂直である。
③地層境界線と等高線の向きが綺麗に反対の場合、その地層は斜面と同じ向きに傾斜している。
④地層境界線と等高線の向きが同じで、地層境界線のエリアの方が等高線よりも尖り方がゆるい場合、その地層は斜面と逆向きに傾斜している。
・・・うん、非常にわかりにくいので、等高線の「く」の字をちょうど真ん中で折って「\」にしてしまい、この斜めの等高線を「―」になるように水平に傾ければ、なんとなく等高線に対しての地層境界線の角度がわかる。

走向の求め方
地質図から走向を求めるのは、慣れれば簡単で、同じ種類(階層)の地層境界線と、同じ高さの等高線がぶつかる二つの点を直線で結んで、その直線の角度を調べれば、走向は割とあっという間にわかる。

傾斜の求め方
地質図から傾斜を求める場合は、高さの違う2本の走向線をひいて、その2本の走向線の距離(水平距離)を、地図の縮尺(1cm=100mみたいなやつ)と定規を使って求め、さらに走向線を引くのに使った2本の等高線の高さの差(垂直距離)を求めれば、直角三角形を使って三角比で傾斜角を計算することができる。
たとえば、水平距離も垂直距離も同じ100メートルなら、その傾斜角は45°ということになる。

地層の厚さの求め方
地質図から地層の厚さを求める場合は、同じ高さの等高線を使って2本の走向線をひく。このとき引いた2本の走向線の距離を縮尺と定規で求めて、その距離と傾斜角度から三角関数を使って地層の厚さ(直角三角形の高さ)を求める。
たとえば走向線の距離が100mで傾斜角度が45°ならば、その地層の厚さXは・・・

X/100=sin45°
X=100×sin45°
X=100×(1÷√2)
X≒100×0.71
X=71メートル

地球物理学覚え書き

地球の形状

アリストテレス
哲学、政治学、生物学、物理学に続いてここでも登場!
紀元前330年頃、月食の際に月に映った地球の影が丸いことから、地球は球体であることをすでに見抜いていた。

エラトステネス
紀元前220年頃、シエネとアレキサンドリアの距離(925キロメートル)と、その二地点から見える太陽の位置のズレ(7.2°)から、中心角7.2°、弧の長さ925キロメートルの扇形を作り、地球の全周をかなり正確に算出した。

7.2:925=360:X
    X=46250キロメートル

ニュートン
物理学では重力加速度は9.8m/s2とされるが、厳密には場所によって若干異なり、赤道に近づくほど小さくなり(赤道では約9.78)、北極や南極に近づくほど大きくなる(緯度90°では約9.83)。
これは赤道の方が遠心力が高いためである(※)が、ニュートンはこの変化量を正確に求め、地球がちょっとだけ楕円であることを突き止めた。
その約50年後にフランス政府が調査隊を派遣し、ペルー、フランス、フィンランドでそれぞれ緯度一度あたりの経線の長さを測量したところ、緯度が高い国の方が罫線が長くなったため、地球が楕円であることが実際に証明された。

※実際には、地球の中心との距離が緯度によって異なるのが原因で(地球は楕円だから)、この影響は遠心力の影響の10倍もある。

ジオイド
地球の表面は7割が海、3割が陸であるが、これをすべて海の水に覆われた星と仮定して、その時の地球全体の平均海面をジオイド(ジオ=地球、イド=~みたいなもの)という。
平均海面とは、海面は波や潮汐によって変動しているが、その平均値をとり静水面としたもの。
しかし、地球内部はダイナミックな変動を繰り返しているため、平均海面も局所的に異なりボコボコになってしまう。
そのため、ジオイドに最も近い、綺麗な回転楕円体(地球楕円体)を作り、ジオイドとの差(ジオイドの高さ)を人工衛星によって測定すると、地球は洋なしというか肉まんのような形をしていることがわかる。
ちなみにジオイドの高さが最も凹んでいる場所はインド南部で、南極や北米もかなり凹んでいる。

扁平率
では地球はどれだけ潰れているかを計算すると

赤道半径(幅)=6387.137キロメートル
極半径(高さ)=6356.752キロメートル

扁平率=赤道半径-極半径/赤道半径≒1/300

なので、地球はほぼほぼ球形と考えていい。

重力異常
地球の形を地球楕円体と仮定したときの重力(引力と遠心力の合力)を標準重力というが、引力は物体の質量に比例するので地下に密度の大きな物質が存在する場合、局所的に重力の値は大きくなってしまう。この時の標準重力と実測値のズレを重力異常という。
初めて聞いた人は、だいたいKAGRAとかブラックホールとか、そういった類の宇宙物理学用語だと勘違いする(私だ)。
なんにせよ、この重力異常のせいで、重力の実測値をほかの地域と比べる場合は、ジオイド面上の値に変換する必要が出てくる。これを重力補正といい、以下の3段階で行われる。

①フリーエア変換
引力は重心から遠ざかるほど小さくなるため、この効果を取り除く。
重力は1メートル高くなるごとに約3.086×10-6m/s2小さくなるので、ジオイド面からHメートル高い場所の重力は3.086×10-6×Hだけ小さくなる。
ちなみにフリーエア変換とフーリエ変換は名前が似ているが、フリーエアとは人名ではなく自由大気という意味で、実測地の高さとジオイド面との高さの差をフリーエアと仮定することに由来する。

②地形補正
地表はジオイド面と平行ではなく凸凹しているため、測定地の高さHよりも高い場所にある物質は、高さHの平行面に引力をもたらし、測定値よりも低い場所にある物質は引力を及ぼさない(物質がないから)、こういった地形の効果を測定値から補正して、高さHのジオイドとの平行な面の重力値を求める。

③ブーゲー補正
最後に測定面とジオイド面との間にも物質があるため、その引力も差し引かなくてはならない。
間にある物質の密度を平均的な地殻の密度と仮定して、その値を測定値から取り除く。
ブーゲーとはこの計算を行った学者の名前。

フリーエア異常
フリーエア補正した値と標準重力との差のこと。
測定点の下にある物質が均質の場合は、測定地の高さを補正するだけで標準重力に一致するのでフリーエア異常は見られない。
アイソスタシーが成立している場合は高度によらずどこでもフリーエア異常は見られないが、日本列島は沈み込みプレートの境界にあるため、海溝付近は強制的に地球内部に引っ張る力が絶えず働いていて、アイソスタシーが成立せず著しいフリーエア異常が見られる。

ブーゲー異常
フリーエア補正、地形補正、ブーゲー補正して出した値と標準重力との差のこと。
ブーゲー補正は、ジオイドと測定値の間の密度を平均的な近くの密度と仮定して補正してしまっているため、鉱床のように地下に密度の高い物質が集まっている場合はプラスのブーゲー異常が見られる。
逆を言えば、ブーゲー異常が見られるところでは鉱床があるということで鉱床の探査に利用されている。
またカルデラや断層など、地下構造が水平的に変化する場所でもブーゲー異常が見られる。例えば、基盤が陥没していたり、断層がある場所では密度の大きな層が部分的に下がっているので、マイナスのブーゲー異常が見られる。

地球の内部
地震波の速度や、地球内部の化学組成から、地球内部の密度と圧力を算出すると、地球の中心密度は17g/cm3、圧力は4×1011Pa(≒400万気圧)に達する。
しかし地球内部の温度は直接測れないので推定幅が大きい。マントルと核の境界付近は3000℃、中心部は5000℃くらいだと考えられている。

地温勾配(地下増温率)
地下に行けば行くほど周囲の岩石の温度は上がるが、その割合を地温勾配という。
だいたい100メートル深くなる事に3℃上がる。

地殻熱流量
地球の内部の熱は、熱伝導によって表面に向かって逃げていき、最後は宇宙空間に放出される。
この時流れ出る熱量を地殻熱流量という。
地球全体では0.085W/m2(1平方メートルの面積から1秒間に0.085Jの熱が流出している)、大陸地域では0.065W/m2、海洋地域では0.1W/m2で、海洋地域の方が地表に放出される熱が大きい。これは海底に海嶺があるからである。
逆にプレートが沈み込む境界(=海溝)では地殻熱流量は低くなっている。

熱源
地球の熱源は、地球ができるときに蓄えられた熱エネルギー(=微惑星衝突の運動エネルギーと鉄がマグマーオーシャンの中に沈んでいった位置エネルギー)と、ウラン、トリウム、カリウムといった地球内部の放射性同位体が崩壊して発生した熱エネルギーである。
ちなみに、地球ができるときに蓄積された熱エネルギーと、放射性崩壊による熱エネルギーの比はちょうど1:1だという。

地球内部の化学組成
地球は原子太陽系星雲中の微粒子が集まって出来たと考えられているので、太陽系にある代表的な隕石と化学組成は似ていると考えられている。そのためイトカワなどの小惑星からサンプルと採取しようとしている。
また、出来たての地球は隕石の衝突エネルギーや大気の温室効果によって、ドロドロに溶けていたので、密度が高い(=重い)金属の鉄などはどんどん沈んで中心部に溜まっていった。
こうして現在の地球の化学組成が決定した。

地殻
二酸化珪素(55%)、酸化アルミニウム(15%)
大陸地殻は厚さが30~50キロメートルで、上部が花崗岩質、下部は玄武岩質。
海洋地殻は厚さが5~10キロメートルで、ほとんどが玄武岩質。

マントル
二酸化珪素(45%)、酸化マグネシウム(37%)
上部はかんらん岩(カンラン石、輝石)、下部はかんらん石が圧力によって相転移を起こしワズレアイト→リングッダイトといった高圧で安定する構造を持つ鉱物によってできている。


鉄(90%)、ニッケル(9%)、コバルト(0.6%)
液体の外核と、固体の内核に分けられる。

アイソスタシー
密度の小さい岩石が、密度の大きいマントルの上に浮かんでいるとする考え方。
アイソスタシーによれば大陸も海洋も同じ浮力をマントルから受けていると考える。

マントルの密度:3.3
大陸地殻の密度:2.8
海水の密度:1.0
海洋地殻の密度:3.0
氷の密度:0.9

上のような密度のデータがある場合、地殻の厚さが36キロメートルで標高2キロメートルの大陸の地点Aから、水深が4キロメートルで海洋地殻の厚さがわからない海洋の地点Bの海洋地殻の厚さを求めることができる。

地点Aの地殻の質量は、密度×地殻の厚さで

2.8×36=100.8

地点Bの質量は海水と海洋地殻とマントル(海洋地殻は大陸地殻よりも薄いため勘定に入れる)の質量を合計して

海水・・・1×4=4
海洋地殻・・・3×X=3X
マントル・・・3.3×(30-X)=99-3.3X

4+3X+99-3.3X=-0.3X+103

大陸の質量=海洋の質量なので

100.8=-0.3X+103

0.3X=2.2

X≒7.3333・・・

したがって海洋地殻の厚さは約7キロメートルである。

また、20000年前には大規模な氷河で覆われていた大陸の土地が、氷河の消失により400メートル隆起したとする。氷河の厚さが1500メートルだった場合、今後さらにどれくらい隆起するかもアイソスタシーによって求めることができる。
氷河の質量分だけ隆起すると考えられるので、隆起する高さをXメートルとすると・・・

3.3X(マントルが氷河に与えた浮力)=0.9×1500(氷河の質量)

3.3X=1350

X≒409メートル

すでに20000年かけて400メートル隆起しているので、今後はあと9メートル隆起する。

さらに、氷河がない場所で土地が400メートル隆起した場合は地殻の厚さが増加したと考えられる。よって地殻の厚さをXメートルとすると下方向への増加幅はX-400メートルである。
アイソスタシーにおいて、地殻の質量と、マントルが地殻に与える浮力は等しいので・・・

2.8X=3.3(X-400)

-0.5X=-1320

X=2640

よって地殻の厚さは2640メートルである。

プレートテクトニクス
地球の表面を覆うプレート(リソスフェア)という15枚の固い岩盤がマントルの対流(上昇する熱いプルームと下降する冷たいプルーム)によって動くこと。

プレートと地殻の違い
一見同じようなものに思えるが、厳密には定義の仕方が異なる。
地殻やマントルは地震波の速度の違いや化学成分で分類されるが(地震波トモグラフィー)、プレートは力学的な区分、つまり硬いか柔らかいかで分類されている。

リソスフェア
地表付近の硬い岩石部分。硬い分割れやすい。
リソスフェアは地殻とマントル上部の硬い部分が合わさり出来ていて、このリソスフェアが十数枚に分割したものがプレートである。

アセノスフェア
リソスフェアの下にある柔らかい部分。アセノスフェアは一応固体ではあるが、溶けかけていて流動しやすい(対流をしている)。プレートがマントルの上を移動できるのはこのためである。

メソスフェア
アセノスフェアの下にある残りのマントル全て。かなり硬い。

①拡散する境界(広がる境界)
海嶺の活動によってプレートとプレートが遠ざかっていく。正断層ができる。
東アフリカ地溝帯、ギャオ(アイスランドの割れ目)、東太平洋海嶺など。

②収束する境界(狭まる境界)
プレートとプレートがぶつかっていく。ぶつかった部分が盛り上がり山脈を形成したり、地震が起こる。海洋プレートがほかのプレートの下に沈み込む場所は海溝と呼ばれる。逆断層ができる。
ヒマラヤ山脈、日本海溝など。

③すれ違う境界
横ずれ断層ができる。
サンアンドレアス断層が有名。

VLBI
ベリー・ロング・ベースライン・インターフェロメトリー。超長基線干渉計と言う。
宇宙から飛んでくる電波を地上の複数の箇所にあるパラボラアンテナで受信し、その到達時間の差からそれぞれのアンテナ間の距離を求めることができる。
例えば、宇宙で最も明るい星(そして遠い)であるクェーサーからの電波を2地点で受信した時、電波の速度をc、電波到達時間の差をt、2地点間の距離をL、パラボラアンテナの角度をθとすると、Lを斜辺、アンテナに届く電波の道筋を底辺とする、角度θの直角三角形を作ることができる。
この直角三角形の余弦は

cosθ=ct/L

Lcosθ=ct

L=ct/cosθ

となり、2地点の距離をパラボラアンテナの角度と電波到達時間の差から求めることができる。
これにより、地震などの地殻変動によってプレートがどれだけ移動したか、ミリ単位で算出することができる。

地磁気
地球は大きな磁石になっていて、これによって発生する磁気を地磁気という。渡り鳥なんかはこれを感じ取って目的地まで飛んでいるらしい(あと星座)。
地磁気は、ベクトルによって表すことができ、水平分力と垂直分力を合わせた合力の全磁力(平行四辺形の対角線にあたるベクトル)、対角線の水平分力からの角度を表す伏角、そして磁気の方位を示す偏角が、地磁気の三要素である。

双極子磁場
ダイポールとも言う。N極とS極の二つがある棒磁石で形成される磁場のこと。
ちなみに磁石には必ずN極とS極がセットで存在するが、どちらかの極しかない磁石をモノポールといい、その存在をスーパーカミオカンデで探している。

磁気圏
太陽から地球に飛来する荷電粒子の流れ(太陽風)をはねのけてくれる領域を、地球の磁気圏という。
磁気圏は太陽側では地球半径の10倍くらいだが、その反対側ではその数百倍に広がり、彗星のような形をしている。これは太陽側は太陽風は向かい風、反対側は追い風になって、磁気圏の形が変わるからである。

バンアレン帯
磁気圏の内側では、陽子や電子(いわゆる放射線)が地球の磁力線に捕まって二重のドーナッツ状に地球を取り巻いている。このドーナッツを(発見した物理学者の名前をとって)バンアレン帯という。
なんでドーナツ状になるのかというと、自転や公転軌道の関係で、極地域から太陽風が来ることはないからである(ただ極地域に荷電粒子が磁力線に引っ張られて飛来することはある。詳しくはオーロラの項で)。
バンアレン帯の放射線は自然放射線の一億倍以上にも登り、電子は地球の周りを東回りに、陽子は地球の周りを西回りで回転している。ただアポロ計画の宇宙飛行士は毎回ここを通過していたので、即死レベルの放射線ではないらしい。
ちなみに内側のドーナッツ(地球から4000キロメートル)は内帯と呼ばれ、高速の陽子と電子が、外側のドーナッツ(地球から)は外帯と呼ばれ、高速の電子が多い。

オーロラ
太陽風の強さは太陽活動によって変化し、たまにすごい強くなって地球の磁気圏を押しつぶし、地磁気を変化させてしまう。これを磁気嵐という。
このとき荷電粒子の流れが地球の磁力線に沿って北極や南極といった高緯度地域の大気に侵入することがあり、そこで大気粒子と荷電粒子がぶつかると発光してオーロラができる。
カナダのイエローナイフなどが有名(桃鉄知識)。

化学概論覚え書き②

参考文献:松井徳光・小野廣紀著『わかる化学 知っておきたい食とくらしの基礎知識』、井上祥平著『はじめての化学―生活を支える基礎知識―』

モル濃度
12本の鉛筆を1ダースというように6.02×1023個の粒子を1モル(mol)といい、6.02×1023という数字をアボガドロ数という。
また、1molの質量は原子量や分子量に等しく、さらに1lの水溶液の中に溶けている溶質のモル数はM(モル濃度)と呼ばれ、モル濃度(mol/l)=モル数(mol)÷水溶液の体積(l)である。
以上のルールに従うと、0.1Mの水酸化ナトリウム(NaOH)を200mL調製するには、まず200mLに含まれる水酸化ナトリウムの量を求め・・・

0.1mol×200ml/1000ml

=0.02mol・・・①

次に水酸化ナトリウムの式量を求めれば良い。
水酸化ナトリウム(NaOH)は水素と酸素とナトリウムの化合物なので

1+16+23

=40g・・・②

①×②で

0.02×40=0.8

よって0.8gの水酸化ナトリウムが必要である。

こんな感じで、今度は塩化水素が7.3g溶けている水溶液が180mLあるときのモル濃度を計算してみる。

H=1、Cl=35.5なので、塩化水素の分子量は36.5

まずモル濃度は1lあたりの溶質のモル数なので、180mlで7.3gの溶質が溶けているなら、1lなら何gかを比で出してみる。

7.3:X=0.18:1
0.18X=7.3
X=40.5g

次に塩化水素は1lに36.5g溶けたときに1Mなので、40.5g溶けたら何Mかを求める。

1:36.5=X:40.5 
36.5X=40.5 
X=1.1

よってモル濃度は1.1Mである。

砂糖(ショ糖)171gに含まれる分子数
ショ糖の化学式はC12H22O11で、原子量12の炭素原子が12個、原子量1の水素原子が22個、原子量16の酸素原子が11個集まって出来ている。
したがってショ糖の分子量は

12×12+1×22×16×11=342

である。
つまりショ糖分子が6.02×1023個(1モル)集めるとその重さは342グラムになるというわけである。
問題ではショ糖の重さは171グラムで、ちょうど342グラムの半分なので、ショ糖の物質量は0.5モル、よって砂糖(ショ糖)171gに含まれる分子の数は6.02×1023個の半分=3.01×1023だということがわかる。

水と電気陰性度
一般的に物質は分子量が大きくなるほど沸点や融点は高くなる(固体は液体に、液体は気体にしにくくなる)。逆に言えば、軽い物質ほど気体になりやすいということである。
しかし、分子量18の水と、分子量32の酸素では、水は酸素の半分くらいしか重さがないのに、水は液体、酸素は気体として一般的に存在している。
実際、大気を構成する物質の中で常温で液体なのは水だけだという。
その理由は、水分子が、水素原子に比べて圧倒的に電気陰性度の強い酸素原子が水素の電子を引きつけており、電子を剥ぎ取られた水素原子はプラスに、酸素原子はマイナスに帯電しているからである。
このような状態の分子を極性分子といい、水分子それぞれがちょうど磁石のような状態になっているため、酸素よりも軽い分子にもかかわらず液体として存在しているのである。
ちなみに、水の表面張力(表面をできるだけ小さくしようと分子どうしがくっつく力)が高い理由もそのためである。


固体の氷が液体の水に浮くのは、氷の方が水よりも比重が軽いからである。
つまり同じ質量ならば水より氷の方が体積が大きいということである。実際、密封された容器に水を入れて凍らせると、容器が膨張し変形してしまう。
水も一般的な物質と同様に、温度を下げていくと分子の運動エネルギーが下がり、どんどん比重は重くなっていくのだが、その温度が4℃以下になると、今度は逆に軽くなっていってしまう。つまり水は4℃のときに最も重く、体積も縮小するということになる。
そのため4℃を下回った水は水面に浮いてきて、0℃になると凍りつく。
つまり水の場合は一般的な物質と異なり表面から凍っていく。だから氷点下20℃の湖も(表面にできた氷が蓋をするので)内部は凍らない。
このように固体の方が液体よりも比重が軽くなる物質は水やケイ素、ゲルマニウム、ガリウム、ビスマスなど僅かな種類だけである。

ではなぜ、水は固体の方が液体よりも体積が大きくなるのかというと、氷は水分子が水素結合で結びついて出来ているのだが、水分子のL字型の形状や、水素結合ができる方向が決まっているために、綺麗に並べても隙間が出来てしまい、そのため体積がかさばってしまうのである。
液体の場合は水分子は自由に動けるので、水分子の運動エネルギーが水素の結合エネルギーにまさっている4℃までなら温度を冷やせば冷やす分だけ隙間は小さくなり、密度は増えていく。

ちなみに、数千~数万気圧という強い圧力をかけて水を冷やせば結合が歪んだり重なったりして、水よりも比重が大きい氷を作ることができるらしい。

溶解
液体中にほかの物質が溶けて均一な混合物ができることを溶解という。
このとき、溶けている物質を溶質、溶かしている液体を溶媒という。
溶媒が水の溶液を水溶液というが、物質が水に溶けるしくみには、水分子の性質が大きく関係している。
水分子は、水素原子側がプラスに帯電し、酸素原子側がマイナスに帯電している極性分子であるため、塩化ナトリウムのようなイオン結晶を入れると、陽イオンのナトリウムイオンは酸素原子に、陰イオンの塩化物イオンは水素原子にくっついて、塩化ナトリウムは水分子に取り囲まれてしまう(水和)。
そのためイオン結晶は、水和分子となって水に溶ける。
しかし、水とグルコースが溶解してできた砂糖水や、水とエタノールが溶解してできたお酒など、イオンに分かれない物質でも水に溶かすことができる。
これはグルコースやエタノールの分子に、ヒドロキシル基という新水基があるからである。
ヒドロキシル基は水分子と同じく、水素原子側がプラス、酸素原子側がマイナスに帯電しており、ヒドロキシル基の酸素原子と水分子の水素原子、ヒドロキシル基の水素原子と水分子の酸素原子がそれぞれくっついて、水素結合が起こるため、エタノールは水によく溶ける。

炭酸
コーラのシュワシュワの正体は、液体中に強い圧力をかけて(沸点を上げられて)溶かされた二酸化炭素である。
つまり、二酸化炭素が気体となって液中から出て行ってしまうとシュワシュワはなくなってしまい、ただの黒い砂糖水になる。
気体となり膨張した二酸化炭素はペットボトルの上部にあるわずかな隙間に集まり、このためにペットボトルの内圧は上がる。栓を抜くとプシュッとなるのはこのためである。
このような炭酸ガスに限らず、温度が高くなり沸点を超えると液体は気体に状態変化をしてしまうので、炭酸飲料は冷蔵庫などで冷やして保存したほうが炭酸は長持ちする(ホットコーラが存在しないのもこのためである)。
とはいえ、一度栓を開けてしまったら炭酸ガスはキャップのわずかな隙間から抜けていくので、栓を開けてしまったものはお早めに飲んだほうが美味しい。
あと、ほんとどうでもいいけどコーラは昔薬局で売っていて、クリスマスのキャンペーンの際にはサンタクロースをコーラのイメージカラーであるレッドでコーディネートした。こうしてサンタの衣装は赤で定着した。

コロイド
コロイドとはろ紙は通過できるが、セロハン膜などの半透性の膜は通過できないくらいの大きさ(直径1ナノメートル~1マイクロメートル)の粒子である。
この粒子が溶媒中に均一に分散したものをコロイド溶液という。
コロイドは懸濁液(ほっておくとそのうち沈殿ができる溶液)の固体粒子よりは小さいが、真の溶液(溶質と溶媒の粒子の大きさが同じ)の中の粒子よりは大きい。
コロイド粒子には以下の3種類がある。

①分子コロイド
分子一つがコロイドの大きさのもの。デンプンやタンパク質など。

②会合コロイド(ミセルコロイド)
小さい分子が集まってコロイドの大きさになったもの。石けんなどの界面活性剤。

③分散コロイド
不溶性の固体(無機物質)がコロイドくらいの大きさになったもの。多くの金属。

また、コロイドは分散質と分散媒の組み合わせで8つに分類される。

①エアロゾル(分散媒が気体)
分散質:液体 分散媒:気体 霧、雲、蒸気、スプレー
分散質:固体 分散媒:気体 煙、粉塵

②泡沫
分散質:気体 分散媒:液体 スプレーフォーム(ムース状のやつ)

③エマルション(どちらも液体)
分散質:液体 分散媒:液体 牛乳、クリーム、マヨネーズ

④サスペンション
分散質:固体 分散媒:液体 ペンキ、印刷インク、墨汁

⑤ゲル(分散媒が固体)
分散質:気体 分散媒:固体 スポンジ、ウレタンフォーム、木炭
分散質:液体 分散媒:固体 寒天、ゼラチン、含水シリカゲル

⑥固体コロイド(どちらも固体)
分散質:固体 分散媒:固体 色ガラス、オパール

さらにコロイド溶液には以下のような特徴がある。

チンダル現象
コロイド溶液に光を当てると、コロイド粒子によって散乱した光の通路が見えること。
発見者のイギリスのジョン・チンダルに由来。

ブラウン運動
分散媒粒子とコロイド粒子との衝突で生まれる、コロイド粒子の不規則な運動。
発見者のイギリスのロバート・ブラウンに由来。

吸着
コロイド粒子の内部には微小な空間があるため、単位質量あたりの表面積は非常に大きい。
そのため、コロイド粒子はほかの物質に大量に吸着できる。これを利用したものが、消臭のための活性炭や、湿気を取り除くシリカゲルである。

電気泳動
コロイド粒子は電荷を帯びているため、電流を流すと自らが帯電している電荷とは逆の電極側に移動する。
また、コロイド溶液に逆の電荷を帯びた電解質を加えるとコロイドは沈殿する。
このとき少量の電解質を加えるだけで沈殿するコロイドを疎水コロイド、大量の電解質を加えて、塩析しないと沈殿しないコロイドを親水コロイドという。
さらに、沈殿しやすい疎水コロイドに、沈殿しにくい親水コロイドを加えて安定させたものを保護コロイドという。

太陽電池
太陽電池はアインシュタインの光電効果によって、太陽光のエネルギーを直接電気エネルギーに変えることができる装置である。ちなみに電池というが電気を貯めることは原理的にできない。
太陽電池は、太陽光で最も強い波長である緑色で光電効果を起こすシリコンの半導体で出来ている。
もう少し詳しく説明するとn型半導体とp型半導体を重ねた構造になっていて、p-nの接合部は電気的に打ち消されて空欠層という領域ができる。
これによりn型半導体のp型半導体に近い部分は相対的にプラスに、p型半導体のn型半導体に近い部分は相対的にマイナスになり、接合部分に電界ができる。
この接合部に太陽光が当たると、シリコンの結合が太陽光のエネルギーによって一部切断されて、自由電子と正孔が増える。
このとき出来た正孔(プラス)はp型半導体へ、電子(マイナス)はn型半導体へ引き寄せられ、導線に電気が流れる。
太陽電池は理想のエネルギー源だが、大量のエネルギーを作り出すとなると広大な面積の太陽パネルがいること、また、半導体を作るために多くの費用とエネルギーを必要とすることなど、課題は多い。

化学肥料
光合成に必要な炭素、水素、酸素は二酸化炭素や水の形で地球上にたくさんあるが、タンパク質を作るのに必要な窒素は空気中の窒素分子ではなくアンモニアの形でなくてはならず、その合成にはリンカリウムが必要になってくる。
そのため農業で使う肥料には窒素を始め、リンやカリウムが含まれている。
窒素肥料の代表は硫酸アンモニウムと尿素で、尿素はアンモニアと二酸化炭素を高温高圧で反応させて合成される。
硫酸アンモニウムは土の中で分解されると硫酸が残って土が酸性化してしまう。
そのためアルカリ性の石灰をまいて土を中和するが、不溶性の硫酸カルシウム(石膏)ができて土が固まってしまう。
しかし尿素は土の中で分解してもアンモニアと二酸化炭素を出すだけなので、こういった心配はない。
リン肥料の代表はリン鉱石と硫酸を反応させて作った過リン酸石灰で、リン酸の一カルシウム塩や硫酸カルシウムなどを含む混合物である。
またリン酸アンモニウムのように窒素とリンをどちらも含んでいる複合肥料も存在する。
カリ肥料はリン酸二水素カリウムや硝酸カリウムなどが含まれている。

農薬
農薬には殺菌剤、殺虫剤、除草剤などがある。
そのどれもが、細菌やカビ、虫を殺し、雑草を枯らすが、作物には影響が出ないように作られている。しかし、作物と、作物に害を与える病害虫や雑草は、同じ生体物質で出来ているため、これを区別して効果を発揮する農薬を作ることは難しい。
殺虫剤には天然物と、それに由来するピレスロイド系、有機塩素系、有機リン系などがある。これらのほとんどは昆虫の神経系に作用し、人畜への毒性は低い。
除虫菊の花にはピレトリンという有効成分があり、この構造をもとに合成されたものがピレスロイドである。
有機塩素系殺虫剤はイネの害虫防除に使われてきたが、殺虫成分が農作物の中に残留し、人間にも害を与える可能性があるとして、現在ではほとんどが使用禁止となっている。
代表的なものがDDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)で、これはカの駆除に優れた効果を発揮し、熱帯でのマラリアを激減させた。
この功績を称えられ、発見者のミュラーはノーベル医学生理学賞を受賞したが、大量に使用されたDDTが生物濃縮を繰り返していることがわかり、現在では多くの国においてDDTは禁止されている。反面、マラリアの発生は増えている。
有機リン系農薬は、強い殺虫力を発揮し、1930年代以降たくさんの種類の有機リン系殺虫剤が合成された。たとえばパラチオンは殺虫力も強いが人畜への毒性も強く、中毒事故も少なくなかった。
これをうけて、毒性が低く散布されて効果を発揮したあとは自然に分解されるようなものを求めて、マラチオンやフェニトロチオンが開発された。
除草剤は作物と雑草を区別し、後者だけを作用しなければならない。特に水田の雑草の除草剤は、同じイネ科でもイネ以外の植物だけに効果を発揮するものが開発されてきた。
ちなみに、もともと水田は雑草対策という一面がある(雑草の種は水中では呼吸ができないため育たない)。
除草剤の作用機構で植物特有なものは光合成への作用が挙げられる。
農薬は、化学的な構造が似た物質が同じような効果を示すだろうということで開発がされているが、ピレトリンと似ていないフェンバレレートのように、あまり似ていない化学構造の物質が同じような効果を示すこともある。
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